(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】木質系建築材料の製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
B27D 1/04 20060101AFI20220317BHJP
【FI】
B27D1/04 B
(21)【出願番号】P 2017148761
(22)【出願日】2017-08-01
【審査請求日】2020-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510285425
【氏名又は名称】テクノエフアンドシー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592070568
【氏名又は名称】内外工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】関口 洋嗣
(72)【発明者】
【氏名】尾川 雅尚
(72)【発明者】
【氏名】三浦 公司
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-074863(JP,A)
【文献】特開2005-297492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27D 1/04
E04C 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下層板材と、中層板材と、上層板材とが下流側に移送されながら、互いに重ねられて貼り合わされてなる木質系建築材料の製造装置であって、
別々に移送された、上向き面に接着剤が付着した状態の前記下層板材と、上向き面と下向き面に硬化促進剤が付着した状態の前記中層板材と、上向き面に接着剤が付着した状態の前記上層板材と、が重ねられる積載作業領域と、
前記積載作業領域の下流側に隣接し、互いに重ねられた前記下層板材と前記中層板材と前記上層板材とが圧縮されるプレス作業部と、
前記積載作業領域を通過するとともに、そのルート上に前記プレス作業部が設けられ、かつ前記積載作業領域に含まれる箇所が前記下層板材を一時的に留め置くスペースとされたメイン移送部と、
前記メイン移送部と平行するとともに前記積載作業領域まで続くように設けられた平行サブ移送部と、
前記メイン移送部から分岐するとともに前記積載作業領域まで続くように設けられた分岐サブ移送部と、を備えており、
前記積載作業領域には、
前記中層板材を、前記下層板材の上に移動させて重ねる移動積載手段と、
前記上層板材を、前記下層板材に重ねられた前記中層板材の上に上下反転移動させて重ねる反転積載手段と、が設けられ
ており、
前記平行サブ移送部には、前記積載作業領域に含まれる箇所に前記移動積載手段が設けられており、
前記分岐サブ移送部には、前記積載作業領域に含まれる箇所に前記反転積載手段が設けられており、
前記メイン移送部は、複数の板材が互いに重ねられて貼り合わされてなる複数層の木質系建築材料を、前記下層板材の代わりに当該メイン移送部に対して投入する第三投入手段を有することを特徴とする木質系建築材料の製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の木質系建築材料の製造装置において、
前記メイン移送部は、当該メイン移送部に対して前記下層板材と前記上層板材を順次投入する第一投入手段を有しており、
前記平行サブ移送部は、当該平行サブ移送部に対して前記中層板材を投入する第二投入手段を有することを特徴とする木質系建築材料の製造装置。
【請求項3】
請求項
1または2に記載の木質系建築材料の製造装置において、
前記下層板材と前記上層板材には同じ繊維方向の木材が材料として使用され、前記中層板材には、前記下層板材および前記上層板材と交差する繊維方向の木材が材料として使用されていることを特徴とする木質系建築材料の製造装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の木質系建築材料の製造装置を用い、前記下層板材と、
前記中層板材と、
前記上層板材とを移送しながら、互いに重ねて貼り合わせる木質系建築材料の製造方法であって、
上向き面に接着剤が付着した状態の前記下層板材と、上向き面と下向き面に硬化促進剤が付着した状態の前記中層板材と、上向き面に接着剤が付着した状態の前記上層板材と、を
前記積載作業領域に別々に移送する工程と、
前記積載作業領域に移送された前記中層板材を、前記積載作業領域に移送された前記下層板材の上に移動させて重ねる工程と、
前記積載作業領域に移送された前記上層板材を、前記下層板材に重ねられた前記中層板材の上に上下反転移動させて重ねる工程と、
互いに重ねられた前記下層板材と前記中層板材と前記上層板材とを、前記積載作業領域に隣接する
前記プレス作業部に移送して当該プレス作業部で圧縮する工程と、を含むことを特徴とする木質系建築材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質系建築材料の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木材から製造された木質系建築材料として、例えばCLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)や集成材、合板、LVL(Laminated Veneer Lumber:単板積層材)等が知られている(例えば特許文献1,2参照)。
これらの木質系建築材料は、複数の板材同士が重ねられ、接着剤によって貼り合わされることにより製造されている。また、木質系建築材料を製造するに当たっては、複数の板材同士を接着する接着剤として瞬間接着剤と硬化促進剤とが用いられ、極力短時間で接着する方法が採られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-086517号公報
【文献】特開2016-030445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の板材同士を接着剤によって貼り合わせる場合、まずは一枚の板材と他の一枚の板材とを接着した後に、当該二枚分の板材と他の一枚の板材とを接着し、その後プレス機で圧縮する方法が採られていた。しかしながら、このような手順で木質系建築材料を製造すると、出来上がるまでに時間がかかるだけでなく、プレス機で圧縮する前に接着剤の硬化が始まり、品質の向上を図ることが難しい場合があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、品質に優れた木質系建築材料を短時間で製造できる木質系建築材料の製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば
図1~
図4に示すように、下層板材2と、中層板材3と、上層板材4とが下流側に移送されながら、互いに重ねられて貼り合わされてなる木質系建築材料1(100)の製造装置Lであって、
別々に移送された、上向き面に接着剤が付着した状態の前記下層板材2と、上向き面と下向き面に硬化促進剤が付着した状態の前記中層板材3と、上向き面に接着剤が付着した状態の前記上層板材4と、が重ねられる積載作業領域Aと、
前記積載作業領域Aの下流側に隣接し、互いに重ねられた前記下層板材2と前記中層板材3と前記上層板材4とが圧縮されるプレス作業部13と、
前記積載作業領域Aを通過するとともに、そのルート上に前記プレス作業部13が設けられ、かつ前記積載作業領域Aに含まれる箇所が前記下層板材2を一時的に留め置くスペースとされたメイン移送部10と、
前記メイン移送部10と平行するとともに前記積載作業領域Aまで続くように設けられた平行サブ移送部20と、
前記メイン移送部10から分岐するとともに前記積載作業領域Aまで続くように設けられた分岐サブ移送部30と、を備えており、
前記積載作業領域Aには、
前記中層板材3を、前記下層板材2の上に移動させて重ねる移動積載手段22と、
前記上層板材4を、前記下層板材2に重ねられた前記中層板材3の上に上下反転移動させて重ねる反転積載手段32と、が設けられ
ており、
前記平行サブ移送部20には、前記積載作業領域Aに含まれる箇所に前記移動積載手段22が設けられており、
前記分岐サブ移送部30には、前記積載作業領域Aに含まれる箇所に前記反転積載手段32が設けられており、
前記メイン移送部10は、複数の板材(例えば下層板材2と中層板材3と上層板材4)が互いに重ねられて貼り合わされてなる複数層の木質系建築材料(例えば木質系建築材料1)を、前記下層板材2の代わりに当該メイン移送部10に対して投入する第三投入手段15を有することを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、積載作業領域Aに別々に移送された、上向き面に接着剤が付着した状態の下層板材2と、上向き面と下向き面に硬化促進剤が付着した状態の中層板材3と、上向き面に接着剤が付着した状態の上層板材4が、移動積載手段22と反転積載手段32とを用いて同じ場所(すなわち、積載作業領域A)で重ねられるので、下層板材2と中層板材3と上層板材4を短時間で重ねてプレス作業部13へと移送することができる。
また、短時間で重ねられた下層板材2と中層板材3と上層板材4を、積載作業領域Aの下流側に隣接するプレス作業部13で圧縮することができるので、接着剤の硬化が進む前に、下層板材2と中層板材3と上層板材4を圧縮できるようになる。
これによって、品質に優れた木質系建築材料1を短時間で製造できる。
さらに、下層板材2と中層板材3と上層板材4とを重ねる作業を同じ場所で行うことができるとともに、積載作業領域Aで作業を行った直後にプレス作業部13でプレス作業を行うことができるような構成であるため、装置Lの大型化を防ぐことができる。
【0009】
また、積載作業領域Aを通過するメイン移送部10と、メイン移送部10と平行する平行サブ移送部20と、メイン移送部10から分岐する分岐サブ移送部30と、を備えるので、下層板材2と中層板材3と上層板材4を、積載作業領域Aまで別々に移送することができる。また、下層板材2と中層板材3と上層板材4を別々に移送できれば、投入や移送のタイミングを調整することにより、下層板材2と中層板材3と上層板材4を効率よく移送でき、木質系建築材料1(100)を短時間で製造することが可能となる。
さらに、メイン移送部10が、複数の板材(例えば下層板材2と中層板材3と上層板材4)が互いに重ねられて貼り合わされてなる複数層の木質系建築材料(例えば木質系建築材料1)を、下層板材2の代わりに当該メイン移送部10に対して投入する第三投入手段15を有するので、この第三投入手段15から投入された木質系建築材料の上に中層板材3と上層板材4を重ねて接着することができる。これにより、板材が三層を超えて積層する木質系建築材料100を製造することができる。
【0010】
請求項
2に記載の発明は、例えば
図1~
図4に示すように、請求項
1に記載の木質系建築材料1(100)の製造装置Lにおいて、
前記メイン移送部10は、当該メイン移送部10に対して前記下層板材2と前記上層板材4を順次投入する第一投入手段11を有しており、
前記平行サブ移送部20は、当該平行サブ移送部20に対して前記中層板材3を投入する第二投入手段21を有することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、下層板材2と上層板材4が第一投入手段11から投入され、中層板材3が第二投入手段21から投入されるため、これら各板材2,3,4は別々に移送されることになり、積載作業領域Aに移送されて下層板材2と中層板材3と上層板材4が重ねられるまでに接着剤と硬化促進剤とが接触しないようにすることができる。
また、下層板材2と上層板材4が同じ第一投入手段11から投入されるため、下層板材2専用の投入手段と上層板材4専用の投入手段を別個に用意する必要が無い。これにより、装置Lの大型化を防ぐことができるとともにコストの低減を図ることができる。
【0014】
請求項
3に記載の発明は、例えば
図3,
図4に示すように、請求項1
または2に記載の木質系建築材料1(100)の製造装置Lにおいて、
前記下層板材2と前記上層板材4には同じ繊維方向の木材が材料として使用され、前記中層板材3には、前記下層板材2および前記上層板材4と交差する繊維方向の木材が材料として使用されていることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、下層板材2と上層板材4には同じ繊維方向の木材(複数の材料用板2a,4a)が材料として使用され、中層板材3には、下層板材2および上層板材4と交差する繊維方向の木材(複数の材料用板3a)が材料として使用されているので、積載作業領域Aでこれらの材料を重ねてプレス作業部13でプレス作業を行うだけで、繊維直交タイプの木質系建築材料1(100)を容易に製造することができる。
【0016】
請求項
4に記載の発明は、例えば
図1~
図5に示すように、
請求項1から3のいずれか一項に記載の木質系建築材料の製造装置を用い、前記下層板材2と、
前記中層板材3と、
前記上層板材4とを移送しながら、互いに重ねて貼り合わせる木質系建築材料1(100)の製造方法であって、
上向き面に接着剤が付着した状態の前記下層板材2と、上向き面と下向き面に硬化促進剤が付着した状態の前記中層板材3と、上向き面に接着剤が付着した状態の前記上層板材4と、を
前記積載作業領域Aに別々に移送する工程と、
前記積載作業領域Aに移送された前記中層板材3を、前記積載作業領域Aに移送された前記下層板材2の上に移動させて重ねる工程と、
前記積載作業領域Aに移送された前記上層板材4を、前記下層板材2に重ねられた前記中層板材3の上に上下反転移動させて重ねる工程と、
互いに重ねられた前記下層板材2と前記中層板材3と前記上層板材4とを、前記積載作業領域Aに隣接する
前記プレス作業部13に移送して当該プレス作業部13で圧縮する工程と、を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、上向き面に接着剤が付着した状態の下層板材2と、上向き面と下向き面に硬化促進剤が付着した状態の中層板材3と、上向き面に接着剤が付着した状態の上層板材4とを積載作業領域Aに別々に移送し、同じ場所(すなわち、積載作業領域A)で重ねるので、下層板材2と中層板材3と上層板材4を短時間で重ねてプレス作業部13へと移送することができる。
また、下層板材2と中層板材3と上層板材4を短時間で重ねた直後に、積載作業領域Aに隣接するプレス作業部13で圧縮することができるので、接着剤の硬化が進む前に、下層板材2と中層板材3と上層板材4を圧縮できる。
これによって、品質に優れた木質系建築材料を短時間で製造できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、品質に優れた木質系建築材料を短時間で製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】木質系建築材料の製造装置を示す平面図である。
【
図2】下層板材と中層板材と上層板材が載せられた状態の木質系建築材料の製造装置を示す平面図である。
【
図3】三層構造の木質系建築材料を示す分解斜視図である。
【
図4】五層構造の木質系建築材料を示す分解斜視図である。
【
図5】木質系建築材料の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
【0021】
図3において符号1は、木質系建築材料を示す。この木質系建築材料1は、下層板材2と、中層板材3と、上層板材4とが互いに重ねられて貼り合わされて形成されるものであり、住宅等の建築材料として利用されている。
図3に示す木質系建築材料1は、三層構造となっているが、
図4に示す木質系建築材料100のように、三層を超える層構造であってもよい。
図4に示す木質系建築材料100は、五層構造となっている。この木質系建築材料100は、三層構造の木質系建築材料1に対して中層板材3と上層板材4が重ねられて貼り合わされたものである。
木質系建築材料1(100)としては、例えばCLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)や集成材、合板、LVL(Laminated Veneer Lumber:単板積層材)が挙げられる。本実施形態における木質系建築材料1(100)は、CLTである。
【0022】
下層板材2と中層板材3と上層板材4は、複数の材料用板2a,3a,4aが並べられて、木質系建築材料1(100)における層を成すように形成されたものである。本実施形態における木質系建築材料1(100)はCLTであるため、材料用板2a,3a,4aとしては、挽き板が用いられている。
また、材料用板2a,4aは、木質系建築材料1の長さ方向に沿って長く形成されており、強軸材とも呼ばれている。さらに、材料用板3aは、木質系建築材料1の長さ方向と直交する幅方向に沿って長く形成されており、弱軸材とも呼ばれている。
なお、本実施形態では、下層板材2を構成する複数の材料用板2a同士、中層板材3を構成する複数の材料用板3a同士、上層板材4を構成する複数の材料用板4a同士は、特に接合されてはおらず、並べられた状態で製造装置Lに投入される。ただし、これに限られるものではなく、予め接合された状態で製造装置Lに投入されてもよい。
【0023】
材料用板2a,3a,4aは、12mm~50mmの範囲で、かつ、木質系建築材料1(100)における層ごとに均等な厚さに設定されている。すなわち、下層板材2と中層板材3と上層板材4は、それぞれ異なる厚さの層となるように形成されてもよいし、略等しい厚さの層となるように形成されてもよい。本実施形態における下層板材2と中層板材3と上層板材4は、略等しい厚さの層となるように形成されている。
また、材料用板2a,3a,4aの幅寸法(長さ方向および厚さ方向と直交する方向の寸法)は、一本一本が略等しくなるように設定されている。ただし、これに限られるものではなく、材料用板2a,3a,4aの幅寸法は一様でなくてもよい。すなわち、幅寸法は、木質系建築材料1(100)全体の長さ寸法と幅寸法に合わせて、それぞれ異なる幅寸法に設定されていてもよい。
【0024】
また、本実施形態における木質系建築材料1(100)はCLTであるため、下層板材2と上層板材4には同じ繊維方向の材料用板2a,4aが材料として使用され、中層板材3には、下層板材2および上層板材4と交差する繊維方向の材料用板3aが材料として使用されている。また、材料用板2a,3a,4aの長さ方向と繊維方向は揃った状態となっている。
【0025】
下層板材2と上層板材4は、木質系建築材料1(100)の製造装置Lに投入された後に、その上向き面に対して接着剤が塗布される。
また、中層板材3は、木質系建築材料1(100)の製造装置Lに投入される前に、その上向き面と下向き面に対して硬化促進剤が塗布される。製造装置Lに投入される時点で硬化促進剤は乾燥した状態となっており、硬化促進剤が製造装置Lに対して付着することはない。
下層板材2と中層板材3と上層板材4は、接着剤と硬化促進剤との作用により極めて短時間で強固に接着されることとなる。
【0026】
このように構成された木質系建築材料1(100)は、例えば合板等に比して厚みのある製品であることから、高い断熱性や遮音性、耐火性を有しており、さらに木質材料に特有の反りや伸縮もしにくくなっている。そのため、通常の戸建て住宅はもちろんのこと、例えば中高層の集合住宅を始めとする比較的規模の大きい様々な建物の建築にも利用することができる。
なお、本実施形態における木質系建築材料1(100)は平面視において矩形状に形成されているが、平面視正方形に形成されてもよい。また、矩形状や正方形に形成された木質系建築材料1(100)を任意の形状にカットして建物の建築に用いてもよい。さらに、木質系建築材料1(100)を柱や梁のような長尺物として製造して建物の建築に用いてもよい。
【0027】
図1は、以上のように構成された木質系建築材料1(100)を製造する装置L(製造ライン)を示すものであり、
図2は、その製造装置Lに下層板材2と中層板材3と上層板材4が載せられた状態を示すものである。そして、図中に表示された矢印Yの方向に沿って各板材2,3,4を移送しながら互いに重ねて貼り合わせる作業が行われるようになっている。矢印Yの先端方向がラインの下流側であり、その反対が上流側となっている。
このような製造装置Lは、メイン移送部10と、平行サブ移送部20と、分岐サブ移送部30と、これらの各移送部10,20,30が含まれる位置であって、かつ下層板材2と中層板材3と上層板材4の積載作業が行われる積載作業領域Aと、を備える。
【0028】
積載作業領域Aは、メイン移送部10の途中箇所と、平行サブ移送部20および分岐サブ移送部30それぞれの最下流側の箇所とを含んだ領域を指している。
【0029】
メイン移送部10は、装置L全体の上流側から下流側にかけて、かつ積載作業領域Aを通過するようにして設けられており、ベルトコンベアやローラコンベア等の運搬用装置が採用されている。この運搬用装置は動力源を有する駆動コンベアであり、載せられた各板材2,4(材料用板2a,4a)を自動で下流に向かって移送することができる。
このメイン移送部10は、第一投入装置11と、接着剤塗布装置12と、プレス装置13と、積み取り装置14と、第三投入装置15と、を有する。
【0030】
第一投入装置11は、下層板材2と上層板材4をメイン移送部10に順次投入するための手段であり、メイン移送部10の上流側に配置され、かつメイン移送部10のルート外部からメイン移送部10にかけて設けられている。
木質系建築材料1を製造するに当たっては、上層板材4が先に投入され、下層板材2が後から投入される。換言すれば、先に投入されたものが上層板材4であり、後から投入されたものが下層板材2である。つまり、下層板材2と上層板材4のサイズ(材料用板2aと材料用板4aのサイズ)が略等しく設定されていれば、下層板材2と上層板材4の区別なく、第一投入装置11に材料用板2a,4aを用意しておくことができ、順次投入していくことができる。
なお、この第一投入装置11から投入された複数の材料用板2aは並べられた状態で下層板材2として下流側へ移送される。複数の材料用板4aも同様に、並べられた状態で上層板材4として下流側へ移送される。
【0031】
接着剤塗布装置12は、メイン移送部10のルート上において第一投入装置11の下流側に配置されており、第一投入装置11から投入されて当該接着剤塗布装置12を通過する下層板材2(複数の材料用板2a)および上層板材4(複数の材料用板4a)の上向き面に接着剤を塗布するものである。
なお、この接着剤塗布装置12による接着剤の塗布は、筋状に流下塗布する場合や、刷毛やブラシ、ヘラ等のアタッチメントにより直接的に塗り付ける場合、吹き付ける場合等を含むものとする。また、接着剤塗布装置12によって塗布される接着剤は瞬間接着剤である。
【0032】
プレス装置13は、メイン移送部10のルート上において積載作業領域Aの下流側に隣接して配置されており、積載作業領域Aで互いに重ねられた下層板材2と中層板材3と上層板材4のプレス作業を行うものである。プレス装置13によって高圧のプレス作業を行うことで接着剤と硬化促進剤とが混合され、その分だけ早く接着することができる。
なお、プレス装置13は、メイン移送部10のルート上に配置されてはいるものの、メイン移送部10を構成する駆動コンベアからは独立した状態で設置されている。そのため、プレス装置13で下層板材2と中層板材3と上層板材4のプレス作業を行いながら、次に製造される木質系建築材料1の下層板材2と中層板材3と上層板材4の移送・積載作業を行うことができる。すなわち、木質系建築材料1の連続生産が可能となっている。
【0033】
積み取り装置14は、プレス装置13の下流側に隣接し、かつメイン移送部10のルートからルート外部にかけて配置されている。この積み取り装置14によって、プレス装置13で圧縮された下層板材2と中層板材3と上層板材4からなる木質系建築材料1を、メイン移送部10のルートから外して、図示しない台車や運搬用パレット等の上に積み重ねることができる。
【0034】
第三投入装置15は、三層を超える層構造の木質系建築材料(例えば木質系建築材料100)を製造する場合に用いられる手段である。本実施形態においては、下層板材2と中層板材3と上層板材4が互いに重ねられて貼り合わされてなる三層構造の木質系建築材料1を、下層板材2の代わりに、下層板材としてメイン移送部10に対して投入することができる。また、このような第三投入装置15は、メイン移送部10の、第一投入装置11よりも上流側に配置され、かつメイン移送部10のルート外部からメイン移送部10にかけて設けられている。
なお、第三投入装置15から複数層の木質系建築材料1が下層板材としてメイン移送部10に投入される場合、第一投入装置11からは上層板材4のみが先に投入される。
【0035】
平行サブ移送部20は、中層板材3を移送するものであり、メイン移送部10と平行するとともに積載作業領域Aまで続くように設けられている。また、この平行サブ移送部20には、メイン移送部10と同様に、自動式の、ベルトコンベアやローラコンベア等の運搬用装置が採用されている。
このような平行サブ移送部20は、当該平行サブ移送部20に対して中層板材3を投入する第二投入装置21と、積載作業領域Aに含まれる箇所に設けられた移動積載装置22と、を有する。
【0036】
第二投入装置21は、平行サブ移送部20に対して中層板材3を投入するための手段であり、平行サブ移送部20の上流側に配置され、かつ平行サブ移送部20のルート外部から平行サブ移送部20にかけて設けられている。
なお、平行サブ移送部20に投入される中層板材3は、それ以前に硬化促進剤が塗布され、かつ乾燥された状態となっている。
また、この第二投入装置21から投入された複数の材料用板3aは並べられた状態で中層板材3として下流側へ移送される。
【0037】
移動積載装置22は、中層板材3を平行サブ移送部20からメイン移送部10へと移動させて、下層板材2の上に重ねるための手段であり、平行サブ移送部20の最下流側に設けられている。
移動積載装置22は、中層板材3を構成する複数の材料用板3aをいっぺんに挟み込んで保持することが可能な保持手段としてクランプ部22aを備える。すなわち、このクランプ部22aは、中層板材3の長さ方向に沿って長尺に形成されるとともに、中層板材3を構成する複数の材料用板3aにおける長さ方向一端部側と他端部側とに配置されており、並べられた状態で移送されてきた複数の材料用板3aを同時に挟むことができるようになっている。
また、この移動積載装置22は、図示しないクランプ部移動手段を備えており、クランプ部22aによって挟み込まれた複数の材料用板3aを、メイン移送部10に移送された下層板材2の上まで移動させることができる。下層板材2の上まで移動した複数の材料用板3aは、クランプ部22aによる挟み込みを解除することで、下層板材2の上に重ねられることになる。
なお、本実施形態における移動積載装置22は、複数の材料用板3aをいっぺんに保持する保持手段としてクランプ部22aを備えるものとしたが、これに代えて、例えば複数の材料用板3aに吸着する吸盤等のような他の保持手段を採用してもよい。
【0038】
分岐サブ移送部30は、メイン移送部10から分岐して上層板材4を移送するものであり、メイン移送部10から分岐した先の部分は、メイン移送部10と平行するとともに積載作業領域Aまで続くように設けられている。また、この分岐サブ移送部30には、メイン移送部10と同様に、自動式の、ベルトコンベアやローラコンベア等の運搬用装置が採用されている。
このような分岐サブ移送部30は、メイン移送部10から当該分岐サブ移送部30に向かって上層板材4を移動させる分岐移動装置31と、積載作業領域Aに含まれる箇所に設けられた反転積載装置32と、を有する。
【0039】
分岐移動装置31は、メイン移送部10における接着剤塗布装置12の下流側から分岐サブ移送部30の上流側にかけて設けられており、接着剤塗布装置12によって接着剤が塗布された後の上層板材4を分岐サブ移送部30へと移動させることができる。
この分岐移動装置31には、分岐サブ移送部30と同様に自動式の、ベルトコンベアやローラコンベア等の運搬用装置が採用されている。
また、図示はしないが、この分岐移動装置31は、下層板材2と上層板材4とを仕分けて、かつ上層板材4をメイン移送部10から当該分岐移動装置31へと載せる仕分け手段を備えるものとする。
【0040】
反転積載装置32は、上層板材4を分岐サブ移送部30からメイン移送部10へと上下反転させながら移動させて、下層板材2に重ねられた中層板材3の上に重ねるための手段であり、分岐サブ移送部30の最下流側に設けられている。
反転積載装置32は、分岐サブ移送部30とメイン移送部10との間に位置し、かつ上層板材4の長さ方向に沿って長尺に形成された回転軸部32aと、この回転軸部32aと一体的に設けられるとともに回転軸部32aの軸方向と直交する方向に突出する複数のアーム部32bと、上層板材4を構成する複数の材料用板4aを保持する保持手段(図示せず)と、を備える。
複数のアーム部32bは、下流側から移送されてきた上層板材4の下面側に配置されており、回転軸部32aの回転に伴って上層板材4の下面に接触する。回転軸部32aをさらに回転させることで、複数のアーム部32bによって上層板材4を持ち上げることができる。上層板材4を反転させる場合には、上層板材4を保持手段によって保持しておき、その状態で回転軸部32aをさらに回転させることによって、上層板材4を上下反転させながらメイン移送部10側に移動させることができる。
また、反転積載装置32における保持手段としては、図示はしないが、移動積載装置22と同様にクランプ部を備えるものとしてもよいし、例えば複数の材料用板4aに吸着する吸盤等のような他の保持手段を採用してもよい。
【0041】
以上のような製造装置Lの構成を踏まえ、積載作業領域Aについて、より詳細に説明すると、この積載作業領域Aは、メイン移送部10のうち分岐サブ移送部30が分岐する箇所とプレス装置13との間の箇所と、平行サブ移送部20の最下流側に設けられた移動積載装置22と、分岐サブ移送部30の最下流側に設けられた反転積載装置32と、が含まれる領域を指している。
メイン移送部10のうち分岐サブ移送部30が分岐する箇所とプレス装置13との間の箇所は、下層板材2を一時的に留め置くスペースとされており、このスペースに移送された下層板材2に対して中層板材3と上層板材4が重ねられる。すなわち、積載作業領域Aでは、別々に移送された、上向き面に接着剤が付着した状態の下層板材2と、上向き面と下向き面に硬化促進剤が付着した状態の中層板材3と、上向き面に接着剤が付着した状態の上層板材4と、が重ねられる。
【0042】
また、メイン移送部10や平行サブ移送部20、分岐サブ移送部30を始め、製造装置Lを構成する各部・各装置等は、図示しない制御装置によってその動作が制御されているものとする。
特に、下層板材2と中層板材3と上層板材4とを重ねる際は、移送のタイミングを合わせたり、移送方向における位置を正確に合わせたりする必要がある。このような制御を可能とするため、製造装置Lには、図示はしないが、各板材2,3,4の位置を検知するセンサーや、各板材2,3,4の移送中の向きを規制して真っすぐに移送できるようにするためのガイド・規制手段等が具備されているものとする。
さらに、制御装置は、三層構造の木質系建築材料1を製造するモードと、三層を超える層構造の木質系建築材料100を製造するモードで、異なる制御ができるように設定されている。
【0043】
次に、以上のような構成の製造装置Lによって木質系建築材料1を製造する方法について説明する。
【0044】
まずは準備段階として、中層板材3を構成する材料用板3aの上向き面と下向き面に硬化促進剤を付着させて乾燥させておく。
また、材料用板2a,4aを第一投入装置11に用意しておき、材料用板3aを第二投入装置21に用意しておく。
【0045】
続いて、上層板材4を構成する複数の材料用板4aを第一投入装置11からメイン移送部10に投入する(ステップS1)。メイン移送部10に投入された複数の材料用板4aは、一本一本の長さ方向が移送方向と揃うように並べられた状態で下流側に移送される。
また、複数の材料用板4aが接着剤塗布装置12を通過する際には、これら複数の材料用板4aの上向き面に接着剤が塗布される(ステップS2)。
接着剤が塗布された複数の材料用板4aは、図示しない仕分け手段によってメイン移送部10から分岐移動装置31を経て、分岐サブ移送部30へと移動させられる(ステップS3)。
分岐サブ移送部30へと移動した複数の材料用板4aは、分岐サブ移送部30に沿って積載作業領域Aまで移送され、積載作業を行うための所定の位置でストップし、待機状態となる(ステップS4)。
【0046】
続いて、中層板材3を構成する複数の材料用板3aを第二投入装置21から平行サブ移送部20に投入する(ステップS5)。平行サブ移送部20に投入された複数の材料用板3aは、一本一本の長さ方向が移送方向と直交するように並べられた状態で下流側に移送される。
複数の材料用板3aは、平行サブ移送部20に沿って積載作業領域Aまで移送され、積載作業を行うための所定の位置でストップし、待機状態となる(ステップS6)。
【0047】
続いて、下層板材2を構成する複数の材料用板2aを第一投入装置11からメイン移送部10に投入する(ステップS7)。メイン移送部10に投入された複数の材料用板2aは、一本一本の長さ方向が移送方向と揃うように並べられた状態で下流側に移送される。
また、複数の材料用板2aが接着剤塗布装置12を通過する際には、これら複数の材料用板2aの上向き面に接着剤が塗布される(ステップS8)。
複数の材料用板2aは、メイン移送部10に沿って積載作業領域Aまで移送され、積載作業を行うための所定の位置(一時的に留め置くスペース)でストップし、待機状態となる(ステップS9)。
【0048】
なお、本実施形態では、上層板材4を構成する複数の材料用板4aを移送して積載作業領域Aで待機状態となってから中層板材3を構成する複数の材料用板3aの移送を開始し、中層板材3を構成する複数の材料用板3aが積載作業領域Aで待機状態となってから下層板材2を構成する複数の材料用板2aの移送を開始するステップとなっている、これに限られるものではない。
例えば、上層板材4が待機状態となる前に中層板材3の移送を開始してもよいし、上層板材4と中層板材3の移送開始を同時に行ってもよい。また、中層板材3が待機状態となる前に下層板材2の移送を開始してもよいし、中層板材3と下層板材2の移送開始を同時に行ってもよい。さらに、上層板材4が分岐サブ移送部30に移送されるタイミングで、下層板材2が接着剤塗布装置12を通過するように移送されれば、上層板材4と下層板材2とがメイン移送部10上で接触することがない。すなわち、各板材2,3,4が積載作業領域Aまで移送される時間を可能な限り短縮できるように投入・移送のタイミングを制御装置によって制御することが望ましい。
【0049】
続いて、中層板材3を、移動積載装置22によって下層板材2の上に移動させて重ねる(ステップS10)。
より詳細には、中層板材3を構成する複数の材料用板3aをクランプ部22aによって挟み込み、図示しない移動手段によってクランプ部22aおよびクランプ部22aによって挟み込まれた複数の材料用板3aを、下層板材2を構成する複数の材料用板2aの上に移動させる。すなわち、複数の材料用板3aを平行サブ移送部20からメイン移送部10に移動させる。そして、複数の材料用板2aの上まで移動した複数の材料用板3aを、クランプ部22aによる挟み込みを解除して下層板材2の上に重ねる。
【0050】
続いて、上層板材4を、反転積載装置32によって、下層板材2に重ねられた中層板材3の上に上下反転移動させて重ねる(ステップS11)。
より詳細には、上層板材4を構成する複数の材料用板4aを保持手段(図示せず)によって保持した状態で回転軸部32aを回転させ、これに伴って、複数のアーム部32bによって複数の材料用板4aを持ち上げる。そして、さらに回転軸部32aを回転させることによって、上層板材4を構成する複数の材料用板4aを、下層板材2を構成する複数の材料用板2aの上に移動させる。すなわち、複数の材料用板4aを分岐サブ移送部30からメイン移送部10に移動させる。そして、複数の材料用板2aの上まで移動した複数の材料用板4aを、保持手段による挟み込みを解除して下層板材2の上に重ねる。
【0051】
続いて、互いに重ねられた下層板材2と中層板材3と上層板材4とをプレス装置13まで移送する(ステップS12)。
そして、プレス装置13によって互いに重ねられた下層板材2と中層板材3と上層板材4のプレス作業を行う(ステップS13)。プレス装置13によって高圧のプレス作業が行われることにより、接着剤と硬化促進剤とが混合され、下層板材2と中層板材3と上層板材4の接着が素早く行われる。
なお、下層板材2と中層板材3と上層板材4とをプレス装置13まで移送した後に、次の木質系建築材料1の製造を開始することができるので、木質系建築材料1の連続生産が可能となる。
【0052】
プレス作業を終えた状態の下層板材2と中層板材3と上層板材4は、木質系建築材料1として下流側の積み取り装置14が設けられた位置まで移送される(ステップS14)。
そして、木質系建築材料1を、積み取り装置14によってメイン移送部10のルートから外して、図示しない台車や運搬用パレット等の上に積み重ねる(ステップS15)。
以上のようにして、一つの木質系建築材料1を製造することができる。
【0053】
このような木質系建築材料1の製造方法によれば、上向き面に接着剤が付着した状態の下層板材2と、上向き面と下向き面に硬化促進剤が付着した状態の中層板材3と、上向き面に接着剤が付着した状態の上層板材4とを積載作業領域Aに別々に移送し、移動積載手段22と反転積載手段32とを用いて同じ場所(すなわち、積載作業領域A)で重ねるので、下層板材2と中層板材3と上層板材4を短時間で重ねてプレス作業部13へと移送することができる。
また、下層板材2と中層板材3と上層板材4を短時間で重ねた直後に、積載作業領域Aの下流側に隣接するプレス作業部13で圧縮することができるので、接着剤の硬化が進む前に、下層板材2と中層板材3と上層板材4を圧縮できる。
これによって、品質に優れた木質系建築材料を短時間で製造できる。
なお、以上のような製造方法においては、移動積載手段22と反転積載手段23を用いずに手作業で各板材2,3,4を積み重ねる作業を行ってもよい。
【0054】
五層構造の木質系建築材料100を製造する場合は、下層板材2と中層板材3と上層板材4が互いに重ねられて貼り合わされてなる木質系建築材料1を、下層板材2の代わりに、第三投入装置15からメイン移送部10に対して投入する。
すなわち、
図5に示すステップS7において下層板材2の代わりに、木質系建築材料1を投入して移送する。その後は、木質系建築材料1を製造する場合と同様のステップで製造を進める。これによって、五層構造の木質系建築材料100を製造することができる。
なお、五層構造の木質系建築材料100に限らず、三層を超える層構造の木質系建築材料を製造する場合も同様のステップで容易に製造することができる。
【0055】
本実施の形態によれば、積載作業領域Aに別々に移送された、上向き面に接着剤が付着した状態の下層板材2と、上向き面と下向き面に硬化促進剤が付着した状態の中層板材3と、上向き面に接着剤が付着した状態の上層板材4が、移動積載手段22と反転積載手段32とを用いて同じ場所(すなわち、積載作業領域A)で重ねられるので、下層板材2と中層板材3と上層板材4を短時間で重ねてプレス作業部13へと移送することができる。
また、短時間で重ねられた下層板材2と中層板材3と上層板材4を、積載作業領域Aの下流側に隣接するプレス作業部13で圧縮することができるので、接着剤の硬化が進む前に、下層板材2と中層板材3と上層板材4を圧縮できるようになる。
これによって、品質に優れた木質系建築材料1を短時間で製造できる。
さらに、下層板材2と中層板材3と上層板材4とを重ねる作業を同じ場所で行うことができるとともに、積載作業領域Aで作業を行った直後にプレス作業部13でプレス作業を行うことができるような構成であるため、装置Lの大型化を防ぐことができる。
【0056】
また、積載作業領域Aを通過するメイン移送部10と、メイン移送部10と平行する平行サブ移送部20と、メイン移送部10から分岐する分岐サブ移送部30と、を備えるので、下層板材2と中層板材3と上層板材4を、積載作業領域Aまで別々に移送することができる。また、下層板材2と中層板材3と上層板材4を別々に移送できれば、投入や移送のタイミングを調整することにより、下層板材2と中層板材3と上層板材4を効率よく移送でき、木質系建築材料1,100を短時間で製造することが可能となる。
【0057】
また、下層板材2と上層板材4が第一投入手段11から投入され、中層板材3が第二投入手段21から投入されるため、これら各板材2,3,4は別々に移送されることになり、積載作業領域Aに移送されて下層板材2と中層板材3と上層板材4が重ねられるまでに接着剤と硬化促進剤とが接触しないようにすることができる。
また、下層板材2と上層板材4が同じ第一投入手段11から投入されるため、下層板材2専用の投入手段と上層板材4専用の投入手段を別個に用意する必要が無い。これにより、装置Lの大型化を防ぐことができるとともにコストの低減を図ることができる。
【0058】
下層板材2と上層板材4には同じ繊維方向の材料用板2a,4aが使用され、中層板材3には、下層板材2および上層板材4と交差する繊維方向の材料用板3aが使用されているので、積載作業領域Aでこれらの材料を重ねてプレス作業部13でプレス作業を行うだけで、繊維直交タイプの木質系建築材料1,100を容易に製造することができる。
【0059】
また、メイン移送部10が、下層板材2と中層板材3と上層板材4が互いに重ねられて貼り合わされてなる木質系建築材料1を、下層板材2の代わりに当該メイン移送部10に対して投入する第三投入手段15を有するので、この第三投入手段15から投入された木質系建築材料の上に中層板材3と上層板材4を重ねて接着することができる。これにより、板材が三層を超えて積層する木質系建築材料100を製造することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 木質系建築材料
2 下層板材
2a 材料用板
3 中層板材
3a 材料用板
4 上層板材
4a 材料用板
10 メイン移送部
11 第一投入装置
12 接着剤塗布装置
13 プレス装置
14 積み取り装置
20 平行サブ移送部
21 第二投入装置
22 移動積載装置
30 分岐サブ移送部
32 反転積載装置
100 木質系建築材料
L 製造装置
A 積載作業領域