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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】電気的に導通するフィルム
(51)【国際特許分類】
   H01B 5/14 20060101AFI20220316BHJP
   H05B 3/20 20060101ALI20220316BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20220316BHJP
   H05K 3/04 20060101ALI20220316BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20220316BHJP
【FI】
H01B5/14 Z
H05B3/20 345
H01B5/14 B
H01M50/50 101
H05K3/04 A
H01M50/569
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021064206
(22)【出願日】2021-04-05
(62)【分割の表示】P 2019538328の分割
【原出願日】2018-01-30
(65)【公開番号】P2021132035
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2021-04-21
(31)【優先権主張番号】102017001097.8
(32)【優先日】2017-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102017003979.8
(32)【優先日】2017-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514185921
【氏名又は名称】ジェンサーム ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャツル,マルティン
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-270997(JP,A)
【文献】特開2001-110554(JP,A)
【文献】特開平9-102667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 5/14
H05B 3/20
H01M 50/50
H05K 3/04
H01M 50/569
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-電気的に導通しない支持体層(12)と、
-電気的に導通する金属層(14)と、
を有する、電気的に導通するフィルム(10)であって、
前記金属層が切削によって形成される構造を有し、かつ、第1の面において少なくとも部分的に前記支持体層(12)と結合され、
前記切削は、刻印ローラによって前記金属層層内に材料隆起部を形成し、フライスホイールを用いて前記材料隆起部を除去することを含み、
前記金属層(14)の前記構造が、1つ又は複数の導体路(20)を有し、その場合に少なくとも1つの導体路(20)が複数の導体路セクション(28a~28e)を有し、前記導体路セクションの導体路幅(B1~B5)が互いに異なっている、電気的に導通するフィルム。
【請求項2】
前記金属層(14)の前記構造が1つ又は複数の導体路(20)を有し、前記導体路が少なくとも1つの屈曲されたセクション(22)を有している、請求項1に記載の電気的に導通するフィルム(10)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの導体路(20)の前記複数の導体路セクション(28a~28e)が、互いに対して変位して、かつ/又は平行に延びている、請求項1または2に記載の電気的に導通するフィルム(10)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの導体路(20)の互いに連続する導体路セクション(28a~28e)の導体路幅(B1~B5)が、導体路推移に沿って増大し、あるいは減少する、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気的に導通するフィルム(10)。
【請求項5】
電気的に導通しないカバー層(16)が設けられており、前記カバー層が切削によって形成された構造を有し、その場合に前記金属層(14)が第2の面において少なくとも部分的に前記カバー層(16)と結合されている、請求項1からのいずれか一項に記載の電気的に導通するフィルム(10)。
【請求項6】
前記カバー層(16)の切削によって形成された前記構造が部分的に、あるいは完全に、前記金属層(14)の切削によって形成された前記構造と一致する、請求項に記載の電気的に導通するフィルム(10)。
【請求項7】
前記支持体層(12)を形成する材料が、前記カバー層(16)を形成する材料よりも小さい弾性係数を有している、請求項又はに記載の電気的に導通するフィルム(10)。
【請求項8】
前記支持体層(12)を形成する材料の弾性係数と、前記カバー層(16)を形成する材料の弾性係数との間の差が、少なくとも20メガパスカルである、請求項からのいずれか一項に記載の電気的に導通するフィルム(10)。
【請求項9】
前記支持体層(12)が熱可塑性エラストマーから形成されている、請求項1からのいずれか一項に記載の電気的に導通するフィルム(10)。
【請求項10】
前記支持体層(12)を形成する材料が、10から100メガパスカルの範囲内の弾性係数を有している、請求項1からのいずれか一項に記載の電気的に導通するフィルム
(10)。
【請求項11】
前記支持体層(12)及び/又は前記カバー層(16)が熱可塑性プラスチックから、形成されている、請求項からのいずれか一項に記載の電気的に導通するフィルム(10)。
【請求項12】
前記支持体層(12)及び/又は前記カバー層(16)を形成する材料が、120から1200メガパスカルの範囲内の弾性係数を有している、請求項から7、11のいずれか一項に記載の電気的に導通するフィルム(10)。
【請求項13】
前記電気的に導通する金属層(14)が、銅、銅合金、アルミニウム及び/又はアルミニウム合金から形成されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の電気的に導通するフィルム(10)。
【請求項14】
電気的に導通しない支持層(18)が設けられており、前記支持層が前記金属層(14)と、あるいは前記支持体層(12)の前記金属層(14)とは逆の面と、結合されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の電気的に導通するフィルム(10)。
【請求項15】
前記支持層(18)が、熱可塑性エラストマーから、形成されている、請求項14に記載の電気的に導通するフィルム(10)。
【請求項16】
前記支持体層(12)又は前記金属層(14)における支持層(18)の付着が、前記支持体層(12)又は前記金属層(14)からの前記支持層(18)の損傷のない剥離を可能にする、請求項1から15のいずれか一項に記載の電気的に導通するフィルム(10)。
【請求項17】
-1つ又は複数の電気的に導通するフィルム(10)、
を有する電気加熱装置(100)において、
前記1つ又は複数の電気的に導通するフィルム(10)が請求項1から16のいずれか一項に従って形成されている、電気加熱装置。
【請求項18】
前記電気的に導通するフィルム(10)の前記金属層(14)の少なくとも1つの導体路(20)が、発熱導体として形成されており、及び/又は、部分的に蛇行して延びている、請求項17に記載の電気加熱装置(100)。
【請求項19】
バッテリ用のセル接触ユニット(200)であって、
-1つ又は複数の電気的に導通するフィルム(10)を有し、
前記1つ又は複数の電気的に導通するフィルム(10)が、請求項1から16のいずれか一項に従って形成されている、セル接触ユニット。
【請求項20】
少なくとも1つの電気的に導通するフィルム(10)が接触セクション(26a~26d)を有し、前記接触セクションが、エレメンタルセル(202a~202d)の接触極(204a~204d)と電気的に導通接続されるように構成されている、請求項19に記載のセル接触ユニット(200)。
【請求項21】
バッテリ用の、セル電圧負荷装置であって、
-1つ又は複数の電気的に導通するフィルム(10)を有し、
前記1つ又は複数の電気的に導通するフィルム(10)が、請求項1から16のいずれか一項に従って形成されている、セル電圧負荷装置。
【請求項22】
少なくとも1つの電気的に導通するフィルム(10)が接触セクション(26a~26d)を有し、前記接触セクションが、エレメンタルセル(202a~202d)の接触極(204a~204d)と電気的に導通接続されるように構成されている、請求項21に記載のセル電圧負荷装置。
【請求項23】
電気的に導通するフィルム(10)のための形成方法であって、
-少なくとも1つの電気的に導通しない支持体層(12)と電気的に導通する金属層(14)とを有するフィルム(10)を準備するステップと、
-切削する形成方法によって、前記金属層(14)の構造を形成するステップと、
を含み、
前記金属層(14)の前記構造を形成する際に、1つ又は複数の導体路(20)が形成され、前記導体路が少なくとも1つの屈曲されたセクション(22)を有し、
前記金属層(14)の構造を形成するステップは、刻印ローラによって前記金属層層内に材料隆起部を形成し、フライスホイールを用いて前記材料隆起部を除去することを含む、形成方法。
【請求項24】
前記フィルム(10)が電気的に導通しないカバー層(16)を有する、請求項23に記載の形成方法において、
切削する形成方法を用いて前記カバー層(16)の構造を形成するステップを含む、形成方法。
【請求項25】
前記金属層(14)の前記構造の形成と、前記カバー層(16)の前記構造の形成が同時に行われ、かつ/又は前記カバー層(16)の前記形成された構造が、前記金属層(14)の前記形成された構造と部分的に、あるいは完全に一致する、請求項24に記載の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に導通しない支持体層と電気的に導通する金属層とを有し、その金属層が材料除去によって形成される構造を有し、かつ第1の面において少なくとも部分的に支持体層と結合されている、電気的に導通するフィルムに関する。
【0002】
本発明はさらに、1つ又は複数の電気的に導通するフィルムを有する電気加熱装置、セル電圧負荷装置及び1つ又は複数の電気的に導通するフィルムを備えた、バッテリ用の、特に車両バッテリ用の、セル接触ユニットに関する。
【0003】
本発明はさらに、電気的に導通するフィルムのための形成方法に関するものであり、その方法は以下のステップを有する:少なくとも1つの電気的に導通しない支持体層と電気的に導通する金属層とを有するフィルムを準備し、かつ材料を除去する、特に切削する、形成方法によって金属層の構造を発生させる。
【背景技術】
【0004】
最近の車両の電化が進むにつれて、電気的に導通する構造に対する需要が増大し、それらの構造は様々な車両コンポーネント内に省スペースで、かつ/又は視覚的に目立たないように内蔵することができる。
【0005】
たとえばフラットで弾性的な加熱装置に対する高い需要があり、その加熱装置はたとえば車両シート、ステアリングホィールあるいは車両の内部の他の接触面内に内蔵することができる。
【0006】
この種の快適化された適用領域の他に、フラットで導電性の構造は、電気車両及びハイブリッド車両のドライブトレイン用に、たとえば車両バッテリのエレメンタルセルの省スペースな接触を実現し、あるいはその個別の電圧を測定することができるようにするためにも、必要とされる。
【0007】
電気的に導通するフィルムは、一方で、小さい組み込み空間しか必要とせず、他方では充分な変形可能性を有しているので、それを車両の快適領域内及び電気的な駆動装置の領域内に使用することが考えられる。
【0008】
しかし、既知の電気的に導通するフィルム、及び、たとえばフラットリボンケーブルのような、他の電気的に導通する対象は、多数の適用のために充分な程度では適していない。特に既知の電気的に導通するフィルムは、機械的負荷能力及び/又は変形可能性が小さすぎる。フラットリボンケーブルには、電気的に導通する構造パターンがないので、これらは多くの適用範囲において使用することができない。さらに大体において製造が複雑であり、コストがかかる。
【0009】
さらに従来技術においては、規則的に、健康を損なう、それどころかあるいは有毒な物質さえも発生させる製造方法が使用される。特に電気的に導通する構造のエッチングは、規則的にこの欠点を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって本発明の課題は、普遍的に使用することができ、それにもかかわらず上述した欠点を少なくとも部分的に克服する、電気的に導通する構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、冒頭で挙げた種類の電気的に導通するフィルムによって解決され、その場合に金属層の構造は1つ又は複数の導体路を有し、その導体路が少なくとも1つの屈曲されたセクションを有している。
【0012】
本発明は、多層のフィルムは材料除去により、たとえば切削除去する形成方法によって、任意に構造化することができるので、様々な使用範囲のための電気的に導通するフィルムを形成することができる、という認識を利用している。1つ又は複数の導体路が少なくとも1つの屈曲されたセクションを有することによって、電気的に導通する複雑な構造パターンを形成することができる。したがってこの電気的に導通するフィルムは、たとえばフラットケーブルとしてはるかに普遍的に使用することができる。本発明の主旨において、導体路の屈曲されたセクションとは、金属層の内部で方向変換を有する導体路セクションを意味する。この種の方向変換は、たとえば導体路が角部領域を有し、その角部領域が2つの直線的な導体路セクションを互いに結合している場合に、存在する。特に、電気的に導通するフィルムがバッテリ用のセル接触ユニットの内部で使用される場合に、これは、有利である。金属層の構造が切削除去により形成されていることによって、さらに、構造化をエッチングするために健康を害する物質を使用する必要性が克服される。
【0013】
電気的に導通するフィルムの好ましい発展形態において、金属層の構造は1つ又は複数の導体路を有しており、その場合に少なくとも1つの導体路が複数の導体路セクションを有し、それらの導体路幅が互いに異なっている。特に少なくとも1つの導体路の個々の導体路セクションは、5ミリメートルと1ミリメートルの間の領域内の導体路幅を有している。好ましい導体路幅は、たとえば4.2ミリメートル、3.8ミリメートル、3.2ミリメートル及び2.3ミリメートルである。
【0014】
本発明に係る電気的に導通するフィルムの他の実施形態において、少なくとも1つの導体路の複数の導体路セクションは、互いに対して変位し、かつ/又は平行に延びている。異なる導体路幅を有する複数の導体路セクションが変位し、かつ平行に延びている場合に、導体路セクションの間にそれぞれ導体路の移行セクションが生じる。この移行セクションは、移行セクションによって互いに結合される導体路セクションの1つのものの導体路幅を有することができる。代替的に、移行セクションは他の導体路幅を有することもできる。
【0015】
電気的に導通するフィルムにおいて、少なくとも1つの導体路の互いに連続する導体路セクションの導体路幅が、導体路推移に沿って増大し、あるいは減少するのがさらに好ましい。このようにして、その長さにわたって全抵抗が1オームよりも小さい導体路が実現される。したがって小さい全抵抗を有するきわめて薄い導体路が実現される。さらに、1つ又は複数の導体路の様々な導体路幅によって、導体路デザインを、電気的に導通しない支持体層の露出面に適合させることができる。導体路全体の全体幅は、増大かつ/又は減少し得る。
【0016】
本発明に係る電気的に導通するフィルムの特に好ましい実施形態は、電気的に導通しないカバー層を有しており、そのカバー層が材料除去によって形成された構造を有し、その場合に金属層が第2の面において少なくとも部分的にカバー層と結合されている。支持体層は、好ましくは弾性的に変形可能に形成されており、したがって、電気的に導通する複雑な構造を有する変形可能なフィルムの実現を可能にする。カバー層は、好ましくは機械的な過負荷保護として用いられ、その過負荷保護によって、金属層の電気的に導通する構造が弾性変形性に基づいて損傷し、あるいは破壊されることが、阻止される。
【0017】
本発明に係る電気的に導通するフィルムの他の実施形態において、支持体層は0.024ミリメートルから0.2ミリメートルの範囲内の層厚を有し、金属層は0.009ミリメートルから0.030ミリメートルの範囲内の層厚を有し、かつ/又はカバー層は0.024ミリメートルから0.2ミリメートルの範囲内の層厚を有する。
【0018】
本発明に係る電気的に導通するフィルムは、さらに、カバー層の材料除去によって形成された構造が部分的に、あるいは完全に、金属層の材料除去によって形成された構造と一致することによって、好ましく発展形成される。カバー層の構造と金属層の構造が一致する1つ又は複数の領域内で、金属層とカバー層は等しい輪郭を有している。これは特に、電気的に導通するフィルムが電気加熱装置用に使用される場合に、有利である。さらに、カバー層の材料除去によって形成された構造が、金属層の材料除去によって形成された構造と部分的に、あるいは完全に異なることも可能である。
【0019】
本発明に係る電気的に導通するフィルムの他の実施形態において、支持体層を形成する材料は、カバー層を形成する材料よりも小さい弾性係数を有している。支持体層を形成する材料がカバー層を形成する材料よりも小さい弾性係数を有することによって、電気的に導通するフィルムに引張負荷がかかった場合に、力の大部分がカバー層によって吸収されて、電気的に導通するフィルムの過度の伸張もしくは伸びが回避される。電気的に導通するフィルムの過度の伸張もしくは伸びが阻止されることによって、引張負荷がかかった場合に電気的に導通するフィルムが損傷し、かつ故障する危険が著しく低減される。
【0020】
好ましくはさらに、本発明に係る電気的に導通するフィルムにおいて、支持体層を形成する材料の弾性係数とカバー層を形成する材料の弾性係数との間の差は、少なくとも20メガパスカルである。20メガパスカルの差は、多くの適用範囲においてすでに、一方で電気的に導通するフィルムの充分な弾性変形性を保証することができ、他方で電気的に導通するフィルムの過度の引張負荷に対する適切な保護を実現するために、充分である。
【0021】
本発明に係る電気的に導通するフィルムの好ましい実施形態において、支持体層は熱可塑性のエラストマー、とくに熱可塑性ポリウレタンから形成されている。熱可塑性エラストマーは、溶接することができ、したがって抵抗力のある、かつ、特殊な使用目的のために必要である場合には、水密の結合の形成を可能にする。代替的に支持体層は、熱可塑性コポリアミド、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性コポリエステル、オレフィンベースの熱可塑性エラストマー、スチロールブロックコポリマー、熱可塑性加硫物又はオレフィンベースの架橋化された熱可塑性エラストマーから形成することもできる。
【0022】
本発明に係る電気的に導通するフィルムの発展形態において、支持体層を形成する材料は、10から100メガパスカルの範囲内の弾性係数を有している。10から100メガパスカルの範囲内の弾性係数は、電気的に導通するフィルムをたとえば車両内部空間内の屈曲もしくは湾曲された接触面のための電気加熱装置として使用するために、充分な弾性変形を可能にする。しかしさらに、電気的に導通するフィルムは、屈曲もしくは湾曲された基本形状を有するドライブトレインの電気的コンポーネントのための電気加熱装置として使用することもできる。
【0023】
さらに、支持体層及び/又はカバー層が熱可塑性プラスチックから、特にポリエチレンナフタレート又はポリエチレンテレフタレートから形成されている、本発明に係る電気的に導通するフィルムが、有利である。ポリエチレンナフタレートは、高い熱形状安定性を有しているので、電気的に導通するフィルムは、温度が高い場合でも、かつ/又は電気加熱装置の構成要素として、使用することができる。ポリエチレンテレフタレートは、高い破壊強度と良好な摩耗特性とを有している。したがってポリエチレンテレフタレートを使用する場合に、損傷リスクが減少され、かつ比較的長い寿命を有する電気的に導通するフィルムが提供される。
【0024】
さらに、支持体層及び/又はカバー層を形成する材料が120から1200メガパスカルの範囲内の弾性係数を有する、本発明に係る電気的に導通するフィルムが、有利である。120から1200メガパスカルの範囲内の弾性係数は、機械的な引張負荷に対して抵抗力を有する電気的に導通するフィルムを提供するために、充分な強度を保証する。カバー層を形成する材料が120から1200メガパスカルの範囲内の弾性係数を有する場合に、さらに、形成する間にカバー層のきわめて正確な材料除去を行うことができるので、カバー層内に小さい許容誤差を有する複雑な構造パターンが形成可能である。
【0025】
本発明に係る電気的に導通するフィルムの好ましい実施形態において、電気的に導通する金属層は銅、銅合金、アルミニウム、CCA(copper cladded aluminum)及び/又はアルミニウム合金から形成されている。銅とアルミニウムは、高い導電性を有し、かつこの理由から電気的に導通するフィルムの金属層として使用するのに特に適している。さらに銅とアルミニウムは、正確な材料除去する、特に切削する加工を可能にし、それによって金属層内に小さい許容誤差を有する複雑な構造パターン及び/又は細かく分かれた導体路が形成可能である。特に好ましい実施形態において、電気的に導通する金属層は、銅貼りしたアルミニウムから形成されている。銅貼したアルミニウムは、純粋な銅よりも安価である。というのは、アルミニウムは銅よりも安価であるからである。銅貼りしたアルミニウムからなる導体は、さらに、導電性が等しい場合に、必要とされる横断面積が大きいにもかかわらず、純銅導体よりも軽い。
【0026】
本発明に係る電気的に導通するフィルムは、実施形態において、電気的に導通しない支持層を有しており、その支持層が金属層と、あるいは支持体層の、金属層とは逆の面と結合されている。したがって電気的に導通するフィルムがカバー層を有していない場合に、電気的に導通するフィルムは3層で形成することができる。したがって電気的に導通するフィルムがカバー層を有している場合には、電気的に導通するフィルムは4層で形成することができる。支持層は、形成プロセスの間一時的に電気的に導通するフィルムと結合されており、それによって材料除去の間、特に切削除去加工の間、電気的に導通するフィルムの充分な強度を保証することができる。支持体層又は金属層と支持層との間の結合は、好ましくは機械的又は化学的に取り外し可能に形成されている。特に支持体層又は金属層と支持層との間の付着作用は、電気的に導通するフィルムの残りの層の間の付着作用よりも小さい。
【0027】
本発明に係る電気的に導通するフィルムの他の実施形態において、支持層は0.024ミリメートルから0.2ミリメートルの範囲内の層厚を有している。
【0028】
支持層が熱可塑性エラストマー、特に熱可塑性ポリウレタンから形成されている、本発明に係る電気的に導通するフィルムも、有利である。熱可塑性エラストマーは、溶接することができ、したがって抵抗力のある結合の形成を可能にする。代替的に支持層は、熱可塑性コポリアミド、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性コポリエステル、オレフィンベースの熱可塑性エラストマー、スチロールブロックコポリマー、熱可塑性加硫物又はオレフィンベースの架橋化された熱可塑性エラストマーから形成することもできる。
【0029】
電気的に導通するフィルムの好ましい発展形態において、支持層が支持体層又は金属層に付着することは、支持体層又は金属層からの支持層の損傷のない剥離を可能にする。支持層と支持体層又は金属層との間の付着作用は、たとえば機械的な作用によって克服することができる。その代わりに、あるいはそれに加えて、化学的なプロセスが支持体層又は金属層からの支持層の剥離をもたらし、あるいは少なくとも促進することができる。
【0030】
本発明の課題は、さらに、冒頭で挙げた種類の電気加熱装置によって解決され、その場合に1つ又は複数の電気的に導通するフィルムが、上述した実施形態のいずれかに従って形成されている。本発明に係る電気加熱装置の利点及び変更に関して、本発明に係る電気的に導通するフィルムの利点と変更を参照するよう指示する。
【0031】
電気加熱装置の特に好ましい実施形態において、電気的に導通するフィルムの金属層の少なくとも1つの導体路が発熱導体として形成されており、かつ/又は部分的に蛇行して延びている。発熱導体を蛇行して形成することによって、高い熱効果を得ることができる。金属層が複雑なパターン構造を有することができることによって、電気的に導通するフィルムはこの種の蛇行構造の具現化を可能にする。代替的に、電気的に導通するフィルムの金属層の複数の導体路は、それぞれ発熱導体として形成されており、かつ/又は部分的に蛇行して延び、かつ/又は部分的に面取りされている。1つ又は複数の蛇行して延びる発熱導体は、多数の直線的に延びる発熱導体セクションを有することができ、その場合に複数の、あるいはすべての直線的に延びる発熱導体セクションは、互いに対して実質的に平行に方向づけすることができる。その代わりに、あるいはそれに加えて、1つ又は複数の蛇行して延びる発熱導体はそれぞれ部分的に、あるいは完全に屈曲され、特に不規則に屈曲して形成することができ、その場合に屈曲された発熱導体セクションの割合は、好ましくは、直線的に延びる発熱導体セクションの割合を上回る。好ましくは屈曲された発熱導体セクションの割合は、75%を上回り、特に好ましくは90%を上回る。
【0032】
本発明の課題は、さらに、冒頭で挙げた種類のセル接触ユニットとセル電圧負荷装置によって解決され、その場合に1つ又は複数の電気的に導通するフィルムは、上述した実施形態のいずれかに従って形成されている。本発明に係るセル接触ユニットの利点と変更に関して、本発明に係る電気的に導通するフィルムの利点と変更を参照するよう指示する。
【0033】
本発明に係るセル接触ユニットの好ましい実施形態において、少なくとも1つの電気的に導通するフィルムは接触セクションを有しており、その接触セクションは、エレメンタルセルの接触極と電気的に導通接続されるように、構成されている。したがって電気的に導通するフィルムは、好ましくはセル電圧負荷装置システムの構成要素である。電気的に導通するフィルムが、セル電圧負荷装置システム又はセル接触ユニットの構成要素として使用される場合に、特に好ましくは、電気的に導通するフィルムはエレメンタルセルへ向いた面に保護フィルムを有しており、その場合にこの種の保護フィルムの存在は、必ずしも必要ではない。
【0034】
電気的に導通するフィルムは、さらに、フラットフィルムアンテナ内で使用することができる。
【0035】
本発明の課題は、さらに、冒頭で挙げた種類の形成方法によって解決され、その場合に金属層の構造を形成する際に1つ又は複数の導体路が形成され、その導体路が少なくとも1つの屈曲したセクションを有している。本発明に係る形成方法の利点と変更に関して、電気的に導通するフィルムの利点と変更を参照するよう指示する。好ましくはこの形成方法によって、上述した実施形態のいずれかに基づく電気的に導通するフィルムが形成される。
【0036】
本発明に係る形成方法の実施形態において、提供されたフィルムは電気的に導通しないカバー層を有しており、かつ形成方法は、材料除去する、特に切削する形成方法によるカバー層の構造の形成を有している。材料除去する、特に切削する形成方法によるカバー層の構造の形成は、さらに、刻印ローラによるカバー層内の材料隆起部の形成及び/又はフライスホィールによる材料隆起部の除去を含むことができる。
【0037】
さらに、本発明に係る形成方法において、金属層の構造の形成とカバー層の構造の形成は同時に行われ、かつ/又はカバー層の形成された構造は部分的に、あるいは完全に、金属層の形成された構造と一致するのが好ましい。好ましくは刻印ローラが金属層とカバー層内に充分に張り出す材料隆起部を形成し、刻印ローラによって形成された、金属層とカバー層内の材料隆起部が、フライスホィールによって同時に除去される。刻印セクションが異なる高さを有する刻印ローラを使用することによって、本発明に係る形成方法により、様々な層が互いに異なる構造パターンを有する、電気的に導通するフィルムも形成することができる。
【0038】
以下、添付の図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態を詳しく説明し、かつ記述する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明に係る電気的に導通するフィルムの形成を図式的に示している。
図2】本発明に係る電気的に導通するフィルムの形成を図式的に示している。
図3】本発明に係る電気的に導通するフィルムの形成を図式的に示している。
図4】本発明に係る電気的に導通するフィルムの形成を図式的に示している。
図5】本発明に係る電気加熱装置の実施例を図式的に示している。
図6】本発明に係るセル接触ユニットの実施例を図式的に示している。
図7】本発明に係る形成方法の実施例を示すブロック図である。
図8】本発明に係る電気的に導通するフィルムの金属層の複数の導体路の幅の推移を示している。
図9】本発明に係る電気的加熱装置の実施例を図式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1の左側は、電気的に導通するフィルム(箔)10を示しており、そのフィルムは電気的に導通しない支持体層12と電気的に導通する金属層14とを有している。
【0041】
支持体層12は、120から1200メガパスカルの範囲内の弾性係数を有する材料から形成されている。支持体層12は、たとえばポリエチレンナフタレート又はポリエチレンテレフタレートから形成され得る。
【0042】
金属層14は、銅とアルミニウムから、たとえば銅貼りしたアルミニウムから、形成されており、かつ第1の面において支持体層12と結合されている。
【0043】
図1の右側は、図1の左側に示すフィルム10を、金属層14の材料除去が行われた後において示している。金属層14の形成された構造は、導体路20を有しており、その導体路は屈曲されたセクション(隠されている)を有している。
【0044】
図2の左側は、電気的に導通するフィルム10を示しており、そのフィルムは電気的に導通しない支持体層12、電気的に導通する金属層14及び電気的に導通しないカバー層16を有している。
【0045】
支持体層12は、120から1200メガパスカルの範囲内の弾性係数を有する材料から形成されている。支持体層12は、たとえばポリエチレンナフタレート又はポリエチレンテレフタレートから形成され得る。
【0046】
金属層14は銅とアルミニウムから、たとえば銅貼りされたアルミニウムから、形成されており、第1の面において支持体層12と、そして第2の面においてはカバー層16と結合されている。
【0047】
カバー層16は、120から1200メガパスカルの範囲内の弾性係数を有する材料から形成されている。カバー層16は、たとえばポリエチレンナフタレート又はポリエチレンテレフタレートから形成され得る。
【0048】
図2の右側は、図2の左側に示すフィルム10を、金属層14とカバー層16の材料除去が行われた後において示している。その場合に金属層14の形成された構造は、カバー層16の形成された構造とは異なっている。
【0049】
図3の左側は、電気的に導通するフィルム10を示しており、そのフィルムは電気的に導通しない支持体層12、電気的に導通する金属層14、電気的に導通しないカバー層16及び電気的に導通しない支持層18を有している。
【0050】
支持体層12は、10から100メガパスカルの範囲内の弾性係数を有する材料から形成されている。たとえば支持体層12は、たとえば熱可塑性ポリウレタンのような、熱可塑性エラストマーから形成され得る。
【0051】
金属層14は銅とアルミニウムから、たとえば銅貼りされたアルミニウムから、形成されており、第1の面において支持体層12と、そして第2の面においてはカバー層16と結合されている。
【0052】
カバー層16は、120から1200メガパスカルの範囲内の弾性係数を有する材料から形成されている。カバー層16は、たとえばポリエチレンナフタレート又はポリエチレンテレフタレートから形成され得る。したがって支持体層12を形成する材料は、カバー層16を形成する材料よりも小さい弾性係数を有している。さらに支持体層12を形成する材料の弾性係数とカバー層16を形成する材料の弾性係数との間の差は、20メガパスカルより大きい。
【0053】
支持層18は、120から1200メガパスカルの範囲内の弾性係数を有する材料から形成されている。支持層18は、たとえばポリエチレンナフタレート又はポリエチレンテレフタレートから形成され得、その場合に支持層18の材料厚は、残りの層12、14、16のそれぞれの材料厚よりも大きい。さらに支持層18は支持体層12の、金属層14とは逆の面と結合されており、その場合に支持体層12における支持層18の付着は、支持体層12から支持層18を損傷なしで剥がすことを可能にする。
【0054】
図3の右側は、図3の左側に示すフィルム10を、一方で金属層14とカバー層16の材料除去が行われ、かつ他方で支持体層12からの支持層18の剥離が行われた後において示している。その場合に金属層14の形成された構造は、カバー層16の形成された構造とは異なる。しかし材料除去が、カバー層16の形成された構造が部分的に、あるいは完全に金属層14の形成された層と一致するように行われることも、考えられる。
【0055】
図4の左側は、電気的に導通するフィルム10を示しており、そのフィルムは電気的に導通しない支持体層12、電気的に導通する金属層14及び電気的に導通しない支持層18を有している。
【0056】
支持体層12は、120から1200メガパスカルの範囲内の弾性係数を有する材料から形成されている。支持体層12は、たとえばポリエチレンナフタレート又はポリエチレンテレフタレートから形成され得る。
【0057】
金属層14は、銅とアルミニウムから、たとえば銅貼りされたアルミニウムから、形成されており、第1の面において支持体層12と結合されている。
【0058】
支持層18は、120から1200メガパスカルの範囲内の弾性係数を有する材料から形成されている。支持層18は、たとえばポリエチレンナフタレート又はポリエチレンテレフタレートから形成され得、その場合に支持層18の材料厚は、残りの層12、14のそれぞれの材料厚よりも大きい。さらに支持層18は金属層14と結合されており、その場合に金属層14における支持層18の付着は、金属層14からの支持層18の損傷のない剥離を可能にする。
【0059】
図4の右側は、図4の左側に示すフィルム10を、一方で金属層14と支持体層12の材料除去が行われ、かつ他方で金属層14からの支持層18の剥離が行われた後において示している。金属層14の形成された構造と、支持体層12の形成された構造は、互いに一致している。
【0060】
図5は、電気的に導通するフィルム10を有する電気加熱装置100を示している。電気的に導通するフィルム10は、電気的に導通しない支持体層12と電気的に導通する金属層14を有している。
【0061】
金属層14は、材料除去によって形成された構造を有し、第1の面において支持体層12と結合されている。金属層14の構造は、発熱導体として形成された導体路20を有しており、その導体路がセクション24a~24eにおいて蛇行して延びており、したがって多数の屈曲されたセクション22を有している。発熱導体の端部にそれぞれ接触セクション26a、26bが配置されており、その場合に加熱装置100の発熱導体に、接触セクション26a、26bを介して電気エネルギーを供給可能である。
【0062】
図6は、バッテリ用の、すなわち車両バッテリ用の、セル接触ユニット200を示している。セル接触ユニット200は、電気的に導通するフィルム10を有しており、そのフィルムが電気的に導通しない支持体層12と電気的に導通する金属層14とを有している。
【0063】
金属層14は、材料除去によって形成された構造を有しており、その場合に金属層14の構造は多数の導体路20を有しており、それらが多数の屈曲されたセクション22を有している。
【0064】
電気的に導通するフィルム10は、さらに、接触セクション26a~26dを有しており、それらがエレメンタルセル202a~202dの接触極204a~204dと電気的に導通するように接続されている。
【0065】
図7は、電気的に導通するフィルム10のための形成方法を示している。この形成方法は、以下のステップによって導入される:
ステップ300では、電気的に導通しない支持体層12、電気的に導通する金属層14及び電気的に導通しないカバー層16を有するフィルム10を準備する。
【0066】
フィルム10が準備された後に、以下のステップを実施することができる:
ステップ302では、切削する形成方法によって金属層14の構造を形成し;かつ
ステップ308では、切削する形成方法によってカバー層16の構造を形成する。
【0067】
金属層14の構造を形成する際に多数の導体路20が形成され、その場合に切削する形成方法を用いた金属層14の構造の形成は、以下の2つのステップを有している:
ステップ304では、刻印ローラによって金属層14内に材料隆起部を形成し;かつ
ステップ306では、フライスホイールを用いて金属層14内の材料隆起部を除去する。
【0068】
切削する形成方法によるカバー層16の構造の形成は、同様に以下の2つのステップを有している:
ステップ310では、刻印ローラによってカバー層16内に材料隆起部を形成し;かつ
ステップ312では、フライスホイールによってカバー層16内の材料隆起部を除去する。
【0069】
金属層14の構造の形成とカバー層16の構造の形成は、同時に行われ、すなわち刻印ローラが金属層14とカバー層16内に充分に張り出した材料隆起部を形成し、刻印ローラによって形成された、金属層14とカバー層16内の材料隆起部をフライスホイールによって同時に除去できることによって、行われる。それによってカバー層16の形成された構造が金属層14の形成された構造と一致する。しかし代替的に、その刻印セクションが異なる高さを有する刻印ローラを使用することによって、電気的に導通するフィルム10を形成することも可能であり、そのフィルムの異なる層が互いに異なる構造パターンを有する。
【0070】
図8は、金属層14の複数の導体路20の構造を示している。全導体路20は、それぞれ複数の導体路セクション28a~28eを有しており、それらの導体路幅B1~B5は互いに異なる。導体路20の導体路セクション28a~28eは、互いに変位し、かつ平行に延びている。互いに連続する導体路セクション28a~28eの導体路幅B1~B5は、導体路推移に沿って増大する。導体路セクション28aは、4.2ミリメートルの導体路幅B1を有する。導体路セクション28bは、3.8ミリメートルの導体路幅B2を有している。導体路セクション28cは、3.2ミリメートルの導体路幅B3を有している。導体路セクション28dは、2.3ミリメートルの導体路幅B4を有している。導体路セクション28eは、同様に2.3ミリメートルの導体路幅B5を有している。導体路セクション28a~28eの間に、屈曲された移行セクション30a~30dが配置されている。個々の導体路20の端部は、一方の面において互いに対して側方に変位して位置決めされている。
【0071】
図9は、電気的に導通するフィルム10を有する電気加熱装置100を示している。電気的に導通するフィルム10は、電気的に導通しない支持体層12と電気的に導通する金属層14とを有している。
【0072】
金属層14は、材料除去によって形成された構造を有し、かつ第1の面において支持体層12と結合されている。金属層14の構造は、発熱導体として形成された2つの導体路20を有しており、それらは一貫して蛇行して延びており、したがって多数の屈曲された発熱導体セクション22を有している。2つの蛇行して延びる発熱導体は、それぞれ部分的に不規則に屈曲して形成されており、その場合に屈曲された発熱導体セクションの割合は、90%を上回る。発熱導体のそれぞれの端部には、接触セクション26a、26bが配置されており、その場合に加熱装置100の発熱導体には、接触セクション26a、26bを介して電気エネルギーが供給可能である。
【0073】
好ましくは、本発明は、弾性的かつ/又は可塑的に変形可能な支持体、支持体上に配置された導体路及びカバー層を有する加熱部材に関するものであり、カバー層の底面は導体路の底面と等しく、かつその抗張強度は導体路の少なくとも2倍の高さである。
【0074】
好ましくは、本発明はさらに、少なくとも1つの切削除去された電気的に導通しない非導体ゾーンと少なくとも1つの導体路とを有する接続導体に関するものであり、その導体路は導体平面の内部で少なくとも部分的に屈曲した推移を有している。
【符号の説明】
【0075】
10 電気的に導通するフィルム
12 支持体層
14 金属層
16 カバー層
18 支持層
20 導体路
22 屈曲したセクション
24a~24e 蛇行するセクション
26a~26d 接触セクション
28a~28e 導体路セクション
30a~30d 移行セクション
100 電気加熱装置
200 セル接触ユニット
202a~202d エレメンタルセル
204a~204d 接触極
300~312 方法ステップ
B1~B5 導体路幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9