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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】拡張型セーフルーム
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/344 20060101AFI20220317BHJP
   E04H 9/10 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
E04B1/344 F
E04H9/10
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2017537306
(86)(22)【出願日】2016-06-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-08-30
(86)【国際出願番号】 IL2016050594
(87)【国際公開番号】W WO2016199136
(87)【国際公開日】2016-12-15
【審査請求日】2019-05-30
(31)【優先権主張番号】239282
(32)【優先日】2015-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】517243264
【氏名又は名称】クライン,アモス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】クライン,アモス
【審査官】新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-098838(JP,A)
【文献】特許第5564138(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0202089(US,A1)
【文献】特許第4898309(JP,B2)
【文献】特開2005-241183(JP,A)
【文献】特開平07-294197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/344
E04H 9/04 - 9/12
F41H 5/00 - 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に防護された空間を画定する、自動展開型の防弾拡張型セーフルーム(ESR)であって、前記ESRが
自立型のメイン直立フレームであって、前記ESRが折り畳み位置にある場合に、拡張可能かつ移動可能な部品を備え、かつ前記メイン直立フレームは、実質的に平行な一対の下部レールを備える、メイン直立フレームと、
前記メイン直立フレームの内部に固定して接続された後壁と、
前記メイン直立フレームにヒンジで接続された一対の側壁と、
前記メイン直立フレームと平行かつ前記側壁にヒンジで接続された前壁と、
前記メイン直立フレームにヒンジで接続された屋根と、
前記メイン直立フレームにヒンジで接続された床と、
前記折り畳み位置から展開位置へ、または前記展開位置から前記折り畳み位置へ、それぞれ前記ESRを自動的に展開または折り畳むように構成された制御器、
を備え、
前記ESRを拡張方向に展開すると、前記前壁が、前方方向かつ前記メイン直立フレームから離れる方向に移動する、ESR。
【請求項2】
前記側壁の各々が、側壁後部にヒンジで接続された側壁前部を備える、請求項1に記載のESR。
【請求項3】
前記側壁の少なくとも一つまたは前記前壁が、前記防護された空間内への人々の通行を可能にするドアを備えた、請求項1に記載のESR。
【請求項4】
前記ESRの折り畳み位置では、前記屋根、前記床、前記前壁、前記側壁前部の各々及び前記側壁後部の各々が、前記後壁と平行である、請求項に記載のESR。
【請求項5】
前記ESRの展開位置では、前記前壁が、前記後壁と平行かつそこから間隔をあけており、前記側壁の各々が、相互に間隔をあけており、各側壁前部が、隣接する前記側壁後部と150°よりも大きい角度を形成し、かつ前記屋根が、前記床と平行かつそこから間隔をあけており、前記前壁及び前記側壁の壁上端をカバーする、請求項に記載のESR。
【請求項6】
前記前壁及び前記側壁が、その内部に、防護パネルをその中に挿入できるマガジンレールを持ち、前記防護パネルが、より高い弾道脅威に耐えることができる、請求項1に記載のESR。
【請求項7】
前記前壁及び/または前記側壁が、透明な防弾部を備えた、請求項1に記載のESR。
【請求項8】
折り畳み位置における当該ESRの厚さ寸法が、15cm~30cmの範囲である、請求項1に記載のESR。
【請求項9】
前記側壁が、前記メイン直立フレームから離れる方に及び/またはそれに近づく方に前記側壁を移動できるように構成されたアームによって前記メイン直立フレームに接続された、請求項1に記載のESR。
【請求項10】
前記屋根が、前記屋根を前記メイン直立フレームに接続する、ヒンジを中心にして前記屋根を回転できるように構成されたピストンによって、前記メイン直立フレームに接続された、請求項1に記載のESR。
【請求項11】
前記床が、前記床を前記メイン直立フレームに接続する、ヒンジを中心にして前記床を回転できるように構成されたピストンによって、前記メイン直立フレームに接続された、請求項1に記載のESR。
【請求項12】
前記制御器が前記ESRの自動展開を制御された様式において開始する信号を受信する、請求項1に記載のESR。
【請求項13】
前記折り畳み位置から、請求項1に記載のESRを自動的に展開する方法であって、
前記制御器が前記ESRを展開するためのセンサ開始信号を取得する工程と、
前記屋根と関連付けされた複数のピストンのうち少なくとも1つのピストンを作動する工程であって、それによって、屋根と後壁との間に作り出された内角が90°よりも大きくなるように、ルーフヒンジを中心にして上昇円運動において前記屋根を旋回させる工程と、
前記床と関連付けされた複数のピストンのうち少なくとも1つのピストンを作動する工程であって、それによって、床が前記後壁と垂直になるまで、フロアヒンジを中心にして降下円運動において前記床を旋回させる工程と、
前記前壁と関連付けされた複数のピストンのうち少なくとも1つのピストンを作動する工程であって、それによって、側壁同士が実質的に位置を合わせるまで、前方方向かつ前記後壁から離れる方に前壁を移動させる工程と、
前記屋根と関連付けされた複数のピストンのうち少なくとも1つのピストンを作動する工程であって、それによって、前記前壁及び前記側壁の壁上端に接するまで、前記屋根を降下させる工程、
を含む、請求項1に記載の前記ESRを自動的に展開する方法。
【請求項14】
前記前壁が前方方向に移動中、各側壁前部が、隣接する側壁後部と150°よりも大きい角度を形成する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
逆の手順で、前記展開位置から前記折り畳み位置に前記ESRを折り畳むために前記制御器を作動させる工程をさらに包含する、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、防護構造の分野に関し、特に、拡張型防護構造の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
防護構造が公知となっている。一般的に、防護構造は、鋼鉄で作られ、人と機器を防護することができる。
【0003】
Geihlへの米国特許第3,889,432号は、運送車両用の折り畳み式のかつ拡張型モジュラーシェルターユニットを開示している。シェルターユニットの支持材は、それ自体を車両のみにおける使用に制限する。Kleinへの米国特許第8,978,318号は、アパートの内壁に取り付けられた、少なくとも一つの金属フレームを有する組立可能なインドアシェルターを教示している。五つの防護壁がフレームに取り付けられてシェルターを形成している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インドアならびにアウトドアで使用でき、かつアパート、建物または車両などの他の支持構造から完全に独立した、折り畳み式のかつ延長可能なセーフルームを提供する要求がある。
【0005】
インドアまたはアウトドアで使用できる拡張型セーフルームを提供することを目的とする。
【0006】
別の目的は、自動的に作動する拡張型セーフルームを提供することである。
【0007】
なおもさらなる目的は、防弾である拡張型セーフルームを提供することである。
【0008】
これもまたさらなる目的は、化学的及び生物学的防護を提供するように適応できる拡張型セーフルームを提供することである。
【0009】
別の目的は、コンパクトに引っ込む拡張型セーフルームを提供することである。
【0010】
なおも別の目的は、低温または高温兵器を持つ突然の侵入者に対する防護を提供できる拡張型セーフルームを提供することである。
【0011】
別の目的は、その弾道抵抗性を増大する防護パネルを持つアップグレードできる拡張型セーフルームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
それ故に、好ましい実施形態に従い、内部に防護された空間を画定する拡張型セーフルーム(ESR)が提供され、拡張型セーフルームは、
メイン直立フレームと、
メイン直立フレームにヒンジで接続された一対の側壁と、
メイン直立フレームと平行かつ側壁にヒンジで接続された前壁と、を備え、
ESRを拡張方向に展開すると、前壁が、前方方向かつメイン直立フレームから離れる方に移動する。
【0013】
別の好ましい実施形態に従い、側壁の各々は、側壁後部にヒンジで接続された側壁前部を備える。
【0014】
別の好ましい実施形態に従い、側壁の少なくとも一つまたは前壁は、防護された空間内への人々の通行を可能にするドアを備える。
【0015】
別の好ましい実施形態に従い、ESRは、さらに、メイン直立フレームにヒンジで接続された屋根を備える。
【0016】
別の好ましい実施形態に従い、ESRは、メイン直立フレームにヒンジで接続された床を備える。
【0017】
別の好ましい実施形態に従い、側壁の各々は、側壁後部にヒンジで接続された側壁前部を備える。
【0018】
別の好ましい実施形態に従い、ESRは、さらに、ルーフヒンジによってメイン直立フレームにヒンジで接続された屋根、及びフロアヒンジによってメイン直立フレームにヒンジで接続された床を備えており、側壁の各々は、サイドヒンジによって側壁後部にヒンジで接続された側壁前部を備える。
【0019】
別の好ましい実施形態に従い、ESRは、さらに、メイン直立フレームと平行かつそこに固定して接続された後壁を備える。
【0020】
別の好ましい実施形態に従い、ESRの折り畳み位置では、屋根、床、前壁、側壁前部の各々及び側壁後部の各々は、後壁と平行である
【0021】
別の好ましい実施形態に従い、ESRの展開位置では、前壁は、後壁と平行かつそこから間隔をあけており、側壁の各々は、他方の側壁から間隔をあけており、各側壁前部は、隣接する側壁後部と150°よりも大きい角度を形成し、そして屋根は、床と平行かつそこから間隔をあけており、前壁及び側壁の壁上端をカバーする。
【0022】
別の好ましい実施形態に従い、折り畳み位置から展開位置へのESRの展開は、自動的に、半自動的にまたは手動で実行される。
【0023】
別の好ましい実施形態に従い、ESRは、防弾である。
【0024】
別の好ましい実施形態に従い、前壁及び側壁は、その内部に、防護パネルをその中に挿入できるマガジンレールを持ち、防護パネルは、より高い弾道脅威に耐えることができる。
【0025】
別の好ましい実施形態に従い、前壁及び/または側壁は、透明な防弾部を備える。
【0026】
別の好ましい実施形態に従い、折り畳み位置におけるESRの厚さ寸法は、15cm~30cmの範囲である。
【0027】
別の好ましい実施形態に従い、側壁は、直立フレームから離れる方に及び/またはそれに近づく方に壁を移動できるように構成されたアームによって前述のメイン直立フレームに接続される。
【0028】
別の好ましい実施形態に従い、屋根は、屋根を直立フレームに接続する、ヒンジを中心にして屋根を回転できるように構成されたピストンによって、前述のメイン直立フレームに接続される。
【0029】
別の好ましい実施形態に従い、床は、床を直立フレームに接続する、ヒンジを中心にして床を回転できるように構成されたピストンによって、前述のメイン直立フレームに接続される。
【0030】
別の好ましい実施形態に従い、ESRは、さらに、ESRの自動展開を制御された様式において開始する信号を受信できる制御器を持つ。
【0031】
なおも別の実施形態に従い、拡張型セーフルーム(ESR)を折り畳み位置から展開する方法が提供され、この方法は、
屋根と後壁との間に作り出された内角が90°よりも大きくなるように、ルーフヒンジを中心にして上昇円運動において屋根を旋回させることと、
床が後壁と垂直になるまで、フロアヒンジを中心にして降下円運動において床を旋回させることと、
側壁同士が実質的に位置を合わせるまで、前方方向かつ後壁から離れる方に前壁を移動させることと、
前壁及び側壁の壁上端に接するまで、屋根を降下させることと、を含む。
【0032】
別の好ましい実施形態に従い、方法は、自動的に実行され、制御される。
【0033】
別の好ましい実施形態に従い、前壁が前方方向に移動中、各側壁前部は、隣接する側壁後部と150°よりも大きい角度を形成する。
【0034】
他の様に定義しない限り、本明細書に使用されるすべての技術的および科学的用語は、この実施形態に属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載したものと同様または同等の方法及び構成要素を実施形態の実践または試験に使用できるが、適切な方法及び構成要素を下記する。矛盾する場合には、定義を含む特許明細書が支配する。加えて、構成要素、方法及び実施例は、単なる実例であり、限定することは意図しない。
【0035】
実施形態を、添付の図面を参照し、単なる実施例として本明細書に記載する。ここでは具体的な図面を詳細に参照するが、示す事項が実施例であり、好ましい実施形態の実例の考察を目的とするものであり、かつ実施形態の原理及び概念的態様の最も有用なかつ容易に理解される記載と考えられるものを提供するために提示されることを強調する。これに関して、基本的な理解に必須であるよりも詳細に構造的詳細を示すためのいかなる試みも為されず、図面に伴う記載によって、いくつかの形態を実際に具現化できる様式が当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】折り畳み位置における、好ましい実施形態に従う拡張型セーフルームの斜視図である。
図2】開放位置における、屋根をもつ図1の拡張型セーフルームの斜視図である。
図3】開放位置における、屋根及び床をもつ図1の拡張型セーフルームの斜視図である。
図4】開放位置における、屋根、床及び壁をもつ図1の拡張型セーフルームの斜視図である。
図5】屋根が取り外された図1の拡張型セーフルームの斜視図、及び作動機構の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
少なくとも一つの実施形態を詳細に説明する前に、実施形態が、その適用において、以下の記載に説明されるまたは図面に例証されるコンポーネントの構造及び配置の詳細に限定されないことを理解すべきである。他の実施形態またはさまざまな方式において実践もしくは実行することが可能である。また、本明細書に用いられる表現及び専門用語が、記載を目的とするものであり、限定するものとしてみなされないはずであることを理解すべきである。以下の本明細書に記載したさまざまな図面の考察において、同様の番号は同様の部分を指す。図面は、概して原寸に比例していない。
【0038】
明快さのために、不必要な要素は、いくつかの図面から削除した。
【0039】
図1図5に描画するものが好ましい実施形態に従う拡張型セーフルームを示すことに注意されたい。便宜上、拡張型セーフルームを、下文では「ESR」と呼ぶ。
【0040】
明細書及び請求項の全体を通してみられる方向を示す用語、例えば、「前方」、「後方」、「上部」、「下部」などは、互いと相対的なさまざまな表面の位置を区別するための便宜上の用途として使用されることに留意すべきである。これらの用語は、図面を参照して定義される。しかしながら、これらは単に例示目的に使用され、範囲を限定することは意図しない。
【0041】
図1に示すように、提供されるESR10は、システムのさまざまなコンポーネントが備え付けられる及び組み立てられるフレーム12を備える。
【0042】
ESR10の大きな利点は、図1に示すように、折り畳み位置において最小厚さ寸法Tを有し、故に、未使用位置において最小空間しか占有せず、所望の場合に、スクリーニングカーテンまたは同類のものでカバーできることである。具体的な実施形態に従い、ESR10の折り畳み位置では、厚さ寸法Tは約28cmである。一般的に、ESRのさまざまなサイズ、使用及びニーズに従い、厚さ寸法Tは、15cm~30cmである。厚さT内において、構造のほぼすべてのコンポーネントは折り畳まれ、壁、屋根及び床は、厚さ内において平行に位置し、そしてまた構造の展開を促進するすべてのピストン及びコネクタも同様である。
【0043】
ESR10は、自立できる、すなわち、任意の壁、隔壁、フレーム、車両、または直立位置に維持するための同類のものに依存しない。フレーム12は、補強梁16によってそれらの間を接続された一対の下部の実質的に平行なレール14を備える。
【0044】
メイン直立フレーム18は、反転した「U」形状を有し、下部レール14と垂直に接続される。メイン直立フレーム18は、後に記載するように、ESR10の拡張型部分を内部に収容する。
【0045】
ESR10の後壁20(図5参照)が、ESR10の後側22に位置付けられる。後壁20、ならびにESR10を形成するすべての他のプレートは、鋼鉄で作られ、NIJ IVまたはStanag3に従い、最大7.62口径APまでの弾道脅威に耐えることができる。ESRを実施するために、構成要素の同様の強度を形成できる他の構成要素または構成要素の組み合わせを利用できる。ESR10を形成するプレートの各々は、その内部に、防護パネルをその中に挿入できるマガジンレールを持つ。防護パネルは、より高い弾道脅威に耐えることができ、顧客のニーズに応じて設置及び分類される。
【0046】
図4に示すように、ESR10を作動位置に開放または展開することが要求されると、ESR10の作動システムが作動する。作動システムは、自動的に、半自動的にまたは手動で作動することができる。任意の場合において、ステージも同様である。
【0047】
ESR10の自動運転では、システムの制御器29が、選択的に、外部センサ(図に示さない)からの信号を受信する。例えば、頻繁に地震の影響を受ける地域における防護シェルターとしてESR10を使用することが要求される場合には、地震センサが、地震が周囲で突発したことを感知し、ESR10を即座に開放するように制御器に信号を送ることができる。故に、数秒のうちに、ESR10は、作動位置に開放され、地震を今しがた感知したまたは同じセンサによって警告された人々を直ぐに内部に受け入れることができる。制御器29は、好ましくは、それが損傷を被らないようなフレーム内の隠された、ESRにおける任意の位置またはその近辺に位置付けることができる。制御器が、電話回線または任意の他の形態の有線もしくは無線通信を使用して、ESRの展開を開始するための通信を受信できることに留意すべきである。
【0048】
ESR10の自動運転の別の実施例として、火災の場合に展開するように設計されたときには、その場合には火災検知システムからの信号を受信する、または財産の窃盗の場合には、対応する侵入者検知器からの信号を受信する。
【0049】
具体的な実施形態に従い、ESR10の展開位置では、メイン直立フレーム18と平行に測定された全長Lは、270cmであり、全長寸法Lと垂直に測定された幅Wは、254cmであり、そして全長及び幅寸法と垂直に測定された高さHは、216cmである。前述の寸法を使用するときには、ESR10は、必要なまたは緊急な場合に、内部に18人の人々を収容することができる。言うまでもなく、ニーズに応じて他の寸法のESRも可能であり、ESRは、異なる数の人々を収容することができる。
【0050】
システムの半自動的な作動の意味するところは、ESR10の作動を管理する人または人々の群が作動ボタンを押してESR10の展開を開始できることである。作動ボタンは、機械的にもしくは配線でESR10に取り付ける、ESR10から遠隔に、例えば、他のルームもしくは空間内に位置付ける、または作動システムに物理的に配線されていない遠隔制御されたシステムによって作動させることができる。
【0051】
システムの手動操作の意味するところは、人が、手動で、折り畳み位置から展開位置にESR10を展開する機構を作動させることである。これは、例えば、ESR10の開放機構を立ち代わって作動させる作動ハンドルを回転することによって行うことができる。
【0052】
図2に参照できるようなESR10の第一の展開ステップでは、屋根24が、一対の屋根作動ピストン26によって水平の位置に持ち上げられる。屋根24は、メイン直立フレーム18に取り付けられたルーフヒンジ28によってヒンジで動く。故に、屋根24の展開中、屋根前方端30は、ルーフヒンジ28を中心にして矢印32に指し示す上昇円運動を遂行する。下記する理由のために、屋根24が屋根の水平の位置をわずかに越えて持ち上げられることを言及すべきである。図2及び図5では、ピストン機構を全部観察できるように、直立フレームのカバーが図面において取り外されている。
【0053】
具体的な実施形態に従い、屋根作動ピストン26は、電気ピストンであり、その結果それ自身の「位置検出システム」を有し、故に、システムのさまざまな要素の位置を検出するための追加のセンサを使用する必要がない。
【0054】
図2に示すように、屋根24がその最大上昇位置に到達すると、制御システム29(この図には示さない)が、ESR10を展開する第二のステップを開始する信号を受信する。このステップにおいて、一対の床作動ピストン34が、屋根の展開後に完全に露出される床36の展開を開始する。床36は、メイン直立フレーム18に取り付けられたフロアヒンジ38によってヒンジで動く。故に、床36の展開中、床前方端40は、図3に示すように、フロアヒンジ38を中心にして矢印42に指し示す降下円運動を遂行する。
【0055】
床36がその最終位置に到達すると、すなわち、(図3に示すように)完全に展開され、下部レール14と平行になると、これも好ましくは電気による床作動ピストン34が、位置を感知し、ESR10を展開する第三のステップを開始する信号を制御システムに送る。このステップの最後に、フレームの屋根及び床の移動によって、ESRの側壁が露出する。図4に示すような以下のステップにおいて、一対の壁作動ピストン44が、矢印48によって指し示す前方方向に壁アセンブリ46を前方に開放する。壁アセンブリ46は、一対の側壁50(片側の側壁のみを図4に参照できる)、及び側壁50の壁前方端54に接続された前壁52を備える。
【0056】
側壁50の各々は、二つの部分、すなわち、垂直に方向付けられたサイドヒンジ60を手段としてそれらの間を人手で接続された側壁前部56及び側壁後部58を備える。前壁52は、固定部分62、及びESR10内への人々の入場を可能にするためのドア64を備える。
【0057】
前壁52と共に側壁50の適切な方向における前方前進を保証するために、各側壁前部56の下部前端66が、配列機構70を手段として隣接する側壁後部58の下部後端68に接続される。配列機構70は、一組の二つの平行な後アーム74にヒンジで接続された一組の二つの平行な前アーム72を備える。故に、側壁50の外側に対向して位置する二組の配列機構70を手段として、側壁50及び前壁52が、矢印48に指し示す前方方向、または引っ込むときには、前方方向48と反対の、矢印76に指し示す後方方向のみに移動することが保証される。
【0058】
本明細書に前に言及したように、第一のステップにおいて、屋根24は、水平の位置をわずかに越えて持ち上げられる。(明快さのために屋根が取り外された)図5に示すように、前壁52及び側壁50がそれらの最終位置に到達すると、壁作動ピストン44が、前壁52及び側壁50の壁上端78に接するまで屋根24を降下させる信号を制御システムに送る。
【0059】
選択的に、この位置において、側壁前部56と側壁後部58とは平行ではなく、一続きの直線を形成しないが、側壁50の上面図に見られるように、サイドヒンジ60の周囲において互いに関して鈍角を形成する。この特徴は、ESR10の閉鎖作動中、側壁前部56が側壁後部58に対してロックされず、互いに関して容易に折り畳むことができる、すなわち、それらの間の鈍角が減少し、側壁50のサイドヒンジ60が互いに近づく方に移動していることを保証する。概して、ESR10は、展開したのと同様の様式で折り畳むことができる。側壁及び前壁を折り畳む前に、屋根をわずかに持ち上げる必要があることを言及すべきである。
【0060】
故に、ESR10などのESRは、迅速かつ安全な様式において、自動的にまたは手動で容易にかつ効果的に組み立てられる。ESR10が概して立方または箱形状であり、そのすべての六つの面が閉鎖された後に、内部に防護された空間80が画定され、内部に位置する人々または機器のためのセーフルームが提供される。
【0061】
後壁20、屋根24及び床36がESR10の肝要な部分を形成した後、ESR10は、地震、ミサイル攻撃の場合、またはそれが内部に位置付けられた建物または構造の全面的な破壊の場合でさえも、内部の人々の防護において非常に効果的となる。
【0062】
選択的に、さまざまな壁の間の部分またはすべてのヒンジは、隣接する壁が折り畳み式のまたはスライド可能な重なり部分を持ち、それらの開放位置において壁の間に隙間が存在せず、防護ケースの連続体を形成するように作られる。
【0063】
ESR10は、図1に示すような組み立て姿勢、または運送がより容易かつより軽く、その後、さまざまな部分を現場で組み立てる分解された姿勢のいずれかにおいて現場に配達することができる。
【0064】
ESR10のいくつかの選択的な実施形態において、ESRは、壁のより大きい部分にわたる平らなより大きい透明なパネルの窓などの透明な要素を持つことができる。窓は、弾道プルーフであってもよく、実施例として、弾道プルーフポリカーボネートパネルから形成することができる。
【0065】
ESRの弾道防護は、内部に留まる人々に、小火器、手榴弾、モルタル爆裂の破砕、または冷兵器に対する防護にかかわらず、テロリストの脅威に対する広範囲の防護を提供する。
【0066】
選択的に、ESRの防火モードでは、壁の内部から実装された最大3時間の耐火材料が装備されている。選択的に、そのような防護は、屋根及び床にも実装される
【0067】
ESRの軽量モードでは、防弾防護を提供することができ、建物、ヨット、航空機、及びバン及びバスなどの車両、ならびに同類のものに据え付けることができる。
【0068】
ESRの大きな利点は、折り畳み位置において比較的小さい厚さ寸法を有し、それ故に、未使用期間中に多くの空間を占有することなく、大体どこの位置にも据え付けることができることである。さらに、折り畳み位置では、カーテンまたは同類のものでカバーすることができ、全く目に入るまたは気付かれることがない。
【0069】
ESRは、密封または通風されたバージョンにおいて提供でき、湿度及び温度制御された環境も提供することができる。ESRは、絶縁モードでも、非絶縁モードでも提供することができる。
【0070】
選択的に、ESRは、さらに、ESRの内部空間内に据え付けることができ、特別なテントスタイルの生物学的及び化学的な防護バブルまたはカバーを含む生物学的及び化学的な濾過システムを持つことができる。空気濾過システムは、防護された領域に入る悪臭または汚染大気をフィルタにかけるように設計される。
【0071】
いくつかの実施形態に従い、ESRは、内部から遮ることができ、必要に応じて、外の観察及び発砲能力を可能にする観察開口を持つことができる。
【0072】
ESRの制御システム及び作動システムは、通常、電源から電力供給される。しかしながら、緊急の場合などでは、時々、電源電力は利用できなくなる。その理由のために、ESRのいくつかの実施形態は、遠隔で始動する発電機及び非常用バッテリ供給電圧を持つ。
【0073】
本開示はある程度詳細に記載したが、下文に請求するような本開示の本質または範囲から逸脱することなく、さまざまな改変及び変更を為せることを理解するべきである。例えば、側壁前部は、側壁後部と鈍角を形成する必要はなく、それらの間に平角を形成することができる。その場合には、側壁は、さらに、平角を鈍角に「ブレーク」して、側壁前部をそれらの対応する側壁後部に対して折り畳み可能にするためのロック-ブレーキング-デバイスを持つ。
【0074】
ESRは、前述のサイズに限定されず、人々の異なるニーズ及び異なる収容に適合するような他の寸法のESRも同等に適用可能である。さらに、ESRは、インドアならびにアウトドアで据え付けることができる。
【0075】
ESRは、電気ピストンによって作動する必要はなく、他の駆動手段も同等に適用可能である。例えば、ESRのさまざまな部分の作動は、油圧もしくは空気圧ピストンを通じて、または歯車、ウィンチ及びケーブル、ならびに同類のものなどのさまざまな機械的駆動機構によって実行することができる。
【0076】
ESRは、前述のような二つの部分のみを有するその側壁を有するものに限定されない。あるいは、側壁は、四つ以上などのより多い数の部分を含有することができる。一般的に、側壁の部分の数は、ペア数であることが有利であり、これにより前述のような側壁の容易な開放及び容易な折り畳みが可能になる。側壁の部分の数がより多い場合には、その結果、屋根及び床は、著しくより大きい幅寸法を有することが要求される。これは、利用できる空間がESRに十分な高さを提供する場合に実現することができる。
【0077】
他の実施形態に従い、非常に大きい高さをもつESRを製造する代わりに、必要に応じて、屋根及び床は、開く多数の部分でも作られる。
【0078】
ESRは、六つの面で閉鎖するものに限定されない。いくつかの実施形態において、地震のリスクが小さい場合、ならびに建物の床及び屋根が、補強された鉄骨梁コンクリートで作られている場合には、ESRには、ESRの壁を備えた四つのみの側面からの防護が備わっていればよい。さらに、ESRの組立現場の後壁も固体補強コンクリートで作られている場合には、ESRには、三つのみの壁、すなわち、側壁及び前壁の防護が備わっていればよい。
【0079】
明快さのために個々の実施形態の文脈において記載した実施形態の特定の特徴を、単一の実施形態における組み合わせにおいても提供できることが認識される。反対に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈において記載した実施形態のさまざまな特徴は、個々にまたは任意の適切なサブコンビネーションにおいても提供することができる。
【0080】
その具体的な実施形態とともに記載したが、多くの代替、変更及び変化が当業者に明らかであることが明白である。従って、添付の特許請求の範囲の本質及び広義の範囲内に収まるすべてのそのような代替、変更及び変化を包含することが意図される。
図1
図2
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図5