(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】ファインバブル発生装置
(51)【国際特許分類】
B01F 23/20 20220101AFI20220317BHJP
B01F 25/40 20220101ALI20220317BHJP
E03C 1/084 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
B01F3/04 Z
B01F5/00 D
B01F5/06
E03C1/084
(21)【出願番号】P 2019140313
(22)【出願日】2019-07-30
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】518205737
【氏名又は名称】栗山 嘉和
(73)【特許権者】
【識別番号】519276877
【氏名又は名称】宇田 均
(73)【特許権者】
【識別番号】519276914
【氏名又は名称】安藤 卓司
(74)【代理人】
【識別番号】100130007
【氏名又は名称】垣木 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】栗山 嘉和
(72)【発明者】
【氏名】宇田 均
(72)【発明者】
【氏名】安藤 卓司
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-058038(JP,A)
【文献】特開2005-305219(JP,A)
【文献】特開2018-023936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00ー35/95
E03C 1/084
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形が略円筒状の本体部と、液体が流入する側の第1端部に形成された液体導入部と、前記液体導入部と連通し、前記本体部をその中心軸方向に貫通する貫通孔とを備え、
前記液体導入部は、前記本体部の前記第1端部において略円形の開口を有し、前記本体部の中心軸を含む所定の断面において、前記本体部の前記第1端部とは反対側の第2端部に向かって徐々に断面積が減少するように形成されており、
前記本体部の中心軸に垂直な任意の断面において、前記貫通孔は、前記本体部の中心軸を含み、第1方向における最も幅の狭い部分を含む中心領域と、前記第1方向に直交する第2方向において前記本体部の中心軸に対して対称に形成され、前記第1方向における最も幅の広い部分を含む第1周辺領域及び第2周辺領域とで形成され、前記中心領域と、前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域は、角が存在しない連続した曲線で連通され、
前記貫通孔を規定する前記本体部の中心軸に垂直な任意の断面は、前記本体部の中心軸方向に沿って、前記第1端部側から前記第2端部側に向かって少なくとも270度回転して
おり、
前記本体部の中心軸に垂直な任意の断面において、
前記中心領域は、前記本体部の中心軸に対して内向に凸な第1半径を有し、前記本体部の中心軸を通り、前記第2方向に平行な対称軸に対して対称に互いに対向する2つの第1半径部で形成され、
前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域は、それぞれ、前記本体部の中心軸を中心とする第2半径を有し、前記本体部の中心軸に対して外向に凸な第2半径部と、前記第1半径よりも大きく、かつ、前記第2半径よりも小さな第3半径を有し、前記対称軸に対して対称で、前記第2半径部と連続する、前記本体部の中心軸に対して外向に凸な2つの第3半径部と、前記第1半径よりも小さな第4半径を有し、前記対称軸に対して対称で、前記第3半径部と前記第1半径部と連続する、前記本体部の中心軸に対して外向に凸な2つの第4半径部とで形成されている、
ことを特徴とするファインバブル発生装置。
【請求項2】
外形が略円筒状の本体部と、液体が流入する側の第1端部に形成された液体導入部と、前記液体導入部と連通し、前記本体部をその中心軸方向に貫通する貫通孔とを備え、
前記液体導入部は、前記本体部の前記第1端部において略円形の開口を有し、前記本体部の中心軸を含む所定の断面において、前記本体部の前記第1端部とは反対側の第2端部に向かって徐々に断面積が減少するように形成されており、
前記本体部の中心軸に垂直な任意の断面において、前記貫通孔は、前記本体部の中心軸を含み、第1方向における最も幅の狭い部分を含む中心領域と、前記第1方向に直交する第2方向において前記本体部の中心軸に対して対称に形成され、前記第1方向における最も幅の広い部分を含む第1周辺領域及び第2周辺領域とで形成され、前記中心領域と、前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域は、角が存在しない連続した曲線で連通され、
前記貫通孔を規定する前記本体部の中心軸に垂直な任意の断面は、前記本体部の中心軸方向に沿って、前記第1端部側から前記第2端部側に向かって少なくとも270度回転しており、
前記本体部の中心軸に垂直な任意の断面において、
前記中心領域は、前記本体部の中心軸に対して内向に凸な第1半径を有し、前記本体部の中心軸を通り、前記第2方向に平行な対称軸に対して対称に互いに対向する2つの第1半径部で形成され、
前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域は、それぞれ、前記本体部の中心軸を中心とする第2半径を有し、前記本体部の中心軸に対して外向に凸な第2半径部と、前記第1半径よりも小さい第4半径を有し、前記対称軸に対して対称で、前記第1半径部及び前記第2半径部と連続する、前記本体部の中心軸に対して外向に凸な2つの第4半径部とで形成されており、
前記中心領域の前記第1方向における最も幅の狭い部分の寸法W1と、前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域の前記第1方向における最も幅の広い部分の寸法W2の比率W1:W2は、1:5.75乃至1:9.25の範囲内であり、
前記第1半径部の半径R1と前記第2半径部の半径R2の比率R1:R2が1:2.5である、
ことを特徴とするファインバブル発生装置。
【請求項3】
前記液体導入部は、前記本体部の中心軸を含む所定の断面において、角が存在しない連続した曲線状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のファインバブル発生装置。
【請求項4】
前記中心領域の前記第1方向における最も幅の狭い部分の寸法と、前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域の前記第1方向における最も幅の広い部分の寸法の比率は、1:5.75乃至1:9.25の範囲内とすることを特徴とする請求項1または請求項1に従属する請求項3に記載のファインバブル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシャワーヘッドやホースなどに装着され、冷水や温水などの液体中にマイクロバブルやナノバブルと呼ばれる微小な泡を発生させるファインバブル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水道の蛇口やシャワーヘッドなどに取り付けて、簡単にマイクロバブルやナノバブルを発生させる様々なファインバブル発生装置が提案されている。一般的に、マイクロバブルとは気泡の直径が1μm~数十μmの範囲のものをいい、ナノバブルとは気泡の直径が1nm~1000nm(1μm)の範囲のものをいう。また、ファインバブルとは、マイクロバブルやナノバブルの両者を含む。
【0003】
特許文献1は、水道の蛇口などに接続されてマイクロバブルを発生させる装置に関し、蛇口などから排出される液体(水)が通過する流路と、その液体の流れにより生ずる負圧によって外部から空気を吸引する気体導入路と、液体と空気の混合物を螺旋状に旋回させて攪拌し、それにより、その液体中の空気の気泡を微細化してマイクロバブルを発生させる中空部を備えている。
【0004】
特許文献2は、流体管中に設置されるファインバブル発生装置に関し、筒体とフランジで構成され、筒体には、液体を螺旋状に旋回させるための貫通孔が設けられており、遠心力によって貫通孔の中心部と周辺部との間に圧力差を生じさせ、減圧された貫通孔の中心部を流れる液体に、液体中に溶け込んだ空気により気泡を発生させている。貫通孔の断面は、例えばひょうたん型又は分銅型のような中心が狭くなったくびれ形状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-305219号公報
【文献】特開2018-58038号公報(特許第6312768号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された装置では、液体と空気を混合させ、液体と空気の混合物を攪拌させているだけであるので、より微細なナノバブルを大量に発生させることは困難である。また、特許文献2に記載された装置では、ナノバブルを発生させることが可能ではあるが、貫通孔の中心部と周辺部との間に生じる圧力差を利用しているため、ナノバブルは専ら貫通孔の中心部を通過する液体にのみ発生し、遠心力によって加圧される貫通孔の周辺部を通過する液体にはナノバブルはほとんど発生しないと考えられる。そのため、ナノバブルの発生量が十分ではない可能性がある。
【0007】
本発明は、上記従来例の問題を解決するためになされたものであり、簡単な構造でありながら、十分な量のナノバブルを発生しうるファインバブル発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るファインバブル発生装置は、外形が略円筒状の本体部と、液体が流入する側の第1端部に形成された液体導入部と、前記液体導入部と連通し、前記本体部をその中心軸方向に貫通する貫通孔とを備え、
前記液体導入部は、前記本体部の前記第1端部において略円形の開口を有し、前記本体部の中心軸を含む所定の断面において、前記本体部の前記第1端部とは反対側の第2端部に向かって徐々に断面積が減少するように形成されており、
前記本体部の中心軸に垂直な任意の断面において、前記貫通孔は、前記本体部の中心軸
を含み、第1方向における最も幅の狭い部分を含む中心領域と、前記第1方向に直交する第2方向において前記本体部の中心軸に対して対称に形成され、前記第1方向における最も幅の広い部分を含む第1周辺領域及び第2周辺領域とで形成され、前記中心領域と、前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域は、角が存在しない連続した曲線で連通され、
前記貫通孔を規定する前記本体部の中心軸に垂直な任意の断面は、前記本体部の中心軸方向に沿って、前記第1端部側から前記第2端部側に向かって少なくとも270度回転しており、
前記本体部の中心軸に垂直な任意の断面において、
前記中心領域は、前記本体部の中心軸に対して内向に凸な第1半径を有し、前記本体部の中心軸を通り、前記第2方向に平行な対称軸に対して対称に互いに対向する2つの第1半径部で形成され、
前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域は、それぞれ、前記本体部の中心軸を中心とする第2半径を有し、前記本体部の中心軸に対して外向に凸な第2半径部と、前記第1半径よりも大きく、かつ、前記第2半径よりも小さな第3半径を有し、前記対称軸に対して対称で、前記第2半径部と連続する、前記本体部の中心軸に対して外向に凸な2つの第3半径部と、前記第1半径よりも小さな第4半径を有し、前記対称軸に対して対称で、前記第3半径部と前記第1半径部と連続する、前記本体部の中心軸に対して外向に凸な2つの第4半径部とで形成されている、
ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る他のファインバブル発生装置は、外形が略円筒状の本体部と、液体が流入する側の第1端部に形成された液体導入部と、前記液体導入部と連通し、前記本体部をその中心軸方向に貫通する貫通孔とを備え、
前記液体導入部は、前記本体部の前記第1端部において略円形の開口を有し、前記本体部の中心軸を含む所定の断面において、前記本体部の前記第1端部とは反対側の第2端部に向かって徐々に断面積が減少するように形成されており、
前記本体部の中心軸に垂直な任意の断面において、前記貫通孔は、前記本体部の中心軸を含み、第1方向における最も幅の狭い部分を含む中心領域と、前記第1方向に直交する第2方向において前記本体部の中心軸に対して対称に形成され、前記第1方向における最も幅の広い部分を含む第1周辺領域及び第2周辺領域とで形成され、前記中心領域と、前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域は、角が存在しない連続した曲線で連通され、
前記貫通孔を規定する前記本体部の中心軸に垂直な任意の断面は、前記本体部の中心軸方向に沿って、前記第1端部側から前記第2端部側に向かって少なくとも270度回転しており、
前記本体部の中心軸に垂直な任意の断面において、
前記中心領域は、前記本体部の中心軸に対して内向に凸な第1半径を有し、前記本体部の中心軸を通り、前記第2方向に平行な対称軸に対して対称に互いに対向する2つの第1半径部で形成され、
前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域は、それぞれ、前記本体部の中心軸を中心とする第2半径を有し、前記本体部の中心軸に対して外向に凸な第2半径部と、前記第1半径よりも小さい第4半径を有し、前記対称軸に対して対称で、前記第1半径部及び前記第2半径部と連続する、前記本体部の中心軸に対して外向に凸な2つの第4半径部とで形成されており、
前記中心領域の前記第1方向における最も幅の狭い部分の寸法W1と、前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域の前記第1方向における最も幅の広い部分の寸法W2の比率W1:W2は、1:5.75乃至1:9.25の範囲内であり、
前記第1半径部の半径R1と前記第2半径部の半径R2の比率R1:R2が1:2.5である、
ことを特徴とする。
【0010】
上記構成において、前記液体導入部は、前記本体部の中心軸を含む所定の断面において、角が存在しない連続した曲線状に形成されているように構成してもよい。
【0011】
また、前記中心領域の前記第1方向における最も幅の狭い部分の寸法と、前記第1周辺領域及び前記第2周辺領域の前記第1方向における最も幅の広い部分の寸法の比率は、1:5.75乃至1:9.25の範囲内となるように構成してもよい。
【発明の効果】
【0013】
上記ファインバブル発生装置は、例えばシャワーヘッドやホースの内部に装着されて使用される。水などの液体は、加圧された状態で給水管内を流れており、液体中に空気が飽和した状態で溶け込んでいると考えられる。上記構成によれば、外形が略円筒状の本体部の液体が流入する側の第1端部に液体導入部が形成され、液体導入部は貫通孔に連通されている。貫通孔の中心領域は、本体部の中心軸に沿ってほぼ真っ直ぐに貫通しているため、液体導入部の中心領域に流れ込んだ液体は、ほぼそのままの圧力及び流速で貫通孔の中心領域に流れ込む。一方、液体導入部の周辺領域に流れ込んだ液体は、液体導入部の側壁に衝突して加圧及び加速される。そのため、液体導入部においても、中心領域を流れる液体と周辺領域を流れる液体との間で圧力差が生じる。そのため、液体導入部においても、中心領域を流れる液体中に気泡が発生すると考えられる。
【0014】
次に、貫通孔に流れ込んだ液体のうち中心領域に流れ込んだ液体は、ほとんど回転されることなく、そのままの圧力及び流速で本体部の中心軸に沿って真っ直ぐに流れる。一方、貫通孔に流れ込んだ液体のうち第1周辺領域及び第2周辺領域に流れ込んだ液体は、貫通孔の回転によって、略円筒状の本体部の外周に沿って、螺旋状に旋回される。旋回された液体には遠心力が作用し、第1周辺領域及び第2周辺領域のうち本体部の中心軸から遠い領域に集中するように流れる。そのため、貫通孔の内部において、中心領域を流れる液体と第1周辺領域及び第2周辺領域を流れる液体との間に圧力差が生じ、減圧作用により中心領域を流れる液体中に気泡が発生する。また、貫通孔の中心領域を流れる液体と、貫通孔の第1周辺領域及び第2周辺領域を流れる液体の速度差によって、貫通孔を流れる液体中に激しい渦が生じ、それによっても気泡が発生する。さらに、第1周辺領域及び第2周辺領域を流れる液体のうち、本体部の外周側の領域を流れる液体と中心軸に近い領域を流れる液体との間にも圧力差が生じ、減圧作用により第1周辺領域及び第2周辺領域を流れる液体中にも気泡が発生する。
【0015】
そして、本体部の第2端部、すなわち液体が吐出される側の貫通孔の断面積は、本体部の第1端部の液体導入部の略円形の開口の断面積よりも小さいため、本体部の第2端部から液体が吐出されると、シャワーヘッド又はホースの内部で、かつ、本体部の第2端部の近傍には、液体が流れていない真空に近いような空洞が生じる。そのため、この空洞部の負圧によって、本体部の第2端部から吐出される液体中に溶け込んでいる空気は、一気に発泡され、液体中に大量のファインバブルが発生する。このように、本発明に係るファインバブル発生装置によれば、様々な要因によって気泡が発生されるため、例えば特許文献2に記載された従来の装置と比較して、ファインバブルの発生量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るファインバブル発生装置の使用状態の一例を示す断面図。
【
図2】本発明に係るファインバブル発生装置の外観構成を示す斜視図。
【
図3】上記ファインバブル発生装置の本体部の中心軸を含む所定の断面図。
【
図4】上記本体部の中心軸に垂直な任意の断面における貫通孔の断面形状を示す図。
【
図5】上記本体部をその第1端部側から見た正面図。
【
図8】本発明に係るファインバブル発生装置の第1変形例の貫通孔の断面形状を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係るファインバブル発生装置について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係るファインバブル発生装置1の使用状態の一例を示す図であり、ファインバブル発生装置1は、例えばシャワーヘッド2やホース3の内部に設置されて使用される。図中矢印で示す方向に冷水や温水等の液体が流れる。
図2は、本発明に係るファインバブル発生装置1の外観構成を示す斜視図であり、特に、液体が流入する第1端部11側から見た状態を示す。
図3は、上記ファインバブル発生装置1の本体部10の中心軸L1を含む所定の断面(
図5のA-A断面)を示す。
【0018】
各図に示すように、本実施形態に係るファインバブル発生装置1は、略円筒状の本体部10の液体が流入する側の第1端部11に液体導入部20が形成されている。また、本体部10には、液体導入部20と連通し、本体部10をその中心軸L1方向に、第1端部11とは反対側の第2端部12まで貫通する貫通孔30が形成されている。液体導入部20は、本体部10の第1端部11において略円形の開口25を有し、本体部10の第1端部11とは反対側の第2端部12に向かって徐々に断面積が減少し、角が存在しない連続した曲線状、いわゆるお椀型又はボール型に形成されている。また、前記液体導入部20は、その断面が円錐台型に形成されているものでもよい。
【0019】
図4は、本体部10の中心軸L1に垂直な任意の断面における貫通孔30の断面形状の一具体例(以下、「本願発明の貫通孔30」とする)を示す。「任意の」とは、例えば金太郎飴のようにどこで切っても同じ断面形状を有していることを意味するが、貫通孔30は、貫通孔30を規定する本体部10の中心軸L1に垂直な任意の断面が、本体部10の中心軸L1方向に沿って、第1端部側11から第2端部12側に向かって連続的に一定の割合で回転している。
図3に示す数値は、貫通孔30を規定する断面の回転角度を示し、貫通孔30を規定する断面は、第1端部側11から第2端部12側に向かって320度程度回転している。また、符号Pで示す領域では、後述する貫通孔30の第1周辺領域32及び第2周辺領域33の第2半径部32a、33aが断面として現れている。符号Qで示す領域では、貫通孔30の第1周辺領域32及び第2周辺領域33の第3半径部32b、33b及び第4半径部32c、33cが断面として現れている。符号Rで示す領域では、貫通孔30の中心領域31の第1半径部31aの稜線部分が断面として現れている。そして、符号Sで示す領域では、貫通孔30の中心領域31の最小幅を有する部分が断面として現れている。
【0020】
貫通孔30を規定する断面の回転角度は、本体部10の中心軸L1方向の全長から液体導入部20を除いた部分の全長にほぼ比例する。貫通孔30を規定する断面の回転角度が大きければ大きいほど、貫通孔30の内部で液体がより大きく旋回され、それに伴ってファインバブルの発生量も増加する。その一方で、貫通孔30を規定する断面の回転角度が大きくなればなるほど、金型の強度が低下すると共に、金型の加工が困難になる。本出願人が試作したところ、貫通孔30を規定する断面の回転角度が720度程度、すなわち2回転程度であれば、金型の製造及びその金型を用いた本体部10の製造が可能である。
【0021】
上記任意の断面において、貫通孔30は、おおむね3つの領域に分割され、本体部10の中心軸L1を含み、第1方向(X方向)における最も幅の狭い部分(最小幅をW1とする)を含む中心領域31と、第1方向に直交する第2方向(Y方向)において本体部10の中心軸L1に対して対称に形成され、第1方向における最も幅の広い部分)最大幅をW2とする)を含む第1周辺領域32及び第2周辺領域33とで形成されている。
【0022】
中心領域31は、本体部10の中心軸L1に対して内向に凸な第1半径R1を有し、本体部の中心軸L1を通り、第2方向に平行な対称軸L3に対して対称に互いに対向する2つの第1半径部31aで形成されている。第1周辺領域32及び第2周辺領域33は、それぞれ、本体部10の中心軸L1を中心とする第2半径R2を有し、本体部10の中心軸L1に対して外向に凸な第2半径部32a、33aと、第1半径R1よりも大きく、かつ、第2半径R2よりも小さな第3半径R3を有し、対称軸L2に垂直な対称軸L3に対して対称で、第2半径部32a、33aと連続する、本体部10の中心軸L1に対して外向に凸な2つの第3半径部32b、33bと、第1半径R1よりも小さな第4半径R4を有し、対称軸L2に対して対称で、第3半径部32b、33bと第1半径部31aと連続する、本体部10の中心軸L1に対して外向に凸な2つの第4半径部32c、33cとで形成されている。結果的に、中心領域31と第1周辺領域32及び第2周辺領域33は、角が存在しない連続した曲線で連通されている。
【0023】
図5は、本体部10をその第1端部11側から見た正面図である。作図の都合上、
図4に示す貫通孔30を所定角度(5度)ごとに回転させたものを重ね合わせた等高線として貫通孔30の斜面34を表現しているが、実際には角のない連続した滑らかな斜面である。液体導入部20の斜面21及び22は、それらの斜面21及び22を伝って流れる液体が貫通孔30の第2周辺領域33に流れ落ちるように、第2周辺領域33に向かって傾斜している。また、斜面23及び24は、それらの斜面23及び24を伝って流れる液体が貫通孔30の第1周辺領域32に流れ落ちるように、第1周辺領域32に向かって傾斜している。これらの斜面21~24は、本体部10を射出成形する際の金型(内型)を回転させながら引き抜くために、本体部10の中心軸L1方向の第1端部11から第2端部12に回転しながら進むように、螺旋状に形成されている。
【0024】
次に、本実施形態に係るファインバブル発生装置1の本体部10の第1端部11に流入する液体の流れについて検討する。冷水や温水などの液体は、加圧された状態でホース3(給水管)内を流れており、液体中に空気が飽和した状態で溶け込んでいると考えられる。略円筒状の本体部10の液体が流入する側の第1端部11に液体導入部20が形成され、液体導入部20は貫通孔30に連通されている。
図1に示すように、液体導入部20の本体部10の第1端部11に形成された円形の開口25はホース3の内径とほぼ同じ径を有している。そのため、ホース3内を流れてきた液体は、本体10の第1端部11の端面によって遮られることなく、ほぼそのまま液体導入部20に流れ込む。
【0025】
液体導入部20に連通する貫通孔30の中心領域31は、本体部10の中心軸L1に沿ってほぼ真っ直ぐに貫通しているため、液体導入部20の中心領域に流れ込んだ液体は、ホース3中を流れてきたときとほぼそのままの圧力及び流速で貫通孔30の中心領域31に流れ込む。一方、液体導入部20の周辺領域に流れ込んだ液体は、液体導入部20の側壁21~24に衝突して加圧及び加速される。そのため、液体導入部20においも、中心領域を流れる液体と周辺領域を流れる液体との間で圧力差が生じる。そのため、液体導入部20においても、減圧作用により中心領域を流れる液体中に気泡が発生すると考えられる。
【0026】
液体導入部20の側壁21~24は螺旋状に形成されているので、側壁21~24に衝突した液体は、螺旋状に旋回されながら貫通孔30の第1周辺領域32及び第2周辺領域33に加速されながら流れ込む。このとき、旋回する液体に対して、本体部10の中心軸L1に対して放射方向に遠心力が作用し、液体導入部20の円形の開口25の外周付近を流れる液体がさらに加圧される。
【0027】
貫通孔30の中心領域31は、どこの断面においても本体部10の中心軸L1を含んでいるので、
図3に示すように、本体部10の中心軸L1の周囲には、障壁など、液体の流れを妨げるものは存在しない。そのため、貫通孔30に流れ込んだ液体のうち中心領域31に流れ込んだ液体は、ほとんど回転されることなく、ホース3中を流れてきたときとほぼそのままの圧力及び流速で本体部10の中心軸L1に沿って真っ直ぐに流れる。一方、貫通孔30に流れ込んだ液体のうち第1周辺領域32及び第2周辺領域33に流れ込んだ液体は、液体導入部20の斜面21~24の作用によって旋回されているが、貫通孔30の回転によって、略円筒状の本体部10の外周に沿って、さらに螺旋状に旋回される。旋回する液体には遠心力が作用し、第1周辺領域32及び第2周辺領域33のうち本体部10の中心軸l1からより遠い領域に集中するように流れる。そのため、貫通孔30の内部において、中心領域31を流れる液体と第1周辺領域32及び第2周辺領域33を流れる液体との間に圧力差が生じ、減圧作用により中心領域31を流れる液体中に気泡が発生する。また、貫通孔30の中心領域31を流れる液体と、貫通孔30の第1周辺領域32及び第2周辺領域33を流れる液体の速度差によって、貫通孔30を流れる液体中に激しい渦が生じ、それによっても気泡が発生する。さらに、第1周辺領域32及び第2周辺領域33を流れる液体のうち、本体部10の外周側の領域を流れる液体と中心軸に近い領域を流れる液体との間にも圧力差が生じ、減圧作用により第1周辺領域32及び第2周辺領域33を流れる液体中にも気泡が発生する。
【0028】
本体部10の第2端部12、すなわち液体が吐出される側の貫通孔30の断面積は、本体部10の第1端部11の液体導入部20の略円形の開口25の断面積よりも小さい。そのため、本体部の第2端部から液体が吐出されると、シャワーヘッド2の内部で、かつ、本体部10の第2端部12の近傍(例えば、
図1において楕円2Aで示す部分)には、液体が流れていない真空に近いような空洞が生じる。そのため、この空洞部の負圧によって、本体部10の第2端部12から吐出される液体中に溶け込んでいる空気は、一気に発泡され、液体中に大量のファインバブルが発生する。このように、本発明に係るファインバブル発生装置1によれば、様々な要因によって気泡が発生されるため、例えば特許文献2に記載された従来の装置と比較して、ファインバブルの発生量を増加させることができる。
【0029】
図6は、第1比較例として、特許文献2の
図5(b)に示された貫通孔の断面形状を示す。第1比較例の貫通孔50も、本願発明に係るファインバブル発生装置1の貫通孔30と同様に、おおむね3つの領域に分割され、本体部(図示せず)の中心軸L1’を含み、第1方向(X方向)における最も幅の狭い部分を含む中心領域51と、第1方向に直交する第2方向(Y方向)において本体部の中心軸L1’に対して対称に形成され、第1方向における最も幅の広い部分を含む第1周辺領域52及び第2周辺領域53とで形成されている。
【0030】
中心領域51は、本体部の中心軸L1’に対して内向に凸な第1半径R1’を有し、本体部の中心軸L1’を通り、第2方向に平行な対称軸L3’に対して対称に互いに対向する2つの第1半径部51aで形成されている。第1周辺領域52及び第2周辺領域53は、それぞれ、本体部の中心軸L1’を中心とする第2半径R2’を有し、本体部の中心軸L1’に対して外向に凸な第2半径部52a、53aと、第1半径R1’よりも大きく、かつ、第2半径R2’よりも小さな第4半径R4’を有し、対称軸L2’に垂直な対称軸L3’に対して対称で、第2半径部52a、53a及び第1半径部51aと連続する、本体部の中心軸L1’に対して外向に凸な2つの第4半径部52b、53bとで形成されている。この第1比較例では、第3半径R3’及び第3半径部は存在しない。
【0031】
図4に示す本願発明の貫通孔30と
図6に示す第1比較例の貫通孔50とを視覚的に比較する。両者はいずれも、いわゆる「ひょうたん型」の断面を有しているが、第1比較例の第1周辺領域52及び第2周辺領域53の第1方向(X方向)の最大幅W2’は本願発明の貫通孔30の第1周辺領域32及び第2周辺領域33の第1方向(X方向)の最大幅W2に比べて狭い。そのため、全体的に、第1比較例の貫通孔50の方が細長い印象を受ける。また、第1比較例の第1周辺領域52及び第2周辺領域53の断面積は、本願発明の貫通孔30の第1周辺領域32及び第2周辺領域33の断面積よりも明らかに狭い。また、第1比較例の中心領域51の最小幅W1’は、本願発明の貫通孔30の中心領域31の最小幅W1よりも広く、第1比較例の中心領域51の断面積は、本願発明の貫通孔30の中心領域31の断面積よりも広い。これらのことから、第1比較例の貫通孔50の中心領域51を流れる液体の量と第1周辺領域52及び第2周辺領域53を流れる液体の量の差は、本願発明の貫通孔30の中心領域31を流れる液体の量と第1周辺領域32及び第2周辺領域33を流れる液体の量の差よりも小さいと考えられる。換言すれば、第1比較例の貫通孔50と比較して、本願発明の貫通孔30は、中心領域31を流れる液体の量と第1周辺領域32及び第2周辺領域33を流れる液体の量の差を、より大きくすることができる。
【0032】
また、第1比較例の貫通孔50は、第1周辺領域52及び第2周辺領域53の第2半径部52b、53bと中心領域51の第1半径部51aと直接接続しており、第4半径部を有していないため、第1比較例の貫通孔50の中心領域51の第1半径部51aの稜線は、本願発明の貫通孔30の中心領域31の第1半径部31aの稜線よりもなだらかである。また、第1比較例の貫通孔50において、本体部の中心軸L1’と中心領域51の第1半径部51aの稜線を結んだ直線LX’と第1半径部51a、第4半径部52bで囲まれたハッチングで示す領域55の面積は、本願発明の貫通孔30において、本体部10の中心軸L1と中心領域31の第1半径部31aの稜線を結んだ直線LXと第1半径部31a、第3半径部32b及び第4半径部32cで囲まれたハッチングで示す領域35の面積よりも遙かに小さい。そのため、第1比較例の貫通孔50の第1周辺領域52及び第2周辺領域53に流れ込んだ液体のうち、特に円周方向の端部に位置する第4半径部52b、53bの壁面に衝突した液体は、中心領域51の第1半径部51aによって妨げられることなく、中心領域51に流れ込む。それに対して、本願発明の貫通孔30の第1周辺領域32及び第2周辺領域33に流れ込んだ液体のうち、特に円周方向の端部に位置する第4半径部32b、33bの壁面に衝突した液体は、本体部10の中心軸L1から見て中心領域31の第1半径部31aによって陰になる部分、すなわち第1周辺領域32及び第2周辺領域33の第4半径部32c、33cの壁面によって流れが遮られ、中心領域31に流れ込みにくくなる。これらのことから、第1比較例の貫通孔50と比較して、本願発明の貫通孔30は、中心領域31を流れる液体の量と第1周辺領域32及び第2周辺領域33を流れる液体の量の差を、さらに拡大することができる。
【0033】
また、本願発明の貫通孔30は、貫通孔30を規定する本体部10の中心軸L1に垂直な断面が、本体部10の中心軸L1方向に沿って、第1端部側11から第2端部12側に向かって連続的に一定の割合で回転している。そのため、本願発明の貫通孔30の第1周辺領域32及び第2周辺領域33に流れ込んだ液体は、螺旋状に旋回しながら第1端部側11から第2端部12側に向かって流れる。旋回しながら流れる液体には、本体部10の中心軸L1に対して放射方向に遠心力が加わり、貫通孔30の第1周辺領域32及び第2周辺領域33を流れる液体は加圧される。一方、貫通孔30の中心領域31に流れ込んだ液体は、ほとんど旋回されることなく、そのままの圧力及び流速で本外部の中心軸に沿って真っ直ぐに流れる。その結果、上記のように、貫通孔30の中心領域31を流れる液体と第1周辺領域32及び第2周辺領域33を流れる液体との間に圧力差が生じ、減圧作用により液体中に気泡が発生する。これらの点については第1比較例についても同様である。ところが、上記のように、本願発明に係るファインバブル発生装置1は、本体部10の液体が流れ込む第1端部11側に液体導入部20を設け、さらに液体導入部20と連通する貫通孔30の第1周辺領域32及び第2周辺領域33の面積を中心領域31の面積よりも遙かに大きくし、第1周辺領域32及び第2周辺領域33に流れる液体の量及び速度を中心領域31に流れる液体の量及び速度よりも遙かに高くすることができるので、本体部10の第2端部12側から吐出される液体中に多くのファインバブルを発生させることができる。
【0034】
それに対して、第1比較例の装置では、本体部(図示せず)の液体が流れ込む側の端部に液体導入部が設けられておらず、液体が直接貫通孔50に流れ込むため、本体部の端面が液体の流れを妨げる障害となり、水道の蛇口を絞ったのと同様の状態となるため、貫通孔50を流れる液体の絶対量も少なくなると考えられる。また、第1比較例の貫通孔50の第1周辺領域52及び第2周辺領域53の面積を中心領域51の面積に対してあまり大きくなく、第1周辺領域52及び第2周辺領域53に流れる液体の量及び速度を中心領域51に流れる液体の量及び速度よりもそれほど高くすることができない。そのため、本願発明のファインバブル装置と比較して、本体部から吐出される液体中に含まれるファインバブルの量は少なくなる。
【0035】
図4に示す本願発明の貫通孔30の具体例と
図6に示す第1比較例の貫通孔50の寸法を数値的に比較するため、対称軸L3及びL3’上における貫通孔30及び50の開口部の長さをそれぞれ10mmとした。
図4に示す具体例では、R1=2.0mm、R2=5.0mm、R3=2.3mm、R4=1.0mm、W1=0.8mm、W2=6.4mm、W1:W2=1:8、R1:R2=1:2.5である。一方、
図6に示す第1比較例では、R1’=2.0mm、R2’=2.8mm、R4’=1.6mm、W1’=1.3mm、W2’=4.6mm、W1’:W2’≒1:3.5、R1’:R2’=1:1.4である。比較しやすくするため表1にまとめる。
【0036】
【0037】
図7は、第2比較例として、特許文献2の
図5(d)に示された貫通孔の断面形状を示す。第2比較例の貫通孔60も、本願発明に係るファインバブル発生装置1の貫通孔30と同様に、おおむね3つの領域に分割され、本体部(図示せず)の中心軸L1”を含み、第1方向(X方向)における最も幅の狭い部分を含む中心領域61と、第1方向に直交する第2方向(Y方向)において本体部の中心軸L1”に対して対称に形成され、第1方向における最も幅の広い部分を含む第1周辺領域62及び第2周辺領域63とで形成されている。
【0038】
ところが、特許文献2の明細書の段落[0033]に記載されているとおり、第1周辺領域62及び第2周辺領域63のうち第2半径部に相当すべき部分62a、63aが円周と平行ではなく、直線上に形成されている。そのため、第1周辺領域62及び第2周辺領域63を流れる液体に対して遠心力は作用せず、加圧されない。従って、本願発明の貫通孔30と詳細に比較するまでもなく、第2比較例の貫通孔60の第1周辺領域62及び第2周辺領域63を流れる液体と中心領域61を流れる液体の圧力差は小さく、ファインバブルの発生量も少ない。
【0039】
次に、本発明に係るファインバブル発生装置の貫通孔30の第1変形例について検討する。貫通孔30の中心領域31の最小幅W1は、本体部10を成形する際の金型のうち、回転させながら引き抜かれる内型の中心軸をなす部分であり、強度や加工技術を考慮すると、あまり小さくすることはできない。そこで、最大幅W2以外の数値を固定し、最大幅W2をどこまで拡張できるか検討した。
図8は、貫通孔30の第1周辺領域32及び第2周辺領域33における第3半径部32b、33bと第4半径部32c、33cとが重なり合い、事実上第3半径部32b、33bが消滅する限界を示す。この場合、最大幅W2=7.4mmとなり、W1:W2=1:9.25となる。これ以上最大幅W2を拡張するには、第4半径部32c、33cの第4半径R4をさらに小さくする必要が生じると共に、第1半径部31aと第4半径部32c、33cの間にさらに曲線部を設ける必要がある。金型の強度や加工技術を考慮すると、実施可能性は低いと考えられる。
【0040】
次に、本発明に係るファインバブル発生装置の貫通孔30の第2変形例について検討する。
図6に示す第1比較例をベースとして、貫通孔50の中心領域51の最小幅W1’を上記最小幅W1と同じ寸法とする(自明につき図示せず)。この場合、貫通孔50の中心領域51の面積が狭くなり、その分だけ第1周辺領域52及び第2周辺領域53の面積が増加する。そのため、第1比較例と比べて、貫通孔50の中心領域51に流れる液体の量が少なくなり、第1周辺領域52及び第2周辺領域53に流れる液体の量が増えるので、貫通孔50の中心領域51に流れる液体の圧力と第1周辺領域52及び第2周辺領域53に流れる液体の圧力差が大きくなり、ファインバブルの発生量は増加する。さらに、液体が流入する本体部10の第1端部11側にお椀型の液体導入部20を設けることにより、第1比較例に比べて大量のファインバブルを発生させることができる。
【0041】
【0042】
次に、本出願人による3つの試作品と、特許文献2の特許権者による3つの比較品を通した水道水中のナノバブル数と、これらファインバブル発生装置を用いない水道水中のナノバブル数を測定した。ファインバブル発生装置(本体部)の長さ、内径(貫通孔の最大寸法)、貫通孔の回転角度数などが統一されていないため、直接比較はできないが、測定結果を示す。測定に際して、水圧を0.16MPaとし、島津製作所等から販売されているレーザー解析法による測定装置を用いた。測定結果を表3に示す。
【0043】
【0044】
比較品3と本願発明品3の測定結果を比較すると、本願発明品3は、装置の全長が1/2にもかかわらず、比較品3と同数のナノバブルを発生させていることがわかる。また、比較品1と比較品2及び本願発明品1と本願発明品2を比較すると、貫通孔の回転角度が大きくなるほど、より多くのナノバブルを発生させていることがわかる。これらの測定結果から、本願発明に係るファインバブル発生装置は、特許文献2に記載された従来のファインバブル発生装置よりも改良され、より多くのファインバブルを発生させ得ることがわかる。
【符号の説明】
【0045】
1 ファインバブル発生装置
2 シャワーヘッド
3 ホース
10 本体部
11 第1端部
12 第2端部
20 液体導入部
21~24 斜面
25 円形の開口
30 貫通孔
31 中心領域
31a 第1半径部
32 第1周辺領域
32a 第2半径部
32b 第3半径部
32c 第4半径部
33 第2周辺領域
33a 第2半径部
33b 第3半径部
33c 第4半径部
34 斜面