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特許7041821アミノ置換窒素含有縮合環化合物、その調製方法及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】アミノ置換窒素含有縮合環化合物、その調製方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/14 20060101AFI20220317BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220317BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220317BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20220317BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
C07D471/14 102
C07D471/14 CSP
A61P43/00 111
A61P35/00
A61K31/519
A61K31/496
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020544089
(86)(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 CN2018112661
(87)【国際公開番号】W WO2019085895
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-06-22
(31)【優先権主張番号】201711039980.6
(32)【優先日】2017-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520153556
【氏名又は名称】シャンハイ リンジーン バイオファーマ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ワン、フイ
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/153373(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105481858(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106588920(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩、又はエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、又は多結晶体。
【化1】



(ただし、
は、水素であり;
は、H、メチル、-CD、-CHC(CHF、HOC(CHCH-、CH(CHOH)-CH-、
【化2】



、CHOCHCH-、
【化3】



であり;
、R、及びRはそれぞれ水素であり;
はCH又はNであり;
Arは2つのハロゲン及び2つのC-Cアルコキシ基で置換されたフェニル基であり;
Lは、化学結合、-CH-、-CHCH-、又は-CHCHCH-であり;
Aは、下記の構造フラグメントから選択されるものである。
【化4】


【請求項2】
下記の構造から選択される構造を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩、又はエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、又は多結晶体:
【化5】



ただし、
qは0、1又は2から選択されるものであり;
はCH又はNであり;
は、H、メチル、-CD、-CHC(CHF、HOC(CHCH-、CH(CHOH)-CH-、
【化6】



、CHOCHCH-、
【化7】



であり;
B環は、ベンゼン環である。
【請求項3】
下記の構造を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩、又はエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、又は多結晶体:
【化8】



ただし、
はCH又はNであり;
は、H、メチル、-CD、-CHC(CHF、HOC(CHCH-、CH(CHOH)-CH-、
【化9】



、CHOCHCH-、
【化10】



である。
【請求項4】
下記の構造から選択される構造を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩、又はエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、又は多結晶体:
【化11】



ただし、qは0、1又は2から選択されるものであり;
は、H、メチル、-CD、-CHC(CHF、HOC(CHCH-、CH(CHOH)-CH-、
【化12】



、CHOCHCH-、
【化13】



である。
【請求項5】
下記の構造を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩、又はエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、又は多結晶体:
【化14】



ただし、
は、H、メチル、-CD、-CHC(CHF、HOC(CHCH-、CH(CHOH)-CH-、
【化15】



、CHOCHCH-、
【化16】



である。
【請求項6】
下記の化合物のいずれか一つである化合物、又はその薬学的に許容される塩、又はエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、又は多結晶体。
【化17】



【化18】



【化19】



【化20】



【化21】



【化22】



【化23】



【化24】



【化25】



【化26】



【化27】


【請求項7】
治療有効量の請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物、或いはその薬学的に許容される塩、或いはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、又は多結晶体、及び少なくとも1つの医薬品賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項8】
FGFRキナーゼ阻害剤として使用するための、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
タンパク質キナーゼ、ここで、前記タンパク質キナーゼはFGFRキナーゼである、の活性又は発現量に関連する疾患を予防及び/又は治療するための請求項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
腫瘍を予防及び/又は治療するための請求項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
腫瘍、ここで前記腫瘍は非小細胞肺がん、小細胞肺がん、肺腺がん、肺扁平上皮がん、乳がん、前立腺がん、肝臓がん、皮膚がん、胃がん、上皮細胞がん、胃腸道間質腫瘍、腸がん、胆管がん、胆嚢がん、結腸直腸がん、脳がん、白血病、リンパ腫、鼻咽頭がん、膀胱がん、膵がんから選択されるものである、を予防及び/又は治療するための請求項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
腫瘍、ここで、前記腫瘍は肝臓がん又は胆管がんである、を予防及び/又は治療するための請求項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、出願日が2017年10月30日である中国特許出願CN201711039980.6の優先権を主張する。この出願の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、医薬化学の分野に属し、具体的に、アミノ置換窒素含有縮合環化合物、その調製方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0003】
受容体型チロシンキナーゼの異常発現の活性化又は遺伝子突然変異は、腫瘍の発生、発展、浸潤転移及び薬剤耐性に重要な役割を果たしており、抗腫瘍薬の開発の重要な標的となっている。その中で、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)は、主にFGFR1、FGFR2、FGFR3及びFGFR4の4つのサブタイプを含むチロシンキナーゼファミリーの重要なメンバーである。遺伝子増幅、突然変異、融合、又はリガンド誘導等の原因により、FGFRメンバーは活性化し続け、腫瘍細胞の増殖と浸潤を誘導し、血管新生を促進し、且つ腫瘍の悪化を促進する。FGFRsは多くの腫瘍で高度に発現し、異常に活性化され、且つ、腫瘍患者の予後不良と密接に関連する。したがって、FGFRsは抗腫瘍の重要な標的として認識されており、FGFR小分子阻害剤の開発は徐々に注目を集めている。
【0004】
肝細胞癌、胃癌、膵癌、胆管癌などの悪性腫瘍の発生は、腫瘍組織におけるFGFR遺伝子の過剰発現と過剰活性化を伴うことが臨床的に発見されている。したがって、線維芽細胞成長因子受容体FGFRの特異的なターゲティングは、様々な腫瘍、特に肝臓及び胆汁細胞癌の治療のための新しい戦略になる可能性が高く、近年主に製薬会社から広く注目されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的問題は、より多くのFGFR小分子阻害剤を開発するために、アミノ置換窒素含有縮合環化合物、その調製方法及び使用を提供することであり、本発明のアミノ置換窒素含有縮合環化合物は、FGFR関連腫瘍細胞増殖に対して優れた阻害活性を有し、FGFRキナーゼの異常によって引き起こされる腫瘍などの関連疾患を治療することに応用できる新規な特異的なFGFRキナーゼ阻害剤である。
【0006】
本発明は、以下の技術案により上記の技術的問題を解決する。
【0007】
本発明は、式(I)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩、又はエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、多結晶体又はプロドラッグを提供する。
【0008】
【化1】
【0009】
ただし、
は、水素、ハロゲン、C~Cアルキル、シアノから選択されるものであり、好ましくは、水素、ハロゲン、メチルから選択されるものであり;
【0010】
は、水素、C~C10アルキル、3~8員のシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル、5~8員のアリール又はヘテロアリールから選択されるものであり;好ましくは、水素、C~C置換又は非置換アルキルから選択されるものであり;
【0011】
、R、及びRはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、スルホン、スルホキシド、アシル、スルホニル、ニトロから選択されるものであり、それぞれが独立して、水素、ハロゲン、メチルから選択されることが好ましく;
【0012】
はCR又はNから選択されるものであり;Rは、水素、ハロゲン、C~Cアルキルから選択されるものであり;
【0013】
Arは5~6員のアリール又はヘテロアリールから選択されるものであり;
【0014】
Lは、化学結合、C~C10アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、アシル、スルホニル、4~8員のシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル、5~10員のアリール又はヘテロアリールから選択されるものであり;好ましくは、C~Cアルキルから選択されるものであり;
【0015】
Aは、4~8員のシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル、5~10員のアリール又はヘテロアリールから選択されるものであり;好ましくは、5~6員のヘテロシクロアルキル、5~6員のアリール又はヘテロアリールから選択されるものであり;
【0016】
上記の基のいずれかの1つまたは複数の水素原子は、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、スルホン又はスルホキシド、C~Cアルキル、C~Cシクロアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルアミノ、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cアシル又はスルホニル、5~8員のアリール又はヘテロアリール、4~8員の飽和シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルからなる群から選択される置換基で置換されてもよい。ここで、前記ヘテロアリール基は、N、O、P及びSからなる群から選択される1~3個のヘテロ原子を含み;前記ヘテロシクロアルキル基は、N、O、P、及びSからなる群から選択される1~3個のヘテロ原子を含む。
【0017】
上記の定義で説明されている各環系は、独立して、単環、結合環、縮合環、架橋環又はスピロ環であり得、前記ヘテロアリール基は部分的に酸化及び/又は還元されていてもよい。
【0018】
更に、本発明に記載の式(I)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩、又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、多結晶体又はプロドラッグ、
ただし、
は、好ましくは、CH又はNから選択されるものであり;
【0019】
は、好ましくは、水素、ハロゲン(例えば、フッ素)、C~Cアルキル(例えば、メチル)から選択されるものであり;
【0020】
は、好ましく水素、C~Cアルキル(例えばメチル)、C~C重水素化アルキル(例えば-CD)、C~Cハロアルキル(例えば-CHC(CHF)、5~8員のアリール又はヘテロアリール、4~6員のシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル-(CH)x-、O(R)-(CH)y-、N(R)(R)-(CH)z-、N(CHC(=O)CH-、HOC(CHCH-又はCH(CHOH)-CH-から選択されるものであり;ここで、前記5~8員のアリール又はヘテロアリールは、好ましくはピリジルであり、且つ、好ましくは一つの6員のヘテロシクロアルキル(例えばN-メチルピペラジニルなど)で更に置換されており;前記4~6員のシクロアルキル又はヘテロシクロアルキルは、好ましくはシクロプロピル、テトラヒドロフラニル、ピペラジニル、ピペリジニル又はテトラヒドロピロリルであり、且つ、好ましくは更にC~Cアルキル(例えばメチル)又はアミノで置換されており;R、R及びRはそれぞれ独立して水素又はC~Cアルキル(例えばメチル)から選択されるものであり;x、y及びzはそれぞれ独立して0、1、2、3又は4から選択されるものであり;
【0021】
より好ましくは、Rは、H、メチル、-CD、-CHC(CHF、N(CHC(=O)CH-、HOC(CHCH-、CH(CHOH)-CH-、
【0022】
【化2】
【0023】
CHOCHCH-、
【0024】
【化3】
【0025】
から選択されるものであり;
、R及びRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン(例えば、フッ素)又はN(R)(R10)-(CH)p-(ここで、R及びR10は両方ともC-Cアルキルであり、pは0、1又は2から選択されるものである;例えば、N(R)(R10)-(CH)p-はジメチルアミノメチレン)から選択されるものであり;より好ましくは、Rは水素又はフッ素から選択されるものであり、且つ、R及びRは水素から選択されるものであり;
【0026】
Arは、好ましくは、6員のアリール基、すなわちフェニル基から選択されるものであり、且つ、更に好ましくは、前記フェニル基上の1個または複数個(例えば、1、2、3又は4個)の水素原子がハロゲン、シアノ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、アミノ、ヒドロキシ、C~Cアシル又はスルホニルから選択された置換基(より好ましくはハロゲン又はC~Cアルコキシ)で置換されたものであり;更に好ましくは、2つのハロゲン(例えば、フッ素又は塩素)及び2つのC~Cアルコキシ基(例えば、メトキシなど)で置換されたものであり、例えば、
【0027】
【化4】
【0028】
Lは、化学結合、-(CH-(ここでdは1、2又は3であり、例えば-CH-、-CHCH-又は-CHCHCH-)、-(CH-CH=CH-(ここで、eは1又は2であり、例えば-CH-CH=CH-、且つ、好ましくはここでCsp3炭素原子が環Aと結合している)、又は-O-(CH-(ここでnは1、2、3又は4であり、例えば-O-CHCH-、且つ、好ましくは酸素原子が環Aに結合している)であることが好ましく;
【0029】
Aは、好ましくは5~6員のヘテロシクロアルキル(前記5~6員のヘテロシクロアルキルは更に好ましくはピペラジニル、ピペリジニル又はテトラヒドロピロリルである)、5~6員のヘテロアリール-NH-(前記5~6員のヘテロアリール基は更に好ましくはピリジル、オキサゾリル又はトリアゾリルである)、-Ph-(CH-NH-(ここでoは0又は1から選択される)、5~6員のヘテロアリール-(CH-5~6員のヘテロシクロアルキル-(ここで、前記5~6員のヘテロシクロアルキルは更に好ましくはピペラジニル、ピペリジニル又はテトラヒドロピロリルであり、前記5~6員のヘテロアリールは更に好ましくはピリジル、オキサゾリル又はトリアゾリルであり、mは0又は1から選択される)から選択されるものであり;且つ、Aは、好ましくはその2つの置換基がメタ又はパラ位置の置換関係である。
【0030】
Aは、以下の構造フラグメントであることが更に好ましい。
【0031】
【化5】
【0032】
その中で、Lは常にA構造のアリール基、ヘテロアリール基又は非脂肪族アミン基の一端に結合する。
【0033】
更に、本発明に記載の式(I)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩、又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、多結晶体又はプロドラッグであって、前記の式(I)で表される化合物は次の構造を有しており:
【0034】
【化6】
【0035】
より好ましくは、次の構造から選択され:
【0036】
【化7】
【0037】
ただし、nは0、1又は2から選択されるものであり、M及びRの定義は上記の通りであり;B環は、5~10員の芳香環又は芳香族複素環であり;好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、オキサゾール環又はトリアゾール環である。
【0038】
更に、本発明に記載の式(I)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩、又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、多結晶体又はプロドラッグであって、前記の式(I)で表される化合物は次の構造を有しており:
【0039】
【化8】
【0040】
ここで、nは0、1、又は2から選択されるものであり、Rの定義は上記のとおりである。
より好ましくは、次の構造から選択され:
【0041】
【化9】
【0042】
ここで、Rの定義は上記のとおりである。
【0043】
更に、本発明に記載の式(I)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩、又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、多結晶体又はプロドラッグであって、前記の式(I)で表される化合物は以下化合物のいずれか一つであり:
【0044】
【化10】
【0045】
【化11】
【0046】
【化12】
【0047】
更に、本発明は、以下の工程を含む、式(I)で表される化合物の調製方法も提供する。
a)酸又は塩基の存在下で、一般式(A)の化合物を、α-ハロカルボニル化合物又はその等価物と縮合反応させて、一般式(B)の化合物を調製する;及び
b)酸、塩基又は遷移金属触媒の存在下で、一般式(B)の化合物をアミン化合物と置換反応又はカップリング反応させて、一般式(C)の化合物を調製する;及び、
c)塩基又は縮合試薬の存在下で、一般式(C)の化合物をアクリル酸又はアクリロイルクロリド系化合物と縮合反応させて、一般式(I)の化合物を調製する。
【0048】
【化13】
【0049】
各式において、LGは、ハロゲン、スルホン、スルホキシド、及びスルホネートなど本分野でそのような反応で従来使用される脱離基を表し、他の各基団の定義は上記のとおりである。
【0050】
好ましくは、上記工程a)、b)、及びc)はそれぞれ溶媒中で行われ、且つ上記溶媒はそれぞれ独立して水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、アセトニトリル、N、N-ジメチルホルムアミド、N、N-ジメチルアセトアミド及びジオキサンから選択される一つまたは複数であり;
【0051】
好ましくは、上記遷移金属触媒は、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd(dba))、テトラ(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、酢酸トリフルオロパラジウム、酢酸ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムジクロリド、ビス(トリスo-ベンジルホスフィン)パラジウムジクロリド、及び1,2-ビス(ジフェニルホスフィン)エタンパラジウムジクロリドから選択される一つまたは複数であり;上記触媒配位子は、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート、トリ-n-ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-p-フェニルメチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン及びトリ-o-フェニルメチルホスフィンから選択される一つまたは複数であり;
【0052】
好ましくは、上記縮合試薬はDCC、DIC、CDI、EDCI、HOAt、HOBt、BOP、PyBOP、HATU及びTBTUから選択される一つまたは複数であり;
【0053】
好ましくは、上記塩基は、有機塩基及び/又は無機塩基を含み;ここで、上記無機塩基は、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、フッ化カリウム、フッ化セシウム、リン酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムから選択される一つまたは複数であり;上記有機塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、N、N-ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、リチウムヘキサメチルジシリル、ナトリウムヘキサメチルジシリル、及びジメチルピリジンから選択される一つまたは複数であり;
【0054】
好ましくは、上記酸は塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、及びトリフルオロメタンスルホン酸から選択される1つまたは複数である。
【0055】
本発明において、一般式(A)の化合物及び上記調製方法に関与する各試薬は、市販より入手でき、又は従来の合成方法を参照して当業者が調製することができる。
【0056】
本発明に開示された上記調製方法によれば、当業者は、上記調製方法と同じ原理及び方法を採用して、本発明の一般化合物(I)に含まれる各特定化合物を調製することができる。
【0057】
更に、本発明は、治療有効量の式(I)で表される化合物、或いはその薬学的に許容される塩、或いはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、多結晶体又はプロドラッグ、及び少なくとも1つの医薬品賦形剤を含む医薬組成物も提供する。
【0058】
更に、本発明は、式(I)で表される化合物、或いはその薬学的に許容される塩、或いはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、多結晶体又はプロドラッグ;或いは前記医薬組成物がFGFRキナーゼ阻害剤の調製における使用も提供する。
【0059】
更に、本発明は、式(I)で表される化合物、或いはその薬学的に許容される塩、或いはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、多結晶体又はプロドラッグ;或いは上記医薬組成物がタンパク質キナーゼ、特にFGFRキナーゼの活性又は発現量に関連する疾患を予防及び/又は治療するための薬剤の調製における使用、特に腫瘍を予防及び/又は治療するための薬剤の調製における使用を提供する。ここで、上記腫瘍には、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、肺腺がん、肺扁平上皮がん、乳がん、前立腺がん、肝臓がん、皮膚がん、胃がん、上皮細胞がん、胃腸道間質腫瘍、腸がん、胆管がん、胆嚢がん、結腸直腸がん、脳がん、白血病、リンパ腫、鼻咽頭がん、膀胱がん、膵がんなどの1つまたは複数が含まれるが、これらに限定されない、特に肝臓がん又は胆管がんである。
【0060】
更に、本発明は、必要とする対象に、治療有効量の式(I)で表される化合物、或いはその薬学的に許容される塩、或いはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、多結晶体又はプロドラッグを投与することを含む腫瘍を予防及び/又は治療する方法を提供する。
【0061】
本発明の式(I)で表される化合物は、様々な腫瘍細胞を阻害することができ、特に肝細胞癌細胞を効率的に殺すことができ、新規作用機序を有する肝細胞癌治療薬である。
【0062】
用語
別に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての科学用語は、特許請求の範囲のカテゴリーが属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。特に明記しない限り、本明細書全文に引用されているすべての特許、特許出願、及び公開資料は、参照によりその全体が組み込まれている。
【0063】
上記簡単な説明及び以下の詳細な説明は、例示及び説明のみであり、本発明の主題を限定するものではないことを理解されたい。本願において、特に明記しない限り、単数形の使用には複数形が含まれる。明細書に明確に説明しない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される単数形は、言及された事項の複数形を含むことに留意しなければならない。また、特に明記しない限り、「又は」、「或いは」は「及び/又は」を意味することにも注意する必要がある。更に、「含む」という用語、及び「含有(する)」、「包含(する)」などの他の形式は限定的なものではない。
【0064】
参考文献で(Carey and Sundberg “ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4TH ED.” Vols. A (2000) and B (2001), Plenum Press, New Yorkを含む)、標準化学用語に関する定義を見つけることができる。特に明記しない限り、質量分析、NMR、IR、及びUV / VIS分光法及び薬理学的方法など、当技術分野の技術範囲内の従来方法が使用される。具体的に定義されない限り、本明細書で分析化学、有機合成化学、及び医薬と薬物化学に関連する説明で使用される用語は、当技術分野で知られているものである。標準的な技術は、化学合成、化学分析、医薬品の調製、製剤化と送達、及び患者の治療に使用できる。例えば、製造業者のキットに関する使用説明、或いは、当技術分野で知られている方法又は本発明における説明によって、反応を行う及び精製を実行することができる。上記の技術及び方法は、一般に、本明細書で引用及び議論されるいくつかの概要的な及びより具体的な参考文献の説明に基づいて、当技術分野で周知の従来方法に従って実施することができる。本明細書において、基及びそれらの置換基は、安定な部分及び化合物を提供するために当業者により選択され得る。
【0065】
本発明において、変数の1つが化学結合から選択される場合、それが接続する2つのグループは直接接続されることを示し、例えば、A-L-ZにおけるLが化学結合を表す場合、その構造が実際にA-Zであり;「R-R-R-」に類似する形を使用し、置換基のタイプと範囲を定義する場合、「R-R-R-」で表される置換基が、全体としてRにより上記の親化合物に直接結合しており、且つ、その中のR、R、Rで表される置換基が互いに化学結合を介して順に結合することを意味する。
【0066】
置換基が左から右に書かれた従来の化学式で記述される場合、当該置換基には、構造式が右から左に書かれたときに得られる化学的に等価な置換基も含まれる。例えば、-CHO-は-OCH-と同等である。
【0067】
本明細書に使用されるセクションの見出しは、文章を組織する目的のためだけのものであり、上記主題を限定するものとして解釈されるべきではない。特許、特許出願、文章、書籍、操作マニュアルと論文を含むがこれらに限定されない、本願で引用されたすべての文献又は文献文書の一部は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0068】
本明細書で定義されるある特定の化学基の前には、その基に存在する炭素原子の総数を示す簡略記号が付いている。例えば、C1-6アルキルは、合計1~6個の炭素原子を有する以下に定義されるアルキル基を指す。簡略記号における炭素原子の総数には、その基の置換基に存在する可能性がある炭素は含まれない。
【0069】
前述内容以外、本願の明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、特に明記しない限り、以下の用語は以下に示す意味を有する。
【0070】
本願において、「ハロゲン」という用語はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
「ヒドロキシ」とは、-OH基を指す。
「ヒドロキシアルキル」は、ヒドロキシ(-OH)基で置換された、以下に定義されるアルキル基を指す。
「カルボニル」は、-C(=O)-基を指す。
「ニトロ」は-NOを指す。
「シアノ」は-CNを指す。
「アミノ」は-NHを指す。
「置換アミノ」とは、例えばモノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルアミド、アラルキルアミノ、ヘテロアラルキルアミノなど以下に定義される1つ又は2つのアルキル、アルキルカルボニル、アラルキル、ヘテロアラルキルで置換されたアミノ基を指す。
「カルボキシ」は-COOHを指す。
【0071】
本願において、基又は他の基の一部として(例えば、ハロゲン置換アルキル基などの基で使用される)、「アルキル」という用語は、炭素原子及び水素原子のみから構成されており、不飽和結合を含まなく、例えば1~12個(好ましくは1~8個、より好ましくは1~6個)の炭素原子を有し、且つ単結合を介して分子の残り部分に結合する直鎖又は分岐炭化水素鎖基を意味する。アルキルの例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、ヘプチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、オクチル、ノニル及びデシルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
本願において、基又は別の基の一部として、「アルケニル」という用語は、炭素原子及び水素原子のみから構成されており、少なくとも1つの二重結合を含んでおり、例えば2~14個(好ましくは2~10個、好ましくは2~6個)炭素原子を有し、且つ単結合を介して分子の残り部分に結合する直鎖又は分岐炭化水素鎖基を意味し、例えば、ビニル、プロペニル、アリル、ブト-1-エニル、ブト-2-エニル、ペント-1-エニル、ペント-1,4-ジエニルなどであるが、これらに限定されない。
【0073】
本願では、基又は別の基の一部として、「アルキニル」という用語は、炭素及び水素原子のみ構成されており、少なくとも1つの三重結合と、必要に応じて1つ又は複数の二重結合を含み、例えば2~14個(好ましくは2~10個、より好ましくは2~6個)の炭素原子を有し、且つ単結合を介して分子の残り部分に結合する直鎖又は分岐炭化水素鎖基を意味する。例えば、エチニル、プロプ-1-イニル、ブト-1-イニル、ペント-1-エン-4-イニルなどであるが、これらに限定されない。
【0074】
本願において、基又は別の基の一部として、「シクロアルキル」という用語は、炭素原子と水素原子のみ構成される安定な非芳香族単環式又は多環式炭化水素基を意味し、それが縮合環系、架橋環系又はスピロ環系を含んでもよく、3~15個の炭素原子、好ましくは3~10個の炭素原子、より好ましくは3~8個の炭素原子を有し、且つそれが飽和又は不飽和であり、いずれの適切な炭素原子を介して単結合によって分子の残り部分に結合する。本明細書で特に明記しない限り、シクロアルキル基の炭素原子は任意に酸化されてもよい。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、1H-インデニル、2,3-ジヒドロインデニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフチル、5,6,7,8-テトラヒドロ-ナフチル、8,9-ジヒドロ-7H-ベンゾシクロヘプテン-6-イル、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロ-ベンゾシクロオクテニル、フルオレニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプテニル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクテニル、ビシクロ[3.2.1]オクテニル、アダマンチル、オクタヒドロ-4,7-メチレン-1H-インデニル及びオクタヒドロ-2,5-メチレン-シクロペンタジエニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0075】
本願において、基又は別の基の一部として、「複素環基」という用語は、2~14個の炭素原子と、窒素、リン、酸素、及び硫黄から選択される1~6個のヘテロ原子からなる安定した3~20員の非芳香族環状基を意味する。本明細書で特に明記しない限り、複素環基は単環式、二環式、三環式、又はそれ以上の環系であり得、縮合環系、架橋環系、又はスピロ環系を含み得;その複素環基における窒素、炭素又は硫黄原子は任意に酸化されてもよく;窒素原子は任意に四級化されてもよく;且つ複素環基は部分的又は完全に飽和されてもよい。複素環基は、炭素原子又はヘテロ原子を介して、単結合によって分子の残り部分に結合することができる。縮合環含有複素環基において、分子の残り部分への結合点が非芳香族環原子であるという条件で、1つまたは複数の環は以下に定義されるアリール又はヘテロアリール基であり得る。本発明の目的から見れば、複素環基は、好ましくは、窒素、酸素及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を含む安定な4~11員の非芳香族単環、二環、架橋又はスピロ環基であり、より好ましくは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を含む安定な4~8員の非芳香族単環、二環、架橋、又はスピロ環基である。複素環基の例には、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、チオモルホリニル、2,7-ジアザ-スピロ[3.5]ノナン-7-イル、2-オキサ-6-アザ-スピロ[3.3]ヘプタン-6-イル、2,5-ジアザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル、アザシクロブチル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、チオラニル、テトラヒドロフラニル、オキサジニル、ジオキソシクロペンチル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、キナジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、ジヒドロインドリル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、ピロリジニル、ピラゾリジノニル、フタルイミドなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0076】
本願において、基又は別の基の一部として、「アリール」という用語は、6~18個の炭素原子(好ましくは6~10個の炭素原子)を有する共役炭化水素環系基を意味する。本発明の目的から見れば、アリール基は単環式、二環式、三環式又はそれ以上の環系であり得、アリール基が芳香環上の原子を介した単結合によって分子の残り部分に接続するという条件で、アリール基は、上記で定義されたシクロアルキル又は複素環基と縮合していてもよい。アリールの例には、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、フルオレニル、2,3-ジヒドロ-1H-イソインドリル、2-ベンゾオキサゾリノン、2H-1,4-ベンゾオキサジン-3(4H)-オン-7-イル等が含まれるが、これらに限定されない。
【0077】
本願において、「アリールアルキル」という用語は、上記で定義されたアリール基で置換された上記で定義されたアルキル基を指す。
【0078】
本願において、基又は別の基の一部として、「ヘテロアリール」という用語は、環内に1~15個の炭素原子(好ましくは1~10個の炭素原子)及び窒素、酸素、硫黄のヘテロ原子から選択される1~6個を有する5~16員の共役環系基を意味する。本明細書で特に明記しない限り、ヘテロアリール基は単環式、二環式、三環式、又はそれ以上の環系であり得、ヘテロアリール基が芳香環上の原子を介した単結合によって分子の残り部分に接続するという条件で、ヘテロアリール基は上記で定義したシクロアルキル又は複素環基と縮合していてもよい。ヘテロアリールにおける窒素、炭素又は硫黄原子は任意に酸化されてもよく;窒素原子は任意に四級化されてもよい。本発明の目的から見れば、ヘテロアリール基は、好ましくは、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~5個のヘテロ原子を含む安定な5~12員の芳香族基であり、より好ましくは窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を含む安定な5~10員の芳香族基、又は窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~3個のヘテロ原子を含む安定な5~6員の芳香族基である。ヘテロアリールの例には、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、インドリル、フラニル、ピロリル、トリアザリル、テトラゾリル、トリアジニル、インダジニル、イソインドリル、インダゾリル、イソインダゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、ジアゾナフチル、ナフチリジニル、キノキサリニル、プテリジニル、カルバゾリル、カルボリニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナジニル、イソチアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、オキサトリアゾリル、シンノリニル、キナゾリニル、フェニルチオ、インドリジニル、o-ジアザフェナントリル、イソオキサゾリル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チエニル、ナフトピリジル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジン、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-c]ピリミジン、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジン、イミダゾール[1,2-a]ピリジン、イミダゾール[1,2-b]ピリダジン、イミダゾール[1,2-a]ピラジンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
本願において、「ヘテロアリールアルキル」という用語は、上記で定義されたヘテロアリール基で置換された上記で定義されたアルキル基を指す。
【0080】
本願において、「任意の」又は「任意に」は、その後に記載される事象又は状態が発生する可能性があるが、必ずしも起こらないことを意味し、且つ、その記載は、事象又は状態が生じる例及び事象又は状態が生じない例を含むことを意味する。例えば、「任意に置換されたアリール」は、アリール基が置換又は非置換であることを意味し、且つ、当該説明には置換アリール基と非置換アリール基の両方が含まれる。
【0081】
本明細書で使用される「部分」、「構造部分」、「化学部分」、「基」及び「化学基」という用語は、分子内の特定の断片又は官能基を指す。化学部分は一般に、分子に埋め込まれている又は分子に結合している化学実体と見なされる。
【0082】
「立体異性体」とは、同じ原子構成から同じ結合で結合されているが、三次元構造が異なる化合物を指す。本発明は、様々な立体異性体及びそれらの混合物を包含する。
【0083】
本発明の化合物がオレフィン二重結合を含む場合、本発明の化合物は、特に明記しない限り、E-及びZ-幾何異性体を含むことを意図する。
【0084】
「互変異性体」とは、分子のある原子から同じ分子の別の原子へのプロトンの移動によって形成される異性体を指す。本発明の化合物のすべての互変異性形態も本発明の範囲内に含まれる。
【0085】
本発明の化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩に、1つ又は複数のキラル炭素原子を含む可能性があり、且つ、それによって、エナンチオマー、ジアステレオマー及び他の立体異性体が生じることができる。各キラル炭素原子は、立体化学に基づいて(R)-又は(S)-として定義できる。本発明は、すべての可能な異性体、及びそれらのラセミ体及び光学的に純粋な形態を含むことを主旨している。本発明の化合物の調製において、原料又は中間体として、ラセミ体、ジアステレオマー又はエナンチオマーを選択することができる。光学活性異性体は、キラルシントン又はキラル試薬を使用して調製することができ、又は結晶化やキラルクロマトグラフィーなどの従来手法を使用して分割することもできる。
【0086】
個々の異性体の調製/単離のための従来の技術には、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、又はキラル高速液体クロマトグラフィー等を使用してラセミ体(或いは、塩又は誘導体のラセミ体)を分割することが含まれ、例えば、Gerald Gubitz and Martin G. Schmid (Eds.), Chiral Separations, Methods and Protocols, Methods in Molecular Biology, Vol. 243, 2004;A.M. Stalcup, Chiral Separations, Annu. Rev. Anal. Chem. 3:341-63, 2010;Fumiss et al. (eds.), VOGEL’S ENCYCLOPEDIA OF PRACTICAL ORGANIC CHEMISTRY 5.sup.TH ED., Longman Scientific and Technical Ltd., Essex, 1991, 809-816; Heller, Acc. Chem. Res. 1990, 23, 128を参照してください。
【0087】
本願において、用語「薬学的に許容される塩」には、薬学的に許容される酸付加塩及び薬学的に許容される塩基付加塩が含まれる。
【0088】
「薬学的に許容される酸付加塩」とは、無機酸又は有機酸と形成された、他の副作用を持たせずに遊離塩基の生物学的有効性を保持できる塩を指す。無機酸塩には、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などが含まれるが、これらに限定されない;有機酸塩には、ギ酸塩、酢酸塩、2,2-ジクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、ヘキサン酸塩、カプリル酸塩、カプリン酸塩、ウンデシレン酸塩、グリコレート、グルコン酸塩、乳酸塩、セバケート、アジピン酸塩塩、グルタル酸塩、マロン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、ケイ皮酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、グルタミン酸塩、ピログルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、メシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、サリチル酸塩、4-アミノサリチル酸塩、ナフタレンジスルホン酸塩などが含まれるが、これらに限定されない。これらの塩は、当該分野の既存方法によって調製することができる。
【0089】
「薬学的に許容される塩基付加塩」とは、無機塩基又は有機塩基と形成された、他の副作用を持たせずに遊離酸の生物学的有効性を保持できる塩を指す。無機塩基に由来する塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩などが含まれるが、これらに限定されない。好ましい無機塩は、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩である。有機塩基に由来する塩には、次の塩が含まれるが、これらに限定されなく:第一級、第二級及び第三級アミン;天然置換アミン、環状アミン、及び塩基性イオン交換樹脂を含む置換アミン;例えば、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルコサミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂など。好ましい有機塩基には、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、及びカフェインが含まれる。これらの塩は、当該分野で既存方法によって調製され得る。
【0090】
「多結晶体」とは、固体状態で2つまたは2つ以上の異なる分子配列の存在により、本発明のある化合物が生成される異なる固体結晶相を指す。本発明のある化合物には、2つ以上の結晶形態が存在すし得、本発明は、様々な結晶形態及びそれらの混合物を含むことを意図する。
【0091】
一般に、結晶化により、本発明の化合物の溶媒和物が生成される。本発明で使用される「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物の1つ又は複数の分子及び1つ又は複数の溶媒分子を含む凝集体を指す。溶媒は水であってもよく、この場合の溶媒和物は水和物である。或いは、溶媒は有機溶媒であってもよい。したがって、本発明の化合物は、一水和物、二水和物、半水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物などを含む水和物、ならびそれに対応する溶媒和形態として存在し得る。本発明の化合物は、真の溶媒和物を形成することができるが、場合によっては、不確実な水のみ、又は水と部分の不確実な溶媒の混合物のみを保持することも可能である。本発明の化合物は、溶媒中で反応することができ、或いは、溶媒から沈殿又は結晶化により出てくることができる。本発明の化合物の溶媒和物も本発明の範囲内に含まれる。
【0092】
本発明は、前述の化合物のプロドラッグも含む。本願において、「プロドラッグ」という用語は、生理学的条件下又は加溶媒分解により、本発明の生物学的に活性な化合物に変換できる化合物を意味する。したがって、「プロドラッグ」という用語は、本発明の化合物の薬学的に許容される代謝前駆体を指す。必要な個体に投与される場合、プロドラッグは不活性のものであり得るが、体内で本発明の活性化合物に変換される。プロドラッグは通常、例えば血中での加水分解により、体内で急速に変換して本発明の親化合物を生成する。プロドラッグ化合物は、典型的には、哺乳類生物における溶解性、組織適合性、又は持続放出の利点を提供する。プロドラッグには、既知のアミノ保護基とカルボキシ保護基が含まれる。具体的なプロドラッグ調製方法は、Saulnier, M. G., et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 1994, 4, 1985-1990;Greenwald, R. B., et al., J. Med. Chem. 2000, 43, 475を参照できる。
【0093】
本願において、「医薬組成物」とは、本発明の化合物と生物学的に活性な化合物を哺乳動物(例えば、ヒト)に送達するために当技術分野で一般に認められている媒体との製剤を指す。当該媒体は、薬学的に許容される担体を含む。医薬組成物の目的は、生物体の投与を促進し、活性成分の吸収を有利にし、そして生物学的活性を発揮することである。
【0094】
本明細書で使用される「薬学的に許容される」という用語は、本発明の化合物の生物学的活性又は特性に影響を与えない物質(担体又は希釈剤など)を指し、且つ比較的無毒であり、すなわち、有害な生物学的反応を引き起こしたり、組成物に含まれる成分のいずれかと有害な方式で相互作用したりすることなく、当該物質を個体に投与することができる。
【0095】
本願において、「薬学的に許容される担体」には、ヒト又は家畜の使用に許容されるとして関連政府当局により承認されたアジュバント、担体、賦形剤、滑剤、甘味料、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、矯味剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒又は乳化剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0096】
本発明に記載の「腫瘍」及び「細胞増殖関連疾患」には、白血病、胃腸道間質腫瘍、組織球性リンパ腫、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、膵がん、肺扁平上皮がん、肺腺がん、乳がん、前立腺がん、肝臓がん、皮膚がん、上皮がん、子宮頸がん、卵巣がん、腸がん、鼻咽頭がん、脳がん、骨がん、食道がん、メラノーマ、腎臓がん、口腔がんなどの病気が含まれるが、これらに限定されない。
【0097】
本明細書で使用される「予防的」、「予防」、及び「防ぐ」という用語は、患者が疾患又は障害の発生又は悪化を低減させる可能性を含む。
【0098】
本明細書で使用される「治療」という用語及び他の類似する同義語には、以下の意味が含まれる。
(i)特に哺乳動物が疾患又は病症にかかりやすいが、疾患又は病症を有すると診断されていない場合、当該哺乳動物における疾患又は病症の発生を防ぐ;
(ii)疾患又は病症を抑制する、すなわち、その発症を抑制する;
(iii)疾患又は病症を緩和する、つまり、当該疾患又は病症の状態を退行させる;又は
(iv)疾患又は病症によって引き起こされる症状を軽減する。
【0099】
本明細書で使用される「有効量」、「治療有効量」又は「医薬有効量」という用語は、投与後に、治療される疾患又は病症の1つ又は複数の症状をある程度緩和するのに十分な少なくとも1つの薬剤又は化合物の量を指す。その結果は兆候、症状、原因の緩和及び/又は軽減、或いは生体系におけるその他の希望変化いずれであり得る。例えば、治療に使用するための「有効量」は、有意な臨床的病症緩和効果を提供するのに必要である、本明細書に開示されている化合物を含む組成物の量である。例えば用量漸増試験などの技術を使用して、いずれの個体症例に適した有効量を測定することができる。
【0100】
本明細書で使用される「服用する」、「投与する」、「投薬する」などの用語は、化合物又は組成物を生物学的効果のために所望の部位に送達できる方法を指す。これらの方法には、経口経路、十二指腸経路、非経口注射(静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、動脈内注射又は注入を含む)、局所投与、及び直腸投与が含まれるが、これらに限定されない。当業者は、本明細書に記載の化合物及び方法に使用できる応用技術に精通しており、例えば、Goodman and Gilman, The Pharmacological Basis of Therapeutics, current ed.; Pergamon; and Remington’s, Pharmaceutical Sciences (current edition), Mack Publishing Co., Easton, Paにおいて議論された応用技術。好ましい実施形態では、本明細書で論じられる化合物及び組成物は経口で投与される。
【0101】
本明細書で使用される「医薬の組み合わせ」、「薬物併用」、「併用投与」、「他の治療を施す」、「他の治療薬を投与する」などは、複数の活性成分を混合する又は組み合わせることによって得られる薬物治療を指し、活性成分の固定及び非固定の組み合わせが含まれる。「固定の組み合わせ」という用語は、単一実体又は単一投薬量の形態で、本明細書に記載の少なくとも1つの化合物及び少なくとも1つの相乗的製剤を同時に患者に投与することを意味する。「非固定の組み合わせ」という用語は、別個実体の形態で、本明細書に記載の少なくとも1つの化合物及び少なくとも1つの相乗的製剤を患者へ同時投与、併用、又は可変間隔で順序的に投与することを示す。これらは、カクテル療法にも適用され、例えば、3つまたは3つ以上の活性成分を投与すること。
【0102】
また、当業者は以下に記載される方法では、中間体の官能基が適切な保護基によって保護される必要があるかもしれないことを理解すべきである。そのような官能基には、ヒドロキシル、アミノ、メルカプト及びカルボン酸が含まれる。適切なヒドロキシ保護基には、トリアルキルシリル又はジアリールアルキルシリル(例えば、tert-ブチルジメチルシリル、tert-ブチルジフェニルシリル又はトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、ベンジルなどが含まれる。アミノ、フルオレニル及びグアニジノの適切な保護基には、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが含まれる。適切なチオール保護基には、-C(O)-R’’(ここでR’’はアルキル、アリール、又はアラルキルである)、p-メトキシベンジル、トリチルなどが含まれる。適切なカルボキシ保護基には、アルキル、アリール又はアラルキルエステル類が含まれる。
【0103】
保護基は、当業者に知られる方法及び本明細書に記載されている標準的な技術に従って導入及び除去することができる。保護基の使用は、Greene, T. W.とP. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, (1999), 4th Ed., Wileyに詳述されている。保護基はポリマー樹脂であってもよい。
【0104】
本発明の範囲内で、本発明の上記技術的特徴及び以下(例えば実施例など)に具体的に説明する技術的特徴を互いに組み合わせて、新規又は好ましい技術的解決策を形成することもできることを理解されたい。スペースの制限のため、ここでは贅言しない。
【発明を実施するための形態】
【0105】
真剣に長時間研究した後、本発明者らは、一類の式Iで表される新規構造を有する化合物を調製し、それらが良好なFGFRキナーゼ阻害活性を有し、且つ、当該化合物が非常に低濃度(≦1nmol/Lまで低くてもよい)下で、FGFRキナーゼに対して特異的な阻害効果があり、且つ、FGFR関連腫瘍細胞増殖に対して優れた阻害活性があるため、FGFRキナーゼの突然変異又は異常発現によって引き起こされる腫瘍などの関連疾患を治療することに使用できる。上記の知見に基づいて、本発明者らは本発明を完成した。
【0106】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明は記載される実施例の範囲に限定されるものではない。以下の実施例において、条件が明確に記載されていない実験方法ついて、通常、従来の方法及び条件に従って、又は製品の仕様に従って選択される。特に明記しない限り、パーセンテージと部は重量パーセントと重量部である。
【0107】
(中間体の調製)
中間体1:6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-2-メチルチオ-ピリジン[2,3-d]ピリミジン-7-イルアミン
【0108】
【化14】
【0109】
工程1:1,3-ジメトキシ-5-メチルベンゼン(30g、0.20mol)とジクロロメタン(900mL)を乾燥した丸底フラスコ(1L)に加え、氷冷下で上記の溶液にジクロロスルホン(52.5g、0.40mol)を滴下し、滴下が完了した後、混合物を室温で一晩攪拌した。反応終了後、炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下してpH=8に調整し、ジクロロメタンで抽出し、それぞれに希塩酸及び蒸留水で洗浄し、乾燥し、減圧濃縮して、化合物2,4-ジクロロ-1,5-ジメトキシ-3-メチルベンゼン(31g、白色固体)を得、これを次の工程に直接に使用した。
【0110】
工程2:2,4-ジクロロ-1,5-ジメトキシ-3-メチルベンゼン(31g、0.14mol)を四塩化炭素(600mL)に溶解し、次に、乾燥した丸底フラスコ(1000mL)に入れ、室温で順にアゾビスイソブチロニトリル(3.0g、0.018モル)及びN-ブロモスクシンイミド(27.6g、0.154 mol)を加えた。80℃で3時間反応させ、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応をクエンチさせ、更に、ジクロロメタンで抽出し、有機相を乾燥させ濃縮し、メチルtert-ブチルエーテルで結晶化させて、化合物3-ブロモメチル-2,4-ジクロロ-1,5-ジメトキシベンゼン(30g、白色固体)を得た。
【0111】
工程3:乾燥した1000mL丸底フラスコに、化合物3-ブロモメチル-2,4-ジクロロ-1,5-ジメトキシベンゼン(30g、0.1mol)及びアセトニトリル(500mL)を加え、室温で、トリメチルシリルシアニド(12g、0.34mmol)とフッ化テトラブチルアンモニウム(100mL、1mol/L)を加えた。室温で1時間撹拌した後、TLCで反応が終了したことを示した。反応液を減圧濃縮し、酢酸エチルで希釈し、有機相をそれぞれに水及び飽和食塩水で洗浄し乾燥した後、濃縮し、濃縮物を酢酸エチルで叩解して化合物(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-アセトニトリルを得た。(20g、白色固体)。
【0112】
工程4:乾燥した250 mL丸底フラスコに、(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-アセトニトリル(10.4g、0.028mol)及びN、N-ジメチルホルムアミドを加え、室温で順に4-アミノ-2-メチルチオ-ピリミジン-5-ホルムアルデヒド(5 g、0.02 mol)及び炭酸カリウム(12.25 g、0.06 mol)を加え、反応完了まで反応物を一晩撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで抽出し、有機相を蒸留水及び飽和食塩水で洗浄し、乾燥し、濾過し、減圧濃縮して得た濃縮物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより溶離液系(ジクロロメタン:メタノール= 30:1)で精製して、化合物6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-2-メチルチオ-ピリジン[2,3-d]ピリミジン-7-イルアミン(3.7 g、黄色固体)を得た。LC-MS:ESI[M+H]=399.0; 1H-NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.80 (s, 1H), 7.69 (s, 1H), 6.67 (s, 1H), 3.97 (s, , 6H), 2.68 (s, 3H)。
【0113】
中間体2:7-クロロ-3-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-[1,6]ナフチリジン-2-イルアミン
【0114】
【化15】
【0115】
乾燥した250 mL丸底フラスコに、4-アミノ-6-クロロ-ピリジン-3-ホルムアルデヒド(2 g、0.013 mol)とN-メチルピロリドン(20 mL)を加え、そして順に化合物(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-アセトニトリル(4.4 g、0.018 mol)、炭酸カリウム(5.27 g、0.039 mol)を添加し、80℃で撹拌して反応させた。反応完了後、反応溶液を酢酸エチルで抽出し、有機相を蒸留水及び飽和食塩水で順に洗浄し、乾燥し、濾過し、減圧濃縮して得た濃縮物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより溶離液系(ジクロロメタン:メタノール=30:1)で精製して、化合物7-クロロ-3-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-[1,6]ナフチリジン-2-イルアミン(0.8 g、黄色の固体)を得た。LC-MS:ESI[M+H]=383.9; 1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.71 (s, 1H), 7.88 (s, 1H), 7.34 (s, 1H), 7.00 (s, 1H), 3.94 (s, 6H)。
【0116】
上記の方法により調製を行い、以下の中間体を得た。
【0117】
【化16】
【0118】
中間体5:3-[4-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-8-メチルチオ-3,7,9,9b-テトラアザ-シクロペンチル[a]ナフタレン-2-イル]-プロピオンアルデヒド
【0119】
工程1:6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-2-メチルチオ-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イルアミン(4g)及びトリエチルアミン(3g)をN、N-ジメチルホルムアミド(15mL)に溶解し、撹拌しながら5-クロロ-4-オキソ-吉草酸メチル(3.2g)を加えた。滴下完了後、混合物を80℃に加熱し、一晩撹拌した。反応完了後、ジクロロメタン(40 mL)を加え、抽出を行い、有機相を飽和炭酸水素ナトリウムと水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離精製して、3-[4-(2、6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-8-メチルチオ-3,7,9,9b-テトラアザ-シクロペンチル[a]ナフタレン-2-イル]-プロピオン酸メチル(2.4g)を得た。LC-MS:ESI[M+H]=507.3
【0120】
工程2:3-[4-(2、6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-8-メチルチオ-3,7,9,9b-テトラアザ-シクロペンチル[a]ナフタレン-2-イル]-プロピオン酸メチル(2.4g)を無水メタノール(20mL)に溶解し、氷冷下で水素化ホウ素ナトリウム(150 mg)固体をバッチに加え、2時間加熱還流した。飽和塩化アンモニウム溶液を反応溶液に加えて反応をクエンチさせ、溶媒を減圧下で除去し、ジクロロメタンで抽出した。有機相を水と飽和食塩水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離し精製して、3-[4-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-8-メチルチオ-3,7,9,9b-テトラアザ-シクロペンチル[a]ナフタレン-2-イル]-プロパン-1-オール(1.8 g)を得た。LC-MS:ESI[M+H]=480.3。
【0121】
工程3:3-[4-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-8-メチルチオ-3,7,9,9b-テトラアザ-シクロペンチル[a]ナフタレン-2-イル]-プロパン-1-オール(1.8 g)を酢酸エチル(20 mL)に溶解し、Dess-Martin酸化剤(1.3 g)を加え、3時間加熱還流した。反応溶液にチオ硫酸ナトリウム溶液を加えることにより反応をクエンチさせ、有機相を分離し、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び水でそれぞれに洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより分離精製して、3-[4-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-8-メチルチオ-3,7,9,9b-テトラアザ-シクロペンチル[a]ナフタレン-2-イル]-プロピオンアルデヒド(1.1 g)を得た。LC-MS:ESI[M+H]=478.3。
【0122】
中間体5と同じ方法を使用して調製を行い、中間体6-9を合成した。
【0123】
中間体6:3-(8-クロロ-4-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)イミダゾール[1,2-a][1,6]ナフチリジン-2-イル)プロピオンアルデヒド
【0124】
【化17】
【0125】
LC-MS:ESI[M+H]=464.3。
【0126】
中間体7:3-(6-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)-2-(メチルチオ)イミダゾール[1’,2’:1,6]ピリジン[2,3-d)ピリミジン-8-イル)プロピオンアルデヒド
【0127】
【化18】
【0128】
LC-MS:ESI[M+H]=445.3。
【0129】
中間体8:
【0130】
【化19】
【0131】
LC-MS:ESI[M+H]=473.2。
【0132】
標的産物の一般的な合成方法一
【0133】
【化20】
【0134】
工程1:N-Bocジアミンの還元アミノ化
アルデヒド中間体(1 eq.)及びN-Bocジアミンを無水メタノールに溶かし、氷酢酸1滴を滴下し、室温で1時間攪拌した後、固体の水素化ホウ素ナトリウム(2 eq.)を氷冷下でバッチに加え、室温で一晩攪拌した。反応完了後、飽和塩化アンモニウム溶液を添加して反応をクエンチさせ、酢酸エチルで抽出し、有機相をそれぞれに飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより分離し精製して標的中間体を得た。
【0135】
工程2:メチルチオのメチルスルホニルへの酸化
メチルチオ中間体(1 eq.)をジクロロメタンに溶解し、m-クロロペルオキシ安息香酸(2 eq.)を氷冷下でバッチに加え、室温で一晩撹拌した。反応完了後、反応溶液をチオ硫酸ナトリウム溶液でクエンチし、有機相を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより分離し精製して、メチルスルホン化合物の中間体を得た。
【0136】
工程3:アミンによるメチルスルホニルの置換
メチルスルホニル中間体(1 eq.)及び原料アミン(2 eq.)を無水N、N-ジメチルホルムアミドに溶解し、マイクロ波で100℃に加熱し2時間反応させた。反応完了後、ジクロロメタンを加え抽出を行い、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液と水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離し精製して、ニトロ化合物の中間体を得た。
【0137】
工程4:Bocの脱保護
原料(1 eq.)をジクロロメタンに溶解し、氷浴で冷却しながら、トリフルオロ酢酸(10 eq.)を加えて2時間撹拌した。反応完了後、減圧濃縮し、残渣を精製せずに直接に次の反応に使用した。
【0138】
工程5:アクリロイル化
ピペラジン中間体(1 eq.)及びDIPEA(2 eq.)を乾燥したN、N-ジメチルホルムアミドに溶解し、アクリロイルクロリド(1.2 eq.)を氷冷下でゆっくりと滴下した。添加完了後、反応を室温で一晩進行させた。反応溶液をジクロロメタン及び飽和炭酸水素ナトリウム溶液でクエンチし、有機相を分離し、それぞれに水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。残渣を分取HPLC又はBiotage Flashカラムクロマトグラフィーににより分離し生成して、標的化合物を得た。
【0139】
中間体5-8を原料として使用して、一般的な方法一に記載されている手順と方法により、以下実施例の化合物を調製した。
【0140】
実施例1:1-(4-(3-(6-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシアニリン)-2-(メチルアミン)イミダゾール[1 ’,2’:1,6]ピリジン[2,3-d]ピリミジン-8-イル)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン)
【0141】
【化21】
【0142】
LC-MS:ESI[M+H]+=552.3;H-NMR(400MHz, CD3OD)8.92(s, 1H), 8.30(s, 1H), 8.13(s, 1H),7.31(s, 1H), 7.05(s, 1H), 6.59-6.65(dd, J=10.4, 16.8Hz, 1H), 6.10-6.15(dd, J=2.0, 16.8Hz, 1H), 5.65-5.69(dd, J=2.0, 10.4Hz, 1H), 3.92(s, 6H), 3.57-3.60(m, 4H), 3.01(s, 3H), 2.70-2.74(m, 2H), 2.59-2.62(m, 6H), 1.89-1.94(m, 2H)。
【0143】
実施例2:1-(4-(3-(4-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシアニリン)-8-(メチルアミン)イミダゾ[1,2-a] [1,6)ナフチリジン-2-イル)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン
【0144】
【化22】
【0145】
LC-MS:ESI[M+H]+=551.3;H-NMR(400MHz, CD3OD)8.95(s, 1H), 8.29(s, 1H), 8.11(s, 1H),7.32(s, 1H), 7.21(s, 1H), 7.10(s, 1H), 6.61-6.65(dd, J=10.4, 16.8Hz, 1H), 6.12-6.15(dd, J=2.0, 16.8Hz, 1H), 5.63-5.68(dd, J=2.0, 10.4Hz, 1H), 3.93(s, 6H), 3.56-3.61(m, 4H), 3.03(s, 3H), 2.71-2.74(m, 2H), 2.60-2.63(m, 6H), 1.89-1.93(m, 2H)。
【0146】
実施例3:1-(4-(3-(6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシアニリン)-2-(メチルアミン)イミダゾール[1’,2’:1,6]ピリジン[2,3 -d]ピリミジン-8-イル)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン
【0147】
【化23】
【0148】
LC-MS:ESI[M+H]+= 583.8/585.7;H-NMR(400MHz, CD3OD)8.79(s, 1H), 8.25(s, 1H), 8.08(s, 1H),7.28(s, 1H), 6.85(s, 1H), 6.61-6.68(dd, J=10.4, 16.8Hz, 1H), 6.10-6.14(dd, J=2.0, 16.8Hz, 1H), 5.65-5.68(dd, J=2.0, 10.4Hz, 1H), 3.87(s, 6H), 3.57-3.59(m, 4H), 3.01(s, 3H), 2.70-2.74(m, 2H), 2.59-2.62(m, 6H), 1.89-1.94(m, 2H)。
【0149】
実施例4:1-(4-(3-(2-((シクロプロピルメチル)アミノ)-6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシアニリン)イミダゾール[1 ’,2’:1,6]ピリジン[2,3-d]ピリミジン-8-イル)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン
【0150】
【化24】
【0151】
LC-MS:ESI[M+2H]+=312.5/313.5;H-NMR(400MHz, CD3OD)9.07(s, 1H), 8.18(s, 1H), 8.30(s, 1H), 7.37(s, 1H), 7.06(s, 1H), 6.74-6.81(m,1H), 6.09(dd, J=2.4, 16.8Hz, 1H), 5.66(dd, J=2.4, 10.4Hz, 1H), 4.29(s, 3H), 3.57-3.61(m, 4H), 3.34-3.37(m, 2H), 2.65(t, J=7.2Hz, 2H), 2.28-2.35(m, 6H), 1.75-1.82(m, 2H), 0.97-1.18(m, 1H), 0.46-0.48(m,2H), 0.32-0.34(m, 2H)。
【0152】
実施例5:1-(4-(3-(4-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシアニリン)-8-(メチルアミン)イミダゾール[1,2-a] [1、6)ナフチリジン-2-イル)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン
【0153】
【化25】
【0154】
LC-MS:ESI[M+H]+=583.4/585.4。H-NMR(400MHz, CD3OD)8.93(s, 1H), 8.32(s, 1H), 8.14(s, 1H),7.31(s, 1H), 7.23(s, 1H), 7.08(s, 1H), 6.61-6.65(dd, J=10.4, 16.8Hz, 1H), 6.12-6.15(dd, J=2.0, 16.8Hz, 1H), 5.63-5.68(dd, J=2.0, 10.4Hz, 1H), 3.93(s, 6H), 3.57-3.65(m, 4H), 3.03(s, 3H), 2.71-2.74(m, 2H), 2.61-2.65(m, 6H), 1.87-1.92(m, 2H)。
【0155】
実施例6:1-(4-(3-(6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシアニリン)-2-((2-メトキシエチル)アミノ)イミダゾール[1’,2’:1,6]ピリジン[2,3-d]ピリミジン-8-イル)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン
【0156】
【化26】
【0157】
LC-MS:ESI[M+2H]+= 314.5/315.5;H-NMR(400MHz, CD3OD)8.97(s, 1H), 8.08(m,2H), 7.39(s, 1H), 7.04(s, 1H), 6.74-6.81(m, 1H), 6.09(dd, J=2.4, 16.8Hz, 1H), 5.66(dd, J=2.4, 10.4Hz, 1H), 4.31(s, 3H), 3.58-3.64(m, 4H), 3.51-3.52(m, 4H), 3.31(s, 3H), 2.63-2.67(m, 2H), 2.31-2.35(,. 6H), 1.76-1.81(m, 2H)。
【0158】
実施例7:1-(4-(3-(6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシアニリン)-2-((2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エチルエチル)アミノ)イミダゾール[1’,2’:1,6]ピリジン[2,3-d]ピリミジン-8-イル)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン
【0159】
【化27】
【0160】
LC-MS:ESI[M+H]+=696.1/698.1;H-NMR(400MHz, CD3OD)8.77(s, 1H), 8.01(s, 1H), 7.15(s, 1H), 6.67(s, 1H), 6.52-6.58(m, 1H), 6.26(d, J=16.8Hz, 1H), 6.16(s, 1H), 5.67(d, J=10.4Hz, 1H), 3.96(s, 6H), 3.67(bs, 4H), 3.54(s, 2H), 2.80-2.83(m, 2H), 2.69-2.71(m, 2H), 2.42-2.59(m, 14H),2.31(s, 3H), 1.93-1.96(m, 2H)。
【0161】
実施例8:1-(4-(3-(6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシアニリン)-2-(エチルアミン)イミダゾール[1’,2’:1,6]ピリジン[2,3 -d]ピリミジン-8-イル)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン
【0162】
【化28】
【0163】
LC-MS:ESI[M+H]+= 599.7/601.6;H-NMR(400MHz, CD3OD)8.96(s,1H), 1.94(bs, 2H), 7.37(s, 1H), 7.05(s, 1H), 6.77(dd, J=10.4, 16.8Hz, 1H), 6.08(dd, J=16.8, 2.0Hz, 1H), 5.66(dd, J=10.8, 2.0Hz, 1H), 3.99(s, 3H), 3.50(bs, 6H), 2.65(t, J=7.2Hz, 2H), 2.31-2.35(m, 6H), 1.79(t, J=7.2Hz, 2H), 0.85(bs, 3H)。
【0164】
実施例9:1-(4-(3-(6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシアニリン)-2-((2-(ジメチルアミン)エチル)アミノ)イミダゾール[1’,2’:1 ,6]ピリジン[2,3-d]ピリミジン-8-イル)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン
【0165】
【化29】
【0166】
LC-MS:ESI[M+H]+=321.1/321.9;H-NMR(400MHz, CD3OD)8.76(s, 1H), 8.00(s, 1H), 7.15(s, 1H), 6.66(s, 1H), 6.52-6.59(m, 1H), 6.27(d,J=17,2Hz, 1H), 6.11(s, 1H),5.67(d, J=10.4Hz, 1H), 3.96(s, 6H), 3.68(m, 4H), 3.54(m, 4H), 2.78-2.82(m, 2H), 2.61-2.64(m, 2H), 2.43(m, 6H), 2.33(s, 6H), 1.92-1.95(m, 2H)
【0167】
実施例10:1-(4-(3-(6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシアニリン)-2-((2,3-ジヒドロキシプロピル)アミノ)イミダゾール[1’,2’:1,6]ピリジン[2,3-d]ピリミジン-8-イル)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン
【0168】
【化30】
【0169】
LC-MS:ESI[M+H]+=644.2/646.2。
【0170】
実施例11:1-(4-(3-(6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシアニリン)-2-(((テトラヒドロフラン-3-イル)メチル)アミノ)イミダゾール[1’,2’ :1,6]ピリジン[2,3-d]ピリミジン-8-イル)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン
【0171】
【化31】
【0172】
LC-MS:ESI[M+H]+=654.3/656.3。
【0173】
実施例12:1-(4-(3-(6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシアニリン)-2-((2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)アミノ)イミダゾール[1’,2’:1,6]ピリジン[2,3-d]ピリミジン-8-イル)プロピル)ピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン
【0174】
【化32】
【0175】
LC-MS:ESI[M+H]+=642.3/644.3。
【0176】
実施例13:3-((8-(3-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)プロピル)-6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシアニリン)イミダゾール[1’,2’:1,6]ピリジン[2,3-d]ピリミジン-2-イル)アミノ)プロピオニトリル
【0177】
【化33】
【0178】
LC-MS:ESI[M+H]+=623.2/625.2。
【0179】
実施例14:1-(4-(3-(6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシアニリン)-2-(メチルアミン)イミダゾール[1’,2’:1,6]ピリジン[2,3-d]ピリミジン-8-イル)プロピル)-2,2-ジメチルピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン
【0180】
【化34】
【0181】
LC-MS:ESI[M+H]+=612.4/614.4。
【0182】
実施例15:1-(4-(3-(6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシアニリン)-2-(メチルアミン)イミダゾール[1’,2’:1,6]ピリジン[2,3 -d]ピリミジン-8-イル)-2,2-ジメチルプロピル)ピペラジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン
【0183】
【化35】
【0184】
LC-MS:ESI[M+H]+=612.3/614.3。
【0185】
実施例16:1-(4-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-フェニルジメトキシフェニル)-2-(メチルアミン)イミダゾール[1’,2’:1,6]ピリジン[2,3-d]ピリミジン-8-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)アクリルアミド
【0186】
【化36】
【0187】
工程1:6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-2-メチルチオ-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イルアミン原料(3mmol)を無水テトラヒドロフラン(15mL)に溶解し、氷冷下で塩化スルホニル(2.54 ml、30 mmol)を加え、室温で1時間反応させた。反応完了後、反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液をゆっくりと加えて反応をクエンチさせた後、ジクロロメタンで抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発乾固させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して中間体である2-クロロ-6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)ピリジン[2,3-d]ピリミジン-7-アミン(640 mg)を得た。LC-MS:385.1 / 38.7.1。1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.80 (s, 1H), 7.69 (s, 1H), 6.67 (s, 1H), 3.97 (s, 6H)。
【0188】
工程2:上記中間体(500mg)を無水N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、1,3-ジブロモプロパン-2-オン(1.1eq)を室温で加え、80℃で加熱し反応完了まで攪拌して、ジクロロメタンで抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム、水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮し、粗生成物を精製せずに次の反応に使用した。
【0189】
工程3:上記粗生成物を無水N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、氷浴下でN-Boc-ピペラジン(1.1eq)を加え、室温で2時間撹拌し、反応が完了した。ジクロロメタンで抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム、水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより残渣を精製して中間体4を得た。LC-MS:602.1 / 604.1。
【0190】
工程4~工程6:一般的な方法三-一般的な方法五に記載されている方法で合成を行い、実施例化合物16を得た。
【0191】
【化37】
【0192】
LC-MS:ESI[M+H]+=556.2/558.2。
【0193】
実施例17:N-(4-(6-(2,6-ジクロロ-3,5-フェニルジメトキシフェニル)-2-(メチルアミン)イミダゾール[1’,2’:1,6]ピリジン[2,3-d]ピリミジン-8-イル)フェニル)アクリルアミド
【0194】
【化38】
【0195】
5-クロロ-4-オキソ-吉草酸メチルエステルの代わりにp-ニトロ-2-ブロモアセトフェノンを使用し、中間体5の工程1と同じ方法を採用して合成を行い、閉環生成物6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-2-(メチルチオ)-8-(4-ニトロフェニル)イミダゾール[1’,2’:1,6]ピリジン[2,3- d]ピリミジンを得た。LC-MS:ESI [M + H] + = 542.4 / 544.4。
【0196】
次いで、実施例における一般的な合成方法の工程2のメチルチオの酸化反応及び工程3のメチルアミン置換反応の方法を採用して、調製を行い、中間体8-(4-アミノフェニル)-6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-N-メチルイミダゾール[1’,2’:1,6]ピリジン[2,3-d]ピリミジン-2-アミンを得た。LC-MS:ESI [M + H ] + = 496.1 / 498.1。
【0197】
標的化合物は、実施例における一般的な合成方法の工程5のアクリロイル化反応の方法を採用して合成及び調製を行い、N-(4-(6-(2,6-ジクロロ-3,5-フェニルジメトキシフェニル)-2-(メチルアミン)イミダゾール[1’,2’:1,6]ピリジン[ 2,3-d]ピリミジン-8-イル)フェニル)アクリルアミドを得た。LC-MS:ESI[M+H]+=549.2/551.2;H-NMR(400MHz, CDOD)8.79(s, 1H), 8.49(s, 1H), 7.86(d, J=8.0Hz, 1H), 7.77(s, 1H), 7.58(d, J=7.2Hz, 1H), 7.21(s, 1H), 6.62(s, 1H), 6.36-6.40(m, 1H), 6.18-6.20(m, 1H), 5.62-5.70(m, 2H), 3.96(s, 6H), 3.20(d, J=4.8Hz, 3H)。
【0198】
実施例18:1-(4-(3-(6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-2-(メチルアミン)イミダゾール[1’,2’:1、6]ピリジン[2,3-d]ピリミジン-8-イル)フェニル)ピペラジン-1-イル)アクリルアミド
【0199】
【化39】
【0200】
5-クロロ-4-オキソ-吉草酸メチルエステルの代わりに、tert-ブチル-4-(3-(2-ブロモアセチル)フェニル)ピペラジン-1-カルボン酸エステルを使用し、実施例17と同じ方法を採用して、合成を行い標的産物を調製した。LC-MS:ESI[M+H]+=618.2/620.2。
【0201】
実施例19:N-(3-(6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-2-(メチルアミノ)イミダゾール[1’,2’:1,6]ピリジン[2,3-d]ピリミジン-8-イル)ベンジル)アクリルアミド
【0202】
【化40】
【0203】
5-クロロ-4-オキソ-吉草酸メチルエステルの代わりにtert-ブチル(3-(2-ブロモアセチル)ベンジル)カルボン酸エステルを使用し、実施例17と同じ方法を採用して、合成を行い、標的産物を調製した。LC-MS:ESI [M + H] + = 563.1 / 565.1。
【0204】
試験例1FGFR1及びFGFR4キナーゼに対する本発明の化合物の阻害活性の測定
(1)1×キナーゼバッファーの調製;(2)化合物濃度勾配の調製:試験化合物の試験濃度を10 uMから開始し、3倍勾配で10個濃度に希釈し、複製ウェルで試験し、96ウェルプレートで勾配濃度が100倍の最終試験濃度までの10個の異なる濃度の溶液に希釈した。次に、1×キナーゼバッファーを使用して、各濃度の化合物を更に5倍の最終濃度の中間希釈溶液に希釈した。(3)調製した化合物溶液をそれぞれに5μL取り、それぞれを384ウェルプレートの化合物ウェルに加え、各濃度は単一ウェルで検出された。陰性対照ウェルと陽性対照ウェルにそれぞれ5%DMSO 5μLを加えた;(4)1×キナーゼバッファーで2.5倍の最終濃度のキナーゼ溶液を準備した;(5)化合物ウェルと陽性対照ウェルにそれぞれに2.5倍の最終濃度のキナーゼ溶液10μLを加え、陰性対照ウェルに1×キナーゼバッファー10μLを追加した;(6)1000 rpmで30秒間遠心分離し、均一に混ぜるまで振とうした後、室温で10分間インキュベートした;(7)1×キナーゼバッファーで2.5倍の最終濃度のATPとキナーゼ基質22の混合溶液を準備した;(8)2.5倍の最終濃度のATPと基質の混合溶液10μLを加えて反応を開始した;(9)384ウェルプレートを1000 rpmで30秒間遠心分離し、均一に混ぜるまで振とうした後、28℃でそれぞれ対応する時間インキュベートした;(10)停止反応液30μLを添加しキナーゼ反応を停止させ、1000 rpmで30秒間遠心分離し、均一に混ぜるまで振とうした;(11)変換率をCaliper EZ ReaderIIで読み取り、濃度のlog値をX軸として、阻害率(%)をY軸として、分析ソフトウェアGraphPad Prism 5のlog(inhibitor) vs. response -Variable slopeを利用して、用量反応曲線に適合させ、それによって、酵素活性に関する各化合物のIC50値を得た。
【0205】
2.結果:本発明により提供される実施例1~19は、FGFR1及びFGFR4に対してより良好な阻害活性を有しており、実施例の化合物のほとんどの阻害活性のIC50値は10nM未満であり、いくつかの実施例(例えば、実施例3)の阻害活性は1 nM未満のIC50さえ示し、強い阻害活性を示している。表1に示すとおりである。
【0206】
試験例2:FGFR媒介の腫瘍細胞増殖能力に対する本発明の化合物の影響試験
1.試験方法:試験方法:対数増殖期にいるHep3B細胞(ATCC)を取り、適切な密度でウェルあたり100μLで96ウェル培養プレートに接種し、一晩培養した後、異なる濃度の化合物を入れ72時間作用させ、且つ溶媒対照群(陰性対照)を設定し、5%CO下、37℃でインキュベートした。10 mM化合物ストック溶液を細胞に添加し、化合物を細胞に72時間作用した後、CellTiter-Glo(登録商標)(Promega)法を使用して化合物の細胞増殖に対する影響を検出し、30μLのCTG試薬を各ウェルに添加し、37℃のインキュベーターに入れ、2~4時間置いた後、全波長マイクロプレートリーダーEnvisionで数値を読み、検出波長が450 nmであった。次の式を使用して、腫瘍細胞増殖に対する化合物の阻害率(%)を計算した:阻害率(%)=(OD陰性対照ウェル-OD投与ウェル)/OD陰性対照ウェル×100%。IC50値は、Graphpad Prism 5ソフトウェアを採用して、4パラメータ法で回帰を行うことによって取得された。
【0207】
2.結果:本発明により提供される実施例1~実施例19のいくつかは、Hep3B細胞に対する増殖阻害活性のIC50値がすべて500nM未満であり、ほとんどの実施例化合物の阻害活性のIC50値は50nM未満であり、いくつかの実施例化合物(例えば実施例3)の阻害活性のIC50値は10nM未満でさえあり、強力な細胞増殖阻害活性を示している。表1に示すとおりである。
【0208】
【表1】
【0209】
試験例3:異なるキナーゼに対する実施例化合物の阻害活性の試験
本発明の化合物は、EGFR、VEGFR、PDGFR、FGFR、RET、MET、Src、Lyn、Syk、MEK、CDK、RAF、ROSなどの異なるキナーゼに対する阻害活性についても試験され、実施例化合物のいくつか(例えば実施例3、実施例17)は、100倍を超える選択性で、より優れたキナーゼ選択性を示している。
【0210】
試験例4:異なる腫瘍細胞の増殖に対する実施例化合物の阻害活性の試験
SRB染色法又はCCK8法を使用して、HuH-7、JHH-7、DMS114、SNU-16、KG1、UM-UC-14、HCT116、NCI-H716、MCF-7、Colo-205、KMS11、RT-112、OPM-2、NCI-H460、SNU-869、CNE、NCI-H2122、NCI-H1299、A549、MG63、Kappars-299、SK-OV-3、U87MG、BT474、LNCAP、A498、KYSE140、HUCC-T1、PANC-1などの様々な腫瘍細胞の増殖に対する阻害活性を検出し、実施例化合物のいくつか(例えば実施例3及び実施例17)が異なる細胞への増殖阻害はより強い阻害活性を示し、より良好な腫瘍活性を示し、多種腫瘍細胞に対する増殖阻害活性が100 nM未満である。
【0211】
試験例5:実施例化合物のADME-PK試験
(1)代謝安定性試験:150μL肝臓ミクロソーム(最終濃度0.5 mg / mL)のシステムを使って代謝安定性インキュベーションを行い、システムにはNADPH(最終濃度1 mM)、1μM試験化合物、及び陽性対照であるミダゾラム或いは陰性対照であるアテノロールが含まれており、それぞれに0 min、5 min、10 min及び30 minでチニダゾールを含むアセトニトリルで反応を停止させ、10分間ボルテックスし、15000 rpmで10分間遠心分離し、50μLの上澄みを取り96ウェルに入れ、サンプリングした。化合物の代謝安定性は、元薬物の相対的な減少量を測定することにより計算された。
【0212】
(2)直接阻害試験(DI試験):100μLのヒト肝ミクロソーム(最終濃度:0.2 mg / mL)システムを使って直接阻害インキュベーションを行い、システムには、NADPH(最終濃度:1 mM)、10μM化合物、及び陽性阻害剤であるカクテル(10μMケトコナゾール、10μMキニジン、100μMスルファフェナゾール、10μMα-ナフトフラボン、1000μMトラニルシプロマイン)、陰性対照(0.1%DMSOのBPS)及び混合プローブ基質(ミダゾラム10μM、テストステロン100μM、デキストロメトルファン10μM、ジクロフェナク酸20μM、フェナセチン100μM、メフェニトイン100μM)が含まれ、20分間インキュベートした後に反応を停止させた。相対的な酵素活性は代謝産物の相対的な生成量を測定することにより計算された。
【0213】
(3)LC/MS/MS法を使用して、実施例化合物の胃内投与及び静脈内投与後の異なる時点でのラット又はマウスの血漿中の薬物濃度を検出し、ラット又はマウスの体内における本発明化合物の薬物動態挙動を研究し、その薬物動態特性を評価した。実験プロトコル:実験動物は、上海Sippr-BK Laboratory Animal Co.,Ltd.が提供された成年の雄の健康なSDラット又はBALB / cマウスであり;投与方法及びサンプル収集:SDラット又はBALB / cマウスそれぞれに静脈内投与(3 mg / kg、1 mg / mL試験化合物の懸濁液)及び胃内投与(10 mg / kg、1 mg / mL試験化合物の懸濁液)を行い、それぞれに投与前及び投与後2、5、15、30、60、90、120、240、360、480、及び1440minで、ラット又はマウスの眼底静脈叢から0.4 mLの血液を収集した; 50μLの血漿サンプルを採取し、それぞれに内部標準物質を含むアセトニトリル溶液200μLを加えタンパク質をで沈殿させ、10 minボルテックスし、6000回/分で10 min分離した;上澄み200μLを取り、6000回/分でで更に10min遠心分離した;更に、上澄み液75μLを取り、勾配初期移動相を入れ希釈を行い、6000回/分で10 min遠心分離した;最終に、70μLの上清を取り96ウェルプレートに注入し、5μLの注入量でサンプリングし、LC-MS-MS分析を行った。
2、いくつかの実施例化合物(例えば実施例3、実施例17)は、より良好なADME特性、及びラットとマウス生体内でのより良好な吸収と代謝特性を示し、且つ、AUC / Cmaxなどの全て指標から化合物の優れたドラッガビリティー(druggability)が示された。
【0214】
試験例6:ヌードマウスの移植腫瘍成長に対する実施例化合物の阻害試験
1、活発な成長期の腫瘍組織を取り約1.5 mmに切断し、無菌条件下でヌードマウスの右脇下に皮下接種した。ノギスでヌードマウスに皮下移植した腫瘍の直径を測定し、平均腫瘍体積は約130 mmであった場合、動物をランダムにグループに分けた。実施例化合物(1%Tween 80を含む注射用水で所望濃度に調製して用意する)を所定の用量で3週間連続経口投与し、溶媒対照群には同量の溶媒を投与した。実験プロセス全体において、移植腫瘍の直径を週に2回測定し、同時にマウスの体重を量った。腫瘍体積(tumor volume 、TV)の計算式は次のとおりであり:TV= 1/2×a×b、ここで、aとbはそれぞれ長さと幅を表した。測定結果に基づいて相対腫瘍体積(relative tumor volume 、RTV)が計算され、計算式はRTV = Vt / V0であった。ここで、V0はグループ分けに投与した時(すなわちd0)に測定された腫瘍体積であり、Vtは各測定時での腫瘍体積であった。抗腫瘍活性の評価指標は1)相対腫瘍増殖率T / C(%)で、その計算式は次のとおりであり:T / C(%)=(TRTV / CRTV)×100%、ここで、TRTVは:治療群のRTV; CRTVは:陰性対照群のRTVであり; 2)腫瘍体積成長阻害率はGI%で、その計算式は次のとおりであり:GI%= [1-(TVt-TV0)/(CVt-CT0)]×100%、TVtは治療群の毎回測定される腫瘍体積であり; TV0は治療群がグループ分けに投与した時に得られる腫瘍体積であり、CVtは対照群の毎回測定される腫瘍体積であり、CV0は対照群がグループ分けに投与した時に得られる腫瘍体積であった。3)腫瘍重量抑制率、その計算式は次の通りであり:腫瘍重量阻害率%=(Wc-WT)/ Wc×100%、ここで、Wcは:対照群の腫瘍重量、WTは:治療群の腫瘍重量である。
【0215】
2、実施例化合物のいくつか(例えば実施例3、実施例17)は、良好なヌードマウス体内の腫瘍抑制効果を示し、より低い用量(20mg/kg用量以下でも)で80%を超える腫瘍抑制率を達成できる。
【0216】
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、当業者にとってこれらが単なる例に過ぎず、本発明の原理及び本質から逸脱しない限り、これらの実施形態に対して様々な変更又は修正を行うことができることを理解すべきである。したがって、本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲によって限定される。
付記
<項1>
式(I)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩、又はエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、多結晶体又はプロドラッグ。
【化18】

(ただし、
は、水素、ハロゲン、C ~C アルキル、シアノから選択されるものであり;
は、水素、C ~C 10 アルキル、3~8員のシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル、5~8員のアリール又はヘテロアリールから選択されるものであり;
、R 、及びR はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、スルホン、スルホキシド、アシル、スルホニル、ニトロから選択されるものであり;
はCR 又はNから選択されるものであり;R は、水素、ハロゲン、C ~C アルキルから選択されるものであり;
Arは5~6員のアリール又はヘテロアリールから選択されるものであり;
Lは、化学結合、C ~C 10 アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、アシル、スルホニル、4~8員のシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル、5~10員のアリール又はヘテロアリールから選択されるものであり;
Aは、4~8員のシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル、5~10員のアリール又はヘテロアリールから選択されるものであり;
上記の基のいずれかの1つ又は複数の水素原子は、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、スルホン又はスルホキシド、C ~C アルキル、C ~C シクロアルキル、C ~C アルコキシ、C ~C アルキルアミノ、C ~C アルケニル、C ~C アルキニル、C ~C アシル又はスルホニル、5~8員のアリール又はヘテロアリール、4~8員の飽和シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルからなる群から選択される置換基で置換されてもよい;ここで、前記ヘテロアリール基は、N、O、P及びSからなる群から選択される1~3個のヘテロ原子を含み;前記ヘテロシクロアルキルは、N、O、P、及びSからなる群から選択される1~3個のヘテロ原子を含む。)
<項2>
前記式(I)において、
は、CH又はNから選択されるものであり;
及び/又は、R は、水素、ハロゲン、C ~C アルキルから選択されるものであり;
及び/又は、R は、水素、C ~C アルキル、C ~C 重水素化アルキル、C ~C ハロアルキル、5~8員のアリール又はヘテロアリール、4~6員のシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル-(CH )x-、O(R )-(CH )y-、N(R )(R )-(CH )z-、N(CH C(=O)CH-、HOC(CH CH-又はCH(CH OH) -CH -から選択されるものであり;ここで、前記5~8員のアリール又はヘテロアリールは、好ましくはピリジルであり、且つ、好ましくは一つの6員のヘテロシクロアルキルで更に置換され;前記4~6員のシクロアルキル又はヘテロシクロアルキルは、好ましくはシクロプロピル、テトラヒドロフラニル、ピペラジニル、ピペリジニル又はテトラヒドロピロリルであり、且つ、好ましくは更にC ~C アルキル又はアミノで置換され;R 、R 及びR はそれぞれ独立して水素又はC ~C アルキルから選択されるものであり;x、y及びzはそれぞれ独立して0、1、2、3又は4から選択されるものであり;
及び/又は、R 、R 及びR は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン又はN(R )(R 10 )-(CH )p-から選択されるものであり、ここで、R 及びR 10 は両方ともC ~C アルキルであり、pは0、1又は2から選択されるものであり;より好ましくは、R は水素又はフッ素から選択されるものであり、且つ、R 及びR は水素から選択されるものであり;
及び/又は、Arは、フェニル基から選択されるものであり、且つ、更に好ましくは、前記フェニル基上の1個または複数個の水素原子がハロゲン、シアノ、C ~C アルキル、C ~C アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ、C ~C アシル又はスルホニルから選択された置換基で置換されたものであり;更に好ましくは、2つのハロゲン及び2つのC -C アルコキシ基で置換されたものであり;
及び/又は、Lは、化学結合、-(CH -、-(CH -CH=CH-、又は-O-(CH -から選択されるものであり、ここでdは1、2又は3であり、eは1又は2であり、nは1、2、3又は4であり;
及び/又は、Aは、5~6員のヘテロシクロアルキル、5~6員のヘテロアリール-NH-、-Ph-(CH -NH-、5~6員のヘテロアリール-(CH -5~6員のヘテロシクロアルキル-から選択されるものであり、ここで、oは0又は1から選択され、前記5~6員のヘテロシクロアルキルは更に好ましくはピペラジニル、ピペリジニル又はテトラヒドロピロリルであり、前記5~6員のヘテロアリールは更に好ましくはピリジル、オキサゾリル又はトリアゾリルであり、mは0又は1から選択されており;且つ、Aは、好ましくはその2つの置換基がメタ又はパラ位置の置換関係であり;
その中で、Lは常にA構造のアリール基、ヘテロアリール基又は非脂肪族アミン基の一端に結合することを特徴とする<項1>に記載の式(I)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩、又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、多結晶体又はプロドラッグ。
<項3>
前記式(I)において、
は、H、メチル、-CD 、-CH C(CH F、N(CH C(=O)CH-、HOC(CH CH-、CH(CH OH) -CH -、
【化19】

CH OCH CH -、
【化20】

から選択されるものであり;
及び/又は、Lは、化学結合、-CH -、-CH CH -、-CH CH CH -、-CH -CH=CH-又は-O-CH CH -から選択されるものであり;
及び/又は、Aは、以下の構造フラグメント:
【化21】

から選択されるものであることを特徴とする<項2>に記載の式(I)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩、又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、多結晶体又はプロドラッグ。
<項4>
前記式(I)で表される化合物が以下の構造:
【化22】

を有しており、より好ましくは、次の構造:
【化23】

から選択され;
ただし、nは0、1又は2から選択されるものであり、M 及びR の定義は<項1>~<項3>のいずれか1項に記載されている通りであり;B環は、5~10員の芳香環又は芳香族複素環であり;好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、オキサゾール環又はトリアゾール環であることを特徴とする<項1>~<項3>のいずれか1項に記載の式(I)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩、又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、多結晶体又はプロドラッグ。
<項5>
前記式(I)で表される化合物が以下の構造:
【化24】

を有しており、
ただし、nは0、1又は2から選択されるものであり、R の定義は<項1>~<項3>のいずれか1項に記載されている通りであり;
より好ましくは、次の構造から選択され:
【化25】

ただし、R の定義は<項1>~<項3>のいずれか1項に記載されている通りであることを特徴とする<項1>~<項3>のいずれか1項に記載の式(I)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩、又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、多結晶体又はプロドラッグ。
<項6>
前記式(I)で表される化合物は以下化合物のいずれか一つであることを特徴とする<項1>に記載の式(I)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩、又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、多結晶体又はプロドラッグ。
【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

<項7>
a)酸又は塩基の存在下で、一般式(A)の化合物を、α-ハロカルボニル化合物又はその等価物と縮合反応させて、一般式(B)の化合物を調製する工程;及び
b)酸、塩基又は遷移金属触媒の存在下で、一般式(B)の化合物をアミン化合物と置換反応又はカップリング反応させて、一般式(C)の化合物を調製する工程;及び、
c)塩基又は縮合試薬の存在下で、一般式(C)の化合物をアクリル酸又はアクリロイルクロリド系化合物と縮合反応させて、一般式(I)の化合物を調製する工程;
を含む、<項1>~<項6>のいずれか1項に記載の式(I)で表される化合物の調製方法。
【化34】

(ただし、各式において、LGは、ハロゲン、スルホン、スルホキシド、又はスルホネートであり、他の各基団の定義は<項1>~<項6>のいずれか1項に記載されている通りである。)
<項8>
治療有効量の<項1>~<項6>のいずれか1項に記載の式(I)で表される化合物、或いはその薬学的に許容される塩、或いはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、多結晶体又はプロドラッグ、及び少なくとも1つの医薬品賦形剤を含む医薬組成物。
<項9>
FGFRキナーゼ阻害剤の調製における<項1>~<項6>のいずれか1項に記載の式(I)で表される化合物、或いはその薬学的に許容される塩、或いはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、多結晶体又はプロドラッグ;或いは<項8>に記載の医薬組成物の使用。
<項10>
タンパク質キナーゼ、特にFGFRキナーゼの活性又は発現量に関連する疾患を予防及び/又は治療するための薬剤の調製における、特に腫瘍を予防及び/又は治療するための薬剤の調製における<項1>~<項6>のいずれか1項に記載の式(I)で表される化合物、或いはその薬学的に許容される塩、或いはそのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、溶媒和物、多結晶体又はプロドラッグ;或いは<項8>に記載の医薬組成物の使用。
(ただし、前記腫瘍は、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、肺腺がん、肺扁平上皮がん、乳がん、前立腺がん、肝臓がん、皮膚がん、胃がん、上皮細胞がん、胃腸道間質腫瘍、腸がん、胆管がん、胆嚢がん、結腸直腸がん、脳がん、白血病、リンパ腫、鼻咽頭がん、膀胱がん、膵がんから選択されるものであり、特に肝臓がん又は胆管がんである。)