(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】鉄筋曲げ加工装置
(51)【国際特許分類】
B21D 7/024 20060101AFI20220317BHJP
B21D 43/02 20060101ALI20220317BHJP
B21D 43/28 20060101ALI20220317BHJP
B21F 1/00 20060101ALI20220317BHJP
B21F 13/00 20060101ALI20220317BHJP
B21F 23/00 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
B21D7/024 S
B21D7/024 C
B21D43/02 J
B21D43/28
B21F1/00 B
B21F13/00
B21F23/00 A
(21)【出願番号】P 2017222699
(22)【出願日】2017-11-20
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000223056
【氏名又は名称】東陽建設工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102048
【氏名又は名称】北村 光司
(72)【発明者】
【氏名】勝又 寛
(72)【発明者】
【氏名】松本 智律
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正徳
(72)【発明者】
【氏名】石田 卓也
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104923693(CN,A)
【文献】特開2014-159046(JP,A)
【文献】特開平04-300134(JP,A)
【文献】特開平04-167941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 7/024
B21D 43/02
B21D 43/28
B21F 1/00
B21F 13/00
B21F 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋の曲げ加工基盤に対して直交する方向の軸心を有する支点軸と、
その支点軸周りに回動操作自在な曲げローラとを設けて、鉄筋を曲げ加工基盤の表面に沿って上下に曲げ加工する鉄筋曲げ機の一対を、前記曲げ加工基盤の表面に沿った横方向に互いに近接離間移動自在に設置し、
曲げ加工のための鉄筋を搬送自在なコンベア装置を設けてある鉄筋曲げ加工装置であって、
前記曲げ加工基盤が上下傾斜面に形成され、
前記コンベア装置は鉄筋をその長手方向に搬送するように構成してあって、
前記コンベア装置による鉄筋の搬送方向の略延長線上に前記一対の鉄筋曲げ機を配設してあり、
前記コンベア装置により搬送される複数本の鉄筋の一端部を同時に挟持可能な挟持装置と、その挟持装置によって挟持した複数本の鉄筋を、挟持したまま前記コンベア装置から前記一対の鉄筋曲げ機間にわたって鉄筋長手方向に引きずり出して供給すべく、前記挟持装置を移動操作する供給移動機構とを備える掴み搬送装置を設け、
前記コンベア装置から前記掴み搬送装置によって前記一対の鉄筋曲げ機に供給される複数本の鉄筋を、その他端側で所定長さに切断する鉄筋切断機を設け、
前記挟持装置と前記供給移動機構とで前記コンベア装置から引きずり出された鉄筋の中間部を受け取り支持して前記鉄筋曲げ機に受渡し操作する鉄筋中間受け装置を設けてある鉄筋曲げ加工装置。
【請求項2】
前記挟持装置により挟持された複数本の鉄筋を受け止める前記鉄筋中間受け装置は、前記一対の鉄筋曲げ機の間の複数個所にそれぞれ配設してある請求項1に記載の鉄筋曲げ加工装置。
【請求項3】
前記複数の鉄筋中間受け装置を、夫々曲げ加工基盤に対して出退自在に第2支持アームを介して前後揺動自在に取り付けてある請求項2記載の鉄筋曲げ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄筋の曲げ加工基盤に対して直交する方向の軸心を有する支点軸と、その支点軸周りに回動操作自在な曲げローラとを設けて、鉄筋を曲げ加工基盤の表面に沿って上下に曲げ加工する鉄筋曲げ機の一対を、前記曲げ加工基盤の表面に沿った横方向に互いに近接離間移動自在に設置し、曲げ加工のための鉄筋を搬送自在なコンベア装置を設けてある鉄筋曲げ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記鉄筋曲げ加工装置は、左右一対互いに横方向に近接離間移動自在に配設してあって、所定の長さの鉄筋の両端側を同時に曲げ加工でき、曲げ加工時間の短縮化が図れて作業効率が向上するばかりか、1台の鉄筋曲げ機では鉄筋を大きく振り回して加工する必要のあるのを、2台の鉄筋曲げ機による同時曲げ加工によって、鉄筋の振り回す加工範囲を小さくて済んで安全性を図れるという利点がある(例えば、特許文献1参照)。
そして、その鉄筋曲げ機への鉄筋の供給に関しては、鉄筋をその径方向に転動させながら搬送するようにコンベア装置を構成して、鉄筋の径方向で鉄筋曲げ機の横にコンベア装置を並設し、コンベア装置から鉄筋曲げ機へは鉄筋を手動で移し替えて供給することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の鉄筋曲げ加工装置では、鉄筋をコンベア装置から鉄筋曲げ機に移し替えるのに多くの労力が必要となる。
そこで、コンベア装置を鉄筋の径方向に搬送して鉄筋曲げ機に上から転動させて供給する機構を設けることが考えられるが、特に、複数本の鉄筋を鉄筋曲げ機に供給すると、鉄筋夫々の端部の位置が揃わなかったり、鉄筋の周部に鉄筋の長手方向に沿ったリブを設けてある鉄筋の場合には、それらのリブの向きが揃わなく、複数本の鉄筋の曲げ寸法や曲げ形状が揃わなくなりやすいという問題があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、コンベア装置から鉄筋曲げ機に、人手を必要とせずに簡単に供給できるようにしながら、例え複数本の鉄筋であっても、それらが夫々端部の位置を揃え、且つ、夫々リブの向きを揃えた場合でも、供給途中で姿勢を乱さずにコンベア装置から鉄筋曲げ機に供給できるようにするところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、鉄筋の曲げ加工基盤に対して直交する方向の軸心を有する支点軸と、その支点軸周りに回動操作自在な曲げローラとを設けて、鉄筋を曲げ加工基盤の表面に沿って上下に曲げ加工する鉄筋曲げ機の一対を、前記曲げ加工基盤の表面に沿った横方向に互いに近接離間移動自在に設置し、曲げ加工のための鉄筋を搬送自在なコンベア装置を設けてある鉄筋曲げ加工装置であって、前記曲げ加工基盤が上下傾斜面に形成され、前記コンベア装置は鉄筋をその長手方向に搬送するように構成してあって、前記コンベア装置による鉄筋の搬送方向の略延長線上に前記一対の鉄筋曲げ機を配設してあり、前記コンベア装置により搬送される複数本の鉄筋の一端部を同時に挟持可能な挟持装置と、その挟持装置によって挟持した複数本の鉄筋を、挟持したまま前記コンベア装置から前記一対の鉄筋曲げ機間にわたって鉄筋長手方向に引きずり出して供給すべく、前記挟持装置を移動操作する供給移動機構とを備える掴み搬送装置を設け、前記コンベア装置から前記掴み搬送装置によって前記一対の鉄筋曲げ機に供給される複数本の鉄筋を、その他端側で所定長さに切断する鉄筋切断機を設け、前記挟持装置と前記供給移動機構とで前記コンベア装置から引きずり出された鉄筋の中間部を受け取り支持して前記鉄筋曲げ機に受渡し操作する鉄筋中間受け装置を設けたところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、鉄筋をその長手方向に搬送するコンベア装置の鉄筋搬送方向の略延長線上に、一対の鉄筋曲げ機を配設してあるために、従来のような鉄筋をその径方向に搬送するコンベア装置に比べて、搬送途中での鉄筋の周方向における姿勢が安定し、そのために鉄筋に設けてあるリブの向きを事前に定めておけば、その姿勢のままコンベア装置から一対の鉄筋曲げ機に鉄筋を受け渡して、安定した曲げ加工ができる。
その上、掴み搬送装置がコンベア装置により搬送される鉄筋の一端部を挟持して前記左右一対の鉄筋曲げ機に供給して、コンベア装置に設けた鉄筋切断機により鉄筋の他端部が所定長さに切断されることにより、ストッパー装置を鉄筋曲げ機に設けなくとも鉄筋の一端部の位置を決めた状態で正確な曲げ加工を行うことが出来る。
掴み搬送装置における挟持装置によって、複数本の鉄筋を同時に挟持してコンベア装置から鉄筋長手方向に引きずり出して、鉄筋曲げ機に鉄筋中間受け装置との協働操作で受渡し操作をすることで、予め複数本の鉄筋の夫々の周方向におけるリブの向きや、端部位置を揃えておけば、人の労力をかけずとも鉄筋曲げ機に受け渡された複数本の鉄筋は、リブの向きや曲げ寸法、曲げ形状が揃った精度の良い曲げ加工ができる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記挟持装置により挟持された複数本の鉄筋を受け止める前記鉄筋中間受け装置は、前記一対の鉄筋曲げ機の間の複数個所にそれぞれ配設したところにある。
【0009】
本発明の第3の特徴構成は、前記複数の鉄筋中間受け装置16を、夫々曲げ加工基盤に対して出退自在に第2支持アームを介して前後揺動自在に取り付けたところにある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】支持機枠に取り付けた鉄筋曲げ機の正面図である。
【
図4】掴み搬送装置による作用説明図で、(a)は掴む前の状態、(b)は掴み搬送状態による搬送途中の正面図である。
【
図5】掴み搬送装置による作用説明図で、(a)は鉄筋切断後の状態、(b)は鉄筋曲げ機により曲げ加工時の状態を示す正面図である。
【
図6】鉄筋曲げ機及び掴み搬送装置を設けた部分の斜視図である。
【
図8】掴み搬送装置の側面図で、(a)はクランプ前、(b)は鉄筋をクランプした状態を示す。
【
図9】鉄筋中間受け装置の斜視図で、(a)は引退した状態を示し、(b)は突出させた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~
図3、
図6に示すように、鉄筋の曲げ加工基盤3に対して直交する方向の軸心を有する支点軸1と、その支点軸1周りに回動操作自在な曲げローラ2とを設けて、鉄筋5を曲げ加工基盤の表面に沿って上下に曲げ加工する鉄筋曲げ機4を、左右一対互いに横方向に近接離間移動自在に設置し、曲げ加工のための鉄筋5を搬送自在なコンベア装置6を設け、複数本を束にした状態で搬入した鉄筋5束から、所定本数取り出してコンベア装置6に供給する鉄筋取り出し供給装置7を設けて、鉄筋曲げ加工装置を構成してある。
【0012】
前記一対の鉄筋曲げ機4は、支持機枠8に対して横方向に互いに近接離間移動自在に取り付けて、夫々曲げ加工基盤が上下傾斜面に形成され、その曲げ加工基盤に対して支点軸1及び曲げローラ2が直交する方向に出退自在に取り付けてある。
そして、一対の鉄筋曲げ機4に供給された鉄筋5は、1本であっても複数本であっても、夫々の鉄筋5の両端側を同時に曲げ加工操作でき、鉄筋5自体の曲げ加工のための鉄筋5の振り回しエリアを小さくして、安全性を向上させてある。
前記コンベア装置6は、
図1~
図3に示すように、鉄筋取り出し供給装置7から供給された複数本の鉄筋5をその長手方向に搬送可能な搬送ローラ9を、鉄筋5の長手方向に夫々所定間隔置きに複数設けてある。そして、コンベア装置6による鉄筋5の搬送方向の略延長線上に一対の鉄筋曲げ機4を相対的に配置し、
図6から
図8に示すように、コンベア装置6により搬送される複数本の鉄筋5の一端部を、同時に挟持して左右一対の鉄筋曲げ機4に供給する掴み搬送装置10を、支持機枠8に取り付け、コンベア装置6から掴み搬送装置10によって鉄筋曲げ機4に供給される鉄筋5の他端側で、所定長さに切断する鉄筋切断機11を、コンベア装置6の鉄筋搬送終端部に設けてある。
【0013】
前記掴み搬送装置10は、
図6~
図8に示すように、複数本の鉄筋5の一端部を挟持可能な挟持装置12と、その挟持装置12によって挟持した複数本の鉄筋5を、コンベア装置6から鉄筋5長手方向に引きずり出し可能に挟持装置12を移動操作する供給移動機構13とを設けて構成してある。
つまり、掴み搬送装置10の挟持装置12を、第1支持アーム14を介して曲げ加工基盤3に対して近接離間移動自在で、且つ、左右一対の鉄筋曲げ機4の並設方向に供給移動機構13によって移動操作自在に支持機枠8に取り付けてある。
そして、
図9~
図10に示すように、挟持装置12と供給移動機構13とでコンベア装置6から引きずり出された鉄筋5の中間部を、ローラー部18で受け取り支持して鉄筋曲げ機4に受渡し操作する鉄筋中間受け装置16を、一対の鉄筋曲げ機4の近接離間移動方向の複数個所に夫々配設して、複数の鉄筋中間受け装置16を、夫々曲げ加工基盤に対して出退自在に第2支持アーム17を介して前後揺動自在に支持機枠8に取り付けてある。
【0014】
前記鉄筋取り出し供給装置7は、
図1~
図3に示すように、構成してある。
つまり、複数本の鉄筋5を、多数本の鉄筋5束の中から電磁気で吸着して持ち上げ可能に上下移動操作自在に、マグネット部19を一対設け、一対のマグネット部19の間に材料受部材をコンベア装置6に対する遠近方向に出退自在に設け、材料受部材で所定本数の鉄筋5を受け取った後には、マグネット部19による磁力を消去できるように構成してある。そして、それらの一対のマグネット部19、及び、材料受部材の左右両側に、挟みローラ21を、互いに離間移動操作自在に設けてある。
従って、一対のマグネット部19で吸着して上方に持ち上げられ、その後、材料受部材20に受け止められたた複数本の鉄筋5は、一対のマグネット部19の左右両側に設けた一対の挟みローラ21が挟み操作した後に互いに離間する方向に移動することにより、互いにからみついた部分のある複数本の鉄筋5も、夫々の挟みローラ21によって扱かれて、多数の鉄筋5束から分離されて取り出される。
挟みローラ21によって取り出された複数本の鉄筋5は、鉄筋5長手方向の複数個所に配設された材料受部材20によって受け止められ、コンベア装置6に移動して供給されるように構成してある。
【0015】
〈鉄筋曲げ操作手順〉
次に、前記コンベア装置6から掴み搬送装置10による鉄筋曲げ機4への供給と、一対の鉄筋曲げ機4による曲げ作動の手順を説明する。
1、コンベア装置6により鉄筋切断機11にまで鉄筋5の先端部分が搬送供給される(
図4(a))。
2、鉄筋5の先端部は、掴み搬送装置10によりクランプされて、鉄筋切断機11から鉄筋曲げ機4に向けて所定長さ分引き出され、一方の鉄筋曲げ機4を通って他方の鉄筋曲げ機4の近くまで搬送される(
図4(b))。尚、この時、引き出された鉄筋5の中間部は、複数の鉄筋中間受け装置16により受け止め支持される(
図9(a)→(b)、
図10)。
3、鉄筋切断機11により切断された鉄筋5は、その先端部が他方の鉄筋曲げ機4にかけて搬送される(
図5(a))。
4、一対の鉄筋曲げ機4に供給された鉄筋5は、両鉄筋曲げ機4により両端部が曲げ操作される(
図5(b))。
【符号の説明】
【0016】
1 支点軸
2 曲げローラ
3 曲げ加工基盤
4 鉄筋曲げ機
5 鉄筋
6 コンベア装置
10 掴み搬送装置
11 鉄筋切断機
12 挟持装置
13 供給移動機構
16 鉄筋中間受け装置