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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】光合波装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20220317BHJP
【FI】
G02B6/12 331
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020108303
(22)【出願日】2020-06-24
(62)【分割の表示】P 2016009154の分割
【原出願日】2016-01-20
(65)【公開番号】P2020154335
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2020-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】515332285
【氏名又は名称】フォトンリサーチ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517146655
【氏名又は名称】株式会社ネクスティエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】成沢 潤
(72)【発明者】
【氏名】笠原 健
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-250118(JP,A)
【文献】国際公開第2015/170505(WO,A1)
【文献】特開昭62-085204(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0036737(US,A1)
【文献】特開2003-344721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12-6/14
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RGBを含む3以上の所定数の波長の光を任意の順番で各々入射させる入射口と、
前記所定数の入射口から入射された光を出射させる単一の出射口と、
前記入射された光を前記出射口に導くPLC(Planar Lightwave Circuit)の光導波路と、
を備え、
前記光導波路は、一端が前記入射口であり、前記入射された光を各々個別に導く前記所定数の個別導波路と、当該個別導波路の前記一端とは反対の他端の各々と接続されて前記個別導波路によりそれぞれ導かれた光を前記出射口に導く単一の合流導波路とからなり、
前記所定数の個別導波路は、それぞれ、入射された光を反射する折曲部を有する折線状に設けられ、
前記折曲部は、前記所定数の個別導波路の各々について一つずつ設けられ、
前記合流導波路は、少なくとも最も前記出射口側の合波位置と出射口との間の所定位置よりも前記出射口から離れた側では直線状の、前記折線状又は直線状に設けられ、当該合流導波路と前記個別導波路の各々との接続部分において前記所定数の個別導波路が前記合流導波路の延在方向から0.75度以上かつ3.0度以下の所定の角度範囲内でそれぞれ接続されることで、前記所定数の入射口から入射された光を合波する
ことを特徴とする光合波装置。
【請求項2】
前記所定数の入射口は、前記出射口が設けられた出射面と直交する方向について少なくとも2箇所の異なる位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光合波装置。
【請求項3】
記合流導波路は、直線状に設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2記載の光合波装置。
【請求項4】
前記折曲部のうち少なくとも一つの側面は、当該折曲部よりも前記出射口の側における前記光導波路の前記折曲部からの延在方向に直交する面内における少なくとも所定の一軸方向について、前記側面に入射した光の拡散を抑制するように反射する形状を有することを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の光合波装置。
【請求項5】
前記折曲部のうち少なくとも一つの側面は、当該折曲部よりも前記出射口の側における前記光導波路の前記折曲部からの延在方向及び少なくとも前記所定の一軸方向を含む面内において曲率を有する凹面をなすことを特徴とする請求項4記載の光合波装置。
【請求項6】
前記折曲部のうち少なくとも一つの側面は、少なくとも前記所定の一軸方向について、予め定められた発散角で前記側面に入射した光を前記折曲部よりも前記出射口の側における前記光導波路の前記折曲部からの延在方向に沿った方向に反射することを特徴とする請求項4又は5記載の光合波装置。
【請求項7】
前記折曲部の側面には、入射した光を反射させる鏡面部材が設けられていることを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の光合波装置。
【請求項8】
前記個別導波路のそれぞれにおいて前記入射口から当該入射口に最も近い側の前記折曲部までの上流導波路は、所定の前記上流導波路に対して各々平行又は垂直に設けられていることを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の光合波装置。
【請求項9】
前記光導波路は、単一平面上に設けられていることを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の光合波装置。
【請求項10】
前記折曲部は、前記所定数の個別導波路の各々について一つずつ設けられ、
前記合流導波路は、直線状に設けられ、
前記所定数の個別導波路のそれぞれにおいて前記折曲部から前記接続部分までの下流導波路は、各々前記合流導波路の延在方向に対して所定の角度差ずつ異なる角度で当該合流導波路に接続されている
ことを特徴とする請求項9記載の光合波装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数波長の光を合波する光合波装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RGB各色のレーザー光を出射してカラー画像を表示させるプロジェクタ装置や、可視光と赤外光(IR光)とを用いてセンシングを行う診断装置といった複数波長のレーザー光を用いる種々の装置がある。これらの装置では、通常、複数波長のレーザー光は、各々の波長の光を発生させるレーザー光源から別個に出射され、光合波装置(合波器)を用いて合波されて一本のビームとして出力される。
【0003】
合波器としては、例えば、光の入出力に光導波路(導光路)を用い、入射光に各々対応する波長の光のみを反射して他の波長の光を通過させる複数のフィルタ(ダイクロイックフィルタ)を出力射線上に配置し、各ダイクロイックフィルタに対し、各々対応する波長の光を入射させるものが知られている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-164109号公報
【文献】特開2006-003673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のようなフィルタを用いると、フィルタを透過する際のエネルギー損失が無視出来ない。また、所望の波長の光の反射率と他の波長の光の透過率とを両立させるためにフィルタのサイズやコストが上昇したりするという課題がある。
【0006】
この発明の目的は、容易な構成且つ低損失で複数波長の光を合波することの出来る光合波装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の光合波装置は、
RGBを含む3以上の所定数の波長の光を任意の順番で各々入射させる入射口と、
前記所定数の入射口から入射された光を出射させる単一の出射口と、
前記入射された光を前記出射口に導くPLC(Planar Lightwave Circuit)の光導波路と、
を備え、
前記光導波路は、一端が前記入射口であり、前記入射された光を各々個別に導く前記所定数の個別導波路と、当該個別導波路の前記一端とは反対の他端の各々と接続されて前記個別導波路によりそれぞれ導かれた光を前記出射口に導く単一の合流導波路とからなり、
前記所定数の個別導波路は、それぞれ、入射された光を反射する折曲部を有する折線状に設けられ、
前記折曲部は、前記所定数の個別導波路の各々について一つずつ設けられ、
前記合流導波路は、少なくとも最も前記出射口側の合波位置と出射口との間の所定位置よりも前記出射口から離れた側では直線状の、前記折線状又は直線状に設けられ、当該合流導波路と前記個別導波路の各々との接続部分において前記所定数の個別導波路が前記合流導波路の延在方向から0.75度以上かつ3.0度以下の所定の角度範囲内でそれぞれ接続されることで、前記所定数の入射口から入射された光を合波する
ことを特徴とする光合波装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明に従うと、複数波長の光を容易な構成且つ低損失で合波させることが出来るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】合波器の外観を示す斜視図である。
図2】光導波路の構成を示す模式図である。
図3】光導波路内の反射面について説明する図である。
図4】合波器の変形例を示す斜視図である。
図5】光導波路の構成の変形例を示す模式図である。
図6】光導波路の構成の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の光合波装置の実施形態である合波器1の全体構成を示す外観図である。
【0011】
合波器1は、特には限られないが、直方体形状を有する筐体構造をなし、長辺に沿った側面(ここでは、一のYZ面内平面;入射面E)に複数(2以上の所定数)、ここでは4つの入射口E1~E4が一の直線上に設けられ、短辺に沿った側面(XZ面内)であって、入射面Eと直交する面(出射面A)に単一の出射口A1が設けられている。即ち、入射口E1~E4は、各々出射面Aからの当該出射面Aに直交する方向(Y軸に沿った方向)について互いに異なる(少なくとも2箇所の異なる)位置に設けられている。筐体構造の長辺の長さ(Y軸方向に沿った長さ)は、各入射口E1~E4から入射されるレーザー光の光源(レーザー光源)、ここでは、レーザーダイオード(LD)のサイズに応じて4つのレーザー光源(LD)が配列可能な間隔に定められる。
【0012】
図2は、本実施形態の合波器1の内部における光導波路を説明する模式図である。この模式図で示された平面は、図1の合波器1において、各入射口E1~E4及び出射口A1を含み、高さ(Z軸)方向に対して直交する面(XY面)で切断した面である。ここでは、説明上光導波路の配置の特徴を誇張して示している。
【0013】
入射口E1~E4は、各々別個の4本の光導波路G1~G4(個別導波路)の一端をなしており、これら複数の光導波路G1~G4は、出射口A1の手前の位置で光導波路Gs(合流導波路)の一端付近にて合流する(接続される)ように設けられている。光導波路Gsは、上述の一端付近が広く、途中までX軸に沿った方向(X方向)についてテーパー状に断面サイズが縮小する直線状に設けられ、当該一端とは反対側の他端が出射口A1となっている。光導波路G1~G4は、入射口E1~E4からX方向に光導波路G11、G21、G31、G41(上流導波路)として各々異なる距離直進した後、ほぼY軸に沿った方向(Y方向)に一度折れ曲がり、光導波路Gsの延在方向、即ち、出射面Aの法線方向に対して所定の角度範囲内で光導波路G12、G22、G32、G42(下流導波路)として光導波路Gsの一端付近に接続される折線状となっている。
【0014】
光導波路としては、光(ここでは、単一横モード(Single Transverse Mode;STM))を低損失で伝送可能であれば特に限られず、例えば、中空導光路や媒質としてガラス材(シリコン)が用いられたPLC(Planar Lightwave Circuit)などが挙げられる。このような構造は、例えば、シリコン基板上に周知の半導体製造プロセスを用いて形成され得る。特に、入射口E1~E4及び出射口A1が単一平面上に設けられることで、光導波路G1~G4、Gsを全て単一層上に形成することが出来る。
【0015】
光導波路G1~G4に各々1つずつ設けられた折曲部G1r~G4rは、入射口E1~E4から入射されたレーザー光が各々反射面R1~R4で出射口A1の方向へ全反射されるように構成されている。ここでは、反射面R1~R4には、例えば、アルミニウムの薄膜などが鏡面部材として設けられている。各入射口E1~E4に入射されるレーザー光の波長及びその順番は、特には限られず、例えば、RGB3色と近赤外線(NIR)が用いられる。
【0016】
反射面R1~R4における反射角(反射面R1~R4の法線と反射光のなす角度)は、出射口A1から反射面R1~R4までの距離が小さいほど大きくなるように、即ち、出射面Aに対する入射角度(出射面Aの法線と入射光のなす角度)が僅かずつ大きくなるように定められている。光導波路G1~G4の太さ(断面のサイズ)は、Y軸方向への長さと比較して十分に小さく、反射面R1~R4における反射角の違いは、例えば、0.25~1.0度程度の微小角度(所定の角度差)に定められる。従って、光導波路G12~G42は、光導波路Gsとの接続部分において、当該光導波路Gsの延在方向、即ち、出射面Aの法線方向に対して0.75~3.0度程度(所定)の角度範囲内で互いに異なる向きとなる。このような配置により、光導波路G1~G4に入射された各波長のレーザー光は、互いに平行に近い角度で光導波路Gsに導かれることで、当該光導波路Gsで合波されて、出射口A1から出射される。
【0017】
図3は、光導波路内の反射面について説明する図である。ここでは、反射面R1を例に挙げて説明するが、他の反射面R2~R4も同様の構造とすることが出来る。
【0018】
光導波路G1の折曲部G1rにおいて、反射面R1は、少なくとも所定の一軸方向への発散を抑制するように、ここでは、図面に平行な面(XY面)内、即ち、上述の一軸方向(ほぼX方向)と光導波路G12の延在方向(ほぼY方向)とを含む面内で僅かに凹面形状を有している。レーザー光は、通常、入射口E1に入射しないことによる損失を防ぐために結合レンズにより集光されて入射口E1に導入される。この入射光は、発散しながら反射面R1に導かれるので、反射面R1は、反射光の当該発散を抑制し、特に、予め定められた発散角で反射面R1に入射する光の反射光を直接光導波路Gs、更には出射口A1に向かう略平行光とすることで光導波路G1の側面における反射回数を低減させ、理想的には、ゼロとする。これにより、レーザー光の伝送に係る損失をより低減させることが出来る。ここでは、例えば、レーザー光源からの入射光の遅軸(slow axis)方向をY軸方向に一致させることで、当該遅軸方向には光導波路G1におけるレーザー光の反射を反射面R1での1回のみ又はこれに準じる程度とし、また、Z軸方向と一致する速軸(fast axis)方向の拡散率を低減させて光導波路G1の内部におけるレーザー光の反射回数を低
下させる。
【0019】
図4は、合波器1の変形例を示す図である。
図4(a)に示すように、入射口E1~E8は、出射面Aに対して直交し且つ互いに直交する2つの入射面E、Eaにそれぞれ4つずつ設けられている。この合波器1は、このように複数の入射面E、Eaに設けられた入射口からの光も、同様に筐体内で一回約90度反射される個別導波路を各々用い、単一の合流導波路を介して出射口A1に導かれるように構成される。入射面Eaに設けられた入射口E5~E8から入射したレーザー光は、Z軸に沿って負の方向(-Z方向)に進んだ後に約90度反射され、Y方向に導かれる。即ち、XY面内における入射口E1~E4から入射した光を導く光導波路と同一の構成がYZ面内に設けられれば良い。このとき、入射口E1、E5から出射口A1までの光導波路の位置(折曲部及び当該折曲部から出射口A1まで)が重複しないように、全ての反射角は45度より大きく設定される。
【0020】
また、図4(b)に示すように、一の入射面Eに設けられた入射口E1b~E4bは、一の直線上に配置されていなくても良い。この場合、入射口E1b~E4bから光導波路G1~G4をX方向に進むレーザー光は、反射面R1~R4でY方向だけでなくZ方向成分を伴って反射されることで、出射口A1に連通する単一の光導波路に略平行な光として導かれて合波され、出射口A1から出射される。
【0021】
図5及び図6は、合波器1の光導波路の構成の変形例を示す模式図である。
図5(a)に示すように、出射面Aに対して直交し且つ互いに平行な2面を入射面E、Ecとして入射口E1~E4、E1c~E3cが設けられても良い。この場合、光導波路G1c~G3cは、XY面内で光導波路G12に対して光導波路G2~G4と対称に設けられ、光導波路Gscを介して単一の出射口A1に連通する。即ち、全ての光導波路G1~G4、G1c~G3c、Gscは、単一のXY面内に形成され得る。
【0022】
ここでは、入射口E1cは、入射口E2と対向する位置に設けられ、光導波路G11cを通ったレーザー光は、折曲部G1rcにおいて反射面R1cで光導波路G12cの延在方向(例えば、反射角45.5度)に反射されて光導波路Gscに導かれる。入射口E2cは、入射口E3と対向する位置に設けられ、光導波路G21cを通ったレーザー光は、折曲部G2rcにおいて反射面R2cで光導波路G22cの延在方向(例えば、反射角46.0度)に反射されて光導波路Gscに導かれる。入射口E3cは、入射口E4と対向する位置に設けられ、光導波路G31cを通ったレーザー光は、折曲部G3rcにおいて反射面R3cで光導波路G32cの延在方向(例えば、反射角46.5度)に反射されて光導波路Gscに導かれる。
【0023】
なお、ここでは、入射面Eの入射口E1から入射した光が反射面R1において反射角45.0度で反射され、入射面Ecには、反射角45.0度で反射されるレーザー光の入射口が設けられないこととしたが、筐体のどちら側にも反射角45.0度で反射されるレーザー光の入射口を設けず、両側から、例えば、最小反射角45.25度で同数の入射口を入射させるように形成されても良い。
【0024】
また、図5(b)に示すように、反射角が45度未満に形成されるものが含まれても良い。
ここでは、入射口E4から光導波路G4d(G41d)に入射したレーザー光は、折曲部G4rdにおいて反射面R4dにより反射角45.0度で光導波路G42dの延在方向に反射されて、光導波路Gsdに導かれる。入射口E3から光導波路G3d(G31d)に入射したレーザー光は、光導波路G41dより長い距離進んだ後、折曲部G3rdにおいて反射面R3dにより反射面R4dより小さい反射角、例えば、44.5度で光導波路G32dの延在方向に反射され、光導波路Gsdに導かれる。入射口E2から光導波路G2d(G21d)に入射したレーザー光は、光導波路G31dより長い距離進んだ後、折曲部G2rdにおいて反射面R2dにより反射面R3dより小さい反射角、例えば、44.0度で光導波路G22dの延在方向に反射され、光導波路Gsdに導かれる。また、入射口E1から光導波路G1d(G11d)に入射したレーザー光は、光導波路G21dより長い距離進んだ後、折曲部G1rdにおいて反射面R1dにより反射面R2dよりも小さい反射角、例えば、43.5度で光導波路G12dの延在方向に反射され、光導波路Gsdに導かれる。各波長のレーザー光は、光導波路Gsdで合波されて出射口A1から出射される。
【0025】
また、図6に示すように、図2に示した実施形態の合波器1における光導波路Gsの代わりに、途中に折曲部Gsreを有する光導波路Gseが設けられることで、合波器1eは、レーザー光の入射面Eと平行な出射面Aeに設けられた出射口A1eからレーザー光の入射方向と同一方向にレーザー光が出射される構成とされても良い。
【0026】
以上のように、本実施形態の合波器1は、4つの波長のLDからの光を各々入射させる入射口E1~E4と、4つの入射口E1~E4から入射された光を出射させる単一の出射口A1と、入射された光を各々個別に導く4つの光導波路G1~G4と、光導波路G1~G4に接続されてこれら光導波路G1~G4で導かれた光を出射口A1に導く光導波路Gsと、を備え、4つの光導波路G1~G4は、それぞれ、入射された光を反射面R1~R4で反射する折曲部G1r~G4rを有する折線状に設けられ、光導波路Gsは、折線状又は直線状に設けられている。また、光導波路G1~G4のそれぞれにおいて最も出射口A1に近い反射面R1~R4から出射口A1までの光導波路G12~G42(下流導波路)が光導波路Gsの延在方向に対して所定の角度範囲内で当該光導波路Gsに接続されることで、各光導波路G1~G4に入射された4つの光が光導波路Gsで合波されている。
このように、各々別個の光導波路G1~G4で互いに平行に近い角度で各波長の光を光導波路Gsで合流させて、出射口A1に光を導くことで、所望の波長の光のみを反射させるダイクロイックフィルタを用いる必要がなく、合波に係る構成が容易になり、また、小型化し易くなる。また、ダイクロイックフィルタでの吸収散乱を考慮する必要がなくなるので、エネルギー損失(光強度の低下)が低減される。また、光導波路G1~G4、Gsは、折曲部G1r~G4r以外では、直線状に形成されるので、曲線と比較して必要以上に反射の回数を増加させず、エネルギー損失を低減することが出来る。
【0027】
また、4つの入射口E1~E4は、出射口A1が設けられた出射面Aと直交する方向について異なる位置に設けられている。
入射口E1~E4から入射させるレーザー光を出射するレーザー光源(レーザーダイオード)は、出射方向に対して垂直な面内でも場所を必要とするので、複数のレーザー光源が配列される方向に入射光を折り曲げてその先の出射面Aに出射口A1を設けることで、レーザー光源の配列に必要な長さを有効に生かして相対的な角度差の小さい略平行な複数の光導波路G12~G42を出射口A1に繋げることが出来る。
【0028】
また、折曲部G1r~G4r及び反射面R1~R4は、4つの光導波路G1~G4の各々について一つずつ設けられ、光導波路Gsは直線状に設けられているので、最小限の反射回数でエネルギー損失を抑え、且つ容易に効率良く合波器1を形成することが出来る。
【0029】
また、折曲部G1r~G4rの反射面R1~R4は、当該反射面R1~R4よりも出射口A1側における光導波路G12~G42の折曲部G1r~G4rからの延在方向に直交する面内における少なくとも所定の一軸方向、ここでは、入射光の遅軸方向について、反射面R1~R4に入射した光の拡散を抑制するように反射させる形状を有する。従って、合波器1は、発散の少ない複数波長のレーザー光を合波して精度良く出力することが出来る。また、光導波路G12~G42内での反射回数を低減させるので、よりエネルギー損失を低減させることが出来る。また、内部でレーザー光を収束させるので、相対的に入射光の軸合わせが従来よりも容易になる。
【0030】
また、折曲部G1r~G4rの反射面R1~R4は、当該反射面R1~R4よりも出射口A1側における光導波路G12~G42の折曲部G1r~G4rからの延在方向及び所定の一軸方向(遅軸方向)を含む面内において曲率を有する凹面をなす。従って、特に、半導体製造プロセスを用いて、容易且つ高精度に遅軸方向に略平行な光を出射口A1から出力させることが出来る合波器1を得ることが出来る。
【0031】
また、折曲部G1r~G4rの反射面R1~R4は、少なくとも所定の一軸方向(遅軸方向)について、予め定められた発散角で反射面R1~R4に入射した光を当該反射面R1~R4よりも出射口A1側における光導波路G12~G42の折曲部G1r~G4rからの延在方向に沿った方向に反射する。これにより、光導波路G12~G42内を導かれるレーザー光の遅軸方向についての反射を抑えることが出来る。従って、容易な構成で入射光のエネルギー損失を最低レベルに抑えながら合波して出射させることが出来、必要な出力精度などに応じて結合レンズやコリメートレンズなどを省略することが可能になる。よって、複数波長の光を合波して出力する構成のサイズやコストを更に低減させることが出来る。
【0032】
また、折曲部G1r~G4rの反射面R1~R4には、入射した光を反射させる鏡面部材が設けられている。これにより、入射角を制限しなくてもクラッドなどを透過することなく確実に入射光を反射させて出射口A1の方向へ導くことが出来る。
【0033】
また、光導波路G1~G4のそれぞれにおいて入射口E1~E4から当該入射口E1~E4に最も近い側の反射面R1~R4までの光導波路G11~G41(上流導波路)は、所定の光導波路(例えば、G11)に対して各々平行又は垂直に設けられている。これにより、当該入射口E1~E4に対してレーザー光を入射させるレーザー光源を合波器1に対して容易且つ精密に配置しやすくなる。
【0034】
また、4つの光導波路G1~G4及び光導波路Gsは、単一平面上に設けられている。これにより、光導波路G1~G4、Gsの形成及び反射面R1~R4の形成が一の層にまとめて可能となるので、半導体製造プロセスを用いて、より容易且つ正確にこれらを配置することが出来る。また、レーザー光源との相対位置合わせが高さ方向について一様にすることが出来るので、より容易になる。
【0035】
また、反射面R1~R4は、4つの光導波路G1~G4の各々について一つずつ設けられ、光導波路Gsは、直線状に設けられ、光導波路G1~G4のそれぞれにおいて反射面R1~R4で反射された光を光導波路Gsへ導く光導波路G12~G42は、各々光導波路Gsの延在方向に対して所定の角度差ずつ異なる角度で光導波路Gsに接続されている。このように均等にバランス良く光導波路G1~G4が光導波路Gsに対して配置されるので、各波長の光を適切な強度及び拡散の度合で合波して出力させることが出来る。
【0036】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、直方体形状の筐体に入射口、出射口及び光導波路が設けられた例を示したが、直方体形状に限られるものではなく、合波器の配置スペース及び所望の出射方向に応じて他の形状であっても良い。即ち、出射面Aと入射面Eとは、必ずしも直交していなくても良い。
【0037】
また、上記実施の形態では、反射面R1~R4に鏡面部材を設けることで入射光を全反射させたが、入射口から入射する光の反射面R1~R4への入射角が十分に大きく、光導波路G1~G4のコアとクラッドとの間の屈折率の比により確実に全反射可能であれば、鏡面部材を別途設けなくても良い。
【0038】
また、上記実施の形態では、反射面R1~R4により光導波路G1~G4において一回のみ反射させることとしたが、光導波路中に2つ以上の反射面が設けられることを妨げない。但し、通常、反射面の数が少ない方が容易に精度良く光導波路を形成しやすい。
【0039】
また、この場合、全ての反射面が凹面形状である必要はない。例えば、略平行光とされた光を再度反射する反射面は、単純に平面で良い。
【0040】
また、上記実施の形態では、光導波路G1~G4は、出射口A1から等距離の位置で光導波路Gsに合流するように形成されたが、これに限られない。光導波路G1~G4がY方向について異なる位置で順次光導波路Gsに接続されても良い。
【0041】
また、上記実施の形態では、反射面R1~R4をXY平面内で凹面形状となるように形成したが、入射光の角度が十分に平行になる場合などでは、平面であっても良いし、平面状の反射面を複数(例えば3枚)、凹部を形成するように配置しても良い。また、凹面形状による集光方向は、合波器1とレーザー光源との位置関係によるので、レーザー光源を90度回転させて配置させる場合には、速軸方向に集光されることになる。但し、表面実装されるレーザーダイオードなどが通常配置される方向に対応して当該通常配置時に遅軸方向に集光されるように合波器1が形成されて良い。また、集光方向を示す目盛や標識などを入射口に設けても良い。
【0042】
また、上記実施の形態では、入射口の数が4、7、8の場合を例に挙げて説明したが、これらに限られるものではない。また、本発明の光合波装置に係る複数の入射口に入射される光の波長の順番は、何れの場合であっても特に限定されない。但し、反射部材をより適切に異ならせる場合などで、特定の入射口に対して特定の波長の光を入力させることに限定しても良い。
【0043】
また、上記実施の形態では、光導波路G12~G42が0.5度間隔で配置されたが、必ずしも均等な間隔で配置される必要はなく、また、これに伴って、全ての光導波路G1~G4がY方向について同一の位置で光導波路Gsに合流しなくても良い。
【0044】
また、光導波路の断面(入射光の進行方向に垂直な面)のサイズやその縦横比は、適宜設定され得る。例えば、入射されるレーザー光の光軸が定められている場合には、速軸方向のサイズと遅軸方向のサイズとを所定の比で異ならせても良い。
その他、上記実施の形態で示した構成や構造などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 合波器
A、Ae 出射面
A1、A1e 出射口
E、Ea、Ec 入射面
E1~E11、E1b~E4b、E1c~E3c 入射口
G1~G4、G1c~G3c 光導波路
G11~G41、G11c~G31c、G12~G42、G12c~G32c 光導波路
G1r~G4r、G1rc~G3rc、G1rd~G4rd、Gsre 折曲部
Gs、Gsc、Gsd、Gse 光導波路
R1~R4、R1c~R3c、R1d~R4d 反射面
図1
図2
図3
図4
図5
図6