(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】探傷システム及び塗布装置
(51)【国際特許分類】
G01N 29/28 20060101AFI20220317BHJP
G01N 29/265 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
G01N29/28
G01N29/265
(21)【出願番号】P 2017134471
(22)【出願日】2017-07-10
【審査請求日】2020-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】594126159
【氏名又は名称】神鋼検査サービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】中島 聡文
(72)【発明者】
【氏名】重岡 和隆
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-210296(JP,A)
【文献】特開平09-089848(JP,A)
【文献】特開2002-228431(JP,A)
【文献】実開昭63-083658(JP,U)
【文献】特開昭61-096458(JP,A)
【文献】実開昭55-001778(JP,U)
【文献】特開2015-021742(JP,A)
【文献】特開2004-028762(JP,A)
【文献】米国特許第04843884(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00-29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の探傷を行う探傷システムであって、
前記探傷に用いられる接触媒質を塗布する塗布部と、
前記接触媒質を通じて前記検査対象へ超音波を伝播し、前記探傷を行う探傷部と、
前記塗布部と前記探傷部とを一体的に移動させるための駆動力を発生する駆動部と、
前記探傷部を前記塗布部に連結させる連結部材と、を備え、
前記駆動部は、前記探傷部が前記塗布部に後続する方向に前記塗布部及び前記探傷部を移動させ
、
前記連結部材は、前記塗布部及び前記探傷部が前記検査対象の湾曲した表面に沿って移動することを許容するように、屈曲可能に構成されている、
探傷システム。
【請求項2】
検査対象の探傷を行う探傷システムであって、
前記探傷に用いられる接触媒質を塗布する塗布部と、
前記接触媒質を通じて前記検査対象へ超音波を伝播し、前記探傷を行う探傷部と、
前記探傷部が前記塗布部に後続する方向に、前記塗布部と前記探傷部とを一体的に移動させるための駆動力を発生する駆動部と、
前記探傷部を前記塗布部に連結させる連結部材と、を備え、
前記連結部材は、前記塗布部及び前記探傷部
が前記検査対象の湾曲した表面に沿って移動
するように
、少なくとも1つの回動軸周りに屈曲可能であ
る
探傷システム。
【請求項3】
前記連結部
材は、前記塗布部に連結される第1部材と、前記探傷部に連結される第2部材と、を含み、
前記第2部材は、前記第1部材から分離可能である
請求項
1又は
2に記載の探傷システム。
【請求項4】
検査対象の探傷を行う探傷システムであって、
前記探傷に用いられる接触媒質を塗布する塗布部と、
前記接触媒質を通じて前記検査対象へ超音波を伝播し、前記探傷を行う探傷部と、
前記探傷部が前記塗布部に後続する方向に、前記塗布部と前記探傷部とを一体的に移動させるための駆動力を発生する駆動部と、
前記駆動部を制御する移動制御部
と、を備え
、
前記塗布部は、前記接触媒質が吐出される吐出口が形成された吐出部と、前記吐出口へ向かう前記接触媒質の媒質圧力を検出する圧力検出部と、を含み、
前記圧力検出部によって検出された前記媒質圧力が、所定の閾値を超えると、前記移動制御部は、前
記駆動部を制御し、前記探傷部が前記塗布部に後続するように、前記探傷部及び前記塗布部の移動を開始させ
る
探傷システム。
【請求項5】
検査対象の探傷を行う探傷システムであって、
前記探傷に用いられる接触媒質を塗布する塗布部と、
前記接触媒質を通じて前記検査対象へ超音波を伝播し、前記探傷を行う探傷部と、
前記探傷部が前記塗布部に後続する方向に、前記塗布部と前記探傷部とを一体的に移動させるための駆動力を発生する駆動部と、を備え、
前記駆動部は、前記塗布部を移動させる第1駆動力を発生する第1駆動部と、前記探傷部を移動させる第2駆動力を発生する第2駆動部と、を含み、
前記探傷システムは、前記探傷部
が前記塗布部から分離され
た状態で、前記探傷部を前記塗布部と等速移動させる
ように前記第1駆動部及び前記第2駆動部を制御する移動制御部を更に備えている、
探傷システム。
【請求項6】
前記塗布部は、前記接触媒質が吐出される吐出口が形成された吐出部と、前記接触媒質に押出圧力を加え、前記接触媒質を前記吐出口へ押し出す押出部と、前記押出部によって押し出された前記接触媒質の流量を検出する流量検出部と、を含み、
前記探傷システムは、前記押出部によって前記吐出部へ供給される前記接触媒質の量を制御する供給制御部を更に備え、
前記供給制御部は、前記押出圧力が前記流量の減少に応じて増加するように、前記押出部を制御する
請求項1乃至3及び5のいずれか1項に記載の探傷システム。
【請求項7】
前記塗布部
及び前記探傷
部は、
前記塗布部と前記探傷部とが互いに連結された1つの装置として設計される
請求項
4又は6に記載の探傷システム。
【請求項8】
検査対象の探傷に用いられる接触媒質を塗布する塗布装置であって、
前記接触媒質が吐出される吐出口が形成された吐出部と、
前記吐出口が、前記検査対象の表面に対向するように、前記吐出部を保持する保持部と、
前記吐出口が、前記検査対象の前記表面に沿って移動するように、前記保持部に駆動力を与える駆動部と、
前記保持部と、前記接触媒質を通じて前記検査対象へ超音波を伝播し、前記探傷を行う探傷装置と、に連結される連結部材と、を備え、
前記保持部が、前記探傷装置に先行するように、前記駆動部は、前記保持部に前記駆動力を与え
、
前記連結部材は、前記塗布装置及び前記探傷装置が前記検査対象の湾曲した前記表面に沿って移動することを許容するように、屈曲可能に構成されている、塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象の探傷に用いられる接触媒質を塗布するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波を用いて検査対象の欠陥の位置や欠陥の形状を調べる様々な技術が、開発されてきている(特許文献1を参照)。超音波を効率よく検査対象へ伝播させるために、超音波探傷の前に、接触媒質が、検査対象に塗布される。検査対象への接触媒質の塗布は、従来、手作業で行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超音波探傷の超音波として表面SH波が用いられる場合、接触媒質は、一般的に、高い粘度を有する。したがって、作業者が、接触媒質を手作業で塗布すると、検査対象上での接触媒質の層の厚さは、不均一になりやすい。加えて、接触媒質は、多くの場合、高い吸湿性を有する。超音波の伝播効率は、接触媒質の吸湿量によって変化される。このことは、接触媒質が検査対象に塗布されてから超音波探傷装置が探傷を行うまでの期間長のばらつきが、探傷結果に大きな影響を与えることを意味する。吸湿特性に加えて、接触媒質が検査対象に塗布されてから超音波探傷装置が探傷を行うまでの期間長のばらつきは、接触媒質のたれ性、粘性や速乾性も変動させる。これらの特性の変化も探傷結果に大きな影響を与えることになる。したがって、再現性の高い探傷結果を得ることは、従来困難であった。
【0005】
本発明は、接触媒質の塗布から探傷までの期間長の変動を低減し、再現性の高い探傷結果を得ることを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係る探傷システムは、検査対象の探傷を行う。探傷システムは、前記探傷に用いられる接触媒質を塗布する塗布部と、前記接触媒質を通じて前記検査対象へ超音波を伝播し、前記探傷を行う探傷部と、前記塗布部と前記探傷部とを一体的に移動させるための駆動力を発生する駆動部と、前記探傷部を前記塗布部に連結させる連結部材と、を備える。前記駆動部は、前記探傷部が前記塗布部に後続する方向に前記塗布部及び前記探傷部を移動させる。前記連結部材は、前記塗布部及び前記探傷部が前記検査対象の湾曲した表面に沿って移動することを許容するように、屈曲可能に構成されている。
本発明の他の局面に係る探傷システムは、検査対象の探傷を行う。探傷システムは、前記探傷に用いられる接触媒質を塗布する塗布部と、前記接触媒質を通じて前記検査対象へ超音波を伝播し、前記探傷を行う探傷部と、前記探傷部が前記塗布部に後続する方向に、前記塗布部と前記探傷部とを一体的に移動させるための駆動力を発生する駆動部と、前記探傷部を前記塗布部に連結させる連結部材と、を備えている。前記連結部材は、前記塗布部及び前記探傷部が前記検査対象の湾曲した表面に沿って移動するように、少なくとも1つの回動軸周りに屈曲可能である。
【0007】
上記の構成によれば、探傷に用いられる接触媒質を塗布する塗布部は、駆動部から発生した駆動力によって移動されるので、作業者は、手作業で、接触媒質を検査対象に塗布しなくてもよい。接触媒質の塗布期間は、作業者の技量に依存しなくなるので、接触媒質が外気に触れる期間長の変動は少なくなる。このことは、接触媒質の吸湿量、たれ性、粘性や速乾性の変化が低減されることを意味する。したがって、探傷システムは、検査対象の探傷を行い、再現性の高い探傷結果を得ることができる。
【0008】
駆動部から発生した駆動力は、塗布部と、接触媒質を通じて検査対象へ超音波を伝播し、探傷を行う探傷部と、を一体的に移動させるので、接触媒質の塗布から探傷までの期間長の変動は、低減される。このことは、接触媒質が検査対象に塗布されてから接触媒質を通じて検査対象へ超音波が伝播されるまでの期間における接触媒質の吸湿量が低減されることを意味する。したがって、探傷システムは、検査対象の探傷を行い、再現性の高い探傷結果を得ることができる。塗布部と探傷部とを連結している連結部材は、屈曲可能であるので、塗布部及び探傷部は、検査対象の湾曲した表面に沿って移動することができる。したがって、探傷システムは、湾曲した表面を有する検査対象の探傷に好適に利用可能となる。
【0013】
上記の構成に関して、前記連結部材は、前記塗布部に連結される第1部材と、前記探傷部に連結される第2部材と、を含んでもよい。前記第2部材は、前記第1部材から分離可能であってもよい。
【0014】
上記の構成によれば、第2部材は、第1部材から分離可能であるので、探傷部は、塗布部から分離されることができる。したがって、作業者は、探傷部と塗布部とを別々に運搬することができる。この結果、作業者は、探傷部と塗布部とを容易に取り扱うことができる。
【0015】
本発明の他の局面に係る探傷システムは、検査対象の探傷を行う。探傷システムは、前記探傷に用いられる接触媒質を塗布する塗布部と、前記接触媒質を通じて前記検査対象へ超音波を伝播し、前記探傷を行う探傷部と、前記探傷部が前記塗布部に後続する方向に、前記塗布部と前記探傷部とを一体的に移動させるための駆動力を発生する駆動部と、前記駆動部を制御する移動制御部と、を備えている。前記塗布部は、前記接触媒質が吐出される吐出口が形成された吐出部と、前記吐出口へ向かう前記接触媒質の媒質圧力を検出する圧力検出部と、を含んでいる。前記圧力検出部によって検出された前記媒質圧力が、所定の閾値を超えると、前記移動制御部は、前記駆動部を制御し、前記探傷部が前記塗布部に後続するように、前記探傷部及び前記塗布部の移動を開始させる。
【0016】
上記の構成によれば、吐出部に形成された吐出口へ向かう接触媒質の媒質圧力が、所定の閾値を超えるまで、探傷部及び塗布部は、静止し続ける。媒質圧力が、所定の閾値を超えると、探傷に十分な量の接触媒質が、検査対象に吐出される。媒質圧力が、所定の閾値を超えると、移動制御部は、駆動部を制御し、探傷部が塗布部に後続するように、探傷部及び塗布部の移動を開始させるので、十分な量の接触媒質が吐出口から吐出された後、探傷部は、十分な量の接触媒質を通じて、超音波を検査対象へ伝播し、検査対象の探傷を行うことができる。
【0017】
本発明の他の局面に係る探傷システムは、検査対象の探傷を行う。探傷システムは、前記探傷に用いられる接触媒質を塗布する塗布部と、前記接触媒質を通じて前記検査対象へ超音波を伝播し、前記探傷を行う探傷部と、前記探傷部が前記塗布部に後続する方向に、前記塗布部と前記探傷部とを一体的に移動させるための駆動力を発生する駆動部と、を備えている。前記駆動部は、前記塗布部を移動させる第1駆動力を発生する第1駆動部と、前記探傷部を移動させる第2駆動力を発生する第2駆動部と、を含んでいる。前記探傷システムは、前記探傷部が前記塗布部から分離された状態で、前記探傷部を前記塗布部と等速移動させるように前記第1駆動部及び前記第2駆動部を制御する移動制御部を更に備えている。
【0018】
上記の構成によれば、探傷部は、塗布部から分離されているので、作業者は、探傷部及び塗布部を容易に持ち運ぶことができる。第2駆動部は、移動制御部の制御下で、探傷部を塗布部と等速移動させるので、塗布部及び探傷部は、移動制御部の制御下で、一体的に移動する。加えて、作業者は、探傷部を塗布部に連結させることなく、塗布部及び探傷部を一体的に移動させることができるので、探傷作業を効率的に行うことができる。
【0019】
上述の構成において、前記塗布部は、前記接触媒質が吐出される吐出口が形成された吐出部と、前記接触媒質に押出圧力を加え、前記接触媒質を前記吐出口へ押し出す押出部と、前記押出部によって押し出された前記接触媒質の流量を検出する流量検出部と、を含んでいてもよい。前記探傷システムは、前記押出部によって前記吐出部へ供給される前記接触媒質の量を制御する供給制御部を更に備えている。前記供給制御部は、前記押出圧力が前記流量の減少に応じて増加するように、前記押出部を制御してもよい。
【0020】
上記の構成によれば、押出部は、接触媒質に押出圧力を加え、接触媒質を吐出口へ押し出すので、押出部が、高い押出圧力を加えるならば、流量検出部によって検出される流量は高くなる。一方、押出部が、低い押出圧力を加えるならば、流量検出部によって検出される流量は小さくなる。押出圧力が、流量の減少に応じて増加するように、供給制御部は、押出部を制御するので、接触媒質の吐出量の過度の減少のリスクは、低くなる。
【0021】
上記の構成に関して、前記塗布部及び前記探傷部は、前記塗布部と前記探傷部とが互いに連結された1つの装置として設計されてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、塗布部及び探傷部は、1つの装置として設計されるので、作業者は、探傷部を塗布部に連結させることなく、塗布部及び探傷部を一体的に移動させることができる。したがって、作業者は、探傷作業を効率的に行うことができる。
【0023】
本発明の他の局面に係る塗布装置は、検査対象の探傷に用いられる接触媒質を塗布する。塗布装置は、前記接触媒質が吐出される吐出口が形成された吐出部と、前記吐出口が、前記検査対象の表面に対向するように、前記吐出部を保持する保持部と、前記吐出口が、前記検査対象の前記表面に沿って移動するように、前記保持部に駆動力を与える駆動部と、前記保持部と、前記接触媒質を通じて前記検査対象へ超音波を伝播し、前記探傷を行う探傷装置と、に連結される連結部材と、を備える。前記保持部が、前記探傷装置に先行するように、前記駆動部は、前記保持部に前記駆動力を与える。前記連結部材は、前記塗布装置及び前記探傷装置が前記検査対象の湾曲した前記表面に沿って移動することを許容するように、屈曲可能に構成されている。
【0024】
上記の構成によれば、検査対象の探傷に用いられる接触媒質は、塗布装置の吐出部に形成された吐出口から吐出される。吐出部を保持する保持部は、駆動部によって駆動されるので、吐出部は、検査対象の表面に沿って移動することができる。したがって、吐出口から接触媒質を吐出する吐出部を保持する保持部が、駆動部によって移動されると、接触媒質は、検査対象に塗布されることになる。すなわち、従来技術とは異なり、接触媒質は、作業者の手作業ではなく、塗布装置によって塗布されることになる。
【0025】
連結部材は、保持部だけでなく、接触媒質を通じて検査対象へ超音波を伝播し、探傷を行う探傷装置にも連結されるので、探傷装置は、連結部材によって、塗布装置に連結されることになる。保持部が、探傷装置に先行するように、駆動部は、保持部に駆動力を与えるので、探傷装置は、塗布装置に後続して移動することができる。この結果、超音波は、塗布装置によって検査対象に塗布された直後の接触媒質を通じて検査対象へ伝播される。
【0026】
接触媒質の塗布から探傷までの期間長は、塗布装置から探傷装置までの距離及び保持部の移動速度によって決定される。塗布装置から探傷装置までの距離及び保持部の移動速度が一定であるならば、接触媒質の塗布から探傷までの期間長も一定になる。したがって、塗布装置を設計する設計者は、接触媒質の塗布から探傷までの期間長の変動を容易に小さくすることができる。接触媒質の塗布から探傷までの期間における接触媒質の吸湿量も略一定になるので、探傷装置から得られる探傷結果は、接触媒質の塗布から探傷までの期間長の変動に影響されず、高い再現性を有することができる。塗布装置と探傷装置とを連結している連結部材は、屈曲可能であるので、塗布装置及び探傷装置は、検査対象の湾曲した表面に沿って移動することができる。したがって、探傷システムは、湾曲した表面を有する検査対象の探傷に好適に利用可能となる。
【発明の効果】
【0027】
上述の技術は、接触媒質の塗布から探傷までの期間長の変動を低減し、再現性の高い探傷結果を得ることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】例示的な探傷システムの概略的な平面図である。
【
図2】
図1に示される探傷システムの塗布装置の概略的な斜視図である。
【
図3】
図2に示される塗布装置の他のもう1つの概略的な斜視図である。
【
図4】
図2に示される塗布装置の概略的な断面図である。
【
図5】例示的な塗布システムの概略的なブロック図である。
【
図6】
図5に示される塗布システムの供給制御部の例示的な処理を表す概略的なフローチャートである。
【
図7】
図5に示される塗布システムの移動制御部の例示的な処理を表す概略的なフローチャートである。
【
図8A】
図1に示される探傷システムの探傷装置の概略的な斜視図である。
【
図8B】
図8Aに示される探傷装置の他のもう1つの概略的な斜視図である。
【
図10】
図9に示される連結部材の概略的な平面図である。
【
図11A】
図2に示される塗布装置の吐出部の概略的な断面図である。
【
図11B】他のもう1つの吐出部の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、例示的な探傷システム100の概略的な平面図である。
図1を参照して、探傷システム100が説明される。
【0030】
探傷システム100は、検査対象ITGの探傷を行うために用いられる。
図1は、検査対象ITGとして、磁性体を含む円筒体を示す。しかしながら、探傷システム100は、角筒や平板の探傷に用いられてもよい。したがって、本実施形態の原理は、検査対象ITGの特定の形状に限定されない。
【0031】
探傷システム100は、塗布装置200と、探傷装置300と、を備える。塗布装置200及び探傷装置300は、検査対象ITGに磁気的に吸着されることができる。作業者は、検査対象ITG上の所望の高さ位置に探傷装置300を配置する。塗布装置200は、検査対象ITGの探傷に用いられる接触媒質を塗布する塗布部として設計されている。探傷装置300は、接触媒質を通じて、検査対象ITGへ超音波を伝播し、検査対象ITGの探傷を行う探傷部として設計されている。本実施形態に関して、塗布部は、探傷部とは別異の装置として設計されている。しかしながら、探傷システムは、塗布部及び探傷部が組み込まれた1つの装置として設計されてもよい。したがって、本実施形態の原理は、塗布装置200及び探傷装置300の特定の構造に限定されない。
【0032】
塗布装置200は、粘度において異なる様々な接触媒質を塗布することができる。たとえば、50Pa・s以上4000Pa・s以下の粘度を有する接触媒質が、塗布装置200によって塗布されることができる。本実施形態の原理は、特定の接触媒質に限定されない。たとえば、SHN-B25(サーンテック株式会社製)は、接触媒質として好適に利用可能である。
【0033】
探傷システム100は、探傷装置300を、塗布装置200に連結させる連結部材150を更に備える。探傷装置300は、連結部材150によって、塗布装置200に連結されるので、塗布装置200及び探傷装置300は、一体的に移動することができる。本実施形態に関して、塗布装置200及び探傷装置300は、連結部材150によって、一体化される。しかしながら、探傷装置300が、塗布装置200に略一定の間隔で後続するように、塗布装置200及び探傷装置300の移動が制御されてもよい。この場合、塗布装置200及び探傷装置300を等速移動させる制御の下で、塗布装置200及び探傷装置300は、一体的に移動することができる。したがって、本実施形態の原理は、連結部材150によっては何ら限定されない。
【0034】
探傷システム100は、塗布装置200及び探傷装置300を一体的に移動させるための駆動力を発生する駆動部を備える。
図1は、駆動部として、第1駆動部140と、第2駆動部410と、を示す。第1駆動部140は、塗布装置200に組み込まれ、塗布装置200を移動させるための第1駆動力を発生させる。第2駆動部410は、探傷装置300に組み込まれ、探傷装置300を移動させるための第2駆動力を発生させる。探傷装置300が、塗布装置200に後続する方向に、塗布装置200及び探傷装置300が移動するように、第1駆動部140及び第2駆動部410は、第1駆動力及び第2駆動力をそれぞれ発生させる。上述の如く、探傷装置300は、塗布装置200に、連結部材150によって連結されているので、第1駆動部140及び第2駆動部410が、第1駆動力及び第2駆動力をそれぞれ発生させると、塗布装置200及び探傷装置300は、一体的に移動することができる。
【0035】
本実施形態に関して、第1駆動部140は、塗布装置200に第1駆動力を与え、第2駆動部410は、探傷装置300に第2駆動力を与える。しかしながら、駆動部は、塗布装置200及び探傷装置300のうち一方に駆動力を与えてもよい。駆動部が、駆動力を、塗布装置200にのみ与えるならば、連結部材150によって塗布装置200に連結された探傷装置300は、塗布装置200によって引き摺られるように移動することができる。駆動部が、駆動力を、探傷装置300にのみ与えられるならば、塗布装置200は、探傷装置300によって押されるように移動することができる。
【0036】
図1は、2つの回動軸PX1,PX2を概念的に示す。連結部材150は、回動軸PX1,PX2周りに屈曲することができる。作業者は、検査対象ITG上の所望の高さ位置に探傷装置300を配置する。作業者は、その後、回動軸PX1,PX2周りに連結部材150を折り曲げ、塗布装置200を、
図1に示される位置から検査対象ITGに接近させることができる。この結果、探傷装置300だけでなく、塗布装置200も、検査対象ITGの湾曲した表面に磁気的に吸着されることができる。塗布装置200は、その後、検査対象ITGの湾曲した表面に沿って、
図1に示される進行方向に移動される。探傷装置300は、塗布装置200に後続して、進行方向に移動される。
【0037】
探傷システム100が、平板の探傷に専ら用いられるならば、連結部材150は、屈曲しなくてもよい。したがって、本実施形態の原理は、連結部材150の特定の構造に限定されない。
【0038】
設計者は、探傷システム100が用いられ得る検査対象ITGの表面の曲率半径の範囲に適合するように、いくつの回動軸が連結部材150に形成されるかを決定してもよい。したがって、連結部材150は、単一の回動軸を有してもよいし、2を超える回動軸を有してもよい。したがって、本実施形態の原理は、いくつの回動軸が連結部材150に形成されるかによっては何ら限定されない。
【0039】
<他の特徴>
設計者は、上述の探傷システム100に様々な特徴を与えることができる。以下に説明される特徴は、上述の探傷システム100の設計原理を何ら限定しない。
【0040】
(塗布装置)
塗布装置200は、検査対象(図示せず)の探傷に用いられる接触媒質(図示せず)を塗布するために用いられる。既知の接触媒質の多くは、高い吸湿性や高い粘度を有する。作業者が、接触媒質を手作業で検査対象に塗布すると、接触媒質が、空気に触れている期間長は、作業者の熟練の程度に依存することもある。このことは、接触媒質の吸湿量が、作業者の熟練度によって変化されるということを意味する。高い粘度は、検査対象の表面上に均一な厚さの接触媒質の層の形成を困難にする。接触媒質の層の厚さの均一性も、作業者の熟練度に依存する。接触媒質の吸湿量のばらつき及び接触媒質の層の厚さのばらつきはともに、探傷結果のばらつきに帰結する。したがって、従来の塗布技術(すなわち、手作業での塗布作業)の下では、高い再現性を有する探傷結果を得ることは困難である。一方、塗布装置200は、作業者の熟練度に依存することなく、略一定の塗布作業を可能にする。接触媒質の吸湿量のばらつき及び接触媒質の層の厚さのばらつきは、塗布装置200の略一定の塗布作業の結果低減されるので、塗布装置200は、高い再現性を有する探傷結果を得ることに貢献する。
【0041】
図2は、塗布装置200の概略的な斜視図である。
図1及び
図2を参照して、塗布装置200が説明される。
【0042】
本実施形態に関して、
図1を参照して説明された第1駆動部140及び連結部材150は、塗布装置200の一部として設計されている。塗布装置200は、第1駆動部140及び連結部材150に加えて、吐出部110と、供給機構120と、保持部130と、を備える。吐出部110は、塗布装置200の進行方向に対して略直交する方向に長い中空の板部材である。本実施形態に関して、吐出部110の延設方向は、「鉛直方向」と称される。しかしながら、本実施形態の原理は、方向を表す用語によっては何ら限定されない。
【0043】
吐出部110は、検査対象ITG(
図1を参照)に対向する対向面111を含む。複数の吐出口112は、対向面111に形成される。複数の吐出口112は、鉛直方向に長いスリット穴である。複数の吐出口112は、鉛直方向に整列している。複数の吐出口112は、吐出部110内に形成された細長い空房(図示せず)に連通している。上述の接触媒質は、複数の吐出口112から検査対象ITGへ吐出される。
【0044】
供給機構120は、接触媒質を、複数の吐出口112へ供給するための供給経路を形成する。吐出部110、供給機構120及び第1駆動部140は、保持部130に取り付けられる。第1駆動部140が、保持部130を移動させるための第1駆動力を発生させると、吐出部110、供給機構120、保持部130及び第1駆動部140は、第1駆動部140から出力された第1駆動力によって、進行方向へ、一体的に移動される。
【0045】
図2に示されるように、連結部材150は、第1部材151と、第2部材152と、2つの中間部材153と、第1連結シャフト154と、第2連結シャフト155と、を含む。第1部材151は、保持部130に連結される。第2部材152は、塗布装置200の進行方向において後方に位置し、探傷装置300(
図1を参照)に連結される。したがって、探傷装置300は、塗布装置200の進行方向において、塗布装置200の後方に位置することになる。上述の如く、接触媒質は、複数の吐出口112から吐出されているので、探傷装置300の前方に位置する検査対象ITGの表面は、接触媒質によって覆われている。したがって、探傷装置300は、接触媒質を通じて検査対象ITGへ超音波を伝播し、探傷を行うことができる。
【0046】
2つの中間部材153は、第1部材151と第2部材152との間に配置される。第1連結シャフト154は、第1部材151と2つの中間部材153とを貫通する。第2連結シャフト155は、第2部材152と2つの中間部材153とを貫通する。連結部材150は、第1連結シャフト154及び第2連結シャフト155それぞれにおいて屈曲することができる。したがって、塗布装置200及び探傷装置300は、検査対象ITGの湾曲した表面に適合するように配置されることができる。
図1を参照して説明された回動軸PX1,PX2は、第1連結シャフト154及び第2連結シャフト155によってそれぞれ形成される。しかしながら、これらの回動軸PX1,PX2は、複数の部品を連結し、これらの部品間での屈曲を許容する他の部品(例えば、リベット)によって形成されてもよい。
【0047】
保持部130は、ベース板131と、車輪機構132と、保持ブラケット133と、を含む。ベース板131は、薄い金属板であってもよい。本実施形態に関して、折曲加工が、ベース板131の外周縁に施与されている。したがって、ベース板131は、高い剛性を有することができる。ベース板131は、内面134と、内面134とは反対側の外面135と、を含む。以下の説明に関して、「内方」との用語は、ベース板131から検査対象ITGに向かう方向を意味する。「外方」との用語は、「内方」との用語によって表される方向とは逆の方向を意味する。
【0048】
車輪機構132は、検査対象ITGとベース板131の内面134との間に形成される。車輪機構132は、車軸保持部231と、前車軸232と、後車軸233と、複数の前輪234と、複数の後輪235と、を含む。車軸保持部231は、ベース板131の内面134から内方に突出し、鉛直方向に延びる前車軸232及び後車軸233の下端を保持する。加えて、車軸保持部231は、第1駆動部140の近くで、前車軸232と後車軸233とを保持する。前車軸232は、吐出部110の前方で、鉛直方向に延びる。後車軸233は、吐出部110の後方で、鉛直方向に延びる。前車軸232及び後車軸233は、第1駆動部140から第1駆動力を受け、これらの中心軸周りに回転することができる。複数の前輪234は、前車軸232に固定された磁石車輪である。複数の後輪235は、後車軸233に固定された磁石車輪である。したがって、塗布装置200は、これらの磁石車輪によって、磁性体を含む検査対象ITGに磁気的に吸着されることができる。第1駆動部140が、前車軸232と後車軸233とを回転させると、複数の前輪234及び複数の後輪235は、検査対象ITGの表面上で転動し、塗布装置200は、検査対象ITGの表面に沿って、進行方向に移動することができる。この間、接触媒質は、複数の前輪234と複数の後輪235との間に配置された吐出部110の複数の吐出口112から吐出される。
【0049】
連結部材150の第1部材151は、基部156と、3つの第1連結部157と、3つの後突出部158と、を含む。基部156は、後車軸233と略平行に延びる。3つの第1連結部157は、基部156から前方に突出する。
【0050】
3つの第1連結部157は、鉛直方向に整列する。後車軸233は、3つの第1連結部157を貫通する。第1部材151は、後車軸233周りに回動することができる。最も下側の第1連結部157は、最も下の後輪235と下から2番目の後輪235との間で後車軸233に連結される。最も上側の第1連結部157は、最も上側の後輪235と上から2番目の後輪235との間で後車軸233に連結される。2つの後輪235は、真ん中の第1連結部157と最も下側の第1連結部157との間に位置する。他の2つの後輪235は、真ん中の第1連結部157と最も上側の第1連結部157との間に位置する。
【0051】
3つの後突出部158は、鉛直方向に整列する。第1連結シャフト154は、2つの中間部材153及び3つの後突出部158を貫通する。2つの中間部材153のうち一方の一部は、下側の後突出部158と真ん中の後突出部158との間に配置される。2つの中間部材153のうち他方の一部は、上側の後突出部158と真ん中の後突出部158との間に配置される。第1連結シャフト154は、C型止め輪を用いて固定されている。作業者は、C型止め輪を外し、第1連結シャフト154を引き抜くことができる。この結果、第2部材152及び2つの中間部材153は、第1部材151から分離されることができる。
【0052】
第2部材152は、第2連結部251と、3つの前突出部252と、を含む。第2連結部251は、第1部材151の基部156と略平行に延びる。探傷装置300は、第2連結部251に連結される。探傷装置300と第2連結部251との間の連結構造は、探傷装置300の構造に適合されるように決定されてもよい。本実施形態の原理は、探傷装置300と第2連結部251との間の特定の連結構造に限定されない。
【0053】
3つの前突出部252は、基部156から前方に突出する。3つの前突出部252は、鉛直方向に整列する。第2連結シャフト155は、2つの中間部材153及び3つの前突出部252を貫通する。2つの中間部材153のうち一方の一部は、下側の前突出部252と真ん中の前突出部252との間に配置される。2つの中間部材153のうち他方の一部は、上側の前突出部252と真ん中の前突出部252との間に配置される。第2連結シャフト155は、C型止め輪を用いて固定されている。作業者は、C型止め輪を外し、第2連結シャフト155を引き抜くことができる。この結果、第2部材152は、2つの中間部材153及び第1部材151から分離されることができる。
【0054】
図3は、塗布装置200の他のもう1つの概略的な斜視図である。
図1乃至
図3を参照して、塗布装置200が更に説明される。
【0055】
供給機構120は、供給源121と、接続パイプ122と、管路ブロック123と、流量検出部124と、連結ブロック125と、接続チューブ126(
図3は、矢印で、接続チューブ126を概念的に表す)と、上流分岐管127と、下流分岐管128と、圧力検出部129と、を含む。上述の接触媒質は、供給源121内に充填されている。供給機構120は、供給源121から、接続パイプ122、管路ブロック123、流量検出部124、連結ブロック125及び接続チューブ126を通じて、接触媒質を、上流分岐管127へ供給する。上流分岐管127へ供給された接触媒質の一部は、その後、吐出部110
へ供給される。上流分岐管127へ供給された接触媒質の他のもう一部は、下流分岐管128へ供給される。下流分岐管128へ供給された接触媒質は、その後、吐出部110へ供給される。吐出部110に到達した接触媒質は、その後、複数の吐出口112から吐出される。
【0056】
保持部130の保持ブラケット133は、ベース板131の外面135に据え付けられる。保持ブラケット133は、ベース板131の外面135から外方に突出する。供給源121は、保持ブラケット133に形成された円形開口部に挿入され、保持ブラケット133によって保持される。
【0057】
供給源121と同様に、管路ブロック123は、ベース板131の外面135に据え付けられる。管路ブロック123は、供給源121の下方に位置する。接続パイプ122は、供給源121から下方に延び、管路ブロック123に連結される。接続パイプ122が連結される連結部から流量検出部124に連結される連結部まで延びる管路(図示せず)は、管路ブロック123内に形成される。供給源121から供給された接触媒質は、接続パイプ122及び管路ブロック123内の管路を通じて、流量検出部124へ流入する。
【0058】
流量検出部124は、管路ブロック123の上方で、ベース板131の外面135に据え付けられる。流量検出部124は、流量検出部124に流入した接触媒質の流量を検出する。流量検出部124は、検出された流量を表す検出信号を生成する。検出信号は、流量を略一定に保つためのフィードバック制御に利用される。
【0059】
連結ブロック125は、流量検出部124の上方で、ベース板131の外面135に据え付けられる。連結ブロック125は、流量検出部124と接続チューブ126とに連結される。流量検出部124を通過した接触媒質は、連結ブロック125及び接続チューブ126を通じて、上流分岐管127へ流入する。
【0060】
図4は、塗布装置200の概略的な断面図である。
図2乃至
図4を参照して、塗布装置200が更に説明される。
【0061】
上流分岐管127は、外筒部221と、内筒部222と、鉛直筒部223と、を含む。鉛直方向に細長いスロット236が、ベース板131の略中央に形成される。外筒部221は、スロット236を通じて、ベース板131から外方に突出する。連結ブロック125から延びる接続チューブ126は、外筒部221に接続される。内筒部222は、外筒部221とは反対方向(すなわち、内方)に延び、吐出部110に連結される。鉛直筒部223は、上方に延び、上流分岐管127の上方に配置された下流分岐管128に連結される。接続チューブ126を通じて上流分岐管127に流入した接触媒体の一部は、内筒部222を通じて、吐出部110に流入する一方で、接触媒体の他の一部は、鉛直筒部223を通じて、下流分岐管128に流入する。
【0062】
上流分岐管127と同様に、下流分岐管128は、外筒部224と、内筒部225と、鉛直筒部226と、を含む。上流分岐管127の外筒部221と同様に、下流分岐管128の外筒部224は、スロット236を通じて、ベース板131から外方に突出する。圧力検出部129は、外筒部224に取り付けられる。上流分岐管127の内筒部222と同様に、下流分岐管128の内筒部225は、内方に延び、吐出部110に連結される。上流分岐管127の鉛直筒部223とは異なり、下流分岐管128の鉛直筒部226は、下方に延びる。下流分岐管128の鉛直筒部226は、上流分岐管127の鉛直筒部223と略同軸である。接触媒質は、上流分岐管127の鉛直筒部223から下流分岐管128の鉛直筒部226へ流入する。下流分岐管128の鉛直筒部226に流入した接触媒質の一部は、内筒部225を通じて、吐出部110に流入する。接触媒質の他のもう一部は、外筒部224によって、圧力検出部129へ案内される。下流分岐管128の外筒部224及び内筒部225は、供給機構120の中で、供給源121から最も離れているので、接触媒質は、外筒部224及び内筒部225において最も充填されにくい。接触媒質が、外筒部224に充分に充填されていないならば、圧力検出部129は、低い媒質圧力を検出する。接触媒質が、外筒部224に十分に充填されているならば、圧力検出部129は、高い媒質圧力を検出する。圧力検出部129は、検出された媒質圧力を表す検出信号を生成する。上述の如く、圧力検出部129が検出する媒質圧力は、接触媒質が、供給機構120内で十分に充填されているか否かの指標になるので、検出信号は、第1駆動部140を起動するためのトリガ信号として利用可能である。
【0063】
吐出部110は、対向面111に加えて、対向面111とは反対側の接続面113を含む。吐出部110は、接続面113からベース板131に向けて突出する2つのインレット筒114を含む。2つのインレット筒114は、鉛直方向に並ぶ。上流分岐管127の内筒部222は、下側のインレット筒114に連結される。下流分岐管128の内筒部225は、上側のインレット筒114に連結される。
【0064】
吐出部110は、接続面113から隆起した2つの肉厚部115を含む。これらの肉厚部115は、保持部130との連結に用いられる。
【0065】
保持部130は、吐出部110との連結に用いられる2つの連結機構330を含む。2つの連結機構330のうち一方は、スロット236の下端の下方に配置される。2つの連結機構330のうち他方は、スロット236の上端の上方に配置される。これらの連結機構330それぞれは、ベース部材331と、連結ピン332と、ワッシャ333と、ボルト334と、コイルバネ335と、を含む。ベース部材331は、固定板部336と、挿通部337と、を含む。下側の連結機構330の固定板部336は、スロット236の下端の下方でベース板131を貫通する貫通穴を覆うようにベース板131の外面135に重ねられ、ベース板131に固定される。上側の連結機構330の固定板部336は、スロット236の上端の上方でベース板131を貫通する貫通穴を覆うようにベース板131の外面135に重ねられ、ベース板131に固定される。下側の連結機構330の挿通部337は、固定板部336から内方に突出し、スロット236の下方に形成された貫通穴に挿通される。上側の連結機構330の挿通部337は、固定板部336から内方に突出し、スロット236の上方に形成された貫通穴に挿通される。
【0066】
2つの連結機構330それぞれの連結ピン332は、固定板部336及び挿通部337を貫通し、挿通部337の端面から吐出部110に向けて突出する。連結ピン332の内端部に形成された雄ネジ部は、肉厚部115に形成された雌ネジ穴に螺合される。この結果、複数の吐出口112が、検査対象ITG(
図1を参照)に対向するように、吐出部110は、連結機構330に連結されることになる。
【0067】
コイルバネ335は、肉厚部115とベース板131との間で、挿通部337及び連結ピン332を取り巻く。コイルバネ335は、吐出部110を検査対象ITGに向けて押し出す。複数の前輪234及び複数の後輪235が検査対象ITGに磁気的に吸着されると、コイルバネ335は、検査対象ITGからの反力によって圧縮変形される。すなわち、吐出部110は、ベース板131に近づく方向に変位する。このとき、連結ピン332は、コイルバネ335の中心軸に沿って直線移動することができる。複数の前輪234及び複数の後輪235が検査対象ITGから引き離されると、コイルバネ335は、自然長に戻る。このとき、吐出部110及び連結ピン332は、内方へ移動する。ワッシャ333は、吐出部110及び連結ピン332の内方への移動に対するストッパとして機能する。ボルト334は、連結ピン332の外端面に穿設された雌ネジ穴に螺合され、ワッシャ333を固定する。
【0068】
塗布装置200は、2つのスペーサローラ161,162を更に備える。スペーサローラ161は、吐出部110の下端面に取り付けられる。スペーサローラ162は、吐出部110の上端面に取り付けられる。スペーサローラ161,162は、鉛直方向に延びる回転軸周りに同軸回転することができる。複数の前輪234及び複数の後輪235が検査対象ITGに磁気的に吸着されると、スペーサローラ161,162は、コイルバネ335によって検査対象ITGの表面に押しつけられる。このとき、吐出部110が、検査対象ITGから僅かに離間するように、スペーサローラ161,162の直径は、設計される。複数の吐出口112は、検査対象ITGの表面によって塞がれないので、接触媒質は、複数の吐出口112から円滑に吐出されることができる。
【0069】
(接触媒質の流量制御)
接触媒質が使用される環境の温度が低いならば、接触媒質は、高い粘度を有する。一方、環境温度が高いならば、接触媒質は、低い粘度を有する。供給源121(
図2を参照)から接触媒質に与えられる媒質圧力が一定であるならば、高い粘度の接触媒質の塗布量は、過度に少なくなる一方で、低い粘度の接触媒質の塗布量は、過度に多くなることもある。接触媒質の塗布量が過度に低減するならば、検査対象ITG(
図1を参照)の表面の一部は、接触媒質から露出することもある。このことは、不適切な探傷結果に帰結する。過度に多い塗布量は、接触媒質の浪費を意味する。すなわち、探傷コストが、不必要に増大する。環境温度が、接触媒質の塗布量に与える影響を小さくするための制御技術が以下に説明される。
【0070】
図4に示されるように、供給源121は、収容容器321と、押出部322と、エアコンプレッサと、を含む。接触媒質は、収容容器321と押出部322とによって囲まれた閉空間内に充填される。接触媒質は、空気に触れにくくなるので、接触媒質の吸湿量は、非常に小さくなる。エアコンプレッサは、収容容器321及び押出部322から離れた位置に配置される。エアコンプレッサによって生成された圧縮空気は、ホース(図示せず)を通じて、押出部322へ送られる。押出部322は、圧縮空気によって押され、閉空間を狭める。この結果、接触媒質は、収容容器321から押し出される。接触媒質は、収容容器321に連結された接続パイプ122に流入し、その後、管路ブロック123、流量検出部124、連結ブロック125及び接続チューブ126を通じて、上流分岐管127に流入する。接触媒質の一部は、上流分岐管127を通じて、吐出部110に流入する。接触媒質の他の一部は、上流分岐管127から下流分岐管128へ流入し、その後、吐出部110に流入する。この間、流量検出部124は、流量検出部124を通過する接触媒質の流量を検出する。流量検出部124は、検出された流量を表す検出信号を生成する。検出信号は、接触媒質の流量を略一定に保つためのフィードバック制御に利用される。流量検出部124は、一般的な流量計であってもよい。本実施形態の原理は、流量検出部124として用いられる特定の計測装置に限定されない。
【0071】
接触媒質の流量は、エアコンプレッサから押出部322への圧縮空気の供給量によって調整されることができる。圧縮空気の供給量の増加は、接触媒質の流量の増加に帰結する。圧縮空気の供給量の低下は、接触媒質の流量の低下に帰結する。エアコンプレッサから供給される圧縮空気の量は、上述のフィードバック制御の下で調整される。
【0072】
図5は、探傷システム100の概略的なブロック図である。
図1及び
図5を参照して、探傷システム100が説明される。
図5の実線の矢印は、信号の流れを概略的に表す。
図5の点線は、接触媒質の流れを概略的に表す。
【0073】
探傷システム100は、
図1を参照して説明された塗布装置200及び探傷装置300に加えて、塗布装置200及び探傷装置300を制御する制御装置500を備える。制御装置500は、供給制御部510と、移動制御部520と、操作パネル530と、を含む。供給制御部510は、エアコンプレッサ323を制御する。移動制御部520は、第1駆動部140を制御する。
【0074】
作業者は、操作パネル530を操作し、供給制御部510に接触媒質の供給を要求する。供給制御部510は、作業者の要求に応じて、制御信号を生成する。制御信号は、供給制御部510からエアコンプレッサ323へ出力される。このとき、制御信号は、圧縮空気の供給量に対し、所定の値を指示してもよい。
【0075】
エアコンプレッサ323は、制御信号に応じて、制御信号に指示された量の圧縮空気を、押出部322へ供給する。この結果、圧縮空気は、押出部322を介して、収容容器321と押出部322とによって囲まれた閉空間内の接触媒質に押出圧力を加える。押出部322は、圧縮空気によって、閉空間を狭めるように変位されるので、閉空間内の接触媒質は、押出部322によって、収容容器321から押し出される。押出部322によって押し出された接触媒質は、流量検出部124を通過し、最終的に、吐出部110から検出対象ITGへ吐出される。
【0076】
流量検出部124は、流量検出部124を通過した接触媒質の流量を検出する。流量検出部124は、検出された流量を表す検出信号を生成する。検出信号は、流量検出部124から供給制御部510へ出力される。
【0077】
供給制御部510は、流量検出部124からの検出信号を参照し、圧縮空気の供給量を決定する。検出信号によって表される流量が減少し、所定の閾値を下回ると、供給制御部510は、圧縮空気の供給量の増加を決定する。この結果、押出部322が、接触媒質に加える押出圧力は、増加する。検出信号によって表される流量が増加し、閾値以上になると、供給制御部510は、圧縮空気の供給量の減少を決定する。この結果、押出部322が接触媒質に加える押出圧力は、減少する。
【0078】
図6は、供給制御部510の例示的な処理を表す概略的なフローチャートである。
図5及び
図6を参照して、供給制御部510の処理が説明される。
【0079】
(ステップS110)
供給制御部510は、操作パネル530からの起動要求を待つ。作業者が、操作パネル530を操作し、起動要求が、操作パネル530から供給制御部510へ出力されると、ステップS120が実行される。
【0080】
(ステップS120)
供給制御部510は、起動要求に応じて、制御信号を生成する。制御信号は、供給制御部510からエアコンプレッサ323へ出力される。エアコンプレッサ323は、制御信号に応じて、圧縮空気を押出部322へ送り出す。この結果、接触媒質は、押出部322によって、収容容器321から押し出される。収容容器321から押し出された接触媒質は、流量検出部124を通過する。流量検出部124は、流量検出部124を通過した接触媒質の流量を検出する。流量検出部124は、検出された流量を表す検出信号を生成する。検出信号は、流量検出部124から供給制御部510へ出力される。供給制御部510が制御信号を生成すると、ステップS130が実行される。
【0081】
(ステップS130)
供給制御部510は、流量検出部124からの検出信号によって表される検出流量「FRT」を、所定の流量閾値「FTH」と比較する。検出流量「FRT」が、流量閾値「FTH」を下回っているならば、ステップS140が実行される。他の場合には、ステップS160が実行される。
【0082】
(ステップS140)
供給制御部510は、圧縮空気の供給量を増加することを決定する。供給制御部510は、増加された供給量を指示する制御信号を生成する。制御信号は、供給制御部510からエアコンプレッサ323へ出力される。エアコンプレッサ323は、制御信号に応じて、圧縮空気の供給量を増やす。この結果、押出部322は、収容容器321内の接触媒質に加わる押出圧力を増加させることができる。接触媒質は、増加された押出圧力によって収容容器321から押し出されるので、流量検出部124を通過する接触媒質の流量も増加することができる。供給制御部510が、増加された供給量を指示する制御信号を生成すると、ステップS150が実行される。
【0083】
(ステップS150)
供給制御部510は、操作パネル530からの停止要求を待つ。作業者が、操作パネル530を操作し、停止要求が、操作パネル530から供給制御部510へ出力されると、供給制御部510は、処理を終了する。他の場合には、ステップS130が実行される。
【0084】
(ステップS160)
供給制御部510は、圧縮空気の供給量を低減することを決定する。供給制御部510は、低減された供給量を指示する制御信号を生成する。制御信号は、供給制御部510からエアコンプレッサ323へ出力される。エアコンプレッサ323は、制御信号に応じて、圧縮空気の供給量を減らす。この結果、押出部322は、収容容器321内の接触媒質に加わる押出圧力を低減させることができる。接触媒質は、低減された押出圧力によって収容容器321から押し出されるので、流量検出部124を通過する接触媒質の流量も低減することができる。供給制御部510が、低減された供給量を指示する制御信号を生成すると、ステップS150が実行される。
【0085】
図6に示される処理の結果、供給源121から供給される接触媒質の流量は、流量閾値「FTH」の周囲で安定化される。すなわち、接触媒質が、高温環境において使用されても、低温環境において使用されても、接触媒質の流量は、流量閾値「FTH」に近い値になる。
【0086】
(塗布装置の移動制御)
接触媒質が、供給源121(
図3を参照)から下流分岐管128(
図3を参照)に到達する前に、塗布装置200(
図3を参照)が移動を開始するならば、接触媒質の塗布幅は、複数の吐出口112(
図2を参照)の鉛直方向の長さよりも小さくなる。この結果、探傷装置300(
図1を参照)から出射された超音波は、接触媒質の層を通過することなく、検査対象ITG(
図1を参照)に直接的に到達することになる。このことは、不適切な探傷結果に帰結する。接触媒質が、供給機構120(
図4を参照)内に十分に充填された後に、塗布装置200の移動を開始させる制御技術が以下に説明される。
【0087】
図4に示されるように、第1駆動部140は、モータ141と、ギアボックス142と、ギア143,144と、を含む。モータ141は、ギアボックス142に固定される。モータ141のシャフトは、ギアボックス142内に挿入され、ギア143に連結される。ギア144は、ギア143と噛み合う。前車軸232(
図2を参照)及び後車軸233(
図2を参照)それぞれには、ギア143と噛み合うギア(図示せず)が取り付けられる。
【0088】
モータ141は、
図5を参照して説明された移動制御部520の制御下で駆動され、第1駆動力を発生させる。モータ141が、移動制御部520によって駆動されると、モータ141の第1駆動力は、ギア143,144を通じて、前車軸232及び後車軸233それぞれへ伝達される。この結果、複数の前輪234(
図2を参照)及び複数の後輪235(
図2を参照)は、回転され、塗布装置200は、進行方向に移動することができる。
【0089】
図3を参照して説明された如く、圧力検出部129は、供給機構120の中で、供給源121から最も離れている。
図5に示されるように、流量検出部124を通過した接触媒体の一部は、圧力検出部129に向かう。流量検出部124を通過した接触媒体の一部が、圧力検出部129に到達していないならば、圧力検出部129は、低い媒質圧力を検出する。接触媒質が、複数の吐出口112から全体的に吐出されるのに十分な程度に供給機構120内に充填されているならば、接触媒体は、圧力検出部129に到達しているので、圧力検出部129は、高い媒質圧力を検出することができる。
【0090】
圧力検出部129は、検出された媒質圧力を表す検出信号を生成する。検出信号は、圧力検出部129から移動制御部520へ出力される。移動制御部520は、検出信号によって表される媒質圧力を参照し、モータ141を駆動するか否かを決定する。
【0091】
図7は、移動制御部520の例示的な処理を表す概略的なフローチャートである。
図2、
図4、
図5及び
図7を参照して、移動制御部520の処理が説明される。
【0092】
(ステップS210)
移動制御部520は、操作パネル530からの起動要求を待つ。作業者が、操作パネル530を操作し、起動要求が、操作パネル530から移動制御部520へ出力されると、ステップS220が実行される。
【0093】
(ステップS220)
移動制御部520は、圧力検出部129からの検出信号によって表される媒質圧力「PRS」を、所定の圧力閾値「PTH」と比較する。媒質圧力「PRS」が、圧力閾値「PTH」を超えるまで、ステップS220は繰り返される。媒質圧力「PRS」が、圧力閾値「PTH」を超えると、ステップS230が実行される。
【0094】
(ステップS230)
移動制御部520は、駆動信号を生成する。駆動信号は、移動制御部520から第1駆動部140のモータ141へ出力される。モータ141は、駆動信号に応じて、ギア143を回転する。この結果、前車軸232、複数の前輪234、後車軸233及び複数の後輪235は、ギア144を介して、第1駆動力を受け取り、塗布装置200は、進行方向に移動することができる。移動制御部520が、駆動信号を生成すると、ステップS240が実行される。
【0095】
(ステップS240)
移動制御部520は、操作パネル530からの停止要求を待つ。作業者が、操作パネル530を操作し、停止要求が、操作パネル530から移動制御部520へ出力されると、移動制御部520は、処理を終了する。移動制御部520が停止要求を受け取っていないならば、ステップS220が実行される。
【0096】
(探傷装置)
塗布装置200(
図1を参照)に連結される探傷装置300(
図1を参照)は、様々な構造を有してもよい。探傷装置300の例示的な構造が、以下に説明される。
【0097】
【0098】
本実施形態に関して、
図1を参照して説明された第2駆動部410は、探傷装置300の一部として設計されている。第2駆動部410は、前モータ415と後モータ416とを含む。探傷装置300は、前モータ415と後モータ416とに加えて、2つの探触子411と、保持部412と、2つの前輪413と、2つの後輪414と、4つの磁石417と、を備える。2つの探触子411、2つの前輪413、2つの後輪414、前モータ415及び後モータ416は、保持部412に取り付けられている。4つの磁石417は、2つの前輪413及び2つの後輪414にそれぞれ内蔵されている。したがって、塗布装置200と同様に、探傷装置300は、検査対象ITGに磁気的に吸着されることができる。
【0099】
前モータ415は、
図5を参照して説明された移動制御部520の制御下で、2つの前輪413を駆動する。前モータ415と同様に、後モータ416は、移動制御部520の制御下で、2つの後輪414を駆動する。探傷装置300の進行方向が、塗布装置200の進行方向と一致するように、2つの前輪413及び2つの後輪414の回転方向は定められている。本実施形態に関して、第2駆動部410は、前モータ415と後モータ416とを含む。代替的に、第2駆動部は、単一のモータであってもよい。この場合、単一のモータによって生成された第2駆動力は、保持部412内に配置された複数のギア(図示せず)によって2つの前輪413及び2つの後輪414へ伝達される。
【0100】
駆動信号は、
図7を参照して説明されたステップS230において、移動制御部520から、塗布装置200のモータ141だけでなく、前モータ415及び後モータ416へも出力される。したがって、探傷装置300は、塗布装置200と同期して、進行方向への移動を開始することができる。
【0101】
保持部412は、2つの探触子411、2つの前輪413及び2つの後輪414を取り囲む箱構造を有する。保持部412は、検査対象ITGに向けて開口し、2つの探触子411、2つの前輪413及び2つの後輪414は、保持部412の開口部を通じて露出している。保持部412は、塗布装置200に対向する前壁418を含む。2つの位置決め穴421及び2つの貫通穴422は、前壁418に形成される。2つの位置決め穴421及び2つの貫通穴422は、鉛直方向に並ぶ。2つの貫通穴422のうち一方は、2つの位置決め穴421の下方に形成される。2つの貫通穴422のうち他方は、2つの位置決め穴421の上方に形成される。
【0102】
図2は、2つの位置決めピン171と、2つの連結ネジ172と、を示す。作業者は、これらの連結ネジ172を第2連結部251から取り外し、第2連結部251を前壁418に当接させることができる。この結果、位置決めピン171は、前壁418に形成された位置決め穴421に嵌め込まれる。その後、作業者は、2つの連結ネジ172を、前壁418に形成された2つの貫通穴422に挿通し、第2連結部251の2つの雌ネジ穴に螺合させることができる。この結果、連結部材150は、探傷装置300に連結されることになる。
【0103】
2つの探触子411のうち一方は、超音波を出射する。本実施形態に関して、超音波は、表面SH(Shear Horizontal)波である。上述の如く、探傷装置300の前方で走行する塗布装置200は、接触媒質を検査対象ITGの表面に適切に塗布することができるので、超音波は、接触媒質の層を介して、検査対象ITGに伝播されることになる。2つの探触子411のうち他方は、検査対象ITGによって反射された超音波を受け取る。欠陥が、検査対象ITGに存在しているか否かは、検査対象ITGによって反射された超音波を解析することによって判定される。既知の探傷解析技術は、検査対象ITGによって反射された超音波への解析に適用されることができる。したがって、本実施形態の原理は、検査対象ITGによって反射された超音波への特定の解析方法に限定されない。
【0104】
(連結部材の他の構造)
連結部材の構造は、塗布装置及び探傷装置の機械的構造に適合するように設計されてもよい。連結部材の他の構造が、以下に説明される。
【0105】
図9は、連結部材150Aの概略的な側面図である。
図2、
図8A及び
図9を参照して、連結部材150Aが説明される。
【0106】
連結部材150Aは、
図2を参照して説明された連結部材150に代替することができる。
図9は、連結部材150Aに加えて、塗布装置200Aと、探傷装置300Aと、を概略的に示す。塗布装置200Aは、連結アーム180を有する点においてのみ、
図2を参照して説明された塗布装置200とは相違する。したがって、塗布装置200に関する説明は、連結アーム180を除いて、塗布装置200Aに援用される。探傷装置300Aは、連結アーム480を有する点においてのみ、
図8Aを参照して説明された探傷装置300とは相違する。したがって、探傷装置300に関する説明は、連結アーム480を除いて、探傷装置300Aに援用される。
【0107】
連結アーム180は、2つの突出板181,182と、連結シャフト183と、を含む。2つの突出板181,182は、探傷装置300Aに向けて突出する。突出板181,182は、鉛直方向に並ぶ。突出板181,182の基端は、ベース板131(
図2を参照)に固定されてもよい。連結シャフト183は、突出板181,182それぞれ連結され、鉛直方向に延びる。
【0108】
連結アーム480は、2つの突出板481,482と、連結シャフト483と、を含む。2つの突出板481,482は、塗布装置200Aに向けて突出する。突出板481,482は、鉛直方向に並ぶ。突出板481,482の基端は、前壁418(
図8Aを参照)に固定されてもよい。連結シャフト483は、突出板481,482それぞれ連結され、鉛直方向に延びる。
【0109】
連結部材150Aは、連結シャフト183,483に連結される。連結部材150Aは、連結シャフト183周りに、塗布装置200Aに対する角度を変えることができる。連結部材150Aは、連結シャフト483周りに、探傷装置300Aに対する角度を変えることができる。
【0110】
図10は、連結部材150Aの概略的な平面図である。
図10を参照して、連結部材150Aが説明される。
【0111】
連結部材150Aは、割構造を有する。連結部材150Aは、内部材351と、外部材352と、を含む。内部材351及び外部材352は、連結シャフト183,483を挟み込む。
【0112】
(吐出口の周囲の構造)
接触媒質の層の厚さは、吐出口112の周囲の形状に依存する。吐出口112の周囲の形状が、接触媒質の層の厚さに与える影響が、以下に説明される。
【0113】
図11Aは、吐出部110の概略的な断面図である。
図11Bは、他のもう1つの吐出部110Aの概略的な断面図である。
図11A及び
図11Bを参照して、吐出部110,110Aが説明される。吐出部110Aは、吐出部110に代替可能である。
【0114】
吐出部110は、対向面111から検査対象ITGに向けて突出する突条116を含む。突条116は、鉛直方向に延びる。吐出口112は、突条116の端面に形成される。
【0115】
図11Aは、接触媒質の層の厚さ「LT1」を示す。接触媒質の層の厚さ「LT1」は、鉛直方向に延びる突条116の縁部から検査対象ITGの表面までの距離に略一致する。
【0116】
吐出部110とは異なり、吐出部110Aは、突条116を有さない。したがって、吐出口112は、平坦な対向面111に形成される。
【0117】
図11Bは、接触媒質の層の厚さ「LT2」を示す。接触媒質の層の厚さ「LT2」は、鉛直方向に延びる対向面111の縁部から検査対象ITGの表面までの距離に略一致する。対向面111は、横幅において、突条116よりも大きいので、接触媒質の層の厚さ「LT2」は、接触媒質の層の厚さ「LT1」より大きくなる。したがって、吐出部110は、接触媒質の層の厚さの調整幅において、吐出部110Aよりも大きくなる。
【0118】
上述の実施形態の原理は、様々な塗布装置や様々な探傷装置に適用可能である。
【0119】
上述の実施形態に関して、接触媒質は、エアコンプレッサ323からの圧縮空気を用いて押し出される。しかしながら、モータによって直動されるプランジャが、接触媒質を押し出してもよい。
【0120】
上述の実施形態に関して、2つの吐出口112が、吐出部110,110Aに形成される。しかしながら、1つの吐出口が、吐出部に形成されてもよい。代替的に、2を超える数の吐出口が、吐出部に形成されてもよい。上述の実施形態の原理は、いくつの吐出口が、吐出部に形成されるかによっては何ら限定されない。
【0121】
上述の実施形態に関して、供給機構120は、保持部130によって保持されている。しかしながら、供給機構は、保持部130によって保持されなくてもよい。たとえば、長いホースが、保持部130から分離された供給源121から吐出口112まで延設されてもよい。接触媒質は、長いホースを通じて、供給源121から吐出口112へ供給されることができる。
【産業上の利用可能性】
【0122】
上述の実施形態の原理は、接触媒質が塗布される様々な作業現場に好適に利用される。
【符号の説明】
【0123】
100・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・探傷システム
110,110A・・・・・・・・・・・・・・・吐出部
112・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・吐出口
124・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・流量検出部
129・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・圧力検出部
130・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・保持部
140・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第1駆動部
150,150A・・・・・・・・・・・・・・・連結部材
151・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第1部材
152・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第2部材
200,200A・・・・・・・・・・・・・・・塗布装置
300,300A・・・・・・・・・・・・・・・探傷装置
322・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・押出部
410・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第2駆動部
500・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・制御装置
510・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・供給制御部
520・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・移動制御部
ITG・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・検査対象