(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20220316BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220316BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220316BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220316BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20220316BHJP
G01L 1/18 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
G06F3/041 600
G06F3/041 640
G09F9/00 366A
G09F9/00 313
H01L27/32
H05B33/14 A
H05B33/02
G01L1/18 Z
(21)【出願番号】P 2020173676
(22)【出願日】2020-10-15
【審査請求日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】202010559086.7
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512299015
【氏名又は名称】ティーピーケイ タッチ ソリューションズ(シアメン)インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】イェ ツァイ ジン
(72)【発明者】
【氏名】リー リエン シン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ツァイ クエイ
(72)【発明者】
【氏名】チュアン チー チェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン レン フン
(72)【発明者】
【氏名】リン スン ポー
(72)【発明者】
【氏名】リン ウェイ イー
(72)【発明者】
【氏名】チェン タイ シー
(72)【発明者】
【氏名】リン チュー チャン
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0306481(US,A1)
【文献】国際公開第2016/129400(WO,A1)
【文献】特開2012-206692(JP,A)
【文献】特開2007-066914(JP,A)
【文献】国際公開第2019/050257(WO,A1)
【文献】特開2019-002813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041-3/047
G09F 9/00
H01L 27/32
H05B 33/00-33/28
G01L 1/00-1/26
G01L 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性カバープレートと、
力感知モジュールと、
前記可撓性カバープレートと前記力感知モジュールとの間に配置され、有機発光ディスプレイユニット及びタッチ感知層を備えるタッチディスプレイモジュールと、
前記力感知モジュールの下に配置され、前記力感知モジュールの接触電極として機能する金属薄板と、を備え、
前記力感知モジュールは、可撓性電極と、可撓性力感知複合層と、を備え、
前記可撓性力感知複合層は、第1の抵抗率を有する少なくとも1つの可撓性電極層、及び、前記第1の抵抗率よりも大きい第2の抵抗率を有する少なくとも1つの機能性スペーサ層を備え、
前記少なくとも1つの機能性スペーサ層は、低濃度銀ナノワイヤでドープされた基板層であり、前記少なくとも1つの可撓性電極層及び前記少なくとも1つの機能性スペーサ層が前記可撓性電極の下に配置されている、
電子機器。
【請求項2】
前記タッチディスプレイモジュールは、アウトセル型タッチディスプレイモジュール又はオンセル型タッチディスプレイモジュールである、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記少なくとも1つの可撓性電極層は、銀ナノワイヤ電極層である、請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記金属薄板は、銅箔又は鋼板である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記可撓性電極は、前記可撓性力感知複合層と前記タッチディスプレイモジュールとの間に配置される、請求項1~
4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記金属薄板と前記可撓性力感知複合層との間に配置された導電性接着剤をさらに備える、請求項1~
5のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記可撓性電極と前記タッチディスプレイモジュールとの間に配置された可撓性キャリア基板をさらに備える、請求項1~
6のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記可撓性電極が、互いに離間した複数の電極ブロックを備える、請求項1~
7のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記可撓性カバープレートと前記タッチディスプレイモジュールとの間に配置された偏光素子をさらに備える、請求項1~
8のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記可撓性力感知複合層の圧力信号が、分圧回路又はホイートストン回路によって抽出される、請求項1~
9のいずれか一項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチモジュールの多様な開発により、タッチモジュールは工業用電気製品及び家電製品に成熟して適用されてきた。スクリーン表面上のタッチポイントの二次元位置(例えば、X軸方向とY軸方向)を決定することから、スクリーン表面に加えられる力の変化によって生じる力のパラメータ(例えば、Z軸方向)を感知することまで、要求は進んだ。可撓性パネルのアプリケーション要件も避けられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国特許出願公開第106775104号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、既存の産業によって提案されている従来技術では、タッチモジュールに搭載される圧力センサに次の(1)、(2)の問題があった。(1)X-Y-Z 3軸電極が同時に可撓性特性を有することができず、可撓性アセンブリとして使用することができない。(2)部分領域のみがZ軸感知機能を有する。
【0005】
したがって、上記の問題を解決する電子機器をどのように提供するかが、産業界の重要な課題となっている。
【0006】
本発明は、上記の問題を効率的に解決することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、電子機器は、可撓性カバープレートと、力感知モジュールと、タッチディスプレイモジュールと、金属薄板とを含む。力感知モジュールは、可撓性電極及び可撓性力感知複合層を含む。可撓性力感知複合層は、少なくとも1つの可撓性電極層及び少なくとも1つの機能性スペーサ層を含む。可撓性電極層は、第1の抵抗率を有する。機能性スペーサ層は、第1の抵抗率よりも大きい第2の抵抗率を有する。可撓性電極層及び機能性スペーサ層は、可撓性電極の下に配置される。タッチディスプレイモジュールは、可撓性カバープレートと力感知モジュールとの間に配置され、有機発光ディスプレイユニットとタッチ感知層とを含む。金属薄板は、力感知モジュールの下に配置され、力感知モジュールの接触電極として機能する。
【0008】
本開示の一実施形態では、タッチディスプレイモジュールは、アウトセル型タッチディスプレイモジュール又はオンセル型タッチディスプレイモジュールである。
【0009】
本開示の一実施形態では、可撓性電極層は、銀ナノワイヤ電極層である。
【0010】
本開示の一実施形態では、機能性スペーサ層は、低濃度銀ナノワイヤでドープされた基板層である。
【0011】
本開示の一実施形態では、金属薄板は、銅箔又は鋼板である。
【0012】
本開示の一実施形態では、可撓性電極は、可撓性力感知複合層とタッチディスプレイモジュールとの間に配置される。
【0013】
本開示の一実施形態では、電子機器は、導電性接着剤をさらに含む。導電性接着剤は、金属薄板と可撓性力感知複合層との間に配置される。
【0014】
本開示の一実施形態では、電子機器は、可撓性キャリア基板をさらに含む。可撓性キャリア基板は、可撓性電極とタッチディスプレイモジュールとの間に配置される。
【0015】
本開示の一実施形態では、可撓性電極は、複数の電極ブロックを含む。電極ブロックは互いに離間している。
【0016】
本開示の一実施形態では、電子機器は、偏光素子をさらに含む。偏光素子は、可撓性カバープレートとタッチディスプレイモジュールとの間に配置される。
【0017】
本開示の一実施形態では、可撓性力感知複合層の圧力信号は、分圧回路又はホイートストン回路によって抽出される。
【発明の効果】
【0018】
したがって、本開示の電子機器では、力感知モジュールは、可撓性を有しピエゾ抵抗直線性が良好な可撓性力感知複合層(すなわち、低抵抗率を有する銀ナノワイヤ電極層と、高抵抗率を有する機能性スペーサ層とが交互に積層されたものを含む)を採用し、可撓性カバープレート及び有機発光ディスプレイユニットを含むタッチディスプレイモジュールと協働することにより、可撓性を有する三次元タッチ感知機能を実現できる。本開示は、有機発光ディスプレイユニットと共に通常使用される金属薄板を力感知モジュールの電極の一つとしてさらに使用する。したがって、金属薄板は次の(1)~(4)の機能も有する。(1)パネルの傷付き防止。(2)拡散効果および平坦化効果の付与。(3)耐干渉(下のマザーボードの信号との干渉を防止する)。(4)力感知モジュールの接触電極として機能する。
【0019】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方は、例によるものであり、クレームされた開示のさらなる説明を提供することを意図していることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本開示は、添付の図面を参照して、以下の実施形態の詳細な説明を読むことによって、より完全に理解することができる。
【
図1】本開示の一実施形態による電子機器の概略図である。
【
図2】本開示の一実施形態による可撓性力感知複合層の概略図である。
【
図3A】押圧されていない
図2の可撓性力感知複合層の部分拡大図である。
【
図3B】押圧された
図2の可撓性力感知複合層の部分拡大図である。
【
図4】可撓性力感知複合層によって感知される圧力信号を抽出するための回路を示す概略図である。
【
図5】可撓性力感知複合層によって感知される圧力信号を抽出するための回路を示す概略図である。
【
図6】本開示の一実施形態による電子機器の概略図である。
【
図7】本開示の一実施形態による電子機器の概略図である。
【
図8】本開示の一実施形態による電子機器の概略図である。
【
図9】本開示の一実施形態による電子機器の概略図である。
【
図10】本開示の一実施形態による電子機器の概略図である。
【
図11】本開示の一実施形態による電子機器の概略図である。
【
図12】本開示の一実施形態による電子機器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面に例示されている本発明の実施形態を詳細に参照する。可能な限り、図面及び説明において同一の符号を使用して同一又は類似の部分を参照する。しかしながら、本明細書に開示される特定の構造及び機能の詳細は、例示的な実施形態を説明する目的のための単なる代表的なものであり、よって、多くの代替的な形態で具現化することができ、本明細書に記載される例示的な実施形態のみに限定されるものとして解釈されるべきではない。したがって、例示的な実施形態を開示された特定の形態に限定する意図はないが、反対に、例示的な実施形態は、開示の範囲内にあるすべての変更、均等物、及び代替物をカバーするものであることを理解されたい。
【0022】
図1を参照する。
図1は、本開示の一実施形態による電子機器100Aの概略図である。
図1に示すように、本実施形態の電子機器100Aは、一例として可撓性タッチディスプレイ装置であり、可撓性カバープレート110、接着層120a、120b、タッチディスプレイモジュール130、偏光素子140、力感知モジュール150、及び金属薄板160を含む。偏光素子140は、可撓性カバープレート110とタッチディスプレイモジュール130との間に配置され、偏光素子140は、接着層120aを介して可撓性カバープレート110に接着され、タッチディスプレイモジュール130は、偏光素子140の可撓性カバープレート110から離れた側に取り付けられている。タッチディスプレイモジュール130は、偏光素子140と力感知モジュール150との間に配置され、力感知モジュール150は接着層120bを介してタッチディスプレイモジュール130に接着されている。
【0023】
いくつかの実施形態において、可撓性カバープレート110の材料は、可撓性ポリマー材料を含む。例えば、可撓性ポリマー材料は無色ポリイミド(PI)を含むが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0024】
いくつかの実施形態において、
図1に示すように、タッチディスプレイモジュール130は、有機発光ディスプレイユニット131、タッチ感知層132及び接着層120cを含む。接着層120cは、有機発光ディスプレイユニット131とタッチ感知層132との間に接着されている。有機発光ディスプレイユニット131は、接着層120bを介して力感知モジュール150に接着されている。タッチディスプレイモジュール130は、偏光素子140の可撓性カバープレート110から離れた側に、タッチ感知層132によって取り付けられる。タッチ感知層132は、電子機器100Aの可撓性カバープレート110上におけるユーザのタッチポイントの二次元位置(例えば、X軸方向とY軸方向)を感知するように構成されている。
【0025】
いくつかの実施形態において、
図1に示すように、力感知モジュール150は、可撓性電極151及び可撓性力感知複合層153を含む。可撓性力感知複合層153は、可撓性電極151の下に積層される。可撓性電極151は、可撓性力感知複合層153とタッチディスプレイモジュール130との間に配置され、タッチディスプレイモジュール130の有機発光ディスプレイユニット131に接着層120bを介して接着されている。力感知モジュール150は、電子機器100Aの可撓性カバープレート110の表面にユーザによって加えられた力の変化によって生じる力のパラメータ(すなわち、Z軸方向)を感知するように構成されている。さらに、金属薄板160は、力感知モジュール150の下に配置されている。力感知モジュール150は、コーティングプロセスによって金属薄板160上に製造される。金属薄板160は、力感知モジュール150の接触電極として機能する。
【0026】
図2を参照する。
図2は、本開示の一実施形態による、可撓性力感知複合層153の概略図である。
図2に示すように、可撓性力感知複合層153は、少なくとも1つの可撓性電極層153a及び少なくとも1つの機能性スペーサ層153bを含む。可撓性電極層153aは、第1の抵抗率を有する。機能性スペーサ層153bは、第1の抵抗率よりも大きい第2の抵抗率を有する。可撓性電極層153aと機能性スペーサ層153bとは、可撓性電極151の下に積層されている。
【0027】
いくつかの実施形態では、第2の抵抗率は、第1の抵抗率の約3倍~約50倍であるが、本開示はこれに限定されるものではない。可撓性力感知複合層153が可撓性の条件を満たすようにするため、いくつかの実施形態において、可撓性力感知複合層153における可撓性電極層153aは、銀ナノワイヤ(SNW;AgNWとしても知られる)電極層である。
図3Aを参照する。
図3Aは、押圧されていない
図2の可撓性力感知複合層153の部分拡大図である。
図3Aに示すように、可撓性電極層153aは、基板と、その中にドープされた銀ナノワイヤとを含む。銀ナノワイヤは、基板内で互いに重なり合って、導電性ネットワークを形成する。基板とは、可撓性電極151上に残存する非ナノ銀材料を指す。非ナノ銀材料は、可撓性電極151上に揮発性材料及び銀ナノワイヤを含む溶液をコーティングし、次いで加熱及び乾燥して揮発性材料を揮発させることによって形成される。銀ナノワイヤは、基板内に分布又は埋め込まれ、部分的に基板から突出する。基板は、外部環境から銀ナノワイヤを保護することができ、例えば銀ナノワイヤを腐食及び摩耗から保護する。いくつかの実施形態において、基板は圧縮可能である。
【0028】
いくつかの実施形態において、銀ナノワイヤのワイヤの長さは、約10μm~約300μmの範囲である。いくつかの実施形態において、銀ナノワイヤのワイヤの直径(又はワイヤの幅)は、約500nm未満である。いくつかの実施形態において、銀ナノワイヤのアスペクト比(すなわち、ワイヤの長さのワイヤの直径に対する比)は、10超である。いくつかの実施形態では、銀ナノワイヤは、銀で被覆された他の導電性金属ナノワイヤ又は非導電性ナノワイヤなどの変形形態とすることができる。銀ナノワイヤ電極層を形成するための銀ナノワイヤの使用は、ITOと比較して低価格、単純なプロセス、良好な可撓性、屈曲に対する耐性などの利点を有する。
【0029】
可撓性力感知複合層153が可撓性の条件を満たすようにするために、可撓性力感知複合層153における機能性スペーサ層153bは、可撓性電極層153a上に形成された可撓性コーティングであってもよい。いくつかの実施形態において、
図3Aに示すように、機能性スペーサ層153bは、低濃度銀ナノワイヤがドープされた基板層である。具体的には、機能性スペーサ層153bは、基板層と、その中にドープされた低濃度銀ナノワイヤとを含むため、機能性スペーサ層153bの第2の抵抗率は、可撓性電極層153aの第1の抵抗率よりも大きい。いくつかの実施形態において、機能性スペーサ層153bの基板は、可撓性電極層153aの基板と同一であるが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0030】
図3Bを参照する。
図3Bは、押圧された
図2の可撓性力感知複合層153の部分拡大図である。
図3A、3Bに示すように、可撓性電極層153aが銀ナノワイヤからなるため、可撓性カバープレート110側からの外部押圧力が力感知モジュール150に伝達されると、その力によって可撓性電極層153aが圧縮され、内部の銀ナノワイヤが機能性スペーサ層153bに接近して通過する。接触点の数が増加すると、可撓性力感知複合層153の全体的な導電性が改善される(すなわち、抵抗率が減少する)。したがって、可撓性電極151と金属薄板160との間の電気信号によって抵抗率の変化が検出された後、圧力感知チップは、外部押圧力の値を算出することができる。例えば、外部押圧力が大きい場合、可撓性力感知複合層153の抵抗率の変化量がより大きくなる。逆に、外部押圧力が小さい場合、可撓性力感知複合層153の抵抗率の変化量は小さい。したがって、可撓性力感知複合層153の抵抗率の変化によって、外部押圧力の値を算出することができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、可撓性電極層153aの抵抗率は、約1 Ops(Ohm per Square,オーム/スクエア)~約150 Ops(好ましくは60 Ops)の範囲であり、可撓性電極層153aの厚さは、約1nm~約200nm(好ましくは約40nm~約80nm)の範囲である。いくつかの実施形態において、機能性スペーサ層153bの厚さは、約40nm~約1500nm(好ましくは約60nm~約100nm)の範囲である。
【0032】
図2に示すように、本実施形態では、可撓性力感知複合層153は、2つの可撓性電極層153aと2つの機能性スペーサ層153bとを含む。可撓性電極層153aと機能性スペーサ層153bとは交互に積層されている。しかしながら、可撓性電極層153a及び機能性スペーサ層153bの積層形態は、
図2に示すものに限定されない。
【0033】
いくつかの他の実施形態では、力感知モジュール150がその基本機能を達成することを可能にするだけであれば、可撓性力感知複合層153は、一つの可撓性電極層153a及び一つの機能性スペーサ層153bのみを含むこともできる。
【0034】
いくつかの実施形態において、可撓性電極151は、ITO電極層又は銀ナノワイヤを含む電極層とすることができるが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0035】
以上の構成により、力感知モジュール150は、可撓性を有しピエゾ抵抗の直線性が良好な可撓性力感知複合層153(すなわち、低抵抗率を有する銀ナノワイヤ電極層と、高抵抗率を有する機能性スペーサ層153bとが交互に積層されたものを含む)を採用し、可撓性カバープレート110及び有機発光ディスプレイユニット131を含むタッチディスプレイモジュール130と協働するため、電子機器100Aは、可撓性を有する三次元タッチ感知機能を実現できる。また、有機発光ディスプレイユニット131と共に通常使用される金属薄板160を力感知モジュール150の電極の一つとして使用することにより、金属薄板は次の(1)~(4)の機能も有する。(1)パネルの傷付き防止。(2)拡散効果及び平坦化効果の付与。(3)耐干渉(下のマザーボードの信号との干渉を防止する)。(4)力感知モジュール150の接触電極として機能する。
【0036】
いくつかの実施形態において、接着層120a、120b、120cのうち少なくとも1つは、光学透明接着剤(OCA)であるが、本開示はこれに限定されるものではなく、液体OCA(LOCA)又は圧力感知接着剤(PSA)を選択することもできる。
【0037】
いくつかの実施形態において、金属薄板160は銅箔又は鋼板であるが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0038】
図4を参照する。
図4は、回路190を示す概略図であり、可撓性力感知複合層153によって感知された圧力信号を抽出する。
図1及び
図4に示すように、いくつかの実施形態では、可撓性力感知複合層153によって感知された圧力信号を抽出するために、可撓性力感知複合層153の調整可能な抵抗R2を、周辺抵抗R1を含む分圧回路に接続することができ、圧力信号は電圧(Vx)値の変化を検出することによって抽出することができ、よって、圧力信号に従って圧力を決定することができる。
【0039】
図5を参照する。
図5は、可撓性力感知複合層153によって感知された圧力信号を抽出するための回路190Aを示す概略図である。
図1及び
図5に示すように、いくつかの実施形態では、可撓性力感知複合層153によって感知された圧力信号を抽出するために、可撓性力感知複合層153の調整可能な抵抗R2を、周辺抵抗R1、R3、R4を含むホイートストーン回路に接続することもでき、圧力信号は、電圧(Vx)値の変化を検出することによって抽出することができ、よって、圧力信号に従って圧力を決定することができる。
【0040】
図1に示すいくつかの実施形態において、力感知モジュール150は、コーティングプロセスによって金属薄板160上に直接製造されることに注目すべきであるが、本開示はこれに限定されるものではない。
図6を参照する。
図6は、本開示の一実施形態による電子機器100Bの概略図である。
【0041】
図6に示すように、電子機器100Bは、可撓性カバープレート110、接着層120a、120b、タッチディスプレイモジュール130、偏光素子140、力感知モジュール150、及び金属薄板160を含む。したがって、これらの構成要素の相対的な位置及び機能の説明は上記で参照することができ、ここでは繰り返さない。
図1に示す実施形態と比較して、本実施形態の電子機器100Bは、導電性接着剤170及び可撓性キャリア基板180をさらに含む。可撓性キャリア基板180は、可撓性電極151とタッチディスプレイモジュール130との間に配置される。導電性接着剤170は、金属薄板160と可撓性力感知複合層153との間に配置される。
【0042】
具体的には、電子機器100Bを製造する際には、まず、コーティングプロセスにより、力感知モジュール150を可撓性キャリア基板180上に製造し、その後、力感知モジュール150を導電性接着剤170を介して金属薄板160に接着する。このように、導電性接着剤170及び可撓性キャリア基板180を用いることにより、本実施形態の電子機器100Bは、製造工程の自由度を高めることができることが分かる。
【0043】
いくつかの実施形態において、可撓性キャリア基板180の材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PI又はシクロオレフィンポリマー(COP)を含むが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0044】
いくつかの実施形態において、
図1に示すように、力感知モジュール150の可撓性電極151は、一体構造であり、一本の指の検出機能を提供することができるが、本開示はこれに限定されるものではないことに留意されたい。
図7を参照する。
図7は、本開示の一実施形態による電子機器100Cの概略図である。
【0045】
図7に示すように、電子機器100Cも、可撓性カバープレート110、接着層120a、120b、タッチディスプレイモジュール130、偏光素子140、及び金属薄板160を含む。したがって、これらの構成要素の相対的な位置及び機能の説明は上記で参照することができ、ここでは繰り返さない。
図1に示す実施形態と比較して、本実施形態の電子機器100Cは、力感知モジュール150が変更される。
【0046】
具体的には、力感知モジュール150′の可撓性電極151′は、複数の電極ブロック151a1、151a2を含む。電極ブロック151a1、151a2は互いに離間している。製造中に、
図1に示す可撓性電極151をパターン化して、
図7の複数の電極ブロック151a1、151a2を含む可撓性電極151′を得ることができる。電極ブロック151a1、151a2を互いに離間させることで、力感知モジュール150′はマルチフィンガー検出を達成することができる。
【0047】
図8を参照する。
図8は、本開示の一実施形態による電子機器100Dの概略図である。
図8に示すように、電子機器100Dは、可撓性カバープレート110、接着層120a、120b、タッチディスプレイモジュール130、偏光素子140、力感知モジュール150′、及び金属薄板160を含む。したがって、これらの構成要素の相対的な位置及び機能の説明は上記で参照することができ、ここでは繰り返さない。
図7に示す実施形態と比較して、本実施形態の電子機器100Dは、導電性接着剤170及び可撓性キャリア基板180をさらに含む。可撓性キャリア基板180は、可撓性電極151′とタッチディスプレイモジュール130との間に配置される。導電性接着剤170は、金属薄板160と可撓性力感知複合層153との間に配置される。
【0048】
具体的には、電子機器100Dを製造する際には、まず、コーティングプロセスにより、力感知モジュール150′を可撓性キャリア基板180上に製造し、その後、力感知モジュール150′を導電性接着剤170を介して金属薄板160に接着する。このように、導電性接着剤170及び可撓性キャリア基板180を用いることにより、本実施形態の電子機器100Dは、製造工程の自由度を高めることができることが分かる。
【0049】
いくつかの実施形態では、
図1、6~8に示すように、タッチディスプレイモジュール130は、アウトセル型のタッチディスプレイモジュールであるが、本開示はこれに限定されるものではないことに留意されたい。
【0050】
図9~12を参照する。
図9は、本開示の一実施形態による電子機器100Eの概略図である。
図10は、本開示の一実施形態による電子機器100Fの概略図である。
図11は、本開示の一実施形態による電子機器100Gの概略図である。
図12は、本開示の一実施形態による電子機器100Hの概略図である。
図9~12に示す電子機器100E、100F、100G、100Hは、
図1、6~8にそれぞれ示す電子機器100A、100B、100C、100Dに基づいて変更される。具体的には、
図9~12に示す電子機器100E、100F、100G、100Hは、
図1、6~8中のアウトセル型タッチディスプレイモジュール130をオンセル型タッチディスプレイモジュール130′にそれぞれ置き換えたものである。アウトセル型タッチディスプレイモジュール130と比較して、オンセル型タッチディスプレイモジュール130′では接着層120cが除去される。すなわち、オンセル型タッチディスプレイモジュール130′は、タッチ感知層132はコーティングプロセスによって有機発光ディスプレイユニット131上に直接製造される。
【0051】
本開示の実施形態の上述の記載によれば、本開示の電子機器において、力感知モジュールは、可撓性を有しピエゾ抵抗直線性が良好な可撓性力感知複合層(すなわち、低抵抗率を有する銀ナノワイヤ電極層と、高抵抗率を有する機能性スペーサ層とが交互に積層されたものを含む)を採用し、可撓性カバープレート及び有機発光ディスプレイユニットを含むタッチディスプレイモジュールと協働することにより、可撓性を有する三次元タッチ感知機能を実現できることが分かる。本開示は、有機発光ディスプレイユニットと共に通常使用される金属薄板を力感知モジュールの電極の一つとしてさらに使用する。したがって、金属薄板は次の(1)~(4)の機能も有する。(1)パネルの傷付き防止。(2)拡散効果および平坦化効果の付与。(3)耐干渉(下のマザーボードの信号との干渉を防止する)。(4)力感知モジュールの接触電極として機能する。
【0052】
本開示は、その特定の実施形態を参照してかなり詳細に説明されてきたが、他の実施形態も可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるべきではない。
【0053】
本開示の範囲又は精神から逸脱することなく、本開示の構造に対して様々な変更及び変形を行うことができることは、当業者には明白であろう。以上のことを考慮して、本開示は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある限り、本開示の変更及び変形をカバーすることを意図している。
【0054】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2020年6月18日に出願された中国特許出願第202010559086.7号の優先権を主張する。
【符号の説明】
【0055】
100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G、100H 電子機器
110 可撓性カバープレート
120a、120b、120c 接着層
130 タッチディスプレイモジュール
131 有機発光ディスプレイユニット
132 タッチ感知層
140 偏光素子
150 力感知モジュール
151 可撓性電極
150a1、150a2 電極ブロック
153 可撓性力感知複合層
153a 可撓性電極層
153b 機能性スペーサ層
160 金属薄板
170 導電性接着剤
180 可撓性キャリア基板
190、190A 回路