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特許7041891ツールパスの生成方法、ツールパスの生成装置、ツールパスを生成するプログラムおよびプログラムを記録した記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】ツールパスの生成方法、ツールパスの生成装置、ツールパスを生成するプログラムおよびプログラムを記録した記録媒体
(51)【国際特許分類】
   B27C 9/02 20060101AFI20220317BHJP
   B27B 5/29 20060101ALI20220317BHJP
   B27B 5/20 20060101ALI20220317BHJP
   G05B 19/4093 20060101ALI20220317BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
B27C9/02
B27B5/29 Z
B27B5/20 A
G05B19/4093 A
G05B19/418 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018076398
(22)【出願日】2018-04-11
(65)【公開番号】P2019185445
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人千葉大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000201478
【氏名又は名称】前田建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】平沢 岳人
(72)【発明者】
【氏名】綱川 隆司
(72)【発明者】
【氏名】山戸 敦策
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-168065(JP,A)
【文献】特開2005-254378(JP,A)
【文献】特開2017-117459(JP,A)
【文献】特開2015-102918(JP,A)
【文献】特開2011-083831(JP,A)
【文献】特許第5768794(JP,B2)
【文献】特許第5982075(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G05B 19/4093
B27B 5/20
B27B 5/29
B27C 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多軸加工機により加工対象物である木材を加工するためのツールパスの生成方法であって、
前記加工対象物の加工可能な領域である加工対象領域に含まれる少なくとも一つの平面を抽出する平面抽出ステップと、
前記平面抽出ステップで抽出された前記平面が前記多軸加工機に装着された円板刃により加工可能か否かを判定する平面加工判定ステップと、
前記平面加工判定ステップで加工可能と判定された平面について、前記円板刃による加工パスを生成する円板刃加工パス生成ステップと、
前記円板刃による加工パスを含むツールパスを生成するツールパス生成ステップと、を備える
ツールパスの生成方法。
【請求項2】
前記平面加工判定ステップでは、前記円板刃の軌跡を仮想した半平面であって、前記円板刃の外周縁がたどる軌跡を境界とする半平面が、前記加工対象物の加工禁止な領域である加工禁止領域に接触する場合には、前記円板刃により加工不能と判定し、前記半平面が前記加工禁止領域に接触しない場合には、前記円板刃により加工可能と判定する
請求項1に記載のツールパスの生成方法。
【請求項3】
前記円板刃の前記軌跡は、前記円板刃を前記円板刃の軸に対して交差する方向に沿って移動させた際に形成される軌跡を含む
請求項2に記載のツールパスの生成方法。
【請求項4】
前記加工対象物の加工前の形状データ、前記加工対象物の加工後の形状データ、および前記加工後の形状データと前記加工前の形状データの差分である加工形状データ、のうちの少なくとも二つのデータに基づいて、予め作成された複数の加工モデルから一の加工モデルを特定する加工モデル特定ステップをさらに備え、
前記ツールパス生成ステップでは、前記加工モデル特定ステップで特定された加工モデルの加工手順に従い、ツールパスが生成される
請求項1乃至3の何れか1項に記載のツールパスの生成方法。
【請求項5】
前記平面抽出ステップでは、前記加工対象領域の輪郭を構成する平面が抽出される
請求項1乃至4の何れか1項に記載のツールパスの生成方法。
【請求項6】
前記多軸加工機は6軸以上の回転軸を有する多軸ロボットを含む
請求項1乃至5の何れか1項に記載のツールパスの生成方法。
【請求項7】
多軸加工機により加工対象物である木材を加工するためのツールパスの生成装置であって、
前記加工対象物の加工可能な領域である加工対象領域に含まれる少なくとも一つの平面が前記多軸加工機に装着された円板刃により加工可能か否かを判定する平面加工判定部と、
前記平面加工判定部で加工可能と判定された平面について、前記円板刃による加工パスを生成するとともに、前記円板刃による加工パスを含むツールパスを生成するツールパス生成部と、を備える
ツールパスの生成装置。
【請求項8】
多軸加工機により加工対象物である木材を加工するためのツールパスを生成するプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
コンピュータに
前記加工対象物の加工可能な領域である加工対象領域に含まれる少なくとも一つの平面が前記多軸加工機に装着された円板刃により加工可能か否かを判定する平面加工判定機能と、
前記平面加工判定機能により加工可能と判定された平面について、前記円板刃による加工パスを生成するとともに、前記円板刃による加工パスを含むツールパスを生成するツールパス生成機能と、を実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項9】
多軸加工機により加工対象物である木材を加工するためのツールパスを生成するプログラムであって、
コンピュータに
前記加工対象物の加工可能な領域である加工対象領域に含まれる少なくとも一つの平面が前記多軸加工機に装着された円板刃により加工可能か否かを判定する平面加工判定機能と、
前記平面加工判定機能により加工可能と判定された平面について、前記円板刃による加工パスを生成するとともに、前記円板刃による加工パスを含むツールパスを生成するツールパス生成機能と、を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多軸加工機により加工対象物である木材を加工するためのツールパスの生成方法、ツールパスの生成装置、ツールパスを生成するプログラム、および該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
工場などに設置された工作機械により現場施工前に木材に加工を施すプレカット工法が広く行われている。従来のプレカット工法を行うための木材加工システムには、特許文献1に記載されているような、木材加工ラインの上流側から工程順に配置された切断機、中間加工機および木口加工機などを含む複数の各工程専用の加工機と、これらの加工機に木材を搬入および搬出するために、加工機の上流側や下流側に配置されて、加工機同士を直列に接続する複数のラインコンベアと、を備えるものがある。該木材加工システムは、木材加工ラインの上流側に配置された加工機から順々に必要な加工を施すことで、木材を所望の形状に加工する。
【0003】
特許文献1に記載の木材加工システムは、各加工機が可能な加工の種類が少なく、且つ、各加工機は自由度が低いので、木材を複雑な形状に加工することや多品種少量生産に対応することは困難な虞がある。また、特許文献1に記載の木材加工システムは、複数の加工機と複数のラインコンベアとを備える必要があるので、システムの大型化、複雑化および高価格化を招く虞がある。
【0004】
近年、上述した問題点に鑑みて、特許文献2に示されるような、例えば5軸制御のマシニングセンタなどの多軸加工機による加工が行われている。特許文献2には、マシニングセンタによる機械加工の加工データ(NCデータ)を生成する加工データ一貫生成装置が開示されている。該加工データ一貫生成装置では、ミリング加工を行う加工工具の加工データが生成される。該加工データには、ミリング加工に必要な加工工具の移動経路が含まれる。多軸加工機は上記加工データに則りミリング加工を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-102918号公報
【文献】特許第5768794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ミリング加工は、丸ノコなどの円板刃による加工に比べて、加工速度が遅く加工対象物を所望の形状に加工するために時間がかかるという問題がある。この問題を解消するために加工速度が速い円板刃による加工を含む上記加工データの生成が考えられるが、回転軸から離れた位置に刃を有する円板刃による加工を含む加工データの生成は困難であるという問題がある。このため、ミリング加工による加工データの生成手法は多々案出されており、加工データを生成するための商用システムについても充実しているのに対して、円板刃による加工データの生成手法は実用上不十分であるという問題がある。
【0007】
上述した事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態の目的は、多軸加工機による加工対象物の加工速度の向上を図ることができるツールパスを生成するツールパスの生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の少なくとも一実施形態にかかるツールパスの生成方法は、
多軸加工機により加工対象物である木材を加工するためのツールパスの生成方法であって、
前記加工対象物の加工可能な領域である加工対象領域に含まれる少なくとも一つの平面を抽出する平面抽出ステップと、
前記平面抽出ステップで抽出された前記平面が前記多軸加工機に装着された円板刃により加工可能か否かを判定する平面加工判定ステップと、
前記平面加工判定ステップで加工可能と判定された平面について、前記円板刃による加工パスを生成する円板刃加工パス生成ステップと、
前記円板刃による加工パスを含むツールパスを生成するツールパス生成ステップと、を備える。
【0009】
本発明者らは、多軸加工機に装着された円板刃による加工を、平面を形成する加工に限定することで、円板刃による加工パスの生成が容易であることに着目した。
上記(1)の方法によれば、平面加工判定ステップで平面抽出ステップにおいて加工対象領域から抽出された平面が、多軸加工機に装着された円板刃により加工可能な否かを判定する。円板刃により加工可能と判定された平面は、円板刃により加工するものと特定し、円板刃加工パス生成ステップで上記平面の円板刃による加工パスを生成する。ツールパス生成ステップでは、例えば円板刃による加工パスと他の加工パスや移動パスとを組み合わせることで、円板刃による加工パスを含むツールパスを生成する。
【0010】
ここで、円板刃による加工は、例えばエンドミルによる転削加工のような他の加工工具による加工に比べて、短期間で行うことができる。上記ツールパスに従って加工を行う多軸加工機は、円板刃による加工可能な平面についての加工を円板刃で行うので、全体として加工対象物の加工速度を向上させることができる。よって、上記(1)の方法によれば、多軸加工機による加工対象物の加工速度の向上を図ることができるツールパスを生成可能である。
【0011】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載のツールパスの生成方法において、上記平面加工判定ステップでは、上記円板刃の軌跡を仮想した半平面であって、上記円板刃の外周縁がたどる軌跡を境界とする半平面が、上記加工対象物の加工禁止な領域である加工禁止領域に接触する場合には、上記円板刃により加工不能と判定し、上記半平面が上記加工禁止領域に接触しない場合には、上記円板刃により加工可能と判定する。
【0012】
円板刃の軌跡を仮想した半平面が、加工禁止領域に接触する場合には円板刃により加工禁止領域が加工されてしまうので、適切な加工ではない。これに対して、上記半平面が、加工禁止領域に接触しない場合には、円板刃は、加工禁止領域を傷つけずに、加工対象領域から抽出した平面を加工できるので、適切な加工である。上記(2)の方法によれば、上記半平面が加工禁止領域に接触するか否かにより、加工対象領域から抽出された平面が、円板刃による加工が可能か否かを容易に判定することができる。
【0013】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)に記載のツールパスの生成方法において、上記円板刃の上記軌跡は、上記円板刃を上記円板刃の軸に対して交差する方向に沿って移動させた際に形成される軌跡を含む。
上記(3)の方法によれば、円板刃の加工する際の動き(軌跡)を、円板刃の軸に対して交差する方向に沿って移動させる直線状の動き(軌跡)にすることで、円板刃の軌跡を仮想した半平面を簡単な形状にできるため、半平面が加工禁止領域に接触するか否かを判定が容易である。また、円板刃の軌跡を単純なものにすることで、平面の円板刃による加工パスの生成が容易になる。
【0014】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)~(3)の何れかに記載のツールパスの生成方法において、上記加工対象物の加工前の形状データ、上記加工対象物の加工後の形状データ、および上記加工後の形状データと上記加工前の形状データの差分である加工形状データ、のうちの少なくとも二つのデータに基づいて、予め作成された複数の加工モデルから一の加工モデルを特定する加工モデル特定ステップをさらに備え、上記ツールパス生成ステップでは、上記加工モデル特定ステップで特定された加工モデルの加工手順に従い、ツールパスが生成される。
【0015】
上記(4)の方法によれば、加工モデル特定ステップで、加工対象物の加工前の形状データ、加工後の形状データおよび加工形状データから、例えば加工対象領域の外形輪郭(加工形状)などを特定し、複数の加工モデルから上記加工形状に最も類似する一の加工モデルを特定できる。該加工モデルの加工手順に従いツールパスを生成することで、加工形状毎に加工手順を決める必要がなくなるため、ツールパスの生成が容易になる。
【0016】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)~(4)の何れかに記載のツールパスの生成方法において、上記平面抽出ステップでは、上記加工対象領域の輪郭を構成する平面が抽出される。
上記(5)の方法によれば、平面抽出ステップで、抽出される平面を加工対象領域の輪郭を構成する平面に限定することで、平面抽出ステップにおける平面の抽出が容易になるため、円板刃による加工パスの生成をさらに容易なものにすることができる。
【0017】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)~(5)の何れかに記載のツールパスの生成方法において、上記多軸加工機は6軸以上の回転軸を有する多軸ロボットを含む。
6軸以上の回転軸を有する多軸ロボットに装着された円板刃は、自由度が高いので、上記円板刃による加工パス、および該加工パスを含むツールパスの生成は困難である。上記(6)の方法によれば、上述したように、上記多軸ロボットに装着された円板刃による加工を、平面を形成する加工に限定することで、上記円板刃の加工パス、および該加工パスを含むツールパスの生成が容易である。
【0018】
(7)本発明の少なくとも一実施形態にかかるツールパスの生成装置は、
多軸加工機により加工対象物である木材を加工するためのツールパスの生成装置であって、
前記加工対象物の加工可能な領域である加工対象領域に含まれる少なくとも一つの平面が前記多軸加工機に装着された円板刃により加工可能か否かを判定する平面加工判定部と、
前記平面加工判定部で加工可能と判定された平面について、前記円板刃による加工パスを生成するとともに、前記円板刃による加工パスを含むツールパスを生成するツールパス生成部と、を備える。
【0019】
上記(7)の構成によれば、ツールパスの生成装置は、平面加工判定部により、加工対象領域に含まれる平面が、多軸加工機に装着された円板刃により加工可能な否かを判定する。ツールパス生成部は、円板刃により加工可能と判定された平面が、円板刃により加工されるものと特定し、上記平面の円板刃による加工パスを生成する。そして、ツールパス生成部は、円板刃による加工パスを含むツールパスを生成する。
【0020】
上記ツールパスに従って加工を行う多軸加工機は、円板刃による加工可能な平面の加工を円板刃で行うので、全体として加工対象物の加工速度を向上させることができる。よって、上記(7)の構成によれば、ツールパスの生成装置は、多軸加工機による加工対象物の加工速度の向上を図ることができるツールパスを生成可能である。
【0021】
(8)本発明の少なくとも一実施形態にかかるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、
多軸加工機により加工対象物である木材を加工するためのツールパスを生成するプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
コンピュータに
前記加工対象物の加工可能な領域である加工対象領域に含まれる少なくとも一つの平面が前記多軸加工機に装着された円板刃により加工可能か否かを判定する平面加工判定機能と、
前記平面加工判定機能により加工可能と判定された平面について、前記円板刃による加工パスを生成するとともに、前記円板刃による加工パスを含むツールパスを生成するツールパス生成機能と、を実現させる。
【0022】
上記(8)の構成によれば、上記記録媒体から上記プログラムを読み込んだコンピュータは、平面加工判定機能により、加工対象領域に含まれる平面が、多軸加工機に装着された円板刃により加工可能な否かを判定する。そして、上記コンピュータはツールパス生成機能により、円板刃により加工可能と判定された平面が、円板刃により加工されるものと特定し、上記平面の円板刃による加工パスを生成する。さらに、上記コンピュータはツールパス生成機能により、円板刃による加工パスを含むツールパスを生成する。
【0023】
上記ツールパスに従って加工を行う多軸加工機は、円板刃による加工可能な平面の加工を円板刃で行うので、全体として加工対象物の加工速度を向上させることができる。よって、上記(8)の構成によれば、上記記録媒体から上記プログラムを読み込んだコンピュータは、多軸加工機による加工対象物の加工速度の向上を図ることができるツールパスを生成可能である。
【0024】
(9)本発明の少なくとも一実施形態にかかるツールパスを生成するプログラムは、
多軸加工機により加工対象物である木材を加工するためのツールパスを生成するプログラムであって、
コンピュータに
前記加工対象物の加工可能な領域である加工対象領域に含まれる少なくとも一つの平面が前記多軸加工機に装着された円板刃により加工可能か否かを判定する平面加工判定機能と、
前記平面加工判定機能により加工可能と判定された平面について、前記円板刃による加工パスを生成するとともに、前記円板刃による加工パスを含むツールパスを生成するツールパス生成機能と、を実現させる。
【0025】
上記(9)の構成によれば、上記プログラムを読み込んだコンピュータは、平面加工判定機能により、加工対象領域に含まれる平面が、多軸加工機に装着された円板刃により加工可能な否かを判定する。そして、上記コンピュータはツールパス生成機能により、円板刃により加工可能と判定された平面が、円板刃により加工されるものと特定し、上記平面の円板刃による加工パスを生成する。さらに、上記コンピュータはツールパス生成機能により円板刃による加工パスを含むツールパスを生成する。
【0026】
上記ツールパスに従って加工を行う多軸加工機は、円板刃による加工可能な平面の加工を円板刃で行うので、全体として加工対象物の加工速度を向上させることができる。よって、上記(9)の構成によれば、上記プログラムを読み込んだコンピュータは、多軸加工機による加工対象物の加工速度の向上を図ることができるツールパスを生成可能である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、多軸加工機による加工対象物の加工速度の向上を図ることができるツールパスを生成するツールパスの生成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】一実施形態にかかるツールパスの生成装置を備える加工システムの構成を説明するための概略構成図である。
図2】一実施形態にかかるツールパスの生成装置とデータベースの構成を示す概略構成図である。
図3】一実施形態における多軸ロボット(多関節ロボット)の概略斜視図である。
図4】多軸ロボット(多関節ロボット)に装着される加工ユニットを説明するための図であって、図4(a)は円板刃を含む加工ユニット、図4(b)は角ノミを含む加工ユニット、図4(c)はルータを含む加工ユニット、図4(d)は振動ノミを含む加工ユニットを示す図である。
図5】一実施形態にかかるツールパスの生成方法のフロー図である。
図6】加工対象物の加工対象領域を説明するための図であって、図6(a)は、加工対象領域と加工禁止領域とを併せて示す加工対象物の概略斜視図であり、図6(b)は、加工対象領域を円板刃により加工可能な領域と、円板刃により可能不能な領域とに分けて示す概略斜視図である。
図7】加工工具毎の加工パスを説明するための図であって、図7(a)は円板刃による加工パスを、図7(b)は角ノミによる加工パスを、図7(c)は振動ノミにより加工パスを説明するための図である。
図8】加工パスの始点および終点、並びに移動パスの始点および終点を説明するための図である。
図9】一実施形態における平面加工判定ステップのフロー図である。
図10図9に示す平面加工判定ステップを説明するための図であって、図10(a)は、加工可能と判定される例を示す図であり、図10(b)は、加工不能と判定される例を示す図である。
図11】円板刃により加工可能な形状を説明するための図であって、円板刃により加工可能な形状と円板刃により可能不能な形状とを併せて示す図である。
図12】一実施形態にかかるツールパスの生成方法のフロー図であって、領域区分けステップや加工モデル特定ステップを備えるツールパスの生成方法のフロー図である。
図13】加工モデルを説明するための図であって、継手形状や仕口形状が形成された加工対象物の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」および「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
【0030】
まず、ツールパスの生成方法を実行可能なツールパスの生成装置、および該ツールパスの生成装置を備える加工システムについて説明する。図1は、一実施形態にかかるツールパスの生成装置を備える加工システムの構成を説明するための概略構成図である。「ツールパス」とは、多軸加工機により加工対象物を加工する際に、加工工具(加工工具の先端)がたどる移動経路である。
【0031】
幾つかの実施形態にかかる加工システム1は、図1に示されるように、CADデータの作成、加工および表示が可能なCAD装置2と、CAD装置2により作成又は加工されたCADデータを記憶可能なデータベース3と、CAD装置2又はデータベース3から送信されるCADデータに基づいて、ツールパス17(ツールパスデータ)を生成可能なツールパスの生成装置4と、ツールパスの生成装置4で生成されたツールパス17に基づいて、加工工具13を使用して加工対象物20である木材を加工可能な多軸加工機7と、を備えている。上記ツールパスの生成装置4は、図1に示されるように、CAM装置4Aを含んでいる。なお、幾つかの実施形態では、多軸加工機7は、直進軸と回転軸とを合計して4軸以上の制御軸数を有する加工機である。好ましくは、多軸加工機7は、5軸以上の制御軸数を有している。さらに好ましくは、多軸加工機7は、6軸以上の制御軸数を有している。
【0032】
CAD装置2、データベース3、CAM装置4Aおよび多軸加工機7の各々は、相互に電気通信可能に構成されている。図1に示される実施形態では、CAD装置2、データベース3、CAM装置4Aおよび多軸加工機7の各々は、相互にLANなどのネットワーク9で接続されている。また、CAD装置2、データベース3、CAM装置4Aおよび多軸加工機7の各々は、相互に近傍又は遠隔地に設置されている。また、CAD装置2、データベース3、CAM装置4Aおよび多軸加工機7の各々は、1台又は複数台である。
【0033】
図1に示される実施形態では、データベース3は、CAD装置2で作成や加工がされたCADデータがCAD装置2から送信されるようになっており、CAD装置2から送信されたCADデータを後述する記憶部31(図2参照)に記憶する。そして、CAD装置2は、3DCADデータを作成、加工および表示が可能な3DCAD装置を含んでおり、上述したCADデータには3DCADデータが含まれる。
【0034】
また、図1に示される実施形態では、CAM装置4Aは、CAD装置2やデータベース3からCADデータが送信されるようになっており、送信されたCADデータに基づいて、ツールパス17を生成可能である。CAM装置4Aで生成されたツールパス17は、多軸加工機7に送信されるようになっており、多軸加工機7は、CAM装置4Aから送られたツールパス17に則る動作を行うことにより、加工対象物20の加工が可能である。なお、データベース3は、CAM装置4Aで生成されたツールパス17がCAM装置4Aから送信されるようになっており、CAM装置4Aから送信されたツールパス17を記憶部31に記憶してもよい。多軸加工機7は、データベース3からツールパス17が送信されてもよい。
【0035】
上記の構成によれば、CAD装置2、データベース3、CAM装置4Aおよび多軸加工機7の各々は、相互に電気通信可能に構成されているので、例えばCAM装置4Aは、遠隔地のCAD装置2で設計されたCADデータに基づいて、ツールパス17を生成可能である。また、多軸加工機7は、遠隔地のCAM装置4Aで生成されたツールパス17に基づいて、加工対象物20の加工が可能である。
【0036】
幾つかの実施形態では、上述した加工システム1は、図1に示されるように、ツールパス17の言語を多軸加工機7の言語に変換可能なポストプロセッサ6をさらに備えている。ポストプロセッサ6(6A)は、多軸加工機7がロボット言語やG言語により動作可能な多軸ロボット7Aを含む場合には、ツールパス17の言語を多軸ロボット7Aのコントローラ78が認識可能なロボット言語やG言語に変換する。また、ポストプロセッサ6(6B)は、多軸加工機7がNCコードにより動作可能なNC工作機械7Bを含む場合には、ツールパス17の言語をNCコードに変換する。ポストプロセッサ6は、CAD装置2、データベース3、CAM装置4Aおよび多軸加工機7の各々に例えばネットワークLANなどのネットワーク9により電気通信可能に構成されている。そして、ポストプロセッサ6は、データベース3やCAM装置4Aから送信されたツールパス17の言語を変換し、言語が変換されたツールパス17を多軸加工機7に送信するようになっている。この場合には、ツールパス17の言語が多軸加工機7を制御可能な言語と異なっていても、ポストプロセッサ6により変換することで、ツールパス17に則り多軸加工機7を動作させることができる。
【0037】
また、幾つかの実施形態では、上述した加工システム1は、図1に示されるように、ツールパス17に則る、加工工具13又は加工工具13を装着した多軸加工機7(多軸ロボット7A、NC工作機械7B)の動作のシミュレーションが可能なシミュレーション装置8をさらに備えている。シミュレーション装置8は、仮想空間上に表現された加工工具13や多軸加工機7による、ツールパス17に則る動作を表示部(後述する表示装置43など)に表示可能に構成されている。シミュレーション装置8は、CAD装置2、データベース3、CAM装置4A、ポストプロセッサ6および多軸加工機7の各々に例えばネットワークLANなどのネットワーク9により電気通信可能に構成されている。そして、シミュレーション装置8は、データベース3やCAM装置4Aから送信されたツールパス17に則る多軸加工機7の動作のシミュレーションを行い、シミュレーション結果をデータベース3やCAM装置4Aに送信するようになっている。このため、シミュレーション装置8の操作者は、加工工具13と多軸加工機7とが互いに接触するか否か、および加工工具13や多軸加工機7が加工対象物20を固定する不図示の固定装置などの他の装置や機器に接触するか否か、を多軸加工機7の動作前に把握することができる。よって、上述する加工システム1は、シミュレーション装置8を備えることにより、ツールパス17の妥当性や多軸加工機7による安全性を担保することができる。
【0038】
図2は、一実施形態にかかるツールパスの生成装置とデータベースの構成を示す概略構成図である。幾つかの実施形態では、図2に示されるように、上述したデータベース3は、加工前形状データ32、加工後形状データ33、加工形状データ34および加工基礎データ35を記憶する記憶部31を有している。
【0039】
加工前形状データ32は、加工対象物20の多軸加工機7による加工前の形状(素材形状)に関する情報を含むものであり、例えば加工前の形状に関する3次元CADデータや、該3次元CADデータを所定の固定座標系で表した座標データが含まれる。加工前形状データ32は、例えばCAD装置2により作成してもよく、加工対象物20をレーザスキャンや撮影することで取得してもよい。
【0040】
加工後形状データ33は、加工対象物20の多軸加工機7による加工後の形状(完成品形状)に関する情報を含むものであり、例えば加工後の形状に関する3次元CADデータや、該3次元CADデータを所定の固定座標系で表した座標データが含まれる。加工後形状データ33は、例えばCAD装置2により作成される。
【0041】
加工形状データ34は、加工対象物20の多軸加工機7による加工により加工対象物20から除去される部分の形状である加工形状に関する情報を含むものであり、例えば加工形状に関する3次元CADデータや、該3次元CADデータを所定の固定座標系で表した座標データが含まれる。加工形状データ34は、例えばCAD装置2により作成される。
【0042】
加工形状データ34は、加工後形状データ33と加工前形状データ32の差分データであるので、加工前形状データ32および加工後形状データ33から算出可能である。また、加工前形状データ32は、加工後形状データ33および加工形状データ34から算出可能である。また、加工後形状データ33は、加工前形状データ32および加工形状データ34から算出可能である。つまり、加工前形状データ32、加工後形状データ33および加工形状データ34のうちの二つのデータを記憶部31に記憶しておき、残りの一つのデータは、記憶部31に記憶された二つのデータから算出するようにしてもよい。
【0043】
加工基礎データ35は、ツールパス17を生成するために必要な情報を含むものである。加工基礎データ35には、個々の多軸加工機7に関する情報や、多軸加工機7に装着される加工工具13や加工ユニット130に関する情報、多軸加工機7の可動範囲中に含まれる、加工対象物20を固定する固定装置などの多軸加工機7や加工工具13に干渉する干渉物に関する情報が含まれる。これらの情報には、多軸加工機7の移動速度、加工工具13の加工速度、多軸加工機7や加工工具13などの形状や位置、座標系などの情報が含まれる。
【0044】
上述したツールパスの生成装置4(CAM装置4A)は、図2に示されるように、入出力装置41(入出力インターフェース、通信装置)と、記憶装置42(ROM、RAM)、表示装置43(ディスプレイ)、演算装置44を含むマイクロコンピュータから構成されているが、一般的な構成および制御については適宜割愛することとする。ツールパスの生成装置4の入出力装置41、記憶装置42、表示装置43および演算装置44のそれぞれは、バス40に電気的に接続されている。「電気的に接続されている」とは、有線による物理的な接続だけでなく、無線により通信を含んでおり、接続された装置間における信号やデータなどの送受信が可能に構成されていることをいう。
【0045】
ツールパスの生成装置4の入出力装置41は、加工システム1において用いられる各構成要素(データベース3など)からの各種情報が入力され、且つ、演算結果などに基づく各種情報を上述した各構成要素に出力する。また、入出力装置41は、キーボードやマウス、無線通信装置などを含んでいる。記憶装置42は、入力された各種情報や制御実施のために必要な各種プログラムや演算結果などを記憶可能に構成されている。演算装置44は、上述した各種情報に基づいて演算処理を行う。表示装置43は、入力された各種情報や上述した演算装置44による演算結果などの情報を表示する。
【0046】
ツールパスの生成装置4は、加工前の加工対象物20を加工可能な領域である加工対象領域22に含まれる少なくとも一つの平面25が、多軸加工機7に装着された円板刃133により加工可能か否かを判定可能な平面加工判定装置46(平面加工判定部、平面加工判定機能)と、平面加工判定装置46で加工可能と判定された平面(円板刃加工可能面26)について、円板刃133による加工パス18(円板刃加工パス18A)を生成可能であり、且つ円板刃加工パス18Aを含むツールパス17を生成可能なツールパス生成装置47(ツールパス生成部、ツールパス生成機能)と、をさらに含んでいる。図2に示される実施形態では、平面加工判定装置46およびツールパス生成装置47は、バス40に電気的に接続されている。なお、平面加工判定装置46およびツールパス生成装置47は、ツールパスの生成装置4にインストールされることで、記憶装置42に記憶されて演算装置44により動作するプログラム11であってもよい。また、該プログラム11は、ツールパスの生成装置4の他の装置に記憶されてネットワーク9を介してツールパスの生成装置4上で動作するプログラム11であってもよい。また、上記プログラム11は、例えばHDDやSDカードのような、コンピュータ読み取り可能な記録媒体10(図2参照)であって、入出力装置41を介してツールパスの生成装置4と電気的に接続される記録媒体10に記憶されていてもよい。
【0047】
図3は、一実施形態における多軸ロボット(多関節ロボット)の概略斜視図である。図4は、多軸ロボット(多関節ロボット)に装着される加工ユニットを説明するための図であって、図4(a)は円板刃を含む加工ユニット、図4(b)は角ノミを含む加工ユニット、図4(c)はルータを含む加工ユニット、図4(d)は振動ノミを含む加工ユニットを示す図である。多軸ロボット7Aは、多軸ロボット7Aに装着された加工工具13により加工対象物20の加工を行う。
【0048】
多軸ロボット7Aは、多関節ロボットを含む。すなわち、図3に示される実施形態では、多軸ロボット7Aは、リスト76と、リスト76を支持するとともにリスト76を移動させるためのアーム70であって、6軸以上の回転軸(回転軸701~706)および5つの関節部(関節部71~75)を有するアーム70と、アーム70を支持するとともに設置面12上に載置されるロボットベース77と、を含む多関節ロボットである。リスト76は、図4(a)~(d)に示されるような、加工工具13を含む加工ユニット130を着脱可能に構成されている。
【0049】
多軸ロボット7Aは、不図示の6つ以上のサーボモータを含む駆動装置をさらに含み、該駆動装置により該サーボモータを駆動させることで、6軸以上の回転軸に沿ってリスト76を加工対象物20に対して相対的に移動させることができる。また、多軸ロボット7Aは、図3に示されるように、多軸ロボット7Aを構成する構成要素(サーボモータなど)を制御するためのコントローラ78と、加工ユニット130を着脱するためのツールマガジン79をさらに含んでいる。ツールマガジン79は、多軸ロボット7Aの可動範囲内に配置されている。この場合には、多軸ロボット7Aは、加工ユニット130を着脱するためのツールマガジン79を備えるので、加工ユニット130の交換を容易に行うことができ、種々の加工ユニット130により加工対象物20の加工が可能である。
【0050】
また、加工ユニット130(加工ユニット130A~130D)は、図4(a)~(d)に示されるように、加工工具13と、加工工具13を駆動させるためのモータを含む駆動装置131と、加工工具13および駆動装置131を支持するとともにリスト76に装着可能に構成されているホルダ132(ホルダ132A~132D)と、を含んでいる。
【0051】
加工工具13は、図4(a)~(d)に示されるように、円板刃133、角ノミ134、ルータ137および振動ノミ138などを含んでいる。円板刃133およびルータ137は、駆動装置131により回転駆動することで、加工対象物20を加工する。また、角ノミ134は、駆動装置131により回動駆動するドリル135と、ドリル135の外周を覆う角筒状に形成されるとともに先端の四角部が尖っている角ノミ刃136と、を含んでいる。なお、角ノミ134は、ドリル135を含まずに角ノミ刃136のみを含んでいてもよい。また、振動ノミ138は、駆動装置131により振動することで、加工対象物20を加工する。なお、加工工具13は、例示した円板刃133など以外の加工工具、例えばドリルなど木材加工に使用される加工工具を含んでいる。
【0052】
このような多軸ロボット7Aは、リスト76を6軸以上の回転軸に沿って回転させることにより、リスト76に装着された加工工具13を含む加工ユニット130を、加工対象物20に対して相対移動させることができ、加工対象物20の任意の点に、任意の角度で加工工具13を当てることができる。また、多軸ロボット7Aは、加工工具13を交換することで、多種の加工が可能であり、且つ、加工対象物20を複雑な形状に加工することができるので、多品種少量生産に対応可能である。
【0053】
図5は、一実施形態にかかるツールパスの生成方法のフロー図である。図6は、加工対象物の加工対象領域を説明するための図であって、図6(a)は、加工対象領域と加工禁止領域とを併せて示す加工対象物の概略斜視図であり、図6(b)は、加工対象領域を円板刃により加工可能な領域と、円板刃により可能不能な領域とに分けて示す概略斜視図である。図7は、加工工具毎の加工パスを説明するための図であって、図7(a)は円板刃による加工パスを、図7(b)は角ノミによる加工パスを、図7(c)は振動ノミにより加工パスを説明するための図である。図8は、加工パスの始点および終点、並びに移動パスの始点および終点を説明するための図である。
【0054】
幾つかの実施形態にかかるツールパスの生成方法100は、図5に示されるように、平面抽出ステップS101と、平面加工判定ステップS102と、円板刃加工パス生成ステップS103と、ツールパス生成ステップS104と、を備えている。上記ツールパスの生成方法100は、多軸加工機7により加工対象物20である木材を加工するためのツールパス17の生成方法である。
【0055】
上記ツールパスの生成方法100により生成されるツールパス17は、円板刃133により加工可能な平面(円板刃加工可能面26)については、円板刃133による加工を、他の加工工具13による加工よりも優先させるようになっている。円板刃133による加工は、ミリング加工などの他の加工に比べて、加工速度を向上させることができるからである。また、円板刃133による加工は、ミリング加工などの他の加工に比べて、加工された平面の表面の粗さをなめらかにできるので、加工対象物20の品質を向上させることができるからである。
【0056】
平面抽出ステップS101では、上述した平面加工判定装置46は、加工対象物20の加工対象領域22に含まれる少なくとも一つの平面25を抽出する。ここで、加工前の加工対象物20(20A)は、図6(a)に示されるように、加工工具13により加工禁止な領域である加工禁止領域21と、加工工具13により加工可能な領域である加工対象領域22と、に区分けすることができる。加工禁止領域21は、加工後形状データ33により表される上述した完成品形状の外形輪郭を境界として画定される領域である。加工対象領域22は、加工形状データ34により表される上述した加工形状の外形輪郭を境界として画定される領域である。なお、上述した平面加工判定装置46は、加工対象領域22から平面25を抽出する前に、上述した加工基礎データ35に基づいて、加工対象物20の座標系を、多軸加工機7や加工工具13と同一の座標系に変換する。
【0057】
図6(a)に示される実施形態では、加工対象領域22の、加工禁止領域21との境界面を少なくとも一部に含む面が平面25として抽出されている。なお、他の実施形態では、境界面を含まない平面25を抽出してもよい。
【0058】
平面加工判定ステップS102では、上述した平面加工判定装置46は、平面抽出ステップS101で抽出された平面25が多軸加工機7に装着された円板刃133により加工可能か否かを判定する。判定手法については後述する。図6(a)に示されるように、加工対象物20Aの第1平面261、第2平面262および第3平面263は、円板刃133により加工可能な円板刃加工可能面26であり、加工対象物20Aの第4平面271、第5平面272、第6平面273および第7平面274は、円板刃133により可能不能な円板刃加工不能面27である。図6(b)に示されるように、加工対象領域22は、円板刃133により加工可能な領域であって、該加工対象領域22や加工禁止領域21から円板刃133による加工により除去可能な領域である円板刃加工対象領域23と、円板刃133により可能不能な領域である円板刃加工対象外領域24と、に区分け可能である。
【0059】
円板刃加工パス生成ステップS103では、上述したツールパス生成装置47は、平面加工判定ステップS102で加工可能と判定された平面(円板刃加工可能面26)について、円板刃133による加工パス18(円板刃加工パス18A)を生成する。図6(a)に示される実施形態では、ツールパス生成装置47は、円板刃133の加工始点DP1および加工終点DP2を通るとともに第1平面261や第2平面262を形成する第1円板刃加工パス181と、加工始点DP1および加工終点DP2を通るとともに第3平面263を形成する第2円板刃加工パス182と、を生成する。円板刃加工パス18Aは、第1円板刃加工パス181と第2円板刃加工パス182とを含む。
【0060】
ツールパス生成ステップS104では、上述したツールパス生成装置47は、円板刃加工パス18Aを含むツールパス17を生成する。ツールパス17は、図8に示されるような、加工工具13の先端に位置する加工点Eのたどる移動経路である。そして、ツールパス17は、始点DP3から終点DP4までの移動経路中に加工始点DP1および加工終点DP2を通り、加工工具13による加工が行われる複数の加工パス18と、一の加工パス18の終点DP4と他の加工パス18の始点とを繋ぐ移動パス19と、が組み合わされて構成されている。図8に示される実施形態では、移動パス19は、加工パス18の終点DP4から始点DP3までの移動経路中における、加工対象物20と加工工具13との接触を避けるために、加工点Eが加工対象物20から所定間隔D以上離れた点MP1、MP2を通るようになっている。
【0061】
上述したツールパス生成装置47は、平面加工判定ステップS102で加工不能と判定された円板刃加工不能面27(第4平面271、第5平面272、第6平面273および第7平面274)について、角ノミによる加工パス(角ノミ加工パス18B)や振動ノミによる加工パス(振動ノミ加工パス18C)を生成する。つまり、加工対象領域22が円板刃加工対象外領域24を含む場合には、加工パス18は、円板刃加工不能面27を形成するための、角ノミ加工パス18Bや振動ノミ加工パス18Cを含む。図8(b)および(c)に示される実施形態では、ツールパス生成装置47は、図8(b)に示されるように、角ノミ134による加工の始点である角ノミ加工始点HP1、および角ノミ134による加工の終点である角ノミ加工終点HP2を通る角ノミ加工パス18Bを生成する。そして、ツールパス生成装置47は、図8(c)に示されるように、振動ノミ138による加工の始点である振動ノミ加工始点VP1、および振動ノミ138による加工の終点である角ノミ加工終点HP2を通る振動ノミ加工パス18Cを生成する。
【0062】
上述した平面加工判定装置46は、平面抽出ステップS101および平面加工判定ステップS102において、上述した加工基礎データ35を参照する。また、上述したツールパス生成装置47は、円板刃加工パス生成ステップS103およびツールパス生成ステップS104において、上述した加工基礎データ35を参照する。
【0063】
上述したツールパス生成装置47は、ツールパス生成ステップS104において、完成品形状が所定以上の品質となり、且つ加工対象物20の加工にかかる時間が最小になるように、加工パス18と移動パス19とを組合わせて最適なツールパス17を生成する。
【0064】
上述したように、幾つかの実施形態にかかるツールパスの生成方法100は、図5に示されるように、上述した平面抽出ステップS101と、上述した平面加工判定ステップS102と、上述した円板刃加工パス生成ステップS103と、上述したツールパス生成ステップS104と、を備えている。
【0065】
上述したように、本発明者らは、多軸加工機7に装着された円板刃133により加工を、平面25(円板刃加工可能面26)を形成する加工に限定することで、円板刃133による加工パス18(円板刃加工パス18A)の生成が容易であることに着目した。
【0066】
上記の方法によれば、平面加工判定ステップS102で、平面抽出ステップS101において加工対象領域22から抽出された平面25が、多軸加工機7に装着された円板刃133により加工可能な否かを判定する。円板刃133により加工可能と判定された平面である円板刃加工可能面26は、円板刃133により加工するものと特定し、円板刃加工パス生成ステップS103で円板刃加工可能面26の円板刃133による加工パス18を生成する。ツールパス生成ステップS104では、例えば円板刃133による加工パス18(円板刃加工パス18A)と、他の加工パス18(角ノミ加工パス18Bや振動ノミ加工パス18Cなど)や移動パス19とを組み合わせることで、円板刃133による加工パス18を含むツールパス17を生成する。
【0067】
ここで、円板刃133による加工は、例えばエンドミルによる転削加工のような他の加工工具13による加工に比べて、短期間で行うことができる。上記ツールパス17に従って加工を行う多軸加工機7は、円板刃133による加工可能な平面(円板刃加工可能面26)の加工を円板刃133で行うので、全体として加工対象物20の加工速度を向上させることができる。よって、上記の方法によれば、多軸加工機7による加工対象物20の加工速度の向上を図ることができるツールパス17を生成可能である。
【0068】
図9は、一実施形態における平面加工判定ステップのフロー図である。図10は、図9に示す平面加工判定ステップを説明するための図であって、図10(a)は、加工可能と判定される例を示す図であり、図10(b)は、加工不能と判定される例を示す図である。図11は、円板刃により加工可能な形状を説明するための図であって、円板刃により加工可能な形状と円板刃により可能不能な形状とを併せて示す図である。
【0069】
幾つかの実施形態では、上述した平面加工判定ステップS102では、図10(a)、(b)に示されるように、円板刃133の軌跡を仮想した半平面16であって、円板刃133の外周縁(加工点E)がたどる軌跡(第1エッジ161)を境界とする半平面16が、加工禁止領域21に接触する場合には、円板刃133により加工不能と判定し、半平面16が加工禁止領域21に接触しない場合には、円板刃133により加工可能と判定する。
【0070】
より詳細に説明すると、上述した平面加工判定ステップS102は、図9に示されるような判定が行われる。まず、図10(a)、(b)に示されるような第1エッジ161を有する半平面16を定義する(ステップS111)。図10(a)、(b)に示される実施形態では、第1エッジ161は、平面25の一辺を構成するエッジと同じ方向に沿って延在する直線として定義される。図10(a)においては、第1エッジ161は、加工対象物20(20C)から抽出された平面251(平面25)の一辺を構成するエッジ252であって、点E1、E2を両端とするエッジ252と同じ方向に沿って延在する。図10(b)においては、第1エッジ161は、加工対象物20(20E)から抽出された平面255(平面25)の一辺を構成するエッジ256であって、点E6、E7を両端とするエッジ256と同じ方向に沿って延在する。
【0071】
次に、加工対象物20の加工後の形状であるターゲット形状の辺を構成する第2エッジから、未判定の第2エッジを選択する(ステップS112)。
【0072】
ステップS112で選択された第2エッジの両端が、図10(a)に示されるエッジ253の両端に位置する点E3、E4のように、半平面16に対して同じ側に位置する場合には(ステップS113で「YES」の場合)、選択された第2エッジは円板刃133に干渉しないと判定される(ステップS114)。また、ステップS112で選択された第2エッジの両端が、図10(a)に示されるエッジ254の両端に位置する点E3、E5のように、半平面16に対して反対側に位置する場合には(ステップS113で「NO」の場合)、半平面16上に半平面16とエッジ254(第2エッジ)の交点が存在するかを確認する(ステップS115)。エッジ254のように、半平面16上に交点が存在しない場合には(ステップS115で「NO」の場合)、選択された第2エッジは円板刃133に干渉しないと判定される(ステップS114)。ステップS114の後に、未判定の第2エッジが存在する場合には(ステップS117で「YES」の場合)、未判定の第2エッジが存在しなくなるまで判定を繰り返す。ステップS114の後に、未判定の第2エッジが存在しない場合には(ステップS117で「NO」の場合)、上述した抽出された平面251は円板刃133による加工が可能と判定する(ステップS118)。
【0073】
また、ステップS112で選択された第2エッジの両端が、図10(b)に示されるエッジ257の両端に位置する点E8、E9のように、半平面16に対して反対側に位置し(ステップS113で「NO」の場合)、且つエッジ257のように半平面16上に半平面16とエッジ257との交点IPが存在する場合には(ステップS115で「YES」の場合)、上述した抽出された平面255は円板刃133による加工が不能と判定する(ステップS116)。
【0074】
上述した平面加工判定ステップS102における判定によれば、図11に示される加工対象物20(20B~20H)のうち、加工対象物20E~20Hは円板刃133による加工が不能と判定される。また、加工対象物20B~20Dは、加工が可能と判定される。加工対象物20Bは、円板刃133による切落し加工により加工禁止領域21と加工対象領域22が分離される。また、加工対象物20Cは、円板刃133による腰掛け加工により加工禁止領域21と加工対象領域22が分離される。また、加工対象物20Dは、円板刃133による溝加工により加工禁止領域21と加工対象領域22が分離される。
【0075】
円板刃133の軌跡を仮想した半平面16が、加工禁止領域21に接触する場合には円板刃133により加工禁止領域21が加工されてしまうので、適切な加工ではない。これに対して、半平面16が、加工禁止領域21に接触しない場合には、円板刃133は、加工禁止領域21を傷つけずに、加工対象領域22から抽出した平面25を加工できるので、適切な加工である。上記の方法によれば、上記半平面16が加工禁止領域21に接触するか否かにより、加工対象領域22から抽出された平面25が、円板刃133による加工が可能か否かを容易に判定することができる。
【0076】
幾つかの実施形態では、図10(a)、(b)に示されるように、上述した円板刃133の軌跡は、円板刃133を円板刃133の軸(回転軸14の軸線AL)に対して交差する方向に沿って移動させた際に形成される軌跡からなる。この方法によれば、円板刃133の加工する際の動き(軌跡)を、円板刃133の回転軸14の軸線ALに対して交差する方向に沿って移動させる直線状の動き(軌跡)にすることで、円板刃133の軌跡を仮想した半平面16を簡単な形状にできるため、半平面15が加工禁止領域21に接触するか否かを判定が容易である。また、円板刃133の軌跡を単純なものにすることで、平面25の円板刃133による加工パス18の生成が容易になる。
【0077】
図12は、一実施形態にかかるツールパスの生成方法のフロー図であって、領域区分けステップや加工モデル特定ステップを備えるツールパスの生成方法のフロー図である。図13は、加工モデルを説明するための図であって、継手形状や仕口形状が形成された加工対象物の概略斜視図である。
【0078】
幾つかの実施形態では、図12に示されるように、上述したツールパスの生成方法100は、記憶部31に記憶された加工前形状データ32、加工後形状データ33および加工形状データ34のうちの、少なくとも二つのデータに基づいて、加工前の加工対象物20を加工禁止領域21と加工対象領域22とに区分けする領域区分けステップS201をさらに備えている。そして、ツールパスの生成装置4は、図2に示されるように、加工前の加工対象物20を加工禁止領域21と加工対象領域22とに区分け可能な領域区分け装置45(領域区分け部、領域区分け機能)をさらに含んでいる。なお、領域区分け装置45は、ツールパスの生成装置4にインストールされることで、記憶装置42に記憶されて演算装置44により動作するプログラム11であってもよい。また、該プログラム11は、ツールパスの生成装置4の他の装置に記憶されてネットワーク9を介してツールパスの生成装置4上で動作するプログラム11であってもよい。また、上記プログラム11は、例えばHDDやSDカードのような、コンピュータ読み取り可能な記録媒体10(図2参照)であって、入出力装置41を介してツールパスの生成装置4と電気的に接続される記録媒体10に記憶されていてもよい。この場合には、記憶部31が加工前形状データ32、加工後形状データ33および加工形状データ34のうちの一つのデータを記憶していなくても、上述したツールパスの生成方法100を実行可能である。
【0079】
幾つかの実施形態では、図12に示されるように、上述したツールパスの生成方法100は、記憶部31に記憶された加工前形状データ32、加工後形状データ33および加工形状データ34のうちの、少なくとも二つのデータに基づいて、予め作成された複数の加工モデルから一の加工モデルを特定する加工モデル特定ステップS301をさらに備えている。そして、上述したツールパス生成ステップS104では、加工モデル特定ステップS301で特定された加工モデルの加工手順に従い、ツールパス17が形成される。そして、データベース3の記憶部31は、図2に示されるように、加工モデルデータ36、および加工モデルデータ36に関連付けられたツールパスモデルデータ37を記憶するようになっている。
【0080】
加工モデルデータ36は、図13に示される加工対象物20(20I~20N、20P)における接合部28(28A~28I)のような、仕口や継手を含む接合部のモデル形状データである。ツールパスモデルデータ37は、接合部のモデル形状データ毎に、該モデル形状を生成するためのツールパス17、加工手順、加工手順毎の加工工具の送り速度や多軸加工機の移動速度などの情報を含んでいる。
【0081】
上記の方法によれば、加工モデル特定ステップS301で、加工対象物20の加工前形状データ32、加工後形状データ33および加工形状データ34から、例えば加工対象領域22の外形輪郭(加工形状)などを特定し、複数の加工モデルから上記加工形状に最も類似する一の加工モデルを特定できる。該加工モデルの加工手順に従いツールパス17を生成することで、加工形状毎に加工手順を決める必要がなくなるため、ツールパス17の生成が容易になる。
【0082】
幾つかの実施形態では、上述したツールパスの生成方法100は、図10(a)、(b)に示されるように、上述した平面抽出ステップS101では、加工対象領域22の輪郭を構成する平面25Aが抽出される。上記の方法によれば、平面抽出ステップS101で、抽出される平面25を加工対象領域22の輪郭を構成する平面25Aに限定することで、平面抽出ステップS101における平面25の抽出が容易になるため、円板刃133による加工パス18の生成をさらに容易なものにすることができる。
【0083】
幾つかの実施形態では、上述したツールパスの生成方法100において、図3に示されるように、上述した多軸加工機7は、6軸以上の回転軸(回転軸701~706)を有する多軸ロボット7Aを含む。6軸以上の回転軸(回転軸701~706)を有する多軸ロボット7Aに装着された円板刃133は、自由度が高いので、上記円板刃133による加工パス18、および該加工パス18を含むツールパス17の生成は困難である。上記の方法によれば、上述したように、上記多軸ロボット7Aに装着された円板刃133による加工を、平面25を形成する加工に限定することで、上記円板刃133の加工パス18、および該加工パス18を含むツールパス17の生成が容易である。
【0084】
上述したように、幾つかの実施形態にかかるツールパスの生成装置4は、上述した平面加工判定装置46(平面加工判定部)と、上述したツールパス生成装置47(ツールパス生成部)と、を備える。
【0085】
上記の構成によれば、ツールパスの生成装置4は、平面加工判定装置46(平面加工判定部)により、加工対象領域22に含まれる平面25が、多軸加工機7に装着された円板刃133により加工可能な否かを判定する。ツールパス生成装置47(ツールパス生成部)は、円板刃133により加工可能と判定された平面である円板刃加工可能面26が、円板刃133により加工されるものと特定し、円板刃加工可能面26の円板刃133による加工パス18を生成する。そして、ツールパス生成装置47(ツールパス生成部)は、円板刃133による加工パス18を含むツールパス17を生成する。
【0086】
上記ツールパス17に従って加工を行う多軸加工機7は、円板刃133による加工可能な平面(円板刃加工可能面26)の加工を円板刃133で行うので、全体として加工対象物20の加工速度を向上させることができる。よって、上記の構成によれば、ツールパスの生成装置4は、多軸加工機7による加工対象物20の加工速度の向上を図ることができるツールパス17を生成可能である。
【0087】
上述したように、幾つかの実施形態にかかるプログラム11を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体10は、ツールパスの生成装置4(コンピュータ)に、上述した平面加工判定装置46による機能である平面加工判定機能と、上述したツールパス生成装置47による機能であるツールパス生成機能と、を実現させる。
【0088】
上記の構成によれば、記録媒体10からプログラム11を読み込んだツールパスの生成装置4(コンピュータ)は、平面加工判定機能により、加工対象領域22に含まれる平面25が、多軸加工機7に装着された円板刃133により加工可能な否かを判定する。そして、ツールパスの生成装置4(コンピュータ)は、ツールパス生成機能により、円板刃133により加工可能と判定された平面である円板刃加工可能面26が、円板刃133により加工されるものと特定し、円板刃加工可能面26の円板刃133による加工パス18を生成する。さらに、ツールパスの生成装置4(コンピュータ)はツールパス生成機能により、円板刃133による加工パス18を含むツールパス17を生成する。
【0089】
上記ツールパス17に従って加工を行う多軸加工機7は、円板刃133による加工可能な平面(円板刃加工可能面26)の加工を円板刃133で行うので、全体として加工対象物20の加工速度を向上させることができる。よって、上記の構成によれば、記録媒体10からプログラム11を読み込んだツールパスの生成装置4(コンピュータ)は、多軸加工機7による加工対象物20の加工速度の向上を図ることができるツールパス17を生成可能である。
【0090】
上述したように、幾つかの実施形態にかかるプログラム11は、ツールパスの生成装置4(コンピュータ)に、上述した平面加工判定装置46による機能である平面加工判定機能と、上述したツールパス生成装置47による機能であるツールパス生成機能と、を実現させる。
【0091】
上記の構成によれば、プログラム11を読み込んだツールパスの生成装置4(コンピュータ)は、平面加工判定機能により、加工対象領域22に含まれる平面25が、多軸加工機7に装着された円板刃133により加工可能な否かを判定する。そして、ツールパスの生成装置4(コンピュータ)は、ツールパス生成機能により、円板刃133により加工可能と判定された平面である円板刃加工可能面26が、円板刃133により加工されるものと特定し、円板刃加工可能面26の円板刃133による加工パス18を生成する。さらに、ツールパスの生成装置4(コンピュータ)はツールパス生成機能により、円板刃133による加工パス18を含むツールパス17を生成する。
【0092】
上記ツールパス17に従って加工を行う多軸加工機7は、円板刃133による加工可能な平面(円板刃加工可能面26)の加工を円板刃133で行うので、全体として加工対象物20の加工速度を向上させることができる。よって、上記の構成によれば、プログラム11を読み込んだツールパスの生成装置4(コンピュータ)は、多軸加工機7による加工対象物20の加工速度の向上を図ることができるツールパス17を生成可能である。
【0093】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0094】
1 加工システム
2 CAD装置
3 データベース
4 ツールパスの生成装置
4A CAM装置
6,6A,6B ポストプロセッサ
7 多軸加工機
8 シミュレーション装置
9 ネットワーク
10 記録媒体
11 プログラム
12 設置面
13 加工工具
130,130A~130D 加工ユニット
14 回転軸
20 加工対象物
21 加工禁止領域
22 加工対象領域
23 円板刃加工対象領域
24 円板刃加工対象外領域
25 平面
26 円板刃加工可能面
27 円板刃加工不能面
28 接合部
31 記憶部
32 加工前形状データ
33 加工後形状データ
34 加工形状データ
36 加工モデルデータ
37 ツールパスモデルデータ
41 入出力装置
42 記憶装置
43 表示装置
44 演算装置
45 領域区分け装置
46 平面加工判定装置
47 ツールパス生成装置
100 ツールパスの生成方法
133 円板刃
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13