(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】回転処理用アダプタ
(51)【国際特許分類】
B01F 29/90 20220101AFI20220317BHJP
B01F 35/00 20220101ALI20220317BHJP
B01D 19/00 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
B01F9/22
B01F15/00 Z
B01D19/00 102
(21)【出願番号】P 2017204134
(22)【出願日】2017-10-23
【審査請求日】2020-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000145286
【氏名又は名称】株式会社写真化学
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】高岡 文彦
(72)【発明者】
【氏名】増田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】浪江 礼二
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-084388(JP,A)
【文献】特開2004-243158(JP,A)
【文献】特開2009-165970(JP,A)
【文献】実開昭48-099954(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 29/00-35/95
B01D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
公転及び自転運動を行う容器ホルダに載置されるアダプタであり、
アダプタ筐体と、
前記アダプタ筐体内に位置する第1の回転軸を中心に回転可能なアームと、
前記アーム上の前記第1の回転軸と異なる位置に位置する第2の回転軸を中心に回転可能な容器受けと、
前記容器受けの外壁面及び前記アダプタ筐体の内壁面の
それぞれに設けられる回転力伝達体
であって、互いに接触した状態で前記アダプタ筐体の回転運動を前記容器受けに伝達するための回転力伝達体、又は、前記容器受けの外壁面又は前記アダプタ筐体の内壁面のいずれか一方に設けられる回転力伝達体であって、いずれか他方の壁面と接触した状態で前記アダプタ筐体の回転運動を前記容器受けに伝達するための回転力伝達体とを備える
ことを特徴とするアダプタ。
【請求項2】
前記回転力伝達体が弾性体からなることを特徴とする請求項1記載のアダプタ。
【請求項3】
前記回転力伝達体は、前記アダプタ筐体の内壁面において円弧状に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のアダプタ。
【請求項4】
前記アダプタは、さらに錘を備え、
前記錘は、前記アームの回転軸から前記容器受けの回転軸へ向かう直線上に設置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のアダプタ。
【請求項5】
前記容器受けは複数設けられ、
前記錘は、前記アームの回転軸から複数設けられた前記容器受けのうちの1つの容器受けの回転軸へ向かう直線上に設置されていることを特徴とする請求項4記載のアダプタ。
【請求項6】
公転及び自転運動を行う容器ホルダに載置されるアダプタであり、
アダプタ筐体と、
前記アダプタ筐体内に位置する第1の回転軸を中心に回転可能なアームと、
前記アダプタ筐体に固定される容器受け支持部材と、
前記容器受け支持部材に回転自在に支持され、第2の回転軸を中心に回転可能な容器受けと、
前記アーム上の前記第1の回転軸と異なる位置に位置する第3の回転軸を中心に回転可能な錘と、
前記第1の回転軸を中心に回転可能な回転ドラムと、
前記錘の外壁面に
設けられる第
1の回転力伝達体
及び前記アダプタ筐体の内壁面に
設けられる第
2の回転力伝達体
であって、互いに接触した状態で前記アダプタ筐体の回転運動を前記錘に伝達するための第1及び第2の回転力伝達体と、
前記回転ドラムの外壁面に
設けられる第
3の回転力伝達体
であって、前記第1の回転力伝達体と接触した状態で前記錘の回転運動を前記回転ドラムに伝達するための第3の回転力伝達体と、
前記容器受けの外壁面に
設けられる第
4の回転力伝達体
及び前記回転ドラムの外壁面に
設けられる第
5の回転力伝達体
であって、互いに接触した状態で前記回転ドラムの回転運動を前記容器受けに伝達するための第4及び第5の回転力伝達体とを備える
ことを特徴とするアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物に対して公転及び自転運動を付与する処理を行う装置に適用する回転処理用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、公転及び自転運動を付与することで、材料を攪拌・脱泡処理を行う装置が知られている。攪拌及び脱泡処理条件は、それぞれ公転及び自転の回転速度の組合わせが異なるため、それぞれを独立に制御することが必要となる。
特許文献1では、回転運動の駆動源として1つのモータを使用し、公転及び自転運動を付与しつつ、制動力を与える制御機を用い自転速度を独立制御する装置が開示されている。
特許文献2では、電磁的切り替え機構と一方向クラッチにより、自転運動を多段に変換する攪拌・脱泡装置が開示されている。
特許文献3では、2種の可動プーリを組合わせ、巻きかけ半径を変化させることにより、自転速度を無段階に変更する攪拌脱泡装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-289873号公報
【文献】特開2000-271465号公報
【文献】特開2004-243158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来このような公転運動と自転運動を付与することができる装置は、その自転回転数は、歯車やプーリの組合わせによって確定する最大の自転回転数以下の範囲内で制御することができる。しかし、例えば新製品開発等により、さらに高速な自転が必要となる場合、歯車の歯数やプーリーの径を変更することにより対応しなければならず、装置の大幅な改造が必要となる。
【0005】
上記課題を鑑み、本発明は、既存の公転及び自転運動を付与することができる装置に取り付けることにより、自転回転数を大幅に増大又は変更させることを可能とするアダプタ(回転処理用アダプタ)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアダプタは、
公転及び自転運動を行う容器ホルダに載置されるアダプタであり、
アダプタ筐体と、
前記アダプタ筐体内に位置する第1の回転軸を中心に回転可能なアームと、
前記アーム上の前記第1の回転軸と異なる位置に位置する第2の回転軸を中心に回転可能な容器受けと、
前記容器受けの外壁面及び前記アダプタ筐体の内壁面のそれぞれに設けられる回転力伝達体であって、互いに接触した状態で前記アダプタ筐体の回転運動を前記容器受けに伝達するための回転力伝達体、又は、前記容器受けの外壁面又は前記アダプタ筐体の内壁面のいずれか一方に設けられる回転力伝達体であって、いずれか他方の壁面と接触した状態で前記アダプタ筐体の回転運動を前記容器受けに伝達するための回転力伝達体とを備える
ことを特徴とする。
【0007】
このような構成とすることで、容器ホルダに付与される自転運動の回転数に対して、アダプタ筐体内に設けられた容器受けの回転数を増大又は変更させることができるアダプタを提供することができる。
その結果、既存の装置を改造することなく、被処理物に付与される自転運動を変更することができる。
【0008】
また、本発明に係るアダプタは、
前記回転力伝達体が弾性体からなることを特徴とする。
【0009】
このような構成とすることで、アダプタの設計が容易となるため、アダプタを安価に提供することができる。
【0010】
また、本発明に係るアダプタは、
前記回転力伝達体は、前記アダプタ筐体の内壁面において円弧状に設けられていることを特徴とする。
【0011】
このような構成とすることで、容器受けに付与する遠心力を周期的に変動させることができる。
【0012】
また、本発明に係るアダプタは、
前記アダプタは、さらに錘を備え、
前記錘は、前記アームの回転軸から前記容器受けの回転軸へ向かう直線上に設置されていることを特徴とする。
【0013】
このような構成とすることで、容器受けの自転回転数を変換するために必要な公転による遠心力を調整することができ、錘の質量と公転の回転数とにより容器受けの回転モードの切り替えを行うことができる。
【0014】
また、本発明に係るアダプタは、
前記容器受けは複数設けられ、
前記錘は、前記アームの回転軸から複数設けられた前記容器受けのうちの1つの容器受けの回転軸へ向かう直線上に設置されていることを特徴とする。
【0015】
このような構成とすることで、増大又は変更された自転回転数で、一度に複数の容器に対して回転処理を施すことができ、既存の装置の処理能力を向上させることができる。例えば、分散性の向上、凝集しやすい材料の解砕、粉砕などの能力を向上させることが可能となる。
【0016】
本発明に係るアダプタは、
公転及び自転運動を行う容器ホルダに載置されるアダプタであり、
アダプタ筐体と、
前記アダプタ筐体内に位置する第1の回転軸を中心に回転可能なアームと、
前記アダプタ筐体に固定される容器受け支持部材と、
前記容器受け支持部材に回転自在に支持され、第2の回転軸を中心に回転可能な容器受けと、
前記アーム上の前記第1の回転軸と異なる位置に位置する第3の回転軸を中心に回転可能な錘と、
前記第1の回転軸を中心に回転可能な回転ドラムと、
前記錘の外壁面に設けられる第1の回転力伝達体及び前記アダプタ筐体の内壁面に設けられる第2の回転力伝達体であって、互いに接触した状態で前記アダプタ筐体の回転運動を前記錘に伝達するための第1及び第2の回転力伝達体と、
前記回転ドラムの外壁面に設けられる第3の回転力伝達体であって、前記第1の回転力伝達体と接触した状態で前記錘の回転運動を前記回転ドラムに伝達するための第3の回転力伝達体と、
前記容器受けの外壁面に設けられる第4の回転力伝達体及び前記回転ドラムの外壁面に設けられる第5の回転力伝達体であって、互いに接触した状態で前記回転ドラムの回転運動を前記容器受けに伝達するための第4及び第5の回転力伝達体とを備える
ことを特徴とする。
【0017】
このような構成とすることで、既存の装置を用いて、3種類の回転運動が組み合わされた複雑な運動を容器に付与することができ、攪拌等の効果を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかるアダプタによれば、公転及び自転運動を付与することができる装置に取り付けることにより、既存装置を改良することなく容易に自転運動の回転数を増大又は変更できるようになる。一般に、この種の装置において、公転回転数と自転回転数の両方を高くすることは、耐久性や製造コストの観点から実現が難しく、そのため、公転回転数は高く、自転回転数は低く設計されていることが一般的である。しかし、このような装置に対して、本発明にかかるアダプタを用いると装置構成に変更を加えることなく、自転回転数を増大又は変更でき、攪拌効率等を高めたりすることが可能となる。
なお、本発明にかかるアダプタは、攪拌・脱泡装置に限られず、公転及び自転運動を付与する種々の装置、例えば、ボールミルのような研磨装置、粉砕装置、遠心装置に対しても適用できることは言うまでも無い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態1によるアダプタの上面図及び断面図。
【
図2】被処理物に対して公転及び自転運動を付与する処理装置の断面図及び上面図。
【
図3】本発明の実施形態1によるアダプタの回転運動を説明するための上面図。
【
図4】本発明の実施形態1によるアダプタの回転運動を説明するための上面図。
【
図5】本発明の実施形態2によるアダプタの上面図。
【
図6】本発明の実施形態3によるアダプタの上面図及び断面図。
【
図7】本発明の実施形態4によるアダプタの上面図及び断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は、いずれも本発明の要旨の認定において限定的な解釈を与えるものではない。また、同一又は同種の部材については同じ参照符号を付して、説明を省略することがある。
【0021】
(実施形態1)
<構成>
図1(a)及び(b)は、それぞれ本実施形態のアダプタ100の上面図及び断面図を示す。
【0022】
アダプタ筐体1は、その底部に固定された第1の回転軸2を内部に有しており、第1の回転軸2はアダプタ筐体1とともに回転する。
なお、第1の回転軸2はアダプタ筐体1と一体で形成してもよい。
【0023】
アーム3は、第1の軸受4を介して、第1の回転軸2に回転自在に支持されている。すなわち、アーム3は、第1の回転軸2を中心に回転が可能であり、第1の回転軸2はアーム3の回転運動の軸(回転軸)となる。
容器受け5は、その底部に固定された第2の回転軸6を有しており、アーム3に、第2の軸受7を介して、回転自在に支持されており、その結果、容器受け5は第2の回転軸6を中心に回転することができる。
アーム3には、錘8が設けられており、錘8は、第1の回転軸2に対して、第2の回転軸6より遠方に設置されている。
【0024】
錘8の重心は、好適には、第1の回転軸2の中心から第2の回転軸6の中心へと向かう直線上(第1の回転軸2の中心を基点とし第2の回転軸6の中心を通る直線)に配置され、前記直線上において、第2の回転軸6の中心より更に延長した箇所に位置する。
錘8を第1の回転軸2と第2の回転軸6との間に設置することも可能であるが、第2の回転軸6より遠方に設置することにより、本アダプタを適用する処理装置の公転運動により錘8に付与される遠心力を強めることができる。
なお、容器受け5自体を錘8として使用することも可能であるが、別途錘8を設けることで、遠心力の調整を容易に行うことができる。
【0025】
容器受け5の外壁面には、摩擦力により回転運動を伝達する容器受け弾性体9(第1の回転力伝達体)が設けられている。
図1(a)に示すように容器受け弾性体9は、外壁面の周囲を囲む様に円筒状に設けられている。
【0026】
アダプタ筐体1の内壁面には、摩擦力により回転運動を伝達するアダプタ弾性体10(第2の回転力伝達体)が設けられている。
アダプタ筐体1の内壁面及び容器受け5の外壁面においては、容器受け弾性体9及びアダプタ弾性体10が、互いに接触しながら回転が可能なように、それぞれ第1の回転軸2及び第2の回転軸6に対して軸対称な形状であり、例えば円筒形状とすることができるが、それに限定されず、円錐形の一部であっても良い。
容器受け弾性体9とアダプタ弾性体10とは、互いに接触することが可能な位置に設置されており、摩擦力により回転運動がアダプタ弾性体10から容器受け弾性体9に伝達される。摩擦力を発生させるため、ゴム等の摩擦係数の大きい素材の弾性体を使用でき、さらにこれらの弾性体は、互いに噛合するように表面が波状加工されていても良い。
【0027】
なお、容器受け5の外壁面とアダプタ筐体1の内壁面のそれぞれに容器受け弾性体9及びアダプタ弾性体10を設け互いに接触するように構成する実施形態について説明した。しかし、アダプタ弾性体10と容器受け5の外壁面との間、または容器受け弾性体9とアダプタ筐体1の内壁面との間で、十分な摩擦力が得られれば、容器受け弾性体9及びアダプタ弾性体10の一方のみに、回転力を伝達するための弾性体を設ける構成であってもよい。
例えば、容器受け弾性体9を設けずアダプタ弾性体10のみを設け、アダプタ弾性体10が容器受け5の外壁面と直接的に接触可能となるよう構成するか、または、アダプタ弾性体10を設けず容器受け弾性体9のみを設け、容器受け弾性体9が、アダプタ筐体1の内壁面と直接的に接触可能となる構成としても良い。
【0028】
また、アダプタ弾性体10(第1の回転力伝達体)を内歯歯車、容器受け弾性体9(第2の回転力伝達体)を外歯歯車で構成し、互いに噛合することで、回転力を伝達するように構成してもよい。この場合、歯車の材質は金属、プラスチック、樹脂、セラミック等を使用できる。
ただし、上記のようにゴム等の弾性体を用いることで、アダプタ100の設計が容易であり、安価に製造することができ、また消音効果も得られる。
上記のアダプタ弾性体10(第1の回転力伝達体)、容器受け弾性体9(第2の回転力伝達体)の材質、構成については以下の他の実施形態に適用できる。
【0029】
なお、他の実施形態に適用可能な変形例として、アダプタ筐体1の半径方向に移動可能に容器受け5(及び錘8)を支え、バネ等の弾性力により、力(遠心力)が加えられた際にバネが伸長し、容器受け弾性体9がアダプタ弾性体10に接触し、力が加えられない際には、バネが短縮し、容器受け弾性体9がアダプタ弾性体10とが離間するように構成してもよい。
例えば、アーム3の形状をV字状に構成し、V字の折れ曲がった箇所(関節部)を回転軸と軸受けにより回転自在に構成し、アーム3の両端をバネ等により連結すればよい。
バネのバネ定数を変えることで、伸縮する力を正確に制御することができる。すなわち、一定以上の力(遠心力)が、付与された場合に、アダプタ弾性体10(第1の回転力伝達体)から容器受け弾性体9(第2の回転力伝達体)に回転運動が伝達されるよう、力(遠心力)の大きさを正確に制御することができる。
なお、容器受け弾性体9及びアダプタ弾性体10の設置位置は、アダプタ筐体1の底部から同じ高さに揃えることで、両者を接触可能に設置することができる。
【0030】
被処理物を収容する容器11は、容器受け5内に設置されるため、容器受け5が回転運動すると、容器受け5とともに回転運動する。
なお、視認性のため、
図1(a)においては、容器11は省略している。
【0031】
<動作原理>
アダプタ筐体1は、
図2に例示されるような遊星運動方式の攪拌・脱泡装置12等(以下、処理装置12と称す。)の容器ホルダ13に載置される。駆動用モータ14による回転運動が、歯車やプーリ等の伝達素子により伝達され、容器ホルダ13に公転軸15を中心とする公転運動と、容器ホルダ13の自転軸16を中心とする自転運動とが加えられる。
【0032】
具体的には、駆動モータ14により公転軸15を中心に回転体17が回転する。
回転体17には、公転テーブル18が連結(固定)されており、公転テーブル18は、回転体17及び自転軸16を介して容器ホルダ13を支持している。その結果、容器ホルダ13は、公転テーブル18の回転により、公転軸15を中心に回転する。
なお、
図2(b)の点Oは公転軸15の中心を示す。
【0033】
容器ホルダ13は、自転歯車19を有しており、自転歯車19は、軸受けを介して公転テーブル18に回転自在に支持されている中間歯車20と噛合する。
【0034】
中間歯車20は、太陽歯車21と噛合し、太陽歯車21は、回転体17の外側に配置されており、回転体17に対して、軸受を介して回転自在に支持されている。
【0035】
太陽歯車21は、歯車22に噛合しており、歯車22には、パウダーブレーキ等の制動装置23の制動力が伝達される。
制動装置23の制動力が歯車22を介して太陽歯車21に伝達された場合、太陽歯車21の回転速度が回転体17の回転速度に比べ減少し、太陽歯車21の回転速度と回転体17に連結されている公転テーブル18の回転速度との間に差が生じる。その結果、太陽歯車21に対して、中間歯車20が相対的に回転する。中間歯車20は、自転歯車19と噛合するため、自転歯車19が回転し、容器ホルダ13は、回転軸16を中心に回転(自転)する。
【0036】
処理装置12が備えている容器ホルダ13には、
図2(b)で示されるように公転運動(β)及び自転運動(α)が付与される。
なお、視認性のため、
図2(b)においては、アダプタ100は省略されている。
【0037】
図2に例示する処理装置12は、制動装置15と歯車等の伝達機構の組合せにより、公転運動と自転運動とを独立に制御する構成であるが、公転駆動用モータと自転駆動用モータとを設け、公転運動と自転運動とを独立に制御する装置等であってもよい。
本アダプタは、被処理物を公転及び自転運動させるため、被処理物を収容する容器ホルダを備えた処理装置に適用可能である。
【0038】
なお、
図1(a)において、アダプタ筐体1の上端部の外周部には、切り欠き部50を複数設けている。この切り欠き部50は、処理装置12の容器ホルダ13の上端部に設けられた突起部(図示しない)に対応した位置に設けられている。そのため、容器ホルダ13の突起部にアダプタ筐体1の切り欠き部50を嵌め込むことで、容器ホルダ13の回転運動を、アダプタ筐体1に伝達することができる。
また、アダプタ筐体1の外壁面と容器ホルダ13の内壁面との摩擦力が十分に大きい場合、アダプタ筐体1の切り欠き部50は、必ずしも設ける必要はない。また、上記の摩擦力を大きくするため、アダプタ筐体1の外壁面に弾性体を設けても良い。
【0039】
図3(a)、(b)、(c)は、処理装置12の容器ホルダ13に載置されたアダプタ筐体1に加えられる自転運動を模式的に示す上面簡略図である。
図3において、視認性のため、容器受け弾性体9とアダプタ弾性体10は省略している。
【0040】
まず、説明のために処理装置12によって、容器ホルダ13には自転運動のみが付与され、公転運動が付与されない状態を想定する。容器ホルダ13が自転することにより、アダプタ筐体1が、例えば
図3(a)の矢印αで示される方向に回転する。
なお、回転運動が理解されやすいように、
図3において、黒丸で示される点Pは、アダプタ筐体1の特定の点であり、黒三角で示される点Qは、容器受け5の特定の点である。
【0041】
容器ホルダ13により回転運動が付与されアダプタ筐体1が回転(自転)すると第1の回転軸2が回転し、第1の軸受4の摩擦力により、アーム3が従動し、第2の軸受7の摩擦力及び容器受け弾性体9とアダプタ弾性体10との摩擦力により、アダプタ筐体1及びアーム3とともに容器受け5が回転する。
このとき、アダプタ筐体1と容器受け5との相対位置関係は、容器受け弾性体9とアダプタ弾性体10との静止摩擦力により維持されている。
【0042】
例えば、
図3(b)はアダプタ筐体1が、
図3(a)の状態から90度回転した状態を示し、
図3(c)は180度回転した状態を示す。アダプタ筐体1が回転すると、容器受け5はアダプタ筐体1とともに回転し、第1の回転軸2及び第2の回転軸6に対して回転することはなく、点Pと点Qとは互いに接した状態が維持される。すなわち、容器受け5はアダプタ筐体1との位置関係が維持されながら、アダプタ筐体1とともに回転する。
【0043】
図4(a)、(b)、(c)は、処理装置12の容器ホルダ13とともにアダプタ筐体1が処理装置12の公転軸15を中心に公転し(
図2において矢印βで示される)、容器受け5に公転軸15から遠ざかる方向に遠心力が付与された場合のアダプタ100の回転状態を示す上面図である。
図4(a)、(b)は、遠心力の方向に対して、第2の回転軸6の中心と点Pとを結ぶ直線とのなす角度がθである状態を示す。
なお、
図4において、視認性のため、容器受け弾性体9とアダプタ弾性体10とは省略している。
【0044】
図4(a)に示すように、容器受け5には矢印で示される遠心力Fが付与される。
なお、遠心力は質量に比例するため、錘8の質量によりアーム3及び容器受け5に付与される遠心力Fの大きさを調整することができる。
なお、第1の回転軸2、錘8の重心、及び容器受け5の第2の回転軸6が同一直線上に並ぶように設定することで、錘8及び容器受け5の第2の回転軸6の処理装置12の公転軸15に対する方向は、同じ方向とすることができ、容器受け5に付与される遠心力Fの制御が容易になる。
【0045】
図4(b)に示すように、アダプタ筐体1の内壁面に接する点Qに作用する遠心力Fは、アダプタ筐体1の点Pの接線方向と法線方向の成分に分解される。
【0046】
図4(c)に示すように、遠心力Fの接線方向の成分が静止摩擦力を超えると、アダプタ筐体1の内壁面を転がるように容器受け5が回転し、一旦回転し始めると、静止摩擦係数と比較し転がり摩擦係数が小さいため、容器受け5が第2の回転軸6を中心にして、矢印γで示される方向に回転(自転)しながら、容器受け5は処理装置12の公転軸15から最も遠い距離となる位置を維持する。
【0047】
すなわち、容器ホルダ13の自転運動により、アダプタ筐体1及びそれに固定された第1の回転軸2が、矢印αで示される方向に回転する。一方、容器受け5は処理装置12の公転軸から最も遠い位置に留まるため、容器受け5を支持するアーム3は、第1の回転軸2を中心にアダプタ筐体1の回転(自転)方向と相対的に逆方向に回転することになる。すなわち、アダプタ筐体1の静止系においては、アーム3は矢印αで示される方向と逆方向に、上記アダプタ筐体1の自転の回転数と同じ回転速度で回転するため、容器受け5は一定の位置に留まり続けることが可能になる。
【0048】
以上のように、公転の回転数が小さく、容器受け5に作用する遠心力が小さい場合には、
図3に示すように、容器受け5は、第2の回転軸6及び第1の回転軸2に対して回転することなくアダプタ筐体1とともに回転し、公転の回転数が増大し、容器受け5に作用する遠心力が大きくなり、アダプタ筐体1の内壁面の接線方向成分の遠心力が静止摩擦力を超えた場合には、容器受け5は、処理装置12の公転軸15から最も遠い位置において公転しながら第2の回転軸6を軸にして自転する。
錘8の質量と公転運動の回転数とにより、
図3で示される回転運動のモードと
図4(c)で示される回転のモードとを選択することができる。
【0049】
容器受け5の自転の回転数は、アダプタ筐体1の内壁面の円周長を容器受け5の外壁面の円周長で除した値と、アダプタ筐体1の回転数との積により決定される。アダプタ筐体1の内壁面の円周長より、容器受け5の外壁面の円周長が短いため、容器受け5の自転の回転数は、アダプタ筐体1の回転数、すなわち処理装置12の容器ホルダ13の自転の回転数と比較して増大する。このように、アダプタ100を用いることにより、自転回転数を、処理装置12の容器ホルダ13の自転の回転数に対して、増大又は変更することができる。
従って、容器受け5の径を変えることで、自転回転数を所望の回転数に変更することができる。
【0050】
(実施形態2)
図1に示すアダプタ100においては、アダプタ筐体1の内壁面の全周に亘ってアダプタ弾性体10を設けたが、
図5に示すようにアダプタ筐体1の内壁面の一部の領域のみに円弧状に、アダプタ弾性体10a、10bを形成してもよい。
図5(a)(b)に示すように、アダプタ筐体1の内壁面には、アダプタ弾性体10a、10bが設けられている領域と、設けられていない領域が存在する。
図5(a)に示すように、容器受け弾性体9は、アダプタ弾性体10a、10bと接触することができる場合においてのみ、アダプタ筐体1から容器受け5に回転運動が伝達される。アダプタ筐体1の矢印αで示される方向の回転運動が容器受け5に伝達され、容器受け5は、矢印γで示される方向に回転運動する。
図5(b)に示すように、容器受け弾性体9が、アダプタ弾性体10a、10bと接触することができない場合、アダプタ筐体1から容器受け5に回転運動が伝達されず、容器受け5の回転数は減少する。
アダプタ筐体1が回転することにより、周期的に(又は断続的に)アダプタ筐体1から容器受け5に回転運動が伝達される状態と、容器受け5の回転数が減少する状態が繰り返される。その結果、複雑な回転運動が容器に収容された被処理物に加えられ、攪拌等の効率を向上させることができる。
【0051】
図5においては、2つの領域にアダプタ弾性体10a、10bを設けたが、その領域数や場所等は、回転運動処理の目的に合わせて、適宜設定すればよい。
なお、本実施形態は、他の実施形態と組合わせることが可能である。
【0052】
(実施形態3)
実施形態1においては、アダプタに1つの容器受けを有する実施形態を示したが、複数の容器受けを有してもよい。
【0053】
図6(a)、(b)は本実施形態のアダプタ100の上面図及び断面図である。
図6においては、6つの容器受け5a、5b、5c、5d、5e、5fを有する例を示すが、容器受けの数は6つに限定するものではない。
図6(a)に示すように、それぞれの容器受け5a、5b、5c、5d、5e、5fには、容器受け弾性体9a、9b、9c、9d、9e、9fが設けられており、アダプタ弾性体10と接触し、回転運動が伝達される。
アーム3は、容器受け5a、5b、5c、5d、5e、5fの数だけ分岐した形状をなしているが、円盤形状としてもよい。
容器受け5a、5b、5c、5d、5e、5fの中心から、アーム3の中心である第1の回転軸2までの距離は、いずれも等しく設定しているが、これに限定するものではない。
【0054】
図6(b)は
図6(a)のA-A断面である。
図6(b)に示すように、アーム3の容器受け5a側には錘8が設けられている。すなわち、第1の回転軸2から容器受け5aの中心へ向かう直線上に錘8の重心が載るように配置されている。
【0055】
処理装置12の公転運動により、十分大きな遠心力がアダプタ100に加えられると、錘8が設置されている容器受け5a側が、最も強い遠心力を受けるため、容器受け5aは、処理装置12の公転軸15から最も遠い位置に留まる。
その結果、容器受け5a以外の他の容器受け5b、5c、5d、5e、5fの位置も確定した状態で、アダプタ筐体1が回転し、
図4(c)を用いて説明したメカニズムに基づき、容器受け5a、5b、5c、5d、5e、5fが、それぞれの自転軸(第2の回転軸6a、6b、6c、6d、6e、6f)を中心に回転(自転)する。
【0056】
このように、複数の容器受け5a、5b、5c、5d、5e、5fに対して、1つの錘8により、アダプタ筐体1に対する各容器受け5a、5b、5c、5d、5e、5fの位置が確定され、各容器受け5a、5b、5c、5d、5e、5fにアダプタ筐体1の回転運動が伝達され、各容器受け5a、5b、5c、5d、5e、5fが自転することが可能となる。
一度に複数の容器受けにより、被処理物に対して、回転運動の処理を施すことができ、処理装置の処理能力(スループット)を増大させることができる。
【0057】
なお、アダプタ筐体1に対して、相対的に容器受け5a、5b、5c、5d、5e、5fの位置が確定すれば同様の効果が得られるため、容器受け5a及び容器受け5b又は容器受け5a、容器受け5b及び容器受け5に対して錘8を設け、処理装置12の公転の遠心力により、相対的に容器受け5a、5b、5c、5d、5e、5fの位置を確定してもよい。すなわち、複数の錘8を設け、複数の容器受け5a、5b、5c、5d、5e、5fと複数の錘8とアーム3の全てを合わせた(集合体の)重心の位置が、アダプタ筐体1の回転中心である第1の回転軸2から離間していれば、処理装置12の公転の遠心力により、上記重心が処理装置12の公転15から遠ざかる位置に留まり、アダプタ筐体1に対して、相対的な容器受け5a、5b、5c、5d、5e、5fの位置が確定する。
【0058】
なお、各容器受け5a、5b、5c、5d、5e、5fの処理装置12の公転軸15からの距離は厳密には異なるため、各容器受け5a、5b、5c、5d、5e、5fに加えられる遠心力の大きさはそれぞれ異なる。
【0059】
(実施形態4)
上記実施形態においては、アダプタ100のアダプタ筐体1の回転を、容器受け5の自転運動に変換するものであった。
本実施形態においては、容器受け5は、アダプタ内で公転及び自転運動し、処理装置12の公転軸15を中心とする公転運動と組み合わすことにより、被処理物に対して、周期的に変動する遠心力を付与しながら自転運動を付与するという、複雑な回転運動処理を施すことができる。その結果、例えば被処理物に対して攪拌効果の高い処理が可能となる。
【0060】
以下、
図7を参照し、詳細に説明する。
図7(a)、(b)は、本実施形態におけるアダプタ200の上面図及び断面図を示す。
図7(b)は
図7(a)のB-B断面図である。
アダプタ200は、他の実施形態同様、処理装置12の容器ホルダ13に適用することができ、処理装置12により公転運動及び自転運動が付与される。
【0061】
<構成>
アダプタ筐体31は、その底部に固定された第3の回転軸32(請求項6の第1の回転軸に相当)を有しており、第3の回転軸32はアダプタ筐体31とともに回転する。
【0062】
アーム33は、第3の軸受34を介して、第3の回転軸32に回転自在に支持されている。
【0063】
容器受け35は、その底部に固定された第4の回転軸36(請求項6の第2の回転軸に相当)を有しており、第4の軸受37を介して、容器受け支持部材38に回転自在に支持され、容器受け支持部材38はアダプタ筐体31に固定されている。従って、容器受け35は、第4の回転軸36を中心に回転(自転)自在にアダプタ筐体31に支持され、アダプタ軸49を中心に回転(公転)することもできる。
なお、第3の回転軸32及び容器受け支持部材38は、筐体アダプタ筐体31と一体で形成してもよい。
【0064】
図7(a)に明示されているように、容器受け35(容器受け35a、35b、35c、35d、35e、35f)は複数設けることが可能であるが、単数であってもよく、容器受け35の個数は限定されない。
簡単のため、以下では、
図7(b)を参照し、1つの容器受け35(35a)に対して装置構成を説明するが、他の容器受け(35b、35c、35d、35e、35f)についても同様である。
【0065】
回転ドラム39は、第5の軸受40を介して、アーム33に支持されている。第3の回転軸32に対して、回転ドラム39より遠方に錘41が設けられている。
錘41は、第5の回転軸42(請求項6の第3の回転軸に相当)を有し、第5の回転軸42は、第6の軸受43を介してアーム33に支持されている。従って、錘41は、第5の回転軸42を中心に回転(自転)自在にアーム33に支持され、アーム33にとともに第3の回転軸32を中心に回転(公転)することもできる。
なお、回転ドラム39は、直接、第3の回転軸32に軸受けを介して、回転自在に支持する構成としてもよい。
【0066】
錘41は、その外壁面に錘弾性体44(第3の回転力伝達体、請求項6の第1の回転力伝達体に相当)を有し、アダプタ筐体31は、その内壁面にアダプタ弾性体45(第4の回転力伝達体、請求項6の第2の回転力伝達体に相当)を有している。
錘弾性体44とアダプタ弾性体45とは互いに接触する位置に設置されており、アダプタ弾性体45から錘弾性体44へ回転運動の伝達が可能である。
アダプタ筐体31の内壁面及び錘41の外壁面は、互いに接触しながら回転が可能なように、それぞれ第3の回転軸32及び第5の回転軸42に対して軸対称な形状をなしている。
【0067】
回転ドラム39は、その外壁面に錘弾性体44と接触可能な位置に、第1の回転ドラム弾性体46(第5の回転力伝達体、請求項6の第3の回転力伝達体に相当)を有しており、錘弾性体44から第1の回転ドラム弾性体46へ回転運動の伝達が可能である。
【0068】
容器受け35は、その外壁面に容器受け弾性体47(第6の回転力伝達体、請求項6の第4の回転力伝達体に相当)を有し、回転ドラム39は、その外壁面に容器受け弾性体47と接触可能な位置に、第2の回転ドラム弾性体48(第7の回転力伝達体、請求項6の第5の回転力伝達体に相当)を有しており、第2の回転ドラム弾性体48から容器受け弾性体47へ回転運動の伝達が可能である。
回転ドラム39は、錘弾性体44から第1の回転ドラム弾性体46への回転運動及び第2の回転ドラム弾性体48から容器受け弾性体47へ回転運動の伝達が可能となるよう、第3の回転軸32に対して軸対称な形状をなす。
【0069】
錘弾性体44(第3の回転力伝達体)、アダプタ弾性体45(第4の回転力伝達体)、第1の回転ドラム弾性体46(第5の回転力伝達体)、容器受け弾性体47、第2の回転ドラム弾性体48は、ゴム等の弾性体の他に、金属等の歯車により構成してもよい。
【0070】
バネ等を用いてアーム33が第3の回転軸32に対して伸張可能なように構成し、錘41の位置が、処理装置21の公転運動による遠心力が付与された場合に、第3の回転軸32から遠ざかる方向に移動し、錘弾性体44とアダプタ弾性体45とが接触するように構成してもよい。
【0071】
<動作原理>
処理装置12の公転運動により、錘41の静止摩擦力を超えるような遠心力がアダプタ200に付与されると、遠心力は、処理装置12の公転軸15から最も遠い位置に錘41を留めるように作用する。
さらに、処理装置12の容器ホルダ13の自転運動がアダプタ200に伝達され、アダプタ筐体31が回転すると(
図7(a)中矢印α)、アダプタ筐体31のアダプタ弾性体45から錘弾性体44に回転運動が伝達され、錘41は、アダプタ筐体31の内壁面に沿って転がるように、第5の回転軸42を中心に回転する。
【0072】
錘41が回転すると、錘弾性体44から回転ドラム39の第1の回転ドラム弾性体46へ回転運動が伝達され、回転ドラム39は第3の回転軸32を中心に回転する(
図7(a)中矢印φ)。
【0073】
回転ドラム39が回転すると、回転ドラム39の第2の回転ドラム弾性体48から容器受け弾性体47に回転運動が伝達され、容器受け35が第4の回転軸36を中心に回転する(
図7(a)中矢印γ)。
【0074】
第4の回転軸36は、容器ホルダ13とともに回転するアダプタ筐体31に固定された容器受け支持部材38によって支持されているため、第4の回転軸36は第3の回転軸32を中心に回転する(
図7(a)中矢印α)。
すなわち、処理装置12によりアダプタ筐体31に公自転運動が付与され、さらにアダプタ筐体31内部において、容器受け35に公自転運動が付与されるものである。
【0075】
このように、容器受け35は、処理装置12の公転軸15を中心に回転する回転運動(
図2中矢印β)と、アダプタ200の第3の回転軸32を中心に回転する回転運動(
図7中矢印α)と、アダプタ200の第4の回転軸36を中心に回転する回転運動(
図7中矢印γ)の3種類の回転運動が付与される。これらの回転運動がベクトル的に足し合わされた複雑な回転運動が、容器受け35に載置された容器11に付与される。
その結果、容器11に収容された被処理物に、上記複雑な回転運動を付与することで、良好な攪拌・脱泡効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明にかかるアダプタは、既存の処理装置の公転運動、自転運動に対して、自転運動の回転数の増大だけでなく、公転運動による遠心力の(周期的)変動、3種の回転運動を足し合わせたより複雑な回転運動を実現(変更)することができる、回転運動の変換装置として機能する。
従って、様々な被処理物に対し、様々な目的に合わせたアダプタを使用することで、既存の処理装置を改造することなく、被処理物に付与する回転運動処理の最適化が容易に実現でき、産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0077】
1 アダプタ筐体
2 第1の回転軸
3 アーム
4 第1の軸受
5、5a、5b、5c、5d、5e、5f 容器受け
6、6a、6b、6c、6d、6e、6f 第2の回転軸
7 第2の軸受
8 錘
9、9a、9b、9c、9d、9e、9f 容器受け弾性体(第1の回転力伝達体)
10 アダプタ弾性体(第2の回転力伝達体)
100 アダプタ
11 容器
12 攪拌・脱泡装置(処理装置)
13 容器ホルダ
14 駆動用モータ
15 公転軸
16 自転軸
17 回転体
18 公転テーブル
19 自転歯車
20 中間歯車
21 太陽歯車
22 歯車
23 制動装置
200 アダプタ
31 アダプタ筐体
32 第3の回転軸
33 アーム
34 第3の軸受
35、35a、35b、35c、35d、35e、35f 容器受け
36 第4の回転軸
37 第4の軸受
38 容器受け支持部材
39 回転ドラム
40 第5の軸受
41 錘
42 第5の回転軸
43 第6の軸受
44 錘弾性体(第3の回転力伝達体)
45 アダプタ弾性体(第4の回転力伝達体)
46 第1の回転ドラム弾性体(第5の回転力伝達体)
47 容器受け弾性体(第6の回転力伝達体)
48 第2の回転ドラム弾性体(第7の回転力伝達体)
49 アダプタ軸
50 切り欠き