(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】ピンチバルブ及びチューブホルダ
(51)【国際特許分類】
F16K 7/04 20060101AFI20220317BHJP
F16K 27/00 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
F16K7/04 Z
F16K27/00 C
(21)【出願番号】P 2017243069
(22)【出願日】2017-12-19
【審査請求日】2020-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】磯野 敏也
(72)【発明者】
【氏名】横枕 祐
(72)【発明者】
【氏名】末松 修
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-324730(JP,A)
【文献】特開平6-117552(JP,A)
【文献】実開平3-12064(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 7/02-7/08,27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性のあるチューブを保持するチューブホルダと、前記チューブホルダに保持される前記チューブを押圧する押圧部材と、前記押圧部材に駆動力を付与する駆動部とを備えるピンチバルブにおいて、
前記チューブホルダは、
サイズが異なるチューブを保持可能な保持部を有し、
第1の凹所を有する第1の部品と、
前記第1の部品に対して可動するように設けられ、第2の凹所を有する第2の部品と、
前記第2の凹所を前記第1の凹所に近づけるように前記第2の部品を付勢する付勢部材
であって、前記第1の凹所と前記第2の凹所との間で前記サイズが異なるチューブを何れも押し潰さない大きさに付勢力が設定されている前記付勢部材とを有しており、
前記保持部が、前記第1の凹所と前記第2の凹所との間で前記
サイズが異なるチューブを
挟んで保持すること、
前記第2の部品が前記付勢部材の前記付勢力を利用して可動し、前記第1の凹所と前記第2の凹所との間で前記チューブを挟んで保持する場合に、前記第2の部品の停止位置が自動的に調節されること、
を特徴とするピンチバルブ。
【請求項2】
請求項1に記載するピンチバルブにおいて、
前記第1の部品は、
前記押圧部材を直線往復運動可能に収容する中空穴と、
前記中空穴を挟んで対向する位置に開設され、前記チューブを挿通される第1挿通穴と第2挿通穴
であって、内径が前記チューブの外径より大きく設けられている前記第1挿通穴と前記第2挿通穴と、
前記第1挿通穴と前記第2挿通穴に連通するスリット形状の挿入口と、を有し、
前記第1挿通穴と前記第2挿通穴の一部により前記第1の凹所を形成していること、
前記第2の部品は、
前記第1の部品の外側に配設され、
前記第1挿通穴と前記第2挿通穴に対応する位置に、第1可動側凹面と第2可動側凹面が
円弧状に形成されており、
前記第1可動側凹面と前記第2可動側凹面の曲率半径が前記チューブの半径より大きく、
前記第1可動側凹面と前記第2可動側凹面により、前記第2の凹所を形成していること、
を特徴とするピンチバルブ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載するピンチバルブにおいて、
前記第2の部品は、前記第1の部品に対して平行移動可能に又は回動可能に設けられていること、
を特徴とするピンチバルブ。
【請求項4】
請求項
1乃至請求項3の何れか1つに記載するピンチバルブにおいて、
前記チューブホルダは、前記保持部
が保持可能な最小チューブが潰れきる前に、前記第2の部品の移動を制限するストッパ部を有すること、
を特徴とするピンチバルブ。
【請求項5】
請求項
4に記載するピンチバルブにおいて、
前記第1の部品は、前記第1の凹所に前記チューブを挿入する挿入口が形成されていること、
前記第2の部品は、前記挿入口に重ね合わされるように前記第1の部品に装着され、前記第1の部品に対して可動する場合に前記挿入口が外部に露出する露出部の幅を変化させること、
前記ストッパ部が前記第2の部品の移動を制限する場合に、前記チューブホルダが保持可能なチューブのうち最小サイズのチューブの外径寸法より、前記露出部の幅が小さいこと、
を特徴とするピンチバルブ。
【請求項6】
押圧部材に押圧される可撓性のあるチューブを保持するチューブホルダにおいて、
サイズが異なるチューブを保持可能な保持部を有し、
第1の凹所を有する第1の部品と、
前記第1の部品に対して可動するように設けられ、第2の凹所を有する第2の部品と、
前記第2の凹所を前記第1の凹所に近づけるように前記第2の部品を付勢する付勢部材
であって、前記第1の凹所と前記第2の凹所との間で前記サイズが異なるチューブを何れも押し潰さない大きさに付勢力が設定されている前記付勢部材とを有しており、
前記保持部が、前記第1の凹所と前記第2の凹所との間で前記
サイズが異なるチューブを
挟んで保持すること、
前記第2の部品が前記付勢部材の前記付勢力を利用して可動し、前記第1の凹所と前記第2の凹所との間で前記チューブを挟んで保持する場合に、前記第2の部品の停止位置が自動的に調節されること、
を特徴とするチューブホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性のあるチューブを変形させて流体を制御するピンチバルブ及びチューブホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性のあるチューブを変形させて流体を制御するピンチバルブとしては、例えば、特許文献1に記載されるものがある。特許文献1には、第1の本体部分を第2の本体部分に対して移動可能に設け、第1の本体部分が第2の本体部分に接続されているときに、第1の本体部分に設けた第1の凹所と第2の本体部分に設けた第2の凹所が可撓性のチューブを受容する通路を画定し、その通路は、可撓性のチューブが第1の本体部分および第2の本体部分に対して軸方向に移動するのを防止するように可撓性のチューブを保持することが記載されている。そして、特許文献1には、様々なサイズのチューブを通路が保持できるように、第1の凹所と第2の凹所にそれぞれ第1のスリーブと第2のスリーブを着脱自在に接続することが記載されている。このような引用文献1記載のピンチバルブは、通路に保持されるチューブに対して流量制御部材を押し付け、チューブを変形させることにより、チューブを流れる流体の流量を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術には以下の問題があった。すなわち、特許文献1に記載のピンチバルブは、チューブのサイズに応じて、第1のスリーブと第2のスリーブを第1の凹所と第2の凹所に接続しなければならず、チューブの取り付けに手間がかかっていた。また、特許文献1に記載のピンチバルブは、チューブのサイズに応じてスリーブを準備しなければならず、スリーブの種別が多くなってしまっていた。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、部品交換の手間をかけずにサイズが異なるチューブを簡単に取り付けることができるピンチバルブ及びチューブホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、次のような構成を有している。(1)可撓性のあるチューブを保持するチューブホルダと、前記チューブホルダに保持される前記チューブを押圧する押圧部材と、前記押圧部材に駆動力を付与する駆動部とを備えるピンチバルブにおいて、前記チューブホルダは、第1の凹所を有する第1の部品と、前記第1の部品に対して可動するように設けられ、第2の凹所を有する第2の部品と、前記第2の凹所を前記第1の凹所に近づけるように前記第2の部品を付勢する付勢部材とを有しており、前記第1の凹所と前記第2の凹所との間で前記チューブを保持する保持部を形成すること、を特徴とする。
【0007】
上記構成のピンチバルブでは、第2の部品が、付勢部材の付勢力により、第1の部品に対して第2の凹所を第1の凹所に近づけるように動き、第1の凹所と第2の凹所との間でチューブを挟み込んで保持する。そのため、第2の部品は、付勢部材の付勢力により、チューブのサイズに応じて可動量を調整される。つまり、チューブホルダは、付勢部材の付勢力を利用して、チューブのサイズに合わせて第1の凹所と第2の凹所の間隔が調整される。よって、チューブホルダは、チューブのサイズに合わせてチューブホルダ自体や、チューブホルダに装着されるサイズ調整用のスリーブなどを交換しなくても、サイズの異なるチューブを簡単に保持することができる。よって、上記構成のピンチバルブでは、部品交換の手間をかけずにサイズが異なるチューブを簡単に取り付けることができる。
【0008】
(2)(1)に記載するピンチバルブにおいて、前記第1の部品は、前記押圧部材を直線往復運動可能に収容する中空穴と、前記中空穴を挟んで対向する位置に開設され、前記チューブを挿通される第1挿通穴と第2挿通穴と、前記第1挿通穴と前記第2挿通穴に連通するスリット形状の挿入口と、を有し、前記第1挿通穴と前記第2挿通穴の一部により前記第1の凹所を形成していること、前記第2の部品は、前記第1の部品の外側に配設され、前記第1挿通穴と前記第2挿通穴に対応する位置に、第1可動側凹面と第2可動側凹面が形成されており、前記第1可動側凹面と前記第2可動側凹面により、前記第2の凹所を形成していること、を特徴とする。
【0009】
上記構成のピンチバルブは、チューブを取り付ける場合には、付勢部材の付勢力に抗して第2の部品が第1の部品に対して動かされ、第1凹面と第2凹面が第1挿通穴の一部と第2挿通穴の一部から離間する。この状態で、挿入口から第1挿通穴と第2挿通穴にチューブを挿入する。第2の部品は、付勢部材の付勢力により第1の部品に対して動き、第1凹面と第2の凹面を介してチューブを第1挿通穴の一部と第1挿通穴の一部に押し付ける。これにより、チューブが、第1凹面と第1挿通穴の一部、及び、第2凹面と第2挿通穴の一部との間で、それぞれ挟み込まれて保持される。一方、ピンチバルブは、チューブを取り外す場合には、付勢部材の付勢力に抗して第2の部品が第1の部品に対して動かされ、第1凹面と第2凹面が第1挿通穴の一部と第2挿通穴の一部から離間する。この状態で、チューブは、第1挿通穴と第2挿通穴から挿入口を介して第1の部品の外に取り出される。チューブが取り外されると、第2の部品は、付勢部材の付勢力により第1の部品に対して移動し、通常位置に戻る。よって、上記構成のピンチバルブによれば、第2の部品を簡単に動かしてチューブを脱着できる。
【0010】
(3)(1)又は(2)に記載するピンチバルブにおいて、前記第2の部品は、前記第1の部品に対して平行移動可能に又は回動可能に設けられていること、を特徴とする。
【0011】
上記構成のピンチバルブは、第2の部品を第1の部品に対して動く構造をコンパクト化し、バルブサイズを小さくできる。
【0012】
(4)(1)乃至(3)の何れか1つに記載するピンチバルブにおいて、前記付勢部材の付勢力は、前記第1の凹所と前記第2の凹所との間で前記チューブを押し潰さない大きさに設定されていること、を特徴とする。
【0013】
上記構成のピンチバルブでは、第2の部品を第1の部品に対して軽い力で動かすことができ、チューブをチューブホルダに脱着しやすい。
【0014】
(5)(4)に記載するピンチバルブにおいて、前記チューブホルダは、前記保持部に保持される前記チューブが潰れきる前に、前記第2の部品の移動を制限するストッパ部を有すること、を特徴とするので、チューブホルダが保持するチューブのサイズが異なっても、何れのチューブでも潰し量を制御して流体制御を行うことができる。
【0015】
(6)(5)に記載するピンチバルブにおいて、前記第1の部品は、前記第1の凹所に前記チューブを挿入する挿入口が形成されていること、前記第2の部品は、前記挿入口に重ね合わされるように前記第1の部品に装着され、前記第1の部品に対して可動する場合に前記挿入口が外部に露出する露出部の幅を変化させること、前記ストッパ部が前記第2の部品の移動を制限する場合に、前記チューブホルダが保持可能なチューブのうち最小サイズのチューブの外径寸法より、前記露出部の幅が小さいこと、を特徴とするので、最小サイズのチューブでも脱落を防止しつつ流体制御を行うことができる。
【0016】
(7)押圧部材に押圧される可撓性のあるチューブを保持するチューブホルダにおいて、第1の凹所を有する第1の部品と、前記第1の部品に対して可動するように設けられ、第2の凹所を有する第2の部品と、前記第2の凹所を前記第1の凹所に近づけるように前記第2の部品を付勢する付勢部材とを有しており、前記第1の凹所と前記第2の凹所との間で前記チューブを保持する保持部を形成すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、部品交換の手間をかけずにサイズが異なるチューブを簡単に取り付けることができるピンチバルブ及びチューブホルダを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るピンチバルブの断面図であって、全開状態を示す。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るピンチバルブの断面図であって、全閉状態を示す。
【
図3】チューブホルダの外観斜視図であって、通常状態を示す。
【
図4】チューブホルダの外観斜視図であって、チューブ挿入可能状態を示す。
【
図5】チューブホルダの外観斜視図であって、チューブ保持状態を示す。
【
図7】本発明の第2実施形態に係るチューブホルダの外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係るピンチバルブ及びチューブホルダの実施形態について図面に基づいて説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1及び
図2は、本発明の実施形態に係るピンチバルブ1の断面図であり、
図1は全開状態を示し、
図2は全閉状態を示す。
図3は、チューブホルダ5の外観斜視図であって、通常状態を示す。
図4は、チューブホルダ5の外観斜視図であって、チューブ挿入可能状態を示す。
図5は、チューブホルダ5の外観斜視図であって、チューブ保持状態を示す。
図6は、
図5のA-A断面図である。
【0021】
<ピンチバルブの概略構成>
図1及び
図2に示すピンチバルブ1は、例えば、細胞培養装置に使用される。細胞培養装置では、培養対象となる制御流体が外部環境に接して変質することを防ぐために、制御流体をチューブ11に流し、外部環境から完全に遮断している。チューブ11は、例えばシリコンやエラストマーなどの材料で形成された可撓性のあるチューブである。細胞培養装置では、ピンチバルブ1を用いて、チューブ11を流れる制御流体を制御する。
【0022】
ピンチバルブ1は、駆動部2と、押圧部材3と、チューブホルダ5を備える。チューブホルダ5は、第1保持穴X1と第2保持穴X2にチューブ11を収容して、ピンチバルブ1の軸線L1に対して直交する方向(図中左右方向)にチューブ11を保持する。第1保持穴X1と第2保持穴X2は、保持部の一例である。チューブホルダ5は、チューブ11の軸線L2に対して直交する方向に受圧ピン4が架設され、第1保持穴X1と第2保持穴X2に保持されるチューブ11が押圧部材3と反対側(図中上側)から受圧ピン4に支持される。ピンチバルブ1は、駆動部2を用いて押圧部材3を軸線L1方向(図中上下方向)に移動させ、受圧ピン4に支持されたチューブ11に押圧部材3を押し付けて変形させることにより、チューブ11を流れる制御流体を制御する。本形態では、チューブホルダ5が、サイズの異なるチューブ11を保持できるように構成されている点に特徴がある。
【0023】
<駆動部の構成>
駆動部2は、筒状のシリンダ本体21を有する。シリンダ本体21は、図中上端開口部が第1エンド部材22と第1留め輪23を用いて気密に封止され、図中下端開口部が第2エンド部材31と第2留め輪32を用いて気密に封止されることにより、ピストン室33が形成されている。ピストン28は、ピストン室33に摺動可能に装填され、ピストン室33を第1室331と第2室332に気密に区画している。第1室331は、給排気ポート212に連通し、第2室332は、操作ポート213に連通している。圧縮ばね30は、ピストン28と第2エンド部材31との間に縮設され、ピストン28をチューブホルダ5側(図中上向き)に常時付勢している。圧縮ばね30のばね力は、チューブ11を完全に押し潰して流路を遮断できる大きさに設定されている。
【0024】
ピストン28には、ピストンロッド24が一体的に結合されている。ピストンロッド24は、第1エンド部材22に摺動可能に挿通され、先端部がチューブホルダ5側に突出している。ピストンロッド24の先端部は、中間部材25を介して、押圧部材3に結合されている。押圧部材3は、略円柱形状をなし、チューブ11を押圧するチューブ押圧部3aが先端部に設けられている。チューブ押圧部3aは、押圧部材3の直径方向に細長く形成されている。押圧部材3は、チューブ押圧部3aが受圧ピン4に対して平行になるように配設されている。
【0025】
駆動部2は、第2室332の内圧と圧縮ばね30のばね力との差圧に応じてピストン28をシリンダ本体21内で摺動させ、押圧部材3を軸線L1方向(図中上下方向)に移動させる。チューブ11は、受圧ピン4に支持された状態で押圧部材3を押し付けられる。そのため、チューブ11は、押圧部材3の移動量に応じて変形し、流量を制御される。尚、ピンチバルブ1は、ピストン28の外周面に装着されたマグネット29の位置を検出することにより、押圧部材3の位置を検出する位置センサ(図示せず)を有する。
【0026】
<チューブホルダの構成>
図1及び
図2に示すように、チューブホルダ5は、ホルダ本体6と、可動部材8と、圧縮ばね10を備える。ホルダ本体6は、駆動部2のシリンダ本体21に一体的に取り付けられる。可動部材8は、ホルダ本体6の外側に平行移動可能に配設されている。圧縮ばね10は、ホルダ本体6と可動部材8との間に縮設され、可動部材8を図中上向きに常時付勢している。尚、ホルダ本体6は、第1の部品の一例である。可動部材8は、第2の部品の一例である。圧縮ばね10は、付勢部材の一例である。
【0027】
ホルダ本体6は、軸線に沿って貫通するように中空穴61が設けられている。中空穴61は、軸線に対して直交する方向の断面形状が円形状であり、略円柱形状の押圧部材3が内設される。中空穴61の内壁には、径方向外向きに凹むようにガイド溝62が設けられている。ガイド溝62は、軸線方向に沿って形成されている。押圧部材3は、外周面に突設されたガイドピン27がガイド溝62に案内されることにより、チューブ11の軸線L2に対して直交する軸線L1方向(
図1の上下方向)に直線往復運動することができる。
【0028】
図1及び
図4に示すように、ホルダ本体6は、中空穴61を挟んで対向する位置に、チューブ11を挿通するための第1挿通穴63と第2挿通穴64が設けられている。
図4に示すように、挿入口65は、ホルダ本体6にスリット形状に設けられ、第1挿通穴63と第2挿通穴64に連通している。第1挿通穴63と第2挿通穴64の内径は、チューブ11の外径より大きく設けられている。挿入口65は、開口幅(図中上下幅)が、第1挿通穴63と第2挿通穴64より小さくされている。そのため、ホルダ本体6は、第1挿通穴63と挿入口65との間に、それぞれ、第1上側段差部66と第1下側段差部67が設けられている。また、ホルダ本体6は、
図6に示すように、第2挿通穴64と挿入口65との間に、それぞれ、第2上側段差部(図示せず)と第2下側段差部69が設けられている。よって、第1挿通穴63と第2挿通穴64に挿通されたチューブ11は、挿入口65側に動き難い。
【0029】
図3及び
図6に示すように、可動部材8は、円筒形状をなし、ホルダ本体6の外周面に摺動可能に嵌め合わされている。可動部材8は、外周面と内周面との間を貫通するように長溝82が形成されている。長溝82は、可動部材8の軸線方向に沿って形成され、ホルダ本体6の外周面に突設された回転止めピン70が係合されている。これにより、可動部材8は、ホルダ本体6から抜け落ちない。また、可動部材8は、ホルダ本体6に対して回転止めされた状態で平行移動する。
図6に示すように、可動部材8は、ホルダ本体6より軸線方向の長さが短くされ、ホルダ本体6の軸線方向の高さの範囲内で可動する。
【0030】
図4及び
図6に示すように、可動部材8の上端面84には、第1凹面84aと第2凹面84bが対向する位置に設けられている。第1凹面84aと第2凹面84bは、それぞれ、図中下向きに円弧状に凹むように形成されている。第1凹面84aと第2凹面84bの曲率半径は、チューブ11の半径より大きくされている。可動部材8は、第1凹面84aと第2凹面84bとの間に、円弧状の閉鎖部81が設けられ、挿入口65を開閉できるようになっている。
【0031】
可動部材8は、第1凹面84aと第2凹面84bをホルダ本体6の第1挿通穴63と第2挿通穴64に対応する位置に配置するように、ホルダ本体6に対して位置決めされている。よって、チューブホルダ5は、
図5に示すように、第1凹面84aと第1挿通穴63の第1上向き凹面63aとにより、チューブ11を挟んで保持する第1保持穴X1を形成する。また、
図1に示すように、チューブホルダ5は、第2凹面84bと第2挿通穴64の第2上向き凹面64aとにより、チューブ11を挟んで保持する第2保持穴X2を形成する。
【0032】
第1保持穴X1と第2保持穴X2は、可動部材8がホルダ本体6に対して移動する量に応じて、第1凹面84aと第1上向き凹面63aとの間の距離と、第2凹面84bと第2上向き凹面64aとの間の距離がそれぞれ変化し、開口面積を変えられる。そのため、第1保持穴X1と第2保持穴X2は、部品を交換しなくても、サイズの異なるチューブを保持することができる。尚、第1上向き凹面63aと第2上向き凹面64aにより、第1の凹所の一例が形成される。また、第1凹面84aは第1可動側凹面の一例であり、第2凹面84bは第2可動側凹面の一例であり、第1凹面84aと第2凹面84bにより、第2の凹所の一例が形成される。
【0033】
図6に示すように、圧縮ばね10は、可動部材8の内周面に形成されたバネ受け凹部83とホルダ本体6の外周面に形成されたバネ受け凹部71との間に縮設され、可動部材8に図中上向きの力を常時付与している。圧縮ばね10のばね力は、第1保持穴X1と第2保持穴X2に保持されるチューブ11を押し潰さない大きさに設定され、圧縮ばね30のばね力より小さい。よって、可動部材8は軽い力で動かすことができる。
【0034】
尚、
図4及び
図6に示すように、ホルダ本体6の挿入口65は、第1挿通穴63側と第2挿通穴64側へ向かって斜め上向きになるよう形成され、圧縮ばね10のばね力に抗して可動部材8を押し下げながらチューブ11を脱着しやすくしている。また、可動部材8は、上端面84のうち、挿入口65に対応する部分が挿入口65に合わせて傾斜し、上端面84から挿入口65へチューブ11を移動させやすくしている。
【0035】
ここで、圧縮ばね10のばね力は、チューブ11を押し潰さない大きさに設定されているが、ホルダ本体6と可動部材8との間で挟持されるチューブ11の反発力若しくは変形量は、チューブ11のサイズや種類によって異なる。例えば、太いチューブよりも、細いチューブの方が、反発力が小さく、変形しやすい。また、チューブの外径寸法が同じでも、肉厚が薄いチューブの方が、肉厚が厚いチューブよりも、反発力が小さく、変形しやすい。
【0036】
そこで、
図3及び
図6に示すように、チューブホルダ5は、ホルダ本体6と可動部材8との間でチューブ11が潰れきる前に、可動部材8の下降を制限するストッパ部75を備える。すなわち、ストッパ部75は、ホルダ本体6に立設された回転止めピン70が長溝82の図中下端部に位置する係止面821に係止されることにより、可動部材8の移動を制限し、第1凹面84aと第1上向き凹面63aとの間の距離と、第2凹面84bと第2上向き凹面64aとの間の距離がそれぞれ小さくなることを制限する。係止面821の位置は、第1凹面84aと第1上向き凹面63aとの間の距離と、第2凹面84bと第2上向き凹面64aとの間の距離を、チューブホルダ5が保持可能な最小のチューブ11の外径寸法以下とし、且つ、当該最小のチューブ11を潰しきらない寸法以上とするように、設定されている。本形態において、チューブ11を潰しきらない寸法とは、チューブ11が全く変形していないときの流路断面積を100%とした場合に、流路断面積を70%以上確保できる寸法をいう。
【0037】
チューブホルダ5は、可動部材8が挿入口65に重ね合わされるようにホルダ本体6に装着されている。可動部材8は、例えば
図5に示すように、ホルダ本体6に対して上向きに移動すると、挿入口65が外部に露出する露出部651の幅Wを狭め、例えば
図4に示すように、ホルダ本体6に対して下向きに移動すると、挿入口65が外部に露出する露出部651の幅Wを広げる。つまり、可動部材8は、ホルダ本体6に対して可動する場合に、挿入口65の露出部651の幅Wを変化させる。この露出部651の幅Wは、ストッパ部75が回り止めピン70を係止面821に当接させ、可動部材8の下向きの移動を制限する場合に、チューブホルダ5が保持可能なチューブ11のうち最小サイズのチューブの外径寸法より、小さくされている。これにより、チューブホルダ5は、最小サイズのチューブを保持部X1,X2で保持する場合でも、そのチューブ11が保持部X1,X2から挿入口65へ外れることを防止できる。
【0038】
<チューブの取り付け作業>
チューブ11をピンチバルブ1に取り付ける場合には、作業者は、例えば
図1に示すように、ピンチバルブ1の操作ポート213から第2室332に操作エアを供給し、圧縮ばね30に抗して押圧部材3を下降させる。それから、作業者は、両手でチューブ11を持ち、両手の間の部分のチューブ11を可動部材8の上端面84に押し付けて、圧縮ばね10のばね力に抗して可動部材8を押し下げる。このとき、圧縮ばね10のばね力がチューブ11を押し潰さない程度に小さくされているため、作業者は、軽い力で可動部材8を押し下げることができる。
【0039】
図4に示すように、チューブ11を挿入口65に挿入できる程度に可動部材8を押し下げたら、作業者は、チューブ11を可動部材8の上端面84から挿入口65を介して第1挿通穴63と第2挿通穴64に移動させる。このとき、
図4に示すように、第1凹面84aと第2凹面84bが第1挿通穴63と第1下向き凹面63bと第2下向き凹面64bより下方に位置するため、作業者は、チューブ11を第1挿通穴63と第2挿通穴64に挿入しやすい。
【0040】
可動部材8は、チューブ11から図中下向きの力を受けなくなると、圧縮ばね10のばね力により、
図5の実線に示すように、図中上向きに移動する。このとき、可動部材8は、第1凹面84aと第2凹面84bによりチューブ11を第1下向き凹面63bと第2下向き凹面64bより高く持ち上げ、第1上向き凹面63aと第2上向き凹面64aに押し当てる。可動部材8は、圧縮ばね10のばね力とチューブ11の反発力が釣り合う位置まで上昇する。圧縮ばね10のばね力がチューブ11を押し潰さない程度である。そのため、チューブホルダ5は、第1凹面84aと第1上向き凹面63aとの間、及び、第2凹面84bと第2上向き凹面64aとの間で、それぞれ、チューブ11を押し潰さないように挟んで保持する。
【0041】
ところで、例えば、
図5に実線で記載するチューブ11Aと想像線で記載するチューブ11Bは、材質が同じであるが、チューブ11Aは、内径寸法が1mm、外径寸法が1.6mmであるのに対して、チューブ11Bは、内径寸法が9.5mm、外径寸法が13mmであるとする。この場合、チューブ11Bは、チューブ11Aより反発力が大きくなる。従来技術では、チューブ11A,11Bを保持するために、チューブホルダを別々に準備したり、保持穴のサイズ調整用のスリーブをチューブのサイズに合わせて選定して取り付ける必要があった。
【0042】
しかし、本形態のチューブホルダ5は、圧縮ばね10のばね力と、チューブの反発力とが釣り合う位置で、可動部材8が停止し、第1凹面84aと第1上向き凹面63aとの間、及び、第2凹面84bと第2上向き凹面64aとの間で、それぞれチューブを挟持する。そのため、チューブホルダ5は、圧縮ばね10のばね力を利用してチューブ11A,11Bのサイズに合わせて可動部材8の停止位置を自動的に調節し、第1保持穴X1と第2保持穴X2の開口面積を変化させることができる。よって、チューブホルダ5は、1個で、サイズの異なるチューブ11A,11Bを保持することができる。
【0043】
つまり、従来技術では、チューブのサイズが10種類あれば、チューブホルダ又はスリーブの種類も10種類必要であった。しかし、本形態では、チューブホルダ5は、3~4種類のサイズのチューブを1個で保持することができるので、サイズが異なる10種類のチューブに対するチューブホルダ5の種類が3~4種類に低減させることができる。よって、本形態では、チューブのサイズに合わせて部品を交換する手間や、管理対象となる部品の数を減らすことができる。特に、細胞培養装置では、制御流体の流量や種類に応じてチューブのサイズが選定される。本形態のチューブホルダ5を用いたピンチバルブ1であれば、チューブのサイズが変えられても、同じチューブホルダ5で対応することができるので、チューブのサイズ変更に伴う作業時間を短縮できる。
【0044】
図1に示すようにチューブ11を取り付けられたピンチバルブ1は、第2室332から操作エアが排出される。すると、
図2に示すように、ピンチバルブ1は、ピストン28が圧縮ばね30のばね力で上昇し、押圧部材3をチューブ11に押し付ける。チューブ11は、受圧ピン4と押圧部材3との間で押し潰され、流体の流れを遮断する全閉状態になる。これにより、チューブ11の取り付けが完了する。尚、押圧部材3は、チューブ押圧部3aと受圧ピン4との間でチューブ11を線状に押し潰すため、面圧が高い。そのため、ピンチバルブ1は、圧縮ばね30を小さくして、小型化することが可能である。
【0045】
<流体制御>
流体供給時には、
図1に示すように、操作エアを第2室332に供給して押圧部材3を下降させてチューブ11から離間させる。チューブ11は、自身の弾性変形力や径方向外側に作用する流体圧により、流路を押し潰された状態から円形状態に復元させる。これにより、ピンチバルブ1は、全開状態になり、制御流体を上流側から下流側へ供給する。一方、
図2に示すように、ピンチバルブ1は、第2室332から操作エアを排出すると、押圧部材3が圧縮ばね30のばね力で上昇し、受圧ピン4との間でチューブ11を完全に押し潰す。これにより、ピンチバルブ1は、全閉状態になり、制御流体の供給を停止する。尚、ピンチバルブ1は、押圧部材3がチューブ11を押圧する押圧力を調整して、チューブ11の変形量を調節することにより、制御流体の流量を制御することも可能である。
【0046】
ここで、
図5及び
図6に示すように、チューブホルダ5は、第1凹面84aと第1上向き凹面63aとの間、及び、第2凹面84bと第2上向き凹面64aとの間で、チューブ11を挟み込んで保持する間、挿入口65が可動部材8の閉鎖部81に殆ど塞がれている。そのため、チューブ11は、押圧部材3に押圧されたり、押圧部材3の押圧力を解除されたりして変形する際に、第1保持穴X1や第2保持穴X2の外に飛び出さない。よって、ピンチバルブ1は、チューブホルダ5にチューブ11を安定して保持させた状態で、流体制御を行うことができる。
【0047】
<チューブ11の取り外し作業>
チューブ11をピンチバルブ1から取り外す場合には、作業者は、
図1に示すように、ピンチバルブ1を全開状態にする。それから、作業者は、圧縮ばね10に抗して、可動部材8を押し下げ、第1凹面84aと第2凹面84bを第1上向き凹面63aと第2上向き凹面64aからそれぞれ離間させる。チューブ11を第1凹面84aと第2凹面84bから第1下向き凹面63bと第2下向き凹面64bに載せ替える位置まで可動部材8を押し下げると、閉鎖部81が挿入口65を開放する。そこで、作業者は、チューブ11を第1挿通穴63と第2挿通穴64から挿入口65を介してホルダ本体6の外側に引っ張り出す。可動部材8は、下向きの力を解除されると、圧縮ばね10のばね力により上昇し、
図3に示すように、通常状態に自動的に復帰する。
【0048】
<作用効果>
以上説明したように、本形態のピンチバルブ1は、可撓性のあるチューブ11を保持するチューブホルダ5と、チューブホルダ5に保持されるチューブ11を押圧する押圧部材3と、押圧部材3に駆動力を付与する駆動部2とを備えるピンチバルブ1において、チューブホルダ5は、第1の凹所(第1上向き凹面63a、第2上向き凹面64a)を有するホルダ本体6と、ホルダ本体6に対して可動するように設けられ、第2の凹所(第1凹面84a、第2凹面84b)を有する可動部材8と、第2の凹所(第1凹面84a、第2凹面84b)を第1の凹所(第1上向き凹面63a、第2上向き凹面64a)に近づけるように可動部材8を付勢する圧縮ばね10とを有しており、第1の凹所(第1上向き凹面63a、第2上向き凹面64a)と第2の凹所(第1凹面84a、第2凹面84b)との間でチューブ11を保持する保持部(第1保持穴X1、第2保持穴X2)を形成すること、を特徴とする。
【0049】
本形態のピンチバルブ1では、可動部材8が、圧縮ばね10の付勢力により、ホルダ本体6に対して第2の凹所(第1凹面84a、第2凹面84b)を第1の凹所(第1上向き凹面63a、第2上向き凹面64a)に近づけるように動き、第1の凹所(第1上向き凹面63a、第2上向き凹面64a)と第2の凹所(第1凹面84a、第2凹面84b)との間でチューブ11を挟み込んで保持する。そのため、可動部材8は、圧縮ばね10の付勢力により、チューブ11のサイズに応じて可動量を調整される。つまり、チューブホルダ5は、圧縮ばね10の付勢力を利用して、チューブ11のサイズに合わせて第1の凹所(第1上向き凹面63a、第2上向き凹面64a)と第2の凹所(第1凹面84a、第2凹面84b)の間隔が調整される。よって、チューブホルダ5は、チューブ11のサイズに合わせてチューブホルダ自体や、チューブホルダに装着されるサイズ調整用のスリーブなどを交換しなくても、サイズの異なるチューブ11を簡単に保持することができる。よって、本形態のピンチバルブ1では、部品交換の手間をかけずにサイズが異なるチューブを簡単に取り付けることができる。
【0050】
また、本形態のピンチバルブ1では、可動部材8は、ホルダ本体6に対して平行移動可能に設けられていることを特徴とするので、可動部材8をホルダ本体6に対して動く構造をコンパクト化し、バルブサイズを小さくできる。
【0051】
また、本形態のピンチバルブ1では、圧縮ばね10のばね力は、第1の凹所(第1上向き凹面63a、第2上向き凹面64a)と第2の凹所(第1凹面84a、第2凹面84b)との間でチューブ11を押し潰さない大きさに設定されていることを特徴とするので、可動部材8をホルダ本体6に対して軽い力で動かすことができ、チューブ11をチューブホルダ5に脱着しやすい。
【0052】
また、本形態のピンチバルブ1では、チューブホルダ5は、保持部X1,X2に保持されるチューブ11が潰れきる前に、可動部材8の移動を制限するストッパ部75を有することを特徴とするので、チューブホルダ5が保持するチューブ11のサイズが異なっても、何れのチューブ11でも潰し量を制御して流体制御を行うことができる。
【0053】
更に、本形態のピンチバルブ1では、ホルダ本体6は、第1挿通穴63と第2挿通穴64にチューブ11を挿入する挿入口65が形成されていること、可動部材8は、挿入口65に重ね合わされるようにホルダ本体6に装着され、ホルダ本体6に対して可動する場合に挿入口65が外部に露出する露出部651の幅Wを変化させること、ストッパ部75が可動部材8の移動を制限する場合に、チューブホルダ5が保持可能なチューブ11のうち最小サイズのチューブの外径寸法より、挿入口65の露出部651の幅Wが小さいこと、を特徴とするので、最小サイズのチューブでも脱落を防止しつつ流体制御を行うことができる。
【0054】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係るチューブホルダ501の外観斜視図である。本形態のチューブホルダ501は、可動部材502がホルダ本体6に対して回動可能に取り付けられている点を除き、第1実施形態のチューブホルダ5と同様に構成されている。ここでは、第1実施形態と共通する点には、図面に同一符号を用い、適宜説明を省略する。
【0055】
可動部材502は、平面形状が一方に開口するコの字形状(若しくはU字形状)をなし、ホルダ本体6の外周面に突設された一対の支軸503に回動可能に軸支されている。可動部材502は、第1凹面505と第2凹面(図示せず)がホルダ本体6を挟んで対向する位置に設けられている。第1凹面505と第2凹面(図示せず)は、可動部材502の上端面から円弧状に凹むように設けられている。可動部材502は、図示しない付勢部材により、図中想像線(二点鎖線)に示すように第1凹面505と第2凹面(図示せず)を第1上向き凹面63aと第2上向き凹面64aに近づけるように、常時付勢されている。
【0056】
チューブホルダ501は、図示しない付勢部材に抗して、可動部材502が図中実線に示すように押し下げられた姿勢になった場合に、チューブ11を着脱できる。一方、チューブホルダ501は、チューブ11を第1挿通穴63と第2挿通穴64に配置して、図示しない付勢部材の付勢力により、可動部材502を図中想像線(二点鎖線)に示すように回動させると、チューブ11が、可動部材502の第1凹面505と図示しない第2凹面に持ち上げられて第1上向き凹面63aと第2上向き凹面64aに押し当てられ、第1凹面505と第1上向き凹面63aとの間と、第2凹面(図示せず)と第2上向き凹面64aとの間でそれぞれ挟まれて保持される。チューブホルダ501は、チューブ11を保持したときに、挿入口65が第1挿通穴63に接続する部分と、挿入口65が第2挿通穴64に接続する部分が、第1閉鎖部507と第2閉鎖部508にそれぞれ閉鎖され、チューブ11の飛び出しが防止される。
【0057】
よって、本形態でも、第1実施形態と同様、部品交換の手間をかけずにサイズが異なるチューブを簡単に取り付けることができる。また、可動部材502がホルダ本体6に対して回動可能に設けられているので、可動部材502をホルダ本体6に対して動く構造をコンパクト化し、バルブサイズを小さくできる。
【0058】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
【0059】
(1)例えば、上記実施形態のチューブホルダ5,501では、ホルダ本体6を筒状にし、ホルダ本体6の外側に可動部材8,502を可動するように設けた。これに対して、駆動部2に取り付けられる第1ブロックに対して第2ブロックを可動するように設け、第1ブロックと第2ブロックの対向する側面にそれぞれ円弧面を形成し、当該円弧面を第1の凹所と第2の凹所としても良い。そして、第2ブロックの第2の凹所を第1ブロックの第1の凹所に近づけるように第2ブロックを圧縮ばねなどの付勢部材により付勢しても良い。この場合、第2の凹所が、押圧部材に押圧されるチューブを支持するバックアップ部としても良い。尚、上記実施形態のように、ホルダ本体6を筒状にし、ホルダ本体6の外側に可動部材8,502を平行移動可能に又は回動可能に設ければ、可動部材8を簡単に動かして、チューブを脱着できる。また、チューブホルダをコンパクトにして、バルブサイズを小さくできる。
【0060】
(2)例えば、第1の部品と第2の部品をそれぞれコの字形に形成する。そして、第1の部品の対向する開口端部に、半円形状の第1の凹部をそれぞれ形成し、第1の凹所とする。また、第2の部品の対向する開口端部に、半円形状の第2の凹部をそれぞれ形成し、第2の凹所とする。そして、第2の部品を第1の部品に対して平行移動又は回動させることにより、第1の凹所と第2の凹所との間でチューブを挟持するようにしても良い。尚、上記形態のように、ホルダ本体6の範囲内で可動部材8が移動するようにすれば、チューブ11の取り付けに必要な操作領域を小さくできる。
【0061】
(3)例えば、挿入口65を設けなくても良い。尚、挿入口65を設けることにより、長いチューブでも第1挿通穴63と第2挿通穴64に脱着しやすくなる。
【0062】
(4)例えば、上記実施形態の受圧ピン4を、押圧部材3の押圧方向に対して垂直な面にして、チューブ押圧部3aを円弧状に形成しても良い。また、チューブ押圧部3aを平坦にし、チューブを押圧方向と反対側から支持するバックアップ部も平坦にし、チューブ11を面同士で押し潰すようにしても良い。
【0063】
(5)例えば、上記実施形態のガイドピン27を押圧部材3に一体成形しても良い。
【0064】
(6)例えば、駆動部2は電磁弁構造でも良いし、手動で押圧部材3を動作させるものでも良い。
【0065】
(7)例えば、上記形態では、可動部材8の可動時のガイドと回り止めを行う回り止めピン70と長溝82を用いてストッパ部75を設けたが、ストッパ部75は、回り止めピン70や長溝82と別に設けても良い。
【符号の説明】
【0066】
1…ピンチバルブ
3…押圧部材
5,501…チューブホルダ
6…ホルダ本体
8,502…可動部材
10…圧縮ばね
11,11B…チューブ
63…第1挿通穴
64…第2挿通穴
65…挿入口
63a…第1上向き凹面
64a…第2上向き凹面
84a…第1凹面
84b…第2凹面
X1…第1保持穴
X2…第2保持穴