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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】和装用ショーツ
(51)【国際特許分類】
   A41B 9/04 20060101AFI20220317BHJP
【FI】
A41B9/04 A
A41B9/04 C
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018204472
(22)【出願日】2018-10-12
(65)【公開番号】P2020059961
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-01-07
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501107466
【氏名又は名称】有限会社景松開発
(72)【発明者】
【氏名】藤田 義弘
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-113304(JP,U)
【文献】実開昭50-143710(JP,U)
【文献】中国実用新案第204890360(CN,U)
【文献】中国実用新案第204670390(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性が和装時の排泄に備えて着装する股割れショーツにおいて、
従来ショーツを構成する胴廻し(10)に一体でなる、前見頃、後見頃、の存在を省略してこれを無しとし、
股布左辺(21)と股布右辺(22)の2枚を重ねてなる股布帯(20)の後端を前記省略した後見頃に替えて延伸し、前記胴廻し(10)の後部中央の交点に固着一体化して、これを大股割構造の支持点(イ)とし、その前端は股に沿って前方へ、少なくとも陰部を被覆保護する長さと、
前記股布帯(20)の、前部において前記2枚の重ねを左右にずらせて陰部を被覆保護するための幅を確定し、少なくとも一組の着脱自在な固着手段(24)を設置して前記ずらせた2枚を固着し、此処を支持点(ロ)として決定される前記股布帯(20)の前部幅と、
によって構成される股部を被覆保護する股布帯(20)構造と、
前記股布左辺(21)と股布右辺(22)の前端に、従来ショーツの前記省略前身頃に替えて2枚の安定帯(31)を鼠径部にほぼ沿った略V字形に配置して、その下端部を股布左右其々に連結し、
別途用意されたレースや刺繍などの装飾布をもってデザインされた装飾体(40)を、前記股布帯(20)と前記安定帯(31)に掛けて左右其々設置、又は後付け工程によって設置し、
配設された前記安定帯2枚の他端には、一部が伸縮性素材によってなる帯状の装着帯(25)の一端を其々連結、その他端は前記略V字形に沿って左右其々に斜上方に延伸し、胴廻し(10)上の身体横側乃至その後側寄り位置で左右の支持点(ハ)、(ニ)に其々連結一体化し、これにより全体が一連化された中における4箇所の大股割支持によって、大股割機能を保持するショーツ構造と、
排泄行動に際し前記ショーツの固着手段(24)を固着解除する使用方法によって前記大股割支持点のバランスを解き、その解かれてなるアンバランスが分割作用となって大股割機能が実行可能となる大股割構造と、
によって構成されることを特徴とした和装用のショーツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は女性用のショーツに関する。
【背景技術】
【0002】
現代女性が和装した時の排泄には困難が伴うものがあり、これは和装の歴史において下着では股のない腰巻であったものが、現代の女性が着ける下着は洋装の股付き下着のショーツであることから、その装いの歴史的違いから困難性が発生しているもので、和装とショーツの組合せから起こる困難であり、ほぼ不可避的な事情であった。
また、単に身体に着ける下着としても現代においては様々に変化が見られる。
【先行技術文献】
【0003】
【文献】実用新案登録3030565
【文献】実用新案登録3113414
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
女性が和装時に着ける股割ショーツの状況において、排泄後洗浄式の場合従来の股割ショーツは股割れが充分でないことから、便座の内側にショーツがはみ出して残り、洗浄水でショーツが濡れてしまうこととなる。排泄後の着物直しの絡げた着物を元に戻す時に着崩れが起こり易い。
【0005】
従来の股割ショーツでは、股割を大きく設置しても左右の重なりを厚くして股部の保護性を優先すると、使用時に股割れを開く時、衣類ショーツは身体に密着するように出来ているので身体に纏わり付くものがある。このような従来のショーツは排泄に際し身体から引き剥がすかの様に開くことが必要になり、衣類としての引き剥がしに抵抗力が作用して、股割ショーツとしての扱い方がスムーズに行かない実情があった。
【0006】
和装時に失敗なく排泄と洗浄ができ、着物の着崩れがショーツ由来となることを防止する股割れショーツを提供することを課題とする。
【0007】
特許文献1における先行技術は和装用下穿きでありながら、股割下着として洗浄式便座に対応するものではなく、現代の和装用下着として不向きに見える。
その特許文献1図4において、右側の股割れ支持点である1c,2cの、対向点である下縁部9は左側に開く股割れ下端部であり、その開口線とクロスして、左側の股割れ支持点である5c,6cとその対向点である下縁部10が図示で設定されている。この場合股を開くことは前記対向線の有り得ない延伸することに等しい配置であるから、少なくとも股割れ進行に対する抵抗となり、この先行技術においては実現は懐疑的となる。
【0008】
また、このような設定の下穿きを着装して股/足を開いたとしてもこの下穿きの股割れ部が開口することは極めて難しいことではないかと思料される。すなわち、着装したとき股関節を中心として大腿はわずかに回動するだけであるから、太股の付け根部において図に示されるほどに股割れするものか、実現は困難であると思わざるを得ないものである。
【0009】
特許文献2における先行技術は、何らかの調整機能を有するものとしての主張であり、本願発明とは目的やその他を異にするものであることから、ここではその重要な構成部分が図において欠落していながらそのことに言及はなく、以下、推察するに過ぎないものである。即ち、身体に装着するためのショーツに胴廻しの存在が無く、省略するものであればそれに代わる装着機能がなくてはショーツではない。図3における、縄でなる環状の掛け部11が示されるが、この環状縄を例えば腰骨に掛けるのであればその事は無理があり、身体への着装は実現されない構造である。従って実現可能なショーツを構成するものではないと云うべきものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
女性が和装時の排泄に備えて着装する股割れショーツにおいて、
従来ショーツを構成する胴廻し(10)に一体でなる前見頃(64)、後見頃(63)、の存在を省略してこれを無しとし、
独立した股布左辺(21)と股布右辺(22)の2枚を重ねてなる股布帯(20)の後端を前記省略した後見頃に替えて延伸し、前記胴廻し(10)の後部中央の交点に固着一体化して、これを大股割構造の支持点(イ)とし、その前端は股に沿って前方へ、少なくとも陰部を被覆保護する長さと、
前記股布帯(20)の、前部において前記2枚の重ねを左右にずらせて陰部を被覆保護するための幅を確定し、少なくとも一組の着脱自在な固着手段(24)を設置して前記ずらせた2枚を固着し、此処を支持点(ロ)として決定される前記股布帯(20)の前部幅と、
によって構成される股部を被覆保護する股布帯(20)構造と、
前記股布左辺(21)と股布右辺(22)の前端に、従来ショーツの前記省略前身頃に替えて2枚の安定帯(31)を鼠径部にほぼ沿った略V字形に配置して、その下端部を股布左右其々に連結し、
前記安定帯(31)が配設されてなる前記略V字形の内側被覆領域を、別途用意されたレースや刺繍などの装飾布をもってデザインされた装飾体(40)を、前記股布帯(20)と前記安定帯(31)に掛けて左右其々設置、又は後付け工程によって設置し、
配設された前記安定帯2枚の他端には、一部が伸縮性素材によってなる帯状の装着帯(25)の一端を其々連結、その他端は前記略V字形に沿って左右其々に斜上方に延伸し、その支持点となる連結点をできるだけ後退させるため、胴廻し(10)上の身体横側乃至その後側寄り位置で左右の支持点(ハ)、(ニ)に其々連結一体化し、これにより全体が一連化された中における4箇所の大股割支持によって、大股割機能を保持するショーツ構造と、
排泄行動に際し前記ショーツの固着手段(24)を固着解除する使用方法によって前記大股割支持点のバランスを解き、その解かれてなるアンバランスが分割作用となって大股割機能が実行可能となる大股割構造と、
によって構成されることを特徴とした和装用のショーツである。
【発明の効果】
【0011】
本願発明による効果として、
(a)従来の股布部に替えて、陰部の被覆性及び保護性、また装着性を保持しつつ2枚でなる新たな股布帯によって、その股割れ支持点3点を最大限後退させることによって、従来の股割りを超えた大股割りの機能を実現した。
(b)除外した前身頃64に替えて、所定の形状をもってなる2枚の安定帯31を前記股布帯左辺右辺の前端部にV字形に其々連結設置、この安定帯31は続く連結方向、及び装着帯25の緊縮力による牽引方向を左右に分岐することを実現し、鼠径部にほぼ沿いながら、先端に連結した伸縮性を有する前記装着帯25を介して胴廻しと連結する構造によって、省略前の前身頃に替えて装着の安定化を実現した。
(c)特に、斜上した左右装着帯と胴廻しとの接続点(支持点)を、身体横乃至身体裏側寄りの後方位置に後退させたことで、従来になかった大股割りを実現したものである。また、トイレ施設により便座が大きい例もあるが、これらにも対応は自然なものとなり容易である。
(d)前述のように安定帯がV字形に配置されるが、これは大股割れ作用時にV字形の左右は離れる。その左右を個別に装飾し、身体に装着したときそのV字形の内側が左右の装飾帯40によって被覆されるものであり、そのための別途デザインによるレースや刺繍などでなる装飾帯40が提供され、これを少なくとも装着者の選択やデザインによって安定帯31に後付け可能としたものである。それによって、装着者/創作者のオリジナルデザインショーツが実現できる効果が生み出される。
(e)股布部が2枚で構成され、全体の中で四点で大股割れ支持点を支持し、そのうちの前端部固着手段24(ロ)で着脱自在に分割する構造としたことで、従来に較べて左右に大きく開くことを実現したものである。便座に座す前に広げた股布左辺21、股布右辺22はその後方連結部で支持点(イ)が高い位置であることから臀部の丸みを越え上がる高さとなり、座すると前方の一部を太股によって押えるため、両方の股布辺は便座65の外側に位置するものとなって、その一部たりとも便座の内に残ることなく座すことが容易にできるようになった。これにより洗浄水がショーツを濡らす恐れは無くなり、所作の稚拙に関らず誰にも失敗なく和服での排泄ができるものとなった。また、排泄と洗浄後、股に残る水滴を清拭する際に便座から一度腰を上げる必要があるが、このとき図4に示す仮止具23によって大股割状態が維持されていることから、大股割が戻ることなく股の始末を終了させ得る。
(f)大股割りのために前記V字形部においてこれを左右分割すること、さらに一般的にはこのV字形内側部にアンダーヘアが存在し、これを常態として被覆するという一箇所における相反事項を同時進行的に解消したものであり、詳述すれば左右に前記V字形をなす安定帯31に、別途デザインされた装飾体を其々に個別に設置したことで、被覆機能と分割機能を同時に作用させ、課題を解決したものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明ショーツを示す正面斜視図、
図2】本発明ショーツの機能を示す正面の斜視図、
図3】本発明ショーツの使用状況を示す平面及び一部断面図、
図4】本発明ショーツの装着状況を示す斜視図、
図5】本発明ショーツの周辺の発明を示す斜視図、
図6】本発明ショーツの周辺の発明を示す側面図、
図7】従来のショーツの例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
従来のショーツは股割れショーツも含めて、その一部を除き構成布のほぼ全ての面をもって身体腰周りを包む衣類構成(図7,Dに示す)となっており、本発明はこの標準的な部分に改良を加え大股割の仕組みを組み込むことで和装時トイレでの着崩れを防止し、大股割のショーツ操作を容易化して大股割の最大効果を実現した和装用ショーツとしたものである。
【0014】
従来の腰回りを包むショーツの被服機能を省略したショーツにおいて、組み入れた本発明大股割れ構造により、排泄に際する前後で和服の裾絡上げや、股割れショーツを股から広げる動作、終りに着物を元に戻す終い動作等、排泄行為を全体で容易なものとなる効果を得たもので、以下に図によって説明する。
【0015】
図1は本発明ショーツの正面斜視図であり、前記被覆機能を省略したショーツにおいて、これを身に着けるとき腰回りに保持されるものは胴廻し10である。股布帯20は股布左辺21と股布右辺22の2枚を重ねて構成され、その後端を後部胴廻し11の中央部に固着し、前方へは股に沿って陰部を被覆する長さを確保する。
【0016】
前記2枚の重ねをずらせて陰部被覆に適した幅を決定し、その2枚同士を固定するための固着手段として面ファスナーなどの着脱自在な固着手段24によってこれを固着し、股布帯20の前幅が確定される。後部胴廻し11と股布帯20の固着点が大股割構造の支持点(イ)として機能する。
【0017】
前記ずらせた2枚の股布帯20の前端部には安定帯31を、図1に示すように其々に連結設置し、その安定帯31は股布帯20と共に胴体の下端周辺部を被覆と抱擁によって保護し、鼠径部にほぼ沿わせて、略V字形の左右2方向にその端部の牽引方向を決定付け、斜め上方から来る伸縮性を有する装着帯25の一端と合致し、これを連結して、安定帯31を2方向に牽引するようにしたことで、前見頃がないにもかかわらず極めて安定した着装の保持が得られるものとなる。
【0018】
固着手段24の役割は、2枚で構成される股布帯20の幅は後方よりも前方が広く必要とするため重ねをずらせて幅を確保すること、及び目的とする股割れを二枚重ねの股布帯で機能させるため、常態においては2枚を固着しておくことにある。この着脱自在な固着手段24が大股割構造の支持点(ロ)として機能する。
【0019】
前記装着帯25の他端部は身体横の腰の位置で、前記胴廻し10へ其々連結してショーツの身体への装着性を確定させるものとなり、これによって全体が一連化されてショーツとして構成される。この胴廻し10と装着帯25の連結点を、後部胴廻し上で更に身体の裏側方向へ寄せることで、両側の支持点をさらに後退させた連結位置とすることも良く、大股割構造にとって良好に作用する。この左右連結点を大股割構造の支持点(ハ)、(ニ)とし、これによる全四箇所の支持点によって大股割構造が構成される。
【0020】
図1図2において大股割れを構成する支持点を示し、股布帯20の前後の端を(イ)、(ロ)の支持点で、及び安定帯31を左右上方に分岐して装着帯25を介し、その一端を固着する(ハ)、(ニ)の支持点で、合わせて四支持点で構成し、そのうち前部の点(ロ)を着脱自在にすることで、ショーツの被覆機能と、大股割機能との相反課題を同時に解決した。即ち、安定帯31には装飾帯40が左右其々に一体設置されており、固着手段24によって股布帯が閉じられている時は、装飾帯40も左右から重なり合いながら被覆領域を被覆し、固着を解除した時は安定帯31と一体に左右へ離れる機能となる。
【0021】
図2は固着手段24の固着を解除して股布帯20を開いた状態を示し、股割れの構成において、右側に開くものの支持点(ニ)は右側に配置し、左側へ開くものの支持点(ハ)は左側に配置している。この事は左右に開く股割れ各部の動線を交差させることのない配置であり、固着を解除して股布左右辺を開いた其処には交差するものも、左右を繋ぎ止めるものは何も無い状態であり、大股割れの動作を極めて容易とする構成としたものである。固着手段24は少なくとも1箇所を設置する。
【0022】
本発明ショーツの股布帯二枚重ねのずれで決定されている股布帯20の全幅において、その両側端部を少なくとも内に折り返した袋部27を設けることで、その箇所にナプキンなどの当て物を着脱自在に収容装着する構造とし、当て物の交換時には2枚の重なりを開いて中央から前方へ取り出すことを容易とし、新たな当て物の装着は上から挿入して袋部に沿って滑り込ませることで確かな設置が完了する、という具合に股割れショーツにおける当て物の着脱が容易にできるものとした。
【0023】
図3は本発明ショーツを身体に着けた使用状況を示す平面図であり、後部支持点(イ)の位置を身体の最後部、すなわち後部胴廻しの中央部に設定したことが大股割作用にとって重要であり、使用に際し前方部支持点(ロ)の固着を解除すると左右を繋ぐものは何も無くなり、股布左辺と右辺を横方から両手によって開く操作をすると股布帯20は股底の埋没から左右に引き出され、その後方部については支持点(イ)の作用により臀部の丸みを越え上がるので、この時点で着座するのである。
これによって股を離れて股布左辺と右辺は臀部に敷かれることなく、身体横の高い位置にまでずり上って大股割を実現する。股布左辺と右辺の前方部は、図に示すように便座の外部となり、乃至は少なくとも太股部に押え敷かれるので、便座の内に残すことがなく、安心して用を足すことが出来る。
【0024】
排泄の始まりは着物の裾を下着類とともに大きく捌き上げることであるが、本発明ショーツは肌に張り付く布生地を最大限に省略し、併せて大股割を実現しているため、捌く衣類との摩擦抵抗が削減されることから、速やかなる着物捌きが実現出来、前記のように続いて2枚の股布帯を左右に引くだけで大股割となるその動作が極めて早いため、高まる尿意に迅速に応えられるのみならず、急いだ時でも着崩れに関る帯の締め付け部は上方ウエスト部であり、胴廻し10とに上下間隔を取り、ここに影響しない効果的な構成としたものである。
【0025】
図4においては排泄後に腰を浮かせた状態を示し、ここに至るまでの排泄中に行う操作として付属の仮止具23のフック部を股布左辺と右辺に図のように其々掛止めて股布帯が戻らないようにしておくことで、安心に腰を浮かせることができるものとなる。これによって排泄又は洗浄後の股の清拭処理を済ませ、前記フックを外して固着手段24を元に戻すことでショーツの具合は戻り、元に戻す着物も前記摩擦抵抗に遭うことなく速やかに下がり直して、排泄を問題なく終らせることができる。
また、図4に示す仮止具23は軽量な樹脂材で形成され、摺動自在に装着帯25に付属させることも、両端をフックとして別途付属部品化して携行することも良い。
【0026】
図5周辺の発明を表す図であり、その後の図7(C)に示す従来の一般的なTバック形ショーツから胴廻し10を省略除去し、それに替わる装着性を確保するための図5図6に示す、臀部の上方縁部に安定帯32を配置してこれを極部とし、その左右両端に前記本願発明に示すものと同様な伸縮性を保持する前記装着帯25の一端を其々連結し、その他端は身体の前部股方向へ延伸、安定帯b33の上端へ合致する。
【0027】
前記した臀部の上方縁部に配置とは、図6に示す背中面と臀部曲面の接点に見られる曲線を臀部上縁部とし、その臀部の膨らみ上の臀部上方位置に、後部安定帯32を配置することである。この位置は、装着した後部安定帯32が納まり良く、対極とのほぼ最短距離を結ぶ箇所であり、装着が安定する箇所である。
【0028】
後部安定帯32は臀部の膨らみが抵抗となってずり下がり難い場所にあるが、下がり防止を強化する手段として肌と接する面に、柔軟性シリコーンを織り込んでおくと摺り下がりをよく防止する。
【0029】
股布帯b30はその後端を前記後部安定帯32の中央下部に固着連結し、前方へ股に沿いながら陰部を被覆した後その前端に、略V字形でなる前記安定帯b33の下端と連結し、V字形二つの上端と2本の前記装着帯25他端とを連結してショーツは全体が一連にループ化され、身体へ装着可能となる装着構造である。
【0030】
上述した装着性確保のための一方の極部に対して、他方対極部たるものは、股布帯b30及び前記安定帯b33が一体となって抱擁する胴体の下端前部であり、この対極部の方向性を前記安定帯b33が図5に示すように二方向に分岐させて、そこへ装着帯25がもたらす二方向からの緊縮性を作用させ、両極を左右のルートから引き合わせることで、前記省略によってスリム化されて形成されるショーツにおける、身体への装着性が好適に機能し、俯瞰的には身体前面における要点が、左右の腰部と、下方中心である股1点の三角形の作用となって安定するものとなる。
【0031】
図5に示す装飾帯b41の設置は被覆実現と同一工程であり、そのデザインとともに後付け部材化したことで創作を独自かつ自在に行うことが可能であり、それによって当該ショーツがオリジナル化される。被覆領域の被覆は必ずしも必須とはならず、それは人体の個体差があり、被覆を必要としない被覆領域主体者の個性が尊重されんがために準備された、また、自身のショーツに自らのお洒落感覚を盛り込むことが可能なオリジナル構成である。
【0032】
図5,(A)において、安定帯b(33)に対し装飾体b(41)が接する部分、又は重なり合う部分42に着脱自在な固着手段、例えば面ファスナー(図示しない)を介在させることで模様替えを容易に行えるものとして組合せ体を実現した。
【0033】
図5,(B)は図5,(A)における安定帯b(33)を省略して、装飾体b(41)を直接股布帯b30に連結するものであり、製造コストを低減する。
【0034】
文中語句の定義をするならば、
胴廻し10とは、胴体を一周して身体に装着される穿き衣類の部分であり、
股布帯20は、本発明における後部胴回し11と、陰部被覆点までの股間を被覆保護する股布である。
【符号の説明】
【0035】
10 胴回し
11 後部胴回し
12 前部胴回し
20 股布帯
21 股布左辺
22 股布右辺
23 仮止具
24 固着手段
25 装着帯
27 袋部
28 ウエスト部断面
30 股布帯b
31 安定帯
32 後部安定帯
33 安定帯b
40 装飾帯
41 装飾帯b
42 重なり部
62 股布
63 後身頃
64 前身頃
65 便座
イ、ロ、ハ、ニ、 大股割支持点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7