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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】硫黄および硫酸の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 17/04 20060101AFI20220316BHJP
【FI】
C01B17/04 V
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2020526278
(86)(22)【出願日】2018-11-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2018082753
(87)【国際公開番号】W WO2019105956
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-04-19
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2017/080721
(32)【優先日】2017-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PA201800244
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】ハルドール・トプサー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ルゲ・マス
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/152919(WO,A1)
【文献】特開昭51-024574(JP,A)
【文献】特開昭62-065909(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0244064(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0220402(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0031468(US,A1)
【文献】特表2014-512264(JP,A)
【文献】特表平05-508615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 17/00 - 17/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
30vol%~100vol%のHSおよび硫酸のリサイクルされたストリームを含む供給原料ガスから硫黄を製造する方法であって、以下の段階を含む
a.前記供給原料ガス、ある量のリサイクルされた硫酸、ある量の酸素、および任意選択である量の燃料を含むクラウス反応炉供給ストリームを提供し、ここで酸素の量は準化学量論的であり、
b.前記クラウス反応炉供給ストリームを、高温で作動するクラウス反応炉に導き、クラウス変換器供給ガスを提供し、
c.前記クラウス変換器供給ガスを冷却して、冷却されたクラウス変換器供給ガスおよび任意にある量の元素硫黄を提供し、
d.前記冷却されたクラウス変換器供給ガスをクラウス反応において触媒的に活性な材料と接触するように導き、
e.クラウス反応において触媒的に活性な前記材料からの流出物を任意に冷却することにより、クラウステールガスおよび元素硫黄を回収し、
f.前記クラウステールガス、酸素および供給原料ガスとしての燃料を含むストリームを、900℃を超える温度で作動するクラウステールガス酸化のための手段、および/またはSO変換器供給ガスを提供する酸化のための触媒手段に導き、
g.前記SO変換供給ガスをSOへのSO酸化において触媒的に活性な材料と接触するように導き、SOリッチガスを提供し、
h.硫酸中のSOの吸収により、またはSOの水和、硫酸の冷却および濃縮により、前記SOリッチガスを濃硫酸およびSO枯渇ガスに変換し、
ここで、前記硫酸のリサイクルストリームが、ある量の前記濃硫酸を含み、前記濃硫酸は、90%w/w~98.5%w/wのHSOを含み、
硫酸のリサイクルされたストリーム中の硫黄の量が、工程から回収される元素硫黄の総量の1質量%より大きく、かつ、25質量%未満である、前記方法。
【請求項2】
前記クラウス反応炉供給ストリームが、0.1質量%未満の非元素窒素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記クラウス反応炉供給ストリームが、50vol%未満のNを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記クラウステールガスのHS:SO比が2未満である、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記クラウステールガスのHS:SO比が2より大きい、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項6】
クラウステールガス酸化のための前記手段に、ある量のさらなる供給原料ガスを導く段階をさらに含む、請求項1、2、3、4、または5に記載の方法。
【請求項7】
前記さらなる供給原料ガスが、5vol%を超える非元素窒素を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記さらなる供給原料ガス中の硫黄の量が、工程から回収される総元素硫黄量の少なくとも1質量%である、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
クラウス反応において触媒活性を有する前記材料が活性化アルミニウム(III)またはチタン(IV)酸化物を含む、請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記載の方法。
【請求項10】
硫酸のリサイクルされたストリーム中の硫黄の量が、工程から回収される元素硫黄の総量の5質量%より大きい、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9に記載の方法。
【請求項11】
圧縮空気、Nまたは蒸気によって作動される2つの流体ノズルを用いて、または油圧ノズルを用いて、硫酸のリサイクルされたストリームが前記クラウス反応炉内で噴霧され、ここで、クラウス反応炉内の滞留時間が1.5秒~4秒である、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10に記載の方法。
【請求項12】
クラウス反応炉に導かれる組合せストリームのモル比HS:Oが2.5より大きい、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11に記載の方法。
【請求項13】
供給原料中の他の酸素消費種について補正され、かつクラウステールガス中の不完全酸化の生成物について補正されたクラウス反応炉に導かれた組合せストリームのモル比HS:Oが、2.1より大きい、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記クラウス反応炉に導かれた1以上のストリームが、熱プロセスストリームとの熱交換によって予熱される、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13に記載の方法。
【請求項15】
クラウステールガス酸化のための前記手段に導かれた1以上のストリームが、熱プロセスストリームとの熱交換によって予熱される、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14に記載の方法。
【請求項16】
SOへのSO酸化において触媒活性を有する前記材料がバナジウムを含む、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15に記載の方法。
【請求項17】
段階(h)に従う硫酸の濃縮を冷却媒体とSOに富むガスをガラスで分離する濃縮器中で行う、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または16に記載の方法。
【請求項18】
クラウス反応炉にサポート燃料を添加することなく、クラウス反応炉内の温度が800℃~1500℃であるように、リサイクルされた硫酸の量が選択される、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16または17に記載の方法。
【請求項19】
硫酸のリサイクルされたストリーム中の硫黄の量が、工程から回収される元素硫黄の総量の1質量%より大きく、かつ、25質量%未満である、30vol%~100vol%のH Sおよび硫酸のリサイクルされたストリームを含む供給原料ガスから硫黄を製造する方法のための、
クラウス反応炉、クラウスガス冷却手段、クラウス変換部、クラウステールガス酸化のための手段および硫酸部を備える加工プラントにおいて、
ここで、前記クラウス反応炉は入口および出口、並びに、クラウス反応炉に硫酸を液滴として加えるように構成されている1つまたは複数の噴霧ノズルを有し、
前記クラウスガス冷却手段はガス入口、ガス出口および元素硫黄出口を有し、
前記クラウス変換部はガス入口、ガス出口および元素硫黄出口を有し、
前記クラウステールガス酸化のための手段が、クラウステールガス入口、クラウステールガス酸化剤入口、任意の燃料入口、および、任意に、さらなる供給原料入口および出口を有し、
前記硫酸部はガス入口、ガス出口および硫酸出口を有し、
ここで、
前記クラウス反応炉の入口は、供給原料ガス、硫酸およびクラウス反応炉酸化剤を受け入れるように構成されており、前記クラウス反応炉の出口が、クラウスガス冷却手段の入口と流体連結しているように構成されており、
ここで、クラウスガス冷却手段の前記出口は、クラウス変換部の入口と流体連結するように構成され、
ここで、クラウステールガス酸化のための手段のクラウステールガス入口は、前記クラウス変換部ガス出口の出口と流体連結するように構成され、クラウステールガス酸化のための手段の前記プロセスガス出口は、硫酸部の入口と流体連結するように構成される加工プラントであって、
そして、前記硫酸部の硫酸出口が、前記クラウス反応炉の入口と流体連結するように構成される、前記加工プラント。
【請求項20】
前記硫酸部が、入口および出口を有する二酸化硫黄酸化反応器と、プロセスガス入口、プロセスガス出口および硫酸出口を有するプロセス側と、冷却媒体入口および冷却媒体出口を有する冷却媒体側とを有する硫酸濃縮器を有し、
ここで、前記硫酸濃縮器は、クラウス反応炉酸化剤およびクラウステールガス酸化剤の少なくとも一つが、前記硫酸濃縮器の前記冷却媒体側の入口に導かれかつ前記硫酸濃縮器の前記冷却媒体側の出口から回収されることによって予熱されるように構成される、請求項19に記載の加工プラント。
【請求項21】
高温熱交換器側および低温熱交換器側を有する少なくとも1つの熱交換器をさらに備え、前記クラウス反応炉に導かれる前に、低温熱交換器側が前記供給原料ガス、硫酸および酸化剤の一つを予熱するように構成され、高温熱交換器側が熱プロセスストリームを冷却するように構成されている、請求項19または20に記載の加工プラント。
【請求項22】
前記熱プロセスストリームが、クラウステールガス酸化のための手段のための手段からの出口のストリーム、クラウス反応炉からの出口のストリーム、および二酸化硫黄酸化反応器からの出口のストリームからなる群から取られる、請求項21に記載の加工プラント。
【請求項23】
前記クラウス反応炉が、クラウス反応炉に硫酸を液滴として加えるように構成されている1つまたは複数の噴霧ノズルを含む、請求項19、20、21または22に記載の加工プラント。
【請求項24】
入口および出口を有するSO還元手段をさらに備え、SO還元手段の入口がクラウス反応炉の出口と流体連結するように構成され、SO還元手段の出口がクラウス変換部の入口と流体連結するように構成されている請求項19、20、21、22または23に記載の加工プラント。
【請求項25】
前記1つまたは複数の噴霧ノズルが流体噴霧ノズルまたは油圧噴霧ノズルである、請求項19に記載の加工プラント。
【請求項26】
段階bにおいて、前記クラウス反応炉供給ストリームを、900℃超の温度で作動するクラウス反応炉に導く、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切には元素硫黄と硫酸の間の調整可能な比率を有する、HSを元素硫黄および硫酸に変換する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Sは、精製流の水素化脱硫やビスコースの製造など、多くの工程で一般的な副生成物である。HSは毒性が強く、悪臭があり、環境負荷が大きいため、大気への排出に先立ってHSを変換することが望ましい。
【0003】
精製工程は、よく知られた高濃度HSガスを生成することに加えて、多くの場合、HS、HOおよびNHをほぼ等量で含むいわゆる水ストリッパーガスを生成することもある。
【0004】
特に精製所では、HS緩和のために選択された工程は、80年以上にわたって知られ、最適化されたクラウス法であった。クラウス法は、クラウス反応炉でSOを生成するHSの準化学量論的燃焼により進行し、クラウス変換器供給ガスを供給する。次のクラウスプロセス(クラウス工程)でHSとSOは元素硫黄に変換され、濃縮し回収することができる。
【0005】
典型的には、クラウスプロセスの除去効率は95%~98%であり、環境適合性には不十分である。したがって、クラウスプロセス後にテールガス処理を行い、99%以上の硫黄除去を行うことが一般的な方法である。テールガス処理は硫酸工場であることが多く、硫酸の取扱いが要求されている。
【0006】
ここでは、硫酸はクラウス反応炉にリサイクルされ、そこで硫黄の生成に寄与する可能性があることが確認されており、加えてクラウスプロセスサイズおよび操作コストの最適化の機会を提供する。
【0007】
WO2012/152919A1においては、クラウステールガス中のHSのHSOへの転換が記載されており、クラウステールガスの処理のための硫酸プロセスが提示されている。工程の段階は、以下のとおりである:
1、準化学量論(化学量論以下)の酸化
2、クラウス変換
3、400~700℃での酸素リッチ大気中のクラウステールガス中の還元型硫黄種(HS)の酸化
4、SOのSOへの接触酸化
5、HSOの濃縮
【0008】
SO生成物は必ずしも望ましいとは限らないことが認識されており、上述したように、硫酸を上流のクラウス反応炉またはHS参加工程にリサイクルすることが提案されている。しかしながら、硫酸のリサイクルは、単に硫酸の緩和と考えられるだけであり、WSA(登録商標)またはクラウスプロセスにおけるHSOのリサイクルの結果は評価されていない。すなわち、HSOのリサイクルは、クラウス反応炉に向けたOの減少を必要とし、また、クラウスプロセスおよび硫酸処理に有益な影響をもたらすことは認識されていない。これは特に、高濃度硫酸が硫酸工場からリサイクルされる場合に顕著である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】WO2012/152919A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
WO2012/152919A1では、硫酸プロセスでのHS酸化のためのサポート燃料として原料ガスを使用することの有益な効果を実現することなく、クラウス反応炉とHS酸化段階の両方でサポート燃料が必要となる可能性があることも認識されている。
【0011】
したがって、クラウス反応炉にHSOをリサイクルするという提案は、それ自身が作業工程を提供するものではなく、追加の工程修正を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、クラウス法を硫酸法と組み合わせることにより、HSを効率よく元素硫黄に変換する方法を提示する。さらに、2つの過程を最適に組み合わせる相乗効果が実現される。この方法に従い、クラウステールガスを処理する硫酸プロセスで生成された硫酸は、分解と元素硫黄製造のためにクラウス反応炉にリサイクルされる。
【0013】
本出願では、供給ガス中のN、H、C、SおよびOに由来する生成物がN、HO、COおよびSOであると仮定して、酸素の準化学量論的な量を定めなければならない。化学量論よりも少ない酸素(準化学量論とも呼ばれる)、これは全ての供給成分が完全に酸化されるわけではないことを意味する。クラウス反応炉ガス供給については、準化学量論的燃焼/反応後のプロセスガスが、供給ストリームからの非変換HS、NHおよび炭化水素、ならびにO欠乏環境で形成されるH、CO、COS、SOおよびCSを含むことを意味する。
【0014】
本出願の目的において、燃料は、Oで酸化されると、反応生成物としてN、HO、COおよびSOを形成し、反応によってかなりの量のエネルギーを放出する組成物として定義されるものとする。炭化水素(例えば、天然ガス、CHおよびCを有する)とHSとの混合物が典型的な燃料ガスであるが、燃料ガスはまた、CO、NHおよびHを含むこともできる。
【0015】
本願の目的のために、酸素(O)は、空気、濃縮空気、純酸素などのOを含むストリームとして理解されるが、Oを含むプロセスガスであってもよい。
【0016】
本出願の目的のために、HSおよびSO以外の種への酸化で補正されたHSおよびOのクラウス化学量論量は、クラウスプロセス化学量論を仮定した理論的なO要求量と、部分的に酸化された生成物(HSおよびSO以外の)による未充足のO消費量から計算されるものとする。
【0017】
本願では、単位、質量%は質量/質量%を、単位vol%は体積/体積%を示す。
【0018】
本願の目的において、気相中の濃度を示す場合、別に規定する場合を除き、体積/体積濃度として示す。
【0019】
入口の硫黄種は、正味のクラウス反応に従って酸化され、平均してS原子1個につき1個のO原子を消費すると仮定する。窒素原子は酸素を消費しないと仮定した。炭化水素種は、C原子1個につき2個のO原子とH原子1個につき1/2個のO原子を消費すると仮定した:
【数1】
【0020】
COやSOへのCOS+3/2Oなど、理論上の最終生成物を完全に酸化するために必要な酸素消費量に従い、酸化が不完全であるため酸素消費量を補正する。ここに示した不完全酸化の生成物は単なる例であり、完全なリストとはみなされない。
【数2】
【0021】
クラウスプロセスにおける補正酸素消費量は、実際には、加工プラントのクラウス部からの、および加工プラントのクラウスセクションへのストリームの容積および組成の分析から、他のストリームの容積および組成と組み合わせて、評価することができる。
【0022】
広い実施形態においては、本発明は、30vol%、40vol%または50vol%~99vol%または100vol%のHSおよび硫酸のリサイクルされたストリームを含む供給原料ガスから硫黄を製造する方法であって、以下の段階を含む
a.前記供給原料ガス、ある量のリサイクルされた硫酸、ある量の酸素、および任意選択である量の燃料を含むクラウス反応炉供給ストリームを提供し、ここで酸素の量は準化学量論的であり、
b.前記クラウス反応炉供給ストリームを、900℃を超えるような高温で作動するクラウス反応炉に導き、クラウス変換器供給ガス(クラウスコンバータ供給ガス)を提供し、
c.前記クラウス変換器供給ガスを冷却して、冷却されたクラウス変換器供給ガスおよび任意にある量の元素硫黄を提供し、
d.前記冷却されたクラウス変換器供給ガスをクラウス反応において触媒的に活性な材料と接触するように導き、
e.クラウス反応において触媒的に活性な前記材料からの流出物を任意に冷却することにより、クラウステールガスおよび元素硫黄を回収し、
f.前記クラウステールガス、酸素および供給原料ガスとしての燃料を含むストリームを、900℃を超える温度で作動するクラウステールガス酸化のための手段、および/またはSO変換供給ガスを提供する酸化のための触媒手段に導き、
g.前記SO変換供給ガスをSOへのSO酸化において触媒的に活性な材料と接触するように導き、SOリッチガスを提供し、
h.硫酸中のSOの吸収により、またはSOの水和、硫酸の冷却および濃縮により、前記SOリッチガスを濃硫酸およびSO枯渇ガスに変換し、
ここで、前記硫酸のリサイクルストリームが、ある量の前記濃硫酸を含み、前記濃硫酸は、90%w/w~98%w/wまたは98.5%w/wのHSOを含み、このような方法の関連する利点は、高転化率および熱効率を有し、硫酸の望ましくない生成を回避することである。クラウス反応炉と900℃以上で操作するクラウステールガス酸化手段の使用は、存在する成分の完全な転換を確実にする効果があり、これは、任意に、供給原料ガスに加えて燃料の存在を必要とすることがある。また、クラウス反応炉では均一なクラウス反応が起こり、クラウス変換の供給ガスを冷却すると硫黄が回収される可能性がある。クラウステールガス酸化のための手段に供給されるストリームは、典型的には、クラウステールガスからの燃料としてのHSおよび/またはHS、炭化水素または他の燃料を含む別のストリームを含むことができる。前記加工段階に加えて、加工は、温度を変化させるための熱交換(または他の方法で、プロセスストリームを調整する)などのさらなる段階を含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
さらなる実施形態においては、クラウス反応炉供給ストリームは、NHのような0.1質量%未満の非元素窒素を含み、クラウス濃縮器を目詰まりさせる可能性のあるアンモニア塩の生成を回避することに関連する利点がある。
【0024】
さらなる実施形態においては、クラウス反応炉の供給ストリームは、50vol%未満、20vol%未満、10vol%未満、または1vol%未満のNを含み、クラウス反応炉内で高温を伴う工程を提供する利点と、Nの存在が減少することによりプロセスガス量が減少する。これは、純Oまたは酸素リッチ空気を酸素源として用いることによって達成できる。
【0025】
代替プロセスでは、段階dおよびeは2~5回連続して実施され、これに関連して、複数のクラウスプロセス段階が実施されるプロセスにおいて、平衡を生成物側に移動させることにより、硫黄が回収される場合に、より高い変換を可能にする利点がある。
【0026】
代替プロセスにおいて、工程gは、380℃~450℃の間の温度で、中間冷却を伴い、連続して2~5回実施され、そして、典型的には工程g~hの間でも冷却を伴う。これに関連して発熱プロセスの平衡を生成物に向けて移動させる利点があり、それにより、複数のSO酸化ベッドが最適温度で作動している場合に、工程においてより高い転換を可能にする。
【0027】
さらなる実施形態においては、前記クラウステールガスのHS:SO比率は、2を超え、好ましくは2.5または5~10または20であり、このような供給ガスがクラウステールガスを含むHSをクラウステールガス酸化のための方法に提供するという関連する利点を伴う。このような供給ガスは、増加した量のHSを含むため、HSの酸化がわずかな量のエネルギーを放出するのに対し、SOはクラウステールガス酸化のための手段ではエネルギーを放出しないため、燃料ガスの添加の必要性を最小限に抑えることができる。テールガスのこのような組成は、クラウス変換器供給ガスのHS:SOの比率が2:1をわずかに上回る場合に得ることができる。
【0028】
さらなる実施形態においては、前記クラウステールガスのHS:SO比は、2未満、好ましくは0.05または0.1~1または1.8であり、実質的にHS不含のクラウステールガスを有することに関連する利点がある。下流の硫酸プラントでは、そのような実質的にHSを含まないクラウステールガスは、SOがSO変換触媒なしでは酸化されないので利点となり、したがって、触媒HS酸化(HSを含む供給原料ガスの制御されたバイパスにより制御される)と触媒HS酸化の周りのプロセスガスリサイクルの組み合わせでクラウステールガスを予熱することが可能となり、そのような触媒HS酸化触媒全体の温度上昇を密接に制御することができる。クラウステールガス中の未知のおよび/または変動するHS濃度によって、HS酸化触媒を過熱させる危険性が高い。テールガスのこのような組成は、クラウス変換器供給ガスのHS:SO比がわずかに2:1未満であれば、得ることができる。
【0029】
さらなる実施態様において、前記プロセスは、さらに、前記手段に追加の供給原料ガスを導く段階を含み、付加的な硫黄および燃料を硫酸プロセスに提供するといる利点を有する。さらなる供給原料ガスは、硫酸プロセスにおける処理の前に焼却され得る不純物、および/または硫化水素および他の燃料を含み得、それは硫酸生成およびクラウステールガス酸化のための手段における燃焼に寄与し得る。さらなる供給原料ガスが高量の不活性ガスまたは硫黄不含の燃料を含む場合、このプロセスはまた、非寄与流によるクラウス変換器サイズの増加を回避する利点を有する。さらなる供給原料ガスは、供給原料ガスと同じ供給源に由来する場合もあれば、異なる供給源に由来する場合もある。
【0030】
さらなる実施形態においては、前記さらなる供給原料ガスは、5vol%を超える非元素窒素、例えばNHを含み、これにより、非元素窒素成分がクラウス反応炉の化学量論以下の大気中で酸化することが困難であろう工程をクラウステールガス酸化のための手段に向けることを可能にするという利点がある。このような工程は、さらなる供給原料ガスがHS、NHおよびHOを含む酸性水ストリッパー(サワーウオーターストリッパー、SWS)ガスである場合に特に利点があり、そのうちクラウスプロセスではHSのみが望まれるが、NHはアンモニア塩による目詰まりの可能性のためにクラウスプロセスで問題がある。その代わりに、NHを扱うことがよく知られている硫酸工場にこのようなSWSガスを向けることもある。
【0031】
さらなる実施形態においては、さらなる供給原料ガス中の硫黄の量は、工程から引き出された元素硫黄の総量の少なくとも1質量%、少なくとも2質量%または少なくとも5質量%であり、このような供給原料ガスにより、熱エネルギーを提供することができ、同時に硫黄緩和にも寄与するという利益が得られる。
【0032】
さらなる実施形態において、クラウス反応において触媒的に活性な材料は、活性化された酸化アルミニウム(III)または酸化チタン(IV)を含み、このような材料により、元素硫黄の製造のための効率的な方法を提供することができる。
【0033】
さらなる実施態様において、段階(d)は、200mbarg~700mbargの圧力、200℃~350℃の温度、および800Nm/h/m~3000Nm/h/mの空間速度下で実施され、これにより元素硫黄の製造に効率的であるという利益が得られる。
【0034】
さらなる実施態様において、段階(d)は100℃~150℃の温度で実施され、段階(e)は、液相または気相中の濃縮された基本硫黄の回収を可能にするためにクラウス反応において触媒活性を有する前記材料を定期的に加熱する工程を含み、当該低温とすることで、SOおよびHSの元素硫黄への非常に高い変換を達成するために有益であり、両者は低温のためであるが、反応生成物が除去されるためにも、高変換のための更に良好な条件を提供する。
【0035】
さらなる実施形態においては、触媒活性を有する前記材料は、SOからSOへの転換において触媒活性を有し、このような材料により、硫酸の効率的な製造方法を提供することできる利益が得られる。
【0036】
さらに別の実施形態においては、前記段階(h)は、50mbarg~200mbargの圧力、380℃~520℃の温度、および触媒床当たり800Nm/h/m~1500Nm/h/mの空間速度で実施され、このような条件とすることで、SOを酸化してSOを形成するのに効率的であるという利益が得られる。
【0037】
さらなる実施態様において、硫酸のリサイクルされたストリーム中の硫黄の量は、工程から引き出された元素硫黄の総量の1質量%より高く、3質量%より高く、または5質量%より高く、かつ17質量%未満、21質量%未満または25質量%未満である。下限を超えるリサイクルは、プロセスガス量の減少効果をもたらす利点がある一方、リサイクルが上限未満であることは、クラウス反応炉に追加の燃料を加えなければならない状況、余分なプロセス量と操作コストをもたらすことを回避する。特に、クラウス反応炉への酸素源が酸素リッチな空気である場合、リサイクル硫酸と元素硫黄の回収率が高く、例えば、10%より高いという利益が得られる。
【0038】
さらなる実施態様において、硫酸のリサイクルストリーム中の硫酸は、圧縮空気、Nまたは蒸気によって作動される2つのストリームノズルを用いて、または油圧ノズルを用いて、前記クラウス反応炉内で噴霧され、かつ、クラウス反応炉内の滞留時間は、1.5秒~4秒であり、このようなノズルは、小さな液滴に噴霧を提供し、このような滞留時間は、硫酸滴の完全な蒸発に充分である。
【0039】
さらに別の実施形態においては、クラウス反応炉に向けられた組合せストリームのモル比HS:Oは少なくとも2.5であるが、そのような低酸素供給に関連する利点は、HSOの熱解離からの寄与し、HSのSOへの準化学量論的な部分変換を可能にし、それによりクラウス変換器供給ガス中の所望のHS:SO比2.0を得るために残りの酸素を提供する。
【0040】
さらに別の実施形態においては、供給原料中の他の酸素消費種について補正され、クラウステールガス中の不完全酸化の生成物について補正されたクラウス反応炉に向けられた組合せストリームのモル比HS:Oは、2.1より大きく、2.2より大きく、または2.5より大きく、プロセスに向けられた分子酸素が減少し、これにより、硫酸から供給される残りの必要酸素原子に関し利益が得られ、工程に導かれる分子酸素を減少させることができ、従って、大気からの酸素の完全な供給と比較して、プロセスガスストリームの低下に関連しより少ない不活性窒素とすることができる。
【0041】
さらなる実施形態においては、工程中のガスのある量は任意に冷却され、工程温度を制御するための上流位置に導かれ、それに伴って、高発熱の工程温度の能動的制御を可能にする利点がある。ガスが既に上流位置の温度より低い温度になっている場合は、冷却が不要な場合がある。
【0042】
さらなる実施形態においては、前記クラウス反応炉に向けられた1以上のストリームは、熱プロセスストリームとの熱交換によって予熱され、これにより、硫酸の蒸発および供給原料の転換のための所望の温度を達成するためのサポート燃料の必要条件を最小化または回避するという利点がある。
【0043】
さらなる実施形態においては、クラウステールガス酸化のための前記手段に向けられた1以上のストリームは、熱プロセスストリームとの熱交換によって予熱され、これにより、燃焼およびその後のSOの酸化のための所望の温度を達成するためのサポート燃料の必要性を最小化または回避するという利点がある。
【0044】
さらなる実施形態においては、SOへのSO酸化において触媒活性を有する材料はバナジウムを含み、SOの酸化に対して高活性を有するという利点がある。
【0045】
さらなる実施形態においては、段階(h)における硫酸の濃縮は、冷却媒体とSOに富むガスがガラスによって分離される濃縮器で行われ、硫酸の濃縮は、腐食に対して頑健な装置で行われるという利点を有する。このガラスは、具体的にはホウケイ酸ガラスであってもよい。このガラスは、冷却媒体を包む水平のガラス管の形態であっても、SOに富むガスおよび凝縮した硫酸を包む垂直のガラス管の形態であってもよい。冷却媒体は、高温で作動する工程を意図したプロセスガスであってよく、したがって、クラウステールガスがクラウステールガス酸化手段に導かれるか、または酸化剤がクラウス炉またはクラウステールガス酸化手段の一方または両方に導かれるような、予熱されたプロセスガスを受けることから利益を得ることができる。
【0046】
さらなる実施形態においては、SOをSOまたはHSに酸化する触媒活性材料の元素硫黄および/または前記触媒活性材料の1つから回収された少なくとも1つの生成物は、ベッド間熱交換または内部冷却触媒反応器のような熱交換によって冷却される。これにより、層間熱交換または管状または熱板冷却回路を有する沸騰水反応器のような内部冷却触媒反応器によって、高発熱過程の温度の能動的制御を可能にするという利点がある。
【0047】
さらなる実施態様では、クラウス反応炉内の温度が800℃、900℃または1000℃~1300℃、1400℃または1500℃になるように、クラウス反応炉にサポート燃料を加えずにリサイクルされた硫酸の量を選択し、この温度範囲により、材料の過剰なコストを避けるために十分に低く、準化学量論(化学量論以下)の供給原料での原料中の不純物の酸化に十分である。リサイクル硫酸の量は、測定された温度の関数として、または計算された材料と熱収支に基づいてプロセス設計から制御ループで制御することができます。
【0048】
本発明のさらなる態様は、クラウス反応炉、クラウスガス冷却手段、クラウス変換部、クラウステールガス酸化のための手段および硫酸部を備える加工プラントであって、
ここで、前記クラウス反応炉は入口および出口を有し、前記クラウスガス冷却手段はガス入口、ガス出口および元素硫黄出口を有し、前記クラウス変換部はガス入口、ガス出口および任意に元素硫黄出口を有し、
前記クラウステールガス酸化のための手段が、プロセスガス入口、クラウステールガス入口、クラウステールガス酸化剤入口、任意に、さらなる供給原料入口および出口を有し、前記硫酸部はガス入口、ガス出口および硫酸出口を有し、ここで、前記クラウス反応炉の入口は、供給原料ガス、硫酸、燃料およびクラウス反応炉酸化剤を受け入れるように構成されており、前記クラウス反応炉の出口が、クラウスガス冷却手段の入口と流体連結しているように構成されており、ここで、クラウスガス冷却手段の前記出口は、クラウス変換部の入口と流体連結するように構成され、ここで、クラウステールガス酸化のための手段のクラウステールガス入口は、前記クラウス変換部ガス出口の出口と流体連結するように構成され、クラウステールガス酸化のための手段の前記プロセスガス出口は、硫酸部の入口と流体連結するように構成され、さらに、前記硫酸部の硫酸出口が、前記クラウス反応炉の入口と流体連結するように構成されることを特徴とし、このようなプロセスの利点は、硫酸の不要な生成を回避するとともにプロセスガス容積を減少させることにある。
【0049】
さらなる実施形態においては、加工プラントにおいて、前記硫酸部が、入口および出口を有する二酸化硫黄酸化反応器と、プロセスガス入口、プロセスガス出口および硫酸出口を有するプロセス側と冷却媒体入口および冷却媒体出口を有する冷却媒体側を有する硫酸濃縮器を有し、ここで、前記硫酸濃縮器は、クラウス反応炉酸化剤およびクラウステールガス酸化剤の少なくとも一つが、前記硫酸濃縮器の前記冷却媒体側の入口に導かれることによって予熱されるように構成され、前記硫酸濃縮器の前記冷却媒体側の出口から回収されるように任意に構成される。このような加工プラントの利点は、プロセスガスからの硫黄の除去において、エネルギー効率が高く、効率が高いことである。
【0050】
さらなる実施形態においては、加工プラントにおいて、高温熱交換器側および低温熱交換器側を有する少なくとも1つの熱交換器をさらに備え、前記クラウステールガス酸化のための手段に導かれる前に、低温熱交換器側が前記供給原料ガス、硫酸および酸化剤の一つを予熱するように構成され、高温熱交換器側が熱プロセスストリームを冷却するように構成されており、加工プラントのエネルギー効率を向上させるという関連する利点を有する。熱交換器は、ガス/ガス熱交換器タイプのものであってもよいし、蒸気回路を利用したものであってもよいし、別の熱交換媒体を利用したものであってもよい。
【0051】
さらなる実施形態においては、前記熱プロセスストリームが、クラウステールガス酸化のための手段からの出口のストリーム、クラウス反応炉からの出口のストリーム、および二酸化硫黄酸化反応器からの出口のストリームからなる群から取られ、これによりエネルギー効率を提供するという関連した利点がある。
【0052】
さらなる実施形態においては、前記クラウス反応炉が、1つまたは複数の噴霧ノズル、好ましくは2つの流体噴霧ノズルまたは油圧噴霧ノズルを含み、クラウス反応炉に硫酸を液滴として加えるように構成されており、それにより硫酸の液滴は小さく、それにより迅速かつ完全に蒸発するという関連した利点がある。
【0053】
さらなる実施形態においては、加工プラントは、入口および出口を有するSO還元手段をさらに備え、SO還元手段の入口がクラウス反応炉の出口と流体連結するように構成され、SO還元手段の出口がクラウス変換部の入口と流体連結するように構成され、これにより、クラウス変換部における触媒活性材料と接触するように硫酸SOまたはOを向かうことを効率的に回避することができる利点がある。SO還元の手段は、好ましくは触媒活性材料であってよく、例えば、Al、Ti、Si、珪藻土、Zr、Mg、およびコージエライトの1つ以上の化合物上に担持されたV、Mn、Fe、Co、Cu、Zn、Ni、Mo、W、Sb、TiおよびBiの1つ以上の化合物を含む。SO還元の手段は、別々の反応器、別々の反応器床、またはクラウス反応において触媒活性を有する材料の上に触媒活性材料の層として配置されることができる。
【0054】
本発明は、加工プラントで必要な量の硫酸を効果的に製造することができ、または硫酸の製造を回避し、過剰な硫酸を他の部位に輸送され得る元素硫黄に変換することさえできるクラウスと硫酸プロセスの組合せを記載する。
【0055】
元素硫黄に最大限変換するには、HSの1/3をSOに変換する必要がある。
S+1.5O->SO+H
【0056】
SとSOの化学量論比は、クラウス反応炉中の酸素量を制御することによって制御されている。通常、酸素は大気によって供給されるが、Oリッチの空気や純粋なOであってもよい。
【0057】
クラウス反応炉への酸素添加は、また、供給ストリーム中のNH、CO、Hおよび炭化水素の量を考慮しなければならない。
【0058】
クラウス反応炉内の燃焼温度が1100℃未満であると、例えばNHの転換が不完全になることがある。その結果、(NHSOや(NHのようなアンモニア塩を生成する可能性のあるクラウス変換器供給ガスが発生し、クラウス濃縮器を詰まらせる可能性がある。
【0059】
次いで、活性化酸化アルミニウム(III)または酸化チタン(IV)のような触媒活性材料の存在下で、典型的に200℃より高い温度で、次の反応によって部分酸化クラウス変換器供給ガスを元素硫黄に変換する。
2HS+SO->3/8S+2H
【0060】
多くの場合、3~4個のクラウス変換器が連続して作動し、最大に変換することで、クラウスプラントのコストが増大するであろう。
【0061】
クラウスプロセスにおける温度の制御は、触媒変換で形成された元素硫黄がガス状のままであることを保証するために重要であり、所望の工程の場所でのみ濃縮される。クラウス反応は発熱性であり、さらなる制限は、クラウツプロセスが発熱性であるように、低温で動作することが有益であるという事実に関連している。
【0062】
上記のプロセスの代替法は、いわゆるサブ・デューポイント(露点以下)・クラウスプロセスであり、このプロセスでは、材料は触媒活性があり、硫黄元素が気相上にない温度において作動する。このようなサブ・デューポイント・クラウスプロセスは、濃縮した硫黄を奇襲するための適切なスキーム、例えば温度のパルス化(pulsing)や不活性ガスによる元素硫黄のパージングが必要となる。
【0063】
3~4個のクラウスの変換器/濃縮器/再加熱器を直列に使用しても、~98%より高い硫黄回収率に達することは不可能であり、これはほとんどの環境法令に適合するには不十分である。従って、クラウスプラントは、通常、いわゆるクラウステールガスによる解決法を備えており、上記のサブデューポイントプロセスがその一例である。数多くのテールガスプロセスが存在し、さまざまな特徴を有する。非常に高い除去効率を達成するために、これらのクラウステールガスプラントは複雑になり、クラウスプラント自体と同じコストに近づく。
【0064】
生成した元素硫黄は、典型的には、廃棄物流を含むHSを生産するプラントには直接使用されないが、元素硫黄は他の場所に運び、長期間貯蔵するのが容易である。
【0065】
クラウス法の一般的な代替法は、例えば、いわゆる湿式硫酸(WSA(登録商標))法によるHSの硫酸への転化である。製造された硫酸は、プラント内の他の化学プロセスで使用されることがある。また、WSA(登録商標)プロセスは、クラウス加工プラントのテールガス洗浄を構成することができる。同様の乾式硫酸プロセスもこの関連で使用されることがある。
【0066】
硫酸プロセスは、いわゆる湿式硫酸プロセス(WSA(登録商標)プロセス)における気相中の水との反応によって、またはいわゆる接触プロセスまたは乾式プロセスにおける濃硫酸中の吸着によって、HSをSOに、SOをSOに酸化し、続いてSOを硫酸に水和する。SOのSOへの酸化中の反応温度は、典型的にはバナジウムを含む触媒活性材料の存在下で、400~500℃の範囲になるであろう。典型的には、湿式硫酸プロセスは92%~98%の範囲の濃度を有する硫酸を生成するが、乾式硫酸プロセスは98%を超える濃度を有する硫酸を生成することもできる。
【0067】
さらに、発熱性の高い硫酸プロセスから30barg~80bargの範囲で高圧蒸気を採取することも魅力的であろうが、しかし、クラウスプロセスはより低圧で有意に少ない量の蒸気しか供給しないだろう。
【0068】
しかし、硫酸の輸送は複雑で調節されているため、硫酸が商業的に取引されているにもかかわらず、大量の硫酸の生産はそれほど魅力的ではないかもしれない。
【0069】
硫酸プロセス(乾燥と湿潤)で起こる反応は
S+1.5O->SO+H
SO+0.5O->SO
SO+HO->HSO
【0070】
硫酸プロセスの全体的な反応は次のように記載できる。
S+2O->HSO
【0071】
通常のクラウステールガス溶液としてのWSA(登録商標)プロセスは、代替法よりも低コストで環境規制を満たす解決法を提供する。これまでのWSA(登録商標)法の唯一の欠点は、必ずしも望ましくない硫酸生成物であった。新しい発明では、クラウス+WSA(登録商標)の一体型プロセスにより、この欠点を取り除き、同時にクラウスとWSA(登録商標)の両方のプロセスのプラントサイズを縮小させることができる。
【0072】
ここでは、クラウスプロセスと硫酸プロセスの統合(一体化)は、生成された硫酸の全てまたは実質的に全てをクラウス反応炉にリサイクルすることによっても行われる可能性があることが認識されている。硫酸の燃焼は、湿式硫酸工場での使用済み硫酸の再生から知られているが、クラウス反応炉、すなわちクラウスプロセスの燃焼器では実用化されていない。硫酸を高温で燃焼・分解することにより、次のような反応が起こる:
【化1】
【0073】
硫酸は蒸発して>600℃に加熱されるまでは分解されない。液滴蒸発に十分な時間を確保するために、燃焼室の滞留時間を少なくとも2秒以上に設定することが推奨される一方で、気相反応のみを行う通常のクラウス>600℃には通常1秒の滞留時間で設計される。
【0074】
噴霧媒体は、酸素もプロセスガスに供給されるので、好ましくは圧縮空気である。代替案は、圧力ノズルまたは油圧ノズルである。
【0075】
クラウスプロセス下流の硫酸プロセスで生成された硫酸を全てクラウス反応炉に導く場合、HS軽減として、硫酸プラントの熱効率と同様に非常に高い除去効率となるが、生成物が硫黄であり、取り扱いや搬送が簡便であるクラウスプロセスを操業することが可能となる。
【0076】
加えて、硫酸のリサイクルによって、OはHSOの分解によって放出され、その結果、そのような追加された燃焼酸化剤の量が減少し、酸化剤が大気中の空気である場合、大気中の空気は80%近くの不活性Nを含むので、すなわちOの体積あたり4体積のNを構成するので、プロセスの体積を劇的に減少させる利点がある。
【0077】
クラウス反応炉への酸素キャリアとしての空気をベースとする総括的なクラウス反応は以下のとおりである:
4HS+2O+8N→2S+4HO+8N
【0078】
同様に、クラウス反応炉への酸素キャリアとしてHSOをベースとする総合的なクラウス反応は以下のとおりである:
3HS+HSO→2S+4H
【0079】
2つの反応を比較すると、HSOは優れた酸素キャリアであり、大気と比較してクラウステールガス流量を67%減少させる(理論的)可能性があることは明らかである。
【0080】
上記の反応は、100%w/wHSOに基づいており、非常に高いHO濃度(20~35vol%)を有することが特徴であるクラウステールガスから硫酸を製造する場合には、現実的な理由により得られない。HSOは吸湿性であり、気相から水を吸収する。その結果、クラウステールガス硫酸プラントでは、45%w/wといった弱いHSOが発生する可能性がある。45%w/wHSOは1:6.7のHSO:HOモル比に対応し、残りの55%w/wはHOであり、従って、酸素キャリアとしてのHSOとの反応は次のようになる。
3HS+HSO+6.7HO→2S+10.7H
【0081】
硫黄元素に対する不活性プロセスガスの比であるαを、以下のように定義することができる:
【数3】
【0082】
酸素キャリアとして大気を用いた場合、αは6であり、酸素キャリアとして100%w/wのHSOを用いた場合、α値は2である。すなわち、酸素キャリアとしてHSOを用いた場合、不活性なプロセスガス(主にNおよびHO)の生成が有意に少ない。
【0083】
クラウスプラントの熱段階まで45%w/wのHSOでは、α値は5.35となり、大気圧の使用に遠く及ばない値となる。
【0084】
WSA(登録商標)プロセスにおいては、>90%w/wHSOの硫酸濃度は、クラウステールガスに見られるような高HO濃度であっても、専用の硫酸濃縮塔なしで容易に得ることができる。95%w/wHSOでは、α値は2.15になる。つまり、理論上の最小値に近く、45%w/wHSOよりはるかに優れている。
【0085】
クラウスプラントの熱段階に硫酸を加えるもう一つの重要な点は、供給ガス中のCHなどの不純物を確実に分解するために、熱段階には900~1000℃前後の最低温度としてのエネルギー収支が必要であることである。大気を酸素源とするクラウス反応全体は発熱反応であるため、高い操作温度に達するのに寄与する。しかし、硫酸はHSOおよびHOの蒸発にエネルギーを必要とし、クラウス反応そのものは吸熱性であり、熱段階を効果的に冷却する。クラウスプロセスガスを希釈するだけでなく、硫酸中の余分な水も熱段階をさらに冷却するので、添加できる硫酸の量が制限される。あるいは、システムに熱エネルギーを供給するために燃料ガスを加えなければならず、クラウスプロセスガスのストリームと操業コストを増加させる。
【0086】
SOの好ましいリサイクルストリーム量は、下流のクラウステールガス酸化ユニットに供給される硫黄量、すなわちテールガスおよび他のWSA供給ストリーム中の硫黄の合計、およびWSAユニット中の硫黄回収量によって決定される。WSAユニットでの硫黄回収率は、一般的に供給中の硫黄の90%以上であるため、クラウス反応炉にリサイクルされる。
【0087】
クラウス反応炉へのHSOの流入量が増加すると、反応炉内の必要な温度を維持するためにサポート燃料が必要とされる時点まで、燃焼空気の必要量が減少し、クラウス反応炉出口からのプロセスガスの流出量が減少する。
【0088】
したがって、クラウスプラントにおける最適な硫黄回収量、テールガス中の硫黄とWSAへのバイパスガスの合計は、燃料ガスによる熱の追加や反応器の冷却対策を講じることなく、クラウス反応炉の温度を800℃~1400℃の間の好ましい範囲に維持できるものである。
【0089】
また、クラウステールガス酸化のための手段に原料ガスをバイパスすることも有益であろう、なぜなら、原料ガスは高い発熱量を有しており、それはクラウステールガス酸化のための手段で使用されるとよく、したがって、サポート燃料の追加のための要件を減らすことができるからである。これは、2種類の供給原料ガスが存在する場合、すなわち、NHの供給原料ガスを含まない供給原料ガスとNHを含む原料ガスが存在する場合には、クラウス反応炉の準化学量論(化学量論以下)の条件下ではNHの完全な酸化が妨げられるため、さらに有益であろう。いわゆる酸性水ストリッパー(SWS)ガスは、供給原料ガスを含むこのようなNHの例である。
【0090】
SWSガスの処理のためのクラウスプロセスにおいては、クラウス反応炉におけるNHの完全な分解が重要であり、そうでなければ(NHSOや(NHのようなアンモニア塩が形成され、最終的な硫黄冷却器を見詰まりさせることになる。特殊な高強度(二段式)バーナーは熱NH分解に必要な高温に到達できるが、二つの別々のストリームで酸素を正確に制御する必要がある。
【0091】
しかし、NHのNとNOへの完全酸化は過剰酸素で得られるので、硫酸工場でSWSガスを処理することはよく知られている。従って、SWSガスのようなNHを含むガスをクラウステールガス酸化のための手段に導きながら、HSを含み、ほとんどまたは全くNHを含まない第一の供給原料をクラウス反応炉に導くために、2つの燃焼器を備えた一体型クラウス+硫酸プロセスを構成することが望ましい場合がある。このような構成では、NOの選択的触媒還元(SCR)のための部分を含むように硫酸プラントをデザインすることが望ましい場合がある。
【0092】
本開示による統合プロセスはまた、クラウス反応炉における酸素リッチ(酸素に富む、酸素富化)空気または実質的に純粋な酸素の使用から利益を得ることができる。酸素リッチ空気の使用は、プロセスガス中の不活性窒素量を減少させ、従ってプロセスガス量を減少させ、ひいてはプラントの大きさを減少させる利点がある。窒素による希釈がないことも燃焼温度を上昇させる効果があり、特にクラウス反応炉内の酸素量が化学量論以下であるため、完全な変換を必要とする不純物が存在する場合には有益であろう。クラウス触媒は、軽質炭化水素のような不純物の存在に感受性であるので、不純物の完全酸化のための高温を達成するために、酸素リッチ空気でクラウス反応炉を操作することがしばしば有益である。これはまた、900℃以上の温度で起こる可能性がある、初期の均質な非触媒的クラウス変換を可能にするさらなる利点を有する。
【0093】
しかしながら、熱効率の観点からは、高燃焼温度は、クラウス反応炉および下流の廃熱ボイラにおける建設材料の選択によって制限される可能性がある。高濃度のHS供給ガスでは、酸素濃縮により、原料の設計温度を上回るプロセスガス温度が上昇する可能性がある。しかしながら、HSOリサイクル(プロセスガスを蒸発とガス分解によって冷却する)の組合せは、そのような配置の中で豊富なOを利用することができるであろう。
【0094】
クラウステールガス酸化のための手段は典型的には大気圧で作動され、さらに、硫黄種の完全燃焼はクラウス反応炉で行われる部分酸化よりもかなり多くのエネルギーを放出するので、硫黄種の濃度が低いガスをクラウステールガス酸化のための手段に直接送ることも有益であろう。
【0095】
結果として、高濃度のHSを含む原料ガスをクラウスプラントに導く一方で、より低濃度の供給原料ガスおよびNHを含む供給原料ガスをクラウステールガス酸化の手段にバイパスすることが有益であろう。
【0096】
クラウステールガス酸化手段が、限られた量のHSのみを含むクラウステールガスのみを受け取る場合、発熱量が安定した燃焼を維持するには低すぎる。そのような状況では、サポート燃料の追加が必要である。このサポート燃料は、HS、SWSガスまたは炭化水素供給のいずれかであってもよいが、好ましくは、組み込まれたクラウスおよび硫酸プラントへの現存の供給原料ガスの量を使用する。
【0097】
クラウスプロセスと硫酸プロセスの統合により、一体化効果が得られる。これには、大気の代わりになる硫酸の形で酸化剤を供給することにより、クラウスプロセスでの容量流量を減少させる可能性が含まれる。さらに、硫黄生成に大きく寄与する燃料を含む供給原料ガスがクラウスプロセスに導かれるのに対し、熱エネルギーに寄与する供給原料ガスおよびCOのような非反応生成物が硫酸プロセスに導かれるように、供給ガスの使用を最適化することができる。このプロセスが多すぎる量の硫酸をリサイクルするように設計されている場合には、硫酸の蒸発と解離に必要な熱を供給するために追加の燃料が必要となることがある。プラントのサイズは、リサイクルされた酸の量の増加からさえ利益を受ける可能性がある。なぜなら、WSA(登録商標)プラントのサイズは、生産された酸量と共に顕著には増加しないが、クラウスプラントおよびWSA(登録商標)プラントのサイズは、不活性ガス流の減少と共に減少するからである。
【0098】
この2つのプロセスを統合することで、クラウスプロセスの操作を90%または95%のような低変換率で行うことも可能になる。なぜなら、追加のクラウス変換段階を追加するよりも硫酸プロセスで追加変換を行うほうが安価である可能性があるからである。
【0099】
WSA(登録商標)プロセスに加えて、硫酸は、また、他の硫黄減少プロセスにおいても生成され得る。最初の例は、NOxの選択的触媒還元がWSA(登録商標)と統合されたSNOXプロセスで、このレイアウトはSOが1vol%未満の排ガスに特に適している。
【0100】
通常のクラウスプラントの配置では、供給ガス(酸化性ガスを除く)中のHSが>50vol%であれば、クラウス本納期内で熱的に自立することが求められている。より低いHS濃度では、供給ガス予熱およびいわゆる分割流配置が必要である。HSが<10~20vol%(10~20vol%未満)の供給ガスを処理するクラウスプラントはほとんど見られない。一方、硫酸プロセスでは、これらのいわゆるやせたHSガスを非常に効率よく処理し、濃硫酸を生成する。硫酸生成物は硫黄と酸素において高度に濃縮されるであろう。
【0101】
希薄なHS(および/または他の硫黄化合物)ガスを処理する硫酸プラントと、豊富なHSガスを処理し、硫酸プラントから酸を受け入れるクラウスプラントとの組合せは、有益な設定となるであろう、なぜなら、転換効率、熱効率およびプラントのサイズ/費用に関してクラウスプラントと硫酸プラントの両方への供給ストリームが最適であるためである。
【0102】
クラウスプロセスと硫酸プロセスとの統合は、原料の処理を最適化するためにも使用され得る。硫酸プロセス、特にWSA(登録商標)プロセスは、上述のようなアンモニアからなるSWSガス、有機不純物および中程度の量の無機不純物からなる「不純な硫黄」、バーナーからの排ガスおよびFCCガスを含むHS、SOおよび他の硫黄化合物の希釈ストリームを含む汚染された原料によく適しているという利点がある。同様に、WSA(登録商標)プラントで処理する前に希釈しなければならないCSプロセスからの廃ガスを含む豊富なHSガスは、代わりにクラウスプロセスのために即座に向けられてもよい。また、他の硫黄に富むプロセスストリーム、例えば、石炭ガス化または天然ガス浄化からの廃水は、統合されたクラウス/WSA(登録商標)プロセスの一方または両方の段階に向けられるとよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
図1図1は、単一燃焼器による一体化クラウス+硫酸プロセスを示す。
図2図2は、先行技術による連続的なクラウス+硫酸プロセスを示す。
図3図3は、本開示によるクラウス反応炉における硫酸の燃焼を伴う一体化クラウス+硫酸プロセスを示す。
【0104】
図1に単一燃焼器による一体型クラウス+硫酸プロセスを示す。HSに富む供給原料ガス2は、SO36に富むガスと組み合わせて、クラウスガス供給ガス4として反応器8に導かれる。これは、とりわけ、SO36に富むガスがOを含む場合、OおよびHSをSOおよびHO(10)に変換するためのHS酸化において触媒的に活性な任意の物質を含有し、O不含のクラウス供給ガスを形成し得る。O不含のクラウス供給ガスは、クラウスプロセス生成物14を提供する同一または追加の反応器において、クラウスプロセス12において触媒活性を有する材料(すなわち、クラウス触媒)に接触するように導かれる。クラウスプロセス生成物14は、濃縮された硫黄18および湿潤クラウステールガス20を提供する、硫黄濃縮ユニット16に導かれる。湿潤クラウステールガス20は、クラウスプロセスにおいて触媒活性を有する付加的な物質の存在下でさらに任意に反応させることができ、次いでさらに1~4つのさらなるクラウス段階(ここには示さない)において硫黄を濃縮させて、最終的な湿潤クラウステールガスを得ることができる。水相24は、セパレータ22内の湿潤クラウステールガス20から任意に分離することができ、乾燥したクラウステールガス26を提供する。HS28を含むある量の乾燥クラウステールガスは、任意にある量の硫酸60と一緒に、燃焼器32に向けられ、SO34に富むプロセスガスを提供し、これは、SO36およびSO変換器供給ガス38を含むリサイクルプロセスガス中で分割される。HS26を含むある量の乾燥クラウステールガスは、リサイクル乾燥クラウステールガス30として導かれ、発熱混合物を希釈することによって反応器内の温度上昇を抑制することができる。SO変換器供給ガス38は、任意にベッド間冷却を伴う触媒活性材料42、44、46の1つまたはそれ以上の層またはベッドを含むSO変換器40に向けられ、そこからSOに富むガス48が回収される。SOのリッチガスには水が含まれているため、SOが水和してHSOを形成することがある。HSOは、硫酸濃縮器50で濃硫酸52として濃縮される。SOの完全な水和には水分量が不足している場合は、上流に水蒸気を加えるのが望ましい。硫酸濃縮器50から、実質的に純粋なガス62を引き出し、積層体(スタック)64に導かせることができる。過剰の硫酸が生成された場合、量56は、SO、OおよびHOへの分解のための燃焼器32に導かれ、ライン36を介して元素硫黄の生成のためにクラウス触媒12に導けることができ、一方、近くのプロセスで硫酸が必要とされる場合には、全ての硫酸はライン54を介して回収されることができる。酸冷却システム(図には示していない)は、硫酸冷却器出口と2つの酸ストリーム54および56の分割部分の間に位置している。
【0105】
このプロセスの変法では、硫酸の転換と濃縮が二段階で行われ、残ったSOが酸化され、水和され、濃縮され、それに伴って硫黄の除去が増加するという利点がある。
【0106】
さらなる変法において、SO変換器供給ガス38は、SOに富むガス48がほとんどまたは全く水を含まないように、乾燥させることができる。その場合、硫酸濃縮器50は、硫酸にSOが吸収されることができる吸収器に置き換えることができ、乾燥硫酸プロセスによって濃硫酸を供給する。
【0107】
さらなる変法において、ある量の元素硫黄も燃焼器32に移動することができ、これは水を導入することなく硫酸プロセスにSOを提供する効果を有し、これは、乾燥硫酸プロセスにおいて有益であり得る、SO濃度を増加させることが望まれる場合に有益となる。
【0108】
さらなる変法においては、HSに富む供給原料ガス2のある量を、クラウスプロセス8の反応器に導かれた量および酸化のために燃焼器32に導かれた量で分割することもできる。
【0109】
さらなるバリエーションでは、最終クラウステールガス26中に存在するHS、CO、H、COSなどの還元種の完全酸化のために安定な炎と十分な高温を維持できるように、多量の燃料ガスを燃焼器32に向ける。
【0110】
図2には、先行技術による硫黄および硫酸の製造方法が示されている。ここで、HSに富む供給原料ガス2は、クラウスプロセスに導かれ、そこからクラウステールガス26は、硫酸プロセスに導かれる。HSに富む原料ガス2は、HSのある量をSOに変換するクラウス反応炉66に導かれ、HSとSOの間の比率が2:1に近いクラウス変換器供給ガス4を形成する。クラウス変換器供給ガス4は、クラウス反応12において触媒活性を有する材料を含む変換器8に導かれ、クラウスプロセス生成物14を提供する。クラウスプロセス生成物14は、濃縮硫黄18およびクラウステールガス20を提供する硫黄濃縮ユニット16に導かれる。湿潤クラウステールガス20は、典型的には、クラウス反応において触媒的に活性な追加の材料の存在下でさらに反応され、次いで、さらに1~4つのさらなるクラウス段階(ここには示されない)において、最終的な湿潤クラウステールガスを提供するために、硫黄のさらなる濃縮が行われる。水相24は、任意に、セパレータ22内の湿潤クラウステールガス20から分離され、燃焼器32に向かう乾燥クラウステールガス26を提供し、SO変換器供給ガス34を提供する。SO変換器供給ガス34は、任意にベッド間冷却を伴う触媒活性材料42、44、46の1つ以上のベッド(層)を含むSO変換器40に導かれ、そこからSOに富むガス48が回収される。SOのリッチガス(富化ガス)には水が含まれているため、SOが水和してHSOを形成することがある。HSOは、硫酸濃縮器50で濃硫酸52として濃縮される。硫酸濃縮器50から、実質的に純粋なガス62を引き出し、積層体(スタック)64に向かわせることができる。
【0111】
S、CO、CS、COSおよびHの完全な酸化のために安定した炎(フレーム)および充分な高温を維持するために、燃料ガスを燃焼器32に送ることができる。また、酸素は、一般的には空気を介して提供され、燃焼器32内の燃焼反応の両方に酸素を供給するためだけでなく、SO変換器内のSOの酸化に必要な酸素も供給される。燃料消費を低減するために、燃焼器32の出口とSO変換器40の入口との間にSO酸化用の酸素を加えることができる。
【0112】
図3には、本開示によるクラウス反応炉66内の硫酸の燃焼を伴う一体化クラウス+硫酸プロセスが示されている。HSに富む供給原料ガス2、硫酸52、酸素リッチガス72、任意に燃料68および任意にHSおよびNHに富む第二の供給原料ガス70を含むガスは、クラウス反応炉66に導かれ、燃焼生成物はO不含クラウス変換器供給ガス4として変換器8に導かれる。クラウス反応炉66の出口とクラウス変換器入口8の間には、典型的には、廃熱ボイラ(図示せず)が設置され、クラウス触媒に最適な作業温度まで温度を下げ、任意にクラウス反応炉66内に形成された元素硫黄も引き出す(回収する)。O不含のクラウス変換器供給ガス4は、クラウスプロセス生成物14を提供するクラウス反応12において触媒活性を有する原材料に接触するように導かれる。クラウスプロセス生成物14は、濃縮硫黄18およびクラウステールガス20を提供する硫黄濃縮ユニット16に導かれる。クラウステールガス20は、クラウスプロセスにおいて触媒活性を有する追加の物質の存在下で任意に、更に反応させ、次いでさらに1~4つのさらなるクラウス段階(ここには示さない)において硫黄の濃縮を起こして、最終的なクラウステールガスを得ることができる。HS20を含むある量の最終クラウステールガスは、クラウステールガス酸化32のための手段に導かれ、SO変換器供給ガス34を提供する。クラウステールガス中の化合物の酸化を確実にするために、Oリッチガス72を燃焼器32に向ける。
【0113】
SO変換器供給ガスは、典型的には、廃熱ボイラ(図示せず)で冷却され、SO変換器40内の第1触媒層42に最適な温度を提供する。SO変換器供給ガス34は、任意にベッド間冷却を含む触媒活性材料42、44、46の1層以上のベッド/層を含むSO変換器40に導かれ、そこからSOに富むガス48が回収される。SOのリッチガスには水が含まれているため、SOが水和してHSOを形成することがある。HSOは、硫酸濃縮器50で濃硫酸52として濃縮される。SOの完全な水和に水分が不足している場合は、硫酸冷却器50の上流に水蒸気を加えることが望ましい。硫酸濃縮器50から、実質的に純粋なガス62を引き出し、積層体64に向かわせることができる。典型的には、全ての硫酸52は、クラウス反応炉66にリサイクルされるが、任意に、他のプロセス目的のためにある量の硫酸を回収することができる。
【0114】
さらなる実施態様において、硫酸の転換および濃縮は2つの段階でなされ得、第1段階からの残存SOが更に酸化され、水和され、濃縮され、硫黄除去の増加を提供するという利点がある。
【0115】
さらなる実施形態においては、硫酸プロセスの下流にテールガス洗浄プラントを設置することにより、さらなるSO転換を達成することができる。これらのテールガス解決法が多く存在し、ここでは、ミストフィルターと任意に組み合わせたアルカリ洗浄器(スクラバー)が最も一般的なタイプである。HまたはNHを使用する洗浄器は、これらの洗浄器からの流出物がそれぞれHSOおよび(NHSOであるので好適であり、これらの両方は、熱破壊、即ち、廃棄物のストリームを除去するためにクラウス反応装置にリサイクルすることができる。
【0116】
さらなる実施形態においては、SO変換器供給ガス34は、SOリッチガス48がほとんどまたは全く水を含まないように乾燥させることができる。その場合、硫酸濃縮器50は、乾燥硫酸法によって濃硫酸を供給するために、硫酸にSOが吸収されることがある吸収器に置き換えることができる。
【0117】
さらなる実施形態においては、ある量の元素硫黄を燃焼器32に移動させることもでき、これは水を導入することなく硫酸プロセスにSOを提供する効果を有し、これは、乾燥硫酸プロセスにおいて有益であり得るSO濃度を増加させることが望まれる場合に有益となる。
【0118】
さらなる実施形態においては、ある量の燃料ガス68は、クラウステールガス酸化のための手段32に導かれ、クラウステールガス20内の全ての還元化合物の完全な酸化のために十分な高温を確保する。
【0119】
さら別の実施形態においては、HSに富むある量の供給原料ガス2を、クラウスプロセスの燃焼器(すなわち、クラウス反応炉)66に導かれた量およびクラウステールガス酸化32のための手段に導かれた量で分割することもできる。これは、クラウステールガス酸化のための手段32への燃料ガス添加の必要性を減少させるであろう。
【0120】
さらに別の実施形態においては、NHおよびHS70を含む第2の供給原料の全量は、クラウステールガス酸化のための手段32に導かれ、硫黄濃縮ユニット16(すなわち、クラウス濃縮器)におけるNH-塩生成の危険性を排除する。この実施形態においては、クラウステールガス酸化のための手段32の出口とSO変換器40の入口との間に位置するNO33の低減のための系を設置する。典型的には、いわゆるSCR(選択的触媒反応)触媒反応器が用いられ、SCR反応が進行するためにNHの付加が必要となる。NH付加は、外部供給源からのものであってもよいし、NHおよびHS70を含む第2供給源の小ストリームであってもよく、これは、その後、クラウステールガス酸化のための手段にバイパス(迂回)する。
【0121】
さらなる実施形態においては、炭化水素、CO、COS、CS、SおよびHSのような残存する不純物の酸化のための触媒反応器35を設置することができる。
【0122】
さらなる実施態様において、クラウステールガス20の一部は、クラウステールガス酸化32のための手段をバイパスし、クラウステールガス酸化のための手段のすぐ下流のガス混合点におけるクラウステールガス酸化のための手段からのホットオフガス34と組み合わせられる。これにより、クラウステールガス酸化の手段が十分に高い温度を維持するのに必要な燃料ガス68の量が減少する。クラウステールガス酸化オフガスおよびバイパスされたクラウステールガスの組み合わせられた手段は、HSの均一な(すなわち、気相)酸化を確実にするために、400℃を超える混合ガス温度を有しなければならない。COSおよびCOのような「困難である」種の完全酸化を確実にするために、ガス混合点とSO変換器40への入口との間に任意の酸化触媒35を設置することができる。酸化触媒への温度の最適な制御を確実にするために、廃熱ボイラまたは他の任意の熱交換器を、ガス混合点と酸化触媒への入口との間に設置することができる。酸化触媒は、典型的には、PtまたはPdのような貴金属を含む。
【0123】
さらに別の実施形態においては、酸素72を含むガスは、純酸素または酸素に富む大気であってよく、そのようなガスは、50%未満、20%未満、10%未満または、さらに1%未満N+Arを含む。
[例]
【0124】
例1~3:
炭化水素を含む典型的なクラウス供給のプロセスモデリングにより、本発明と直接関連することなく、3つの例が検討された。
【0125】
供給原料ガス(2)は、精製所からの豊富なHSガスであり、以下の成分を有する:
供給原料ガス流量 :1593Nm/h
S濃度 :91.6vol%
O濃度 :3.7vol%
濃度 :1.9vol%
CO濃度 :2.8vol%
【0126】
例1は、HSの70%を元素硫黄に、残りの30%を硫酸に変換することが望まれる、図1に例示された方法に関する。この例では単一の燃焼器しか必要とせず、クラウス部で処理されるガスの容積は硫酸セクションで処理されるガスの容積の67%となる。
【0127】
例2は、図1に示すように、生成されたすべての硫酸をリサイクルすることによって、HSの100%を元素硫黄に変換する工程に関する。この例では、単一の燃焼器しか必要としない。より多くの硫黄を生成しなければならないので、クラウス触媒と濃縮器部の周りの流量は増加したが、硫酸プロセスへの流量はわずかに減少した。
【0128】
例3は、HSの70%を元素硫黄に、残りの30%を硫酸に変換することが望まれる、図2に例示されるような先行技術に従った方法に関する。このようなプロセスは、単一のクラウス段階で構成されてもよいが、クラウステールガス酸化の手段と同様にクラウス反応炉を必要とするであろう。例1と比較すると、一貫工程を通るプロセスガスはクラウス部においてより低く、硫酸部では同様である。より大きなクラウス反応炉および硫黄濃縮器のコストは、従来技術のようにクラウス反応炉および廃熱ボイラのコストと比較して小さい。
【0129】
上記の例から、クラウスプロセスとWSA(登録商標)プロセスの統合(一体化)が可能であることは明らかであり、有意な装置コストの節約が可能である。この一体化は燃焼器の必要性を避けることができ、さらにクラウス段階の数も減らすことができる。
【0130】
例4-7:
図3に示されるプロセスについて、図2に示されるような先行技術のプロセスと比較して、さらに4つの例が分析されている。
【0131】
これらの例は、以下の原料ガスに基づいている:
Sに富む供給原料ガス(図2、3のストリーム2):
総ガス流 :8190Nm/h
S濃度 :94vol%
O濃度 :6vol%
【0132】
豊富なHSガスは製油所に典型的であり、また様々な量の軽炭化水素を含むであろう。
【0133】
SおよびNH図2および3のストリーム70)に豊富なストックガスを供給する:
総ガス流 :3669Nm/h
S濃度 :28vol%
NH濃度 :45vol%
O濃度 :27vol%
【0134】
SおよびNHを含むこれらのストリームは、典型的には、いわゆる「酸性水ストリッパー」からの廃ガスであり、SWSガスとして認識されている。また、これらは、種々の量の軽炭化水素を含むこともある。
【0135】
燃料ガスは軽炭化水素混合物(主としてCH)で、発熱量は12,200kcal/Nmと低い。
【0136】
クラウス+硫酸組み合わせプロセスで発生した熱を利用して、供給ストリーム、燃焼空気およびクラウステールガスを可能な限り予熱する。
【0137】
これらの例では、クラウスプロセスは供給から94~95%の硫黄回収率で作動する。すなわち、触媒段階がわずか2段階の良好に作動するクラウスプラントであることができる。
【0138】
例4:先行技術による連続的なクラウス+硫酸プロセス。
例4では、全ての供給ストリームをクラウスプロセスで処理し、11.7t/hの元素硫黄のストリームと供給ガス中のSの~5%を含むクラウステールガスを提供する。クラウステールガス酸化のための手段においては、クラウステールガスに存在する硫黄種が酸化され、燃料ガスが供給されて燃焼器温が1,000℃に維持され、CO、COS、H、HS、S、CSなど還元されたすべての種が完全に酸化されてCO、HO、SOとなる。
【0139】
濃硫酸の生成は、100%w/wHSOとして計算して、2.4t/hである。
【0140】
硫黄と硫酸の総回収率は、厳しい環境法令であっても遵守でき、供給中のSの>99.9%である。
【0141】
例5:HSOのクラウス反応炉へのリサイクル
この例では、HSOは生成物としては望まれず、硫酸プロセスからの酸生成物全体がクラウス反応炉にリサイクルされる。HSOリサイクルの総量は、供給ストリームの総Sの~6%に対応する。
【0142】
全元素硫黄生成物流量は、今や、供給ストリーム中のSと等しく、例4に記載したベースケースの107%に相当する。
【0143】
SOの蒸発および分解により、クラウス反応炉内の温度は~200℃低下するが、炭化水素やNHの完全燃焼では、その温度は依然として最低値をはるかに上回っている。クラウス反応炉では燃料ガスは不要である。
【0144】
SOは優れたOキャリアであるため、不活性Nの流量が減少するにつれて、必要なガスが減少し、従って、プロセスガス量が減少する。このN流量の減少により、クラウス反応炉から流出するプロセスガス流量はベース流量の94%に減少し、クラウステールガス酸化のための手段から流出するプロセスガス流量は93%に減少した。クラウステールガス酸化のための手段では1,000℃まで加熱する必要が少ないため、燃料ガス消費量はベースケース(基礎となるケース)の92%に過ぎない。
【0145】
リサイクルHSOの利点は、クラウスプラントの硫黄生成能力が7%増加しただけでなく、同時にプロセスガス量が6~7%減少したことから、驚くほど高いことがわかっている。これは、プロセスガス流量がベースケースの100%であれば、クラウスプラントの能力増加が~15%に相当する。
【0146】
例6:HSOをクラウス反応炉へのリサイクル、および、クラウステールガス酸化手段へのSWSガスのバイパス化
この例では、クラウステールガス酸化のための手段における燃料ガス消費は、SWSガスの一部をクラウステールガス酸化のための手段にバイパスすることによって最小化されている。SWSガスは発熱量が高く、燃料ガスとして容易に作用できる。濃縮HS供給ガスも使用可能であったが、SWSガスはクラウスプロセスで問題となる可能性があり、WSA(登録商標)工程では問題がないことから、SWSガスのバイパスはHSガスをバイパスするよりも大きなメリットがある。プロセスガスの方法では、NおよびHOへのNHの燃焼のための酸素(空気)必要量のために、SWSガス中のNHがクラウスプロセスにおけるプロセスガス容積を増大させるため、ガス容積の減少も生じるであろう。
【0147】
S、COS、CO、H、S、CSなどの還元種の完全な燃焼を確保しながら、クラウステールガス酸化のための手段を1,000℃にするよう、SWSガスのリサイクル量を調整する。
【0148】
テールガス酸化のための手段に含まれる燃料ガスは今やHSを含んでいるので、HSO生成が増加し、今や供給ストリーム中のSの~13%を占める。この大量の硫酸リサイクルは、クラウス反応炉温度の著しい低下をもたらす。
【0149】
適切な供給ストリーム予熱により、サポート燃料を必要とせずにクラウス反応炉で十分な高温を達成することが依然として可能である。
【0150】
クラウスプロセスのサイズへの影響はかなり大きい:プロセスガス容量はベースケースの65%に減少し、依然として107%の元素硫黄生成を伴う。このプロセスガス容積の減少は、既存のプラントの能力増強または新規プラントの大幅なコスト削減のいずれにも使用できる。
【0151】
また、プロセスガス流量がベースケース流量のわずか90%であるため、硫酸プラントは小さくなるであろう。これは、HSO生成がベースケースと比較して倍以上になったため驚くべきことであるが、主にクラウステールガス流の大幅な減少によるものである。
【0152】
最も顕著なのは、今やベースケース流量のわずか16%である燃料ガス消費の減少であり、一体化クラウス+硫酸プロセスの操作コストの大幅な低下に寄与している。
【0153】
例7:HSOのリサイクルとクラウステールガス酸化のための手段へのSWSガスの完全バイパス
この例では、SWSガスのクラウスプラントへの完全排除に焦点を当て、硫黄濃縮器におけるアンモニア塩の生成が不可能であることを保証し、それによりクラウスプラントの故障のリスクを減少させる。
【0154】
クラウス反応炉からのプロセスガス流はベースケースの69%であるが、SWSガスの一部のみがバイパスされる例6と比較して若干高い。プロセスガス流量の増加は、高い運転温度を維持するためのクラウス反応炉への燃料ガス添加の要求による。
【0155】
WSA(登録商標)プラントでのHSO製造は、今や、供給ガス中のSの17%にまで増加しており、製造全体をリサイクルすることで、燃料ガスが必要とされる程度までクラウス反応炉温度を下げることができる。クラウステールガス酸化のための手段からのプロセスガスは、硫酸プラントへの硫黄供給の増加により、ベースケースの107%に増加した。
【0156】
クラウス反応炉で燃料ガスが必要であっても、燃料ガスの総流量はベースケースのわずか41%である。
【0157】
プラントの大きさと運転費用の観点から、本例は例6よりも最適ではないと思われる。すなわち、実際の供給ガス流量と組成に依存する最適なHSOリサイクル率が存在する。さらに多くの供給原料ガスをバイパスすると、硫酸生成量が増加し、クラウス反応炉をさらに抑えることになり、再度、より多くの燃料ガスを必要とし、従ってクラウステールガス流量が増加する。
【0158】
上述の供給ガス組成と流量については、プラントの大きさと燃料消費に関し最適となるのは、供給ストリーム中のS供給の13%~17%の間のHSOリサイクルストリーム量である。
【0159】
一般に、最適な供給原料ガスバイパスは、クラウス反応炉が最小許容温度で作動する点に近い、すなわち、供給原料をバイパスして、クラウス反応炉温度が炭化水素および硫酸の熱破壊の限界に達するまで、より多くの硫酸を生成することができる。供給原料バイパス比を増加させることにより、クラウステールガス酸化のための手段では燃料ガスの必要量は減少するが、クラウス反応炉では硫酸を蒸発分解してプロセスガスを加熱する必要があるのに対し、クラウステールガス酸化のための手段においてはプロセスガスの加熱のみで済むため、クラウス反応炉での燃料ガス消費量ははるかに大きな割合で増加する。
【0160】
例えば50vol%HSの原料ガスの場合、最適なHSOリサイクル流量は、原料ストリーム中のS原料の~7%である。クラウス反応炉内の比較的低HS濃度の結果として低温になり、したがって硫酸がすぐに温度を下げ、クラウス反応炉内で燃料ガスの添加を必要とするため、クラウステールガス酸化手段への酸性ガスバイパスはわずか2%である。クラウス反応炉内でOを富化した空気を使用することで、より高いHSOリサイクル流量が得られる。
【0161】
例8:HSOのリサイクル、クラウステールガス酸化のための手段へのSWSガスのバイパス、およびO富化空気の使用
クラウスプラントの能力を高めるために、よく知られている改修オプションは、>21vol%のOで富化された空気を扱うことができる特別なバーナーを設置することであり、一般的なO品質は93~99vol%のOである。
【0162】
この例では、クラウスプロセスで使用されるように80vol%のOで富化された空気が使用され、硫酸プロセスでは大気が使用された。
【0163】
富化された空気の効果は、主にO流に関連するN量の減少による、クラウス反応炉からのプロセスガス流出の有意な減少である。また、より低いプロセスガス流量は、加熱されるべき不活性ガスがより少ないので、燃料を添加することなくクラウス反応炉の運転を可能にする。
【0164】
クラウス反応炉から流出するプロセスガス流は今や、ベースケースのわずか38%に減少しているので、クラウステールガス酸化のための手段へのクラウステールガス供給も有意に減少している。クラウステールガス酸化のための手段から排出されるプロセスガスはベースケースのわずか56%であり、それはWSA(登録商標)プラントへの大量のSWSガスバイパスによるクラウスプラント流量よりも相対的に高い。
【0165】
この配置により、硫酸プロセスからのHSOの循環が良好であっても、クラウスプロセスでも硫酸プロセスでも両方において燃料ガスなしで操作することができる。
【0166】
例9:クラウスプラントプラントの運転に及ぼすリサイクル硫酸のHSO濃度の影響
この例では、硫酸濃度の影響は、45%のHSOを含む濃硫酸と比較することによって実証されている。
【0167】
例における条件は例6の条件に対応する。すなわち、SWSガスの一部をクラウステールガス酸化のための手段にバイパスして燃料ガス消費を低減する。しかし、クラウスプラントがより少ない濃度の硫黄を受け取るように、SWSガスの形でより多くのエネルギーが、HSOとHOの蒸発のためにクラウス燃焼器内で必要とされる。より高いSWSガス流量は、より高い燃焼空気流量をもたらし、その結果、より高いプロセスガス流量が得られる。それに加えて、硫酸流中の水もプロセスガス流量を著しく増加させる;水は全プロセスガス流量の~15%を占める(例6では、酸ストリームからの水は全プロセスガス流量の~2%しか占めない)。
【0168】
クラウスプラントからのより高いプロセスガス流は、クラウステールガス酸化のための手段において追加のエネルギー入力を必要とし、SWSガス流はクラウス反応炉での消費のために制限されるので、高温を維持するためには実質的な燃料ガス流が必要である。
【0169】
表2のデータを比較すると、例6の高濃度硫酸リサイクルと比較すると、例9ではクラウスとクラウステールガス相乗作用が有意に低下していることがわかる。
【0170】
低濃度硫酸を受け入れるクラウス反応炉に必要なエネルギー添加量は、酸リサイクル量を減らすと減少する可能性があるが、これはクラウスプロセス効率の増加を必要とし、それは追加のクラウス転換段階を意味する可能性がある。
【0171】
結論として、例4~9は、WSA(登録商標)または別の硫酸プロセスとクラウスプロセスを統合(一体化)することにより、関連するプロセスコストの最適化が可能であることを実証する。これには、クラウスプロセス容積の減少およびサポート燃料の量の減少が関与することができる。とくにリサイクル硫酸の濃度が60%より大きく、80%より大きく、90%より大きければ、一体化されたプロセスは非常に効率的である。
【0172】
【表1】
【0173】
【表2】
図1
図2
図3