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特許7041777制御装置、発電システム、及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】制御装置、発電システム、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20220316BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
H02J3/38 110
H02J3/14
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021120831
(22)【出願日】2021-07-21
【審査請求日】2021-07-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 哲理
(72)【発明者】
【氏名】山本 有途
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 歩夢
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-158069(JP,A)
【文献】特開平09-285017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統からの受電電力を一定に制御する受電電力一定機能を有し、発電電力を一定に制御する発電電力一定機能を有さない発電機を制御する制御装置であって、
前記発電機の発電電力目標値、現在の電力系統からの受電電力の値である受電電力現在値、及び現在の前記発電機の発電電力である発電電力現在値を受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記目標値、前記受電電力現在値、及び前記発電電力現在値を用いて、前記発電機を制御するための制御値を演算する演算部と、
前記演算部により演算された前記制御値を、前記発電機に出力する出力部と、
を備え
前記演算部は、前記受電電力現在値を置き換える受電電力模擬値を前記制御値として演算し、
前記受電電力模擬値は、発電電力を制御するための前記発電電力の目標値から発電電力現在値を減算し、前記受電電力一定機能で設定されている受電電力目標値を加算することにより演算される制御装置。
【請求項2】
発電電力を一定に制御する発電電力一定機能を有し、電力系統からの受電電力を一定に制御する受電電力一定機能を有さない発電機を制御する制御装置であって、
電力系統からの受電電力の目標値、現在の電力系統からの受電電力の値である受電電力現在値、及び現在の前記発電機の発電電力である発電電力現在値を受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記目標値、前記受電電力現在値、及び前記発電電力現在値を用いて、前記発電機を制御するための制御値を演算する演算部と、
前記演算部により演算された前記制御値を、前記発電機に出力する出力部と、
を備え
前記演算部は、前記発電電力を指示する発電電力指示値を前記制御値として演算し、
前記発電電力指示値は、発電電力現在値に受電電力現在値を加算し、前記受電電力の目標値を減算することにより演算される制御装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記発電機に対して後付け可能な構造とされている請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載された制御装置と、
発電機と、
を備えた発電システム。
【請求項5】
電力系統からの受電電力を一定に制御する受電電力一定機能を有し、発電電力を一定に制御する発電電力一定機能を有さない発電機を制御する制御装置のコンピュータに、
前記発電機の発電電力の目標値、現在の電力系統からの受電電力の値である受電電力現在値、及び現在の前記発電機の発電電力である発電電力現在値を受信し、
受信した前記目標値、前記受電電力現在値、及び前記発電電力現在値を用いて、前記受電電力現在値を置き換える受電電力模擬値を演算し、
演算した前記受電電力模擬値を、前記発電機に出力し、
前記受電電力模擬値を、発電電力を制御するための前記発電電力の目標値から発電電力現在値を減算し、前記受電電力一定機能で設定されている受電電力目標値を加算することにより演算する処理を実行させるプログラム。
【請求項6】
発電電力を一定に制御する発電電力一定機能を有し、電力系統からの受電電力を一定に制御する受電電力一定機能を有さない発電機を制御する制御装置のコンピュータに、
電力系統からの受電電力の目標値、現在の電力系統からの受電電力の値である受電電力現在値、及び現在の前記発電機の発電電力である発電電力現在値を受信し、
受信した前記目標値、前記受電電力現在値、及び前記発電電力現在値を用いて、前記発電電力を指示する発電電力指示値を演算し、
演算した前記発電電力指示値を、前記発電機に出力し、
前記発電電力指示値を、発電電力現在値に受電電力現在値を加算し、前記受電電力の目標値を減算することにより演算する処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、発電システム、及び制御プログラムに関するものである。詳しくは、発電機の制御機能によらず、発電機の受電電力や受電電力を制御する制御装置、発電システム、及び制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、受電電力一定機能を有する発電機を制御する制御装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-038972号公報
【文献】特開平9-324656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、受電電力を削減する受電電力目標値を算出して発電機を制御するのみであり、発電電力の制御としては不十分であった。特に、電力需要に応じて発電機を制御する際に、発電機の定格電力に対する制御幅を確保できない場合があった。
また、発電電力一定機能のみを有する発電機についても、受電電力一定機能を実現したいという要望があった。
【0005】
本発明は、受電電力一定機能や発電電力一定機能を備えない発電機であっても、受電電力一定機能や発電電力一定機能を実現させることができる制御装置、発電システム、及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1態様に係る制御装置は、発電機を制御する制御装置であって、前記発電機の発電電力又は電力系統からの受電電力の目標値、現在の電力系統からの受電電力の値である受電電力現在値、及び現在の前記発電機の発電電力である発電電力現在値を受信する受信部と、前記受信部により受信された前記目標値、前記受電電力現在値、及び前記発電電力現在値を用いて、前記発電機を制御するための制御値を演算する演算部と、前記演算部により演算された前記制御値を、前記発電機に出力する出力部と、を備える。
【0007】
第1態様に係る制御装置によれば、受電電力一定機能や発電電力一定機能を備えない発電機であっても、受電電力一定機能や発電電力一定機能を実現させることができる。
【0008】
また、第2態様に係る制御装置は、第1態様に係る制御装置において、発電機に対して後付け可能な構造とされている。
【0009】
第2態様に係る制御装置によれば、既存の発電機に後付けすることができる。
【0010】
また、第3態様に係る制御装置は、第1態様又は第2態様に係る制御装置において、前記発電機は、電力系統からの受電電力を一定に制御する受電電力一定機能を有し、発電電力を一定に制御する発電電力一定機能を有さない発電機であって、前記演算部は、前記受電電力現在値を置き換える受電電力模擬値を前記制御値として演算する。
【0011】
第3態様に係る制御装置によれば、発電電力一定機能を有さない発電機であっても、発電電力一定機能を実現することができる。
【0012】
また、第4態様に係る制御装置は、第3態様に係る制御装置において、受電電力模擬値は、発電電力を制御するための前記発電電力の目標値から発電電力現在値を減算し、前記受電電力一定機能で設定されている受電電力目標値を加算することにより演算される。
【0013】
第4態様に係る制御装置によれば、受電電力模擬値を、発電電力目標値、発電電力現在値及び受電電力目標値を用いて演算することができる。
【0014】
また、第5態様に係る制御装置は、第1態様又は第2態様に係る制御装置において、前記発電機は、発電電力を一定に制御する発電電力一定機能を有し、電力系統からの受電電力を一定に制御する受電電力一定機能を有さない発電機であって、前記演算部は、前記発電電力を指示する発電電力指示値を前記制御値として演算する。
【0015】
第5態様に係る制御装置によれば、受電電力一定機能を有さない発電機であっても、受電電力一定機能を実現することができる。
【0016】
また、第6態様に係る制御装置は、第5態様に係る制御装置において、前記発電電力指示値は、発電電力現在値に受電電力現在値を加算し、前記受電電力の目標値を減算することにより演算される。
【0017】
第6態様に係る制御装置によれば、発電電力指示値を、発電電力現在値、受電電力現在値及び受電電力目標値を用いて演算することができる。
【0018】
また、第7態様に係る発電システムは、第1態様~第6態様のいずれか1の態様に係る制御装置と、発電機とを備える。
【0019】
第7態様に係る発電システムによれば、第1態様~第6態様のいずれか1の態様に係る制御装置と同様の効果を得ることができる。
【0020】
第8態様に係る制御プログラムは、コンピュータを、第1態様~第6態様のいずれか1の態様に係る制御装置が備える各部として機能させる。
【0021】
第8態様に係る制御プログラムによれば、第1態様~第6態様のいずれか1の態様に係る制御装置と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上詳述したように、本発明によれば、受電電力一定機能や発電電力一定機能を備えない発電機であっても、受電電力一定機能や発電電力一定機能を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1の実施形態に係る発電システムの構成の一例を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る制御装置の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る制御装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図4】第1の実施形態に係る発電電力一定機能を持たない発電機に、受電電力模擬値を出力して、発電機が受電電力模擬値を用いて発電する場合の一例を示すグラフである。
図5】第1の実施形態に係る制御装置が発電機を制御する場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】第2の実施形態に係る発電システムの構成の一例を示す図である。
図7】第2の実施形態に係る発電システムの発電電力指示値の演算における受電電力現在値と受電電力目標値との相関関係を示す図である。
図8】第2の実施形態に係る発電システムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例について詳細に説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る発電システム100の構成の一例を示す図である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係る発電システム100は、一般送配電事業者が管理対象とする電力系統(図示せず)に接続されている。発電システム100は、発電事業者によって管理又は運用される。
【0027】
本実施形態に係る発電システム100は、制御装置10と、発電機30と、を備えている。
【0028】
発電機30は、自家発電機、非常用発電機を含み、あるいは蓄電池、太陽光発電などのインバータ機器、であってもよい。
【0029】
また、本実施形態では、電力系統からの受電電力を一定に制御する受電電力一定機能を有し、発電電力を一定に制御する発電電力一定機能を有さない発電機30について説明する。この発電電力一定機能を持たない発電機30を制御する場合は、受電電力の状況によって変動する発電電力が発電機30の定格電力に近い場合は、現在の発電力である発電電力現在値よりも発電量を増加させる余地(制御幅)が少なくなり、発電機30の活用が狭まる。すなわち、後述する図4(A)に示すように、発電機30の定格電力と発電電力(発電電力現在値)との差である制御幅は、発電電力(発電電力現在値)が高くなればなるほど小さくなり、発電量を増加させる制御を行うことが困難になる。本実施形態では、制御装置10により、発電電力一定機能を持たない発電機30に対して発電電力一定機能を実現させる。
【0030】
図1に示すように、本実施形態では、制御装置10には、管理者から発電電力目標値、発電機30から発電電力現在値がそれぞれ入力され、制御装置10から発電機30には受電電力模擬値が出力される。
【0031】
制御装置10は、発電機30の発電電力を制御する。制御装置10は、発電機30に対して後付け可能な構造とされている。すなわち、発電電力一定機能を有さない発電機30に後付けで発電電力一定機能を付与している。
【0032】
次に、図2及び図3を参照して、第1の実施形態に係る制御装置10の具体的な構成について説明する。
【0033】
図2は、第1の実施形態に係る制御装置10の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【0034】
図2に示すように、本実施形態に係る制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、ストレージ14と、入力部15と、通信部16と、を備えている。各構成は、バス17を介して相互に通信可能に接続されている。
【0035】
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12又はストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12又はストレージ14に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12又はストレージ14には、プログラムが格納されている。
【0036】
ROM12は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ14、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどにより構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0037】
プログラムは、例えば、制御装置10に予めインストールされていてもよい。プログラムは、不揮発性の記憶媒体に記憶して、又はネットワークを介して配布して、制御装置10に適宜インストールすることで実現してもよい。なお、不揮発性の記憶媒体の例としては、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、光磁気ディスク、HDD、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、フラッシュメモリ、メモリカード等が想定される。
【0038】
入力部15は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0039】
通信部16は、発電機30と通信可能に接続するための通信インターフェースであり、通信方式は、有線通信でもよいし、無線通信でもよい。
【0040】
図3は、第1の実施形態に係る制御装置10の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0041】
図3に示すように、本実施形態に係る制御装置10のCPU11は、受信部11A、演算部11B、出力部11Cとして機能する。
【0042】
本実施形態に係る受信部11Aは、管理者からPC(Personal Computer)などの管理装置(図示せず)や入力部15により、発電電力目標値を受け付ける。また、受信部11Aは、発電機30から受電電力現在値と発電電力現在値とを受け付ける。本実施形態では、受電電力目標値は、発電機30側で固定されている場合について説明する。ここで、発電電力目標値は、発電機定格電力から必要な制御幅を減算した値(発電機定格電力-必要な制御幅)である。また、必要な制御幅は、適宜管理者などが定めることが可能な値である。
【0043】
本実施形態に係る演算部11Bは、受電電力模擬値を、発電機30を制御するための制御値として演算する。受電電力模擬値は、発電機30に入力されていた受電電力現在値を置き換えて、受電電力現在値の代わりに発電機30に入力される値である。かかる受電電力模擬値は、発電電力を制御するための発電電力目標値から発電電力現在値を減算し、受電電力一定機能で設定されている受電電力目標値を加算することにより演算される。具体的には、下記の式により求められる。
受電電力模擬値=発電電力目標値-発電電力現在値+受電電力目標値
【0044】
例えば、受電電力目標値が20kW、発電機定格電力が100kW、発電電力目標値が90kWの場合に、発電電力現在値が80kWの場合は、受電電力模擬値は、90kW-80kW+20kWである30kWとなる。また、同様に、発電電力現在値が50kWの場合は、受電電力模擬値は、90kW-50kW+20kWである60kWとなる。
なお、受電電力模擬値の演算は、例えば、一定の間隔で常時行われるものとする。
【0045】
本実施形態に係る出力部11Cは、演算部11Bにより演算された受電電力模擬値を発電機30に出力する。
【0046】
図4は、本実施形態に係る発電電力一定機能を持たない発電機30に、受電電力模擬値を出力して、発電機30が受電電力模擬値を用いて発電する場合の一例を示すグラフである。
【0047】
図4(A)に示すように、本例では、必要な電力である構内総需要が大きくなり、発電電力(発電電力現在値)を増加させると、発電機定格電力までの制御幅が小さくなることが分かる。
【0048】
図4(B)は、受電電力模擬値を演算して発電機30に出力した状態を示すグラフである。すなわち、図4(B)に示すように、受電電力模擬値を演算し、当該受電電力模擬値を発電機30に入力することで、発電電力が一定となり、発電電力(発電電力現在値)から発電機定格電力までの制御幅が確保されることが分かる。
【0049】
次に、図5を参照して、第1の実施形態に係る制御装置10の作用について説明する。
【0050】
図5は、第1の実施形態に係る制御装置10が発電機30を制御する場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0051】
図5に示すステップS100において、制御装置10のCPU11(受信部11A)は、管理者から発電電力目標値を受信する。そして、次のステップS101に進む。
【0052】
ステップS101において、制御装置10のCPU11(受信部11A)は、発電機30から発電電力現在値を受信する。そして、次のステップS102に進む。
【0053】
ステップS102において、制御装置10のCPU11(演算部11B)は、受電電力模擬値を演算する。そして、次のステップS103に進む。
【0054】
ステップS103において、制御装置10のCPU11(出力部11C)は、ステップS102において演算された受電電力模擬値を発電機30に出力する。そして、処理を終了する。
【0055】
このように本実施形態によれば、発電電力一定機能を有さない発電機30であっても、発電電力一定機能を実現することができる。
【0056】
(第2の実施形態)
つぎに、図6図8を用いて第2の実施形態について説明する。
上記第1の実施形態では、電力系統からの受電電力を一定に制御する受電電力一定機能を有し、発電電力を一定に制御する発電電力一定機能を有さない発電機30を制御する形態について説明した。本実施形態では、発電電力を一定に制御する発電電力一定機能を有し、電力系統からの受電電力を一定に制御する受電電力一定機能を有さない発電機30を制御する形態について説明する。また、上述した第1の実施形態と異なる部分を中心に説明し、重複する部分については説明を簡略又は省略する。
【0057】
図6は、第2の実施形態に係る発電システム100の構成の一例を示す図である。
【0058】
図6に示すように、本実施形態に係る発電システム100は、上述した第1の実施形態と同様、一般送配電事業者が管理対象とする電力系統(図示せず)に接続されている。発電システム100は、発電事業者によって管理又は運用される。図6に示すように、本実施形態では、制御装置10には、管理者から受電電力目標値、発電機30から発電電力現在値と受電電力現在値とがそれぞれ入力され、制御装置10から発電機30には発電電力指示値が出力される。
【0059】
上述したように、本実施形態の発電機30は、発電電力を一定に制御する発電電力一定機能を有し、電力系統からの受電電力を一定に制御する受電電力一定機能を有さない発電機30である。この受電電力一定機能を持たない発電機30を制御する場合は、受電電力目標値に従った出力制御を単独で行えない。本実施形態では、制御装置10により、受電電力一定機能を持たない発電機30に対して受電電力一定機能を実現させる。
【0060】
本実施形態に係る受信部11Aは、管理者からPCなどの管理装置(図示せず)や入力部15により、受電電力目標値を受け付ける。また、受信部11Aは、発電機30から受電電力現在値と発電電力現在値とを受け付ける。
【0061】
本実施の形態に係る演算部11Bは、発電電力指示値を、発電機30を制御するための制御値として演算する。発電電力指示値は、発電機30に発電電力を指示するために入力する値である。かかる発電電力指示値は、発電電力現在値に受電電力現在値を加算し、受電電力の目標値を減算することにより演算される。具体的には、下記の式により求められる。
発電電力指示値=発電電力現在値+受電電力現在値-受電電力目標値
【0062】
例えば、発電電力現在値が70kW、発電機定格電力が100kW、受電電力目標値が30kWの場合に、受電電力現在値が40kWの場合は、発電電力指示値は、70kW+40kW-30kWである80kWとなる。これは図7に示す(1)受電電力現在値-受電電力目標値>0の場合である。また、同様に、受電電力現在値が30kWの場合は、発電電力指示値は、70kW+30kW-30kWである70kWとなる。これは図7に示す(2)受電電力現在値-受電電力目標値=0の場合である。また、同様に、受電電力現在値が20kWの場合は、発電電力指示値は、70kW+20kW-30kWである60kWとなる。これは図7に示す(3)受電電力現在値-受電電力目標値<0の場合である。なお、受電電力目標値は、一定ではなく、変動してもよい。
【0063】
ここで、発電電力指示値の演算は、例えば、一定の間隔で常時行われるものとする。なお、発電電力指示値の急激な変動を防ぐため、発電電力指示値の演算の間隔は、変更可能とすることが望ましい。例えば、発電電力現在値や受電電力現在値が極端な値となった場合に、発電電力指示値が急激に変動する可能性があるため、発電電力指示値の演算の間隔を広くして当該間隔の平均値を発電機30に出力するようにしてもよい。
【0064】
また、発電電力指示値の演算の入力に対する不感帯や1次遅れを設けてもよい。例えば、発電電力現在値が定格電力値の50%以下だと発電機が止まってしまう場合などは、演算の結果にかかわらず、定格電力値の50%以下になる発電電力指示値は出力しないようにしてもよいし、定格電力値の50%以上になる発電電力現在値のみ出力するようにしてもよい。この場合には、定格電力値付近の発電電力指示値が出力されることにより発電機30が始動と停止を繰り返すことを防止している。
【0065】
また、発電電力指示値の演算の結果にかかわらず、発電電力指示値の変動のランプレートを設けるようにしてもよい。例えば、発電電力指示値を10kWから50kWにあげるには100秒の間隔を必要にするなどの出力変化速度の傾きの上限を設けるようにしてもよい。
【0066】
本実施形態に係る出力部11Cは、演算部11Bにより演算された発電電力指示値を発電機30に出力する。
【0067】
次に、図8を参照して、第2の実施形態に係る制御装置10の作用について説明する。
【0068】
図8は、第2の実施形態に係る制御装置10が発電機30を制御する場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0069】
図8に示すステップS200において、制御装置10のCPU11(受信部11A)は、管理者から受電電力目標値を受信する。そして、次のステップS201に進む。
【0070】
ステップS201において、制御装置10のCPU11(受信部11A)は、発電機30から発電電力現在値と受電電力現在値とを受信する。そして、次のステップS202に進む。
【0071】
ステップS202において、制御装置10のCPU11(演算部11B)は、発電電力指示値を演算する。そして、次のステップS203に進む。
【0072】
ステップS203において、制御装置10のCPU11(出力部11C)は、ステップS202において演算された発電電力指示値を発電機30に出力する。そして、処理を終了する。
【0073】
このように本実施形態によれば、受電電力一定機能を有さない発電機30であっても、受電電力一定機能を実現することができる。
【0074】
以上、上記実施形態として、制御装置10及び発電システム100を例示して説明したが、実施形態は、制御装置10が備える各部の機能をコンピュータに実行させるためのプログラムの形態としてもよい。実施形態は、このプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体の形態としてもよい。
【0075】
その他、上記実施形態で説明した制御装置10及び発電システム100の構成は、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更してもよい。
【0076】
また、上記実施形態で説明したプログラムの処理の流れも、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、プログラムを実行することにより、実施形態に係る処理がコンピュータを利用してソフトウェア構成により実現される場合について説明したが、これに限らない。実施形態は、例えば、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現してもよい。
【符号の説明】
【0078】
10 制御装置
11 CPU
11A 受信部
11B 演算部
11C 出力部
12 ROM
13 RAM
14 ストレージ
15 入力部
16 通信部
17 バス
30 発電機
100 発電システム
【要約】
【課題】本発明は、受電電力一定機能や発電電力一定機能を備えない発電機であっても、受電電力一定機能や発電電力一定機能を実現させることができる制御装置、発電システム、及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】発電機の発電電力又は電力系統からの受電電力の目標値、現在の電力系統からの受電電力の値である受電電力現在値、及び現在の発電機の発電電力である発電電力現在値を受信する受信部と、受信部により受信された目標値、受電電力現在値、及び発電電力現在値を用いて、発電機を制御するための制御値を演算する演算部と、演算部により演算された制御値を、発電機に出力する出力部と、を備える。
【選択図】図1
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図7
図8