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特許7041845車両用表示装置、車両用表示装置の制御方法、車両用表示装置の制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】車両用表示装置、車両用表示装置の制御方法、車両用表示装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20220317BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20220317BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
B60K35/00 A
B60R16/02 640
G02B27/01
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018096832
(22)【出願日】2018-05-21
(65)【公開番号】P2019202556
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】神保 瑞翔
【審査官】菅野 京一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-147652(JP,A)
【文献】国際公開第2015/146619(WO,A1)
【文献】特開2017-105259(JP,A)
【文献】特開2016-048562(JP,A)
【文献】特開2011-180155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00
B60R 16/02
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバーの前方空間に、虚像により画像を表示する車両用表示装置において、
前方車両の情報を取得する周辺情報取得部と、
表示に供する画像を形成する表示部と、
前記表示部を制御する表示制御部とを備え、
前記表示制御部は、
前記周辺情報取得部により取得した情報により、前記前方車両を囲むリング形状の全部形状又は一部形状により情報表示領域を形成し、
前記情報表示領域を放射状に分割して形成された小領域に前記前方車両に関する情報を表示する
車両用表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、
前記情報表示領域に係る前記リング形状の内側領域に前記前方車両の全景が収まるように、前記リング形状の内径を可変する
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、
前記内径の拡大により前記前方車両に関する情報の表示をアイコンの表示に切替える
請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、
前記前方車両との間に、隣接車線からの車両が侵入する場合、前記隣接車線からの車両を囲む前記リング形状の全部形状又は一部形状により新たな情報表示領域を形成し、
前記隣接車線からの車両の進入により、徐々に、前記情報表示領域の表示を前記新たな情報表示領域の表示に切替える
請求項1、請求項2、請求項3の何れかに記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、
走行中の車線から隣接車線に車線を変更する場合、前記隣接車線の前記前方車両を囲む前記リング形状の全部形状又は一部形状により新たな情報表示領域を形成し、
前記隣接車線への車線変更により、徐々に、前記情報表示領域の表示を前記新たな情報表示領域の表示に切替える
請求項1、請求項2、請求項3の何れかに記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、
前記新たな情報表示領域の表示を前記情報表示領域側から徐々に視認できるようにしながら、前記情報表示領域の表示を前記新たな情報表示領域側から徐々に視認できないようにすることにより、
徐々に、前記情報表示領域の表示を前記新たな情報表示領域の表示に切替える
請求項4又は請求項5に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、
車線変更時及び又は進路変更時、注意すべき対象の検出により前記情報表示領域の表示を強調表示に切替える
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6の何れかに記載の車両用表示装置。
【請求項8】
ドライバーの前方空間に、虚像により画像を表示する車両用表示装置の制御方法において、
前方車両の情報を取得する周辺情報取得ステップと、
表示に供する画像を形成する表示部を制御する表示制御ステップとを備え、
前記表示制御ステップは、
前記周辺情報取得ステップにより取得した情報により、前記前方車両を囲むリング形状の全部形状又は一部形状により情報表示領域を形成し、
前記情報表示領域を放射状に分割して形成された小領域に前記前方車両に関する情報を表示する
車両用表示装置の制御方法。
【請求項9】
演算処理回路における実行により所定の処理手順を実行させる車両用表示装置の制御プログラムにおいて、
前記車両用表示装置が、
ドライバーの前方空間に、虚像により画像を表示する車両用表示装置であり、
前記処理手順が、
前方車両の情報を取得する周辺情報取得ステップと、
表示に供する画像を形成する表示部を制御する表示制御ステップとを備え、
前記表示制御ステップは、
前記周辺情報取得ステップにより取得した情報により、前記前方車両を囲むリング形状の全部形状又は一部形状により情報表示領域を形成し、
前記情報表示領域を放射状に分割して形成された小領域に前記前方車両に関する情報を表示する
車両用表示装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置、車両用表示装置の制御方法、車両用表示装置の制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッドアップディスプレイ装置による車両用表示装置に関して、ドライバーの前方空間に、虚像により種々の画像を表示する工夫が提案されている。このような車両用表示装置は、ウインドシールドを介して前方を視認したドライバーの視界に、種々の画像を表示することができる。
【0003】
このような車両用表示装置に関して、特許文献1には、周辺車両の情報を表示する構成が開示されている。
また特許文献2には、前方車両を囲むように線状のマーカーを表示する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2009/072366号
【文献】特開2016-147652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで特許文献1に開示の手法により周辺車両の情報を提供していたのでは、ドライバーの前方車両に対する注意力が損なわれる問題がある。
また特許文献2に開示の構成によれば、前方車両に対する注意力を向上することができるものの、前方車両に関する情報にあっては、提供することが困難になる問題がある。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたものであり、前方車両に対する注意力を損なうことなく、前方車両に関する種々の情報を提供することができる車両用表示装置、車両用表示装置の制御方法、車両用表示装置の制御プログラムを提案すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
係る課題を解決するため、請求項1の発明に係る車両用表示装置は、
ドライバーの前方空間に、虚像により画像を表示する車両用表示装置において、
前方車両の情報を取得する周辺情報取得部と、
表示に供する画像を形成する表示部と、
前記表示部を制御する表示制御部とを備え、
前記表示制御部は、
前記周辺情報取得部により取得した情報により、前記前方車両を囲むリング形状の全部形状又は一部形状により情報表示領域を形成し、
前記情報表示領域を放射状に分割して形成された小領域に前記前方車両に関する情報を表示する。
【0008】
請求項1の構成によれば、前方車両を囲むリング形状の全部形状又は一部形状により情報表示領域を形成して前方車両に関する情報を表示することにより、前方車両に対する注意力を損なうことなく、前方車両に関する種々の情報を提供することができる。
【0009】
請求項2の発明は、
請求項1の構成において、
前記表示制御部は、
前記情報表示領域に係るリング形状の内側領域に前記前方車両の全景が収まるように、前記リング形状の内径を可変する。
【0010】
請求項2の構成によれば、
前記表示制御部は、
前方車両までの距離が変化した場合であっても、この距離の変化に対応するように内側領域の大きさを可変して、確実に前方車両を視認することができ、前方車両への注意力の低下を防止することができる。
【0011】
請求項3の発明は、
請求項2の構成において、
前記内径の拡大により前記前方車両に関する情報の表示をアイコンの表示に切替える。
【0012】
請求項3の構成によれば、前方車両との車間距離の低下等により情報表示領域を著しく拡大させなくても、適切に前方車両に関する情報を表示することができ、前方車両以外の前方視界の低下を有効に回避して、操作性の低下を防止することができる。
【0013】
請求項4の発明は、
請求項1、請求項2、請求項3の何れかの構成において、
前記表示制御部は、
前記前方車両との間に、隣接車線からの車両が侵入する場合、前記隣接車線からの車両を囲む前記リング形状の全部形状又は一部形状により新たな情報表示領域を形成し、
前記隣接車線からの車両の進入により、徐々に、前記情報表示領域の表示を前記新たな情報表示領域の表示に切替える。
【0014】
請求項4の構成によれば、隣接車線からの車両の車線変更に関して、ドライバーに注意を喚起することができる。
【0015】
請求項5の発明は、
請求項1、請求項2、請求項3の何れかの構成において、
前記表示制御部は、
走行中の車線から隣接車線に車線を変更する場合、前記隣接車線の前記前方車両を囲むリング形状の全部形状又は一部形状により新たな情報表示領域を形成し、
前記隣接車線への車線変更により、徐々に、前記情報表示領域の表示を前記新たな情報表示領域の表示に切替える。
【0016】
請求項5の構成によれば、隣接車線への車線変更に関して、ドライバーに注意を喚起することができる。
【0017】
請求項6の発明は、
請求項4又は請求項5の構成において、
前記表示制御部は、
前記新たな情報表示領域の表示を前記情報表示領域側から徐々に視認できるようにしながら、前記情報表示領域の表示を前記新たな情報表示領域側から徐々に視認できないようにすることにより、
徐々に、前記情報表示領域の表示を前記新たな情報表示領域の表示に切替える。
【0018】
請求項6の構成によれば、情報表示領域の切替えを直観的に把握できることにより、使い勝手を向上することができる。
【0019】
請求項7の発明は、
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6の何れかの構成において、
前記表示制御部は、
車線変更時及び又は進路変更時、注意すべき対象の検出により前記情報表示領域の表示を強調表示に切替える。
【0020】
請求項7の構成によれば、歩行者、他の車両等への注意を喚起することができる。
【0021】
請求項8の発明は、
ドライバーの前方空間に、虚像により画像を表示する車両用表示装置の制御方法において、
前方車両の情報を取得する周辺情報取得ステップと、
表示に供する画像を形成する表示部を制御する表示制御ステップとを備え、
前記表示制御ステップは、
前記周辺情報取得ステップにより取得した情報により、前記前方車両を囲むリング形状の全部形状又は一部形状により情報表示領域を形成し、
前記情報表示領域を放射状に分割して形成された小領域に前記前方車両に関する情報を表示する。
【0022】
請求項8の構成によれば、前方車両を囲むリング形状の全部形状又は一部形状により情報表示領域を形成して前方車両に関する情報を表示することにより、前方車両に対する注意力を損なうことなく、前方車両に関する種々の情報を提供することができる。
【0023】
請求項9の発明は、
演算処理回路における実行により所定の処理手順を実行させる車両用表示装置の制御プログラムにおいて、
前記車両用表示装置が、
ドライバーの前方空間に、虚像により画像を表示する車両用表示装置であり、
前記処理手順が、
前方車両の情報を取得する周辺情報取得ステップと、
表示に供する画像を形成する表示部を制御する表示制御ステップとを備え、
前記表示制御ステップは、
前記周辺情報取得ステップにより取得した情報により、前記前方車両を囲むリング形状の全部形状又は一部形状により情報表示領域を形成し、
前記情報表示領域を放射状に分割して形成された小領域に前記前方車両に関する情報を表示する。
【0024】
請求項9の構成によれば、前方車両を囲むリング形状の全部形状又は一部形状により情報表示領域を形成して前方車両に関する情報を表示することにより、前方車両に対する注意力を損なうことなく、前方車両に関する種々の情報を提供することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の車両用表示装置、車両用表示装置の制御方法、車両用表示装置の制御プログラムによれば、前方車両に対する注意力を損なうことなく、前方車両に関する種々の情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係る車両用表示装置の説明に供する断面図である。
図2図1の車両用表示装置のブロック図である。
図3図1の車両用表示装置における操作部を示す図である。
図4図1の車両用表示装置による表示を示す略線図である。
図5】表示の切替えの説明に供する図である。
図6】情報表示領域の表示を示す図である。
図7】情報表示領域の他の例を示す図である。
図8図1の車両用表示装置における動作の説明に供する図である。
図9図1の車両用表示装置における動作の説明に供するフローチャートである。
図10】走行車線を変更する場合の動作の説明に供するフローチャートである。
図11】隣接車線からの車両の進入時における動作の説明に供するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両1の構成を示す断面図であり、運転席より前方部分を部分的に示す図である。
【0028】
この車両1は、ダッシュボード内に、ヘッドアップディスプレイ装置による車両用表示装置2を備える。車両1は、この車両用表示装置2から画像表示に供する出射光Lを出射し、この出射光Lをウインドシールド3でドライバー4に向けて反射する。車両用表示装置2は、このウインドシールド3の反射光によりドライバー4の前方空間に虚像5を形成し、これによりウインドシールド3を介して車両の前方を視認可能とした状態で、ドライバー4の前方空間に虚像5により種々の画像を表示する。
この車両1では、この車両用表示装置2による画像により前方車両に関する種々の情報を表示してドライバー4の操作を受け付ける。
【0029】
図2は、車両用表示装置2を周辺構成と共に示す図である。
車両用表示装置2は、表示部11、周辺情報取得部13、操作情報取得部14、通信インターフェース15、表示制御部16を備える。
車両用表示装置2は、車両用表示装置の制御プログラムを演算処理回路で実行することにより、この図2に示す機能ブロックが構成される。
これによりこの制御プログラムの実行による処理手順は、周辺情報取得部13、操作情報取得部14、表示制御部16にそれぞれ対応して、対応する処理を実行する周辺情報取得ステップ、操作情報取得ステップ、表示制御ステップを備える。
【0030】
表示部11は、表示に供する画像を形成する構成である。表示部11は、表示器11Aに設けられた画像表示パネルにより表示に供する画像を形成し、所定の光学系を介して、この画像表示パネルの出射光Lをウインドシールド3に出射する。
ここで画像表示パネルは、DMD(Digital Mirror Device)、液晶表示パネル、有機EL(Electro Luminescence)パネル等、種々の構成を広く適用することができる。
この実施形態において、車両用表示装置2は、この表示部11の光学系にミラーM1、M2が設けられ、このミラーM1、M2により出射光Lの光路を折り曲げ、これにより全体構成を小型化するように構成される。
【0031】
周辺情報取得部13は、この車両1に設けられた周辺監視部21から周辺情報を取得する。
ここで周辺情報は、自車両の周辺の状況を把握可能な情報であり、少なくとも走行中の車線の前方車両を把握可能な情報であり、さらには後述する各種の処理の実行に必要な情報を含む。具体的に、走行中の車線の前方車両までの距離、車速を把握可能な情報、走行中の車線の前方車両の全景を把握可能な情報、隣接車線の前方車両を把握可能な情報、この隣接車線の前方車両の全景を把握可能な情報、注意すべき対象を把握可能な情報等を含む。
【0032】
ここで車両用表示装置2では、前方の撮像結果を画像処理することにより、走行中の車線における前方車両の有無、この前方車両までの距離、自車両との相対速度、この前方車両の全景を把握することができる。また同様の画像処理により、隣接車線の車両の有無、この隣接車線の車両までの距離、自車両との相対速度、この隣接車線の車両の全景を把握することができる。またこの撮像結果の画像処理により、例えば歩行者、他の車両等の注意を要する対象を検出することができる。
【0033】
これによりこの車両1では、周辺監視部21により車両1の周辺情報を取得できるように構成され、前方を撮像する前方風景撮像部が、この周辺監視部21に設けられる。
周辺情報取得部13は、この前方風景撮像部による撮像結果を周辺情報として取得する。なおこれに代えて、車両1側で画像処理して、前方車両の有無、前方車両までの距離等の情報を検出するようにして、この検出した情報を周辺情報として周辺情報取得部13で取得するようにしてもよい。
このようにすれば、車両1に設けられた自動運転機能の構成等を有効利用して、車両用表示装置2の構成を簡略化することができる。
【0034】
操作情報取得部14は、この車両1に設けられた操作部22から、ドライバー4の操作の情報を取得する。
ここで操作部22は、いわゆるクリックホイールであり、指のスライド操作をガイドする円形形状のガイド部と、押圧操作可能な押圧操作部とによりドライバー4による操作を検出する構成である。操作部22は、ステアリングホイールを把持した指により操作可能に、ステアリングスポークに設けられる。
【0035】
図3は、この操作部22の構成を示す図である。図3(A)は平面図であり、図3(B)は、この図3(A)の構成をA-A線により切り取って示す部分断面図である。なお図3(A)では、ステアリングホイールを把持した状態で、操作部22を操作するドライバー4の親指を示す。
操作部22は、第1及び第2の板状部材22D、22Eの積層により構成され、表面側となる第1の板状部材22Dの表面側に形成された凸部によりガイド部22Aが形成される。
ここでこの実施形態において、ガイド部22Aは、円形形状による領域の外周に沿って延長する凸部により形成されている。しかしながらガイド部は、ブラインド操作により指を添わせて移動させた際に、この移動の軌跡が円形形状となるように形成すればよく、これにより円形形状による領域の外周に沿って延長する凹部により形成してもよい。また円形形状の領域の全体を突出させてガイド部を構成してもよく、円形形状の領域の全体を凹部としてガイド部を構成してもよい。
操作部22は、この第1の板状部材22Dに、指による接触箇所を検出可能なシート材(例えばタッチセンサフィルム材)22Fが配置され、これにより例えば矢印Cにより示すように、ステアリングホイールを把持した状態で指を接触させて移動させると、この移動による指先の軌跡を検出可能に構成される。
【0036】
また操作部22は、裏面側である第2の板状部材22Eの特定箇所に、押圧操作を検出可能なスイッチが設けられ、このスイッチにより押圧操作可能な押圧操作部22Bが構成される。
より具体的に、押圧操作部22Bは、ガイド部22Aにガイドして指を移動させた際に押圧操作可能に、ガイド部22Aに沿った箇所に設けられる。またガイド部22Aを基準にして確実に押圧操作可能に、ガイド部22Aに係る円形形状の中心に設けられる。
【0037】
またこの操作部22には、このガイド部22Aの左側、下方に、操作を戻すためのスイッチ部22Cが設けられる。
これにより車両用表示装置2は、操作部22を使用して指先の感覚により簡易にブラインド操作することができる。
【0038】
なお操作部22には、各種クリックホイールの構成を広く適用することができ、さらにはクリックホイール以外の各種の構成を適用することができる。具体的には、ガイド部を備えていないタッチパネル等を適用してもよく、さらには音声入力、視線検出等によりドライバー4の操作を検出するようにしてもよい。
【0039】
通信インターフェース15(図2)は、この車両用表示装置2により操作を受け付ける操作対象との間で種々の情報を入出力し、さらには車両情報等を車両1から取得する部位である。
車両1は、ナビゲーションシステム23により地図情報、ルートガイド等を提供できるように構成され、通信インターフェース15は、このナビゲーションシステム23との間で各種のデータを入出力する。
また車両1は、ネットワークに接続可能に構成され、通信インターフェース15は、ネットワーク上の各種のデータサーバー24に接続して、このデータサーバー24から音楽コンテンツ、メール等を取得する。
また通信インターフェース15は、車両ECU(Engine Cntrol Unit)25との間で種々のデータを入出力する。ここで車両ECU25は、車両1の動作を制御するコントローラである。これにより車両用表示装置2は、自車両の車速、車線変更に係るウインカーの操作情報等の情報を取得し、さらには操作部22によるドライバー4の選択を通知する。
【0040】
またさらにこの実施形態において、車両1は、車車間通信装置を備え、この車車間通信装置により前方車両から種々の情報を取得できるように構成される。通信インターフェース15は、この車車間通信装置との間で、車車間通信装置の制御に必要なデータを入出力し、この車車間通信装置を使用した前方車両との車車間通信により、前方車両の車両情報を取得する。
【0041】
表示制御部16は、表示部11を制御する。すなわち表示制御部16は、ドライバー4の指示により表示部11を制御してメインメニュー画面を表示し、操作部22の操作によりこのメインメニュー画面に表示したアイコンの選択を受け付ける。またこの選択によりメニューの選択を各部に通知すると共に全体の動作を切替える。
【0042】
これにより車両用表示装置2は、ドライバー4がナビゲーションのメニューを選択すると、ナビゲーションシステム23に動作を指示し、ルートガイド等の情報をドライバー4に提供する。またドライバー4が音楽再生のメニューを選択すると、コンテンツサーバーとして機能するデータサーバー24へのアクセスを指示し、音楽コンテンツを取得して搭乗者に提供する。また自動運転モードの開始、終了のメニューを選択すると、対応するドライブモードへの移行を車両ECU25に指示する。
なお表示制御部16は、これらの制御において、必要に応じてメニュー画面を切替え、これにより各制御における詳細設定(例えば音楽再生ではコンテンツの選択等)を受け付ける。
表示制御部16は、各部からの情報を記憶部16Cに一旦記録して処理することにより、さらには記憶部16Cをワークエリアとして利用することにより、これらの処理を実行する。
【0043】
〔前方車両の情報表示〕
このようにメニュー画面を表示して、ドライバー4が、前方車両の情報表示を指示すると、周辺情報取得部13で取得した周辺情報、通信インターフェース15を介して取得される車両情報により、表示部11を制御して前方車両に関する情報を表示する。
【0044】
すなわち前方車両の情報表示が指示されると、表示制御部16において、判定部16Aは、走行中の車線について、前方車両の有無を判定する。
具体的に、判定部16Aは、周辺情報取得部13で取得される前方の撮像結果を画像処理することにより、この撮像結果から走行中の車線を検出する。また例えばパターンマッチングの手法の適用により走行中の車線に前方車両が存在するか否か判定する。
【0045】
また判定部16Aは、例えばステレオ視の手法を適用して撮像結果を処理することにより、前方車両までの距離を検出する。さらに撮像結果上に前方車両のおける大きさを検出することにより、前方車両の大きさ(自車両より見て取られる大きさである)を検出する。
またさらに検出した車間距離が一定距離DTH以下であるか否か判定する。
さらに判定部16Aは、同様にして隣接車線、この隣接車線を走行する前方車両、この隣接車線の前方車両までの距離、全景、ウインカーの点滅等、後述する各処理に必要な判定処理、検出処理を実行する。
【0046】
表示制御部16において、表示処理部16Bは、表示部11の制御により、これら判定部16Aによる判定結果、検出結果に応じて前方車両に関する情報を表示する。
【0047】
図4は、この前方車両に関する情報表示の説明に供する略線図である。
なお以下においては、符号1Aによりウインドシールドを介して見て取ることができる前方視界を部分的に示し、符号2Aによりこの車両用表示装置2による画像表示領域を示し、また符号TLにより車線境界線を示す。
ここで前方車両31が走行中の車線に存在する場合であって、この前方車両31までの距離(車間距離である)Dが一定距離DTH以下である場合、ドライバー4より見てこの前方車両31を囲むようにリング形状の全体形状により情報表示領域AR1を形成し、この情報表示領域AR1を放射状に分割して形成された小領域AR11~AR14に前方車両に関する情報を表示する。
【0048】
ここで図4は、車両1が自動運転モードに設定されている場合の情報表示領域AR1の表示であり、小領域AR11には、前方車両に関する情報に前方車両の車速表示が割り当てられ、対応する前方車両31の車速(「速度 60Km/h」)が表示される。
これに対して小領域AR12~AR14は、前方車両31を基準にして自車両の挙動を指示する情報が、前方車両に関する情報として割り当てられる。
小領域AR12は、前方車両31の追い越しを指示する領域に割り当てられ、対応するメニューを表示する画像情報が文字(追い越し)及びアイコン(矢印)により表示される。
また小領域AR13は、前方車両31の走行車線(自車両の走行車線)からの車線変更を指示する領域に割り当てられ、対応するメニューを表示する画像情報が文字(車線変更)及びアイコン(矢印)により表示される。
また小領域AR14は、前方車両31への追従走行を指示する領域に割り当てられ、対応するメニューを表示する画像情報が文字(追従)及びアイコン(〇印により囲まれた英数字のA)により表示される。
またさらに、操作部22のガイド部22Aにドライバー4が指を添えている場合、情報表示領域AR1は、内側の円形形状の領域から外周側に延長するように、針状の指針Kが表示される。ここで指針Kは、操作部22に設けられたガイド部22Aの何れの箇所にドライバー4の親指が添えているかを把握できるようにする表示であり、操作部22における操作に応じて情報表示領域AR1の中心を回転中心にしてその向きが変化するように表示される。これによりこの車両用表示装置2では、一段と簡易かつ確実にブラインド操作できるように構成される。
【0049】
表示制御部16は、操作情報取得部14により取得される操作部22の操作情報に基づいて、ドライバー4がガイド部22Aに沿って指を移動させると、これに応動するように、指針Kを表示してその向きを変化させながら、フォーカスする小領域を順次切り替えると共に、このフォーカスした小領域の表示を切替える。また押圧操作によりフォーカスしている小領域に係る選択操作を受け付け、対応する処理を実行する。具体的に小領域AR12、AR13、AR14が選択されると、車両ECU25に選択を通知する。
これにより車両1は、自動運転モードにより前方車両31を追い越し、また車線変更し、さらには一定の車間距離により前方車両31に追従走行する。
【0050】
これに対して小領域AR11が選択されると、図4との対比により図5に示すように、車速の表示を車間距離の表示に切替える。またこの図5に示す表示において、車間距離が選択されると、元の車速の表示に戻す。
これにより必要に応じて情報表示領域AR1で表示する前方車両31に関する情報を切替えることができように構成される。
【0051】
なお手動運転モードにおいては、小領域AR12、AR13、AR14の選択により走行モードを自動運転モードに切り替えて選択に係る動作を実行するようにしてもよく、さらにはこれら小領域AR12、AR13、AR14にフォーカスしないようにすると共に、選択困難であることを認識できるように、表示を変更するようにしてもよい。
【0052】
これに対して事前の設定により、車車間通信による前方車両31の車両情報の取得が指示されている場合、図6に示すように情報表示領域AR1を形成する。
ここでこの図6の例では、小領域AR11に前方車両の車速が表示され、小領域AR12に前方車両31の走行モードが表示され、小領域AR13に前方車両31で音楽コンテンツを視聴していることが表示され、小領域AR14に前方車両31までの車間距離が表示される。
なおこれら図5図6に示す表示の切替えにあっては、ドライバー4の選択により切替えるようにしてもよく、さらに小領域AR11~AR14への表示項目は、上述した以外の種々の項目を適用することができ、例えば前方車両31の車種、メーカー等を表示するようにしてもよい。
【0053】
なお図4との対比により図7に示すように、前方車両を囲むリング形形状の一部形状により情報表示領域を形成してもよい。
【0054】
このように前方車両31を囲むようにリング形状により情報表示領域AR1を形成し、この情報表示領域AR1を放射状に分割して形成された小領域AR11~AR14に前方車両に関する情報を表示することにより、車両1では、前方車両31を確実に視認できるようにして、殆ど視線を移動させることなく、小領域AR11~AR14の表示を確認することができる。
これにより前方車両に対する注意力を損なうことなく、前方車両に関する情報を提供することができる。
またこのように前方車両31を囲むようにリング形状により情報表示領域AR1を形成する場合には、前方車両31に対する注意を喚起することができ、これにより一段と安全性を向上することができる。
【0055】
特にこの実施形態では、操作部22の操作により小領域AR11~AR14の選択を受け付けるようにして、この操作部22が、指のスライド操作をガイドする円形形状のガイド部22Aと、押圧操作可能な押圧操作部22Bとを備えることにより、リング形状による情報表示領域AR1に対応する操作部の構成により、さらには指針Kの表示により、簡易かつ迅速にブラインド操作により所望の小領域AR11~AR14を選択することができる。また操作部22の操作による小領域AR11~AR14の選択を直感的に把握することができる。
これにより簡易かつ確実にブラインド操作することができ、これによっても前方車両への注意力を損なわないようにすることができる。
【0056】
この実施形態では(図4)、このリング形状による情報表示領域AR1の設定が、前方車両31が存在する場合であって、この前方車両31までの車間距離Dが一定距離DTH以下である場合に適用される。
ここでこの一定距離DTHは、走行時において、前方車両がはるか前方に存在する場合を除く趣旨により設定され、例えば前方車両の挙動に注意を払うことが望ましいとされる車間距離である。これによりこの一定距離DTHは、車速の増大により増加するように設定される。
これにより車両用表示装置2では、前方車両31に注意を払うことが望ましい場合に、前方車両31に対する注意力を損なわないようにし、さらには前方車両31に対する注意を喚起し、一段と安全性を向上することができる。
【0057】
さらにこの実施形態において、情報表示領域AR1は、内側の円形形状の領域に前方車両の全景が収まるように内径が可変される。
より具体的に、情報表示領域AR1は、外径W2が一定値に保持される。またさらに所定の上限値を限度として、車両1側から見て取られる前方車両31の大きさに応じて内径W1が変化するように形成される。これにより情報表示領域AR1は、車間距離Dが変化した場合にあっても、情報表示領域AR1の内周側、円形形状の領域に前方車両31の全景が収まるように形成される。
【0058】
これにより車両用表示装置2では、前方車両31までの車間距離Dが変化して車両1より見て取られる前方車両の大きさが増大した場合でも、従来に比して確実に前方車両に関する視認性を向上することができ、安全性を向上させることができる。
【0059】
またこれにより情報表示領域AR1は、この円形形状の領域の拡大により幅が変化することになる。これにより表示処理部16Bは、この円形形状の領域が一定値以上に増大して、内外周方向の領域幅が小さくなり、小領域AR11~AR14における画像情報の表示を文字表示からアイコンによる表示に切替える。
これにより車両用表示装置2では、情報表示領域AR1を拡大させることなく、適切に前方車両に関する情報を表示するようにして、前方車両に対する注意力の低下を有効に回避する。
【0060】
なおこのような前方車両31の見掛けの大きさによる情報表示領域AR1の内径W1の増大は、一定の上限値を限度として実行され、これにより情報表示領域AR1は、一定幅以下とならないように維持される。
これにより例えば交差点等で前方車両に続いて停車して前方車両との車間距離が著しく短くなった場合等にあっては、情報表示領域AR1の内側、円形形状の領域に前方車両31の全景が収まらないようにして、実用性を損なわないようにする。
【0061】
これに対して一定距離DTH以下の範囲に、前方車両31が存在しない場合、表示処理部16Bは、何ら情報表示領域AR1を表示することなく、一定距離DTH以下の範囲に、前方車両31が到来するのを待機する。
【0062】
〔車線変更時の表示〕
ところでこのように情報表示領域AR1を表示する場合、車線の変更により前方車両が存在しなくなったり、またこれとは逆に前方車両が存在するようになる場合がある。また車線の変更前と変更後の双方で前方車両が存在する場合もある。
これらの場合、情報表示領域AR1の表示を対応する表示に切替えたりすることが必要となる。
【0063】
そこで表示制御部16は、判定部16Aにより走行中の車線から隣接車線への車線変更の開始を検出し、車線変更先である隣接車線において、車両1の前方、一定距離以下の範囲に前方車両が存在する場合、この隣接車線の前方車両を囲むリング形状の全部形状又は一部形状により新たな情報表示領域を形成する。
また表示処理部16Bにより、車線変更を開始して車線変更を完了するまでの間、徐々に、それまでの情報表示領域の表示を新たな情報表示領域の表示に切替える。
なおここでこの一定距離は、車線変更後において、車間距離Dが一定距離DTH以下となると予測される距離であり、これによりリング形状による情報表示領域AR1の表示の選択に係る一定距離DTHを適用することができるものの、自車両の速度と隣接車線を走行する車両の速度とに応じて適宜、変更するようにしてもよい。
【0064】
ここで車線変更の開始は、車両ECU25から取得された車両情報によりウインカーの操作を検出して実行される。また車線変更の完了は、車両情報によりステアリング操作を検出して判定することにより実行することができ、さらには前方の撮像結果より車線の変化を検出することによっても実行することができる。
これらにより車両用表示装置2は、隣接車線への車線変更に関して、ドライバー4に注意を喚起することができる。
【0065】
図8(A)は、この車線変更時における動作の説明に供する略線図であり、車線変更を開始した後、車線変更を完了前時の状態を示す。また符号WR、WLによりウインカーを示す。
【0066】
この場合、それまで前方車両31Aが存在することによりリング形状の全部形状又は一部形状により情報表示領域AR1Aを表示して、ウインカーの操作により変更先の車線における前方車両31Bを検出する。
さらに、隣接車線の前方車両31Bを囲むように新たな情報表示領域AR1Bを形成し、車線変更を開始して車線変更を完了するまでの間、徐々に、それまでの情報表示領域AR1Aの表示を新たな情報表示領域AR1Bの表示に切替える。
【0067】
表示処理部16Bは、新たな情報表示領域AR1Bの表示をそれまでの情報表示領域AR1A側から徐々に視認できるようにしながら、それまでの情報表示領域AR1Aの表示を新たな情報表示領域AR1B側から徐々に視認できないようにすることにより、徐々に、それまでの情報表示領域AR1Aの表示を新たな情報表示領域AR1Bの表示に切替える。
【0068】
より具体的に、新たな情報表示領域AR1Bの表示をそれまでの情報表示領域AR1A側からフェードインしながら、それまでの情報表示領域AR1Aの表示を新たな情報表示領域AR1B側からフェードアウトすることにより、徐々に、それまでの情報表示領域AR1Aの表示を新たな情報表示領域AR1Bの表示に切替える。
これにより車両用表示装置2は、情報表示領域の切替えを直観的に把握できることにより、使い勝手を向上することができる。
【0069】
なおこの場合、表示処理部16Bは、情報表示領域の表示に係る透明度を徐々に増大させることにより、フェードアウトの処理を実行し、これとは逆に、情報表示領域の表示に係る透明度を徐々に低下させることにより、フェードインの処理を実行する。
【0070】
なお、それまでの情報表示領域AR1Aと新たな情報表示領域との表示の切替えは、種々の手法、効果を適用することができ、例えばそれまでの情報表示領域AR1A全体の透明度と、新たな情報表示領域AR1B全体の透明度とを相補的に変化させて表示を切替えてもよく、さらにはそれまでの情報表示領域AR1Aと新たな情報表示領域AR1Bとに非表示の領域を設定して、この非表示の領域の大きさを相補的に変化させて表示を切替えるようにしてもよい。
【0071】
これに対して車線変更開始時点で、前方車両の存在により情報表示領域AR1を表示している状態で、隣接車線において、一定距離以下の範囲で前方車両が検出できない場合、車線の変更により単にそれまで表示していた情報表示領域AR1を徐々に視認できないようにして表示を終了する。より具体的には、図8(A)について上述したと同様にフェードアウトにより徐々に視認できないようにする。
【0072】
またこれとは逆に、それまで前方車両が存在しないことにより情報表示領域AR1を表示していない状態で、隣接車線において一定距離以下の範囲で前方車両が存在する場合、新たな情報表示領域AR1を形成し、車線の変更により徐々に視認できるように表示する。より具体的には、図8(A)について上述したと同様のフェードインにより徐々に認識できるようにする。
なおこれら情報表示領域AR1Aの表示開始、表示終了には、種々の手法、効果を適用することができる。
【0073】
さらにこのように車線変更する場合に、表示制御部16は、判定部16Aにおける画像処理により、注意すべき対象を検出し、表示処理部16Bにおいて、この注意すべき対象の検出により情報表示領域の表示を強調表示に切替える。
ここでこの強調表示は、種々の表示方法を適用することができるものの、この実施形態では、情報表示領域AR1の点滅表示が適用される。
なおこの注意すべき対象は、例えば歩行者、他の車両等であり、例えばテンプレートを使用したパターンマッチングにより撮像結果を処理して検出することができる。
これにより車両用表示装置2は、歩行者、他の車両等への注意を喚起することができる。
【0074】
〔車両進入時の表示〕
ところで情報表示領域AR1を表示している状態で、隣接車線から前方に車両が侵入する場合もある。また情報表示領域AR1を表示していない状態で、隣接車線から一定距離以下の車間距離により車両が侵入する場合もある。
これらの場合も情報表示領域の表示を切替え、情報表示領域の表示を開始することが必要になる。
【0075】
そこで表示制御部16は、判定部16Aにより隣接車線からの前方への車両の進入を検出し、この進入する車両までの距離が、車両1の前方、一定距離以下である場合であって、走行中の車線の前方車両との間に進入する場合、この隣接車線の前方車両を囲むリング形状の全部形状又は一部形状により新たな情報表示領域を形成する。
またさらに隣接車線からの車両の進入により、徐々に、それまでの情報表示領域の表示を新たな情報表示領域の表示に切替える。
またそれまで情報表示領域AR1を表示していない場合には、隣接車線からの車両の進入により、徐々に、新たな情報表示領域を表示する。
これにより車両用表示装置2では、隣接車線からの車両の進入に関して、ドライバー4に注意を喚起する。
【0076】
またこれらの場合も、車線変更時と同様に、フェードアウト、フェードインにより、新たな情報表示領域の表示をそれまでの情報表示領域側から徐々に視認できるように、それまでの情報表示領域の表示を新たな情報表示領域側から徐々に視認できないようにし、それまでの情報表示領域の表示を新たな情報表示領域の表示に切替える。
また車線変更時と同様に、フェードインにより新たな情報表示領域を徐々に表示する。
【0077】
これにより車両用表示装置2は、情報表示領域の切替えを直観的に把握できるようにして、ドライバー4の注意を喚起し、使い勝手を向上することができる。
【0078】
図8(B)は、この隣接車線からの車両の進入時における動作の説明に供する略線図であり、前方車両が存在した状態で、隣接車線から車両が侵入を開始した状態を示す。
【0079】
この場合、それまで走行中の車線上に前方車両31Aが存在することにより情報表示領域AR1Aを表示して、隣接車線を走行する前方車両31Bのウインカーの点滅により、この前方車両31Bの進入開始が検出される。
またこの場合、それまでの前方車両31Aまでの車間距離と、隣接車線の前方車両31Bまでの車間距離とにより、この隣接車線からの車両の進入が、走行中の車線における前方車両との間への進入であることが検出される。
【0080】
これによりこの進入する前方車両31Bを囲むように新たな情報表示領域AR1Bを形成し、この前方車両31Bが進入を開始して車線変更が完了するまでの間、徐々に、それまでの情報表示領域AR1Aの表示を新たな情報表示領域AR1Bの表示に切替える。
【0081】
なおこのように隣接車線から車両が侵入する場合にあっても、自車両が車線変更する場合と同様に、注意すべき対象を検出して情報表示領域の表示を強調表示に切替えるようにしてもよい。
【0082】
なお前方車両の隣接車線への車線変更によっても、前方車両が切替わったり、車両進入時とは逆に前方車両が存在しなくなる。
これによりこれらの場合も、隣接車線からの車両進入時と同様に、それまでの情報表示領域AR1の表示を新たな情報表示領域の表示に徐々に切替え、またそれまでの情報表示領域AR1の表示を徐々に終了する。
これによってもこの車両用表示装置2では、前方車両に対する注意力の低下を有効に回避して安全に資することができる。
【0083】
〔進路変更時の表示〕
またさらに交差点等において進路を変更する場合にあっても、走行車線を変更する場合と同様に、進路の変更により情報表示領域の表示の切替えが必要になる場合がある。
具体的には、進路変更により前方車両がいなくなったり、これとは逆に進路変更により前方車両が存在するようになる場合である。
【0084】
これにより表示制御部16は、車線変更の場合と同様に、進路変更により情報表示領域の表示を切替え、さらには情報表示領域を強調表示する。
【0085】
図9は、情報表示領域AR1を表示する場合における車両用表示装置2における処理手順を示すフローチャートである。
この処理手順において、車両用表示装置2は、周辺監視部21で取得される周辺情報を周辺情報取得部13により取得し(ステップSP2)、さらに自車両の走行車線を検出する(ステップSP3)。またこのようにして取得した情報により、一定の車間距離以下の前方車両の存在の有無を検出することにより、情報表示領域AR1を表示する対象が存在するか否か判断し、この判断結果により情報表示領域AR1を表示する(ステップSP4)。
【0086】
図10は、情報表示領域を表示している状態での車線変更時及び進路変更時における情報表示領域の表示の切替えに係る処理手順を示すフローチャートであり、車線変更後、進路変更後に前方車両が存在することになる場合のフローチャートである。
この場合、車両用表示装置2は、ウインカーの点滅により注意を喚起すべき対象が存在するか否か判断し(ステップSP11、ステップSP12)、注意を喚起すべき対象が存在する場合、情報表示領域(表示画像)を強調表示する(ステップSP13)。
またさらにそれまでの情報表示領域の表示をフェードアウトするように設定すると共に、新たな情報表示領域の表示をフェードインするように設定する(ステップSP14、ステップSP15)。
【0087】
図11は、情報表示領域を表示している状態で、隣接車線から車両が前方に侵入する場合の情報表示領域の表示の切替えに係る処理手順を示すフローチャートである。
この場合、ウインカーの点滅によりこの車両の進入開始を検出し、新たな情報表示領域を形成する(ステップSP21)。
またさらにそれまでの情報表示領域の表示をフェードアウトするように設定すると共に、新たな情報表示領域の表示をフェードインするように設定する(ステップSP22、ステップSP23)。
【0088】
以上の構成によれば、前方車両を囲むリング形状の全部形状又は一部形状により情報表示領域を形成し、この情報表示領域を放射状に分割して形成された小領域に前方車両に関する情報を表示することにより、前方車両に対する注意力を損なうことなく、前方車両に関する種々の情報を提供することができる。
【0089】
またさらに情報表示領域に係るリング形状の内側領域に前記前方車両の全景が収まるように、リング形状の内径を可変することにより、前方車両までの距離が変化した場合であっても、この距離の変化に対応するように内側領域の大きさを可変して、確実に前方車両を視認することができ、前方車両への注意力の低下を防止することができる。
【0090】
またさらにこの内径の拡大により前方車両に関する情報の表示をアイコンの表示に切替えることにより、適切に前方車両に関する情報を表示することができ、前方車両以外の前方視界の低下を有効に回避して、操作性の低下を防止することができる。
【0091】
またさらに前方車両との間に、隣接車線から車両が侵入する場合、隣接車線からの車両を囲むリング形状の全部形状又は一部形状により新たな情報表示領域を形成し、徐々に表示を切替えることにより、隣接車線からの車両の車線変更に関して、ドライバーに注意を喚起することができる。
【0092】
またさらに走行中の車線から隣接車線に車線を変更する場合、隣接車線の前方車両を囲む新たな情報表示領域を形成し、徐々に表示を切替えることにより、隣接車線への車線変更に関して、ドライバーに注意を喚起することができる。
【0093】
またさらにこれらの場合に、新たな情報表示領域の表示をそれまでの情報表示領域側から徐々に視認できるようにしながら、それまでの情報表示領域の表示を新たな情報表示領域側から徐々に視認できないようにすることにより、情報表示領域の切替えを直観的に把握でき、使い勝手を向上することができる。
【0094】
またさらに車線変更時及び又は進路変更時、注意すべき対象の検出により情報表示領域の表示を強調表示に切替えることにより、歩行者、他の車両等への注意を喚起することができる。
【0095】
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態の構成を種々に変更することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 車両
2 車両用表示装置
3 ウインドシールド
4 ドライバー
5 虚像
11 表示部
13 周辺情報取得部
14 操作情報取得部
15 通信インターフェース
16 表示制御部
16A 判定部
16B 表示処理部
16C 記憶部
22 操作部
22A ガイド部
22B 押圧操作部
22C スイッチ部
22D、22E 板状部材
22F シート材
23 ナビゲーションシステム
24 データサーバー
25 車両ECU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11