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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】片側交互通行管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/07 20060101AFI20220316BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20220316BHJP
   G08G 1/087 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
G08G1/07 Q
G08G1/09 Q
G08G1/087
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021092014
(22)【出願日】2021-06-01
(65)【公開番号】P2021192231
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2021-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2020096857
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518233501
【氏名又は名称】株式会社VOLLMONTホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】望月 武治
(72)【発明者】
【氏名】安納 一男
(72)【発明者】
【氏名】市川 純一
【審査官】久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-159197(JP,A)
【文献】実開平07-041699(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/07
G08G 1/09
G08G 1/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の規制区間の両側の端部に設置された自動誘導機を用いて片側交互通行誘導を行う片側通行管理システムにおいて、
自動誘導機は、情報収集センサと、誘導表示機と制御部と通信部を備えており、
情報収集センサは、少なくとも規制区間の端部から外側を撮影する画像センサを有し、
次の工程にしたがって片側交互通行誘導を行うことを特徴とする片側通行管理システム。
第1工程:規制区間の端部に設置した自動誘導機を初期設定する初期設定工程、
第2工程:画像センサから得られる規制区間の端部の外側の映像から車両有無及び車番に関する車両の情報を取得する情報取得工程、
第3工程:所定時間ごとに第2工程において得られる時間的に前後する映像の車番の情報から交通量を算定し、その交通量に基づいて規制区間の端部の誘導表示機が信号を表示する時間を調整する時間調整工程、
第4工程:規制区間の端部の車両の有無に応じて誘導表示機の表示を変更する要否の特定と表示変更種別を特定する表示変更種別・変更フロー特定工程、
第5工程:自動誘導機の誘導表示機の表示を変更処理する表示変更工程
【請求項2】
規制区間の端部の車両の有無、誘導表示機の表示の状態を含む所定の項目に関して想定される規制区間の端の状態が記載された状況項目欄によって、誘導表示機の表示変更種別が特定される誘導表示変更有無判断テーブルと、
表示変更種別ごとの表示変更フローが示されている表示変更フローテーブルとを備えており、
制御部は、
情報収集センサから得られた情報に基づいて通行規制区域の端部の車両の有無を取得し、
その取得された状態に基づいて誘導表示変更有無判断テーブルにある表示変更種別を特定し、
その特定された表示変更種別に該当する変更フローを表示変更フローテーブルに基づいて決定し、
決定された表示変更する表示変更フローに基づいて、誘導表示機の表示を変更することを特徴とする請求項1記載の片側通行管理システム。
【請求項3】
制御部は、少なくとも第2工程を0.1秒以下の周期で画像センサから得られる映像を取得して画像処理を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の片側通行管理システム。
【請求項4】
時間的に前後の画像情報を比較して得られる車両の情報から、車両の待ち時間を取得することを特徴とする請求項3に記載の片側通行管理システム。
【請求項5】
画像処理は少なくとも車両の車番を特定することを含み、少なくとも車番による通過確認が行われることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の片側通行管理システム。
【請求項6】
誘導表示変更有無判断テーブルは、端部の規制端の状態を示した状況項目欄として、少なくとも、車両の有無、誘導表示の状態、渋滞待ち時間を有し、
状況項目欄の組み合わせによって誘導表示機の表示変更種別が特定されていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の片側通行管理システム。
【請求項7】
さらに、画像センサから得られる映像に交通信号がある場合は、該交通信号機が示す交通信号の状態を画像センサの映像によって取得し、取得した交通信号の状態に応じて、誘導表示機の表示変更種別が特定されていることを特徴とする請求項6に記載の片側通行管理システム。
【請求項8】
自動誘導機の表示を「進め」から「止れ」に変更する際に、予告表示を行うことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の片側通行管理システム。
【請求項9】
緊急停止指示端末を設け、該端末からの緊急停止指示に基づいて、自動誘導機の表示を「止れ」に変更する処理を設けたことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の片側通行管理システム。
【請求項10】
さらに、道路の規制区間に接続する枝道がある場合、該枝道の規制区画に接続する端部に自動誘導機が設置されていることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の片側通行管理システム。
【請求項11】
制御部は、
通行規制区域の端部の車両の有無を取得する領域を自動的に設定し、
画像センサから得られる映像に含まれるセンターライン、停止ラインを基準にして映像に写る車両を特定する情報を取得することを特徴とする請求項2~10のいずれかに記載の片側通行管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路工事などに伴い片側交互通行を行う場合の交互通行誘導に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
道路工事をする場合は、工事区間の前後などに交通誘導員を配置して、通行車両や通行者を誘導する必要がある。炎天下の作業であり、人手不足や危険を伴う作業であるので、この交通誘導を行うシステムがいくつか提案されている。
従来、道路工事区間において、片側交通により上り下りの車両を交互に通行する場合、その工事区間の両側に信号機を仮設置し、これら信号機による片側交通整理が行われ、その信号機としては、赤と青の切替え点灯表示を行う2位式のものが用いられ、一方の信号機の青点灯時間に、他方の信号機を赤点灯とし、かつ青から赤点灯への切替え直前に進入した車両が工事区間を通過する間、両信号機を全赤点灯とするようにしている。この「赤/青」切り替え信号を使って、交互通行を誘導するシステムはいくつか提案されている。
例えば、特許文献1(特開2019-67249号公報)には、車両V1が交互通行区間から退出したことを通過車両検知センサ22Bにより検知し、退出する車両V1の速度を管理装置40に送信し(S1)、管理装置40は、退出時の車両V1の速度が所定速度よりも低い場合には、交互通行区間の外側で滞留が発生している、もしくは今後滞留が発生する可能性があると推定し(S2)、信号機25Aを進入禁止状態に切り替える制御を行って(S3)、交互通行区間の外側の交通状況を推定して、交互通行区間内の車両の滞留を未然に防止する誘導システムが開示されている。
特許文献2(特開2019-67234号公報)には、交互通行区間の一端に設けられた通過車両検知センサ22Aが、車両V1の進入を検知し、区間内車両数を1加算し(S11)、交互通行区間の他端に設けられた通過車両検知センサ22Bが車両V1の退出を検知し、区間内車両数を1減算すると(S12a)、区間内車両数が「0」となって信号機25Bを進入禁止状態から進入許可状態に切替可能とし(S13)、また、車両V1が接続道路に出た場合には通過車両検知センサ22Cが検知して区間内車両数を1減算し(S12b)、車両V1が店舗に入ることで交互通行区間から出たならば誘導員端末装置30が操作されて区間内車両数を1減算し(S12c)、このため、交互通行区間の他端から出る場合に比べ、早期に区間内車両数の減算が発生し、信号機25Bの切替えをより早く行うことができる、交互通行区間における円滑で効率的な交通誘導システムが開示されている。
特許文献3(特開平9-231497号公報)には、誘導用の仮設の信号機6、7に対応して画像処理センサ8、9を設け、感応式制御装置20に、前記画像処理センサ8、9からの画像データを画像処理して信号機6、7手前の測定区間K、Kの車両の台数を検出する車両計測手段10を設け、点灯時間制御手段24は、青点灯の信号機6、7側に車両の1台以上のデータが入力している間は、前記青点灯を継続するように制御すると共に、車両が0台のデータが入力すると、赤点灯に切替え、また、前記点灯時間制御手段24は、青点灯の信号機6、7側に車両の1台以上のデータが入力している間に、赤点灯の信号機7、6側に車両の1台以上のデータが入力すると、この入力時から一定時間経過後に全赤点灯に切替える、感応式制御の片側交通用信号装置における交通量に合わせて車両をスムーズに通過させる誘導システムが開示されている。
特許文献4(特開2000-172987号公報)には、車両感知器、可視カメラまたは赤外線カメラを付加し、道路工事のために設けられた停止線で信号待ちをしている車両を検知または渋滞量を計測し、この情報をもとに渋滞が緩和できるように交通信号を切替え制御する手段で構成された、交通整理員に代わり、無人で車両の有無および渋滞状況に応じた信号制御を行い道路工事に伴なう渋滞緩和に有効な道路工事交通信号制御装置を備えた誘導システムが開示されている。
特許文献5(特開2003-132489号公報)には、工事現場の道路の両端の一方にカメラを設置して無人化し、かつ、他方に配置した作業員を車の来ない場所に配置し、車両の通行及び停止の指示を出す、誘導員の安全と誘導員の省人化を図る、片側一車線の道路の一方通行で使用する場合の交通誘導システムが開示されている。
特許文献6(特開2009-217576号公報)には、道路工事現場で道路を通行する車両の通行を制限する工事信号システムであって、道路の通行可否を所定間隔で切り替わる点灯表示で示す点灯部110を備えた信号機100と、道路の通行可否をその旨の画像で示す第1画像表示部210を備えた第1表示装置200と、を有し、信号機100は、車両の通行を検出するセンサ120と、センサ120の検出結果に基づき点灯部の表示切替間隔を最適化する演算部と、を備え、信号機100と第1表示装置200は近接配置され、信号機100が示す通行可否と、第1表示装置200が示す通行可否とが連動して動作する、コストを抑えつつ交通量の時間変化に対応して道路工事現場の渋滞を回避することのできる工事信号システムが開示されている。
特許文献7(特許第6671603号公報)には、送受信部101が、規制区域を撮像し、静止画または動画である画像データを監視カメラ300から受信し、車両判断部102が、受信した画像データから人工知能を用いて規制区域に車両が存在するか否かを判断し、表示変更部103は、規制区域内に車両が存在すると判断した場合は、停止指示を表示する表示装置の表示を進行指示に変更しない交通制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-67249号公報
【文献】特開2019-67234号公報
【文献】特開平9-231497号公報
【文献】特開2000-172987号公報
【文献】特開2003-132489号公報
【文献】特開2009-217576号公報
【文献】特許第6671603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、道路工事などに伴って通行規制が行われる片側交互通行を円滑に誘導することができるシステムを開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1.道路の規制区間の両側の端部に設置された自動誘導機を用いて片側交互通行誘導を行う片側通行管理システムにおいて、
自動誘導機は、情報収集センサと、誘導表示機と制御部と通信部を備えており、
情報収集センサは、少なくとも規制区間の端部から外側を撮影する画像センサを有し、
次の工程にしたがって片側交互通行誘導を行うことを特徴とする片側通行管理システム。
第1工程:規制区間の端部に設置した自動誘導機を初期設定する初期設定工程、
第2工程:画像センサから得られる規制区間の端部の外側の映像から車両有無及び車番に関する車両の情報を取得する情報取得工程、
第3工程:所定時間ごとに第2工程において得られる時間的に前後する映像の車番の情報から交通量を算定し、その交通量に基づいて規制区間の端部の誘導表示機が信号を表示する時間を調整する時間調整工程、
第4工程:規制区間の端部の車両の有無に応じて誘導表示機の表示を変更する要否の特定と表示変更種別を特定する表示変更種別・変更フロー特定工程、
第5工程:自動誘導機の誘導表示機の表示を変更処理する表示変更工程
2.規制区間の端部の車両の有無、誘導表示機の表示の状態を含む所定の項目に関して想定される規制区間の端の状態が記載された状況項目欄によって、誘導表示機の表示変更種別が特定される誘導表示変更有無判断テーブルと、
表示変更種別ごとの表示変更フローが示されている表示変更フローテーブルとを備えており、
制御部は、
情報収集センサから得られた情報に基づいて通行規制区域の端部の車両の有無を取得し、
その取得された状態に基づいて誘導表示変更有無判断テーブルにある表示変更種別を特定し、
その特定された表示変更種別に該当する変更フローを表示変更フローテーブルに基づいて決定し、
決定された表示変更する表示変更フローに基づいて、誘導表示機の表示を変更することを特徴とする1.記載の片側通行管理システム。
3.制御部は、少なくとも第2工程を0.1秒以下の周期で画像センサから得られる映像を取得して画像処理を行うことを特徴とする1.又は2.記載の片側通行管理システム。
4.時間的に前後の画像情報を比較して得られる車両の情報から、車両の待ち時間を取得することを特徴とする3.に記載の片側通行管理システム。
5.画像処理は少なくとも車両の車番を特定することを含み、少なくとも車番による通過確認が行われることを特徴とする1.~4.のいずれかに記載の片側通行管理システム。
6.誘導表示変更有無判断テーブルは、端部の規制端の状態を示した状況項目欄として、少なくとも、車両の有無、誘導表示の状態、渋滞待ち時間を有し、
状況項目欄の組み合わせによって誘導表示機の表示変更種別が特定されていることを特徴とする1.~5.のいずれかに記載の片側通行管理システム。
7.さらに、画像センサから得られる映像に交通信号がある場合は、該交通信号機が示す交通信号の状態を画像センサの映像によって取得し、取得した交通信号の状態に応じて、誘導表示機の表示変更種別が特定されていることを特徴とする6.に記載の片側通行管理システム。
8.自動誘導機の表示を「進め」から「止れ」に変更する際に、予告表示を行うことを特徴とする1.~7.のいずれかに記載の片側通行管理システム。
9.緊急停止指示端末を設け、該端末からの緊急停止指示に基づいて、自動誘導機の表示を「止れ」に変更する処理を設けたことを特徴とする1.~8.のいずれかに記載の片側通行管理システム。
10.さらに、道路の規制区間に接続する枝道がある場合、該枝道の規制区画に接続する端部に自動誘導機が設置されていることを特徴とする1.~9.のいずれかに記載の片側通行管理システム。
11.制御部は、
通行規制区域の端部の車両の有無を取得する領域を自動的に設定し、
画像センサから得られる映像に含まれるセンターライン、停止ラインを基準にして映像に写る車両を特定する情報を取得することを特徴とする2.~10.のいずれかに記載の片側通行管理システム。
【発明の効果】
【0006】
1.本発明は、道路工事などに伴って通行規制が行われる片側交互通行を円滑に誘導することができるシステムを提供する。
本片側通行管理システムは、工事帯などの規制区間の端部(規制区間には、工事帯の両端の他に通行箇所として含まれることがある枝道などの端部)に、誘導機を配置する。
本片側通行管理システムは、端部の車両情報、交通信号情報を1/10秒以下の周期で画像解析して端部の情報を取得して、端部の状況管理と時間管理を行う。時間的な前後の画像フレームを比較することにより、車両の有無、異同、車両の待ち時間、交通信号等の情報を取得して、両端のアンバランスや表示変更の基礎時間調整を行って、工事帯などを通過する車両の渋滞を少なくし、通過車両の円滑な通行を実現する誘導システムである。
1/10秒以下の周期で画像を解析することにより、規制区間を通過する車両を十分に補足することができ、読み取った車番による通過車両の特定や待ち車両などの管理を行うことができる。
2.誘導表示変更種別を一覧したテーブルを準備し、このテーブルを利用して誘導する表示の変更種別をダイレクトに特定することができるので、どのような表示変更でも決定に伴う演算負荷が小さく、短時間で処理することができる。
3.特定された誘導表示変更種別に基づいて誘導機の表示を変更するフローは独立して行うフローテーブルを用いたので、表示変更制御を容易に行うことができる。
4.上記誘導表示変更有無判断テーブルと表示変更フローテーブルは、本体制御フローから独立しているので、交通信号の有無や枝道などの交通規制箇所の事情に応じてテーブルを準備することができる交通を誘導する対象箇所に応じた臨機応変性に優れたシステムである。
5.本片側通行管理システムは、工事帯などに隣接した交通信号機の信号も取り込んで、誘導表示を調整できるシステムである。
6.本片側通行管理システムは、画像のフレーム処理により規制端の状況を把握し、前後のフレーム比較を基礎として車両管理、時間管理を行うシステムであって、規制区間の両端等の端部の状況に応じて誘導表示を変更することができ、表示機の基本的な待ち時間を調整することができ、規制箇所の状態に臨機応変に対応できる誘導システムである。
7.誘導表示を「進め」から「止れ」に表示変更する際に、点滅などの予告表示を設けることにより、渋滞待ちの車両の運転者等のイライラ感を低減することができる。「進め」表示、「止れ」表示の双方あるいは、一方に予告表示をすることができる。
8.救急車や消防車などの緊急車両の接近時や工事車両の出入りなどで規制区画内において、車両の通行停止するために緊急停止指示端末を設けたので、該端末からマニュアル操作によって、現場の状況に応じた交通誘導ができる。この緊急停止処理は、割り込み処理として扱い、解除指示によって、割り込みが解除される。この緊急停止指示に基づく誘導表示の変更にも、点滅などの予告表示を行うことができる。
9.規制区画に枝道がある場合、枝道にも自動誘導機を設置し、枝道の渋滞情報にもとづいて、枝道の通行を割り込みで処理するシステムとする。この枝道による、割り込み処理をする場合も、点滅など予告表示をすることができる。
10.自動誘導機に装備されている規制区画の端部側の情報を収集する領域を自動的に認識できるようにし、センターライン、停止ラインを基準にして、存在する車両などの情報を取得するシステムとする。例えば、車両がセンターラインを基準にすることにより、左右どちらかに存在するかなどを自動判断できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】片側通行部分の機器配置モデルを示す図
図2】誘導機の例を示す図
図3】システム構成の例を示す図
図4】本発明の工程の例を示す図
図5】初期設定工程(第1工程)を示す図
図6】情報取得工程(第2工程)を示す図
図7】待ち時間調整工程(第3工程)を示す図
図8-1】表示変更タイプ特定工程の1(第4工程の1)を示す図
図8-2】表示変更タイプ特定工程の2(第4工程の2)を示す図
図9】表示変更工程(第5工程)を示す図
図10】画像処理の例を示す図
図11-1】所定の項目に関して想定される規制区間の端の状態を示した想定状況項目欄と誘導表示機の表示変更種別を示す誘導表示変更有無判断テーブル(TB1)を示す図(1/2)
図11-2】所定の項目に関して想定される規制区間の端の状態を示した想定状況項目欄と誘導表示機の表示変更種別を示す誘導表示変更有無判断テーブル(TB1)を示す図(2/2)
図12】交通信号の変わり目に発生する不都合な状態を示す図
図13】信号変化を予測した表示変更を行った状態を示す図
図14】交通信号が付近にない工事区画における誘導表示変更有無判断テーブル(TB1B)を示す図
図15】システム構成の他の例を示す図
図16-1】システム構成の例(枝道含む)を示す図
図16-2】センターサーバーを用いたシステム構成の例(枝道含む)を示す図
図17】予告処理を示す図
図17-1】緊急停止処理を示す図
図17-2】緊急停止表示を示す図
図18】枝道処理を示す図
図19】初期設定(枝道含む)工程(第1工程)の例を示す図
図20-1】情報取得(枝道含む)工程(第2工程)を示す図
図20-2】時間調整工程(第3工程)を示す図
図21-1】表示変更タイプの特定(枝道含む、緊急含む)工程(第4工程を示す図
図21-2】表示変更タイプの特定(枝道含む、緊急含む)工程(第4工程を示す図
図21-3】表示変更タイプの特定(枝道含む、緊急含む)工程(第4工程を示す図
図22-1】表示変更(予告表示、緊急停止含む第5工程)工程を示す図
図22-2】表示変更(予告表示、緊急停止含む第5工程)工程を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、道路あるいは道路に面した場所を工事やイベントなどで使用する場合に、道路を通行する車両を交互に通行させる交通誘導を行う片側交互通行管理システムに関する発明である。
本発明は、工事帯などの交通規制区間の端部に自動誘導機を配置して、車両に誘導信号を表示する片側交互通行管理システムであって、交通規制区間の端部に配置する自動誘導機は、カメラなどのセンサ、誘導表示機、制御部と通信部などの機器を持っている。交通規制区間にある枝道にも自動誘導機を配置して、枝道の通行を誘導できるようにする。
本システムは、カメラから入力される車両に関する画像を基に画像識別処理を行い、車両を識別する情報として車両の種別と位置・大きさと車番とを識別する手段と、道路交通信号機の信号状態を識別する手段と、工事帯に向かう車両に対して進め、止まれ等の誘導表示を行う手段とを備えている。
工事帯の両端などに配置された複数の自動誘導機のいずれかを主誘導機とし、他方を副誘導機とし、上記識別結果の検知情報を主誘導機に通信機能を使用して集約して、主誘導機が片側交互通行の制御を行う。本片側交互通行管理システムを制御する制御装置は、主誘導機に限らず、独立した管理サーバを設置することができる。
また、本片側交互通行管理システムに緊急停止指示端末を設けることにより、マニュアルによる自動誘導機の表示を「止まれ」に割り込み処理できるシステム構成とすることができる。緊急車両の通過や工事車両の出入りなどに伴って必要となる規制区画の通行を制御できるようにする。
本片側交互通行管理システムには、交通規制区間には、前後の端部の他枝道も含まれている。前後端の規制を通常処理とすると、枝道の通行処理と緊急停止処理が割り込みして処理される。誘導機の表示変更は、変更がまじかであることを示す予告表示を設けることもできる。
【0009】
本発明の片側交互通行管理システムは、
第1工程:規制区間の端部に設置した自動誘導機を初期設定する初期設定工程、
第2工程:規制区間の端部の情報を取得する情報取得工程、
第3工程:規制区間の端部の待ち時間を調整する時間調整工程、
第4工程:規制区間の端部の状況に応じて誘導機の表示を変更するタイプの特定と変更フローを特定する表示変更タイプ・変更フロー特定工程、
第5工程:自動誘導機の表示機の表示を変更処理する表示変更工程
の5工程を備えている。
【0010】
本発明の片側交互通行管理システムは、通行規制区域の端部に配置される自動誘導機を有し、自動誘導機は、情報収集センサ(カメラ、マイク、ドップラーレーダー等)と、誘導表示機と制御部とメモリと、画像処理プロセッサと通信部を少なくとも備えている。
【0011】
<片側通行規制区間の概説>
本片側交互通行管理システムが設置される工事帯における片側通行部分の機器配置モデルを図1に示す。
片側一車線の道路Dにおいて、左右に道路交通信号機6、6がある中間区間の片側車線の一部を工事帯Kとして工事する場合、片側通行規制区間KDを設けて、工事帯Kを含む道路を片側交互通行に規制して、車両の誘導を行うことが行われている。片側通行規制区間KDには、枝道1Eがある場合もある。そして、枝道は複数あることもある。本発明では、片側通行規制区間KDの両端側に自動誘導機10(10A、10B)を配置して、対向する車線の車両に対して、通行可否の表示を行っている。なお、通行規制区間に枝道がある場合は枝道にも副自動誘導機10Cを配置することができる。
自動誘導機10には、車両を撮影するカメラ11などの情報収集センサ、通行可否を表示する誘導表示機2、制御部3、通信部4などが装備されている。自動誘導機10には、カメラの他にそのほか、マイク、ドップラーレーダー、スピーカ、デジタルサイネージなどのセンサ類やインターフェース類を付加することができる。図1では、工事帯Kが設けられる車線を工事車線D1とし、この車線には副自動誘導機10Bが設置されている。工事がされておらず通過できる車線を通行車線D2とし、この車線には主自動誘導機10Aが設置される。車線D2に面する枝道1Eには副自動誘導機10Cが設置されている。
なお、a1は通行車線D2の平均通過台数(主自動誘導機側平均車両通過台数)、a2は工事車線D1の平均通過台数(副自動誘導機側平均車両通過台数)、a0は工事帯平均通過可能台数を示している。
なお、枝道に副自動誘導機を配置したシステム構成の例が図16-1に示されている。
【0012】
<自動誘導機の例>
自動誘導機10は、通行規制を行う区間の端部に設置され、車両などを検知するセンサ1と、通行の可否を知らせる誘導表示機2、通行の可否を判断して必要に応じて表示を変更する制御部3、他の自動誘導機10などと交信する通信部4を備えている(図2参照)。
自動誘導機10は、図1にも示すように通行規制区間の少なくとも両端に配置され、一方を主自動誘導機10Aとし、他方を副自動誘導機10Bとする。主自動誘導機10Aが本片側通行システムを制御する制御部3を搭載するものとする。交通誘導を行う必要がある枝道がある場合は、その枝道にも副自動誘導機10Cが配置されている。
なお、制御部は自動誘導機から切り離して、システム管理サーバを設けることもできる。主自動誘導機10Aと副自動誘導機10Bで片側通行管理を行う場合は、単独のシステムとしてその工事帯などに設置することができる。単独のシステム構成の例は、図3図16-1に示されている。
システム管理サーバを設置した場合は、複数の工事帯の通行誘導を集中管理で行うことができる。クラウドなどにセンターサーバーを設けたシステム構成の例は図15図16-2に示されている。
【0013】
本片側交互通行管理システムでは、工事帯の端に設けられた停止線で待機する車両が停止している時間を評価し、一定時間を超えたら誘導機の誘導状態を変えて通行可とする誘導を行い、円滑な誘導を行うこととしている。運転手が長時間の待機によっていらだちなどをおぼえて、安全通行に不安を来すリスクがあるので、待機時間が長くならないように制御する。また、「進め」から「停止」への表示変更や、緊急停止指示に基づく表示変更、枝道の渋滞処理に基づく表示変更など、誘導機の表示を変更する際に、点滅などの予告表示を行って、運転手の心理を和らげることができる。
【0014】
道路には道交法にしたがって設置された信号機(以下「交通信号機」という。)が設置されていることがあり、片側交互通行誘導を行う工事帯の付近に交通信号機がある場合、この信号機の青信号(進め)にしたがって、車両が進行した場合、身動きが取れない状況を引き起こすリスクがあるので、本片側交互通行管理システムでは、交通信号機の信号の変化を事前に予測し、予測に基づいて調整して誘導を行う制御を取り込むこととする。
【0015】
本片側交互通行管理システムでは、カメラから入力される、車両に関する画像(図10参照)を基に画像識別処理をおこなって、認識されたプレートの車両識別情報である車番(ナンバー)に基づいて工事帯を通過する車両の評価を行うこととしているので、固有の車両に基づいて判断することとなる。通過台数による評価などでは個別に管理できないが、本発明では固有の識別番号で管理できるので、最後の通過車両の確認が明確にでき、交互通行の路上で鉢合わせするような障害を防止できる。
【0016】
規制されるそれぞれの車線の通行量は、時間帯や季節によって異なることがあるので、交互通行の時間を均等にすると、一方の渋滞が激しくなることがある。そのため、本交互通行管理システムでは、各車線の平均車両通行量に基づいて誘導制御の切り替え時間を調整して、最適化制御を行うこととする。
【0017】
本発明では、カメラから入る画像情報を分析する処理が短い周期で連続して行われる。
本発明では、連続映像から周期的に画像(フレーム)をサンプリングして、画像処理をする。本発明では、この周期を0.1~0.05秒(10~20fps)とするのが適当である。
0.1秒以下の単位でフレーム処理して、前後のフレームの情報差から、規制端の状況を比較して異同把握することを基礎として、車両の車番の特定、停止車両の有無、停止待ち時間、通過台数、信号状態などの情報を得る。
例えば、工事区間を通過中の車両を正確に把握するためには、工事区間に進入した車両の車番と工事区間を脱出した車両の車番を正確に識別することが重要である。
通常、工事区間およびその前後を通行する車両は秒速10m(時速36Km)程度で走ることが多い。この場合0.1秒間に1m程度移動することになる。
車両が複数台連なって工事区間に進入または工事区間から脱出する場合に0.1秒以下の間隔で画像フレームの処理を行うことにより、車両とその車番を取り逃す可能性を非常に低くすることができる。これが0.5秒程度の画像フレーム間隔であるとフレーム間で5m以上車両が移動することになり、車両とその車番情報を取り逃がしてしまう可能性が高くなってしまう。
また0.1秒以下の間隔での画像フレーム処理であれば、同一の車両に対して多数回の画像識別処理を行うことが可能となり、時系列データを使用することにより車両や車番認識の精度を高めることが可能となる(例えば多数決をとる方法やベイズ推定による方法など)。
また停止線の前に車両が存在しない状態において車両が接近して来る場合にはできるだけ早く車両の接近を検知する必要があるが、画像フレーム処理の間隔を0.1秒以下にすることにより、早めに誘導表示の変更判断を行うことができ、工事区間内に両方向から車両が進入してしまうなどの事故に繋がりかねない事態を未然に防ぐことができる。
【0018】
本発明では、車両の滞留などの規制区間の状況に応じて自動誘導機の表示変更を行う必要があるか否かの判断を、規制区間の両端の状況、交通信号を設定したテーブル(状況-表示変更タイプ想定テーブル)を準備して、そのテーブルに当てはまる表示変更種別(「変更必要なし」も含む)を選択することにしたので、演算処理が容易である。
そして、選択された表示変更種別に従って、主副の自動誘導機の表示を変更する処理を行うこととする。
【0019】
<映像処理>
カメラ11は、自動誘導機の前面側(規制区域に車両が向かってくる方向)を撮像するように設置される。カメラ11は、それぞれの車線に進入してくる車両Ca、Cbと交通信号機6を含む映像を撮像して、通信部へ送る。映像の取得は、0.1秒以下のサイクルでおこなわれ、制御部では、画像分析に基づいて、異同と変動の時間が記録される。
また、遠ざかる車両について、同様に映像を撮像して、反対側からくる車両の通過確認に画像分析を利用する。
なお、制御部は、カメラが撮影した画像に基づいて、特定の領域の情報を情報処理して、進退する車両などを特定する。制御部は、情報処理する領域や交通信号の識別する機能も有している。
【0020】
図10に映像処理の例を示す。
図10は、交通信号機X101を含む前面道路を写すようにX-Y画像が設定される。
画像は、カメラから得られる映像を10~20fps(フレーム/秒)の周期でフレーム処理が行われる。
交通信号機の信号の色も含む画像を得る。この画像には、交通信号機X101、接近車両識別用領域X102、バウンディングボックスX103、バウンディングボックスの下辺の中点X104、車番X105が設定されることなる。また、画像認識の結果から左側はセンターライン、右側は道路側縁、手前側は停止線X106、奥側は道路端(交差点などの場合)と、予め設定されたラインの内、近い方を採用することにより、接近車両識別領域X102を自動設定することができる。あるいは、退出する車両の識別領域を自動設定することができる。
交通信号機の信号の色は、画像処理としては、青と赤の2種類に判別する。黄色は、安全側に赤として類別する。
なお、交通信号機の有無を自動的に認定する場合は、画像認識の結果から、信号機を自動判別し、判別できないときは「無」と認定する。
接近車両識別用領域X102は、接近車両の存在する車線を識別するためにあらかじめ任意の4角形に設定される。
道路上でとらえた車両にバウンディングボックスX103を設定し、位置(px,py)サイズ(w,h)と車種(乗用車、トラック、バス等)で表す。車種の識別は当初の設定からAI技術を用いて識別力を高めていくことができる。
バウンディングボックスの下辺の中点X104を、x座標=px+w/2-1、y座標=py+h-1として、座標を決め、この座標の位置が接近車両識別用領域X102の内にある場合は、自動誘導機の前に車両が存在すると判定する。複数台存在することもあることとなる。
車番X105は、車両のナンバープレートを採用する。識別情報としては、下側の4桁で十分であることが多い。ナンバープレートの識別は既存のソフトを活用することができる。さらに、AI技術を活用して識別精度を向上させることができる。
なお、交通信号は、変更を予測する必要がある場合は、信号が変化した時刻に信号周期を加えてから平均到達時間を差し引いた時刻に交通信号の変化が発生すると想定することとなる。この交通信号予測時間は図6に示すステップ202中のTK秒に相当する。
例えば、深層学習を応用した画像認識技術を使用して車両識別と車番識別を行うAIとして次のような既存技術を利用することができ、交通信号機の信号識別も同様の技術を活用することができる。
Sergio Montazzoli Silva and Claudio Rosito Jung. :License Plate Detection and Recognition in Unconstrained Scenarios.:ECCV 2018 paper.
なお、反対側から通過する車両も同様に、映像を取得して分析する。車両番号を認識して、反対側から進入した車両の通過を確認する。特に、表示の変更に伴う、最終車両の通過確認に有効である。
10~20fpsでフレーム処理が行われるので、工事帯付近では時速30~40kmで走行するとしても、車両の進行距離は10m/秒程度になるので、車両の撮り逃しをすることがない。
【0021】
<誘導表示機>
誘導用の表示機2は、「進め」と「止まれ」を表示するもので、「青色」「◎」、「赤色」「×」など表示する。主自動誘導機と副自動誘導機では反対の表示を基本とし、表示を切り替えるとき双方が「止まれ」を表示して、片側通行規制区間KDを通過中の車両の通過を待って、切り替わるように制御される。
なお、交通信号の色は、外国では「進め」を「Green」と表現することがあるが、日本の道路交通法施行令や慣行に従って、「青」と表現することとする。
【0022】
<システム構成>
本発明の通行管理システムのシステム構成の例を図3図15に示す。
図3は、自動誘導機に本システムの制御部を持たせて、片側交互通行誘導を行う箇所単位で独立したシステムを示している。主副の自動誘導機及び緊急停止指示端末は、LANなどを介して結ばれている。図15は、センターサーバーにシステム制御部を持たせて、ネットワークを介して自動誘導機、緊急停止指示端末と連結するシステムである。
【0023】
図3に示す独立したシステムでは、主自動誘導機と副自動誘導機に制御部3を備えており、主自動誘導機側の制御部がシステムのメインの制御部の機能を果たしている。
主自動誘導機側のメインの制御部3は、第1工程処理部31~第5工程処理部35、誘導表示変更有無判断テーブル(TB1)36、表示変更フローテーブル(TB2)37、通信部4などを備えている。
副自動誘導機側の制御部3bは、第1工程処理部31b、第2工程処理部32b、通信部4を備えている。
制御部3はLANや無線LAN機器を介してカメラ11などのセンサから情報を入手して、画像識別を行い、交通信号機の色を識別し、待ち時間等の演算処理と誘導表示機2の表示を変更する必要があるか判断して、誘導表示の変更処理を行う。
なお、CPUやメモリ、GPU(画像認識処理用プロセッサ)などコンピュータとして当然に備えているデバイスは表示を省略している。
【0024】
図15に示す、センターサーバーによる制御システムでは、各自動誘導機はカメラや誘導表示機の付属機器及びセンターサーバーとの通信部機能を備えた制御部となる。各自動誘導機は、装備的には主副に区別する必要がなくなる。ただし、本明細書の説明は規制区間の端部に配置する自動誘導機を主副を用いて表現しており、図15のセンターサーバー方式の制御システムでも、便宜上適用できるものとする。
【0025】
本発明である片側交互通行管理システムの基本フローの例を図4に示す。
ステップ100:規制区間の端部に設置した誘導機10A、10Bを初期設定する初期設定工程(第1工程)。
このステップでは、対象となる片側通行規制区間KDに主副の自動誘導機を設置し、自動誘導するシステムの初期設定を行う。
第1工程はシステム起動時に1回だけ動作してシステムが使用する変数の初期値の設定を行う。したがってプログラムにより自動的に行われる処理である。ただし、TmaxやTM,TSの初期値については具体例では固定値としているが、事前に管理画面などを使って設定された値を使用することも可能である。
第1工程において、進入車両を特定するための領域及び交通信号機の有無を自動識別して、表示変更処理へ反映する。
【0026】
図6に第2工程に該当するステップ200が示されている。
ステップ200:規制区間の端部の情報を取得する情報取得工程(第2工程)。
このステップでは、主副の自動誘導機のカメラなどのセンサから得られた通行規制区間の情報を取得し、状況を把握する。
図7に第3工程に該当するステップ300が示されている。
ステップ300:規制区間の端部の待ち時間を調整する時間調整工程(第3工程)。
このステップでは、主自動誘導機あるいは副自動誘導機の前面に滞留する車両の待ち時間が想定時間よりも長くなった場合や左右の交通量の差が大きくなった場合などに、主自動誘導機あるいは副自動誘導機の表示する待ち時間を調整する。一方の待ち時間は他方の進入可を表示する時間である。
【0027】
図8図8-2に第4工程に該当するステップ400が示されている。
ステップ400:規制区間の端部の状況に応じて誘導機の表示を変更するタイプと変更フローの種別を特定する表示変更タイプ・変更フロー特定工程(第4工程)。
このステップでは、主自動誘導機あるいは副自動誘導機の前面の状況と交通信号の状態を用意されたテーブルに当てはめて、自動誘導機の表示を変更する必要があるか、表示を変更する場合の表示変更種別を、掲載された誘導表示変更有無判断テーブル(TB1)に照らして、特定する。自動誘導機の表示を変更する必要が無ければ、第2工程に戻る。
【0028】
第2、3、4工程はフレーム単位の処理として0.1秒以下の周期で処理が行われる。短時間でサイクル処理することにより、車両や交通信号の判別、表示機の表示を同じ時間軸を利用することができる。
【0029】
この第4工程では、あらかじめ準備されている誘導表示変更有無判断テーブル(TB1)から該当する升目が決定されるので、演算等の処理が不要であり、CPUの負担が小さく短時間で済む。
本発明では、所定の項目に関して想定される規制区間の端の状態を示した想定状況項目欄と誘導表示機の表示変更種別を設けたテーブルを誘導表示変更有無判断テーブル(TB1)としてあらかじめ準備するので、制御部の全体とCPUの負荷を小さくすることができる。
ステップ500:誘導機の表示機の表示を変更処理する表示変更工程(第5工程)。
このステップでは、前のステップで特定された表示変更種別が具体的にフローとして示した表示変更フローテーブル(TB2)にしたがって、主副の自動誘導機の表示機に対して、変更処理を行う。
なお、第5工程の処理は独立した処理として非同期に実行される。第4工程により起動され、処理が終了した場合は次に起動されるまで待ち状態になる。
【0030】
<誘導表示変更有無判断テーブル(TB1)(図11図14)>
各自動誘導機に対向する側に車両が存在するか否かが変化したか、または、交通信号機の状態が変化したか、または、各待ち時間(M-TIME、S-TIME)が規定値(TM、TS)を超えた時に、「誘導表示変更有無判断テーブル(TB1)」を用いて、表示変更の必要性と変更タイプを特定する。交通信号機がある場合を「誘導表示変更有無判断テーブル(TB1-A)」として図11に示している。交通信号機がない場合を「誘導表示変更有無判断テーブル(TB1B)」として図14に示している。
「誘導表示変更有無判断テーブル(TB1)」は、各自動誘導機側の車両の有無と変化、各誘導機側の信号機の状態と変化、各誘導機における渋滞待ち時間を組み合わせて作定されている。「誘導表示変更有無判断テーブル(TB1)」を調べ、該当欄にしたがって表示変化有無と変更種別の情報が得られる。
本発明では、自動誘導装置の表示を変更する必要のあるケースを予め「誘導表示変更有無判断テーブル(TB1)」にまとめたことが特徴の一つである。
想定外のことが発生した場合は、例外処理を行うこととなる。例外処理には、各自動誘導装置の表示を止まれにして、マニュアルにて状況を処理して再開することがあげられる。
「誘導表示変更有無判断テーブル(TB1)」の一例を図11に示す。
【0031】
<表示変更フローテーブル(TB2)>
自動誘導装置の表示を変更する必要があった場合は、その変更タイプに応じた表示変更フローにしたがった処理がなされる。表示変更フローテーブルの例を(図9)に示す。
この表示変更フローテーブルは、本例では、第5工程の具体的な表示変更フローに該当するので、以降に説明する。
【0032】
<片側交互通行管理システムのフロー例>
本システムの用語等の設定を次のようにする。
a1(台/s) 主自動誘導機側平均車両通過台数
a2(台/s) 副自動誘導機側平均車両通過台数
a0(台/s) 工事帯平均通過可能台数
TM(s) 主誘導機側停止待ち時間制限
TS(s) 副誘導機側停止待ち時間制限
a1*(TM+TS)=a0*TS
a2*(TS+TM)=a0*TM
TS=TM*(a1/a2)
A1、A2(台) 主or副の通過台数(実数カウント)
T1 初期時刻
T2 進行時刻
Tmax 待ち時間調整時間(例えば、30分を調整判断時間に設定)
M-TIME(s)主誘導機側停止待ち時間
S-TIME(s)副誘導機側停止待ち時間
M-TIME-1 主誘導機待ち時間始めの時刻
M-TIME-2 主誘導機待ち時間始めからの経過時刻
S-TIME-1 副誘導機待ち時間始めの時刻
S-TIME-2 副誘導機待ち時間始めからの経過時刻
TK(秒) 工事区間車両平均通過時間(工事区間は規制区間~対向交通信号機までの任意の距離に設定)(信号予測を行わない場合:TK=0とする)

主誘導機側情報:
主誘導機表示:止れ、進め
主誘導機側車両存在有無-現(現フレームの状態):有、無
主誘導機側車両存在有無-前(1つ前のフレームの状態):有、無
主誘導機側車両識別情報:車番(4桁の数字(1~9999))
主誘導機側信号機情報-現(現フレームの状態):青、赤
主誘導機側信号機情報-前(1つ前のフレームの状態):青、赤
主誘導機側停止待ち時間:M-TIME 単位:秒
主誘導機側停止待ち時間制限:TM 単位:秒
主誘導機側平均車両通過台数:a1(台/秒)

副誘導機側情報:
副誘導機表示:止れ、進め
副誘導機側車両存在有無-現(現フレームの状態):有、無
副誘導機側車両存在有無-前(1つ前のフレームの状態):有、無
副誘導機側車両識別情報:車番(4桁の数字(1~9999))
副誘導機側信号機情報-現(現フレームの状態):青、赤
副誘導機側信号機情報-前(1つ前のフレームの状態):青、赤
副誘導機側停止待ち時間:S-TIME 単位:秒
副誘導機側停止待ち時間制限:TS 単位:秒
副誘導機側平均車両通過台数:a2(台/秒)
【0033】
<両側に交通信号有の場合の処理フロー例>
図1に示す工事帯Kの両側に交通信号機6(6a、6b)がある道路Dに工事帯Kを含む部分を、片側通行規制区間KDとして設置し、両端に自動誘導機10、10を配置して片側交互通行誘導する片側通行管理システムの処理フローの例を示す。工事が行われる工事車線D1側に副自動誘導機10B、通行車線D2側に主自動誘導機10Aが設置されている。この主副は、便宜上の設定であり、どちらでもよい。
基本フローは、前述した図4に示す5つの工程を有する。
【0034】
<フローの具体例の第1工程(初期設定工程)>
第1工程である初期設定工程(ステップ100)の例を図5に示す。
この工程では、主副の自動誘導機に対して時刻設定、基本的な待ち時間の設定、交通信号の状態(交通信号機の有無も含む)、表示機の表示を設定する。初期状態においては、進入車両を認定する領域(図10に示す車両識別領域)及び交通信号機の有無が認定される。
【0035】
主自動誘導機側の設定を次のように行う。
ステップ101:通過台数カウンターの0設定。開始時刻の設定。待ち時間を調整する時間の設定。主副の自動誘導機の当初の待ち時間の設定。
主側の通過台数A1を0に設定(主側の通過台数のカウンターをA1=0)する。
初期時刻T1と進行時刻T2を現在の時刻に設定する。初期時刻T1はスタート時間で、固定され、T2は初期時刻からの経過時間を計算するために進行する時刻である。
主自動誘導機10A側の停止待ち時間制限TMと副自動誘導機10B側の停止待ち時間制限TSを最初は同じ時間(秒)に設定する。例えば、初期の停止待ち時間制限はTM=TS=40秒とする。
主副の停止待ち時間制限にアンバランスが生じた場合、アンバランスを調整する時間Tmaxを設定する。例えば、Tmax=1800秒(30分)に設定する。瞬間的なアンバランスを無視して、ある程度の間隔をおいて調整するようにする。例えば、1800秒間(30分間)は、表示機の表示を当初設定の40秒間隔で、赤青交互変更とする。
用語「停止待ち時間制限」は、車両側から表現した主あるいは副の自動誘導機によって、制限される時間のことであり、自動誘導機から表現すると、「止れ(赤)」、「進め(青)」を表示するために設定された時間を意味している。
【0036】
ステップ102:表示機の表示変更処理可能に設定、主副の自動誘導機側で停止している時間を0秒に設定する。
誘導表示切替フラグYudoFlag=0、M-TIME=0、S-TIME=0、と設定する。
YudoFlag=0は、表示機の表示変更が可能な状態であること示す。YudoFlag=1となった場合は、表示変更中であることを示す。「YudoFlag」は、表示変更処理中に次の表示変更処理を開始しないために利用する。
M-TIME=0、S-TIME=0は、主側と副側のスタート時点なので、待ち時間はまだ0であることを示す。
【0037】
ステップ103:主自動誘導機側の車両情報と交通信号の情報を設定する。
例えば、主側の車両の存在有無-前=無、主側の交通信号情報-前=青と設定する。この制御フローでは、前のフレームと比較して、情報に変更の有無があるか否かをキーにして、表示変更の必要性、待ち時間にアンバランスがあるかを検討することとしているので、このステップでは、スタートする前の状態を設定することとする。
【0038】
ステップ104:主自動誘導機の待ち時間の開始時間であるM-TIME-1、主自動誘導機の待ち時間の経過時間を示すM-TIME-2を現時刻に設定する。
M-TIME-2は更新される時刻であり、開始時刻であるM-TIME-1との差によって、主側で進行している具体的な待ち時間が算出される。
【0039】
ステップ105:主自動誘導機の表示機を止まれに設定する。
【0040】
ステップ106~109では、副自動誘導機に対して、主自動誘導機の初期設定と同様の設定がなされるので、説明は省略する。
【0041】
<フローの具体例の第2工程(両端情報収集工程)>
第2工程(図6参照)は、自動制御が発動して、主自動誘導機10Aと副自動誘導機10Bに取り付けられているカメラからの映像を入手して、画像処理し、車両の有無、交通信号機6a、6bの状態を0.1秒以下/1フレームの短時間で処理する。
【0042】
ステップ201では、主側のカメラから画像を取り込む。
ステップ202では、取り込んだ主側の画像の認識処理を行う。画像処理の方法は、図10を例にして前述した映像処理によって行われる。
この映像処理に基づいて、車両の有無、交通信号の赤/青を取得する。なお、交通信号機がない場合は、常に青として認識することとする。
ステップ203では、現在認識された車両の車番X105がTmaxなどで規定される過去の一定時間内に出現していない車番であった場合、主の通過台数A1に1を加えて、通過台数にカウント(A1=A1+1)する。このようにして、主側の通過台数A1はフレームごとに車番を判断して、更新される。
【0043】
ステップ204~ステップ206によって、副自動誘導機10B側のカメラから得られる画像についても、同様に処理される。
ステップ207で、副自動誘導機10B側で取得された情報を主自動誘導機10Aへ送信する。
ステップ208では、主自動誘導機10Aが副側からの情報を取得し、取得したことを副自動誘導機10Bに返し、副自動誘導機10Bでは、ステップ210で返答があったことを確認して、ステップ204に戻り、次のフレームの処理に入る。
なお、主自動誘導機のフレーム処理間隔と副自動誘導機のフレーム処理間隔の同期は、ステップ207~210の部分の処理によって取られている。
第2、3、・・・・と続くフレームの処理のエントリーは、ステップ201(主自動誘導機)、ステップ202(副自動誘導機)となる。
主自動誘導機の処理は第2、3、4工程が1フレーム分の処理となりエントリーポイントに戻ることになる。副自動誘導機の場合は第2工程のみを繰り返すことになる。
また、フレーム処理間隔は、主自動誘導機の第2、3、4工程の処理にかかる時間によって規定されることになるので、厳密には一定の時間(例えば100ミリ秒)にはならないが、フレームによる変動幅は1ミリ秒程度と考えられる。このために待ち時間の計算では現時刻とスタート時刻の差として計算することにより正確な時間を求めている。
ステップ211では、主自動誘導機10Aにおいて、進行時刻T2を現時刻に合わせる。これによって、一つのフレーム時刻が確認される。
【0044】
<フローの具体例の第3工程(待ち時間調整工程)>
この第3工程(図7参照)では、主側と副側の交通量(待ち時間)のアンバランスを確認して、必要な調整を行う。
【0045】
ステップ301では、進行時刻T2と初期時刻T1を比較して、その時点での待ち時間を算出し、それが待ち時間調整時間Tmaxを超えるか否かを判断する。
Tmaxを超えていない場合は、第4工程へ進み、表示変更の必要性について判断することとなる。
Tmaxを超過した時点で、待ち時間の制限値を調整するための観察期間となり、待ち時間の調整工程に入る。
ステップ302では、主自動誘導機側平均車両通過台数a1及び副自動誘導機側平均車両通過台数a2を算出する。算出は、a1=A1/(T2-T1)、a2=A2/(T2-T1)とする。
【0046】
ステップ303では、主誘導機側平均車両通過台数a1が副誘導機側平均車両通過台数a2より多いか否かを判断する。多い場合は、ステップ304でその程度を判断し、少ない場合はステップ305でその程度を判断し、その程度に応じて主副の待ち時間の調整を行う。
本例では、そのアンバランスの程度を0.5(p=0.5)とした。このアンバランスの程度は、任意である。
ステップ304では、a2/a1がp(0.5)よりも小さい場合は、ステップ306へ進み主側の待ち時間TMを当初の40秒から半減して20秒に設定し、副側の待ち時間TSは初期の40秒を維持する。a2/a1がp(0.5)よりも小さくない場合は、ステップ307へ進み主側の待ち時間を当初の40秒にa2/a1を乗じて調整し、副側の待ち時間は、初期の40秒を維持する。
このステップ304の場合は、副側から進入する車両数が主側から進入する車両数より少ないことを意味しているので、副側の待ち時間を当初のままとし、主側の待ち時間TMを当初よりも少なくする方向で調整している。
なお、副側の待ち時間を一定とし、主側の待ち時間を可変に調整したが、逆とすることもできる。この調整方式は、本システムを適用する道路の交通事情や待たされるドライバーの心理などを考慮して、設定することができる。ここでは、ドライバー心理として、待ち時間を延ばさないように調整することにした。
【0047】
ステップ303において、主自動誘導機側平均車両通過台数a1が副自動誘導機側平均車両通過台数a2より多くない、すなわち、少ない場合に該当したステップ305では、a1/a2がp(0.5)よりも小さい場合はステップ308へ進み、主側の待ち時間TMを当初の40秒に維持し、副側の待ち時間TSを半減させた20秒に設定する。a1/a2がp(0.5)よりも小さくない場合は、ステップ309へ進み副側の待ち時間を当初の40秒にa1/a2を乗じて調整し、主側の待ち時間は、初期の40秒を維持する。
このステップ305~309では、前述したステップ304~307と主副が入れ替わった調整が行われる。
【0048】
ステップ310では、A1=0、A2=0に設定して、主側と副側の通過台数のカウントをリセットする。続いて、ステップ311では、T1とT2を現在の時刻にリセットする。ステップ310、311では、主副の待ち時間の調整が行われたので、通過台数と時刻がリセットされる。
第3工程が終了し、第4工程へ入る。
【0049】
前述したようにステップ301では、進行時刻T2と初期時刻T1を比較して、その時点での待ち時間を算出し、それが待ち時間調整時間Tmaxを超えていない場合は、主副の待ち時間を調整せず(ステップ302~311をパス)第4工程へ進むこととなる。
主副の通過台数(A1、A2)及び時刻(T1、T2)は継続されることとなる。
【0050】
<フローの具体例の第4工程(表示変更タイプの特定工程)>
この工程(図8-1、図8-2参照)では、前のフレームと情報に変化があるか否かを判断し、その変化を示すテーブルTB1へアクセスして、自動誘導機10の表示を変更するタイプに該当した場合は、表示変更種別を特定する。この工程では、前フレームと現フレームにおいて状況の変化が認められたケースを一覧表に準備してあるので、速やかに該当ケースと表示変更種別が特定される。
【0051】
ステップ401では、M-TIME-2(主誘導機待ち時間始めからの経過時刻)とS-TIME-2(副誘導機待ち時間始めからの経過時刻)を現在の時刻に設定する。この設定によって、M-TIME-1(主誘導機待ち時間始めの時刻)又はS-TIME-1(副誘導機待ち時間始めの時刻)からの経過時間を求めることができる。
ステップ402では、主側の表示が止まれで、主側に現在車両が有るか否かを判断し、YESの場合は、ステップ403でM-TIME(s)(主誘導機側停止待ち時間)をM-TIME-2とM-TIME-1の差から求める。
NOの場合は、ステップ404へ移行して、副側の表示と車両の存在を判断する。YESの場合は、ステップ405でS-TIME(s)(副誘導機側停止待ち時間)をS-TIME-2とS-TIME-1の差から求める。NOの場合は、ステップ406へ移行する。
【0052】
ステップ406~409は、主副の自動誘導機側の状況が前のフレームと同じであったか否か(変化の有無)を判断する工程である。
ステップ406では主側の交通信号、ステップ407では副側の交通信号、ステップ408では主側の車両、ステップ409では副側の車両について、それぞれ前フレームとの異同を判断する。
【0053】
ステップ410、411では、主副側の待ち時間(M-TIME(s)、S-TIME(s))が、主副自動誘導機に設定されている停止待ち時間(TM(s)、TS(s))を超えているか否かを判断する。
【0054】
ステップ406~409において、前フレームと状況が変わっておらず、ステップ410、411において、待ち時間が止まれの設定時間以内にある場合は、ステップ412へ移行して、現フレームでは自動誘導機の誘導表示機の表示変更不要として、ステップ414へ移行する。
【0055】
ステップ406~409において、前フレームと状況が変わっているか、またはステップ410、411において、待ち時間が止れの設定時間を超えている場合は、ステップ413へ移行して、変更項目を一覧表に示した「誘導表示変更有無判断テーブル(TB1)」(図11-1、図11-2参照)から該当欄に当てはめて、自動誘導機の誘導表示機の表示を変更するか否かと、変更種別を特定する。
【0056】
ステップ414~422は、次のフレーム処理を行う準備ステップである。
ステップ414では、主側に車両が現フレームでは存在し前フレームでは存在せず、止まれの表示であるか否かを判断し、YESの場合は、ステップ415へ移行して、待ち時間に関するファクター(M-TIME、M-TIME-1、M-TIME-2)をリセットするために、M-TIME=0、M-TIME-1とM-TIME-2を現時刻に設定する。
副側についてもステップ416、417において主側と同様の処理を行う。
ステップ418では、交通信号について現フレーム情報を前フレーム情報に設定する。
ステップ419では、自動誘導装置の表示を変更する必要があるか否かを判断し、不要であれば、第2工程へ戻る。必要であればステップ420へ移行して、YudoFlagが0か否かを確認して、「0」でない場合、すなわち、表示変更処理中であれば、新たな表示変更要求は受け入れられずに、第2工程へ戻り、次のフレーム処理を行う。
YudoFlagが「0」であれば、ステップ420において、「1」を立てて、誘導表示を変更するフロー中につき、新たな誘導表示変更は受け付けられないことを示す。そして、ステップ422へ移行して、誘導表示切替処理を非同期処理として起動する。誘導表示変更は第5工程で行われる。
【0057】
<フローの具体例の第5工程(誘導表示機の変更処理工程を示すフロー)>
この工程では、第4工程において、誘導表示変更有無判断テーブル(TB1)において、表示変更が特定されたフローにしたがって、表示変更処理が行われる。この処理フローを表示変更フローテーブル(TB2)として示す。この表示変更フローは、非同期処理として行われ、終了後にYudoFlagを「0」として、新たに表示変更処理が可能になったことを返す。
本例では、8種類の表示変更フローを示すが、これに限るものではない。枝道などの存在によって、その事例に応じたフローが準備されることとなる。
【0058】
<「誘導表示変更有無判断テーブル(TB1)」を用いた誘導装置の表示変更(交通信号有)>
本例では、主自動誘導機側/副自動誘導機側の車両の有無、主自動誘導機/副自動誘導機の表示、車両の渋滞待ち時間超過の有無(1台でも停止車両があれば渋滞と定義し、車両の渋滞待ち時間が制限を超えたか否か)の5つの項目と主側と副側の交通信号の状態を加味して、誘導表示機の現在の表示を変更する必要があるか(あるいは変更可能か)をマトリックスから求めた。マトリックス自体は高次になるので「誘導表示変更有無判断テーブル(TB1)」(図11-1、図11-2参照)に表示変更ケースをまとめて示す。本例のケースでは、表示変更は8種類になり、表示変更種別0~7としてある。項目数や片方にのみ交通信号がある場合、枝道がある場合、交通信号がない場合など条件に応じて、表示変更種別が異なることとなり、条件に応じた表示変更判断テーブルを準備することとなる。どちらかまたは両側に信号機が存在しない場合、存在しない側の信号機の色を常に青とすることにより本例のテーブルをそのまま使用することも可能である。
【0059】
例えば、最初の表示変更種別0では、主自動誘導機側に車両が存在・副自動誘導機側に車両が存在、主自動誘導機表示が止れ(赤)・副自動誘導機表示が進め(青)、主側の渋滞待ち時間が所定時間よりを超過している状態であって、交通信号に変化がなく・副信号機が青の時は、副の表示を「青」→「赤」、主の表示を「赤」→「青」(ただし、主表示は副側からの車両の通過を確認後)に変更する。
この状態では、両側に車両が存在して、主自動誘導機側の停止時間が所定のTM(例えば初期設定の40秒)を超えている状態であって、副信号機が青になっているので、主自動誘導機側から車両を進入させても、副信号機前で渋滞を発生することがないので、副側から通過する車両の通過を待って(確認)して、主自動誘導機の表示を赤から青に変更することができる。そして、副自動誘導機は青表示を赤表示に変更する。
【0060】
例えば、表示変更種別2では、主自動誘導機側に車両が存在・副自動誘導機側に車両が存在、主自動誘導機表示が止れ(赤)・副自動誘導機表示が進め(青)、主副側とも制限時間を超える渋滞待ちがない状態であって、主側の交通信号が青から赤に変化した場合には副交通信号の青/赤によって変更の方法を変える必要がある。
副交通信号機が赤の時は、主自動誘導機側から車両を進行させると副側交通信号機の前で渋滞して、規制区間も通行できなくなる恐れがあるので、主自動誘導機の表示は変化させずに赤を維持する。主側交通信号が赤に変化したので、副自動誘導機側から車両の進入を続けると、主側交通信号機の前で渋滞して、規制区間も通行できなくなる恐れがあるので、副自動誘導機表示を進め(青)から止れ(赤)に変更する。
副交通信号機が青の時は、主自動誘導機側から車両を進行させても副側交通信号機の前で渋滞することがない。一方、副自動誘導機側から車両に進入を続けると、赤信号に変化した主側交通信号機の前で渋滞する危険があるので、副自動誘導機の表示を赤に変更する。このケースでは、副の表示を「青」→「赤」、主の表示を「赤」→「青」(ただし、主表示は副側からの車両の通過を確認後)に変更する。
【0061】
このように、主副の自動誘導機前に車両が存在するか否か、存在した場合停止時間が超過しているか、赤の交通信号に捕まって渋滞を生じないかなどを評価して、片側通行を円滑に誘導できる表示変更種別を一覧表にまとめる。フレーム処理による状態把握と前後のフレーム比較による時間的観察をした結果をこの一覧表を準備することにより、表示変更の判断に高次で複雑な演算処理を行う必要がなくなる。
【0062】
<交通信号変わり目の誘導表示調整の例>
前記した交通信号が青から赤に変化する変わり目に、青信号に向かって車両の進入を続けた場合(誘導表示を青に維持した場合)は、変化した赤信号の前で渋滞が発生し、対向車線側から車両を進入させることができなくなる例と、信号の変わり目を予測して誘導表示を変更することによる改善例を図12、13に示す。
【0063】
図12は、副側の交通信号が青から赤に変化した変わり目に発生する不都合な状態を説明している。
(a)に両側に交通信号機があって、副側の交通信号が青、主側の交通信号が赤、主自動誘導機の表示が青(進め)、副自動誘導機の表示が赤(止れ)である状態で、副側の交通信号が赤に変化するという設定がされている。この状態で、副側の交通信号が赤に変化した状況が(b)であり、副側の信号の赤変化に連動して主自動誘導機の表示も赤(止れ)になっている。
(b)に示すように、(a)で通過中の5台の車両が、副側の交通信号機から副自動誘導機の間に渋滞しており、副自動誘導機の表示を青に変更しても、副側からは規制区間を通過できない状況となり、副側の信号機が青に変化するまで、解消されないこととなる。
【0064】
図13は、図12(b)に示すような左右どちらにも通行できない詰まった渋滞が発生することを防止するために、交通信号の変化を予測して、通過に要するTK(秒)分早めに主自動誘導機の表示を青から赤に変更する制御を行うことを示している。これによって、副側の信号機の前には2台の車両が止まることとなり、副自動誘導機の表示を青に変更すると、副側の停車車両は通過できることとなる。
TK(秒)は、自動誘導機(停止線)から対向する信号機までの距離(あるいは、規制区間以上で信号機までの任意の距離も可能)を車両が通過に要する時間(秒)である。時速36Kmで規制区間を走行すると、1m/0.1秒で進み、距離を50mとするとTKは5秒となる。
【0065】
<表示変更フロー(交通信号有)について>
「誘導表示変更有無判断テーブル(TB1)」(図11-1、図11-2)に示された8つの表示変更種別を具体的に変更する処理フローが前述した第5工程となる(TB1テーブルが大きくなったので、4段構成として、2つに分けて図示している)。図9に、この処理フローを示し、このフローは非同期処理として実行されるが一応500番台のステップを当てはめてある。なお、図9に示す処理フローが表示変更フローテーブル(TB2)に該当する。
ステップ501で誘導表示の切り変えが始まる。
ステップ502では、表示変更種別を「誘導表示変更有無判断テーブル(TB1)」から入手し、次の段階で特定されたステップで8種類のうちのいずれかの表示変更種別のフロー処理が行われることとなる。これらのステップが終了したのち、ステップ540に至って、YudoFlag=0として、新たに表示変更処理ができる状態に戻る。
【0066】
例えば、表示変更種別0のフローは次のようになる。
なお、図9に示すフローチャートでは「進め」、「止れ」と表記しているが、説明では、以後「青」、「赤」を使用する。
ステップ503:副側の交通信号が青であるか確認する。
ステップ504:青である場合は、副自動誘導機の表示を「青(進め)」から「赤(止れ)に変更する。
ステップ505:副自動誘導機の前を最後に通行した車両の車番と一致する車番の車が主自動誘導機の前を通過するまで待つ。
ステップ506:主自動誘導機の表示を「赤」から「青」に変更する。
ステップ507:主自動誘導機側の時間をリセットする。M-TIME=0、M-TIME-1、M-TIME-2を現時刻に設定。
ステップ539:表示変更終了。
なお、ステップ503で副側の交通信号が青でないとき(赤)は、主副自動誘導機の表示は変更せずに、ステップ539からステップ540に移行する。
【0067】
例えば、表示変更種別2のフローは次のようになる。この表示変更種別2では、前述したように副側の交通信号が赤か否かで、表示変更が分かれる。
ステップ513:副側の交通信号が赤か否かを確認する。赤である場合はステップ514へ進み、赤でない場合はステップ516へ進む。
ステップ514:副自動誘導機の表示「青」を「赤」にする。
ステップ515:副自動誘導機の前を最後に通行した車両の車番と一致する車番の車が主自動誘導機の前を通過するまで待って、ステップ539へ進んで終了する。
【0068】
ステップ516:副自動誘導機の表示「青」を「赤」にする。
ステップ517:副自動誘導機の前を最後に通行した車両の車番と一致する車番の車が主自動誘導機の前を通過するまで待つ。
ステップ518:主誘導機の「赤」になっていた表示機の表示を「青」にする。
ステップ539へ進んで終了する。
【0069】
<「誘導表示変更有無判断テーブル(TB1B)」を用いた自動誘導機の表示変更(交通信号無)>
工事区間に隣接した交通信号がない場合の誘導表示変更種別を示した「誘導表示変更有無判断テーブル(TB1-B)」を図14に示す。本例は、図11-1、図11-2に示した「誘導表示変更有無判断テーブル(TB1)」において、交通信号がすべて青になっている状態の表示変更に該当する。表自体は、TB1の交通信号に関する部分を除いた記載となる。表示変更は、2種類で、表示変更種別0と表示変更種別1である。
【0070】
表示変更は、最初の表示変更種別0を例にとると次のようになる。
主自動誘導機側に車両が存在・副自動誘導機側に車両が存在、主自動誘導機表示が止れ(赤)・副自動誘導機表示が進め(青)、主側の渋滞待ち時間が所定時間を超過している状態であって、副の表示を「青」→「赤」、主の表示を「赤」→「青」(ただし、主表示変更は副側からの車両の通過を確認後)に変更する。
この状態では、両側に車両が存在して、主自動誘導機側の停止時間が所定のTM(例えば初期設定の40秒)を超えている状態であるので、これを解消するために主表示を青に変更し、副表示を赤に変更して、主側の渋滞を緩和する誘導表示変更を行う。
【0071】
例えば、表示変更種別1では、主自動誘導機側に車両が存在、副自動誘導機側に車両が存在、主自動誘導機表示が進め(青)、副自動誘導機表示が止れ(赤)、副自動誘導機側の停止時間が所定のTS(例えば初期設定の40秒)を超えている状態であるので、これを解消するために主表示を赤に変更し、副表示を青に変更(ただし、主側からの車両の通過を確認後)して、副側の渋滞を緩和する誘導表示変更を行う。
【0072】
本発明は、0.1秒以下の短時間に獲得するフレーム映像を画像処理して、前後の比較を連続して行うことにより、工事区間の左右端の状況を正確に把握できる。フレーム処理により、接近及び通過する車両の車番による管理、時間管理、停止時間管理など、基本管理情報を得ることができる。
また、本発明は、工事区間の左右での待ち時間の差が発生した場合に誘導表示を変更するシステムである。
また、工事区間の左右端の待ち時間の差が大きくなると、左右の基礎的な待ち時間を自動的に調整するシステムである。
また、変更種別を予め準備したテーブルを用いて、誘導表示変更種別を特定するので、演算負担が少なく、システム負荷が小さい。
また、誘導表示種別によって特定された簡便なフロー処理ができるので、次の変更処理が必要になっても、障害の可能性が小さい。
【0073】
予告表示処理、緊急停止処理、枝道処理に関し、以下に独立項目として説明し、これらの処理を取り込んだ全体フローを図19図22-2に示す。
<予告表示処理>
予告表示は、「進め」と「止れ」を示す主自動誘導機、副自動誘導機の表示を変更する際に、「点滅」などの表示を行って、間もなく表示変更が行われることを、知らせるものである。
図17に予告処理を示すメインフローを示す。
この予告処理は、図9に示す、ステップ503やステップ508などに引き続いて行われるものである(図22-1、図22-2参照)。
ステップP101において、予告表示処理が開始される。
ステップP102において、一定時間予告表示を行う。表示は、「点滅」等である。時間は2~3秒である。予告表示は、「進め」、「止れ」の一方又は双方とすることができる。
ステップP104において、終了して、ステップ504やステップ509に移る。
この予告処理は、図22-1、図22-2に示されている表示変更フローテーブル(TB2の2)に示されており、後段で再度言及する。
【0074】
<緊急停止処理>
緊急停止処理は、緊急車両や工事車両の出入り、規制区間内で自動誘導機による誘導表示を中止する事情がある場合に、緊急停止指示用の端末から緊急停止指示を行って、自動誘導機の表示を「止れ」にし、中止する事情が解消したときに、緊急停止指示用の端末から、解除指示を行って、自動誘導機による誘導表示を再開するものである。
この処理は、マニュアルでシステムに割り込み介入するものである。再開は、停止時から再開するか、規制区間の端部の渋滞状況を加味して、再開することができる。
緊急停止処理のメインフローを図17-1に示し、緊急停止用端末の操作(a)、緊急停止対応フロー(b)としている。
交通誘導員などが携帯している緊急停止指示用端末1Eから、緊急停止指示を知らせるスイッチ等を押すと、「緊急停止指示=1」の処理が行われる。
また緊急停止終了を知らせるスイッチ等を押すと「緊急停止指示=0」の処理が行われる。
緊急停止対応フロー(b)は、図22-1、図22-2の表示変更フローにおいて誘導表示の変更処理が行われている間に緊急停止指示を知らせるスイッチ等が押された場合に対応するものである。通常、誘導表示変更処理は一旦主/副の表示を止れ/止れとして工事帯を通過中の車両が全て通過し終わってから変更後の表示にするのであるが、途中で緊急停止指示が操作された場合は止れ/止れの状態で緊急停止が解除されるまで待つ必要がある。
【0075】
緊急停止表示のフローの例を示すフロー700を図17-2に示す。
図17-2に示すフローでは、図21-3に示すステップ418-9の[緊急停止処理]が示されている。
ステップ418-2において緊急停止指示が行われていると判断された場合に実行される。ただし誘導表示の変更処理が行われている場合はそれが終了するまで待たされることになる。ステップ700において、緊急停止処理が開始される。
ステップ701において、緊急停止指示フラグが立っているか否かが判断され、立っている場合はステップ702へ移り、主副の誘導表示を止まれにする。そして、「進め」だった情報を「進め情報保存」に」保存する。
ステップ703に移り、緊急停止指示フラグを確認し、Nであれば、ループして。主副の誘導表示のとまれを継続する。Yの場合は、保存した「進め情報」に基づいて、主又は副の誘導表示を進めにして、ステップ705へ移り、緊急停止表示処理フローを終了し待ち状態となる。
なお、ステップ701において、緊急停止指示フラグが立っていない場合はステップ705へ移り、緊急停止表示処理フローを終了し待ち状態となる。
待ち状態となる直前にYudoFlag=0にする処理を行う。
【0076】
<枝道処理>
枝道処理に伴う誘導機の表示変更のフローの例を示すフロー600を図18に示す。
この処理は、メインフロー ステップ405-2以下(図21-1)で枝道の渋滞時間が計算され、ステップ412-2(図21-2)以下で枝道の表示を変更するかどうかが判断され、ステップ418-3(図21-3)以下で枝道の表示変更が起動されて、独立した処理として、枝道から通行を許可する誘導機の表示変更が行われる。
ステップ601において、枝道誘導表示切替処理が開始される。
ステップ602において、対象となる枝道が特定される。
ステップ603において、主副の誘導表示を止まれ、枝道通行を許可する制御を行う。
(1)誘導表示(主/副)を‘止れ’にする。
‘進め’だった情報を‘進め情報保存’に保存する。(主/副/無)
‘進め’から‘止れ’に変更する場合は予告表示後変更する。
(2)車番認識機能を使って工事帯に進入した全ての車両が工事帯から退出するまで待つ。
(3)枝道nの誘導表示を‘止れ’から‘進め’に変更する。
(4)‘枝道n車両存在有無-現’が‘有’から‘無’に変化するかまたは一定時間経過するまで待つ。
(5)枝道nの誘導表示を予告表示後‘止れ’にする。
(6)車番認識機能を使って工事帯に進入した全ての車両が工事帯から退出するまで待つ。
(7)‘進め情報保存’に従って主または副誘導機の誘導表示を‘進め’に変更する.‘無’の場合は何もしない。
ステップ604において、枝道通行指示=0として、ステップ605で終了し、ステップ606でYudoFlag=0とする。
【0077】
<予告表示処理、緊急停止処理、枝道処理を含む片側交互通行誘導フロー>
予告表示処理、緊急停止処理、枝道処理を含む片側交互通行を誘導するフローを図19図22-2に示す。このフローは、図4図9に示すフローと共通しており、枝番をつけて、追加されたステップを説明している。重複する共通部分については、説明省略することがある。
図4に記載される第1工程~第5工程を同様に有する。
【0078】
図19は、初期設定工程である第1工程を示している。図5に対して、枝道に設置する副自動誘導機を追加している。交通誘導する枝道が複数ある場合は、それぞれに設置された副自動誘導機の初期設定を行う。枝道用の副自動誘導機の初期設定は、副自動誘導機と基本は同様である。
ステップB101~B105では、枝道nに設置されている副自動誘導機に対して、副自動誘導機の初期設定と同様の設定がなされる。初期の待ち時間は主副と同様にTE=40秒としてもよいが、枝道の待ち時間を長くすることもできる。
【0079】
図20は、規制区間の端部の情報を取得する情報取得工程(第2工程)であり、図6に対して、枝道の情報取得を追加している。枝道では交通信号機が使用されないとして、情報を取得することとし、ステップ202、205と同様の内容となる。情報取得工程は、ループして継続している。
枝道の情報は、主自動誘導機に吸い上げられて、処理される。
【0080】
図20-2は、規制区間の端部の待ち時間を調整する時間調整工程(第3工程)であり、図7と同様である。規制区間に進入した車両の一部は枝道から抜ける可能性があるが、枝道の通行量は通常少ないため大きな問題はないとしている。
【0081】
図21-1、図21-2、図21-3は、規制区間の端部の状況に応じて誘導機の表示を変更するタイプと変更フローの種別を特定する表示変更タイプ・変更フロー特定工程(第4工程)を示している。図8-1、図8-2に対応しており、緊急停止指があった場合の判断と枝道の交通誘導の判断が追加されている。
ステップ405-2~405-7に枝道の渋滞時間を算出する工程が追加されている。
ステップ411-2~411-6に枝道の表示を変更するか否かを検討する工程が追加されている。
ステップ417-2~417-7に枝道の渋滞時間を計算するためのタイマーリセット処理が追加される。
ステップ418-2~418-9に緊急停止指示の有無を判断し、緊急停止処理フロー700を起動させる工程と、枝道の通行を進めにするか判断し、枝道誘導表示切替処理フロー600を起動させる工程が追加される。
【0082】
前段階(401から405)で主副側に待ちの車両があるか判断したのち、枝道の車両の渋滞時間を算出するステップ405-2に移る。
ステップ405-5で枝道の副自動誘導機の表示が「止れ」で枝道に車両が存在しているとき、ステップ405-6において、En-TIME(s)(枝道の副誘導機側停止待ち時間)をEn-TIME-2とEn-TIME-1の差から求める。NOの場合は、ステップ406へ移行する。複数の枝道がある場合は、枝道の本数分ループする。
その後、主副の交通信号の状態を確認するステップ406へ移る。
【0083】
ステップ410、411で、主副側の待ち時間(M-TIME(s)、S-TIME(s))が、主副自動誘導機に設定されている停止待ち時間(TM(s)、TS(s))を超えているか否かを判断している。続けて、ステップ411-2~411-6で、枝道の停止時間((EnTIME(s)が、枝道の副自動誘導機に設定されている停止待ち時間(TEn(s))を超えているか否かを判断(ステップ411-4)し、待ち時間を超過している場合は、ステップ411-6で、表示変更する枝道を特定して、ステップ414へ続ける。複数の枝道がある場合はステップ411-5に移って、順次停止待ち時間が計算される。若い番号の枝道で停止時間が超過している場合は、そこで、表示変更処理へ移行する。
【0084】
ステップ417-5では、枝道側に車両が現フレームでは存在し前フレームでは存在せず、止まれの表示であるか否かを判断し、YESの場合は、ステップ417-6へ移行して、待ち時間に関するファクター(En-TIME、En-TIME-1、En-TIME-2)を現時刻に設定して、リセットする。枝道が複数ある場合は、ステップ417-7でループ処理される。
【0085】
ステップ418-2で緊急停止指示があるか否かを判断し、ある場合は、緊急停止処理に伴う表示変更フローを起動させる。
次に、ステップ418-3で枝道の通行指示があるか否かを判断し、ある場合は、枝道誘導表示切替処理に伴う表示変更フローを起動させる。
緊急停止処理、枝道処理の判断の後、ステップ419に移る。
【0086】
図22-1、図22-2は、第5工程に当たり、誘導表示機の変更処理工程を示すフローが「表示変更フローテーブル(TB2の2)」である。図9に対応する。
表示変更するにあたり、予告表示を導入し、緊急停止対応を割り込み処理するタイミングとして、既存の進め表示にしたがって通行する最後の車両の通過を待って緊急停止対応を追加している。
予告表示は、ステップ503-2、508-2、513-2、513-3、519-2、519-3である。
緊急停止は、ステップ505-2、510-2、517-2、523-2、525-2、582-2、502-3、502-3、532-2、536-2に追加される。
【符号の説明】
【0087】
1・・・ 情報センサ
10・・・自動誘導機(ATSA)
10A・・主自動誘導機
10B・・副自動誘導機
10E・・副自動誘導気(枝道用)
11・・・カメラ
2・・・誘導表示機
21・・緊急停止指示用端末
3・・・制御部
31・・第1工程処理部
32・・第2工程処理部
33・・第3工程処理部
34・・第4工程処理部
35・・第5工程処理部
36・・誘導表示変更有無判断テーブル(TB1)
37・・表示変更フローテーブル(TB2)
4・・・通信部
6、6a、6b・・・交通信号機
71・・車両識別領域
X101・・交通信号機
X102・・接近車両識別用領域
X103・・バウンディングボックス
X104・・バウンディングボックスの下辺の中点
X105・・車番
X106・・停止線

Ca、Cb・・・車両
K・・・・工事帯
KD・・・片側通行規制区間
D1・・・工事車線
D2・・・通行車線
D・・・道路
E‥枝道
a0・・・工事帯平均通過可能台数(台/s)
a1*(TM+TS)=a0*TS
a2*(TS+TM)=a0*TM
TS=TM*(a1/a2)
A1、A2(台) 主or副の通過台数(実数カウント)
T1 初期時刻
T2 進行時刻
Tmax 待ち時間調整時間(例えば、30分を調整判断時間に設定)
TK・・・工事区間車両平均通過時間(秒)(信号予測を行わない場合:TK = 0とする)

M-TIME・・・主誘導機側停止待ち時間(秒)
M-TIME-1・・・主誘導機待ち時間始めの時刻
M-TIME-2・・・主誘導機待ち時間始めからの経過時刻
TM・・・主誘導機側停止待ち時間制限(秒)
a1・・・主自動誘導機側平均車両通過台数(台/秒)

S-TIME・・・副誘導機側停止待ち時間(秒)
S-TIME-1・・・副誘導機待ち時間始めの時刻
S-TIME-2・・・副誘導機待ち時間始めからの経過時刻
TS・・・副誘導機側停止待ち時間制限(秒)
a2・・・副自動誘導機側平均車両通過台数(台/秒)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図9
図10
図11-1】
図11-2】
図12
図13
図14
図15
図16-1】
図16-2】
図17
図17-1】
図17-2】
図18
図19
図20-1】
図20-2】
図21-1】
図21-2】
図21-3】
図22-1】
図22-2】