(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】車両用計器
(51)【国際特許分類】
G01D 11/28 20060101AFI20220317BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
G01D11/28 Z
G01D11/28 B
G01D11/28 P
B60K35/00 Z
(21)【出願番号】P 2018062812
(22)【出願日】2018-03-28
【審査請求日】2021-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】波形 雄介
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-232251(JP,A)
【文献】実開平07-023380(JP,U)
【文献】特開平11-222077(JP,A)
【文献】特開2005-043215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/00-13/28
G09F 13/00-13/46
B60K 31/00-37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の車両情報を表示する第1の表示部と、
前記第1の車両情報とは異なる種類の第2の車両情報を表示する第2の表示部と、
前記第1の表示部を照明する第1の光源と、
前記第2の表示部を照明する第2の光源と、
透光性の電気絶縁基材面に、前記第1,第2の光源を表面実装する
銅箔を用いた金属層からなる導電パターンを有する回路基板と、
前記第1の表示部または前記第2の表示部と前記回路基板との間であって、前記第1の光源と前記第2の光源との間に配置される遮光壁と、を備え、
前記回路基板は、
前記第1の光源を駆動するための第1の導電パターンと前記第2の光源を駆動するための
第2の導電パターンとの境が
線状に設けられ、この境が前記遮光壁の端面に重なるように配置されることを特徴とする車両用計器。
【請求項2】
前記第1の表示部は、前記第1の光源によって照明される指針と、この指針の指示対象となる指標部を有する文字板とを設け、
前記第2の表示部は、シンボルマークが形成され、前記第2の光源によって点灯表示するテルテールを有することを特徴とする請求項1に記載の車両用計器。
【請求項3】
前記第1の光源は、指針用光源と、この指針用光源とは別の指標部用光源とを有し、
前記第2の光源は、前記指針用光源と前記指標部用光源との間に設けられることを特徴とする請求項2に記載の車両用計器。
【請求項4】
前記遮光壁は、前記第2の表示部と前記回路基板との間には、前記第2の光源を囲うように筒状に設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車両用計器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用計器に関し、例えば、光源を備えた複合計器として好適である。
【背景技術】
【0002】
車両用計器は、従来から車両のインストルメントパネルに搭載、走行速度や積算走行距離、外気温、燃料残量、各種警告表示やインジケータ表示を行う複合計器として一般的に車両に搭載されている。
【0003】
これら車両情報は、例えば、計測値に応じて回動する指針とこの指針によって支持される目盛や数値などの指標部を有する文字板とによって車両情報対比判読可能にする指針式表示部や、バックライトを設けた液晶表示パネル、発光ダイオードの照明光をシンボルマークが印刷された意匠部を透過させて点灯表示するテルテールなどを備えた車両用計器によって、表示出力される。
【0004】
複数の車両情報を表示させる場合、車両用計器内のレイアウトによっては、指針式表示部における指針軸と、指標部との間、即ち回動する指針に重なる位置にテルテールが設けられることがあり、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、指針式表示部にあっては、背面側に設けられた光源によって導光照明し、指針や指標部を部分的に光輝させることで視認性や商品性を高めることができる。
【0007】
しかしながら、文字板照明用や指針照明用の光源から出射した光の一部が回路基板を透過してテルテール用の照明室内に侵入し、その光によってテルテールが点灯しているようにみえてしまう虞があり、また逆に、テルテール用の光源が指標部を照明するなどして商品性が低下してしまう虞があった。この場合、回路基板面に遮光性の印刷または塗料を塗布することで光を遮るなど、何らかの対策が必要であった。
【0008】
そこで本発明の目的とするところは、この問題に着目してなされたものであり、回路基板を介する露光を遮ることで、照明区間を容易に区画できる車両用計器を適用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車両用計器は、
第1の車両情報を表示する第1の表示部と、
前記第1の車両情報とは異なる種類の第2の車両情報を表示する第2の表示部と、
前記第1の表示部を照明する第1の光源と、
前記第2の表示部を照明する第2の光源と、
透光性の電気絶縁基材面に、前記第1,第2の光源を表面実装する銅箔を用いた金属層からなる導電パターンを有する回路基板と、
前記第1の表示部または前記第2の表示部と前記回路基板との間であって、前記第1の光源と前記第2の光源との間に配置される遮光壁と、を備え、
前記回路基板は、前記第1の光源を駆動するための第1の導電パターンと前記第2の光源を駆動するための第2の導電パターンとの境が線状に設けられ、この境が前記遮光壁の端面に重なるように配置されることを特徴とする。
【0010】
また、前記第1の表示部は、前記第1の光源によって照明される指針と、この指針の指示対象となる指標部を有する文字板とを設け、
前記第2の表示部は、シンボルマークが形成され、前記第2の光源によって点灯表示するテルテールを有することを特徴とする。
【0011】
また、前記第1の光源は、指針用光源と、この指針用光源とは別の指標部用光源とを有し、
前記第2の光源は、前記指針用光源と前記指標部用光源との間に設けられることを特徴とする。
【0012】
また、前記遮光壁は、前記第2の表示部と前記回路基板との間には、前記第2の光源を囲うように筒状に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の車両用計器は、回路基板を介する露光を遮ることで、照明空間を容易に区画できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施の形態における車両用計器を示す平面図。
【
図2】同上実施の形態における
図1のII-II線断面図。
【
図3】同上実施の形態における要部として
図2の点線III付近を拡大した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を適用した実施の形態として、自動車に搭載される車両用計器Aを例にあげて、図面に基づいて説明する。
【0016】
この場合、車両用計器Aは、指針式表示部(第1の表示部)1と、液晶表示パネル2と、テルテール(第2の表示部)3と、光源4と、回路基板5と、スペーサ6と、筐体7とを備えている。
【0017】
指針式表示部1は、例えば、
図1に示す左から水温計と、燃料計と、車速計が適用される。指針式表示部1は、車両用計器A外の外部機器、この場合、車載電子制御ユニット(ECU)から通信を介して入力する車両情報に基づいて測定値を指示するべく回動可能な指針11と、この指針11の指示対象となる目盛や数値などの指標部12aが印刷された文字板12とを備え、車両利用者は、指針11の指示位置を対比判読することで測定値を読み取ることができる。
【0018】
指針11は、文字板12の孔12bを介してモータ11aによる回動を伝える指針軸11bに圧入嵌合され、指針11の先端側まで光を導光するための透光性の導光部11cと、孔12bを覆う遮光性の指針キャップ11dとを有している。文字板12は、透光性の板材に、背景となる遮光印刷層12cが形成されるとともに、遮光印刷層12cが形成されていない透過部を指標部12aとして形成している。指針11及び文字板12は、背面側に設けられた回路基板5に実装される光源4(光源41a,41b)によって照明され、部分的に光輝する構成である。
【0019】
液晶表示パネル2は、液晶表示素子を用いて表示像を生成し車両情報を数値やバー表示、シンボルマークなどで表示出力できる。液晶表示パネル2は、画面を切り換え表示可能にして複数の車両情報を表示することもでき、例えば、積算走行距離、燃料消費率、外気温度など種々の表示を行うことも考えられる。また、液晶表示パネル2は、図示しないバックライトによって透過照明されることで、夜間等暗い環境下でも視認可能に設けられる。なお、バックライトを設けた液晶表示パネル2の替わりに、自発光型の有機ELパネルを適用することも可能である。
【0020】
テルテール3は、エンジン不具合やバッテリ異常など車両の警告状態や、ヘッドライトの点灯や方向指示灯の作動状態を示すインジケータであり、この場合、指針軸11bと指標部12aとの間に設けられる、警告状態を示す表示を例に挙げて説明する。この場合、テルテール3は、文字板12の遮光印刷層12cによってシンボルマークの透過形状が形成され、背面側に設けられる光源(光源42)4からの照明光を透過することで、点灯表示する構成である。
【0021】
光源4は、文字板12の背面側に並行して設けられる回路基板5面の文字板12側に対向するように表面実装され、指針式表示部1やテルテール3を照明する発光ダイオードを適用できる。光源4は、指針軸11b付近に設けられ指針11の指示部を孔12bを介して照明する指針用光源(第2の光源)41aと、指標部12aを照明するための指標部用光源(第1の光源)41bと、車両用計器Aが入力する車両情報に基づいてテルテール3を点灯表示するためのテルテール用光源42とを備える。
【0022】
回路基板5は、文字板12の背面側に並行にして設けられる平板状の硬質プリント配線基板を適用でき、例えば、ガラスエポキシ樹脂を用いた電気絶縁基材の表裏面に形成される銅箔からなる導電パターン51~53や、電子部品の実装面以外を保護する絶縁被膜(図示しない)などが設けられている。回路基板5には、光源4やモータ11a、液晶表示パネル2、の他に例えば、図示しないスイッチ素子やマイクロコンピュータ、外部接続用の配線コネクタなどが実装されている。この場合、回路基板5は、内層に銅箔層を有しない構成であり、導電パターン51~53が形成されていない箇所は、透光してしまう。
【0023】
スペーサ6は、遮光性の合成樹脂を適用でき、文字板12と回路基板5とを所定間隔おいて支持する。スペーサ6は、この場合、白色のポリプロピレン材が適用される。スペーサ6は、指針用光源41aによる照明光が余計な箇所を照らさないように遮光して区画する指針用照明空間61と、指標部用光源41bによる照明光が指標部12aに至るように導く反射面62aを有し、さらにテルテール3側や指針用照明空間61を照らさないように遮光して区画する指標部用照明空間62と、テルテール用光源42による照明光が他の照明空間61,62を照らさないように遮光して区画するテルテール用照明空間63とを設けている。
【0024】
テルテール用照明空間63は、指針用照明空間61と指標部用照明空間62との間に、筒状の遮光壁63aを介して設けられる。即ち、テルテール用光源42は、遮光壁63aに囲われるようにして設けられ、遮光壁63aの外側には、指針用光源41aまたは指標部用光源41bが配置される。
【0025】
図3に示すように、回路基板5は、指針用光源41aやモータ11aを実装し、これら電子部品への駆動電力を供給する指針用照明空間61内の導電パターン
(第1の導電パターン)51と、指標部用光源41bや他の電子部品を実装し、これら電子部品への駆動電力を供給する指標部用照明空間62内の導電パターン
(第1の導電パターン)52と、テルテール用光源42やこの付属部品(調整用抵抗素子やコンデンサ)を実装し、これら電子部品へ駆動電力を供給するテルテール用照明空間63内の導電パターン
(第2の導電パターン)53とが形成される。
【0026】
導電パターン53と導電パターン51との境、または導電パターン53と導電パターン52との境となる電気絶縁部分(導電パターン51~53が積層されない部分)53aは、線状に設けられる。また、この電気絶縁部分53aは、遮光壁63aの回路基板5面側の端面63bによって、覆われるように重ねられて設けられる。したがって、光源4からの照明光が、電気絶縁部分53aを介して、回路基板5を透過してしまうこと防止できる。
【0027】
筐体7は、遮光性の合成樹脂材からなり、指針11、文字板12、回路基板5、スペーサ6とを収容し、固定保持する。筐体7は、照明光が不要に反射し難いように黒色など暗色系の部材が好適である。また、筐体7には、指針11や文字板12を覆う透光性のカバー部材を設けることもできる。
【0028】
斯かる車両用計器Aは、車速(第1の車両情報)を表示する指針式表示部1と、車両の警告状態(前記第1の車両情報とは異なる第2の車両情報)を表示するテルテール3と、指針式表示部1を照明する指針用光源41aまたは指標部用光源41bと、テルテール3を照明するテルテール用光源42と、これら光源41~42を表面実装する金属層からなる導電パターン51~53を有する回路基板5と、指針式表示部1及びテルテール3と回路基板5との間であって、光源41a,41bとテルテール用光源42との間に配置される遮光壁63aと、を備え、回路基板5は、テルテール用光源42を駆動するための導電パターン53の電気絶縁部分(境)53aが遮光壁63aの端面63bに重なるように配置される。
【0029】
したがって、回路基板5を介する露光を遮ることができ、照明空間を容易に区画できる車両用計器Aとなる。
【0030】
特に、複数の反射面62aや導光部11cを介して照明する分、高輝度にて出力される指針式表示部1用の光源41a,41bが、近くに設けられる場合であっても、テルテール用照明空間63側への照明光の回り込みを効果的に防止できる。これにより、電気絶縁部分53aへの遮光塗装や印刷などに要する材料や工程を低減する効果もある。
【0031】
なお、本発明の車両用計器を上述した実施の形態の構成にて例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに設計の変更が可能なことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、例えば、自動車やオートバイ、あるいは農業機械や建設機械を備えた移動体に搭載される車両用計器として適用できる。
【符号の説明】
【0033】
1 指針式表示部(第1の表示部)
11 指針
11a モータ
11b 指針軸
11c 導光部
11d 指針キャップ
12 文字板
12a 指標部
12b 孔
12c 遮光印刷層
2 液晶表示パネル
3 テルテール(第2の表示部)
4 光源
41a 指針用光源(第1の光源)
41b 指標部用光源(第1の光源)
42 テルテール用光源(第2の光源)
5 回路基板
51,52,53 導電パターン
53a 電気絶縁部分(境)
6 スペーサ
61 指針用照明空間
62 指標部用照明空間
62a 反射面
63 テルテール用照明空間
63a 遮光壁
63b 端面
7 筐体
A 車両用計器