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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】異物検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/90 20060101AFI20220317BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
G01N21/90 B
G01N21/84 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020071693
(22)【出願日】2020-04-13
(65)【公開番号】P2021167792
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】593089666
【氏名又は名称】池田機械産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】池田 武司
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-186173(JP,A)
【文献】特許第2828965(JP,B2)
【文献】実開昭56-079849(JP,U)
【文献】特開2018-197667(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108760760(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を収容した容器を搬送コンベアにより搬送しながら該容器内に異物が混入しているかどうか、又は容器の外観の汚れを検査するための異物検査装置において、
前記搬送コンベアにより前記容器を支持した状態で搬送される搬送体に横軸回りに回転可能に設けられることで起伏可能な回転部材と、該回転部材に上部が保持され下部に前記容器を載置する載置部を有する容器保持部材と、上下方向に所定ストロークで昇降可能な昇降体を有する昇降手段と、該昇降手段の前記所定ストロークを調整する調整手段と、前記横軸とは異なる位置で前記回転部材に上端部が枢支連結され、かつ、下端部が前記昇降体に枢支連結されることで、該昇降体の昇降力を前記回転部材の回転力に変換するための変換部材と、を備えていることを特徴とする異物検査装置。
【請求項2】
前記容器保持部材は、前記回転部材に縦軸回りに回転可能に支持される一対の棒状部材と、前記一対の棒状部材を駆動回転させるための駆動部と、を備え、前記容器保持部材の前記載置部は、前記容器の底面に当接して該容器を載置支持する底部と、該容器の側面に当接して該側面を支持する側部と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の異物検査装置。
【請求項3】
前記昇降手段は、前記昇降体を上下方向へ移動案内するための案内手段と、前記昇降体を上下方向へ移動させる駆動手段と、を備え、該駆動手段は、前記昇降体の上下方向への駆動力を発生する手段であることを特徴とする請求項1又は2に記載の異物検査装置。
【請求項4】
前記駆動手段は、上下方向に延びるネジ軸と、該ネジ軸に螺合し、かつ、駆動回転させることで該ネジ軸に沿って上下動可能な送りナットと、該送りナットの上下動に連動し、かつ、前記昇降体に連結される連動部と、前記送りナットの外面に当接して該送りナットに回転力を付与する駆動回転可能な回転体と、を備えていることを特徴とする請求項3に記載の異物検査装置。
【請求項5】
前記駆動手段は、上下方向に延びるネジ軸と、該ネジ軸に螺合し、かつ、該ネジ軸が駆動回転させることで該ネジ軸に沿って上下動可能な送りナットと、該送りナットの上下動に連動し、かつ、前記昇降体に連結される連動部と、前記ネジ軸を駆動回転させるべく、該ネジ軸に連動連結されるアクチュエータと、を備えていることを特徴とする請求項3に記載の異物検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイアル瓶、アンプル瓶、シリンジ瓶等のような薬剤が収容された透明な容器を搬送しながら、容器内に異物が混入しているかどうか、又は容器の外観の汚れを検査するための異物検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記異物検査装置としては、チェーンコンベアを構成する左右一対のチェーン間に渡されたブラケットに、容器を保持するための容器保持機構を設けている。この容器保持機構は、前記ブラケットに容器の搬送方向と平行な横軸回りに回転可能に取り付けられるホルダーと、該ホルダーに回転自在でかつ横軸方向に移動可能に貫通保持される回転軸と、該回転軸のホルダーの一端側から外側へ延びる第1軸部に容器を把持するためのチャック機構と、を備えている。
【0003】
前記チャック機構は、回転軸の第1軸部の周囲に配置された複数の棒状係止部材(チャック)を備えている。各チャックは、前記回転軸の第1軸部の先端側外周に設けられる取付部材に揺動自在に取り付けられている。また、各チャックの先端部の内側に容器の首部を保持するための係止爪を備えている。そして、複数のチャックを閉じ状態から開放状態に操作するための操作機構を備えている。この操作機構は、複数のチャックの基端部に連結され、V字状に屈曲形成された開閉板と、開閉板の中央屈曲部の外側に外装された円筒リングと、円筒リングを第1軸部の基端側に移動付勢することで複数のチャックを閉じ状態に保持するためのスプリングと、該スプリングの付勢力に抗して円筒リングを開閉板の先端側へ移動させて複数のチャックを閉じ状態から開放状態に切り替えるための開きレバーと、を備えている。
【0004】
また、回転軸のホルダーの他端側から外側へ延びる第2軸部の先端部に、ガイドローラが回転自在に取り付けられている。このガイドローラに係合するガイド溝を有するガイドレールが、容器の搬送方向に沿って設けられた縦壁の全域に亘って設けられている。そして、ガイド溝を上下方向に変位させて容器の角度を変更することによって、いろんな角度から容器内に混入している異物を目視で確認できるようにしている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第2828965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、回転軸のホルダーの一端側から外側へ延びる第1軸部に、容器を把持するためのチャック機構を備え、回転軸のホルダーの他端側から外側へ延びる第2軸部に、ガイドローラを備えるだけでなく、ガイドローラが係合するガイドレールを縦壁の全域に亘って設けなければならず、部品点数が多くなってしまう。そのため、装置全体が大型化してしまうという不都合があった。また、縦壁に設けられるガイドレールのガイド溝の上下方向の位置を一旦決めてしまうと、決められた容器の角度(一定の角度)により異物の検査を行わなければならず、検査員の体格等に応じ、容器の角度を変更して異物検査を行うことができないという不都合があり、改善の余地があった。
【0007】
そこで本発明は、装置の大型化を抑制するとともに、容器の角度を変更して検査することができる異物検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の異物検査装置は、薬剤を収容した容器を搬送コンベアにより搬送しながら該容器内に異物が混入しているかどうか、又は容器の外観の汚れを検査するための異物検査装置において、前記搬送コンベアにより前記容器を支持した状態で搬送される搬送体に横軸回りに回転可能に設けられることで起伏可能な回転部材と、該回転部材に上部が保持され下部に前記容器を載置する載置部を有する容器保持部材と、上下方向に所定ストロークで昇降可能な昇降体を有する昇降手段と、該昇降手段の前記所定ストロークを調整する調整手段と、前記横軸とは異なる位置で前記回転部材に上端部が枢支連結され、かつ、下端部が前記昇降体に枢支連結されることで、該昇降体の昇降力を前記回転部材の回転力に変換するための変換部材と、を備えていることを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、昇降体の昇降力が変換部材により回転部材の回転力に変換されることによって、回転部材が横軸回りに回転する。回転部材の回転により容器保持部材が揺動されて、容器保持部材の載置部に載置されている容器の角度が変更される。容器保持部材の載置部に容器を単に載置させる構成であるとともに、昇降体の昇降力を回転部材の回転力に変換して回転部材を回転させる構成であるため、部品点数を少なくすることができ、装置が大型化することを抑制することができる。また、所定ストロークを調整する調整手段により昇降体の昇降量を変えることによって、容器の角度を変更して異物の検査を行うことができる。
【0010】
また、本発明の異物検査装置は、前記容器保持部材が、前記回転部材に縦軸回りに回転可能に支持される一対の棒状部材と、前記一対の棒状部材を駆動回転させるための駆動部と、を備え、前記容器保持部材の前記載置部は、前記容器の底面に当接して該容器を載置支持する底部と、該容器の側面に当接して該側面を支持する側部と、を備えていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、一対の棒状部材の底部と側部とで容器を安定良く当接支持することができる。また、駆動部により一対の棒状部材を駆動回転させることにより容器を自転させて、いろんな方向から容器内の異物検査を行うことができる。
【0012】
また、本発明の異物検査装置は、前記昇降手段が、前記昇降体を上下方向へ移動案内するための案内手段と、前記昇降体を上下方向へ移動させる駆動手段と、を備え、該駆動手段は、前記昇降体の上下方向への駆動力を発生する手段であってもよい。
【0013】
上記構成によれば、案内手段により昇降体を上下方向へスムーズかつ確実に移動させることができる。駆動手段による駆動力により、昇降体を上下方向に移動させることができる。
【0014】
また、本発明の異物検査装置は、前記駆動手段が、上下方向に延びるネジ軸と、該ネジ軸に螺合し、かつ、駆動回転させることで該ネジ軸に沿って上下動可能な送りナットと、該送りナットの上下動に連動し、かつ、前記昇降体に連結される連動部と、前記送りナットの外面に当接して該送りナットに回転力を付与する駆動回転可能な回転体と、を備えていてもよい。
【0015】
上記のように、送りナットの外面に当接する回転体を駆動することによって、送りナットが回転することでネジ軸に沿って上下動する。この送りナットの上下動が連動部を介して昇降体に伝達されることによって、昇降体が昇降して容器の角度を変更することができる。
【0016】
また、本発明の異物検査装置は、前記駆動手段が、上下方向に延びるネジ軸と、該ネジ軸に螺合し、かつ、該ネジ軸が駆動回転させることで該ネジ軸に沿って上下動可能な送りナットと、該送りナットの上下動に連動し、かつ、前記昇降体に連結される連動部と、前記ネジ軸を駆動回転させるべく、該ネジ軸に連動連結されるアクチュエータと、を備えていてもよい。
【0017】
上記のように、アクチュエータによりネジ軸を駆動回転させることによって、ネジ軸が回転することで送りナットがネジ軸に沿って上下動する。この送りナットの上下動が連動部を介して昇降体に伝達されることによって、昇降体が昇降して容器の角度を変更することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、容器を載置する載置部を有する容器保持部材及び昇降手段の昇降力を回転部材の回転力に変換するための変換部材を備えることによって、装置の大型化を抑制するとともに、容器の角度を変更して検査することができる異物検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】異物検査装置の概略平面図である。
図2】同異物検査装置の要部の縦断正面図である。
図3図2におけるIIIの拡大図であり、容器を下端側ほど左下がり傾斜姿勢にした状態を示している。
図4図3において容器を下端側ほど左上がり傾斜姿勢にした状態を示している。
図5図3における矢印IVの方向から見た要部の背面図である。
図6図3におけるV-V線断面図である。
図7】別の形態の異物検査装置の要部の縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る異物検査装置について説明する。異物検査装置は、液体(例えば、飲料水、注射液、栄養液、点眼液)や粉体(例えば、抗生物質の粉体、抗癌剤の粉体)を収容した透明な容器(例えば、バイアル瓶、アンプル瓶、シリンジ瓶等)1を、搬送コンベア2により搬送しながら容器1内に異物が混入しているかどうか、又は容器1の外観の汚れを検査員により目視検査するための装置である。図2では、検査員は、搬送される容器1をレンズGで拡大して目視検査している。尚、搬送コンベア2の搬送方向の前方側を前側とし、該搬送方向の後方側を後側とし、搬送方向と直交する方向を左右方向とし、搬送方向の後側から前方を見た時の左側を左側とし、右側を右側として、以下において説明する。尚、搬送コンベア2による容器1の搬送速度は、自由に変更可能である。
【0021】
図1に示すように、異物検査装置Sは、容器1を搬送コンベア2側へ1本ずつ供給するための供給部3と、供給された容器1を搬送する搬送コンベア2と、搬送しながら検査された検査済みの容器1を回収する回収部4と、を備えている。尚、容器は、透明なガラス材や透明な合成樹脂材等の光透過性を有する材料で構成される。
【0022】
供給部3は、多数の容器1を収容するための収容部3Aと、収容部3Aから供給される容器1を搬送コンベア2側へ搬送する振動フィーダ3Bと、振動フィーダ3Bで搬送されてきた容器1を一本ずつ受け取って搬送コンベア2に受け渡すべく、上下軸心回りに駆動回転される供給側スターホイール3Cと、を備えている。
【0023】
回収部4は、搬送コンベア2から排出される容器1を一本ずつ受け取るべく、上下軸心回りに駆動回転される排出側の第1スターホイール4Aと、排出側の第1スターホイール4Aからの容器1を保管部4Cまで搬送するための搬送装置4Dへ受け渡すべく、上下軸心回りに駆動回転される排出側の第2スターホイール4Bと、を備えている。尚、異物が混入している容器1であると検査員が判断すると、その容器1は搬送装置4Dへ受け渡されずに、他の場所へ移動されることになる。
【0024】
搬送コンベア2は、図1及び図2に示すように、床5に設置固定されたテーブル6の上に間隔を置いて設置された駆動側プーリ7及び従動側プーリ8と、駆動側プーリ7と従動側プーリ8とに巻回される環状のタイミングベルト9と、駆動側プーリ7を駆動する電動モータ(図示せず)と、タイミングベルト9に連結部材(図示せず)を介して連結されて搬送される搬送体10の移動を案内する環状のガイドレール11と、を備えている。ガイドレール11は、タイミングベルト9よりも下方でかつ外側に配置されている。尚、図1では、搬送方向において所定間隔をおいてガイドレール11上に配置される搬送体10を構成する土台部12のみを図示しており、土台部12の上方の構成部材は、省略している。
【0025】
テーブル6は、床5に固定される脚部6Aと、脚部6Aの上面に固定される板状の天板部6Bと、を備えている。
【0026】
搬送体10は、図3に示すように、上下2枚の板12A,12Bが重ね合わされ、平面視において搬送方向に長い長方形状の土台部12(図1参照)と、土台部12の下面の4つのコーナー部のそれぞれに下方に突出した状態で取り付けられたローラ13(図3では前側の左右のローラのみ図示している)と、土台部12の上面に固定され、後述する容器保持部材20を支持する支持部材14と、を備えている。各ローラ13は、上下軸心回りで回転自在に土台部12に取り付けられ、それの上下方向中央部にV字状の溝13Mが形成されている。
【0027】
ガイドレール11は、天板部6Bに固定される脚部11Aと、脚部11Aの上端に外嵌され、左右両端に左右方向外側に山形状に突出する左右一対の係止片11b,11bを有するレール部11Bと、を備えている。左右一対の係止片11b,11bは、ガイドレール11の全長に亘って形成されている。そして、前述した前側及び後側それぞれの左右のローラ13,13の溝13M,13Mにガイドレール11の左右の係止片11b,11bが係止する。これによって、搬送体10がガイドレール11に沿って安定良く案内される。
【0028】
支持部材14は、図3及び図5に示すように、搬送方向に間隔を置いて平行に配置される前後一対の部材15,15からなり、各部材15は、土台部12に固定される上下方向に長い略長方形状で板状の本体支持部15Aと、本体支持部15Aの上端の左右方向外側端から左右方向外側に向かって斜め上方へ延びる板状の傾斜部15Bと、を備えている。
【0029】
前後の傾斜部15Bの先端部間に、搬送体10の搬送方向と略平行に横軸16が貫通され、その横軸16に回転部材17を構成する後述の板部材18,18が貫通されて回転部材17を横軸16に対して回転可能に設けることで回転部材17が起伏可能に構成されている。
【0030】
回転部材17は、横軸16に前後方向に所定間隔を置いて貫通される縦方向に長い一対の板部材18,18と、これら板部材18,18が固定される前後方向に長い長方形で板状の固定板部19と、固定板部19が固定され、複数(ここでは10個)の容器保持部材20それぞれの上部を貫通して保持するための上下一対ずつ(この実施形態では10対)のホルダー部21,21と、を備えている。ホルダー部21,21の固定板部19とは反対側の面に当接して10対のホルダー部21,21を一体化した状態で固定するための固定板22を設けている。
【0031】
図3及び図6に示すように、容器保持部材20は、容器1を載置する載置部23を備え、前後方向で所定間隔を置いて配置される2組のホルダー部21,21、21,21に貫通支持される一対の棒状部材24,24から構成されている。各棒状部材24の下端に外側に突出する円形の底部24Aと、下端よりも上方でかつ容器1の上下寸法よりも長い距離を有する位置に外側に突出する円形の突出部24Bと、を備えている。突出部24Bは、棒状部材24がそれの下端側ほど上方に位置する傾斜姿勢になったときに、容器1が棒状部材24の上方側へ移動しないように当接するストッパーとして機能する。また、載置部23は、棒状部材24の下端の容器1の底面に当接して容器1を載置支持する前記底部24Aと、容器1の側面に当接して容器1の側面を支持する側部24Cと、を備えている。前記一対の棒状部材24,24は、駆動部25により駆動回転される。
【0032】
駆動部25は、10本の棒状部材24の上端にそれぞれ備えたギヤ26と、駆動回転可能な1個の電動モータ27と、電動モータ27の駆動ギヤ27Aと前記10個のギヤ26とに亘って巻回されるベルト28と、を備えている。電動モータ27が駆動されることによって、10本の棒状部材24が同一方向(図6の平面視では反時計回り)に縦軸回りに回転されることで容器1を図6の矢印の方向(時計回りに)自転させることができる。これにより、いろんな方向から容器1内の異物検査を行うことができる。電動モータ27は、固定板22に固定されたL字形状のブラケット47(図3参照)に取り付けられている。
【0033】
また、昇降体29及び昇降体29を上下方向に所定のストロークで昇降可能な昇降手段30及び昇降手段30の所定ストロークを調整する調整手段(図示せず)を備えている。調整手段は、図示していない制御部に備えており、操作部材としての回転式のボリューム(図示せず)を回転操作することによって、その回転量に応じて昇降手段30の所定ストロークを調整することができる。また、前記昇降体29の昇降力を前記回転部材17の回転力に変換するための変換部材31を備えている。変換部材31は、板状でかつ長手方向中央部で折れ曲がったへの字状に構成され、上端部が回転部材17の回転中心となる横軸16とは異なる位置、つまり回転部材17の回転中心よりも外側の位置でピンP1を介して回転部材17に枢支連結され、下端部が昇降体29にピンP2を介して枢支連結されている。
【0034】
図3に示すように、昇降手段30は、昇降体29を上下方向へ移動案内するための案内手段32と、昇降体29を上下方向へ移動させる駆動手段33と、を備えている。
【0035】
案内手段32は、土台部12の上面の左右方向外側の位置に立設した案内部材32Aと、この案内部材32Aに形成の案内溝32aに沿って上下動する移動部材32Bと、を備え、移動部材32Bに昇降体29が連結されている。
【0036】
駆動手段33は、土台部12と一対の本体支持部15A,15Aの上端部間に固定された板状の上側部材34とに貫通固定された上下方向に延びるネジ軸35と、ネジ軸35に螺合し、かつ、駆動回転させることでネジ軸35に沿って上下動可能な上下一対の送りナット36,36と、送りナット36,36の上下動に連動し、かつ、前記昇降体29に連結され、上下の送りナット36,36間の隙間に配置される連動部37と、送りナット36,36の外面に当接して送りナット36,36に回転力を付与する駆動回転可能な回転体38と、を備えている。送りナット36,36の外面には、歯部が形成されていて、この歯部に回転体38を構成する後述の無端ベルト40に形成の歯部が係合することによって、無端ベルト40の回転力が送りナット36,36に伝達される。
【0037】
回転体38は、図1に示す2つの検査領域R1,R2のそれぞれに配置され、搬送方向両側に配置される駆動プーリ39及び従動プーリ(図示せず)と、駆動プーリ39及び従動プーリに巻回される環状の無端ベルト40と、駆動プーリ39を駆動する電動モータ41と、を備えている。そして、検査領域R1又はR2に位置している送りナット36,36に無端ベルト40が当接して送りナット36,36が上方又は下方へ移動する。つまり、容器1の搬送速度よりも無端ベルト40の周速度が速くなれば、送りナット36,36がネジ軸35の上方へ移動し、容器1の搬送速度よりも無端ベルト40の周速度が遅くなれば、送りナット36,36が下方へ移動する。また、容器1の搬送速度と無端ベルト40の周速度とが同一であれば、送りナット36,36が上下に動かないで、その位置を維持する。このように送りナット36,36が上下動することにより、変換部材31が回転部材17を回転させて、容器1の角度を変更できるようにしている。具体的には、図3に示すように、容器1の下端が下方に向いた下方傾斜姿勢と、図4に示すように、容器1の下端が上方を向いた上方傾斜姿勢との間で自由に変更できるようになっている。詳述すれば、送りナット36,36が上方へ移動することによって、変換部材31が上方へ移動して回転部材17を反時計回りに回転させるように押す。これにより、図3の実線で示す下方傾斜姿勢に姿勢変更できる。また、送りナット36,36がネジ軸35の下方へ移動することによって、変換部材31が下方へ移動して回転部材17を時計回りに回転させるように引っ張る。これにより、図4の実線で示す上方傾斜姿勢に姿勢変更できる。尚、容器1の角度範囲は、自由に設定することができ、図に示すものに限定されない。
【0038】
また、搬送体10が検査領域R1又はR2に位置している時にのみ容器1の角度変更を行うための電動モータ41及び容器1を自転させるための電動モータ27への駆動電力が供給される電力供給手段42を備えている。検査領域R1又はR2の搬送方向の長さは、自由に設定することができるが、この実施形態では、検査員が目視により容器1内の異物が確認できる程度に設定されている。
【0039】
電力供給手段42は、図3に示すように、検査領域R1又はR2の長さに対応するレール部11Bの領域の上端に設けられた左右一対の電極レール43,43と、搬送体10の土台部12の下端に取り付けられ、電極レール43,43に接触する左右一対の接触器44,44と、を備えている。したがって、搬送体10が検査領域R1又はR2に差し掛かったときに電極レール43,43に接触器44,44が接触することにより、電力が供給されて、2個の電動モータ27,41の駆動が可能な状態になり、検査領域R1又はR2を通り過ぎた時に電極レール43,43への接触器44,44の接触が解除されることにより、電力の供給が断たれて、2個の電動モータ27,41の駆動が不能な状態になる。
【0040】
検査員が容器1内の異物検査を行う手順について説明する。まず、供給側スターホイール3Cからの容器1を順次受け取って搬送体10が容器1を搬送していく。尚、容器1を容器保持部材20で受け取る姿勢は、図2に示すように、容器1の上端部が左右方向内側に位置する傾斜姿勢で受け取るように上端側ほど左右方向内側に位置する傾斜姿勢とすることが好ましい。そして、搬送体10が検査領域R1又はR2に差し掛かると、検査員は、前記ボリューム(スイッチやボタン等でもよい)を操作して出力される信号に応じて、制御部が角度変更用の電動モータ41の駆動を制御して容器保持部材20の角度を変更する。これにより、容器1の角度を変更することができる。実際には、図3に示す姿勢から図4に示す姿勢までの間で容器保持部材20の角度変更をして容器1内の異物の検査を行うことができる。また、前記操作部材を操作して自転用の電動モータ27を駆動することにより、容器保持部材20を回転させることにより、容器1を自転させながら容器1内の異物の検査を行うことができる。搬送体10が検査領域R1又はR2から外れると、2個の前記電動モータ41,27の駆動が行えなくなる。そして、供給側スターホイール3Cからの容器1を受け取る受取位置に搬送体10が位置するまでに容器保持部材20を所定角度(図2の実線及び図3の実線で示す姿勢)に傾けた容器受け取り姿勢に変更させることになる。
【0041】
前述したように、昇降体29の昇降力が変換部材31により回転部材17の回転力に変換されることによって、回転部材17が回転する。回転部材17の回転により容器保持部材20が揺動されて、容器保持部材20の載置部23に載置されている容器1の角度が変更される。容器保持部材20の載置部23に容器1を単に載置させる構成であるとともに、昇降体29の昇降力を回転部材17の回転力に変換して回転部材17を回転させる構成であるため、部品点数を少なくすることができ、装置が大型化することを抑制することができる。また、昇降体29の昇降量を変えることによって、容器1の角度を変更して異物の検査を行うことができる。
【0042】
以上、本発明につき一実施形態を取り上げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されない。例えば、昇降手段30を、図7に示すように構成してもよい。図3及び図4では、送りナット36,36を回転させることによって、ネジ軸35に沿って送りナット36,36を上下動させたが、図7では、ネジ軸35を回転させることによって、ネジ軸35に沿って送りナット36,36を上下動させる。具体的には、昇降手段30は、昇降体29を上下方向へ移動案内するための案内手段32と、昇降体29を上下方向へ移動させる駆動手段33と、を備えている。前記駆動手段33は、上下方向に延びるネジ軸35と、ネジ軸35に螺合し、かつ、ネジ軸35が駆動回転されることによりネジ軸35に沿って移動可能な上下一対の送りナット36,36と、送りナット36,36の移動に連動し、かつ、昇降体29に連結される連動部37と、ネジ軸35を駆動回転させるべくネジ軸35に連動連結されるアクチュエータとしての電動モータ45と、を備えている。電動モータ45の駆動ギヤ45Aに噛み合うギヤ46がネジ軸35の上端に取り付けられている。電動モータ45を駆動することによって、駆動ギヤ45Aが回転し、この回転力がギヤ46に伝達されて、ネジ軸35が回転される。これにより送りナット36,36がネジ軸35に対して上下方向に移動し、連動部37を介して昇降体29を上下させる。説明しなかった他の構成は、図3及び図4と同様であるため、説明を省略する。
【0043】
前記実施形態では、10個の容器1を容器保持部材20に載置保持したが、1個又は2個以上の任意の個数を載置する構成であってもよい。
【0044】
また、前記実施形態では、二人の検査員で検査が行えるように、2箇所の検査領域R1,R2を設けたが、検査領域を1箇所又は3箇所以上の任意の箇所に設けて実施してもよい。
【0045】
また、前記実施形態では、検査員により容器1内の異物の目視検査を行ったが、CCDカメラ等の撮像手段と画像認識手段とを用いて容器1内の異物の検査を行ってもよい。
【0046】
また、前記実施形態では、操作部材を操作して容器1の角度変更及び自転を行うようにしたが、検査員が検査前に容器1の角度を予め設定し、その設定された角度に容器1の角度が一致するように自動的に電動モータ41を駆動する制御部を設けてもよい。また、容器1の自転も同様に、予め容器1の自転を開始するボタンを押しておくことにより、検査領域に位置している間中、容器1の自転を自動的に開始及び終了するように電動モータ27を駆動する制御部を設けてもよい。
【0047】
また、前記実施形態では、搬送体10の搬送方向と略平行に横軸16に回転部材17を回転可能に取り付けたが、搬送体10の搬送方向と交差する方向に沿う軸に回転部材17を回転可能に取り付けてもよい。
【0048】
また、前記実施形態では、容器1の角度を変更するだけでなく、容器1を自転するようにしたが、容器1の自転はしないで、容器1の角度を変更するだけの構成であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…容器、2…搬送コンベア、3…供給部、3A…収容部、3B…振動フィーダ、3C…供給側スターホイール、4…回収部、4C…保管部、4D…搬送装置、5…床、6…テーブル、6A…脚部、6B…天板部、7…駆動側プーリ、8…従動側プーリ、9…タイミングベルト、10…搬送体、11…ガイドレール、11A…脚部、11B…レール部、11b…係止片、12…土台部、12A,12B…板、13…ローラ、13M…溝、14…支持部材、15…部材、15A…本体支持部、15B…傾斜部、16…横軸、17…回転部材、18…板部材、19…固定板部、20…容器保持部材、21…ホルダー部、22…固定板、23…載置部、24…棒状部材、24A…底部、24B…突出部、24C…側部、25…駆動部、26…ギヤ、27…電動モータ、27A…駆動ギヤ、28…ベルト、29…昇降体、30…昇降手段、31…変換部材、32…案内手段、32A…案内部材、32B…移動部材、32a…案内溝、33…駆動手段、34…上側部材、35…ネジ軸、36…送りナット、37…連動部、38…回転体、39…駆動プーリ、40…無端ベルト、41…電動モータ、42…電力供給手段、43…電極レール、44…接触器、45…電動モータ、45A…駆動ギヤ、46…ギヤ、47…ブラケット、G…レンズ、P1,P2…ピン、R1,R2…検査領域、S…異物検査装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7