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  • 特許-ワーク搬送システム 図1
  • 特許-ワーク搬送システム 図2
  • 特許-ワーク搬送システム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】ワーク搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20220317BHJP
   B65G 1/14 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
B65G1/04 561
B65G1/14 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017155442
(22)【出願日】2017-08-10
(65)【公開番号】P2019034800
(43)【公開日】2019-03-07
【審査請求日】2020-07-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000220099
【氏名又は名称】三井化学東セロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】永松 靖章
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-091007(JP,A)
【文献】特開平03-095003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/133
B65G 1/14-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材にシート材が巻き取られたワーク及び前記芯材の少なくとも一方が載置される棚を複数有する架台と、
前記シート材を加工する加工装置と前記架台の間に位置していて前記ワーク及び前記芯材を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置を制御することにより、前記ワークを前記架台から取り出して前記シート材を加工する加工装置に搬送するとともに、前記ワーク又は芯材を、前記加工装置から前記架台に搬送し、さらに前記架台に載置する制御装置と、
を備え
前記架台は、
前記加工装置に搬送される前の前記ワークが載置される処理前用棚と、
前記加工装置から搬送された前記ワーク又は前記芯材が載置される処理後用棚と、
を有しており、
前記処理後用棚は、前記処理前用棚より上に位置しているワーク搬送システム。
【請求項2】
請求項1に記載のワーク搬送システムにおいて、
前記ワークにおいて、前記芯材の端部は前記シート材に覆われておらず、
前記処理前用棚は、前記芯材の端部を支持するレールを備え、
前記レールの長さは、前記ワークの径の最大値の2倍以上であり、
前記レールの上面は、前記レールの先端から前記最大値以内に位置する第1凹部と、前記レールの後端から前記最大値以内に位置する第2凹部と、を有しているワーク搬送システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のワーク搬送システムにおいて、
前記シート材は樹脂フィルムであるワーク搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半製品の状態の樹脂フィルムの仕上げ作業の一つに、樹脂フィルムの幅方向を所定の寸法で長手方向に連続して裁断して巻き取る作業がある。この作業の前において、半製品の状態の樹脂フィルムはロール状に巻き取られている。そして樹脂フィルムの裁断はスリッター(加工装置)で行われる。
【0003】
上記した作業を行うためには、倉庫に保管されていた半製品の状態の樹脂フィルム(ワーク)をスリッターまで搬送する必要がある。
【0004】
なお、特許文献1には、ロール状の物品を保管する自動倉庫に関する技術が開示されている。この技術において、自動倉庫内において、ロールの芯管の中には保管用のシャフトが挿入されている。そして、自動倉庫の特定の区画には、このシャフトを自動で挿入/抜き取りを行う装置が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-91118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
倉庫に保管されていた半製品の状態のワークを加工装置まで搬送する作業に人手が介在していると、ワークが大きいことに加え重量も重くなるので作業効率が著しく低下する。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ワークを加工装置まで搬送する作業において、作業効率の低下を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、芯材にシート材が巻き取られたワーク及び前記芯材が載置される棚を複数有する架台と、
前記シート材を加工する加工装置と前記架台の間に位置していて前記ワーク及び前記芯材を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置を制御することにより、前記ワークを前記架台から取り出して前記シート材を加工する加工装置に搬送するとともに、前記ワーク又は芯材を、前記加工装置から前記架台に搬送し、さらに前記架台に載置する制御装置と、
を備えるワーク搬送システムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ワークを加工装置まで搬送する作業において、作業効率の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るワーク搬送システムの構成を示す側面図である。
図2】搬送装置の動作を説明するための図である。
図3】搬送装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
図1は、実施形態に係るワーク搬送システム10の構成を示す側面図である。ワーク搬送システム10は、ワーク30を加工する加工装置20にワーク30を搬送するシステムであり、架台100、搬送装置200、及び制御装置300を備えている。ワーク30は、芯材32にシート材が巻き取られたものである。シート材は、例えば樹脂フィルムであるが、これに限定されない。また、ワーク30の直径は、芯材32に巻き取られているシート材の厚さと長さによって変わる。
【0013】
架台100は棚を複数有している。これらの棚には、それぞれ、加工装置20に搬送される前のワーク30及び加工装置20から戻された芯材32の少なくとも一方が載置される。搬送装置200は、加工装置20と架台100の間に位置しており、ワーク30及び芯材32を搬送する。制御装置300は、搬送装置200を制御することにより、架台100からワーク30を取り出して加工装置20に搬送するとともに、加工装置20からワーク30又は芯材32を架台100に搬送して載置する。以下、ワーク搬送システム10について詳細に説明する。
【0014】
<架台100>
架台100は、上記したように複数の棚を有している。架台100が有する棚の少なくとも一つは処理前用棚110であり、他の少なくとも一つは処理後用棚120である。処理前用棚110には、加工装置20に搬送される前のワーク30が載置されるが、加工装置20から戻されたワーク30及び芯材32は配置されない。処理後用棚120には、加工装置20から搬送されたワーク30及び芯材32が載置されるが、加工装置20に搬送される前のワーク30は載置されない。
【0015】
架台100は、複数の棒状の部材を格子状に組み上げた構成を有している。複数の棒状の部材の一部は、レール130である。詳細には、レール130は、処理前用棚110及び処理後用棚120のそれぞれに、2つずつ設けられている。これら2つのレール130の高さは互いに同じである。各棚において、一方のレール130は架台100の一方の側面(例えば図1に示されている側面)に設けられており、他方のレール130は架台100の他方の側面(例えば図1とは逆側の側面)に設けられている。ワーク30において、芯材32の両端はシート材に覆われておらず、露出している。そして各棚において、一方のレール130には芯材32の一端が載置され、他方のレール130には芯材32の他端が載置される。
【0016】
架台100の正面(図1において左側)は、搬送装置200を挟んで加工装置20に対向している。また、架台100の背面(図1において右側)は、ワーク30の倉庫につながっている。倉庫内のワーク30は、架台100の背面から、架台100の処理前用棚110に供給され、架台100の正面から、搬送装置200によって取り出される。また、加工装置20で処理された後のワーク30又は芯材32は、架台100の正面から、架台100の処理後用棚120に戻される。
【0017】
レール130の上面には、凹部132が設けられている。凹部132は、芯材32の端部が嵌る大きさを有している。凹部132が設けられることにより、各棚において、ワーク30又は芯材32の位置が定まる。なお、図1に示す例において、レール130の長さは、ワーク30の直径の最大値の2倍以上であり、2.5倍以上であってもよいし、3.0倍以上であってもよいし、さらには3.5倍以上であってもよい。そして、凹部132は、レール130の先端(すなわち正面側の端部であり搬送装置200側の端部)からワーク30の直径の最大値以内の領域に一つ設けられているとともに、レール130の後端(すなわち背面側の端部であり倉庫側の端部)からワーク30の直径の最大値以内の領域に一つ設けられている。これにより、架台100の正面からワーク30が落下することを抑制できるとともに、架台100の背面からワーク30が落下することを抑制できる。
【0018】
なお、上記したように、ワーク30の直径は、芯材32に巻き取られているシート材の厚さと長さによって変わる。このため、上記した2組の凹部132の間に他の凹部132を設けると、シート材の巻取長さが短く直径が小さいワーク30を処理前用棚110に載置する場合には、処理前用棚110におけるワーク30の最大積載数が低下する恐れがある。これに対して図1に示す例では、処理前用棚110において、上記した2組の凹部132の間には、他の凹部132が設けられていない。このため、上記した場合において処理前用棚110に多くのワーク30を載置することができる。
【0019】
また、処理後用棚120のレール130においても、凹部132は、レール130の先端側及び後端側にそれぞれ1組ずつ設けられている。このようにすると、架台100の正面から芯材32が落下することを抑制できるとともに、架台100の背面から芯材32が落下することを抑制できる。また、これら2組の凹部132の間には設けられていない。このようにすると、2組の凹部132の間に位置する芯材32をレール130に沿って容易に移動させることができる。
【0020】
<搬送装置200>
図1に示すように、搬送装置200は高さ調整部210及び搬送部220を有している。高さ調整部210は昇降機であり、上部に搬送部220を有している。搬送部220は搬送部220の上部を図中左右方向、すなわち架台100と加工装置20の間を往復移動する。
【0021】
詳細には、搬送部220は少なくとも2つのスライド部材222及び一つの保持部224を有している。一番下のスライド部材222は、高さ調整部210の上部に取り付けられたガイドに沿って往復移動する。その他のスライド部材222は、一つ下のスライド部材222に沿って移動する。保持部224は、一番の上のスライド部材222に沿って往復移動する。そして、保持部224は上面に凹部を有しており、この凹部で芯材32の端部を下方から支持することにより、芯材32又はワーク30を保持する。
【0022】
搬送装置200の各部材は、例えばモータや油圧シリンダーなどの動力源によって動かされる。これらの動力源は、制御装置300によって制御されている。
【0023】
制御装置300は、例えば中央演算装置及び記憶装置(例えば半導体メモリ)を有しており、記憶装置に格納されているプログラムを中央演算装置が読み込むことにより、搬送装置200の各部を制御する。
【0024】
図2は、架台100の処理前用棚110に保持されているワーク30を加工装置20に搬送するときの、搬送装置200の動作を説明するための図である。まず、制御装置300は、搬送装置200の高さ調整部210を制御することにより、搬送部220の保持部224の上面を、搬送部220の高さが取り出すべきワーク30を支持しているレール130の凹部132の少し下に位置させる。そして制御装置300は、搬送部220のスライド部材222及び保持部224を制御し、保持部224の上面を、取り出すべきワーク30の芯材32の下方に位置させる。そして制御装置300は、昇降機210を用いて保持部224を上昇させることにより、保持部224にワーク30を持ち上げさせる。
【0025】
この状態で、制御装置300は、搬送部220を駆動し、ワーク30を架台100から取り出す。その後、制御装置300は、高さ調整部210及び搬送部220を制御することにより、加工装置20にワーク30を搬送する。そして、加工装置20のうち芯材32を保持する部分の上方に芯材32を位置させ、その後、芯材32を下降させることにより、ワーク30を加工装置20に取り付ける。
【0026】
図3は、加工装置20から芯材32を取り出して架台100の処理後用棚120に戻す時の、搬送装置200の動作を説明するための図である。まず、制御装置300は、搬送装置200の高さ調整部210を制御することにより、搬送部220の保持部224の上面を、加工装置20に取り付けられた芯材32の少し下に位置させる。そして制御装置300は、昇降機210を用いて保持部224を上昇させることにより、保持部224に芯材32を持ち上げさせる。これにより、加工装置20から芯材32が取り外される。
【0027】
その後、制御装置300は、高さ調整部210及び搬送部220を制御することにより、架台100に向けて芯材32を搬送する。そして、架台100の処理後用棚120のレール130の少し上に芯材32を位置させ、その後、芯材32を下降させることにより、ワーク30を処理後用棚120の凹部132に載置する。
【0028】
なお、加工装置20に取り付けられたワーク30にシート材が残っている状態で、ワーク30を処理後用棚120に戻すことがある。この場合も、制御装置300による搬送装置200の制御方法は、上述したとおりである。
【0029】
図1~3に示す例において、処理後用棚120は、全ての処理前用棚110よりも上に位置している。このため、搬送装置200の搬送部220は、芯材32を処理後用棚120に載置した後、搬送装置200を戻す途中で、処理前用棚110からワーク30を取り出すことができる。従って、搬送装置200によるワーク30及び芯材32搬送効率は高くなる。
【0030】
ただし、処理後用棚120は架台100のうち一番下の段に位置していてもよいし、複数の処理前用棚110に挟まれる段に位置していてもよい。
【0031】
以上、本実施形態によれば、搬送装置200は、架台100から加工装置20までワーク30を、人手を介さずに搬送することができ、また、加工装置20に取り付けられた芯材32(又はワーク30)を人手を介さずに架台100に戻すことができる。従って、ワークを加工装置まで搬送する作業において、作業効率が低下することを抑制できる。
【0032】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0033】
10 ワーク搬送システム
20 加工装置
30 ワーク
32 芯材
100 架台
110 処理前用棚
120 処理後用棚
130 レール
200 搬送装置
300 制御装置
図1
図2
図3