IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコータイムシステム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-リードフレームの検査装置 図1
  • 特許-リードフレームの検査装置 図2
  • 特許-リードフレームの検査装置 図3
  • 特許-リードフレームの検査装置 図4
  • 特許-リードフレームの検査装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】リードフレームの検査装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20220317BHJP
【FI】
H01L21/60 321Y
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018136226
(22)【出願日】2018-07-19
(65)【公開番号】P2020013938
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】500198210
【氏名又は名称】セイコータイムクリエーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】中垣 祐二
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-235535(JP,A)
【文献】特開平4-124848(JP,A)
【文献】特開2006-66624(JP,A)
【文献】特開昭59-139639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 21/66
H01L 23/28
H05K 13/04
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一端子及び第二端子間にチップが実装された電子部品が、フレームを介して複数連なって形成されたリードフレームの検査装置であって、
前記リードフレームの外観に基づき、複数の前記電子部品について導電不良の有無を検査する検査部と、
前記電子部品のうち、前記検査部により導電不良と判定された不良電子部品に対して導電性部材を塗布するディスペンサーと、を備え、
前記第一端子及び前記第二端子は間隙を設けて形成され、
前記ディスペンサーは、前記不良電子部品の前記第一端子と、前記第二端子と、の間に前記導電性部材を塗布して前記第一端子及び前記第二端子間を短絡させることを特徴とするリードフレームの検査装置。
【請求項2】
前記ディスペンサーは、前記電子部品において前記チップのモールド領域の外側にはみ出すように、前記導電性部材を塗布することを特徴とする請求項1に記載のリードフレームの検査装置。
【請求項3】
第一端子及び第二端子間にチップが実装された電子部品が、フレームを介して複数連なって形成されたリードフレームの検査装置であって、
前記リードフレームの外観に基づき、複数の前記電子部品の導電不良の有無を検査する検査部と、
前記電子部品のうち、前記検査部により導電不良と判定された不良電子部品に対して導電性部材を塗布するディスペンサーと、を備え、
前記ディスペンサーは、前記不良電子部品のうち、前記第一端子及び前記第二端子の少なくとも一方における前記チップの実装部分に前記導電性部材を塗布して前記実装部分及び前記チップの間を導通させることを特徴とするリードフレームの検査装置。
【請求項4】
前記導電性部材は樹脂材料を含んでいることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のリードフレームの検査装置。
【請求項5】
前記検査部及び前記ディスペンサー間で前記リードフレームを搬送する搬送機構を備え、
前記ディスペンサーの走査方向は、前記リードフレームの搬送方向と交差していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリードフレームの検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードフレームの検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
集積回路基板の需要増加に伴い、リードの実装やリードフレームの検査における自動化が求められている。検査装置では、カメラによるリードの良品判定を行った後、不良品と良品とを識別するための技術が種々提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、リードの曲がりを検出するカメラと、リードの浮きを検出するレーザーと、カメラ及びレーザーによって不良と判定されたリードにマークを印加するマーカと、を主に備えたリード付き電子部品の実装方法が開示されている。特許文献1の構成では、マーカの位置や印加する個数を変えることで、おおよそどの位置に、リード曲がりとリード浮きのいずれの異常があるかを判別可能である。
【0004】
また、特許文献2には、複数の電子部品が実装されたリードフレームの検査装置において、不良と判定されたリードにドリル等で穴をあけるための穿孔手段を備えた構成が開示されている。穿孔手段により破壊されたリードは、後工程の電気試験で電気的に不良判定されるので、検査工程を全て自動化することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3279216号公報
【文献】特開平9-17830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術にあっては、検査後の別工程で目視またはカメラ検査による修正作業が必要なため、工程数や手間が増加するおそれがある。
【0007】
特許文献2に記載の技術にあっては、不良電子部品のリード破壊時に、不良電子部品の周囲に位置する良品電子部品が変形する可能性がある。特許文献2に記載の技術では、穿孔手段の追加に伴い、切りくずの吸引手段及び基板のクランプ手段を設ける必要があり、装置が大型化するおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、リードフレームの検査において、不良電子部品の周囲に位置する良品電子部品への影響を抑制し、かつ、検査にかかる手間を軽減したリードフレームの検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一つの形態のリードフレームの検査装置は、第一端子及び第二端子間にチップが実装された電子部品が、フレームを介して複数連なって形成されたリードフレームの検査装置であって、前記リードフレームの外観に基づき、複数の前記電子部品について導電不良の有無を検査する検査部と、前記電子部品のうち、前記検査部により導電不良と判定された不良電子部品に対して導電性部材を塗布するディスペンサーと、を備え、前記第一端子及び前記第二端子は間隙を設けて形成され、前記ディスペンサーは、前記不良電子部品の前記第一端子と、前記第二端子と、の間に前記導電性部材を塗布して前記第一端子及び前記第二端子間を短絡させることを特徴としている。
【0010】
この構成によれば、ディスペンサーは、不良電子部品における第一端子と第二端子との間に導電性部材を塗布して端子間を短絡させるので、導電性部材が塗布された不良電子部品は、後工程の電気試験において不良と判定される。よって、検査工程の後に目視による識別作業を行う必要がなく、検査工程を自動化することができる。
また、導電性部材を塗布するだけで端子間を短絡できるので、ドリル等で穴をあけて電子部品を短絡させる場合と比較して、不良電子部品9bの周囲に位置する良品電子部品9aが変形することがない。また、振動や切りくずの飛散等がなく、不良電子部品の周囲に位置する良品電子部品への影響が抑えられる。さらに、集塵装置等を設ける必要がないので、検査装置を小型化できる。
したがって、周囲の良品に対する影響を抑制し、かつ、検査にかかる手間を軽減したリードフレームの検査装置を提供することができる。
【0011】
また、前記ディスペンサーは、前記電子部品において前記チップのモールド領域の外側にはみ出すように、前記導電性部材を塗布することを特徴としている。
【0012】
この構成によれば、導電性部材がモールド領域の外側にはみ出すように塗布されるので、検査工程後に各電子部品のチップがモールド加工された場合であっても、外観により不良電子部品かどうかを識別できる。したがって、検査の確実性を高めることができる。
【0013】
また、本発明の一つの形態のリードフレームの検査装置は、第一端子及び第二端子間にチップが実装された電子部品が、フレームを介して複数連なって形成されたリードフレームの検査装置であって、前記リードフレームの外観に基づき、複数の前記電子部品の導電不良の有無を検査する検査部と、前記電子部品のうち、前記検査部により導電不良と判定された不良電子部品に対して導電性部材を塗布するディスペンサーと、を備え、前記ディスペンサーは、前記不良電子部品のうち、前記第一端子及び前記第二端子の少なくとも一方における前記チップの実装部分に前記導電性部材を塗布して前記実装部分及び前記チップの間を導通させることを特徴としている。
【0014】
この構成によれば、ディスペンサーは、不良電子部品のうち、第一端子及び第二端子の少なくとも一方におけるチップの実装部分に導電性部材を塗布して端子とチップとの間を導通させるので、例えば半田不良等により不良判定された不良電子部品に対して、実装部分に導電性部材を塗布することで良品へと修正することができる。また、半田量が少ない部分に導電性部材を追加することで、検査後にチップが外れてしまうといった事態を未然に抑制できる。
また、検査部での検査後に自動で修正が行われるため、修正し忘れ等の人為的なミスを抑制できる。
したがって、検査にかかる手間を軽減したリードフレームの検査装置を提供することができる。
【0015】
また、前記導電性部材は樹脂材料を含んでいることを特徴としている。
【0016】
この構成によれば、導電性部材の融点や粘性などの条件を設定しやすくなる。よって、作業性を向上することができる。また、導電性部材の抵抗率を設定できるので、後工程の電気試験と組み合わせる際に、抵抗値によって不良電子部品を識別し易くすることができる。
したがって、作業性に優れ、確実に不良電子部品を識別できるリードフレームの検査装置とすることができる。
【0017】
また、前記検査部及び前記ディスペンサー間で前記リードフレームを搬送する搬送機構を備え、前記ディスペンサーの走査方向は、前記リードフレームの搬送方向と交差していることを特徴としている。
【0018】
この構成によれば、リードフレームの搬送方向と交差するようにディスペンサーが設置されるので、検査部とディスペンサーをリードフレームの搬送方向に沿って並べた場合に、リードフレームの搬送方向における距離を短くすることができる。よって、リードフレームの検査装置を小型化することができる。
また、リードフレームの通過に伴い、リードフレームの搬送方向に交差する方向にディスペンサーを走査することで、簡単な動作で不良電子部品に対して導電性部材を塗布できる。これにより、作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電子部品が実装されたリードフレームの検査において、周囲の良品に対する影響を抑制し、かつ、検査にかかる手間を軽減したリードフレームの検査装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態に係るリードフレームの検査装置の概略構成図。
図2】第1実施形態に係るリードフレームの拡大斜視図。
図3】第1実施形態に係るディスペンサーの斜視図。
図4】短絡処理工程を示す説明図。
図5】第2実施形態に係るリードフレームの検査装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0022】
(第1実施形態)
(検査装置)
図1は、検査装置1(請求項のリードフレームの検査装置)の概略構成図である。
検査装置1は、搬送機構2と、検査部3と、短絡処理部4と、を有する。なお、以降の説明において、図1における搬送機構2の搬送方向をX軸、X軸に直交する方向をY軸、X軸及びY軸にそれぞれ直交する方向をZ軸と定義する。本実施形態において、Z軸方向は上下方向(+Z軸方向が上方)に一致している。
【0023】
(搬送機構)
搬送機構2は、製品供給部13と、製品収納部14と、搬送レール15と、を備える。
製品供給部13、製品収納部14、及び搬送レール15はX軸方向に並んで配置されている。
【0024】
製品供給部13は、供給用マガジン31と、供給用マガジン31の高さを変更する供給用マガジンZ軸33と、を備える。
供給用マガジン31の内部には、複数のリードフレーム5が収容されている。
【0025】
図2は、リードフレーム5の斜視図である。
リードフレーム5は、フレーム26と、電子部品9と、を有する。
フレーム26は、板状の基板である(図3も参照)。フレーム26には、複数の矩形孔21が形成されている。隣り合う矩形孔21の間には、間隙孔22(請求項の間隙)が形成されている。フレーム26は、間隙孔22を挟んでフレーム26が向かい合う部分に、電子部品9を有する。
電子部品9は、第一端子35と、第二端子36と、チップ27と、接続端子28と、を備える。第一端子35は、間隙孔22を挟んで向かい合うフレーム26の一方側で、フレーム26と一体形成されている。第二端子36は、間隙孔22を挟んで向かい合うフレーム26の他方側で、フレーム26と一体形成されている。チップ27は、フレーム26の第一端子35上に例えば半田により実装されている。接続端子28は、第一端部がチップ27に接続され、第二端部が第二端子36に接続されている。これにより、第一端子35と第二端子36とは、チップ27及び接続端子28を介して電気的に接続されている。
このように、リードフレーム5には、フレーム26を介して複数の電子部品9が連なって形成されている。
【0026】
接続端子28は、電子部品9の第一端子35側が第二端子36側に対して+Z軸方向に所定の空間を有した構成となっており、+Z軸方向から見た場合に、接続端子28の第一端子35側の端部は、第二端子36側に対して所定の空間を有して第一端子35と重なっている。換言すれば、第一端子35と第二端子36とは、Z軸方向に所定の空間を有した接続端子28及びチップ27を介して電気的に接続されている。
【0027】
図2における二点鎖線は、検査後にモールド材29に覆われるモールド領域Rを示している。
検査装置1による検査工程の後、チップ27はモールド材29によって覆われる。電子部品9は、第一端子35の根本部分37及び第二端子36の根本部分38がフレーム26から切断されることにより、リードフレーム5から一つの電子部品9として切り離され、種々の電子機器(不図示)に搭載される。
【0028】
図1に戻って、製品収納部14は、製品供給部13と間隔をあけてX方向に並んで配置されている。製品収納部14は、収納用マガジン41と、収納用マガジン41の高さを変更する収納用マガジンZ軸43と、を備える。
収納用マガジン41の内部には、リードフレーム5が収容可能とされている。
【0029】
搬送レール15は、製品供給部13と製品収納部14との間に配置され、X軸方向に沿って延びている。搬送レール15の作業面15fは、不図示のモータにより製品供給部13側から製品収納部14側へ水平移動可能とされている。搬送レール15の作業面15fにはリードフレーム5が乗せられ、作業面15fの移動に伴いリードフレーム5が製品供給部13側から製品収納部14側へ水平移動可能に構成されている。このとき、搬送レール15の移動方向と、リードフレーム5の第一端子35と第二端子36とを結ぶ直線と、が直交するように、作業面15fにリードフレーム5が配置されている。換言すれば、リードフレーム5の第一端子35と第二端子36とを結ぶ直線は、Y軸方向に沿って配置されている。
【0030】
(検査部)
検査部3は、搬送レール15の途中に設けられている。検査部3は、撮影部6と、制御部7と、を備える。
撮影部6は、3Dカメラ11と、撮影用の照明12と、を主に備える。3Dカメラ11は、搬送レール15の上方に配置され、リードフレーム5をZ軸方向から撮影する。3Dカメラ11は、リードフレーム5を三次元的に撮影可能とされている。なお、3Dカメラ11の代わりに2Dカメラとレーザー等によって三次元的な情報を取得する構成であってもよい。また、撮影部6の一度の撮影範囲は、電子部品9全体を含む領域であれば、リードフレーム5の一部であってもよい。
【0031】
制御部7は、判定部17と、記憶部18と、短絡処理駆動部19と、を主に備える。
判定部17は、撮影部6で得られたリードフレーム5の画像情報に基づいて、一つ一つの電子部品9における不良の有無を識別する。ここで、電子部品9における不良とは、例えば半田不良や、チップ27の位置ずれ、チップ27におけるリードの曲がり、チップ27不備等である。判定部17により、全ての電子部品9は、良品電子部品9a又は不良電子部品9bのいずれかに識別される(図2参照)。
記憶部18では、判定部17で不良があると判断された不良電子部品9bのリードフレーム5上における位置情報が記録される。
短絡処理駆動部19では、判定部17及び記憶部18の情報に基づいて、不良電子部品9bに対して短絡処理を行わせるための指令信号が短絡処理部4に出力される。
【0032】
また、制御部7には、搬送レール15のモーター(不図示)の出力や不図示の位置センサ等によって搬送レール15の位置(より具体的には、リードフレーム5の位置)を検出可能な不図示の位置検出部が設けられている。
【0033】
(短絡処理部)
短絡処理部4は、搬送レール15の途中であって検査部3よりも搬送レール15の下流側に設けられている。短絡処理部4は、ディスペンサー8と、走査用Y軸ステージ23と、走査用Z軸ステージ24と、を備える。
ディスペンサー8は、搬送レール15の上方に配置されている。ディスペンサー8は、走査用Y軸ステージ23及び走査用Z軸ステージ24によってY軸方向及びZ軸方向に走査可能とされている。
【0034】
図3は、ディスペンサー8の斜視図である。
ディスペンサー8は、内部に導電性部材10を収容する本体部8aと、本体部8aの下端に設けられ、先端をリードフレーム5に向けたノズル部8bと、を有する。ノズル部8bの先端からは導電性部材10が吐出可能とされている。導電性部材10は、樹脂材料を含んでいる。樹脂材料は、例えばエポキシやシリコーン、ポリウレタン等である。
【0035】
(作用、効果)
次に、上述した検査装置1の作用(検査工程)、効果について説明する。
図1に示すように、電子部品9が実装されたリードフレーム5は、供給用マガジン31から供給された後、搬送レール15により3Dカメラ11の直下まで搬送される。次に、3Dカメラ11によってリードフレーム5の三次元画像が撮影され、撮影された画像は制御部7に送られる。制御部7では、まず始めに、判定部17においてリードフレーム5に実装された一つ一つの電子部品9に対して半田不良、位置ずれ、部品不備等の有無による不良判定が行われる。判定部17で不良が見つかった電子部品9は、不良電子部品9bとして記憶部18にその位置、不良の種類等が記録される。さらに、判定部17及び記憶部18の情報に基づいて、短絡処理駆動部19では、不良電子部品9bに短絡処理を施すための指令信号が出力される。
【0036】
短絡処理部4は、短絡処理駆動部19からの信号により、リードフレーム5の不良電子部品9bに導電性部材10を塗布して、不良電子部品9bの短絡処理を行う。図4は、短絡処理工程を示す説明図である。ディスペンサー8は、走査用Y軸ステージ23及び走査用Z軸ステージ24によって走査され、不良電子部品9bに導電性部材10を塗布する。具体的に、ディスペンサー8は、不良電子部品9bにおける第一端子35のうち、後工程でモールド材29に覆われるモールド領域R(図2参照)の外側に位置する部分から、チップ27を経由して接続端子28まで連続するように導電性部材10を塗布する。ここで、経由して、とは、電気的に接続されるという意味であっても良く、単に外形の端面を介して物理的に接続されるという意味であっても良い。これにより、接続端子28を介して第一端子35と第二端子36とが電気的に導通し、第一端子35と第二端子36との間が短絡される。なお、導電性部材10は、少なくとも端子35,36間が短絡していれば、モールド領域R内に収まるように塗布されてもよい。
【0037】
検査部3を通過したリードフレーム5は、収納用マガジン41の内部に順次収容される。以上により、検査装置1による検査工程が終了する。
【0038】
リードフレーム5は、上述した検査工程の後に、モールド工程及び個片化工程を経て実施される電気試験により最終的な良品判定が行われる。電気試験では、各電子部品9に対して、例えば第一端子35及び第二端子36を介して電子部品9に通電する。電気試験では、電子部品9の抵抗値が所定の範囲内にあるものを良品として判断する。すなわち、電気試験において、第一端子35と第二端子36間が短絡された不良電子部品9bは、抵抗値が所定値の範囲外となる。これにより、導電性部材10が塗布された不良電子部品9bは、後工程の電気試験においても不良品として判定される。電気試験で最終的に不良品と判定された電子部品9は、電子機器に搭載されることなく廃棄される。
【0039】
このように、ディスペンサー8は、不良電子部品9bにおける第一端子35と第二端子36との間に導電性部材10を塗布して端子間を短絡させるので、導電性部材10が塗布された不良電子部品9bは、後工程の電気試験において不良と判定される。よって、検査工程の後に目視による識別作業を行う必要がなく、検査工程を自動化することができる。
また、導電性部材10を塗布するだけで端子35,36間を短絡できるので、ドリル等で穴をあけて電子部品9を短絡させる場合と比較して、不良電子部品9bの周囲に位置する良品電子部品9aが変形することがない。また、振動や切りくずの飛散等がなく、不良電子部品9bの周囲に位置する良品電子部品9aへの影響が抑えられる。さらに、集塵装置等を設ける必要がないので、検査装置1を小型化できる。
したがって、周囲の良品電子部品9aに対する影響を抑制し、かつ、検査にかかる手間を軽減したリードフレームの検査装置1を提供することができる。
【0040】
また、導電性部材10はモールド領域Rの外側にはみ出すように塗布されるので、検査工程後に各電子部品9のチップ27がモールド加工された場合であっても、外観により不良電子部品9bかどうかを識別できる。したがって、検査の確実性を高めることができる。
【0041】
ここで、導電性部材10は樹脂材料を含んでいるので、導電性部材10の融点や粘性などの条件を設定しやすくなる。よって、作業性を向上することができる。また、導電性部材10の抵抗率を設定できるので、後工程の電気試験と組み合わせる際に、抵抗値によって不良電子部品9bを識別し易くすることができる。
したがって、作業性に優れ、確実に不良電子部品9bを識別できるリードフレームの検査装置1とすることができる。
【0042】
また、リードフレーム5の搬送方向と交差するようにディスペンサー8が設置されるので、検査部3とディスペンサー8をリードフレーム5の搬送方向に沿って並べた場合に、リードフレーム5の搬送方向における距離を短くすることができる。よって、リードフレームの検査装置1を小型化することができる。
また、リードフレーム5の通過に伴い、リードフレーム5の搬送方向に交差する方向にディスペンサー8を走査することで、簡単な動作で不良電子部品9bに対して導電性部材10を塗布できる。これにより、作業性を向上させることができる。
【0043】
なお、本実施形態では、第一端子35にチップ27が実装された構成としたが、第二端子36にチップ27が実装されていてもよい。
【0044】
導電性部材10は樹脂材料を含まない半田等の金属であってもよい。また、導電性部材10は、ディスペンサー8から下方へ向かって噴出される構成であってもよい。この場合、ディスペンサー8をZ方向へ走査する必要がないため、ディスペンサー8の構成を簡素化できる。
【0045】
また、撮影部6に複数のカメラを設けてもよく、カメラの代わりにレーザーのみにより画像を取得する構成であってもよい。また、カメラにZ軸ステージが備わっていてもよい。
【0046】
(第2実施形態)
本発明に係る第2実施形態について説明する。図5は、第2実施形態に係るリードフレームの検査装置1の概略構成図である。本実施形態では、短絡処理部4の隣に修正処理部40が設けられている点で上述した実施形態と相違している。
【0047】
本実施形態において、修正処理部40は、短絡処理部4よりも搬送レール15の下流側で、短絡処理部4とX方向に並んで設置されている。修正処理部40は、ディスペンサー48と、走査用Y軸ステージ45と、走査用Z軸ステージ46と、を備える。
【0048】
ディスペンサー48は、搬送レール15の上方に配置されている。ディスペンサー48は、走査用Y軸ステージ45及び走査用Z軸ステージ46を介してY軸方向及びZ軸方向に走査可能とされている。ディスペンサー48は、内部に修正部材50(請求項の導電性部材)を収容する本体部48aと、本体部48aの下端に設けられ、先端をリードフレーム5に向けたノズル部48bと、を有する。ノズル部48bの先端からは修正部材50が放出可能とされている。修正部材50は、例えば半田を含んでいる。なお、修正部材50は、上述した導電性部材10と同様の材料であってもよい。
【0049】
制御部7は、判定部17と、記憶部18と、短絡処理駆動部19と、修正処理駆動部49と、を主に備える。
判定部17は、電子部品9に対して半田不良、位置ずれ、部品不備等の不良の有無を識別するとともに、不良と判定された不良電子部品9bに対して修正可能か修正不可能かを判断する。これにより、全ての電子部品9は、良品電子部品9a、修正可能な不良電子部品9b及び修正不可能な不良電子部品9b、のいずれかに識別される。ここで、修正可能な不良電子部品9bとは、例えば半田量の不足や、半田とチップ27の乖離等の半田不良部を有し、半田不良部に半田を追加することにより不良が解消される不良電子部品9bを指す。
短絡処理駆動部19では、判定部17及び記憶部18の情報に基づいて、不良電子部品9bのうち修正不可能と判断されたものに対して短絡処理を行わせるための指令信号が出力される。
修正処理駆動部49では、判定部17及び記憶部18の情報に基づいて、不良電子部品9bのうち修正可能と判断されたものに対して修正処理を行わせるための指令信号が出力される。
【0050】
第2実施形態における検査装置1の作用を説明する。
3Dカメラ11によって撮影された画像から、判定部17では、リードフレーム5に実装された一つ一つの電子部品9に対して不良判定が行われる。このとき、判定部17は、不良が見つかった不良電子部品9bに対して、修正可能又は修正不可能の判定を併せて行う。不良と判断された電子部品9は、不良電子部品9bとして記憶部18にその位置、不良の種類、及び修正の可否等が記録される。修正可能な不良電子部品9bが検出された場合、判定部17及び記憶部18の情報に基づいて、修正処理駆動部49では、不良電子部品9bに修正処理を施すための指令信号が修正処理部40に出力される。修正不可能な不良電子部品9bが検出された場合、判定部17及び記憶部18の情報に基づいて、短絡処理駆動部19では、不良電子部品9bに短絡処理を施すための指令信号が短絡処理部4に出力される。
【0051】
修正不可能な不良電子部品9bが検出された場合、短絡処理部4は、第1実施形態と同様に、短絡処理駆動部19からの信号により、リードフレーム5の不良電子部品9bに導電性部材10を塗布して短絡処理を行う。これにより、第一端子35と第二端子36(図2参照)との間が短絡される。
一方、修正可能な不良電子部品9bが検出された場合、修正処理部40は、修正処理駆動部49からの信号により、リードフレーム5の不良電子部品9bに修正部材50を塗布して修正処理を行う。具体的に、ディスペンサー48は、走査用Y軸ステージ45及び走査用Z軸ステージ46によって走査され、不良電子部品9bにおける半田不良部に修正部材50を塗布する。これにより、不良電子部品9bの半田不良が解消される。
【0052】
第2実施形態の構成によれば、第1実施形態と同様の作用、効果を奏することに加え、以下の作用効果を奏する。すなわち、ディスペンサー48は、修正可能な不良電子部品9bのうち第一端子35及び第二端子36の少なくとも一方におけるチップ27の実装部分に修正部材50を塗布して端子35,36とチップ27との間を導通させる。これにより、例えば半田不良等により不良判定された不良電子部品9bに対して、実装部分に修正部材50を塗布することで良品電子部品9aへと修正することができる。また、半田量が少ない部分に修正部材50を追加することで、検査後にチップ27が外れてしまうといった事態を未然に抑制できる。
また、検査部3での検査後に自動で修正が行われるため、修正し忘れ等の人為的なミスを抑制できる。
したがって、検査にかかる手間を軽減したリードフレームの検査装置1を提供することができる。
【0053】
なお、短絡処理部4及び修正処理部40の順番は逆であってもよい。すなわち、短絡処理部4よりも搬送レール15の上流側に修正処理部40が設けられていてもよい。
また、一つのディスペンサーが短絡処理部4及び修正処理部40を兼ねてもよい。すなわち、検査装置1は、一つのディスペンサーを有し、一つのディスペンサーにより短絡処理及び修正処理を行う構成としてもよい。
【0054】
なお、本実施形態では、接続端子28は電子部品9の第一端子35側が第二端子36側に対して+Z軸方向に所定の間隔を有し、+Z軸方向から見た場合に、接続端子28の第一端子35側の端部は、第二端子36側に対してZ軸方向に所定の空間を有して第一端子35と重なっている構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。接続端子28の第一端子35側の端部が、+Z軸方向から見た場合に、第二端子36側に対してZ軸方向に所定の空間を有し、かつ第一端子35と重ならない構成でもよい。また、Z軸方向に所定の間隔を有さず、かつ+Z軸方向から見て第一端子35と重ならない構成でもよい。また、接続端子28はなくてもよい。すなわち、チップ27を介して間隙を有して配設された第一端子35と第二端子36とが短絡するように導電性部材10を塗布できるように構成されていればよい。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 検査装置(リードフレームの検査装置)
2 搬送機構
3 検査部
5 リードフレーム
8,48 ディスペンサー
9 電子部品
9b 不良電子部品
10 導電性部材
22 間隙孔(間隙)
26 フレーム
27 チップ
35 第一端子
36 第二端子
50 修正部材(導電性部材)
R モールド領域
図1
図2
図3
図4
図5