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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】鉄道車両
(51)【国際特許分類】
   B61D 29/00 20060101AFI20220317BHJP
   B61D 37/00 20060101ALI20220317BHJP
   B60Q 3/43 20170101ALI20220317BHJP
   B60Q 3/44 20170101ALI20220317BHJP
   B60Q 3/47 20170101ALI20220317BHJP
   B60Q 3/51 20170101ALI20220317BHJP
【FI】
B61D29/00
B61D37/00 F
B60Q3/43
B60Q3/44
B60Q3/47
B60Q3/51
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017123048
(22)【出願日】2017-06-23
(65)【公開番号】P2019006233
(43)【公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509251682
【氏名又は名称】エイアンドエフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】特許業務法人しんめいセンチュリー
(72)【発明者】
【氏名】上野 雅之
(72)【発明者】
【氏名】古屋 政嗣
(72)【発明者】
【氏名】藤井 忠
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 永次
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】加藤 修
(72)【発明者】
【氏名】中村 征広
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】福田 一郎
(72)【発明者】
【氏名】福田 哲夫
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-023459(JP,A)
【文献】特開2015-157572(JP,A)
【文献】特開2007-176427(JP,A)
【文献】特開2015-227159(JP,A)
【文献】特開2016-175429(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1465527(KR,B1)
【文献】特開2015-113096(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0251594(US,A1)
【文献】特開2005-137729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 29/00,37/00,
B60Q 3/00,
G08B 19/00-21/24,
B60L 1/00- 3/12,
7/00-13/00,
15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、その車体の内部に形成される客室と、その客室の側面上方に設けられた荷棚と、その荷棚の上方に形成されその荷棚に載せられた荷物が収納される荷物収納スペースとを備える鉄道車両において、
前記荷棚における前記客室の側面との当接部を前記荷棚の根本とし、
前記荷棚における前記当接部の反対側の先端を前記荷棚の突端とし、
前記客室の天井面における、前記鉄道車両の幅方向において前記荷棚の突端の位置よりも中央側に設けられ、前記荷物収納スペースの上方から前記荷物収納スペースにおける前記荷棚の根本から突端の範囲に向けて光を照射する荷棚用照明と、
前記鉄道車両が所定の位置に到達した場合に、前記荷棚用照明から前記荷物収納スペースに向けて照射する光の状態を変更する照明制御装置とを備えていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項2】
前記客室の天井面に固設される照明ケースと、
その照明ケースに取付けられ前記客室内に向けて光を照射する客室用照明とを備え、
前記荷棚用照明は、前記照明ケースに取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両。
【請求項3】
車体と、その車体の内部に形成される客室と、その客室の側面上方に設けられた荷棚と、その荷棚の上方に形成されその荷棚に載せられた荷物が収納される荷物収納スペースとを備える鉄道車両において、
前記荷棚における前記客室の側面との当接部を前記荷棚の根本とし、
前記荷棚における根本側に設けられ、その根本側から前記荷物収納スペースに向けて光を照射する荷棚用照明と、
前記鉄道車両が所定の位置に到達した場合に、前記荷棚用照明から前記荷物収納スペースに向けて照射する光の状態を変更する照明制御装置とを備えていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項4】
前記荷棚用照明は、前記荷棚の内部に設けられ、
前記荷棚は、前記荷棚用照明から前記荷物収納スペースに向けて照射される光の経路上に、前記荷棚用照明から照射される光が透過可能な光透過性部材を備えていることを特徴とする請求項3に記載の鉄道車両。
【請求項5】
前記荷棚には、その上面の一部が窪んだ凹部が形成され、
前記荷棚用照明は、前記荷棚の凹部に設けられると共に、その凹部の開口から前記荷物収納スペースに向けて光を照射するように配置されることを特徴とする請求項3に記載の鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両に関し、特に、荷棚に載せた荷物の置き忘れを防止できる鉄道車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄道車両には、座席の上方に荷物を載せるための荷棚が設けられている。しかし、乗客によっては、荷棚に荷物を載せたことを忘れ、荷物を置いたまま降車してしまうことがあった。
【0003】
特許文献1には、荷棚の一部を透明なガラス板で構成すると共に、そのガラス板の片面に、透明な耐熱樹脂製保護層を形成する技術が開示されている。特許文献1に記載された技術によれば、ガラス板と耐熱樹脂製保護層とは共に透明なので、荷棚に載せた荷物を下方から確認でき、荷物の置き忘れを防止できる。また、ガラス板の片面に耐熱樹脂製保護層が形成されているので、列車内で火災が発生しても、ガラス板が溶けるのを防止できると共に、ガラス片が飛散するのを防止できる。しかし、特許文献1には、乗客に対し、荷棚の荷物を下方から確認させる契機が無く、荷物の置き忘れを効果的に防止できない。また、ガラス板の片面に耐熱樹脂製保護層を形成するので、荷棚の材料選択の自由度が制限され、荷棚のコスト高を招来する。
【0004】
そこで、本願出願人は、特許文献2に開示されているように、荷棚の先端に客室内に向けて光を照射するLEDを設け、鉄道車両が停車駅に接近した場合には、そのLEDを点灯させる技術を発明した。特許文献2によれば、荷棚の一部を透明材料で構成する必要がないので、荷棚の材料選択の自由度が向上し、荷棚のコスト高を抑制できる。また、鉄道車両が停車駅に接近した場合には、荷棚の先端に設けられたLEDから客室内に向けて光が照射されるので、乗客の注意が該LEDに向けられた場合には、それが契機となって、荷棚の荷物を思い起こさせ、荷物の置き忘れを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-7176号公報
【文献】特開2007-176427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2では、LEDは客室に向けて光を照射するので、乗客の注意は、LEDが設けられる荷棚の先端よりも、LEDの光の照射先に向き、荷物の置き忘れ防止には不十分であった。たとえ乗客の注意が荷棚の先端に向けられたとしても、その注意が荷棚の荷物までには及ばす、やはり荷物の置き忘れ防止には不十分であった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、荷棚に載せた荷物の置き忘れを防止できる鉄道車両を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために本発明の鉄道車両は、車体と、その車体の内部に形成される客室と、その客室の側面上方に設けられた荷棚と、その荷棚の上方に形成されその荷棚に載せられた荷物が収納される荷物収納スペースとを備え、前記荷棚における前記客室の側面との当接部を前記荷棚の根本とし、前記荷棚における前記当接部の反対側の先端を前記荷棚の突端とし、前記客室の天井面における、前記鉄道車両の幅方向において前記荷棚の突端の位置よりも中央側に設けられ、前記荷物収納スペースの上方から前記荷物収納スペースにおける前記荷棚の根本から突端の範囲に向けて光を照射する荷棚用照明と、前記鉄道車両が所定の位置に到達した場合に、前記荷棚用照明から前記荷物収納スペースに向けて照射する光の状態を変更する照明制御装置とを備えている。
また本発明の別の鉄道車両は、車体と、その車体の内部に形成される客室と、その客室の側面上方に設けられた荷棚と、その荷棚の上方に形成されその荷棚に載せられた荷物が収納される荷物収納スペースとを備え、前記荷棚における前記客室の側面との当接部を前記荷棚の根本とし、前記荷棚における根本側に設けられ、その根本側から前記荷物収納スペースに向けて光を照射する荷棚用照明と、前記鉄道車両が所定の位置に到達した場合に、前記荷棚用照明から前記荷物収納スペースに向けて照射する光の状態を変更する照明制御装置とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の鉄道車両によれば、車体の内部に客室が形成され、その客室の側面上方に荷棚が設けられている。荷棚の上方には、載せられた荷物が収納される荷物収納スペースが形成され、荷棚の上方には、載せられた荷物が収納される荷物収納スペースが形成される。そして、荷棚用照明が客室の天井面における、鉄道車両の幅方向において荷棚の突端の位置よりも中央側に設けられ、荷物収納スペースの上方から荷物収納スペースにおける荷棚の根本から突端の範囲に向けて光が照射される。これによって、乗客は荷棚における根本側、即ち荷棚の奥側に載せた荷物も容易に視認できるので、荷物の荷棚への置き忘れを防止できるという効果がある。
また荷棚用照明が、鉄道車両の幅方向において荷棚の突端よりも中央側に設けられることで、荷棚用照明は、荷棚の上方に形成される荷物収納スペースの外側に位置する。これにより、荷棚用照明を設けることで荷物収納スペースが縮小するのを防止できる。更に乗客が荷棚へ荷物を載せたり、荷棚から荷物を降ろす際に、荷物が荷棚用照明と接触することを防止できるので、荷物や荷棚用照明の破損を防止できるという効果もある。
【0010】
また、鉄道車両が所定の位置に到達すると、照明制御装置によって照射される光の状態が変更される。よって、鉄道車両が所定の位置に到達した場合に、乗客の注意を荷物収納スペースに向けることができる。荷物収納スペースには荷物が収納されるので、乗客の注意を荷物収納スペースに向けることで、乗客に荷棚の荷物を思い起こさせ、荷物の置き忘れを防止できるという効果もある。
【0011】
請求項2記載の鉄道車両によれば、請求項1記載の鉄道車両が奏する効果に加え、次の効果を奏する。客室の天井面には照明ケースが固設され、その照明ケースには、客室内に向けて光を照射する客室用照明が取付けられている。荷棚用照明は、かかる照明ケースに取付けられるので、荷棚用照明を取付けるための照明ケースを、客室用照明を取付ける照明ケースと兼用できる。よって、荷棚用照明のための専用の照明ケースを別途設ける必要がない。従って、荷棚用照明を取付ける場合でも、部品点数を削減でき、製造コストを低減できる。また、荷棚用照明を取付けるための作業効率を向上できるという効果がある。
【0012】
請求項3記載の鉄道車両によれば、車体の内部に客室が形成され、その客室の側面上方に荷棚が設けられている。荷棚の上方には、載せられた荷物が収納される荷物収納スペースが形成される。荷棚用照明が荷棚における根本側に設けられ、その根本側から荷物収納スペースに向けて光が照射される。これにより、乗客は荷棚の根本側、即ち荷棚の奥側に載せた荷物を容易に視認し、荷物の荷棚への置き忘れを防止できるという効果ある。
また、鉄道車両が所定の位置に到達すると、照明制御装置によって照射される光の状態が変更される。よって、鉄道車両が所定の位置に到達した場合に、乗客の注意を荷物収納スペースに向けることができる。荷物収納スペースには荷物が収納されるので、乗客の注意を荷物収納スペースに向けることで、乗客に荷棚の荷物を思い起こさせ、荷物の置き忘れを防止できるという効果もある。
【0013】
請求項4記載の鉄道車両によれば、請求項3記載の鉄道車両が奏する効果に加え、次の効果を奏する。荷棚用照明は荷棚の内部に設けられているので、荷棚に荷物を載せても、荷物が荷棚用照明に接触することを防止して、荷物や荷棚用照明の破損を防止できる。また、荷棚用照明から照射される光は、荷棚の光透過性部材を介して荷物収納スペースに照射されるので、荷棚用照明を荷棚の内部に設けても、荷棚用照明から照射される光を荷物収納スペースに向けて照射できるとうい効果がある。
【0014】
請求項5記載の鉄道車両によれば、請求項3記載の鉄道車両が奏する効果に加え、次の効果を奏する。荷棚用照明は、荷棚の上面の一部が窪んだ凹部の内部に設けられると共に、その凹部の開口から荷物収納スペースに向けて光を照射するように配置される。これにより、凹部の開口から照射された荷棚用照明の光によって荷物収納スペースを照らすことができる。また、荷棚に荷物を載せた場合に、荷物の下面と荷棚の凹部との間に高低差が生じるので、荷物が荷棚用照明に接触することを防止できる。これにより、荷棚用照明を保護する別途の部材を設けることなく、荷物や荷棚用照明の破損を防止できるという効果がある。また、荷棚には、凹部を形成すれば良いので、荷棚に荷棚用照明を設ける場合でも、荷棚の構成を簡単にできるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態の鉄道車両の断面図と、その鉄道車両に設けられる照明装置の拡大断面図である。
図2】第2実施形態の鉄道車両の断面図と、その鉄道車両に設けられる荷棚照明装置の拡大断面図である。
図3】第3実施形態の鉄道車両の断面図と、その鉄道車両に設けられる荷棚照明装置の拡大断面図である。
図4】(a)は第4実施形態の鉄道車両の部分断面図と、その鉄道車両に設けられる荷棚照明装置の拡大断面図であり、(b)は第5実施形態の鉄道車両の部分断面図と、その鉄道車両に設けられる荷棚照明装置の拡大断面図である。
図5】第6実施形態の鉄道車両の部分断面図と、その鉄道車両に設けられる荷棚照明装置の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、第1実施形態の鉄道車両1について説明する。図1は、第1実施形態の鉄道車両1の断面図と、その鉄道車両1に設けられる照明装置22の拡大断面図である。尚、図1では、鉄道車両1の幅方向Wにおいて、その右側半分だけを図示している。
【0017】
鉄道車両1は、特に、荷棚6に載せた荷物Nの置き忘れを防止できるものである。即ち、鉄道車両1は、停車駅手前の所定の位置に到達すると、消灯状態にある荷棚用照明25を点灯させ、荷棚用照明25によって荷物を収納する荷物収納スペース8や、荷棚6に載せられている荷物Nを照らす。これにより、乗客の注意が、荷物が収納される荷物収納スペース8や、荷物N自体に向けられる。よって、荷棚6に荷物Nを載せた乗客にとっては、荷棚6の荷物Nを思い起こし易くなり、荷棚6の荷物Nの置き忘れを防止できる。
【0018】
鉄道車両1には、主に、車体3と、その車体3の内部に形成される客室4と、その客室4に設けられる座席5と、その座席5の上方に設けられる荷棚6と、照明システム2とが設けられる。
【0019】
車体3は、鉄道車両1の骨格を形成するものであり、長手方向(図1の紙面を貫通する方向)に延設される。客室4は、乗客が乗車するスペースであり、車体3の長手方向に沿って形成される。座席5は、車体3の長手方向に沿って複数設けられる。荷棚6は、その上面に荷物Nが載せられる。荷棚6は、客室4を形成する側面7の上方から客室4内に突出して車体3の長手方向に沿って延設される。荷棚6の上方は、荷棚6に載せられた荷物Nが収納される荷物収納スペース8が形成される。
【0020】
照明システム2は、客室4に向けて光を照射する客室用照明24と、荷物収納スペース8に向けて光を照射する荷棚用照明25とを制御するものである。照明システム2は、照明コントローラ20と、その照明コントローラ20と信号線21a,21bを介して接続される照明装置22とによって構成される。
【0021】
照明コントローラ20は、信号線21aを介して照明装置22に含まれる客室用照明24に対してオン(点灯)/オフ(消灯)を指示する信号を出力すると共に、信号線21bを介して照明装置22に含まれる荷棚用照明25に対してオン(点灯)/オフ(消灯)を指示する信号を出力する電気回路である。照明コントローラ20は、客室用照明24をオン/オフする手動スイッチ(図示せず)と接続され、その手動スイッチの操作に応じて、客室用照明24に対してオン/オフを指示する信号を出力する。
【0022】
また、照明コントローラ20には、鉄道車両1の制御装置(図示せず)が接続され、その制御装置からは、鉄道車両1が停車駅手前の所定位置に到達した場合(例えば、停止車駅手前の5kmの地点に到達した場合)に、その旨を示す到達信号と、鉄道車両1が駅を出発する場合に、その旨を示す出発信号とが出力される。照明コントローラ20は、制御装置から到達信号が出力されると、荷棚用照明25に対してオン(点灯)を指示する信号を出力し、制御装置から出発信号が出力されると、荷棚用照明25に対してオフ(消灯)を指示する信号を出力する。即ち、照明コントローラ20は、鉄道車両1が停車駅手前の所定位置に到達した場合に、荷棚用照明25を消灯状態から点灯状態に切り換える。
【0023】
照明装置22は、客室4を形成する天井面9に設けられる。照明装置22は、車体3の長手方向に沿って連続するように複数設けられる。複数の照明装置20の各々は、天井面9に固設される照明カバー23と、その照明カバー23に着脱可能に取付けられる客室用照明24と、照明カバー23に着脱可能に取付けられる荷棚用照明25とによって構成される。
【0024】
照明カバー23は、客室用照明24と荷棚用照明25とが着脱可能に取付けられるものであり、図示しない締結部材(例えば、ビス)によって天井面9に固定される。即ち、照明カバー23は、客室用照明24と荷棚用照明25とで兼用に設けられる。そのため、荷棚用照明25を取付けるための専用の照明カバーを用意する必要がない。よって、荷棚用照明25を取付けるための部品点数を削減でき、製造コストを低減できると共に、荷棚用照明25を取付けるための作業効率を向上できる。尚、照明カバー23の下パネルは、客室用照明24、荷棚用照明25から照射される光を透過可能な半透明に構成されている。また、照明カバー23には、電源ユニットや、照明コントローラ20と接続された信号線21a,21bと接続される中継基板(図示せず)等が取付けられており、客室用照明24と荷棚用照明25とは、かかる電源ユニット、中継基板、照明カバー23等を含む照明ユニットに着脱可能に取付けられるとも言える。
【0025】
客室用照明24は、客室4に向けて光を照射するものであり、直管型LED照明灯によって構成されている。即ち、客室用照明24は、半透明の中空円筒状に形成されるガラス管24aと、そのガラス管24aの内部に設けられるLED基板24bと、そのLED基板24bに実装されるLED24cとによって構成される。LED24cは、LED基板24b上において、車体3の長手方向に沿って複数実装されている。
【0026】
LED基板24bは、客室用照明24を照明カバー23に取付けた状態で、LED基板24bに実装されているLED24cが客室4に向けて光を照射できるように、その角度が調節されている。また、上述した通り、客室用照明24のオン/オフは、照明コントローラ20から信号線21aを介して出力される信号によって制御されており、照明コントローラ20からオン信号が出力されると、LED24cが点灯して客室内に光が照射される。
【0027】
荷棚用照明25は、荷物収納スペース8に向けて光を照射するものであり、客室用照明24と同様に直管型LED照明灯によって構成されている。荷棚用照明25は、客室用照明24と並行に、且つ、客室用照明24よりも荷棚6側に位置するように照明カバー23に取付けられる。よって、客室用照明24から照射される光と干渉せずに、荷物収納スペース8に光を照射できる。
【0028】
荷棚用照明25は、半透明の中空円筒状に形成されるガラス管25aと、そのガラス管25aの両端に支持されるLED基板25bと、そのLED基板25bに実装されるLED25cとによって構成される。LED基板25bは、荷棚用照明25を照明カバー23に取付けた状態で、LED基板25bに実装されているLED25cが荷物収納スペース8に向けて光を照射できるように、その角度が調節されている。LED25cは、LED基板25b上において、車体3の長手方向に沿って複数実装されている。よって、車体3の長手方向に延びる荷物収納スペース8に向けて光を照射できる。
【0029】
また、上述した通り、荷棚用照明25のオン/オフは、照明コントローラ20から信号線21bを介して出力される信号によって制御される。即ち、鉄道車両1が停車駅手前の所定位置に到達した場合には、荷棚用照明25(LED25c)が消灯状態から点灯状態に変更される(切り替えられる)。よって、鉄道車両1が停車駅手前の所定位置に到達した場合には、荷棚用照明25(LED25c)から照射される光によって、荷物収納スペース8や、荷物収納スペース8に収納されている荷物Nが照らされる。従って、荷物収納スペース8や、荷物N自体に、乗客の注意を向けることができる。これにより、荷棚6に荷物Nを載せた乗客にとっては、荷棚6の荷物Nを思い起こし易くなり、その結果、荷棚6の荷物Nの置き忘れを防止できる。
【0030】
次に、図2を参照して、第2実施形態の鉄道車両100について説明する。図2は、第2実施形態の鉄道車両100の断面図と、その鉄道車両100に設けられる荷棚照明装置40の拡大断面図である。尚、図2は、鉄道車両100の幅方向Wにおいて、その右側半分だけを図示している。また、第1実施形態の鉄道車両1と共通する構成については、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0031】
図1で説明した第1実施形態では、荷棚用照明25を天井面9に設ける場合について説明した。これに対し、図2に示す第2実施形態は、荷物収納スペース8に向けて光を照射する荷棚照明装置40を、荷棚6の根本側の内部に設けたものである。
【0032】
第2実施形態では、照明コントローラ20には、客室照明装置30と荷棚照明装置40とが信号線21a,21bを介して接続されている。客室照明装置30は、客室4に光を照射するものであり、第1実施形態で説明した照明装置22から荷棚用照明25を取り除いたものと同等である。即ち、客室照明装置30は、天井面9に固定される照明カバー23と、その照明カバー23に着脱可能に取付けられる客室用照明24とによって構成される。
【0033】
荷棚照明装置40は、荷物収納スペース8に向けて光を照射するものであり、荷棚6の根本側の内部に設けられる。荷棚照明装置40は、車体3の長手方向に沿って連続的に設けられている。荷棚照明装置40は、支持部材41と、その支持部材41に支持されて車体3の長手方向に沿って延設されるLED基板42と、そのLED基板42上に車体3の長手方向に沿って複数実装されるLED43とによって構成される。支持部材41は、LED基板42を所定の角度で支持、固定するものである。支持部材41は、LED基板42に実装されているLED43の中心軸が車両中央の天井面9に向くように、LED基板42が固定される面の角度が調節されている。
【0034】
このように荷棚照明装置40は、荷棚6の内部に設けられているので、荷棚6の上面に荷物Nを載せても、荷物Nと荷棚照明装置40とが接触することを防止して、荷物Nや荷棚照明装置40の破損を防止できる。また、荷棚照明装置40が荷棚6の内部に設けられるが、荷棚6のうち、LED43から照射される光の光路上には、光透過性部材6a(例えば、ガラス板)が嵌め込まれているので、荷棚照明装置40(LED43)から照射される光は、荷棚6の光透過性部材6aを介して荷物収納スペース8に照射される。よって、荷棚照明装置40を荷棚6の内部に設けても、荷棚照明装置40(LED43)から照射される光を荷物収納スペース8に向けて照射できる。
【0035】
また、第1実施形態と同様に、荷棚照明装置40のオン/オフは、照明コントローラ20から信号線21bを介して出力される信号によって制御されている。即ち、鉄道車両1が停車駅手前の所定位置に到達した場合には、荷棚照明装置40(LED43)が消灯状態から点灯状態に変更される(切り替えられる)。よって、鉄道車両100が停車駅手前の所定位置に到達した場合、荷物Nが載せられていない場所では、荷棚照明装置40(LED43)から照射される光によって、荷物収納スペース8が照らされる。一方、荷物Nが載せられている場所では、荷棚照明装置40(LED43)から照射される光は、荷物Nの下方から照射されるので、荷物Nによって遮られ、荷物Nの影Sが客室4の天井面9,10に投影される。
【0036】
よって、鉄道車両1が停車駅手前の所定位置に到達した場合には、乗客の注意を荷物収納スペース8や、天井面9,10に投影される荷物Nの影Sに向けることができる。従って、荷棚6に荷物Nを載せた乗客にとっては、荷棚6の荷物Nを思い起こし易くなり、荷棚6に載せた荷物Nの置き忘れを防止できる。
【0037】
次に、図3を参照して、第3実施形態の鉄道車両200について説明する。図3は、第3実施形態の鉄道車両200の断面図と、その鉄道車両200に設けられる荷棚照明装置50の拡大断面図である。尚、図3は、鉄道車両200の幅方向Wにおいて、その右側半分だけを図示している。また、上述した第1,第2実施形態と共通する構成については、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0038】
図2で説明した第2実施形態の鉄道車両100では、荷棚照明装置40を、荷棚6の根本側の内部に設ける場合について説明した。これに対し、第3実施形態の鉄道車両200は、荷棚照明装置50を、荷棚6の突端側の内部に設けたものである。
【0039】
荷棚照明装置50は、荷物収納スペース8に向けて光を照射するものであり、荷棚6の内部の突端側に設けられる。荷棚照明装置50は、車体3の長手方向に沿って連続的に設けられている。荷棚照明装置50は、支持部材51と、その支持部材51に支持されて車体3の長手方向に沿って延設されるLED基板52と、そのLED基板52上に車体3の長手方向に沿って複数実装されるLED53とによって構成される。支持部材51は、LED基板52を所定の角度で支持、固定するものである。支持部材51は、LED基板52に実装されているLED53の中心軸が車両側方の天井面10に向くように、LED基板52が固定される面の角度が調節されている。
【0040】
このように構成される荷棚照明装置50(LED53)を点灯させた場合には、図3に示す通り、荷棚照明装置50が荷棚6の突端側に設けられているので、荷物Nの影Sが天井面10に投影される。即ち、第2実施形態では、図2に示す通り、荷棚照明装置40が荷棚6の根本側に設けられるので、荷物Nの影Sが天井面9,10に亘って投影されるのに対し、第3実施形態では、荷物Nの影Sが天井面10に投影される。つまり、第2実施形態と第3実施形態とでは、荷物Nの影Sが投影される位置が異なるものの、第3実施形態でも、第2実施形態と同様な効果を奏することができる。
【0041】
具体的には、鉄道車両200が停車駅手前の所定位置に到達した場合、荷物Nが載せられていない場所では、荷棚照明装置50(LED53)から照射される光によって、荷物収納スペース8が照らされる。一方、荷物Nが載せられている場所では、その荷物Nに対して荷棚照明装置50(LED53)から照射される光は、荷物Nの下方から照射されるので、荷物Nによって遮られ、荷物Nの影Sが客室4の天井面10に投影される。
【0042】
よって、乗客の注意を荷物収納スペース8や、天井面10に投影される荷物Nの影Sに向けることができる。従って、荷棚6に荷物Nを載せた乗客にとっては、荷棚6の荷物Nを思い起こし易くなり、荷棚6の荷物Nの置き忘れを防止できる。
【0043】
次に、図4(a)を参照して、第4実施形態の鉄道車両300について説明する。図4(a)は第4実施形態の鉄道車両300の部分断面図と、その鉄道車両300に設けられる荷棚照明装置60の拡大断面図である。尚、図4(a)では、鉄道車両300の要部を図示し、上述した第1,第2実施形態と共通する構成については、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0044】
図2に示す第2実施形態の鉄道車両100では、荷棚照明装置40を、荷棚6の根本側の内部に設け、荷棚照明装置40から、荷棚6の光透過性部材6aを介して荷物収納スペース8に光を照射する場合について説明した。これに対し、第4実施形態の鉄道車両300は、荷棚6の根本側に、荷棚6の上面から下方に窪む凹部6bを形成し、その凹部6bの内部に荷棚照明装置60を設け、その凹部6bの内部から直接、荷物収納スペース8に光を照射するものである。即ち、第4実施形態の鉄道車両300は、第2実施形態の鉄道車両100のように、荷棚6の光透過性部材6aを介して荷物収納スペース8に光を照射するものではなく、凹部6bの内部から直接、荷物収納スペース8に光を照射するものである。
【0045】
荷棚照明装置60は、図2に示す第2実施形態の荷棚照明装置40と同様に、支持部材61と、その支持部材61に支持されて車体3の長手方向に沿って延設されるLED基板62と、そのLED基板62上に車体3の長手方向に沿って複数実装されるLED63とによって構成される。このように構成される荷棚照明装置60(LED63)を点灯させた場合には、図2に示す第2実施形態の場合と同様に、荷物Nの影Sが天井面9,10に亘って投影される。つまり、第4実施形態でも、第2実施形態と同様な効果を奏することができる。
【0046】
また、第4実施形態の場合には、第2実施形態のように、荷棚6の光透過性部材6aを介して荷物収納スペース8に光を照射するものではなく、凹部6bの内部から直接、荷物収納スペース8に光を照射するものである。よって、荷棚6には、その上面から窪んだ凹部6bを形成すれば良いので、荷棚6に荷棚照明60を設ける場合でも、荷棚6の構成を簡単にできる。
【0047】
次に、図4(b)を参照して、第5実施形態の鉄道車両400について説明する。図4(b)は第5実施形態の鉄道車両400の部分断面図と、その鉄道車両400に設けられる荷棚照明装置70の拡大断面図である。尚、図4(b)では、第5実施形態の鉄道車両400の要部を図示し、上述した第1,第3実施形態と共通する構成については、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0048】
図4(b)に示す第5実施形態の鉄道車両400は、図4(a)に示す第4実施形態の鉄道車両300とは反対に、荷棚6の突端側に、荷棚6の上面から下方に窪む凹部6cを形成し、その凹部6cの内部に荷棚照明装置70を設け、その凹部6cの内部から直接、荷物収納スペース8に光を照射するものである。即ち、第5実施形態の鉄道車両400も、図4(a)に示す第4実施形態と同様に、荷棚6の光透過性部材6aを介して荷物収納スペース8に光を照射するものではなく、凹部6cの内部から直接、荷物収納スペース8に光を照射するものである。
【0049】
荷棚照明装置70は、図3に示す第3実施形態の荷棚照明装置50と同様に、支持部材71と、その支持部材71に支持されて車体3の長手方向に沿って延設されるLED基板72と、そのLED基板72上に車体3の長手方向に沿って複数実装されるLED73とによって構成される。このように構成される荷棚照明装置70(LED73)を点灯させた場合には、第3実施形態の場合と同様に、荷物Nの影Sが天井面10に亘って投影される。つまり、第5実施形態でも、第3実施形態と同様な効果を奏することができる。また、第5実施形態は、図4(a)に示す第4実施形態の場合と同様に、荷棚6の光透過性部材6aを介して荷物収納スペース8に光を照射するものではなく、凹部6cの内部から直接、荷物収納スペース8に光を照射するものである。よって、荷棚6の構成を簡単にすることができる。
【0050】
次に、図5を参照して、第6実施形態の鉄道車両500について説明する。図5は第6実施形態の鉄道車両500の部分断面図と、その鉄道車両500に設けられる荷棚照明装置80の拡大断面図である。尚、図5では、鉄道車両500の要部を図示し、上述した第1,第2実施形態と共通する構成については、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0051】
図2に示す第2実施形態の鉄道車両100や、図4(a)に示す第4実施形態の鉄道車両300では、荷棚照明装置40,60を、荷棚6の根本側の内部に設ける場合について説明した。これに対し、第6実施形態の鉄道車両500は、荷棚6の根本側の上面に荷棚照明装置80を設け、そこから直接、荷物収納スペース8に光を照射するものである。
【0052】
荷棚照明装置80は、第2,第4実施形態の荷棚照明装置40,60と同様に、支持部材81と、その支持部材81に支持されて車体3の長手方向に沿って延設されるLED基板82と、そのLED基板82上に車体3の長手方向に沿って複数実装されるLED83とによって構成される。このように構成される荷棚照明装置80(LED83)を点灯させた場合には、第2,第4実施形態の場合と同様に、荷物Nの影Sが天井面9,10に亘って投影される。つまり、第6実施形態でも、第2,第4実施形態と同様な効果を奏することができる。
【0053】
また、第6実施形態では、図2に示す第2実施形態のように、荷棚6の光透過性部材6aを介して荷物収納スペース8に光を照射するものでも、図4(a)に示す第4実施形態のように、荷棚6の根本側の内部に設けるものでもなく、荷棚6の根本側の上面から、直接、荷物収納スペース8に光を照射するものである。よって、第6実施形態では、荷棚6に荷棚照明80を設ける場合に、第2,第4実施形態よりも更に荷棚6の構成を簡単にできる。
【0054】
尚、第6実施形態では、荷棚6の根本側の上面に荷棚照明装置80を設ける場合について説明したが、荷棚6の突端側の上面に荷棚照明装置80を設けるようにしても良い。また、荷棚6の上面に荷棚照明装置80を設ける場合には、荷棚6の上面に載せられる荷物NとLED83との衝突を避けるべく、例えば、荷棚6の突端側の上面に荷棚照明装置80を設けた場合には、その荷棚照明装置80の後方(荷棚6の根本側)に衝突防止壁を立設し、荷棚6の根本側の上面に荷棚照明装置80を設けた場合には、その荷棚照明装置80の前方(荷棚6の突端側)に衝突防止壁を立設し、LED83と荷物Nとが衝突して、LED83や荷物Nが損傷するのを防止することもできる。
【0055】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0056】
上述した実施形態では、LED25c,43,53,63,73,83を使って荷物収納スペース8に光を照射する場合について説明したが、荷物収納スペース8に光を照射する光源としては、LEDに限定されない。例えば、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)、蛍光灯、白熱灯等であっても良い。即ち、荷物収納スペース8に光を照射できる光源であれば、その種類には限定されない。
【0057】
上述した実施形態では、鉄道車両1,100,200が停車駅手前の所定位置に到達した場合(例えば、停止車駅手前の5kmの地点に到達した場合)に、荷棚用照明25(LED25c),荷棚照明装置40(LED43),荷棚照明装置50(LED53)を消灯状態から点灯状態にする場合について説明したが、これに限定されない。
【0058】
例えば、鉄道車両が停車駅手前の所定位置に到達した場合に、点灯状態から消灯状態に変更しても良く、消灯状態から点滅状態に変更しても良く、点灯状態から更に明るい点灯状態に変更しても良く、点灯状態から点滅状態に変更しても良い。即ち、鉄道車両が停車駅手前の所定位置に到達した場合に、荷棚用照明25(LED25c),荷棚照明装置40(LED43),荷棚照明装置50(LED53)から照射される光の状態が変化すれば良い。この場合でも、乗客の注意を荷物収納スペース8に向けることができるので、上述した実施形態と同様の効果を奏する。
【0059】
特に、第1実施形態において、鉄道車両1が停車駅手前の所定位置に到達する前に荷棚用照明25(LED25c)を点灯状態にすることで、荷棚用照明25(LED25c)を客室用照明24の補光として利用することもできる。
【0060】
また、鉄道車両1,100,200が停車駅手前の所定位置に到達した場合に、到着間近を知らせるアナウンス、或いは、荷物Nの置き忘れを注意喚起するアナウンスを流し、そのアナウンスが流れているタイミングで、荷棚用照明25(LED25c),荷棚照明装置40(LED43),荷棚照明装置50(LED53)から照射される光の状態を変更するように構成しても良い。特に、荷物Nの置き忘れを注意喚起するアナウンスが流れているタイミングで光の状態を変更することで、聴覚、視覚の両方から、荷物Nの置き忘れを注意喚起でき、効果的である。
【0061】
また、上記第1実施形態では、客室用照明24と、荷棚用照明25とを、直管型LED照明灯によって構成する場合について説明したが、これに限定されない。客室用照明24と、荷棚用照明25とを、第2,第3実施形態のように、LED基板24b,25bと、そのLED基板24b,25bに実装されるLED24c,25cとによって構成し、それを照明カバー23に取り付けるように構成しても良い。
【0062】
また上記第2,第3実施形態では、荷棚照明装置40,50を荷棚6の根本側と、突端側とに設ける場合について説明したが、これに限定されない。荷棚照明装置40,50を荷棚6の両端部の間に設けても良い。更に、荷棚照明装置40,50を荷棚6の内部に設けることにも限定されない。例えば、荷棚6の突端部からフランジを立設し、そのフランジの内面と、荷棚の上面との角部に荷棚照明装置40,50を設けるようにしても良い。
【0063】
また、上記実施形態では、荷棚用照明25(LED25c),荷棚照明装置40(LED43),荷棚照明装置50(LED53)の各々で使用するLEDの色については、言及していないが、LED25c,LED43,LED53の色を、赤、青、緑など、客室内の照明の色とは異なる色を採用できる。この場合には、乗客の注意を一層引き易くすることができ、効果的である。
【0064】
また、上記各実施形態の荷棚6は、荷物Nが下方から確認できるように、その一部または全部を透明または半透明に構成しても良い。例えば、荷棚6の一部を透明なガラス板で構成し、そのガラス板の片面に透明な耐熱樹脂製保護層を形成しても良い。この場合、荷棚6に載せた荷物Nを下方から確認でき、更に効果的に荷物Nの置き忘れを防止できる。また、列車内で火災が発生しても、ガラス板が溶けたり、ガラス片が飛散するのを防止できる。
【0065】
また、上記各実施形態では、荷棚6を車体3の長手方向に沿って設ける場合について説明したが、荷棚6は、車体3の長手方向に沿って連続的、または、断続的に設けられていても良く、車体3の幅方向に設けられていても良い。このように、荷棚6が設けられていても、上記各実施形態で説明したのと同様の効果を奏することができる。
【0066】
更に、上記各実施形態では、荷棚6に荷物Nが置かれているか否かに拘わらず、荷棚用照明25(LED25c),荷棚照明装置40(LED43)等から荷棚6に照射する光を変化させる場合について説明したが、次のように構成しても良い。例えば、荷物Nの有無を検知可能なセンサを荷棚6に設け、そのセンサで荷物Nが検知された場合に、荷棚用照明25(LED25c),荷棚照明装置40(LED43)等から荷棚6に照射する光を変化させても良い。具体的には、荷棚6の突端側に発光素子、荷棚6の根本側に受光素子を設け、発光素子から受光素子に光を照射し、受光素子において所定量の光を受光できた場合には荷物Nがないとして、荷棚用照明25(LED25c),荷棚照明装置40(LED43)等から荷棚6に照射する光を変化させず、受光素子において所定量の光を受光できない場合には荷物Nがあるとして、荷棚用照明25(LED25c),荷棚照明装置40(LED43)等から荷棚6に照射する光を変化させるように構成しても良い。
【符号の説明】
【0067】
1 鉄道車両
3 車体
4 客室
6 荷棚
6a 光透過性部材
7 客室の側面
9 客室の天井面
8 荷物収納スペース
25 荷棚用照明
20 照明コントローラ(照明制御装置)
23 照明ケース
24 客室用照明
40 荷棚照明装置(荷棚用照明)
50 荷棚照明装置(荷棚用照明)
図1
図2
図3
図4
図5