(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】半導体トレイ用のポリアミド樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 77/00 20060101AFI20220316BHJP
C08K 7/14 20060101ALI20220316BHJP
C08K 7/02 20060101ALI20220316BHJP
H01L 21/673 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
C08L77/00
C08K7/14
C08K7/02
H01L21/68 U
(21)【出願番号】P 2020148061
(22)【出願日】2020-09-03
【審査請求日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0110413
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519116230
【氏名又は名称】コリア エンジニアリング プラスチックス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】KOREA ENGINEERING PLASTICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】14th Floor, OCI Building, 94, Sogong-ro, Jung-gu, Seoul 04532 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】パク, ボン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】チャ, スン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク, シ ジュン
【審査官】堀内 建吾
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/080820(WO,A1)
【文献】特開2007-196473(JP,A)
【文献】特開2013-095799(JP,A)
【文献】特表2017-515951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 77/00-77/12
C08K 3/00- 3/40
C08K 7/00ー 7/28
H01L 21/673
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナイロン6、ナイロン66またはこれらの混合物から選択されるポリアミド系マトリックス樹脂、非晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリフタルアミド樹脂、炭素繊維およびガラス繊維を含む、ポリアミド樹脂組成物。
【請求項2】
前記マトリックス樹脂100重量部に対して、非晶性ポリアミド樹脂1~40重量部、結晶性ポリフタルアミド樹脂1~40重量部、炭素繊維5~30重量部およびガラス繊維5~150重量部を含む、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項3】
前記非晶性ポリアミド樹脂は、6I/6T、6/6T、6/6I、6/3/T、6I、4I、4Tまたは半結晶(Semi Crystalline)性ポリマーの中で結晶化を減少させたポリアミド12/MACMIから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合成分である、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項4】
引張強度が150MPa以上、屈曲強度が230MPa以上、屈曲弾性率が9,000MPa以上、衝撃強度が7kJ/m
2以上である、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項5】
230×150×1.8mmの射出成形された試験片を、温度23±2℃、相対湿度50±5%で24時間維持するように調節した後、測定した反りA1+A2が10
(単位はmm)以下であ
り、A1は長さ方向の反り距離(単位はmm)であり、A2は横方向の反り距離(単位はmm)である、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項6】
表面粗さが0.3以下である、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項7】
ナイロン6、ナイロン66またはこれらの混合物から選択されるポリアミド系マトリックス樹脂、非晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリフタルアミド樹脂、炭素繊維およびガラス繊維を含むポリアミド樹脂組成物であって、前記組成物の引張強度が150MPa以上、屈曲強度が230MPa以上、屈曲弾性率が9,000MPa以上、衝撃強度が7kJ/m
2以上であり、230×150×1.8mmの射出成形された試験片を、温度23±2℃、相対湿度50±5%で24時間維持するように調節した後、測定した反りA1+A2が10
(単位はmm)以下であ
り、A1は長さ方向の反り距離(単位はmm)であり、A2は横方向の反り距離(単位はmm)である、ポリアミド樹脂組成物。
【請求項8】
前記非晶性ポリアミド樹脂は、6I/6T、6/6T、6/6I、6/3/T、6I、4I、4Tまたは半結晶(Semi Crystalline)性ポリマーの中で結晶化を減少させたポリアミド12/MACMIから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合成分である、請求項7に記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項9】
表面粗さが0.3以下である、請求項7に記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の組成物から製造される、半導体トレイ。
【請求項11】
請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の組成物から製造される、半導体トレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体トレイ(Integrated Circuit Tray)用のポリアミド樹脂組成物に関する。
【0002】
また、本発明は、結晶化による変形がなく、固化時間が短い新たな半導体トレイ用のポリアミド樹脂組成物を提供する。
【背景技術】
【0003】
ICトレイ(IC Tray;Integrated Circuit Tray)は、半導体トレイとも称される。ICトレイは、半導体を収容する容器であって、半導体の生産中に半導体物質がICトレイに搭載された状態で移送され、移送工程において、140℃以上の熱に曝されるか、感光剤処理といった工程において、半導体とともに様々な化学物質に曝される。また、半導体生産工程が終了した後にも、半導体の保護材および包装材や移送材として使用されて、様々な周辺環境、例えば、温度の変化、湿度、電気的刺激といった様々な環境に曝され、半導体を保護する。
【0004】
したがって、半導体トレイをなす樹脂組成物は、半導体の生産中や生産が完了した後、または包装が完了した後にも、化合物、温度、湿度、電気的刺激が存在する環境で、半導体が、物理的、化学的、電気的損傷を負わないように、変形が少なくなければならず、また、帯電防止可能なほどに十分な電気伝導性のような電気的特性が求められる。
【0005】
また、前記半導体トレイは、熱による変形がないべきであり、射出によって製造される場合、結晶化の程度に応じて変形され得るため、これを防止できる新たな樹脂組成物が必要である。
【0006】
さらに、最近、半導体の集積度の向上によって半導体の大きさが小さくなるにつれて、ICトレイのポケット(Pocket、半導体が搭載される部分)の構造もより複雑になり、微細成形のためにまた薄くなっており、半導体トレイは、高流動特性も求められている。半導体トレイを製造するための樹脂組成物が、高流動特性およびそれを用いて製造した成形品の変形に対する抵抗性を同時に満たすことができなければ、ICトレイとして製造した際、表面の均一性が不良で、トレイとトレイとの摩擦によって粉塵が発生し、半導体不良の原因にもなり得る。
【0007】
従来、熱変形や結晶化による変形を防止するために、非晶性樹脂であるmPPO(modified Poly Phenylene Oxide)あるいはmPPE(modified Poly Phenylene Ether)樹脂組成物を主に使用してきたが、mPPO樹脂およびmPPE樹脂は、射出の際、流動性が良好でなくて成形性が劣り、表面が均一でなくてトレイ間の摩擦で粉塵が発生するという問題がある。
【0008】
また、結晶化樹脂であるポリアミド(PA)も使用していたが、結晶性ポリアミドは、射出後、冷却過程中に結晶化による変形および寸法変化があり、ICトレイへの適用が困難である。また、半導体の生産工程中にガラス転移温度(Tg)以上での熱処理の後、冷却過程で変形が発生することもあり、電気伝導度、強度の向上のためのCFやGFとの分散性が良好でなくて表面変形が起こるか平滑度が良好でなく、自体の摩擦によって粉塵が発生し、半導体の不良をもたらすこともある。
【0009】
一方、非晶性ポリアミドを使用する場合には、固化時間が増加し、金型からの取り出しが困難で、半導体工程中にTg以上で熱処理および冷却の後、変形が発生するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】韓国登録特許第10‐0867986号公報(2008.11.04)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の一様態は、上記の様々な樹脂が有する問題点を解決した半導体トレイ用の新たな樹脂組成物を提供する。
【0012】
本発明の一様態は、伝導性を有しているとともに、成形性に優れ、射出や押出の後、冷却過程と高温環境への継続した露出の前、後に、寸法安定性を維持することができる樹脂組成物を提供する。
【0013】
また、加工されたトレイの表面が均一で、トレイ間の摩擦による粉塵の発生がない新たなポリアミド樹脂組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために様々な研究を重ねたところ、本発明者らは、ナイロン6、ナイロン66またはこれらの混合物から選択されるポリアミド系マトリックス樹脂、非晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリフタルアミド樹脂、炭素繊維およびガラス繊維を含むポリアミド樹脂組成物を使用して半導体トレイを製造する場合、前記の欠点がないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
具体的には、本発明の一様態は、前記マトリックス樹脂100重量部に対して、非晶性ポリアミド樹脂1~40重量部、結晶性ポリフタルアミド樹脂1~40重量部、炭素繊維5~30重量部およびガラス繊維5~150重量部を含むポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
【0016】
本発明の一様態において、前記非晶性ポリアミド樹脂は、6I/6T、6/6T、6/6I、6/3/T、6I、4I、4Tまたは半結晶(Semi Crystalline)性ポリマーの中で結晶化を減少させたポリアミド12/MACMIから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合成分であってもよい。
【0017】
また、本発明の一様態において、前記組成物は、引張強度が150MPa以上、屈曲強度が230MPa以上、屈曲弾性率が9,000MPa以上、衝撃強度が7kJ/m2以上であるポリアミド樹脂組成物であってもよい。
【0018】
また、本発明の一様態において、前記樹脂組成物は、230×150×1.8mmの射出成形された試験片を、温度23±2℃、相対湿度50±5%で24時間維持するように調節した後、測定した反りA1+A2が10以下であるものを提供する場合、トレイとトレイとの摩擦による粉塵の発生を最小化し、半導体の不良を最小化することができる。
【0019】
また、本発明の一様態は、ナイロン6、ナイロン66またはこれらの混合物から選択されるポリアミド系マトリックス樹脂、非晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリフタルアミド樹脂および導電剤を含むポリアミド樹脂組成物であって、前記組成物の引張強度が150MPa以上、屈曲強度が230MPa以上、屈曲弾性率が9,000MPa以上、衝撃強度が7kJ/m2以上であり、230×150×1.8mmの射出成形された試験片を、温度23±2℃、相対湿度50±5%で24時間維持するように調節した後、測定した反りA1+A2が10以下であるポリアミド樹脂組成物であってもよい。
【0020】
また、本発明の一様態は、前記様態のポリアミド組成物であって、前記樹脂組成物は、表面粗さが0.3以下であるポリアミド樹脂組成物であってもよい。
【0021】
また、本発明の一様態は、前記組成物から製造される半導体トレイを提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一様態によるICトレイ用の樹脂組成物は、電気伝導性を有しており、高温および化学物質への継続した露出でも、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性をはじめ、機械的物性および耐久性に優れるという利点がある。
【0023】
また、本発明の一様態によるICトレイ用の樹脂組成物は、表面が均一で、粉塵の発生が少ないという利点がある。
【0024】
また、本発明の一様態によるICトレイ用の樹脂組成物は、加工後の固化時間が短く、離型性に優れるという特性を有する。
【0025】
また、本発明の一様態によるICトレイ用の樹脂組成物は、固化時間を短縮するとともに、表面を均一にし、粉塵の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の反り距離を測定する方法を図示した図である。
【
図2】本発明の反り距離を測定する方法を図示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付の図面を含む具体例または実施例によって本発明をより詳細に説明する。ただし、下記の具体例または実施例は、本発明を詳細に説明するための一つの参照であって、本発明は、これに限定されるものではなく、様々な形態に実現され得る。
【0028】
また、他に定義されない限り、すべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者の一人によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本発明において説明に使用される用語は、単に特定の具体例を効果的に記述するためのものであって、本発明を制限することを意図しない。
【0029】
また、明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形態は、文脈で特別な指示がない限り、複数形態も含むことを意図し得る。
【0030】
また、ある部分がある構成要素を「含む」としたときに、これは、特別に逆の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0031】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0032】
本発明は、マトリックス樹脂として、ポリアミド系樹脂を、非晶性アミドと結晶性フタルアミドを結合することで、結晶化と高温露出による寸法および形状の変化の問題を解決し、半導体トレイ用として適用する際、向上した生産性と電気的特性、粉塵の発生などを除去した新たな半導体トレイ用のポリアミド樹脂組成物に関する。
【0033】
そのために、本発明は、ナイロン6、ナイロン66またはこれらの混合物から選択されるポリアミド系樹脂をマトリックス樹脂とし、これに非晶性ポリアミド樹脂および結晶性ポリフタルアミド樹脂と導電剤を含有して製造される半導体トレイ用のポリアミド樹脂組成物に関する。
【0034】
本発明では、前記成分を含む組成物を採択することで、表面が均一になり、非晶性樹脂の使用時に固化時間がかかって射出サイクルタイム(Cycle Time)が増加する経済性減少の問題を解決する。
【0035】
また、従来技術で生産性を高めるために、射出冷却時間を短く設定する場合、取り出しの際にICトレイが反るか金型に粘着され、形態が変更されて表面が不均一になる問題も解決することができる。
【0036】
したがって、本発明は、前記のように、固化時間を短縮するとともに(好ましくは、固化時間を7秒以内)、表面を均一にして粉塵(Particle)の発生を低減する新たな組成物を提供する。
【0037】
本発明において、前記マトリックス樹脂として、ポリアミド6を使用する場合、相対粘度(R.V)が2.60±0.5のものが好ましいが、これは、射出特性に優れ、また、ポリアミド66と混用するときに、ともに溶融することができ、混和性に優れ、射出特性が維持されるためであって、単独で使用する場合には、これに限定されない。また、本発明のポリアミド66は、機械的剛性および耐熱性に優れた樹脂であって、制限されないが、好ましくは、RV(硫酸、25℃)が2.4±0.5であり、重量平均分子量が11,000~21,000g/molであるものが例として挙げられるが、これに限定されない。
【0038】
また、本発明において、無定形ポリアミド成分は、他の成分と結合して表面硬度を増加させ、収縮率を減少させることができ、また、射出などの加工後、表面を均一にして、摩擦による粉塵、Particleの発生を低減することができ、非制限的な例として、R.V(硫酸、25℃)が1.9±0.5のものが例として挙げられるが、これに限定されない。
【0039】
本発明において、前記非晶性ポリアミド樹脂は、非晶性ポリアミド樹脂であれば特に制限されないが、例えば、非晶性ポリフタルアミド6I/6T、6/6T、6/6I、6/3/T、6I、4I、4Tまたは半結晶(Semi Crystalline)性ポリマーの中で結晶化を減少させたポリアミド12/MACMIが例として挙げられるが、これに限定されない。
【0040】
次に、結晶性ポリフタルアミド樹脂について説明する。結晶性ポリフタルアミドは、前記マトリックス樹脂と前記非晶性ポリアミドとを結合して組成物の耐熱性を向上させることができ、また、半導体トレイの寸法安定性を改善することができ、珍しいことにこの成分を含有する組成物で固化時間の短縮が可能であるという予想しなかった効果を得ることができる。一例として、相対粘度(R.V)(硫酸、25℃)が2.0±0.5である樹脂が好ましいが、これに限定されない。
【0041】
本発明の一例としては、マトリックス樹脂として、ナイロン6、ナイロン66またはこれらの混合物から選択されるポリアミド系樹脂100重量部に対して、非晶性ポリアミド樹脂1~40重量部、結晶性ポリフタルアミド樹脂1~40重量部、炭素繊維5~30重量部およびガラス繊維5~150重量部を含むポリアミド樹脂組成物を提供するが、これは、本発明の物性を達成するために好ましいものであって、その組成比に限定されない。
【0042】
前記組成比を使用する場合、表面硬度の上昇、収縮率の減少、表面均一性の増大、耐熱性と剛性を良好に維持しながら射出性を増加させることができ、さらに好ましい。
【0043】
本発明において、炭素繊維およびガラス繊維は、特に制限されないが、例えば、直径5~10μm、長さ4~8mmのものを使用することができるが、これに限定されない。また、表面電気伝導度を向上させて半導体工程中の静電気などによって半導体の損傷や異物による汚染を防止することができる。
【0044】
また、本発明において、前記組成物は、引張強度150MPa以上、屈曲強度230MPa以上、屈曲弾性率9000MPa以上、衝撃強度7kJ/m2以上のポリアミド樹脂組成物であってもよい。
【0045】
また、本発明において、前記樹脂組成物は、230×150×1.8mmの射出成形された試験片を、温度23±2℃、相対湿度50±5%で24時間維持するように調節した後、測定した反りA1+A2が10以下であるものを提供する場合、トレイとトレイとの摩擦による粉塵の発生を最小化し、半導体の不良を最小化することができる。
【0046】
また、本発明は、ナイロン6、ナイロン66またはこれらの混合物から選択されるポリアミド系マトリックス樹脂、非晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリフタルアミド樹脂および導電剤を含むポリアミド樹脂組成物であって、前記組成物の引張強度が150MPa以上、屈曲強度が230MPa以上、屈曲弾性率が9,000MPa以上、衝撃強度が7kJ/m2以上であり、230×150×1.8mmの射出成形された試験片を温度23±2℃、相対湿度50±5%で24時間維持するように調節した後、測定した反りA1+A2が10以下であるポリアミド樹脂組成物であってもよい。
【0047】
また、本発明の一例において、前記組成物は、顔料をさらに含むことができる。
【0048】
また、本発明の一例において、前記組成物は、酸化防止剤、耐熱性添加剤、滑剤などから選択されるいずれか一つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0049】
本発明において、前記酸化防止剤および滑剤は、前記マトリックス樹脂、非晶質ポリアミド樹脂および結晶質ポリフタルアミド樹脂100重量部に対して、0.05~3重量部使用することができ、好ましくは、0.1~1重量部使用することが、他の物性を損なわず好ましいが、これに限定されない。
【0050】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明し、本発明は、下記実施例に限定されず、本発明の技術思想内で多様に変形して実施し得ることは言うまでもない。
【0051】
[実施例1~4および、比較例1~2]
相対粘度2.6の底粘度のポリアミド6樹脂(PA6 HYOSUNG 1011BRT)、相対粘度2.4の底粘度のポリアミド6,6樹脂(PA6,6 Solvay 24AE1)、結晶性ポリフタルアミド樹脂(Crystalline PPA エボニック M1100)、非晶性ポリアミド樹脂(EMS TR90)、炭素繊維(SUNYOUNG SYC‐TR‐PU6)、ガラス繊維(KCC GF311)、滑剤(Calcium stearate SONGWON産業SC130)、酸化防止剤(IRG1098 BASF)、カーボンブラック(CHOYANG MB9002L)を下記表1の組成で調節した後、リボン型混合機で20分間ブレンドした後、これをツインスクリュー押出機に投入し、250℃で十分に溶融混錬した。
【0052】
これをダイ(Die)を介してストランド(Strand)状に吐出した後、冷却水槽で十分に冷却を実施し、ペレタイザー(Pelletizer)を用いてチップ(chip)状に切断し、製造した。
【0053】
前記材料を80℃のオーブンで十分に乾燥した後、これを用いて、250℃で物性測定用試験片を射出成形して成形品を製造した後、物性を測定し、その結果を表2~4にまとめた。
【0054】
【0055】
下記表2は、引張強度、引張伸び率、屈曲強度、屈曲弾性率および衝撃強度を測定して示した表である。引張強度は、ISO 527、屈曲強度および屈曲弾性率は、ISO 178に準じて測定し、衝撃強度(Charpy notched)は、ISO179/1eAに準じて測定した。
【0056】
結果、下記表2で記載したように、本発明による実施例1~4は、いずれも著しい機械的物性の上昇を示した。しかし、本発明の組成物を有していない場合、物性において非常に劣る特性を示した。
【0057】
【0058】
下記表3は、下記方法で反り(Warpage)を測定して示した表である。反り(Warpage)は、分子の配向や固化速度の差による収縮率の部分的偏差によって成形品が反る現象を意味し、下記の方法で測定した。
【0059】
‐測定設備:非接触寸法測定器(Maker/MODEL:MICROVU/M3010181)
‐測定条件:230×150×1.8mmの射出成形された試験片を温度23±2℃、相対湿度50±5%で24時間維持するように調節した後、測定
‐測定方法:
図1のように、試験片の9個の点のうち中央の点を原点補正した後、残りの8点の座標(x、y、z)を測定し、測定された座標を用いて各反り(deflection)を求めた後、
図1のように、点1、3、7を用いて反り距離(A1)を求め、
図2のように、点9、1および5を用いてA2を求める。
【0060】
結果、表3にまとめたとおり、本発明の実施例では、反りにおいて各方向に5mm以内の反りが示され、比較例の場合には、いずれも7mm以上の反りが観測され、より薄い半導体トレイを製造する際、反りが非常に劣り得るが、本発明の場合には、反りに優れることが分かる。
【0061】
また、射出した後、変形を最小化できる同一射出条件で射出機の冷却時間を0.1秒単位に調整して離型不良が発生しない最小時間を固化時間として測定した固化時間においても、本発明は、8秒以内の時間の間に固化可能であるが、比較例1の場合、固化しないかまたは時間がかかり、また、表4と同様、離型不良を示して表面粗さが非常に劣り、比較例2の場合も固化速度は良好であるが、表面粗さが非常に不良で、実際使用が困難である。
【0062】
【0063】
表4は、前記反りを測定する時に使用した試験片を用いて表面粗さ測定器(TOKYOSEIMITSU、Surfcom 574A)を用いて表面粗さを測定したものである。結果、比較例の場合、表面粗さでも非常に不良で、今後、半導体トレイ用として製造する場合、表面摩擦による粉塵の発生が予想された。
【0064】