(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】注意喚起表示装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20220317BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60R11/02 C
(21)【出願番号】P 2018552582
(86)(22)【出願日】2017-11-21
(86)【国際出願番号】 JP2017041778
(87)【国際公開番号】W WO2018097120
(87)【国際公開日】2018-05-31
【審査請求日】2020-09-18
(31)【優先権主張番号】P 2016227885
(32)【優先日】2016-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】秦 誠
(72)【発明者】
【氏名】舛屋 勇希
【審査官】秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-107945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前方の実景(3)中の注意喚起対象物(W)に関連付けた虚像(V)を表示する注意喚起表示装置であって、
前記注意喚起対象物の少なくとも位置に関する情報を含む対象物情報を取得する対象物情報取得手段(43,45,47)と、
前記注意喚起対象物と自車両との相対速度および相対距離の少なくとも何れかを含む相対情報を取得可能な相対情報取得手段(43,45,46,47)と、
少なくとも前記相対情報取得手段で取得された前記相対情報に基づいて、前記対象物情報取得手段で取得した前記注意喚起対象物の位置に応じて決定される前記虚像を表示する通常の位置である基準表示位置(50r)より鉛直方向下側または/および奥行き方向の手前側に補正表示位置(50s)を設定し、前記補正表示位置に近傍虚像(Vs)を表示する表示制御部(40)と、を備え、
前記表示制御部は、前記補正表示位置を連続的に更新する、注意喚起表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、実質的に、前記注意喚起対象物から設定距離(D)だけ離れた前記実景中の補正実景位置(3s)に前記近傍虚像が視認されるように、前記補正表示位置を調整し、前記相対情報に応じて、前記設定距離を変える、
請求項
1に記載の注意喚起表示装置。
【請求項3】
車両前方の実景(3)中の注意喚起対象物(W)に関連付けた虚像(V)を表示する注意喚起表示装置であって、
前記注意喚起対象物の少なくとも位置に関する情報を含む対象物情報を取得する対象物情報取得手段(43,45,47)と、
前記注意喚起対象物と自車両との相対速度および相対距離の少なくとも何れかを含む相対情報を取得可能な相対情報取得手段(43,45,46,47)と、
少なくとも前記相対情報取得手段で取得された前記相対情報に基づいて、前記対象物情報取得手段で取得した前記注意喚起対象物の位置に応じて決定される前記虚像を表示する通常の位置である基準表示位置(50r)より鉛直方向下側または/および奥行き方向の手前側に補正表示位置(50s)を設定し、前記補正表示位置に近傍虚像(Vs)を表示する表示制御部(40)と、
自車両の制動動作に関する制動情報を取得可能な制動情報取得手段(46)と、を備え、
前記表示制御部は、
実質的に、前記注意喚起対象物から設定距離(D)だけ離れた前記実景中の補正実景位置(3s)に前記近傍虚像が視認されるように、前記補正表示位置を調整し、前記相対情報に応じて、前記設定距離を変え、
前記制動情報取得手段から取得した前記制動情報に基づき、自車両の制動動作を検出した場合、前記設定距離を固定する、注意喚起表示装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、実質的に、前記注意喚起対象物と前記近傍虚像との間に存在するように視認される位置に、1以上の中間虚像を表示する、
請求項1乃至
3の何れか一項に記載の注意喚起表示装置。
【請求項5】
車両前方の実景(3)中の注意喚起対象物(W)に関連付けた虚像(V)を表示する注意喚起表示装置であって、
前記注意喚起対象物の少なくとも位置に関する情報を含む対象物情報を取得する対象物情報取得手段(43,45,47)と、
前記注意喚起対象物と自車両との相対速度および相対距離の少なくとも何れかを含む相対情報を取得可能な相対情報取得手段(43,45,46,47)と、
前記対象物情報取得手段によって取得した前記注意喚起対象物の位置に対して所定の位置関係になる基準表示位置(50r)に虚像(V)を表示させる表示制御部(40)と、を備え、
前記表示制御部(40)は、
前記相対速度が所定の閾値以上、又は前記相対距離が所定の閾値以下になった場合、前記基準表示位置より鉛直方向下側、及び/又は奥行方向の手前側である補正表示位置(50s)に近傍虚像(Vs)を表示させ
、
前記表示制御部は、実質的に、前記注意喚起対象物と前記近傍虚像との間に存在するように視認される位置に、1以上の中間虚像を表示し、
前記中間虚像と前記近傍虚像とを、略同じ形状、かつ異なる表示態様で表示する、
ことを特徴とする注意喚起表示装置。
【請求項6】
車両前方の実景(3)中の注意喚起対象物(W)に関連付けた虚像(V)を表示する注意喚起表示装置であって、
前記注意喚起対象物の少なくとも位置に関する情報を含む対象物情報を取得する対象物情報取得手段(43,45,47)と、
前記注意喚起対象物と自車両との相対速度および相対距離の少なくとも何れかを含む相対情報を取得可能な相対情報取得手段(43,45,46,47)と、
少なくとも前記相対情報取得手段で取得された前記相対情報に基づいて、前記対象物情報取得手段で取得した前記注意喚起対象物の位置に応じて決定される前記虚像を表示する通常の位置である基準表示位置(50r)より鉛直方向下側または/および奥行き方向の手前側に補正表示位置(50s)を設定し、前記補正表示位置に近傍虚像(Vs)を表示する表示制御部(40)と、を備え、
前記表示制御部は、
実質的に、前記注意喚起対象物と前記近傍虚像との間に存在するように視認される位置に、1以上の中間虚像を表示し、
前記中間虚像と前記近傍虚像とを、略同じ形状、かつ異なる表示態様で表示し、
自車両が前記注意喚起対象物に所定の閾値以上近づいた場合、自車両が前記注意喚起対象物に近づくにつれ、前記近傍虚像、前記中間虚像の順に自車両に近い虚像から順に非表示にしていく、または視認性を低下させていく、注意喚起表示装置。
【請求項7】
車両前方の実景(3)中の注意喚起対象物(W)に関連付けた虚像(V)を表示する注意喚起表示装置であって、
前記注意喚起対象物の少なくとも位置に関する情報を含む対象物情報を取得する対象物情報取得手段(43,45,47)と、
前記注意喚起対象物と自車両との相対速度および相対距離の少なくとも何れかを含む相対情報を取得可能な相対情報取得手段(43,45,46,47)と、
少なくとも前記相対情報取得手段で取得された前記相対情報に基づいて、前記対象物情報取得手段で取得した前記注意喚起対象物の位置に応じて決定される前記虚像を表示する通常の位置である基準表示位置(50r)より鉛直方向下側または/および奥行き方向の手前側に補正表示位置(50s)を設定し、前記補正表示位置に近傍虚像(Vs)を表示する表示制御部(40)と、を備え、
前記表示制御部は、
実質的に、前記注意喚起対象物と前記近傍虚像との間に存在するように視認される位置に、1以上の中間虚像を表示し、
前記中間虚像と前記近傍虚像とを、略同じ形状、かつ異なる表示態様で表示し、
所定の時間以上、前記相対速度が低下しないまたは前記相対距離が増加しない場合、前記補正表示位置を、さらに鉛直方向下側または/および奥行き方向の手前側に視認される位置に調整する、注意喚起表示装置。
【請求項8】
車両前方の実景(3)中の注意喚起対象物(W)に関連付けた虚像(V)を表示する注意喚起表示装置であって、
前記注意喚起対象物の少なくとも位置に関する情報を含む対象物情報を取得する対象物情報取得手段(43,45,47)と、
前記注意喚起対象物と自車両との相対速度および相対距離の少なくとも何れかを含む相対情報を取得可能な相対情報取得手段(43,45,46,47)と、
前記対象物情報取得手段によって取得した前記注意喚起対象物の位置に対して所定の位置関係になる基準表示位置(50r)に虚像(V)を表示させる表示制御部(40)と、を備え、
前記表示制御部(40)は、
前記相対速度が所定の閾値以上、又は前記相対距離が所定の閾値以下になった場合、前記基準表示位置より鉛直方向下側、及び/又は奥行方向の手前側である補正表示位置(50s)に近傍虚像(Vs)を表示させ
、
前記表示制御部は、実質的に、前記注意喚起対象物と前記近傍虚像との間に存在するように視認される位置に、1以上の中間虚像を表示し、
前記中間虚像を、前記近傍虚像より大きく視認されるように表示する、
ことを特徴とする注意喚起表示装置。
【請求項9】
車両前方の実景(3)中の注意喚起対象物(W)に関連付けた虚像(V)を表示する注意喚起表示装置であって、
前記注意喚起対象物の少なくとも位置に関する情報を含む対象物情報を取得する対象物情報取得手段(43,45,47)と、
前記注意喚起対象物と自車両との相対速度および相対距離の少なくとも何れかを含む相対情報を取得可能な相対情報取得手段(43,45,46,47)と、
少なくとも前記相対情報取得手段で取得された前記相対情報に基づいて、前記対象物情報取得手段で取得した前記注意喚起対象物の位置に応じて決定される前記虚像を表示する通常の位置である基準表示位置(50r)より鉛直方向下側または/および奥行き方向の手前側に補正表示位置(50s)を設定し、前記補正表示位置に近傍虚像(Vs)を表示する表示制御部(40)と、を備え、
前記表示制御部は、
実質的に、前記注意喚起対象物と前記近傍虚像との間に存在するように視認される位置に、1以上の中間虚像を表示し、
前記中間虚像を、前記近傍虚像より大きく視認されるように表示し、
自車両が前記注意喚起対象物に所定の閾値以上近づいた場合、自車両が前記注意喚起対象物に近づくにつれ、前記近傍虚像、前記中間虚像の順に自車両に近い虚像から順に非表示にしていく、または視認性を低下させていく、注意喚起表示装置。
【請求項10】
車両前方の実景(3)中の注意喚起対象物(W)に関連付けた虚像(V)を表示する注意喚起表示装置であって、
前記注意喚起対象物の少なくとも位置に関する情報を含む対象物情報を取得する対象物情報取得手段(43,45,47)と、
前記注意喚起対象物と自車両との相対速度および相対距離の少なくとも何れかを含む相対情報を取得可能な相対情報取得手段(43,45,46,47)と、
少なくとも前記相対情報取得手段で取得された前記相対情報に基づいて、前記対象物情報取得手段で取得した前記注意喚起対象物の位置に応じて決定される前記虚像を表示する通常の位置である基準表示位置(50r)より鉛直方向下側または/および奥行き方向の手前側に補正表示位置(50s)を設定し、前記補正表示位置に近傍虚像(Vs)を表示する表示制御部(40)と、を備え、
前記表示制御部は、
実質的に、前記注意喚起対象物と前記近傍虚像との間に存在するように視認される位置に、1以上の中間虚像を表示し、
前記中間虚像を、前記近傍虚像より大きく視認されるように表示し、
所定の時間以上、前記相対速度が低下しないまたは前記相対距離が増加しない場合、前記補正表示位置を、さらに鉛直方向下側または/および奥行き方向の手前側に視認される位置に調整する、注意喚起表示装置。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記相対情報に応じて、表示する前記中間虚像の数を増加させる、
請求項
5乃至
10の何れか一項に記載の注意喚起表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の乗員に警告情報を示す虚像を表示することで、車両前方の障害物との衝突を防止する注意喚起表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の注意喚起表示装置としては、特許文献1に開示されているようなヘッドアップディスプレイ装置を用いて警報するものが知られている。特許文献1に開示されている注意喚起表示装置は、自車両と、該自車両の前方に位置する前方車両との距離を検出し、ヘッドアップディスプレイ装置により運転者の視野中の前方車両にマーク画像を重畳表示するものである。マーク画像を表示することで注意すべき対象物(前方車両)の位置をユーザに知らせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、自車両と前方車両との相対速度が速い(自車両の方が前方車両より速い場合)程、あるいは自車両と前方車両との相対距離が短い程、緊急事態が発生して前方車両との衝突を回避するためにかけられる時間は短くなる。
【0005】
特許文献1に開示されているような、対象物の位置を報知するマーク画像では、対象物の位置を知ることができるものの、上述したような前方車両との相対速度や相対距離の違いにより、視認者に適切な運転操作を促すことができず、改善の余地があった。
【0006】
本発明は、自車両と前方障害物との相対速度または相対距離に応じて、適切な運転操作を促し、前方障害物との衝突を防止することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明の注意喚起表示装置は、自車両と実景中の注意喚起対象物(前方障害物)との相対速度または相対距離に応じて、通常、車両前方の実景中の注意喚起対象物に関連づけて虚像を表示する位置よりも鉛直方向下側または/および奥行き方向の手前側に虚像を表示することで、運転者に注意喚起する虚像が、通常虚像が表示される位置よりも手前側にあるように実質的に視認されるため、運転者に早めの運転操作あるいは充分な操作量の運転操作を促すことができ、前方障害物との衝突を予防できる、ことを要旨としている。
【0008】
本発明の第1の態様の注意喚起表示装置は、車両前方の実景(3)中の注意喚起対象物(W)に関連付けた虚像(V)を表示する注意喚起表示装置であって、前記注意喚起対象物の少なくとも位置に関する情報を含む対象物情報を取得する対象物情報取得手段(43,45,47)と、前記注意喚起対象物と自車両との相対速度および相対距離の少なくとも何れかを含む相対情報を取得可能な相対情報取得手段(43,45,46,47)と、少なくとも前記相対情報取得手段で取得された前記相対情報に基づいて、前記対象物情報取得手段で取得した前記注意喚起対象物の位置に応じて決定される前記虚像を表示する通常の位置である基準表示位置(50r)より鉛直方向下側または/および奥行き方向の手前側に補正表示位置(50s)を設定し、前記補正表示位置に近傍虚像(Vs)を表示する表示制御部(40)と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、運転者に注意喚起する近傍虚像が、注意喚起対象物に関連付けた虚像が通常視認される位置よりも手前側(運転者側)にあるように視認されるため、運転者に早めの運転操作あるいは充分な操作量の運転操作を促すことができ、前方障害物との衝突を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態における注意喚起表示装置の構成を説明する図である。
【
図2A】
図1の注意喚起表示装置が表示する虚像を説明する図であり、(a)は車両の運転者が視認する景色を示した図であり、(b)は車両の側方から視認した様子を示した図である。
【
図2B】
図1の注意喚起表示装置が表示する虚像を説明する図であり、(a)は車両の運転者が視認する景色を示した図であり、(b)は車両の側方から視認した様子を示した図である。
【
図2C】
図1の注意喚起表示装置が表示する虚像を説明する図であり、(a)は車両の運転者が視認する景色を示した図であり、(b)は車両の側方から視認した様子を示した図である。
【
図3】
図1の注意喚起表示装置における、相対速度と補正表示位置の変化量との関係を示す図である。
【
図4】
図1の注意喚起表示装置が表示する虚像の変形例を示す図であり、車両の運転者が視認する景色を示した図である。
【
図5】
図1の注意喚起表示装置が表示する虚像の変形例を示す図であり、車両の運転者が視認する景色を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の注意喚起表示装置10の実施形態について、
図1を参照して説明する。
【0012】
注意喚起表示装置10は、虚像Vを表示する虚像表示装置などで構成され、例えば、ヘッドアップディスプレイ装置やヘッドマウントディスプレイ装置などである。以下では、注意喚起表示装置10が、ヘッドアップディスプレイ装置である場合の実施形態を説明する。
【0013】
注意喚起表示装置10は、自車両1に搭載されるものであり、画像を表示する表示部20と、表示部20が表示した画像をフロントウインドシールド2に映すことで運転者Eに虚像Vを視認させる投射部30と、表示部20が表示する画像を制御する表示制御部40と、から構成される。
【0014】
注意喚起表示装置10は、後述する対象物検出部100、視点位置検出部200、対象物距離検出部300、車両ECU400、通信部500などから各種情報を取得し、これら各種情報に基づき、表示部20が表示する画像を変化させることで、運転者Eが視認する虚像Vを変化させる。注意喚起表示装置10は、自車両1の前方の実景3中の特定の対象物Wに関連付けて虚像Vを表示することで、対象物Wの存在を強調し、対象物Wとの衝突を回避するような運転操作を促す。注意を喚起するために、虚像Vを関連付けて表示する実景3中の特定の対象物Wを、以下では、注意喚起対象物Wとも呼ぶ。なお、以下では、注意喚起対象物Wの存在に対して注意を促す虚像Vについて説明するが、注意喚起表示装置10は、自車両1の車両情報、経路案内などの虚像Vも表示してもよい。
【0015】
これより、自車両1に設けられる各種検出部100~500について説明する。なお、これから説明する各種検出部は、注意喚起表示装置10に設けられてもよい。また、各種検出部100~500は、自車両1または注意喚起表示装置10に取り外し可能に有線接続または無線接続されてもよい。具体的には、自車両1または注意喚起表示装置10に、センサユニットを有線接続または無線接続したり、各種検出部100~500と同様の機能を有する携帯端末を有線接続または無線接続したりしてもよい。
【0016】
対象物検出部100は、自車両1の前方の実景3中の注意喚起対象物Wの位置に関する情報を含む対象物情報を取得する。前記対象物情報とは、自車両1の前方の実景3のうち、虚像Vが表示されることで注意喚起される注意喚起対象物Wの位置情報を少なくとも含み、例えば、単数または複数のカメラ、赤外線センサ、LIDAR(Light Detection Ranging)などから得られる。注意喚起対象物Wは、例えば、路面上または付近に存在する障害物であり先行車両、歩行者、建造物などである。なお、対象物検出部100は、注意喚起対象物Wの位置に関する情報から自車両1と注意喚起対象物Wとの間の相対距離を測距可能に構成されてもよい。また、対象物検出部100は、注意喚起対象物Wの位置に関する情報の時間変化に基づき、自車両1と注意喚起対象物Wとの相対速度を検出可能に構成されてもよい。すなわち、対象物検出部100は、前記対象物情報、前記相対距離(相対情報)、前記相対速度(相対情報)を、注意喚起表示装置10のインターフェース42(情報入力部43)に出力する。
【0017】
視点位置検出部200は、運転者Eの視点位置に関する視点情報を取得する。前記視点情報とは、視認者の視点の上下方向(Y軸方向)の位置情報を少なくとも含み、左右方向(X軸方向)および奥行方向(Z軸方向)の位置情報を含んでいてもよく、例えば、カメラ、赤外カメラなどから得られる。注意喚起表示装置10は、対象物検出部100から得られる実景3中の注意喚起対象物Wの位置に関する前記対象物情報と、視点位置検出部200から得られる運転者Eの視点の位置に関する前記視点情報と、から虚像Vを表示する位置を調整することで、注意喚起対象物Wに対して虚像Vを位置精度よく表示することができる。なお、視点位置検出部200は、運転者Eの視点を直接的に検出するものではなく、例えば、鼻の位置、頭部の位置、座席の位置、座高の高さなどを検出し、運転者Eの視点の位置を推測する構成であってもよい。
【0018】
対象物距離検出部300は、自車両1と注意喚起対象物Wとの間の相対距離を測距する測距センサであり、例えば、測距カメラやレーダセンサ等によって構成される。対象物距離検出部300は、自車両1の前方に存在する複数の注意喚起対象物Wを個別に認識可能であり、自車両1と個々の注意喚起対象物Wとの距離を連続的または断続的に検出し、その時間差分などの比較により自車両1の速度を基準とした注意喚起対象物Wとの相対速度を算出することができる。すなわち、対象物距離検出部300は、自車両1と注意喚起対象物Wそれぞれとの相対距離、相対速度を含む相対情報を、注意喚起表示装置10のインターフェース42(情報入力部45)に出力する。
【0019】
車両ECU400は、自車両1に設けられたECUであり、自車両1の車速情報や自車両1の制動動作に関する制動情報を、注意喚起表示装置10のインターフェース42(情報入力部46)に出力する。なお、後述する表示制御部40は、車両ECU400から前記制動情報を入力する以外に、自車両1と注意喚起対象物Wとの相対距離が、一定または急激に増加した場合、自車両1が制動動作を行ったと判定することも可能である。
【0020】
通信部500は、車車間通信や路上の通信インフラと通信可能であり、車車間通信や路上の通信インフラを介して、注意喚起対象物Wの速度情報や、自車両1と注意喚起対象物Wとの相対距離またはその時間差分によって求める相対速度を含む相対情報、実景3における注意喚起対象物Wの位置に関する対象物情報などを、注意喚起表示装置10のインターフェース42(情報入力部47)に出力する。なお、後述する表示制御部40は、車両ECU400からの自車両1の車速情報と、通信部500からの注意喚起対象物Wの速度情報とに基づき、自車両1と注意喚起対象物Wとの相対速度を求めることも可能である。
【0021】
表示制御部40は、
図1に示されるように、表示部20が表示する前記画像を生成または調整する画像生成部41と、インターフェース42と、を含む。インターフェース42は、図示しない車載LANなどのネットワークを介して、対象物検出部100から注意喚起対象物Wの少なくとも位置に関する情報を含む対象物情報を主に入力する情報入力部43と、視点位置検出部200から運転者Eの視点位置に関する視点情報を主に入力する情報入力部44と、対象物距離検出部300から自車両1と注意喚起対象物Wとの相対距離または/および相対速度を含む相対情報を主に入力する情報入力部45と、車両ECU400から自車両1の車速情報や自車両1の制動動作に関する制動情報を主に入力する情報入力部46と、通信部500から注意喚起対象物Wの速度情報や、自車両1と注意喚起対象物Wとの相対距離、その時間差分によって求める相対速度を含む相対情報を入力する情報入力部47と、を有する。なお、インターフェース42は、これら各種情報をパラレル入力するのではなく、シリアル入力してもよい。すなわち、インターフェース42は、注意喚起対象物Wの少なくとも位置に関する情報を含む対象物情報を取得する対象物情報取得手段、注意喚起対象物Wと自車両1との相対速度および相対距離の少なくとも何れかを含む相対情報を取得可能な相対情報取得手段、自車両1の制動動作に関する制動情報を取得可能な制動情報取得手段、として機能する。
【0022】
通常、画像生成部41は、インターフェース42から入力した対象物情報及び視点情報に基づき、実景3中の注意喚起対象物Wに対して所定の位置関係を有する実景3中の基準実景位置3rに実質的に視認されるように虚像Vを表示する。所定の位置関係とは、注意喚起対象物Wに重畳して虚像Vが見える位置関係、虚像Vが注意喚起対象物Wから所定の距離だけ上下左右方向にオフセットされて虚像Vが見える位置関係、注意喚起対象物Wから所定の距離だけ実空間上の奥行方向にオフセットされた位置に虚像Vが見える位置関係、注意喚起対象物Wから所定の距離だけ実空間上の奥行方向にオフセットされたように虚像Vが実質的に見える位置関係、などを含む。
【0023】
表示制御部40は、注意喚起対象物Wと自車両1との相対速度が所定の閾値以上であったり、相対距離が所定の閾値以下であったりした場合、虚像Vを表示可能な虚像表示可能領域50における虚像Vを表示する位置を、通常の基準表示位置50rから補正表示位置50sに変更する『注意喚起表示処理』を実行する。
【0024】
表示制御部40は、実空間上で、補正表示位置50sを、基準表示位置50rの手前側(運転者E側)に配置することで、補正表示位置50sに表示される虚像Vを、基準表示位置50rに表示される虚像Vに比べて、近傍にあるように視認させることができる。また、表示制御部40は、運転者Eから見て、補正表示位置50sを、基準表示位置50rの鉛直方向下側に配置することで、補正表示位置50sに表示される虚像Vを、基準表示位置50rに表示される虚像Vに比べて、実質的に近傍にあるように運転者Eに認識させることができる。なお、以下では、補正表示位置50sに表示される虚像Vは、基準表示位置50rに表示される虚像Vに比べて、運転者Eから見て、近傍に表示されているように認識されるため、補正表示位置50sに表示される虚像Vを、近傍虚像Vsとも呼ぶ。具体的に、近傍虚像Vsが表示される様子を、
図2A,
図2B、
図2Cを用いて説明する。
【0025】
図2Aは、注意喚起表示装置10が虚像Vを表示可能な虚像表示可能領域50が、近傍から遠方にかけて延びた面状の第1虚像表示可能領域51である場合の例を示す。この場合、表示制御部40は、第1虚像表示可能領域51内で、虚像Vを表示する位置を、運転者Eから見た奥行き方向、および左右方向に調整することができる。表示制御部40は、通常、注意喚起対象物Wから運転者E側に基準距離Drだけ近づいた第1虚像表示可能領域51内の第1基準表示位置51rに虚像Vを表示し、注意喚起表示処理実行時には、注意喚起対象物Wから運転者E側に通常の基準距離Drより長い設定距離Dsだけ近付いた第1虚像表示可能領域51内の第1補正表示位置51sに近傍虚像Vsを表示する。これにより、虚像Vが表示される実空間上の奥行方向の位置が、通常の基準実景位置3rよりも運転者E側に近い補正実景位置3sとなるため、虚像V(近傍虚像Vs)をより運転者Eの近傍に視認させることができる。
【0026】
図2Bは、注意喚起表示装置10が虚像Vを表示可能な虚像表示可能領域50が、近傍から遠方にかけて延びた立体状の第2虚像表示可能領域52である場合の例を示す。この場合、表示制御部40は、第2虚像表示可能領域52内で、虚像Vを表示する位置を、運転者Eから見た奥行き方向、上下方向および左右方向に調整することができる。表示制御部40は、通常、注意喚起対象物Wから運転者E側に基準設定距離Drだけ近づいた第2虚像表示可能領域52内の第2基準表示位置52rに虚像Vを表示し、注意喚起表示処理実行時には、注意喚起対象物Wから運転者E側に通常の基準距離Drより長い設定距離Dsだけ近付いた第2虚像表示可能領域52内の第2補正表示位置52sに近傍虚像Vsを表示する。これにより、虚像Vが表示される実空間上の奥行方向の位置が、通常の基準実景位置3rよりも運転者E側に近い補正実景位置3sとなるため、虚像V(近傍虚像Vs)をより運転者Eの近傍に視認させることができる。
【0027】
図2Cは、注意喚起表示装置10が虚像Vを表示可能な虚像表示可能領域50が、上下左右方向に延びた面状の第3虚像表示可能領域53である場合の例を示す。この場合、表示制御部40は、第3虚像表示可能領域53内で、虚像Vを表示する位置を、運転者Eから見た上下方向および左右方向に調整することができる。表示制御部40は、通常、第3虚像表示可能領域53内の第3基準表示位置53rに虚像Vを表示し、注意喚起表示処理実行時には、第3虚像表示可能領域53内の第3基準表示位置53rより鉛直方向下側に位置する第3補正表示位置53sに近傍虚像Vsを表示する。これにより、虚像Vが重畳して視認される実景3の位置が、通常の基準実景位置3rよりも運転者E側に近い補正実景位置3sとなるため、虚像V(近傍虚像Vs)を運転者Eの近傍にあるように認識させることができる。
【0028】
図3は、自車両1と注意喚起対象物Wとの相対速度と、通常の基準表示位置50rから補正表示位置50sへの変化量との関係を示す図である。表示制御部40は、例えば、前記相対速度が、第1閾値TH1未満である場合、注意喚起対象物Wに関連付けた虚像Vを表示せず、第1閾値TH1以上かつ第2閾値TH2未満である場合、前記相対速度の増加に依らず、虚像Vを基準表示位置50rに表示し続ける。さらに、表示制御部40は、前記相対速度が第2閾値TH2以上である場合、前記相対速度の増加に基づき、補正表示位置50sを基準表示位置50rから離していき、前記相対速度が第3閾値TH3以上である場合、補正表示位置50sを保持する。
【0029】
以上に説明したように、本実施形態の第1の態様の注意喚起表示装置10は、車両前方の実景3中の注意喚起対象物Wに関連付けた虚像Vを表示する注意喚起表示装置であって、注意喚起対象物Wの少なくとも位置に関する情報を含む対象物情報を取得する情報入力部43(47)と、注意喚起対象物Wと自車両1との相対速度および相対距離の少なくとも何れかを含む相対情報を取得可能な情報入力部43(45,46,47)と、少なくとも情報入力部43(45,46,47)で取得された前記相対情報に基づいて、情報入力部43(45,46,47)で取得した注意喚起対象物Wの位置に応じて決定される虚像Vを表示する通常の位置である基準表示位置50rより鉛直方向下側または/および奥行き方向の手前側に補正表示位置50sを設定し、補正表示位置50sに近傍虚像Vsを表示する表示制御部40と、を備える。これにより、運転者に注意喚起する近傍虚像Vsが、注意喚起対象物Wよりも手前側(運転者側)にあるように視認されるため、運転者に早めの運転操作あるいは充分な操作量の運転操作を促すことができ、前方障害物(注意喚起対象物W)との衝突を防止することができる。
【0030】
また、表示制御部40は、補正表示位置50sを連続的に更新してもよい。これにより、自車両1と実景3中の注意喚起対象物Wとの相対速度の変化または相対距離の変化に応じて、随時、近傍虚像Vsの表示位置が更新されるため、近傍虚像Vsの表示位置を確認しながら、適切に運転操作を調整することができる。
【0031】
また、表示制御部40は、補正表示位置50sを所定時間毎に更新し、前記所定時間における前記相対速度の極大値または前記相対距離の極小値に基づいて補正表示位置50sを決定してもよい。例えば、表示制御部40は、所定時間における相対速度を複数回受信し、これら複数の相対速度の極大値に基づき、近傍虚像Vsを表示する補正表示位置50sを決定してもよい。これにより、自車両1と実景3中の注意喚起対象物Wとの相対速度の連続的な変化または相対距離の連続的な変化に応じて、近傍虚像Vsの表示位置(補正表示位置50s)が頻繁に更新されるのを抑制し、運転者Eの集中力を妨げにくく、かつ、近傍虚像Vsの表示により、運転者に早めの運転操作あるいは充分な操作量の運転操作を促すことができる。
【0032】
また、表示制御部40は、実質的に、注意喚起対象物Wから設定距離Dだけ離れた前記実景中の補正実景位置3sに近傍虚像Vsが視認されるように、補正表示位置50sを調整し、前記相対情報に応じて、設定距離Dを変えることが好ましい。これにより、補正表示位置50sに表示される近傍虚像Vsは、実景3の実空間上の注意喚起対象物Wから設定距離Dだけ離れた特定の位置(補正実景位置3s)に存在するかのように、より立体的に認識させることができる。
【0033】
また、自車両1の制動動作に関する制動情報を取得可能な情報入力部46(制動情報取得手段)をさらに備え、表示制御部40は、情報入力部46から取得した制動情報に基づき、自車両1の制動動作を検出した場合、設定距離Dを固定してもよい。具体的には、表示制御部40は、自車両1の制動動作を検出した場合、設定距離Dを最新の(制動動作を検出した際の)設定距離Dに固定し、実質的に、注意喚起対象物Wから設定距離Dだけ離れた位置に近傍虚像Vsが視認され続けるように、近傍虚像Vsが表示される補正表示位置50sを連続的に更新する。このように、自車両1の制動動作がされた際、注意喚起対象物Wと視認される近傍虚像Vsとの距離感が固定されるので、運転者Eは、近傍虚像Vsを基準に制動動作を調整することができる。なお、自車両1の制動動作が開始された(終了した)後の所定時間経過後、表示制御部40は、現在の(最新の)相対情報に応じて、補正表示位置50sを更新する。
【0034】
また、表示制御部40は、
図4のように、実質的に、注意喚起対象物Wと近傍虚像Vsとの間に存在するように視認される位置に、1以上の中間虚像Vmを表示してもよい。これにより、注意喚起対象物Wと近傍虚像Vsとの距離差を、運転者Eにより認識させることができる。言い換えれば、近傍虚像Vsが、運転者E側に実質的に表示されていることを、より印象づけることができる。
【0035】
また、表示制御部40は、前記相対情報に応じて、表示する中間虚像Vmの数を増加させてもよい。具体的には、表示制御部40は、前記相対情報に応じて決定される、近傍虚像Vsが注意喚起対象物Wから離れて実質的に視認される設定距離Dの増加に伴い、中間虚像Vmの数を増加させてもよい。中間虚像Vmを増減させることで、注意喚起対象物Wと近傍虚像Vsとの距離差の増減を、運転者Eによりわかりやすく認識させることができる。
【0036】
また、表示制御部40は、
図4に示されるように、中間虚像Vmと近傍虚像Vsとを、略同じ形状、かつ異なる表示態様で表示してもよい。中間虚像Vmと近傍虚像Vsとを同じ形状にすることで、中間虚像Vmと近傍虚像Vsとが、同じ注意喚起対象物Wに対して表示されていることを運転者Eに認識させることができる。また、中間虚像Vmと近傍虚像Vsとを異なる表示態様とすることで、近傍虚像Vsを、中間虚像Vmと区別しやすくし、近傍虚像Vsに注意を向けやすくすることができる。
【0037】
また、表示制御部40は、
図4に示されるように、中間虚像Vmを、近傍虚像Vsより大きく視認されるように表示してもよい。これによっても、近傍虚像Vsを、中間虚像Vmと区別しやすくすることができる。
【0038】
また、表示制御部40は、自車両1が注意喚起対象物Wに近づくにつれ、近傍虚像Vs、中間虚像Vmの順に自車両1に近い虚像から順に非表示にしていく、または視認性を低下させていってもよい。これにより、近傍虚像Vsが中間虚像Vmよりも運転者Eの近傍に表示されていることをより運転者Eに印象づけることができる。
【0039】
また、表示制御部40は、所定の時間以上、前記相対速度が低下しないまたは前記相対距離が増加しない場合、補正表示位置50sを、さらに鉛直方向下側または/および奥行き方向の手前側に調整してもよい。これにより、運転操作の改善が所定時間ない場合、補正表示位置50sに表示される近傍虚像Vsが、さらに運転者Eの近くに視認されるため、運転者Eに、運転操作の改善を促すことができる。
【0040】
また、表示制御部40は、上述したように、前記相対速度が、前記相対速度の上昇に依らず補正表示位置50sを保持する第3閾値TH3以上であり、前記所定の時間以上経過した場合、近傍虚像Vsを点滅させ、さらに強く運転者Eに対して注意喚起してもよい。
【0041】
なお、表示制御部40は、
図5に示すように、近傍虚像Vsの近くに、近傍虚像Vsが表示される位置あるいは近傍虚像Vsが関連付けられている位置から自車両1までの距離を虚像Vs1として表示してもよい。これにより、近傍虚像Vsとの距離が明確になり、自車両1と近傍虚像Vsとの距離に基づいて、運転者に早めの運転操作あるいは充分な操作量の運転操作を促すことができる。
【0042】
なお、本発明は、以上の実施形態によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 :自車両
2 :フロントウインドシールド(透過反射部)
3 :実景
3r :基準実景位置
3s :補正実景位置
10 :注意喚起表示装置
20 :表示部
30 :投射部
40 :表示制御部
41 :画像生成部
42 :インターフェース(対象物情報取得手段、相対情報取得手段、制動情報取得手段)
43,44,45,46,47 :情報入力部(対象物情報取得手段、相対情報取得手段、制動情報取得手段)
50 :虚像表示可能領域
50r :基準表示位置
50s :補正表示位置
51 :第1虚像表示可能領域
51r :第1基準表示位置
51s :第1補正表示位置
52 :第2虚像表示可能領域
52r :第2基準表示位置
52s :第2補正表示位置
53 :第3虚像表示可能領域
53r :第3基準表示位置
53s :第3補正表示位置
100 :対象物検出部
200 :視点位置検出部
300 :対象物距離検出部
400 :車両ECU
500 :通信部
D :設定距離
Dr :基準距離
E :運転者
V :虚像
Vm :中間虚像
Vs :近傍虚像
W :注意喚起対象物