(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】検査冶具の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01R 1/073 20060101AFI20220317BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20220317BHJP
H01R 11/01 20060101ALI20220317BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20220317BHJP
H05K 3/32 20060101ALI20220317BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
G01R1/073 D
H01R43/00 H
H01R11/01 501E
H01L21/66 B
H05K3/32 A
H05K3/00 T
H01L21/66 D
(21)【出願番号】P 2017085675
(22)【出願日】2017-04-24
【審査請求日】2020-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【氏名又は名称】野口 信博
(72)【発明者】
【氏名】小木曽 浩二
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 博之
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/016169(WO,A1)
【文献】特開平10-200242(JP,A)
【文献】特開平4-26191(JP,A)
【文献】特開2006-308413(JP,A)
【文献】特開2007-232627(JP,A)
【文献】特開平6-60930(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0280912(US,A1)
【文献】特開2008-82983(JP,A)
【文献】特開2016-131245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/073
H01R 43/00
H01R 11/01
H01L 21/66
H05K 3/32
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電粒子が所定のパターンで配置された接着フィルムを作製する作製工程と、
前記所定のパターンで配置された導電粒子を重畳させて位置合わせし、複数の接着フィルムを積層させ
、積層体を形成するとともに、前記導電粒子が前記積層体の厚み方向に連鎖した複数の導電部を形成する積層工程とを有
し、
前記導電粒子が、樹脂コア粒子の表面に導電性金属がメッキされた粒子であり、
前記積層体の厚みが、10~50μmであり、
前記導電部の径が、1~100μmであり、
前記導電部間の距離が、10~100μmであり、
前記導電部が、前記積層体の一方の面から突出してなる検査冶具の製造方法。
【請求項2】
前記作製工程では、前記接着フィルムの周縁部に位置合わせ用マークを印字し、
前記積層工程では、前記位置合わせ用マークを重畳させる請求項1記載の検査冶具の製造方法。
【請求項3】
前記接着フィルムが、ポリイミドを含む請求項1又は2記載の検査冶具の製造方法。
【請求項4】
前記作製工程では、導電粒子の配置パターンで開口部が形成された基板を用いて、基板の開口部に導電粒子を充填し、基板の導電粒子を絶縁性樹脂フィルムに転着させて、接着フィルムを作製し、
前記導電粒子の平均粒子径に対する開口径の比が、1.2~2.5である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検査冶具の製造方法。
【請求項5】
導電粒子が所定のパターンで配置された複数の接着フィルムが積層された積層体と、
前記所定のパターンで配置された導電粒子が前記積層体の厚み方向に連鎖した複数の導電部とを備え
、
前記導電粒子が、樹脂コア粒子の表面に導電性金属がメッキされた粒子であり、
前記積層体の厚みが、10~50μmであり、
前記導電部の径が、1~100μmであり、
前記導電部間の距離が、10~100μmであり、
前記導電部が、前記積層体の一方の面から突出してなる検査冶具。
【請求項6】
前記接着フィルムは、周縁部に位置合わせ用マークを有し、
周縁部に前記位置合わせ用マークが前記積層体の厚み方向に重畳した位置合わせ部をさらに備える請求項5記載の検査冶具。
【請求項7】
前記接着フィルムが、ポリイミドを含む請求項5又は6記載の検査冶具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ウェハ、チップ、パッケージ等の電子部品の検査冶具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ウェハレベルでの半導体装置の電気特性評価は、プローブカードを用いて、ウェハの表面や裏面に形成された導電パッドやバンプに、直接プローブを接触させて実施している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この方法によれば、パッケージ前や三次元実装前の検査が可能となる。
【0004】
しかしながら、ウェハのパッド表面の酸化膜を除去するために、表面に傷を付けてプローブ検査を実施するため、検査合格品を実装した後になって、検査に起因する損傷により不合格品を発生させる場合がある。またパッドサイズが小さくなるにつれて、バンプ形成や実装時の不具合の原因となる検査時の傷の影響が大きくなる。特に近年では、半導体チップのファインピッチ化がますます進行していることから、検査時の傷はますます大きな問題となる。
【0005】
ベアチップやパッケージについては、ラバーコネクターを用いたハンドラーテストが行われている。検査プローブシートとなるラバーコネクターとしては、例えば、磁場配向させた導電性粒子を、エラストマーシートの厚み方向に貫通するよう配置した異方導電性シートが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
特許文献2に記載された検査プローブシートは、ゴム弾性エラストマー樹脂中に導電性粒子を磁場配向させる際に面内方向に導電性粒子が連結してしまうため、ファインピッチへの対応が困難である。また、耐久性を向上させる目的で周囲を取り囲むようにフレームが付いているものの、フレーム内側のエラストマー樹脂は熱膨張により伸縮しやすい物質であるため、耐久性の低下の問題や、接点ズレに(位置ズレ)よる検査不具合の原因となる。特に、ヒートサイクル試験などにおける位置ズレは致命的であり、今後のさらなるファインピッチ化においては、対応が困難となる。
【0007】
また、一般にエラストマー樹脂中に導電性物質を配置するラバーコネクターは、ファインピッチとなるコネクターの製造は困難であり、例えば、200μmP以下レベルの検査用コネクターは製造困難な状況にある。このため、組立て後のパッケージに対して検査を実施しているのが実情であり、結果として歩留まりが極端に悪化し、価格を低減できない要因ともなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2009-042008号公報
【文献】特開2006-024580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本技術は、前述した課題を解決するものであり、電気特性の検査時に検査対象物を傷つけることがなく、ファインピッチへの対応が可能な検査冶具の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本技術の発明者らは、鋭意検討を行った結果、所定のパターンで配置された導電粒子を重畳させて位置合わせし、複数の接着フィルムを積層させることにより、電気特性の検査時に検査対象物を傷つけることがなく、ファインピッチへの対応が可能な検査冶具を製造可能であることを見出した。
【0011】
すなわち、本技術に係る検査冶具の製造方法は、導電粒子が所定のパターンで配置された接着フィルムを作製する作製工程と、前記所定のパターンで配置された導電粒子を重畳させて位置合わせし、複数の接着フィルムを積層させ、積層体を形成するとともに、前記導電粒子が前記積層体の厚み方向に連鎖した複数の導電部を形成する積層工程とを有し、前記導電粒子が、樹脂コア粒子の表面に導電性金属がメッキされた粒子であり、前記積層体の厚みが、10~50μmであり、前記導電部の径が、1~100μmであり、前記導電部間の距離が、10~100μmであり、前記導電部が、前記積層体の一方の面から突出してなる。
【0012】
また、本技術に係る検査冶具は、導電粒子が所定のパターンで配置された複数の接着フィルムが積層された積層体と、前記所定のパターンで配置された導電粒子が前記積層体の厚み方向に連鎖した複数の導電部とを備え、前記導電粒子が、樹脂コア粒子の表面に導電性金属がメッキされた粒子であり、前記積層体の厚みが、10~50μmであり、前記導電部の径が、1~100μmであり、前記導電部間の距離が、10~100μmであり、前記導電部が、前記積層体の一方の面から突出してなる。
【発明の効果】
【0013】
本技術によれば、導電粒子が所定のパターンで配置された複数の接着フィルムを積層させることにより、電気特性の検査時に検査対象物を傷つけることがなく、ファインピッチへの対応が可能な検査冶具を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、検査冶具の製造方法における積層工程の一例を説明するための斜視図であり、
図1(A)は接着フィルムを位置合わせした状態を示し、
図1(B)は接着フィルムを貼り合わせた状態を示す。
【
図2】
図2は、検査冶具の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本技術の実施の形態について、下記順序にて詳細に説明する。
1.検査冶具の製造方法
2.検査冶具
【0016】
<1.検査冶具の製造方法>
本技術に係る検査冶具の製造方法は、導電粒子が所定のパターンで配置された接着フィルムを作製する作製工程(A)と、所定のパターンで配置された導電粒子を重畳させて位置合わせし、複数の接着フィルムを積層させる積層工程(B)とを有する。これにより、導電粒子が厚み方向に連鎖した導電部が形成されるため、電気特性の検査時に検査対象物を傷つけることがなく、ファインピッチへの対応が可能な検査冶具を製造することができる。
【0017】
[作製工程(A)]
作製工程(A)では、導電粒子が所定のパターンで配置された接着フィルムを作製する。例えば、導電粒子の配置パターンで開口部が形成された基板を用い、基板の複数の開口部に溶媒及び導電粒子を充填し、導電粒子が充填された基板表面に絶縁性樹脂フィルムを貼着し、基板を加熱しながら、絶縁性樹脂フィルムを基板の表面より剥離し、導電粒子を絶縁性樹脂フィルムに転着することにより、導電粒子が所定のパターンで配置された接着フィルムを得ることができる。
【0018】
また、前述のように導電粒子の配置パターンで開口部が形成された基板を用いて、基板の開口部に導電粒子を充填し、基板の導電粒子を絶縁性樹脂フィルムに転着させて、接着フィルムを作製する場合、導電粒子の平均粒子径に対する開口径の比(=開口の径/導電粒子の粒径)は、導電粒子の収容のしやすさ、絶縁性樹脂の押し込みやすさ等のバランスから、1.2~2.5であることが好ましい。これにより、開口部に導電粒子が入らない確率を低下させ、導電粒子が厚み方向に連鎖した導電部の導通性を向上させることができる。また、開口の深さに対する導電粒子の粒径の比(=導電粒子の粒径/開口の深さ)は、転写性向上と導電粒子保持性とのバランスから、0.4~3.0であることが好ましく、0.5~1.5であることがより好ましい。
【0019】
接着フィルムは、可撓性及び絶縁性を有し、熱膨張係数が低く、耐熱性が高いことが好ましい。接着フィルムとしては、耐熱性の観点からポリイミドを含むことが好ましい。
【0020】
接着フィルムに平面視で配置される導電粒子の位置は、特定の形状を有して規則性を持っていることが好ましく、格子状、千鳥状等の規則的な配列とすることが好ましい。格子状としては、斜方格子、六方格子、正方格子、矩形格子、平行体格子等が挙げられる。また、フィルムの長手方向に対して所定の配列形状で規則性を持っていてもよい。
【0021】
導電粒子は、異方性導電フィルムで使用される一般的なものを用いることができる。例えば、ニッケル、コバルト、鉄などの金属粒子、樹脂コア粒子や無機コア粒子の表面に導電性金属がメッキされた粒子を用いることができる。また、導電性金属メッキとしては、Ni/Auメッキ、Ni/Pdメッキ、Ni/Pd/Auメッキなどが挙げられる。これら中でも、検査対象へのダメージ軽減やシートの耐久性の観点から、樹脂コア粒子の表面に導電性金属がメッキされた粒子を用いることが好ましい。
【0022】
また、導電粒子の平均粒子径は、小さいほど微小なパッドやバンプに対応することができるため、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
【0023】
[積層工程(B)]
図1は、検査冶具の製造方法における積層工程の一例を説明するための斜視図であり、
図1(A)は接着フィルムを位置合わせした状態を示し、
図1(B)は接着フィルムを貼り合わせた状態を示す。
図1(A)に示すように、積層工程(B)では、所定のパターンで配置された導電粒子11、21を重畳させて位置合わせし、
図1(B)に示すように、複数の接着フィルム10、20を貼り合わせる。具体的には、カメラにより導電粒子のパターンを撮影し、第1の接着フィルム10の導電粒子11と第2の接着フィルム20の導電粒子21とを重ね合わせて積層させ、積層体30を得る。これにより、導電粒子が厚み方向に連鎖した導電部31が形成される。
【0024】
また、前述の作製工程(A)において、接着フィルムの周縁部に位置合わせ用マーク(アライメントマーク)12、22を印字し、積層工程(B)において、位置合わせ用マーク12、22を重畳させることが好ましい。これにより、カメラによりアライメントマークを認識し、接着フィルムの積層位置を容易に調整することができる。
【0025】
アライメントマーク12、22の形状としては、例えば、十字、丸、四角、八角形などの通常使用されるものや、これらを組み合わせたものを使用することができる。また、アライメントマーク12、22のサイズは、検査冶具の使用領域に影響を与えないために、100μm以下であることが好ましい。また、アライメントマーク12、22は、X方向及びY方向に加えて、装置により回転θの補正を行うために、接着フィルムの周縁部に2箇所以上印字することが好ましい。
【0026】
複数の接着フィルムが積層された積層体30の厚みは、薄過ぎると耐久性が劣るため、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上である。また、積層体30の厚みは、厚過ぎると導電部31の導通が困難となるため、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。
【0027】
また、積層体30における導電部31の径は、1~100μmであることが好ましく、導電部間の距離は、10~100μmであることが好ましい。
【0028】
このような検査冶具の製造方法によれば、電気特性の検査時に検査対象物を傷つけることがなく、ファインピッチへの対応が可能な検査冶具を得ることができる。
【0029】
<2.検査冶具>
図2は、検査冶具の構成例を示す断面図である。
図2に示すように、検査冶具は、導電粒子が所定のパターンで配置された複数の接着フィルムが積層された積層体40と、所定のパターンで配置された導電粒子が前記積層体の厚み方向に連鎖した複数の導電部41とを備える。このような検査冶具は、例えば前述した検査冶具の製造方法により得ることができる。
【0030】
積層体40は、可撓性及び絶縁性を有し、熱膨張係数が低く、耐熱性が高いことが好ましい。積層体40としては、耐熱性の観点からポリイミドを含むことが好ましい。また、積層体40の厚みは、前述の積層体30と同様、薄過ぎると耐久性が劣るため、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上である。また、積層体40の厚みは、厚過ぎると導通部41の導通が困難となるため、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。このような積層体40の厚みに設定することにより、電気特性の検査時に半導体チップの段差を吸収することが可能となる。
【0031】
導電部41は、積層体40の厚み方向に導通しており、積層体40の少なくとも一方の面から突出していてもよい。導電部41の径は、1~100μmであることが好ましく、導電部間の距離は、10~100μmであることが好ましい。
【0032】
導電部41を形成する導電粒子は、前述の導電粒子と同様であり、検査対象へのダメージ軽減やシートの耐久性の観点から、樹脂コア粒子の表面に導電性金属がメッキされた粒子を用いることが好ましい。また、導電粒子の平均粒子径は、小さいほど微小なパッドやバンプに対応することができるため、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
【0033】
また、複数の接着フィルムは、周縁部に位置合わせ用マークを有し、積層体40は、周縁部に位置合わせ用マークが積層体40の厚み方向に重畳した位置合わせ部をさらに備えることが好ましい。これにより、位置合わせ部により、積層体の重畳の精度を判別することができる。
【0034】
このような検査冶具によれば、電気特性の検査時に半導体ウェハのパッドやバンプを傷つけることがなく、ファインピッチ化に対応することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 第1の接着フィルム、11 導電粒子、12 アライメントマーク、20 第2の接着フィルム、21 導電粒子、22 アライメントマーク、30 積層体、31 導電部、40 積層体、41 導電部