(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】コンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置及び潤滑層活性化方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/04 20060101AFI20220317BHJP
E04G 21/20 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
E04G21/04
E04G21/20
(21)【出願番号】P 2020511808
(86)(22)【出願日】2018-02-28
(86)【国際出願番号】 KR2018002431
(87)【国際公開番号】W WO2019168216
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】513126219
【氏名又は名称】ミョンジ ユニバーシティ インダストリー アンド アカデミア コーオペレイション ファウンデーション
(73)【特許権者】
【識別番号】520060597
【氏名又は名称】ケミウス コリア コーポレーション リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】510266251
【氏名又は名称】株式会社ケミウスジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【氏名又は名称】地代 信幸
(72)【発明者】
【氏名】キム ユスン
(72)【発明者】
【氏名】クォン スンヒ
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-213079(JP,A)
【文献】特開2017-102059(JP,A)
【文献】特開平11-343738(JP,A)
【文献】特開平6-322986(JP,A)
【文献】実開昭60-115336(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/04
E04G 21/20
E04G 21/02
F04B 15/02
B65G 53/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管に圧送されるコンクリートの単位面積当たりの圧力を測定する配管内圧センサーと、
コンクリート圧送配管の内壁面にコンクリートの流動を活性化させる薬液を全周に亘って注入させる薬液注入ユニットと、
薬液注入ユニットに定量の薬液を供給する薬液ポンピングユニットと、
上記のコンクリート圧送配管の寸法及びコンクリート物性そしてコンクリート流動量でコンクリート単位面積当たりの予想圧力を算出し、上記の配管内圧センサーで測定された配管内圧が上記の予想圧力より高いときには上記の薬液ポンピングユニットを作動させ、上記の配管内圧センサーで測定された上記の配管内圧が上記の予想圧力より低いときに上記の薬液ポンピングユニットの作動を中止させる制御ユニットと、
を含んだことを特徴とするコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置。
【請求項2】
上記の薬液は、コンクリート混和剤若しくはセメントペーストを含むものを特徴とする請求項1に記載のコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置。
【請求項3】
上記の薬液注入ユニットは、コンクリートが排出される圧送配管と連結される第一連結手段が、片側に備えられる第一パイプと、
外径の半径が上記第一パイプの内径の半径より1~3mm漸次的に縮小される縮小吐出口が片側に備えられ、コンクリートが流入される圧送配管と連結される第二連結手段が、他側に備えられる第二パイプと、
上記の第一パイプ他側と上記の第二パイプの片側を連結させるが、上記の第一パイプの他側及び上記の第二パイプの縮小吐出部の間の環形スリット(slit)に薬液を供給する少なくとも二つ以上の薬液注入口が外柱部に均一に配置される薬液注入連結口と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置。
【請求項4】
上記の薬液注入ユニットは、コンクリートが流入される圧送配管と連結される第三連結手段が、片側に備えられる第三パイプと、
内径の半径が上記の第三パイプの外径の半径より1~3mm大きくなるよう、漸次的に拡大される拡大流入部が片側に備えられ、コンクリートが排出される圧送配管と連結される第四連結手段が他側に備えられる第四パイプと、
上記の第三パイプの他側と上記の第四パイプの片側を連結させるが、上記第三パイプの他側及び上記第四パイプの上記の拡大流入部間の環形スリット(slit)に薬液を供給する少なくとも二つ以上の薬液注入口が外柱部に均一に配置される薬液注入連結口と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート圧送配管の潤滑層の活性化装置。
【請求項5】
上記の薬液ポンピングユニットは、上記の薬液注入ユニットに供給される上記の薬液の逆流を防止するチェックバルブ、上記の薬液注入ユニットに定量の上記薬液を供給するためのピストン方式の薬液ポンプ、上記の薬液を攪拌させ、貯蔵する薬液貯蔵部を含むことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置。
【請求項6】
上記の制御ユニットは、コンクリートの流動量で上記の薬液注入ユニットに供給される上記の薬液の供給定量を算出し、上記の薬液ポンピングユニットが上記の供給定量の薬液を上記の薬液注入ユニットに供給するように制御することを特徴とする請求項1に記載のコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置。
【請求項7】
コンクリート圧送配管の内壁面にコンクリート混和剤若しくはセメントペーストを含む薬液を全周に亘って定量に注入させるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化方法として、
上記のコンクリート圧送配管の寸法及びコンクリート物性及びコンクリートの流動量でコンクリート単位面積あたりの予想圧力を算出する予想圧力算出段階と、
上記のコンクリート圧送配管内のコンクリート単位面積当たりの配管圧力を測定する配管内圧測定段階と、
コンクリート流動量で注入される上記の薬液の定量を算出する薬液定量算出段階と、
上記の予想圧力算出段階で算出された上記の予想圧力と上記の配管内圧測定段階で測定された上記の配管内圧を比較し、上記の薬液注入を決定する第一内圧比較段階と、
上記の予想圧力より上記の配管内圧が高いときに定量の上記の薬液を注入させる薬液注入段階と、
上記の予想圧力算出段階で算出された上記の予想圧力と上記の薬液注入段階以降に測定された配管の内圧を比較して上記の薬液の注入中断を決定する第二内圧比較段階と、
上記の予想圧力より上記の薬液注入段階以降に測定された配管の内圧が低いときに上記の薬液注入を中断させる薬液注入中断段階と、
を含むことを特徴とするコンクリート圧送配管の潤滑活性化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置及び潤滑層活性化方法に関するもので、コンクリート圧送配管の潤滑層に全周に亘って薬液を注入させ、コンクリート圧送配管の潤滑層を活性化させるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置及び潤滑層活性化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高圧コンクリートポンプは超高層構造物及び超大型構造物建設施工の時、とても重要な要素の技術である。ポンプを用いて高層へコンクリートを移送するには費用と施工期間などにおいて優れた利点があるために、よく現場で導入し、適用している。
【0003】
高圧のポンプ圧送でコンクリートを打設する場合、圧送配管内部に高い圧力が加えられる。配管で圧送されるコンクリートは高い圧力により物理的な特性が変化される。また、配管の長さが増加することにつれ、コンクリートの流れが妨害を受けると、コンクリートの材料分離や配管の詰まりの原因となる。これらの問題を解決するため、関連技術開発及び研究が活発に進められている。
【0004】
コンクリートをポンプで移送可能か否か、及び効率を決定するコンクリートの流動性を決める一番重要なところは潤滑層(Slip layer)と呼ばれる流動層である。
【0005】
図1は、配管内部でコンクリートの流れを表した図面である。
図1にも表した、配管内のコンクリートの流れは大きく三つの層で分類できる。流れが一定で、流れの方向は水平の状態であるプラグ流れ領域(Plug flow region)、配管との摩擦により流速が低減されるシャーリング領域(Shearing region)、そして、コンクリート流れの外側に位置するのが潤滑層(Slip layer)である。
【0006】
圧送配管内の圧力は潤滑層(Slip layer)の流動特性に依存する。配管内の二次流動及び均一ではない骨材で潤滑層(Slip layer)の形成及び維持が妨害を受けると、コンクリートの流速は急速に落ち、配管の内圧は高くなる。
【0007】
従来特許文献1に掲載されてある。特許文献1は圧送配管の外側面にコイルを巻いて、電磁場で潤滑層(Slip layer)内の水分子の運動特性を変化させ、流速を増加させる技術である。しかし、特許文献1はコイルを巻いた(巻線にして)配管だけが潤滑層(Slip layer)が活性化されるため、限られた配管だけに効果が発生し、コイルにパルス信号が認可される時だけ潤滑層(Slip layer)が活性化され、活性化効果は一時的であることが問題点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】大韓民国登録特許第10-1249911 号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、コンクリート圧送配管の全体にわたって潤滑層を活性化させ、活性化された潤滑層を持続的に維持させるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置及び潤滑層活性化方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置は、
配管へ圧送されるコンクリートの単位面積当たり圧力を測定する配管内圧センサーと、
配管の内壁面にコンクリートの流動を活性化させる薬液を全周に亘って注入させる薬液注入ユニットと、
薬液注入ユニットに定量の薬液を供給させる薬液ポンピングユニットと、
コンクリート圧送配管の寸法及び物性、コンクリートの流動量によるコンクリートの単位面積当たりの予想圧力を算出して配管内圧センサーで測定された配管内圧が予想圧力より低い時には薬液ポンピングユニットの作動を中止させる制御ユニットと、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置及び潤滑層活性化方法は、コンクリート圧送配管の全体にわたって潤滑層を活性化させ、活性化された潤滑層を持続的に維持させることができる。
【0012】
本発明の効果は、上記に述べたことに限定されず、ここに述べてない他の解決課題は下記の記載で当業者に明確に理解させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の構成を表す図面
【
図3】本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の薬液注入ユニット組み立ての斜視図
【
図4】本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の潤滑層活性化装置の第一パイプ及び第二パイプの斜視図
【
図5】本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の薬液注入ユニットの組み立て斜視図
【
図6】本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の第三パイプ及び第四パイプの斜視図
【
図7】本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の環形スリット(slit)に薬液が貯留する状態を表した詳細断面図
【
図8】本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の環形スリット(slit)で薬液が注入される状態を表した詳細断面図
【
図9】本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の環形スリット(slit)で薬液が貯留する状態を表した詳細断面図
【
図10】本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の環形スリット(slit)で薬液が注入される状態を表した詳細断面図
【
図11】本発明の実施によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化方法の順番を表す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の追加の目的や特徴及び長点は次の詳細説明や添付図面から明瞭に理解することができる。
【0015】
本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置は、
配管に圧送されるコンクリートの単位面積当たりの圧力を測定する配管内圧センサーと、コンクリート圧送配管の内壁面にコンクリートの流動を活性化させる薬液を全周に亘って注入させる薬液注入ユニットと、
薬液注入ユニットに定量の薬液を供給する薬液ポンピングユニットと、
コンクリートの単位面積当たりの予想圧力を算出し、配管内圧センサーで測定された配管内圧が予想圧力より高い時、薬液ポンピングユニットを作動させ、配管内圧センサーで測定された配管内圧が予想圧力より低い時には薬液ポンピングユニットの作動を中止させる制御ユニットと、を含んだことを特徴とする。
【0016】
本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の薬液は、コンクリート混和剤若しくはセメントペーストを含んだことを特徴とする。
【0017】
本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の薬液注入ユニットは、コンクリートが排出される圧送配管と連結される第一連結手段が、片側に備えられる第一パイプと、
外径の半径が第一パイプの内径の半径より1~3mmほど漸次に小さく縮小される縮小吐出部が片側に備えられ、コンクリートが流入される圧送配管と連結される第二連結手段が、この他側に備えられる第二パイプと、
第一パイプの他側と第二パイプの片側を連結させるが、第一パイプの他側と第二パイプの縮小吐出部との間の環形スリット(slit)へ薬液を供給する少なくとも二つ以上の薬液注入口が外柱部に均等に配置される薬液注入連結口と、
を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の薬液注入ユニットは、コンクリートが流入される圧送配管と連結される第三連結手段が、片側に備えられる第三パイプと、
内径の半径が第三パイプの外径の半径より1~3mmほど漸次に大きく拡大される拡大流入部が片側に備えられて、コンクリートが排出される圧送配管と連結される第四連結手段が、他側に備えられる第四パイプと、
第三パイプの他側と第四パイプの片側を連結させるが、第三パイプの他側及び第四パイプの拡大流入部間の環形スリット(slit)に薬液を供給させる少なくとも二つ以上の薬液注入口が外柱部に均等に配置される薬液注入連結口と、
を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の薬液ポンピングユニットは、薬液注入ユニットへ供給される薬液の逆流を防止するチェックバルブ、薬液注入ユニットに定量の薬液を供給するためのピストン方式の薬液ポンプと薬液を攪拌し、貯蔵する薬液貯蔵部を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の制御ユニットは、コンクリートの流動量に応じて薬液注入ユニットへ供給する薬液の供給定量を算出し、薬液ポンピングユニットの供給定量の薬液を薬液注入ユニットへ供給するように制御することを特徴とする。
【0021】
本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化方法は、コンクリート圧送配管の内壁面に、コンクリート混和剤若しくはセメントペーストを含む薬液を全周に亘って定量を注入させるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化方法で、コンクリート圧送配管の寸法、コンクリート物性及びコンクリートの流動量でコンクリートの単位面積当たりの予想圧力を算出する予想圧力算出段階、コンクリート圧送配管内のコンクリートの単位面積当たりの配管圧力を測定する配管内圧測定段階、コンクリートの流動量で注入される薬液の定量を算出する薬液定量算出段階、予想圧力算出段階で算出された予想圧力と配管内圧測定段階で測定された配管内圧を比較し薬液の注入を決定する第一内圧比較段階、予想圧力より配管内圧が高いときに定量の薬液を注入する薬液注入段階、予想圧力算出段階で算出された予想圧力と薬液注入段階後に測定された配管の内圧を比較して薬液の注入中断を決定する第二内圧比較段階、予想圧力より薬液注入段階後に測定された配管の内圧が低いときに薬液の注入を中断する薬液注入中断段階を含むことを特徴とする。
【0022】
本発明の詳細説明に先立って、本発明は多様な変更ができるし、色々の実施例をもつことができる。下記で説明し、図面に表した例は本発明を特定した実施形態に対し限定するものではない。本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、同等な物若しくは代替物も含まれることとして理解しなければならない。
【0023】
ある構成要素が他の構成要素に“連結される”や“接続される”という表現があるときには、その他の構成要素に直接連結されてあるか接続されてあることもあるが、その中間に他の構成要素が存在することもあることで理解すべきである。半面、ある構成要素が他の構成要素に“直接連結されてある”か“直接接続される”というふう表現した場合には、中間に他の構成要素が存在しないことで理解すべきである。
【0024】
本発明で使われた用語はただ特定された実施例を説明するために用いられたもので、本発明を限定する意図ではない。また単数の表現は文脈上明白に違う意味を表さない限り複数の表現もここに含まれることになる。本明細書で、“含む”または“もつ”などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはその以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を排除することではないと理解すべきである。
【0025】
また、明細書に記載されてある“…部”、“…ユニット”、“…モジュール”等の用語は少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、これは、ハードウェアかソフトウェア又はハードウェア及びソフトウェアの組合わせで具現できる。
【0026】
また、添付図面を参照して説明することにおいて、図面の符号に関係ない同一な構成要素は同一の参照符号を与えるし、これに対し、重複される説明は省略することにする。本説明を説明することにおいて、関連した告知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不必要な方向へ流されるようにすると判断される場合、その詳細な説明を省略することにする。
【0027】
以下、添付された図面を参考にしながら本発明の実施例を詳細に説明することにする。
図2は、本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の構成を表した図面である。
【0028】
図2で表したように、本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置は、配管に圧送されるコンクリートの単位面積当たりの圧力を測定する配管内圧センサー(100)、コンクリート圧送の内壁面でコンクリートの流動を活性化させる薬液(30)を全周に亘って注入させる薬液注入ユニット(200)、 薬液注入ユニット(200)に定量の薬液(30)を供給する薬液ポンピングユニット(300)、コンクリート圧送配管(10)の寸法及びコンクリートの物性やコンクリートの流動性によるコンクリートの単位面積当たりの予想圧力を算出し配管内圧センサー(100)で測定された配管内圧が予想圧力より高いときには薬液ポンピングユニット(300)を作動させ、配管内圧センサー(100)で測定された配管内圧が予想圧力より低いときには薬液ポンピングユニット(300)の作動を中止させる制御ユニット(400)を含むことを特徴とする。
【0029】
また、本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の薬液(30)は、コンクリート混和剤若しくはセメントペーストを含むことを特徴とする。
【0030】
また、本発明の実施例によるコンクリート圧送配管潤滑層活性化装置の薬液ポンピングユニット(300)は、薬液注入ユニット(200)に供給される薬液の逆流を防止するチェックバルブ(310)、薬液注入ユニット(200)に定量の薬液を供給するためのピストン方式の薬液ポンプ(320)と薬液を攪拌させ、貯蔵する薬液貯蔵部(330)を含むことを特徴とする。
【0031】
また、本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の制御ユニット(400)は、コンクリートの流動量で薬液注入ユニット(200)に供給される薬液の供給定量を算出して薬液ポンピングユニット(300)に供給定量の薬液を薬液注入ユニット(200)に供給するように制御することを特徴とする。
【0032】
本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置は、コンクリート圧送配管(10)の内壁面に、コンクリート混和剤若しくはセメントペーストを含んだ薬液を全周に亘って定量注入して潤滑層 (Slip layer)を生成させるか活性化させる。
【0033】
このために、制御ユニット(400)は、薬液の供給定量及びコンクリートの予想圧力を算出して配管内圧センサー(100)で測定されたコンクリートの配管内圧と予想圧力を比較して配管内圧が予想圧力より高ければ定量の薬液をコンクリートの外柱面に注入させるようになる。
【0034】
コンクリートの単位面積当たりの予想圧力は、コンクリート圧送配管の寸法及びコンクリートの物性(コンクリートの粘度及び降伏応力、Slip layerの粘度及び降伏応力)及びコンクリートの流動量で予測できる圧力値で、上記の予想圧力はコンクリートが配管内で円滑に流動するときの圧力を意味する。
【0035】
配管の内圧が予想圧力より高いことはコンクリートの流れが円滑ではなく、潤滑層の活性化されてないことを意味するから、配管内圧センサー(100)でコンクリートの配管内圧を測定することで潤滑層の活性化の可否を判断することが可能になる。
【0036】
上記の薬液はコンクリート混和剤若しくはセメントペーストであることが望ましい。これはコンクリートの助成比率を維持するためのことである。コンクリート混和剤若しくはセメントペーストは配管内に流れるコンクリートに既に含まれてある成分であるために少量を注入してもコンクリートの強度には影響がない。薬液の供給定量を算出して定量を注入させることもやはりコンクリートの助成比率を維持させるためである。薬液の注入比率はコンクリート全体量に対し5%以下であることが望ましい。
【0037】
配管に薬液が注入されると潤滑層が活性化され、高くなった圧力が低くなると、制御ユニット(400)は測定圧力が予想圧力より低くなる時点から薬液の注入を中断する。潤滑層が活性化されたコンクリートに薬液注入を中断するのは薬液及びエネルギーの浪費を防止し、コンクリートの助成比率を維持するためである。
【0038】
薬液が注入され、活性化された潤滑層は、電気的又は化学的方法によるものではなく、物理的方法によるものであり、その効果は持続的である。配管内の2次流動及び骨材の不均一で潤滑層が維持できなくなったら再び上記の物理的な活性化方法で潤滑層を活性化させることが可能である。
【0039】
本発明の実施例によるコンクリート圧送配管潤滑層活性化装置の薬液ポンピングユニット(300)は、チェックバルブ(310)、ピストン方式の薬液ポンプ(320)と薬液貯蔵部(330)を含む。チェックバルブ(310)は薬液ポンピングユニット(300)、薬液注入ユニット(200)に位置して薬液が逆流することを防ぐ役割を遂行する。また、チェックバルブ(310)を通じて薬液注入ユニット(200)の内部に薬液が安定的に貯蔵するようになるが、これに対する詳細な内容は、
図7若しくは
図10に関連された説明で述べる。
【0040】
薬液ポンプ(320)は定量の薬液を供給及び注入させるためのピストン方式で構成されるのが望ましい。ピストン方式のポンプは定量の薬液を正確に供給させるのにとても有利である。
【0041】
薬液貯蔵部(330)は薬液ポンプ(320)に供給される薬液を収容し、攪拌させる。薬液は、主にコンクリート混和剤若しくはセメントペーストで構成されてあるために持続的に攪拌することで薬液のゲル状態及び粘度を維持することができる。
【0042】
コンクリート圧送配管の内壁面に薬液(30)を全周に亘って注入させる薬液注入ユニット(200)に対する詳細な説明は下記で引き続き説明する。
【0043】
図3は、本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の薬液注入ユニットの組み立て斜視図で、
図4は本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の第一パイプ及び第二パイプの斜視図である。
【0044】
図3及び
図4に表したように、本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の薬液注入ユニット(200)は、コンクリートが排出される圧送配管と連結される第一連結手段(211)が片側に備えられる第一パイプ(210)と、
外径の半径が第一パイプ(210)の内径の半径より1~3mmほど漸次に小さく縮小される縮小吐出部(222)が片側に備えられて、コンクリートが流入される圧送配管と連結される第二連結手段(221)が他側に備えられる第二パイプ(220)と、
第一パイプ(210)の他側(212)と第二パイプ(220)縮小吐出部(222)を連結させるが、第一パイプ(210)の他側(212)及び第二パイプ(220)の縮小吐出部(222)の間の環形スリット(slit)(230)に薬液を供給させる少なくとも二つ以上の薬液注入口(241)が外柱部に均一に配置させる薬液注入連結口(240)と、を含むことを特徴とする。
【0045】
薬液注入ユニット(200)は、第一パイプ(210)の他側(212)と第二パイプ(220)の 縮小吐出部(222)が形成する環形スリット(slit)(230)により、コンクリート圧送配管の内壁面に薬液(30)を全周に亘って注入させることが可能になる。縮小吐出部(222)の外径の半径と第一パイプ(210)の他側(212)の内径の半径の差は約2mmに形成するが、これは環形スリット(slit)(230)の隙間が約2mmに形成されることを意味する。これは一般的なコンクリート圧送配管の直径を考慮して出した寸法である。一般的なコンクリート圧送配管の直径は125mmになってるが、環形スリット(slit)(230)の隙間の大きさが約2mmになることで注入される薬液の量はコンクリート全体の5%以下になることが可能になる。しかし、約2mmより隙間が小さくなると薬液の注入が円滑にできない。
【0046】
第一パイプ(210)の片側及び第二パイプ(220)の他側には第一連結手段(211)及び第二連結手段(211)が備えられるが、第一連結手段(211)及び第二連結手段(211)は圧送配管の間に薬液注入ユニット(200)を設置するためのものである。
図3及び
図3bには第一連結手段(211)及び第二連結手段(211)がフランジで表してあるが、圧送配管の間を連結させる構造であれば別の連結方式でも使用できる。
【0047】
薬液注入ユニット(200)は、第一パイプ(210)の他側及び第二パイプ(220)の片側を連結させる薬液注入連結口(240)を含む。薬液注入連結口(240)の外柱部にも少なくとも二つ以上の薬液注入口(241)が外柱部に均等に配置され、環形スリット(slit)(230)に薬液を均一に供給することになる。
【0048】
また、薬液注入ユニット(200)には、環形スリット(slit)(230)に薬液が貯蔵される空間である薬液貯留部(242)が備えることができる。薬液貯留部(242)は薬液注入口(241)と環形スリット(slit)(230)を連結させる空間で、環形スリット(slit)(230)の外柱部に全周に亘って形成することができる。
【0049】
薬液貯留部(242)は薬液注入口(241)で注入される薬液が一時的に貯留し、環形スリット(slit)(230)に注入される前、環形スリット(slit)(230)の周辺に薬液が均一に分布するように補助する。
【0050】
図5は、本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の第一パイプ及び第二パイプの斜視図で、
図6は、本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の第三パイプ及び第四パイプの斜視図である。
【0051】
図3及び
図4に表したように、本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の薬液注入ユニット(200)は、コンクリートが流入される圧送配管と連結される第三連結手段(251)が片側に備えられる第三パイプ(250)と、内径の半径が第三パイプ(250)と内径の半径が第三パイプ(250)の外径の半径より1~3mmほど漸次に大きく拡大される拡大流入部(262)が片側に備えられて、コンクリートが排出される圧送配管と連結される第四連結手段(261)の他側に備えてある第四パイプ(260)と、第三パイプ(250)の他側と第四パイプ(260)の片側を連結させるが、第三パイプ(250)の他側(252)及び第四パイプ(260)の拡大流入部(262)間の環形スリット(slit)(230)に薬液を供給させる少なくとも二つ以上の薬液注入口(241)が外柱部に均等に配置される薬液注入連結口(240)と、を含むことを特徴とする。
【0052】
薬液注入ユニット(200)は、第三パイプ(250)の他側(252)と第四パイプ(260)の拡大流入部(262)で形成する環形スリット(slit)(230)によって、コンクリート圧送配管の内壁面に薬液(30)を全周に亘って注入させることが可能になる。拡大流入部(262)の外径の半径と第三パイプ(250)の他側(252)の内径の半径の差は約2mmに形成されるが、これは環形スリット(slit)(230)の隙間が約2mmで形成されることを意味する。
【0053】
図5及び
図6には第三連結手段(251)及び第四連結手段(261)がフランジで表してあるが、圧送配管の間を連結させる構造であれば他の連結方式を使用しても構わない。
【0054】
薬液注入ユニット(200)は、第三パイプ(250)の他側及び第四パイプ(260)の片側を連結させる薬液注入連結口(240)を含む。薬液注入連結口(240)の外柱部にも少なくとも二つ以上の薬液注入口(241)が外柱部に均等に配置され、環形スリット(slit)(230)に薬液を均一に供給することになる。
【0055】
また、薬液注入ユニット(200)には 環形スリット(slit)(230)に薬液が貯留する空間である薬液貯留部(242)が備えることができる。薬液貯留部(242)は薬液注入口(241)と環形スリット(slit)(230)を連結させる空間で、環形スリット(slit)(230)の外柱部に全周に亘って形成することができる。
【0056】
薬液貯留部(242)は薬液注入口(241)で注入される薬液が一時的に貯留し、環形スリット(slit)(230)に注入される前、環形スリット(slit)(230)の周辺に薬液が均一に分布するように補助する。
【0057】
図7は、本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の環形スリット(slit)に薬液が貯留する状態を表した詳細断面図で、
図8は、本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の環形スリット(slit)で薬液が注入される状態を表した詳細断面図である。
図7及び
図8は第一パイプ及び第二パイプの連結を通じて薬液の注入を表している。
【0058】
図7は、薬液ポンピングユニット(300)が作動していない状態で、薬液貯留部(242)に薬液(30)が充電された状態で貯留するものを表している。薬液貯留部(242)に貯留する薬液(30)は、薬液ポンピングユニット(300)のチェックバルブ(310)によって逆流が防止され、コンクリート(20)の流れと離隔されて薬液貯留部(242)の内部で安定的に維持されるようになる。
【0059】
図8は薬液ポンピングユニット(300)が作動して薬液(30)が環形スリット (slit)(230)を通じてコンクリート圧送配管(10)の内壁面に注入されるものを表す。上記の環形スリット(slit)(230)は第一パイプ(230)の他側(210)と第二パイプ(220)の縮小吐出部(222)の連結により形成される。薬液(30)は環形スリット(slit)(230)を通じてコンクリート圧送配管(10)の内壁面に全周に亘って注入され、コンクリートの潤滑層(slip layer)を生成させて活性化させる。
【0060】
図7に表した“d”は、環形スリット(slit)(230)の隙間の大きさを意味する。環形スリット(slit)(230)の隙間は上記に述べたように、約2mmで形成されるのが望ましい。
【0061】
図9は、本発明の実施例によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置の環形スリット(slit)に薬液が貯留する状態を表した詳細断面図であり、
図10は本発明の実施例によるコンクリート圧送配管潤滑層活性化装置の環形スリット(slit)で薬液が注入される状態を表した詳細断面図である。
図9及び
図10は第三パイプ及び第四パイプの連結を通じて薬液の注入を表している。
【0062】
図9は薬液ポンピングユニット(300)が作動していない状態で、薬液貯留部(242)に薬液(30)が充電された状態で貯留するものを表している。薬液貯留部(242)に貯留する薬液(30)は、薬液ポンピングユニット(300)のチェックバルブ(310)によって逆流が防止され、コンクリート(20)の流れと離隔されて薬液貯留部(242)の内部で安定的に維持されるようになる。
【0063】
図10は、薬液ポンピングユニット(300)が作動して薬液(30)が環形スリット (slit)(230)を通じてコンクリート圧送配管(10)の内壁面に注入されるものを表す。上記の環形スリット(slit)(230)は第三パイプ(250)の他側(252)と第四パイプ(260)の拡大流入部(262)の連結によって形成される。薬液(30)は、環形スリット (slit)(230)を通じてコンクリート圧送配管(10)の内壁面に全周に亘って注入され、コンクリートの潤滑層(slip layer)を生成させ、活性化させる。
【0064】
図9に表した“d”は、環形スリット(slit)(230)の隙間の大きさを意味する。環形スリット(slit)(230)の隙間は上記に述べたように、約2mmで形成されるのが望ましい。
【0065】
図11は本発明の実施によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化方法の順番を表す図である。
【0066】
図11で表したように、 本 発明の実施によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化方法は、コンクリート圧送配管の内壁面に、コンクリート混和剤若しくはセメントペーストを含む薬液を全周に亘って定量注入させるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化方法で、コンクリート圧送配管の寸法及びコンクリート物性そしてコンクリートの流動量でコンクリートの単位面積当たりの予想圧力を算出する予想圧力算出段階(S100)、コンクリート圧送配管内のコンクリート単位面積当たりの配管圧力を測定する配管内圧測定段階(S200)、コンクリートの流動量により注入される薬液の定量を算出する薬液定量算出段階(S300)、予想圧力算出段階で算出された予想圧力と配管内圧測定段階で測定された配管内圧を比較して薬液の注入を決定する第一内圧比較段階(S400)、予想圧力より配管内圧が高いときに定量の薬液を注入させる薬液注入段階(S500)、予想圧力算出段階で算出された予想圧力と薬液注入段階以降に測定された配管の内圧を比較して薬液注入の中断を決定する第二内圧比較段階(S600)、予想圧力より薬液注入段階以降に測定された配管の内圧が低いときに薬液の注入を中断させる薬液注入中断段階(S700)を含むことを特徴とする。
【0067】
予想圧力を算出する予想圧力算出段階(S100)、配管圧力を測定する配管内圧測定段階(S200)、薬液の定量を算出する薬液定量算出段階(S300)は順番に拘らずどちらが先に先行されても構わない。ただ、圧送配管の圧力とコンクリートの流動量によって変化する予想圧力及び薬液の適量を算出する過程は持続的に繰り返して遂行されるのが望ましい。
【0068】
本発明の実施によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化方法は、第一内圧比較段階(S400)と第二内圧比較段階(S600)を通じて薬液の注入及び注入中断を遂行することになる。この二つの比較段階は予想圧力と配管圧力を比較して、配管圧力が予想圧力より高ければ薬液を注入させ、配管圧力が予想圧力より低ければ薬液の注入を中断させることになる。
【0069】
従って、本発明の実施によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化方法は、コンクリート圧送が円滑ではないときだけ薬液を注入することになるから材料及びエネルギーの浪費を最小化することができ、物理的な方法を通じて効果的に潤滑層を活性化させ、効果を持続可能にし、潤滑層を活性化させる。
【0070】
以上で説明したように、本発明の実施によるコンクリート圧送配管の潤滑層活性化装置及び潤滑層活性化方法は、コンクリート圧送配管の内壁面にコンクリートの流動を活性化させる薬液を全周に亘って注入させる薬液注入ユニット、薬液注入ユニットに定量の薬液を供給させる薬液ポンピングユニット、コンクリート圧送配管の寸法及びコンクリート物性そしてコンクリートの流動量でコンクリートの単位面積当たりの予想圧力を算出して配管内の圧力が予想圧力より高いときに薬液ポンピングユニットを作動させる制御ユニットを含み、コンクリート圧送配管の全体に渡って持続的に潤滑層を活性化させることが可能なことを基本的な技術としていることが分かる。
【0071】
本明細書で説明される実施例と添付した図面は、本 発明に含まれる技術的思想の一部を例示で説明したに過ぎない。従って、本明細書に開示された実施例は本発明の技術的思想を限定させるものではなく、説明するものである。このような実施例で本発明の技術思想の範囲が限定されることではないことは明白である。本発明の明細書及び図面に含まれた技術的思想の範囲内で容易に類推できる変形例と具体的な実施例はすべて本 発明の権利範囲に含まれるものとして解釈すべきである。