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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】畳表折り曲げ装置
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20220317BHJP
【FI】
E04F15/02 102K
E04F15/02 104B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018145918
(22)【出願日】2018-08-02
(65)【公開番号】P2020020200
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000163121
【氏名又は名称】極東産機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103218
【弁理士】
【氏名又は名称】牧村 浩次
(72)【発明者】
【氏名】久保 朋之
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-222986(JP,A)
【文献】登録実用新案第3184880(JP,U)
【文献】特開平9-250229(JP,A)
【文献】特開昭60-164548(JP,A)
【文献】登録実用新案第3138799(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
畳表の側辺を内側に折り曲げるための畳表折り曲げ装置であって、
仮想中心軸を中心に、相互に角度移動可能な第1の位置決め板と第2の位置決め板とから構成される位置決め部材と、
前記位置決め部材を、折り曲げられる畳表に対して、上下に移動可能にする上下駆動装置と、
前記畳表の側辺を内側に折り曲げるための折り曲げ部材とを備え、
畳床の側辺形状に合わせて、第1の位置決め板と第2の位置決め板とのなす角度が所定の角度になるように、前記位置決め部材の第1の位置決め板と第2の位置決め板とを、仮想中心軸を中心に回動させるように構成され、
前記所定の角度に位置決めされた位置決め部材が、前記上下駆動装置の駆動により、折り曲げられる畳表に対して当接する位置まで下降するように構成され、
前記位置決め部材が折り曲げられる畳表に対して当接する位置まで下降した状態で、前記折り曲げ部材によって、畳表の側辺を内側に折り曲げるように構成されていることを特徴とする畳表折り曲げ装置。
【請求項2】
前記位置決め部材の第1の位置決め板と第2の位置決め板が、折り曲げられる畳表に対して、垂直に配置された板部材から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の畳表折り曲げ装置。
【請求項3】
前記位置決め部材の第1の位置決め板と第2の位置決め板が、折り曲げられる畳表に対して、平行に配置された板部材から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の畳表折り曲げ装置。
【請求項4】
前記折り曲げ部材が、前記位置決め部材に対して、離接する方向に移動可能な折り曲げ部材から構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の畳表折り曲げ装置。
【請求項5】
前記折り曲げ部材が、前記位置決め部材に対して、上下方向に移動可能な折り曲げ部材から構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の畳表折り曲げ装置。
【請求項6】
前記折り曲げ部材が、仮想中心軸を中心に、相互に角度移動可能な第1の折り曲げ板と第2の折り曲げ板とから構成され、
畳床の側辺形状に合わせて、第1の折り曲げ板と第2の折り曲げ板とのなす角度が所定の角度になるように、前記折り曲げ部材の第1の折り曲げ板と第2の折り曲げ板とを、仮想中心軸を中心に回動させるように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の畳表折り曲げ装置。
【請求項7】
前記折り曲げられる畳表は、畳表単独で内側に折り曲げられる畳表であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の畳表折り曲げ装置。
【請求項8】
前記折り曲げられる畳表は、畳表の裏面に畳床を載置した状態で、畳床の側辺に対して、畳表の側辺を内側に折り曲げられる畳表であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の畳表折り曲げ装置。
【請求項9】
前記畳床の側辺に対して、畳表の側辺を内側に折り曲げられる際に、畳表を畳床の側辺に固着するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の畳表折り曲げ装置。
【請求項10】
前記上下駆動装置の駆動により、折り曲げられる畳表に対して当接する直前の僅かに畳表から離間した位置まで下降するように構成され、
前記畳表から離間した位置で、畳表の突出先端を挟持して、畳表の裏面に畳床を載置した状態で、畳床の側辺から離間する方向に移動させる挟持移動装置を備え、
前記挟持移動装置の作動により、畳床の側辺と、位置決め部材とを当接させることにより、畳床の側辺形状に合わせて、第1の位置決め板と第2の位置決め板とのなす角度が所定の角度になるように、前記位置決め部材の第1の位置決め板と第2の位置決め板とを、仮想中心軸を中心に回動させるように構成されていることを特徴とする請求項8から9のいずれかに記載の畳表折り曲げ装置。
【請求項11】
前記位置決め部材を水平方向に移動させる水平移動装置を備え、
前記上下駆動装置の駆動により、折り曲げられる畳表に対して当接する直前の僅かに畳表から離間した位置まで下降するように構成され、
前記畳表から離間した位置で、前記水平移動装置の作動によって、畳床の側辺と、位置決め部材とを当接させることにより、畳床の側辺形状に合わせて、第1の位置決め板と第2の位置決め板とのなす角度が所定の角度になるように、前記位置決め部材の第1の位置決め板と第2の位置決め板とを、仮想中心軸を中心に回動させるように構成されていることを特徴とする請求項8から9のいずれかに記載の畳表折り曲げ装置。
【請求項12】
前記第1の位置決め板と第2の位置決め板とから構成される位置決め部材が、畳表の側辺に沿って複数個配置されていることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の畳表折り曲げ装置。
【請求項13】
前記第1の折り曲げ板と第2の折り曲げ板とから構成される折り曲げ部材が、畳表の側辺に沿って複数個配置されていることを特徴とする請求項12に記載の畳表折り曲げ装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の畳表折り曲げ装置が、畳床の上前側、下前側に対応して、上前側、下前側に配置されていることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の畳表折り曲げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縁無し畳に使用する畳表の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)を内側に折り曲げるための畳表折り曲げ装置に関し、より詳細には、縁無し畳に使用する畳表の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)を、畳表のイ草の茎を畳床に沿う方向に、内側に折り曲げるための畳表折り曲げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、畳に関して、畳縁を有する通常の畳に代わり、昨今では、マンションなどにおいて、意匠性などを考慮して、畳縁を備えていない、いわゆる「縁無し畳」が、広範に用いられるようになっている。
【0003】
この場合、図21に示したように、このような縁無し畳201を製造するためには、畳床206の側辺(上前側の側辺206aと下前側の側辺206b)に沿って、畳表200を畳床206の側面208に沿うように、略90°以上の角度で折り曲げる必要がある。
【0004】
なお、図21では、説明の便宜上、片方の側辺のみ図示した。
【0005】
すなわち、図21に示したように、畳表200のイ草の茎を畳床に沿う方向(イ草の向き)Aに、畳表200の側辺202を畳床206の側面208に沿うように折り曲げて、折り曲げた側辺210を、畳床206の側面208、または、裏面212に縫着したり、接着剤、タッカー、両面テープなどで固着することが行われる。
【0006】
しかしながら、図23に示したように、部屋の敷居が、必ずしも100%正方形または長方形ではないので、畳を敷き詰める場合に、上前側を直線状に仕上げ、下前側を敷居にぴったり沿うようにくせ取りして畳を仕上げて敷き詰める。このため、畳の平面視の形状は、対向する上前側の側辺と下前側の側辺が、完全な平行ではない、すなわち、くせが存在することになる。
【0007】
従って、畳(畳床)のこのような平面視の形状(くせ)を考慮して、畳表200の両側の側辺202を折り曲げる必要がある。
【0008】
このため、特許文献1(特開2001-227143号公報)では、畳(畳床)のこのような平面視の形状を考慮して、畳床のこのような平面視の形状に沿って、畳表200の両側の側辺202を折り曲げる畳表の整形装置が提案されている。
【0009】
ところで、このような場合、畳表200のみを予め、所定のサイズに切断して、畳表200のイ草の茎を畳床に沿う方向(イ草の向き)Aに折り曲げることができれば、様々な種類、畳床206と畳表200の組み合わせ、サイズに対応することができ、非常に便利である。
【0010】
この場合、図22に示したように、畳表200のイ草の茎を畳床に沿う方向(イ草の向き)Aに、畳表200の両側の側辺202を同時に畳床の側面に沿うように折り曲げることができれば、作業効率も向上することになる。
【0011】
なお、図22では、説明の便宜上、畳表200の片方の側辺202のみ図示した。
【0012】
このため、特許文献2(特許第5140612号公報)では、図24の概略図に示したように、畳表折り曲げ装置300が提案されている。
【0013】
すなわち、図24に示したように、特許文献1の畳表折り曲げ装置300は、装置フレーム302に設けられたレール304に沿って水平移動する上前整形部306と、上前整形部306に対して水平旋回する下前整形部308とから構成されている。
【0014】
そして、下前整形部308は、装置フレーム302またはレール304に、垂直軸310で軸着されている。この垂直軸310を中心に水平旋回自在な旋回ベース312を備えており、旋回ベース312の上面に、畳表の下前側を載置して旋回することによって、畳表の下前側を、畳床の下前側に合致した形状に折り曲げることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特開2001-227143号公報
【文献】特許第5140612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前述したように、特許文献1、特許文献2のいずれも、図23に示したように、一直線状の畳床の側辺のくせに対応するように、畳表を折り曲げるように構成されている。
【0017】
しかしながら、例えば、畳廊下、縁側に敷き詰める場合には、図19(A)に示したように、畳床206の側辺(上前側の側辺206aと下前側の側辺206b)が、くの字形状に凹んだ形状や、図19(B)に示したように、畳床206の側辺(上前側の側辺206aと下前側の側辺206b)が、くの字形状に突設したくせが存在する。
【0018】
なお、図19(C)に示したように、畳床206の下前側の側辺206bのみが、一般の居室の敷居の形状に対応して、くの字形状に突設したくせが存在する場合もある。なお、説明の便宜上、このようなくせを大きく拡大して示している。
【0019】
特許文献1、特許文献2のいずれも、直線形状の定規(プレート)を用いて、畳表を折り曲げるように構成されているので、一度の畳の折曲げで、このようなくの字形状のくせに対することは不可能である。
【0020】
本発明は、このような現状に鑑み、畳表を、イ草の茎を畳床に沿う方向(イ草の向き)に折り曲げることができ、しかも、畳表の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)を、畳床の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)に合わせて、くの字形状に凹んだ形状や、くの字形状に突設したくせの形状に合致した形状に折り曲げることができる非常に便利で汎用性に優れ、作業効率も向上した畳表折り曲げ装置を提供することを目的とする。
【0021】
また、本発明は、折り目(折り癖)がしっかりと付き、角が丸くなってしまうことがなく、畳床の側面に折り曲げた部分を固定する際にも、いわゆる浮いた状態となることなくしっかりと固定でき、見栄えが良好で商品価値が高い縁無し畳を製造することのできる畳表折り曲げ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の畳表折り曲げ装置は、
畳表の側辺を内側に折り曲げるための畳表折り曲げ装置であって、
仮想中心軸を中心に、相互に角度移動可能な第1の位置決め板と第2の位置決め板とから構成される位置決め部材と、
前記位置決め部材を、折り曲げられる畳表に対して、上下に移動可能にする上下駆動装置と、
前記畳表の側辺を内側に折り曲げるための折り曲げ部材とを備え、
畳床の側辺形状に合わせて、第1の位置決め板と第2の位置決め板とのなす角度が所定の角度になるように、前記位置決め部材の第1の位置決め板と第2の位置決め板とを、仮想中心軸を中心に回動させるように構成され、
前記所定の角度に位置決めされた位置決め部材が、前記上下駆動装置の駆動により、折り曲げられる畳表に対して当接する位置まで下降するように構成され、
前記位置決め部材が折り曲げられる畳表に対して当接する位置まで下降した状態で、前記折り曲げ部材によって、畳表の側辺を内側に折り曲げるように構成されていることを特徴とする。
【0023】
このように構成することによって、畳床の側辺形状に合わせて、第1の位置決め板と第2の位置決め板とのなす角度が所定の角度になるように、位置決め部材の第1の位置決め板と第2の位置決め板とを、仮想中心軸を中心に回動させるようになっている。
【0024】
そして、このように、畳床の側辺形状に合わせて、所定の角度に位置決めされた位置決め部材が、上下駆動装置の駆動により、折り曲げられる畳表に対して当接する位置まで下降する。
【0025】
このように、位置決め部材が折り曲げられる畳表に対して当接する位置まで下降した状態で、折り曲げ部材によって、畳表の側辺を内側に折り曲げるように構成されている。
【0026】
従って、畳表を、イ草の茎を畳床に沿う方向(イ草の向き)に折り曲げることができ、しかも、畳表の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)を、畳床の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)に合わせて、くの字形状に凹んだ形状や、くの字形状に突設したくせの形状に合致した形状に折り曲げることができる非常に便利で汎用性に優れ、作業効率も向上した畳表折り曲げ装置を提供することができる。
【0027】
また、このように、畳表の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)を、畳床の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)に合わせて、くの字形状に凹んだ形状や、くの字形状に突設したくせの形状に合致した形状に折り曲げることができるので、折り目(折り癖)がしっかりと付き、角が丸くなってしまうことがなく、畳床の側面に折り曲げた部分を固定する際にも、いわゆる浮いた状態となることなくしっかりと固定でき、見栄えが良好で商品価値が高い縁無し畳を製造することのできる畳表折り曲げ装置を提供することができる。
【0028】
また、本発明の畳表折り曲げ装置は、前記位置決め部材の第1の位置決め板と第2の位置決め板が、折り曲げられる畳表に対して、垂直に配置された板部材から構成されていることを特徴とする。
【0029】
このように、位置決め部材の第1の位置決め板と第2の位置決め板が、折り曲げられる畳表に対して、垂直に配置された板部材から構成されていても良い。
【0030】
また、本発明の畳表折り曲げ装置は、前記位置決め部材の第1の位置決め板と第2の位置決め板が、折り曲げられる畳表に対して、平行に配置された板部材から構成されていることを特徴とする。
【0031】
このように、位置決め部材の第1の位置決め板と第2の位置決め板が、折り曲げられる畳表に対して、平行に配置された板部材から構成されていても良い。
【0032】
また、本発明の畳表折り曲げ装置は、前記折り曲げ部材が、前記位置決め部材に対して、離接する方向に移動可能な折り曲げ部材から構成されていることを特徴とする。
【0033】
このように構成することによって、位置決め部材に対して、離接する方向に移動可能な折り曲げ部材によって、位置決め部材を位置決め部材に対して当接させることにより、畳床の側辺形状に合わせて、所定の角度に位置決めされた位置決め部材に沿って、畳表を、イ草の茎を畳床に沿う方向(イ草の向き)に折り曲げることができる。
【0034】
これにより、畳表の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)を、畳床の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)に合わせて、くの字形状に凹んだ形状や、くの字形状に突設したくせの形状に合致した形状に折り曲げることができる。
【0035】
また、本発明の畳表折り曲げ装置は、前記折り曲げ部材が、前記位置決め部材に対して、上下方向に移動可能な折り曲げ部材から構成されていることを特徴とする。
【0036】
このように、折り曲げ部材が、前記位置決め部材に対して、上下方向に移動可能な折り曲げ部材から構成されていても良い。
【0037】
また、本発明の畳表折り曲げ装置は、
前記折り曲げ部材が、仮想中心軸を中心に、相互に角度移動可能な第1の折り曲げ板と第2の折り曲げ板とから構成され、
畳床の側辺形状に合わせて、第1の折り曲げ板と第2の折り曲げ板とのなす角度が所定の角度になるように、前記折り曲げ部材の第1の折り曲げ板と第2の折り曲げ板とを、仮想中心軸を中心に回動させるように構成されていることを特徴とする。
【0038】
このように構成することによって、畳床の側辺形状に合わせて、第1の折り曲げ板と第2の折り曲げ板とのなす角度が所定の角度になるように、折り曲げ部材の第1の折り曲げ板と第2の折り曲げ板とを、仮想中心軸を中心に回動させるようになっている。
【0039】
これにより、第1の折り曲げ板と第2の折り曲げ板とのなす角度が所定の角度になった折り曲げ部材によって、畳表の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)を、畳床の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)に合わせて、くの字形状に凹んだ形状や、くの字形状に突設したくせの形状に合致した形状に折り曲げることができる。
【0040】
また、本発明の畳表折り曲げ装置は、前記折り曲げられる畳表は、畳表単独で内側に折り曲げられる畳表であることを特徴とする。
【0041】
このように、折り曲げられる畳表は、畳表単独で内側に折り曲げられる畳表であっても良い。
【0042】
このように構成することによって、畳表のみを予め、所定のサイズに切断して、畳表のイ草の茎を畳床に沿う方向(イ草の向き)に折り曲げることができ、様々な種類、畳床と畳表の組み合わせ、サイズに対応することができ、非常に便利である。
【0043】
また、本発明の畳表折り曲げ装置は、前記折り曲げられる畳表は、畳表の裏面に畳床を載置した状態で、畳床の側辺に対して、畳表の側辺を内側に折り曲げられる畳表であることを特徴とする。
【0044】
このように、折り曲げられる畳表は、畳表の裏面に畳床を載置した状態で、畳床の側辺に対して、畳表の側辺を内側に折り曲げられる畳表であっても良い。
【0045】
このように構成することによって、畳表の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)を、畳床の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)に合わせて、くの字形状に凹んだ形状や、くの字形状に突設したくせの形状に合致した形状に折り曲げることができる非常に便利で汎用性に優れ、作業効率も向上した畳表折り曲げ装置を提供することができる。
【0046】
また、本発明の畳表折り曲げ装置は、前記畳床の側辺に対して、畳表の側辺を内側に折り曲げられる際に、畳表を畳床の側辺に固着するように構成されていることを特徴とする。
【0047】
このように構成することによって、畳表の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)を、畳床の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)に合わせて、くの字形状に凹んだ形状や、くの字形状に突設したくせの形状に合致した形状に折り曲げると同時に、畳表を畳床の側辺に固着することができ、一貫生産が可能で便利である。
【0048】
また、本発明の畳表折り曲げ装置は、
前記上下駆動装置の駆動により、折り曲げられる畳表に対して当接する直前の僅かに畳表から離間した位置まで下降するように構成され、
前記畳表から離間した位置で、畳表の突出先端を挟持して、畳表の裏面に畳床を載置した状態で、畳床の側辺から離間する方向に移動させる挟持移動装置を備え、
前記挟持移動装置の作動により、畳床の側辺と、位置決め部材とを当接させることにより、畳床の側辺形状に合わせて、第1の位置決め板と第2の位置決め板とのなす角度が所定の角度になるように、前記位置決め部材の第1の位置決め板と第2の位置決め板とを、仮想中心軸を中心に回動させるように構成されていることを特徴とする。
【0049】
このように、上下駆動装置の駆動により、折り曲げられる畳表に対して当接する直前の僅かに畳表から離間した位置まで下降するように構成されている。
【0050】
そして、このように畳表から離間した位置で、挟持移動装置の作動によって、畳表の突出先端を挟持して、畳表の裏面に畳床を載置した状態で、畳床の側辺から離間する方向に移動させるようになっている。
【0051】
これにより、畳床の側辺と、位置決め部材とを当接させることにより、畳床の側辺形状に合わせて、第1の位置決め板と第2の位置決め板とのなす角度が所定の角度になるように、位置決め部材の第1の位置決め板と第2の位置決め板とを、仮想中心軸を中心に回動させることができる。
【0052】
従って、例えば、数値制御などを必要とせず、簡単な構造で、第1の位置決め板と第2の位置決め板とのなす角度を所定の角度にすることができ、便利である。
【0053】
また、本発明の畳表折り曲げ装置は、
前記位置決め部材を水平方向に移動させる水平移動装置を備え、
前記上下駆動装置の駆動により、折り曲げられる畳表に対して当接する直前の僅かに畳表から離間した位置まで下降するように構成され、
前記畳表から離間した位置で、前記水平移動装置の作動によって、畳床の側辺と、位置決め部材とを当接させることにより、畳床の側辺形状に合わせて、第1の位置決め板と第2の位置決め板とのなす角度が所定の角度になるように、前記位置決め部材の第1の位置決め板と第2の位置決め板とを、仮想中心軸を中心に回動させるように構成されていることを特徴とする。
【0054】
このように、下駆動装置の駆動により、折り曲げられる畳表に対して当接する直前の僅かに畳表から離間した位置まで下降するように構成されている。
【0055】
そして、このように畳表から離間した位置で、水平移動装置の作動によって、畳床の側辺と、位置決め部材とを当接させることにより、畳床の側辺形状に合わせて、第1の位置決め板と第2の位置決め板とのなす角度が所定の角度になるように、前記位置決め部材の第1の位置決め板と第2の位置決め板とを、仮想中心軸を中心に回動させるように構成されている。
【0056】
従って、簡単な構造で、第1の位置決め板と第2の位置決め板とのなす角度を所定の角度にすることができ、便利である。
【0057】
また、本発明の畳表折り曲げ装置は、前記第1の位置決め板と第2の位置決め板とから構成される位置決め部材が、畳表の側辺に沿って複数個配置されていることを特徴とする。
【0058】
このように、第1の位置決め板と第2の位置決め板とから構成される位置決め部材が、畳表の側辺に沿って複数個配置されているので、図20に示したように、例えば、小間中のように、、畳床の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)に合わせて、複数のくの字形状に凹んだ形状や、複数のくの字形状に突設したくせの形状に合致した形状に一度で折り曲げることができる。
【0059】
また、本発明の畳表折り曲げ装置は、前記第1の折り曲げ板と第2の折り曲げ板とから構成される折り曲げ部材が、畳表の側辺に沿って複数個配置されていることを特徴とする。
【0060】
このように、第1の折り曲げ板と第2の折り曲げ板とから構成される折り曲げ部材が、畳表の側辺に沿って複数個配置されているので、図20に示したように、例えば、小間中のように、、畳床の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)に合わせて、複数のくの字形状に凹んだ形状(図20(A))や、複数のくの字形状に突設したくせの形状(図20(B))に合致した形状に一度で折り曲げることができる。
【0061】
また、本発明の畳表折り曲げ装置は、前述のいずれかに記載の畳表折り曲げ装置が、畳床の上前側、下前側に対応して、上前側、下前側に配置されていることを特徴とする。
【0062】
このように、畳表折り曲げ装置が、畳床の上前側、下前側に対応して、上前側、下前側に配置されているので、畳表の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)を、畳床の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)に合わせて、くの字形状に凹んだ形状や、くの字形状に突設したくせの形状に合致した形状に、上前側と下前側を同時に折り曲げることができる。
【0063】
従って、例えば、畳廊下、縁側に敷き詰める場合に、図19(A)に示したように、畳床206の側辺(上前側の側辺206aと下前側の側辺206b)が、くの字形状に凹んだ形状や、図19(B)に示したように、畳床206の側辺(上前側の側辺206aと下前側の側辺206b)が、くの字形状に突設したくせが存在する場合にも、上前側と下前側を同時に折り曲げることができ、畳床を180度回転するなどの工程が不要で、工程が少なくなりコストも低減でき、非常に便利である。
【発明の効果】
【0064】
本発明によれば、畳床の側辺形状に合わせて、第1の位置決め板と第2の位置決め板とのなす角度が所定の角度になるように、位置決め部材の第1の位置決め板と第2の位置決め板とを、仮想中心軸を中心に回動させるようになっている。
【0065】
そして、このように、畳床の側辺形状に合わせて、所定の角度に位置決めされた位置決め部材が、上下駆動装置の駆動により、折り曲げられる畳表に対して当接する位置まで下降する。
【0066】
このように、位置決め部材が折り曲げられる畳表に対して当接する位置まで下降した状態で、折り曲げ部材によって、畳表の側辺を内側に折り曲げるように構成されている。
【0067】
従って、畳表を、イ草の茎を畳床に沿う方向(イ草の向き)に折り曲げることができ、しかも、畳表の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)を、畳床の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)に合わせて、くの字形状に凹んだ形状や、くの字形状に突設したくせの形状に合致した形状に折り曲げることができる非常に便利で汎用性に優れ、作業効率も向上した畳表折り曲げ装置を提供することができる。
【0068】
また、このように、畳表の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)を、畳床の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)に合わせて、くの字形状に凹んだ形状や、くの字形状に突設したくせの形状に合致した形状に折り曲げることができるので、折り目(折り癖)がしっかりと付き、角が丸くなってしまうことがなく、畳床の側面に折り曲げた部分を固定する際にも、いわゆる浮いた状態となることなくしっかりと固定でき、見栄えが良好で商品価値が高い縁無し畳を製造することのできる畳表折り曲げ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1図1は、本発明の畳表折り曲げ装置の概略を模式的に示す分解斜視図である。
図2図2は、図1のI方向の部分拡大側面図である。
図3図3は、図1の第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bの部分拡大断面図である。
図4図4は、本発明の畳表折り曲げ装置の作動の概略を説明するフローチャートである。
図5図5は、本発明の畳表折り曲げ装置の作動の概略を説明する概略図である。
図6図6は、本発明の畳表折り曲げ装置の作動の概略を説明する概略図である。
図7図7は、本発明の畳表折り曲げ装置の作動の概略を説明する概略図である。
図8図8は、本発明の畳表折り曲げ装置の作動の概略を説明する概略図である。
図9図9は、本発明の畳表折り曲げ装置の作動の概略を説明する概略図である。
図10図10は、本発明の畳表折り曲げ装置の作動の概略を説明する概略図である。
図11図11は、本発明の畳表折り曲げ装置の作動の概略を説明する概略図である。
図12図12は、本発明の畳表折り曲げ装置の作動の概略を説明する概略図である。
図13図13は、本発明の畳表折り曲げ装置の別の実施例を示す概略図である。
図14図14は、本発明の畳表折り曲げ装置の別の実施例を示す概略図である。
図15図15は、本発明の畳表折り曲げ装置の別の実施例を示す概略図である。
図16図16は、本発明の畳表折り曲げ装置の別の実施例を示す概略図である。
図17図17は、本発明の畳表折り曲げ装置の別の実施例を示す図1と同様な本発明の畳表折り曲げ装置の概略を模式的に示す分解斜視図である。
図18図18は、本発明の畳表折り曲げ装置の別の実施例を示す本発明の畳表折り曲げ装置の作動の概略を説明するフローチャートである。
図19図19は、畳床206の側辺(上前側の側辺206aと下前側の側辺206b)のくせ概略を模式的に示す分解斜視図である。
図20図20は、畳の状態を説明する上面図である。
図21図21は、縁無し畳201を製造する方法を説明する斜視図である。
図22図22は、畳表200の折り曲げ状態を説明する斜視図である。
図23図23は、畳を敷き詰めた状態を説明する上面図である。
図24図24は、従来の特許文献1の畳表折り曲げ装置300を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
(実施例1)
【0071】
図1は、本発明の畳表折り曲げ装置の概略を模式的に示す分解斜視図、図2は、図1のI方向の部分拡大側面図、図3は、図1の第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bの部分拡大断面図、図4は、本発明の畳表折り曲げ装置の作動の概略を説明するフローチャート、図5図12は、本発明の畳表折り曲げ装置の作動の概略を説明する概略図、図13図16は、本発明の畳表折り曲げ装置の別の実施例を示す概略図である。
【0072】
図1において、符号10は、全体で本発明の畳表折り曲げ装置を示している。
【0073】
本発明の畳表折り曲げ装置10は、いわゆる「縁無し畳」を製造するためのものであって、図22に示したように、畳表200のイ草の茎を畳床に沿う方向(イ草の向き)Aに、畳表200の側辺202を畳床の側面に沿うように折り曲げるためのものである。
【0074】
なお、図22においては、説明の便宜上、畳表200のイ草の織目は省略して示している。
【0075】
なお、図示しないが、畳床は、通常、表面側が広く、裏面側が狭く形成されている。
【0076】
また、本発明の畳表折り曲げ装置10において、畳表200の被折り曲げ側辺である畳表200の側辺202とは、畳表200が、1畳用の場合には、畳表200の長手方向の辺を、半畳用では、框側の側辺204と直角または略直角な辺を言う。
【0077】
また、本発明の畳表折り曲げ装置10の対象とする畳表200は、例えば、天然のイ草からなる畳表200、和紙製のイ草からなる畳表200、また、樹脂製のイ草からなる畳表200など全ての畳表に適用することができる。
【0078】
さらに、例えば、畳廊下、縁側に敷き詰める場合には、図19(A)に示したように、畳床206の側辺(上前側の側辺206aと下前側の側辺206b)が、くの字形状に凹んだ形状や、図19(B)に示したように、くの字形状に突設したくせが存在する場合がある。
【0079】
なお、図19(C)に示したように、、畳床206の下前側の側辺206bのみが、一般の居室の敷居の形状に対応して、くの字形状に突設したくせが存在する場合もある。なお、説明の便宜上、このようなくせを大きく拡大して示している。
【0080】
本発明の畳表折り曲げ装置10の対象とする畳表200は、このような場合に特に対応することができるように構成されている。
【0081】
図1においては、説明の便宜上、架台フレームなどの公知の畳表折り曲げ装置の構成部材を省略して図示している。
【0082】
本発明の畳表折り曲げ装置10は、第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bとから構成される位置決め部材12を備えている。
【0083】
なお、位置決め部材12の第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bが、折り曲げられる畳表200に対して、垂直に配置された板部材から構成されている。
【0084】
図1図2に示したように、これらの第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bは、載置台11に載置した畳表200(畳床206)に対して、垂直な方向に立設された板状部材から構成されている。
【0085】
これらの第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bは、仮想中心軸Pを中心に、相互に角度移動可能な構成となっている。
【0086】
すなわち、この実施例の場合には、第1の位置決め板12aの上部に、水平方向の第1の上板部14aが形成され、この第1の上板部14aの一方の端部に、回動軸16cが立設されている。また、第1の上板部14aの他方の端部に、第1の駆動軸16aが立設されている。
【0087】
一方、第2の位置決め板12bの上部に、水平方向の第2の上板部14bが形成され、この第2の上板部14bの一方の端部に、上記の回動軸16cが挿通される回動軸穴16dが形成されている。また、第2の上板部14bの他方の端部に、第2の駆動軸16bが立設されている。
【0088】
従って、この実施例では、回動軸16cと回動軸穴16dとが、仮想中心軸Pを構成しており、図1の矢印Bで示したように、第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bは、仮想中心軸Pを中心に、相互に角度移動可能(回動可能)な構成となっている。
【0089】
なお、図3の上面図に示したように、第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bの隣接する部分には、それぞれ、テーパー形状の切欠部12c、12dが形成されている。これは、図3に示した矢印C方向に、第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bとが、互に自由に角度移動可能にするためである。
【0090】
さらに、図1図2に示したように、これらの第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bとから構成される位置決め部材12の上方には、図示しない架台フレームに固定された上下駆動装置18が備えられている。上下駆動装置18は、位置決め部材12を、折り曲げられる畳表200に対して、上下に移動可能にするように構成されている。
【0091】
この上下駆動装置18は、断面略L字形状の移動フレーム20を備えている。この移動フレーム20は、水平方向の水平フレーム22と、垂直方向の垂直フレーム24とから構成されている。この垂直方向の垂直フレーム24が、図示しない架台フレームに、垂直フレーム24の裏側に形成された、図示しない、例えば、LMガイドなどの案内部材によって、架台フレームに形成された図示しない、上下方向の案内レールに沿って、図1の矢印D方向に、上下方向に移動できるように装着されている。
【0092】
また、水平フレーム22には、一方の端部に、第1の位置決め板12aの第1の駆動軸16aが挿通される、略円弧形状のスリット形状の第1の回動用穴部22aが形成されている。
【0093】
この場合、図示しないが、第1の回動用穴部22aに挿通された第1の位置決め板12aの第1の駆動軸16aの先端には、固定用部材が装着されて、第1の位置決め板12a(第1の駆動軸16a)が、第1の回動用穴部22aから抜け落ちるのが防止されるように構成されている。
【0094】
一方、同様に、水平フレーム22には、他方の端部に、第2の位置決め板12bの第2の駆動軸16bが挿通される、略円弧形状のスリット形状の第2の回動用穴部22bが形成されている。
【0095】
この場合、図示しないが、第2の回動用穴部22bに挿通された第2の位置決め板12bの第2の駆動軸16bの先端には、固定用部材が装着されて、第2の位置決め板12b(第1の駆動軸16a)が、第2の回動用穴部22bから抜け落ちるのが防止されるように構成されている。
【0096】
さらに、水平フレーム22には、その中央部分に、第1の上板部14aの回動軸16cが挿通される軸支穴22cが形成されている。
【0097】
この場合、図示しないが、軸支穴22c挿通された第1の上板部14aの回動軸16cの先端には、固定用部材が装着されて、第1の上板部14aの回動軸16cが、軸支穴22cから抜け落ちるのが防止されるように構成されている。
【0098】
また、図1図2に示したように、垂直フレーム24には、第1のピボット軸26aを介して、第1のレバー部材28aが連結されている。同様に、垂直フレーム24には、第2のピボット軸26bを介して、第2のレバー部材28bが連結されている。
【0099】
そして、第1のレバー部材28aの他端が、第1の駆動ピボット30aを介して、駆動フレーム30に連結されている。同様に、第2のレバー部材28bの他端が、第2の駆動ピボット30bを介して、駆動フレーム30に連結されている。
【0100】
この駆動フレーム30は、、図示しない架台フレームに、駆動フレーム30の裏側に形成された、図示しない、例えば、LMガイドなどの案内部材によって、架台フレームに形成された図示しない、水平方向の案内レールに沿って、図1の矢印E方向に、水平方向に移動できるように装着されている。
【0101】
そして、駆動フレーム30の基端部は、ピボット軸32を介して、図示しない架台フレームに固定された駆動シリンダー34の駆動軸36に連結されている。
【0102】
また、図1図2に示したように、第1の位置決め板12aの上部の、水平方向の第1の上板部14aの一端には、例えば、バネ部材などの付勢部材、シリンダー機構などからなる第1の位置決め機構38aが設けられている。同様に、第2の位置決め板12bの上部の、水平方向の第2の上板部14bの一端には、例えば、バネ部材などの付勢部材、シリンダー機構などからなる第2の位置決め機構38bが設けられている。
【0103】
これにより、これらの第1の位置決め機構38a、第2の位置決め機構38bによって、図3に示したように、第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12とのなす角度αが、所定の角度になるように制御されるようになっている。
【0104】
なお、図1図2に示したように、この実施例では、第1の位置決め機構38a、第2の位置決め機構38bを、バネ部材などの付勢部材から構成した実施例について、図示している。
【0105】
一方、図1図2に示したように、載置台11には、畳表200の裏面205が上向きになるように、畳表200が載置されるとともに、畳床206の裏面212が上向きになるように載置されている。
【0106】
また、この畳床206と畳表200とは、予め所定の位置関係となるように、相互に接着されたり、畳床206の框206cに畳表200側辺204を固定する工程を実施することにより、畳床206の側面208(この実施例では、下前側の側辺206b)から、一定幅だけ畳表200の側辺202が突設した状態となっている。
【0107】
また、図2に示したように、図示しない架台フレームに固定された、例えば、駆動シリンダーなどの上下駆動機構40によって、押さえ部材42が上下に移動して、畳床206を押さえることが出来るように構成されている。
【0108】
さらに、図1図2に示したように、後述するように、第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bとから構成される位置決め部材12は、上下駆動装置18の駆動により、折り曲げられる畳表200に対して当接する直前の僅かに畳表200から離間した位置まで下降するように構成されている。
【0109】
そして、第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bとから構成される位置決め部材12の下端が、畳表200から離間した位置で、畳表200の突出先端(この実施例では、下前側側辺202b)を挟持して、畳表200の裏面205に畳床206を載置した状態で、図示しない、例えば、シリンダー機構などの駆動機構によって、畳床206の側面208(この実施例では、下前側の側辺206b)から離間する方向(図1図2の矢印E方向)に移動させる挟持移動装置44を備えている。
【0110】
この挟持移動装置44は、図1図2に示したように、板形状の上方挟持部材44aと、板形状の下方挟持部材44bとから構成されている。これらの上方挟持部材44aと、板形状の下方挟持部材44bとは、図示しない、例えば、シリンダー機構などの駆動機構によって、開閉することが出来るように構成されている。
【0111】
さらに、この挟持移動装置44の、図1において手前側には、畳表200の側辺202を内側に折り曲げるための折り曲げ部材46が備えられている。
【0112】
すなわち、この実施例では、位置決め部材12(第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12b)に対して、離接する方向(図1図2の矢印F方向)に移動可能な折り曲げ部材46から構成されている。
【0113】
また、折り曲げ部材46は、図1に示したように、仮想中心軸Qを中心に、相互に角度移動可能な第1の折り曲げ板46aと、第2の折り曲げ板46bとから構成されている。
【0114】
また、第1の折り曲げ板46aは、その両端に形成された、それぞれのピボット軸48を介して、例えば、シリンダー機構などの2つの駆動機構50に連結されている。
【0115】
同様に、第2の折り曲げ板46bは、その両端に形成された、それぞれのピボット軸52を介して、例えば、シリンダー機構などの2つの駆動機構54に連結されている。
【0116】
これらの駆動機構50、54を、図示しない制御装置の制御によって駆動することによって、畳床206の側辺形状に合わせて、第1の折り曲げ板46aと第2の折り曲げ板46bとのなす角度が所定の角度βになるように、折り曲げ部材46の第1の折り曲げ板46aと第2の折り曲げ板46bとを、仮想中心軸Qを中心に回動させることができるようになっている。
【0117】
なお、折り曲げ部材46の第1の折り曲げ板46aと第2の折り曲げ板46bとを、仮想中心軸Qを中心に回動させる構造としては、上記のような駆動機構50、54を採用する他、その他の周知の機構を採用することももちろん可能である。
【0118】
また、前述した位置決め部材12の第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12と同様に、第1の折り曲げ板46aと第2の折り曲げ板46bの隣接する部分には、それぞれ、テーパー形状の切欠部46c、46dが形成されている。
【0119】
これにより、これは、図1に示した矢印G方向に、第1の折り曲げ板46aと第2の折り曲げ板46bとが、互に自由に角度移動可能なように構成されている。
【0120】
このように構成される本発明の畳表折り曲げ装置10の作動について、図4図12に基づいて、以下に説明する。
【0121】
先ず、ステップS1において、図1図5に示したように、載置台11に、畳表200の裏面205が上向きになるように、畳表200が載置されるとともに、畳床206の裏面212が上向きになるように、所定の位置に載置する。
【0122】
また、この畳床206と畳表200とは、予め所定の位置関係となるように、相互に接着されたり、畳床206の框206cに畳表200側辺204を固定する工程を実施することにより、畳床206の側面208(この実施例では、下前側の側辺206b)から、一定幅だけ畳表200の側辺202が突設した状態となっている。
【0123】
次に、ステップS2において、図6に示したように、上下駆動装置18を駆動して、第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bとから構成される位置決め部材12を、折り曲げられる畳表200に対して当接する直前の僅かに畳表200から離間した位置まで下降させる。
【0124】
なお、この下降リミットは、図示しない、例えば、光センサーなどのセンサーによって、検知して、図示しない制御装置によって制御されるようになっている。
【0125】
具体的には、駆動シリンダー34を作動させて、駆動シリンダー34の駆動軸36を伸張する方向に駆動させて、駆動軸36に連結された駆動フレーム30を、図1の矢印E方向に、水平方向に移動させる。
【0126】
これにより、第1のレバー部材28a、第2のレバー部材28bが、図1の矢印Hで示したように、反時計方向に回動する。これらの第1のレバー部材28a、第2のレバー部材28bの回動に伴って、移動フレーム20が下方に移動する。
【0127】
この移動フレーム20の下方への移動に伴って、第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bとから構成される位置決め部材12が、前述した位置まで下降するように構成されている。
【0128】
この状態で、すなわち、第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bとから構成される位置決め部材12の下端が、畳表200から離間した位置で、ステップS3において、図7に示したように、挟持移動装置44を作動させる。
【0129】
すなわち、第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bとから構成される位置決め部材12の下端が、畳表200から離間した位置で、上方挟持部材44aと、下方挟持部材44bを閉止して、畳表200の突出先端(この実施例では、下前側側辺202b)を挟持するようにする。
そして、畳表200の裏面205に畳床206を載置した状態で、畳床206の側面208(この実施例では、下前側の側辺206b)から離間する方向(図1図2図7の矢印J方向)に移動させる。
【0130】
これにより、ステップS4において、図8に示したように、位置決め部材12の第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bが、畳床206の側辺(この実施例では、下前側の側辺206b)に当接することによって、バネ部材などの付勢部材から構成される第1の位置決め機構38a、第2の位置決め機構38bの付勢力に抗して、第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12とのなす角度αが、くせの形状に合致して、所定の角度αになる。
【0131】
そして、次に、ステップS5において、図9に示したように、上下駆動機構40を作動させて、押さえ部材42を下降させて、畳床206の裏面212を押さえる。
【0132】
なお、この場合、図8(A)に示したように、くせの形状は、くの字形状に凹んだ形状や、図8(B)に示したように、くの字形状に突設したくせにも対応できるように、予め、位置決め部材12の第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bのなす角度を僅かに180度から図8において、上方側に位置するようにしておけば良い。
【0133】
そして、この状態になった後、上方挟持部材44aと、下方挟持部材44bとを離間させて開放する。
【0134】
この状態で、ステップS6において、図10に示したように、上下駆動装置18を駆動して、第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bとから構成される位置決め部材12を、折り曲げられる畳表200に対して当接する位置まで下降させる。
【0135】
これにより、第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bの下端によって、畳表200を押し潰して、折り曲げ線(折り曲げ筋)203を付けて、ある程度、畳表200の突出する側辺202(この実施例では、下前側側辺202b)を上方に折り曲げることができるようになっている。
【0136】
なお、この場合、このような畳表200の突出する側辺202の僅かな上方への折り曲げが出来ない場合には、作業員が手である程度上方に折り曲げるか、例えば、別途、図示しない押し上げ部材で、畳表200の突出する側辺202を僅かに上方への折り曲げるようにすれば良い。
【0137】
この状態で、ステップS7において、図11に示したように、折り曲げ部材46の駆動機構50、54を、図示しない制御装置の制御によって駆動することによって、畳床206の側辺形状に合わせて、折り曲げ部材46の第1の折り曲げ板46aと第2の折り曲げ板46bとのなす角度が所定の角度βになるように、折り曲げ部材46の第1の折り曲げ板46aと第2の折り曲げ板46bとを、仮想中心軸Qを中心に回動させる。
【0138】
なお、この場合の所定角度βは、第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12とのなす角度αとなるように、図示しない制御装置によって制御されるようになっている。
【0139】
次に、ステップS8において、図12の矢印に示したように、図示しない駆動機構によって、第1の折り曲げ板46aと第2の折り曲げ板46bから構成される折り曲げ部材46を、ある程度上方に折り曲げられた畳表200の突出する側辺202(この実施例では、下前側側辺202b)に当接する方向に移動させる。
【0140】
これによって、畳表200の突出する側辺202(この実施例では、下前側側辺202b)が、折り曲げ部材46の第1の折り曲げ板46aと第2の折り曲げ板46bと、位置決め部材12の第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bとの間に挟まれて、畳表200の側辺202を内側に(垂直に)折り曲げることができるようになっている。
【0141】
なお、ステップS5の押さえ部材42の下降と、ステップS6の位置決め部材12の当接位置までの下降は、同時に行うことも、逆の順番で行うことも可能である。
【0142】
このように構成される本発明の畳表折り曲げ装置10では、上記のステップS1~ステップS8の作動が繰り返し行われるようになっている。
【0143】
なお、この実施例では、畳表200の側辺202として、下前側側辺202bを、畳床206の下前側の側辺206bの形状に沿って曲げる場合を示したが、畳表200の側辺202として、上前側側辺202aを、畳床206の上前側の側辺206aの形状に沿って曲げる場合にも適用することができる。
【0144】
このように構成される本発明の畳表折り曲げ装置10によれば、畳床の側辺形状に合わせて、位置決め部材12の第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bとのなす角度が所定の角度αになるように、位置決め部材12の第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bとを、仮想中心軸Pを中心に回動させるようになっている。
【0145】
そして、このように、畳床206の側辺(この実施例では、下前側の側辺206b)の形状に合わせて、所定の角度αに位置決めされた位置決め部材12が、上下駆動装置18の駆動により、折り曲げられる畳表200に対して当接する位置まで下降する。
【0146】
このように、位置決め部材12(第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12b)が折り曲げられる畳表200に対して当接する位置まで下降した状態で、折り曲げ部材46(第1の折り曲げ板46aと第2の折り曲げ板46b)によって、畳表の側辺を内側に折り曲げるように構成されている。
【0147】
従って、畳表200を、イ草の茎を畳床に沿う方向(イ草の向き)に折り曲げることができ、しかも、畳表200の側辺202(上前側の側辺202aと下前側の側辺202b)を、畳床206の側辺(上前側の側辺206aと下前側の側辺206b)に合わせて、くの字形状に凹んだ形状や、くの字形状に突設したくせの形状に合致した形状に折り曲げることができる非常に便利で汎用性に優れ、作業効率も向上した畳表折り曲げ装置10を提供することができる。
【0148】
また、このように、畳表200の側辺202(上前側の側辺202aと下前側の側辺202b)を、畳床206の側辺(上前側の側辺206aと下前側の側辺206b)に合わせて、くの字形状に凹んだ形状や、くの字形状に突設したくせの形状に合致した形状に折り曲げることができるので、折り目(折り癖)がしっかりと付き、角が丸くなってしまうことがなく、畳床206の側面208に折り曲げた部分を固定する際にも、いわゆる浮いた状態となることなくしっかりと固定でき、見栄えが良好で商品価値が高い縁無し畳を製造することのできる畳表折り曲げ装置10を提供することができる。
【0149】
さらに、畳床206の側辺202(上前側の側辺202aと下前側の側辺202b)の形状に合わせて、折り曲げ部材46の第1の折り曲げ板46aと第2の折り曲げ板46bとのなす角度が所定の角度βになるように、折り曲げ部材46の第1の折り曲げ板46aと第2の折り曲げ板46bとを、仮想中心軸Qを中心に回動させるようになっている。
【0150】
これにより、第1の折り曲げ板46aと第2の折り曲げ板46bのなす角度が所定の角度βになった折り曲げ部材46によって、畳表200の側辺202(上前側の側辺202aと下前側の側辺202b)を、畳床206の側辺(上前側の側辺206aと下前側の側辺206b)に合わせて、くの字形状に凹んだ形状や、くの字形状に突設したくせの形状に合致した形状に折り曲げることができる。
【0151】
また、上下駆動装置18の駆動により、折り曲げられる畳表200に対して当接する直前の僅かに畳表200から離間した位置まで下降するように構成されている。
【0152】
そして、このように畳表200から離間した位置で、挟持移動装置44の作動によって、畳表200の突出先端を挟持して、畳表200の裏面205に畳床206を載置した状態で、畳床206の側辺から離間する方向に移動させるようになっている。
【0153】
これにより、畳床206の側辺(上前側の側辺206aと下前側の側辺206b)と、位置決め部材12(第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12b)とを当接させることにより、畳床206の側辺(上前側の側辺206aと下前側の側辺206b)の形状に合わせて、第1の位置決め板と第2の位置決め板とのなす角度が所定の角度になるように、位置決め部材12の第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bとを、仮想中心軸Pを中心に回動させることができる。
【0154】
従って、例えば、数値制御などを必要とせず、簡単な構造で、第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bとのなす角度αを所定の角度にすることができ、便利である。
【0155】
なお、この実施例では、畳表200から離間した位置で、挟持移動装置44の作動によって、畳表200の突出先端を挟持して、畳表200の裏面205に畳床206を載置した状態で、畳床206の側辺から離間する方向に移動させるように構成した。
【0156】
しかしながら、このような挟持移動装置44を用いずに、第1の位置決め機構38a、第2の位置決め機構38bを、図1の実施例のように、バネ部材などの付勢部材ではなく、図示しないが、シリンダー機構などの駆動機構(水平移動装置)から構成して、図示しない制御装置の制御により、第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bとのなす角度αを所定の角度にすることもできる。
【0157】
この場合には、上下駆動装置18の駆動により、折り曲げられる畳表200に対して当接する直前の僅かに畳表200から離間した位置まで下降するステップS2を省略すれば良い。
【0158】
さらに、本発明の畳表折り曲げ装置10は、畳床206の側辺(上前側の側辺206aと下前側の側辺206b)に対して、畳表200の側辺202(上前側の側辺202aと下前側の側辺202b)を内側に折り曲げられる際に、畳表200を畳床206の側辺に固着するように構成しても良い。
【0159】
この固着は、例えば、縫着したり、接着剤、タッカー、両面テープなどを用いれば良い。
【0160】
このように構成することによって畳表200の側辺202(上前側の側辺202aと下前側の側辺202b)を、畳床206の側辺(上前側の側辺206aと下前側の側辺206b)に合わせて、くの字形状に凹んだ形状や、くの字形状に突設したくせの形状に合致した形状に折り曲げると同時に、畳表200を畳床206の側辺に固着することができ、一貫生産が可能で便利である。
【0161】
なお、図示しないが、折り曲げ部材46(第1の折り曲げ板46aと第2の折り曲げ板46b)には、折り曲げ部材46(第1の折り曲げ板46aと第2の折り曲げ板46b)を加熱するための、例えば、シーズヒーターなどからなるヒーターを備えていても良い。
【0162】
このヒーターは、畳表200が、例えば、樹脂製のイ草から構成されている場合に、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)を折り曲げる際に、折り曲げ線203の近傍を加熱して柔らかくして、この折り曲げ線203からの折り曲げを容易にするためのものである。
【0163】
なお、このヒーターとしては、特に限定されるものではなく、公知のヒーターを採用することができる。この場合、加熱温度も特に限定されるものでなく、樹脂製のイ草の種類に応じて適宜設定すればよく、例えば、120℃に設定することができる。
【0164】
なお、この実施例では、折り曲げ部材46に、ヒーターを設けたが、このようなヒーターは、折り曲げ部材46、図1図3に説明した位置決め部材12のうち、少なくとも一方に設けることも可能であることはもちろんである。
【0165】
さらに、図示しないが、必要に応じて、折りぐせ線形成手段を設けておき、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)を折り曲げる折り曲げ線203に沿って、折り曲げを容易にする折りぐせ線を形成するようにしても良い。
【0166】
このような折りぐせ線形成手段としては、例えば、けびきローラからなるけびき部材、例えば、電熱ごてからなる加熱けびき部材を採用することができる。
【0167】
この場合、畳表200が、例えば、天然のイ草からなる畳表200、和紙製のイ草からなる畳表200の場合には、けびき部材による折りぐせ線の形成で十分であるが、樹脂製のイ草からなる畳表200などでは、けびき部材と加熱けびき部材を併用するのが望ましい。
【0168】
このように構成することによって、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)を折り曲げる際に、折り曲げ線203の近傍を加熱して柔らかくして、畳表200の折り曲げ線203を支点として内側に折り曲げる際に、折り曲げが容易となり、畳表200の被折り曲げ側辺が破損損傷するのが防止でき、見栄えが良好で商品価値が高い縁無し畳を製造することができる。
【0169】
また、この実施例では、位置決め部材12の第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bが、折り曲げられる畳表200に対して、垂直に配置された板部材から構成されている。
【0170】
しかしながら、図13に示したように、位置決め部材12の第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bを、折り曲げられる畳表200に対して、平行に配置された板部材から構成しても良い。
【0171】
なお、位置決め部材12を、平行に配置された板部材から構成する場合には、上記に説明したように、畳床206と畳表200を同時に載置せずに、畳表200のみを載置して折り曲げ加工する実施態様とすることができる。
【0172】
さらに、この実施例では、折り曲げ部材46(第1の折り曲げ板46aと第2の折り曲げ板46b)を水平方向に移動するように構成したが、図14に示したように、折り曲げ部材46(第1の折り曲げ板46aと第2の折り曲げ板46b)を下方から、位置決め部材12に対して、上下方向に上下動するように構成することも可能である。
【0173】
また、図15に示したように、位置決め部材12の第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bが、それぞれ仮想中心軸P1、P2を中心に、相互に角度移動可能な構成としても良い。
【0174】
この場合には、図15に示したように、第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bとの間の間隙Sには、補助位置決め部材56が、図示しない駆動機構によって、図15の矢印方向に、この間隙Sに離接するようにすれば良い。
【0175】
また、図16(A)に示したように、第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bとから構成される位置決め部材が、畳表200の側辺に沿って複数個配置されていても良い。
【0176】
これに対応して、図16(B)に示したように、第1の折り曲げ板46aと第2の折り曲げ板46bとから構成される折り曲げ部材46が、畳表200の側辺に沿って複数個配置されてていても良い。
【0177】
このように構成することによって、図20に示したように、例えば、小間中のように、、畳床の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)に合わせて、複数のくの字形状に凹んだ形状や、複数のくの字形状に突設したくせの形状に合致した形状に一度で折り曲げることができる。
(実施例2)
【0178】
また、このように構成される本発明の畳表折り曲げ装置10は、図17に示したように、畳表200のみを折り曲げる場合にも適用することができる。
【0179】
この実施例の畳表折り曲げ装置10は、図1図16に示した畳表折り曲げ装置10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0180】
この場合には、図18のフローチャートに示したように、上下駆動装置18の駆動により、折り曲げられる畳表200に対して当接する直前の僅かに畳表200から離間した位置まで下降するステップS2、挟持移動装置44を作動させるステップS3を省略すれば良い。
【0181】
また、ステップS4において、挟持移動装置44を用いずに、第1の位置決め機構38a、第2の位置決め機構38bを、図1の実施例のように、バネ部材などの付勢部材ではなく、図示しないが、シリンダー機構などの駆動機構(水平移動装置)から構成して、図示しない制御装置の制御により、第1の位置決め板12aと第2の位置決め板12bとのなす角度αを所定の角度にするようにすれば良い。
【0182】
なお、この場合、図示しないが、挟持移動装置44を設けないようにして、畳表200のみを折り曲げる専用の畳表折り曲げ装置10とすることも可能である。
【0183】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、特に限定していないが、本発明の畳表折り曲げ装置10を半畳用、1畳用のいずれにも対応するように構成することができる。
【0184】
例えば、本発明の畳表折り曲げ装置10を半畳用の長さに対応するようにして、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)を半畳ずつ折り曲げるようにすることも可能である。また、この場合、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)を半畳ずつ折り曲げて、1畳用に対応することもできる。
【0185】
さらに、上記実施例では、本発明の畳表折り曲げ装置を、畳表200の被折り曲げ側辺(畳表200の側辺202)を、イ草の織目方向(イ草の向き)に対して垂直な方向に折り曲げる場合について説明したが、畳表200の框206c側の辺を折り曲げる場合にも適用できる。
【0186】
また、上記のように構成される畳表折り曲げ装置10が、畳床の上前側、下前側に対応して、上前側、下前側に配置されていても良い。
【0187】
このように、畳表折り曲げ装置が、畳床の上前側、下前側に対応して、上前側、下前側に配置されているので、畳表の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)を、畳床の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)に合わせて、くの字形状に凹んだ形状や、くの字形状に突設したくせの形状に合致した形状に、上前側と下前側を同時に折り曲げることができる。
【0188】
従って、例えば、畳廊下、縁側に敷き詰める場合に、図19(A)に示したように、、畳床206の側辺(上前側の側辺206aと下前側の側辺206b)が、くの字形状に凹んだ形状や、図19(B)に示したように、畳床206の側辺(上前側の側辺206aと下前側の側辺206b)が、くの字形状に突設したくせが存在する場合にも、上前側と下前側を同時に折り曲げることができ、畳床を180度回転するなどの工程が不要で、工程が少なくなりコストも低減でき、非常に便利である。
【0189】
このように、本発明の畳表折り曲げ装置10は、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0190】
本発明は、縁無し畳に使用する畳表の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)を内側に折り曲げるための畳表折り曲げ装置に関し、より詳細には、縁無し畳に使用する畳表の側辺(上前側の側辺と下前側の側辺)を、畳表のイ草の茎を畳床に沿う方向に、内側に折り曲げるための畳表折り曲げ装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0191】
10 畳表折り曲げ装置
11 載置台
12 位置決め部材
12a 第1の位置決め板
12b 第2の位置決め板
12c、12d 切欠部
14a 第1の上板部
14b 第2の上板部
16a 第1の駆動軸
16b 第2の駆動軸
16c 回動軸
16d 回動軸穴
18 上下駆動装置
20 移動フレーム
22 水平フレーム
22a 第1の回動用穴部
22b 第2の回動用穴部
22c 軸支穴
24 垂直フレーム
26a 第1のピボット軸
26b 第2のピボット軸
28a 第1のレバー部材
28b 第2のレバー部材
30 駆動フレーム
30a 第1の駆動ピボット
30b 第2の駆動ピボット
32 ピボット軸
34 駆動シリンダー
36 駆動軸
38a 第1の位置決め機構
38b 第2の位置決め機構
40 上下駆動機構
42 押さえ部材
44 挟持移動装置
44a 上方挟持部材
44b 下方挟持部材
46 折り曲げ部材
46a 第1の折り曲げ板
46b 第2の折り曲げ板
46c、46d 切欠部
48 ピボット軸
50 駆動機構
50、54 駆動機構
52 ピボット軸
54 駆動機構
56 補助位置決め部材
200 畳表
201 縁無し畳
202 側辺
202a 上前側側辺
202b 下前側側辺
203 折り曲げ線(折り曲げ筋)
204 側辺
205 裏面
206 畳床
206a 側辺
206b 側辺
206c 框
208 側面
210 側辺
212 裏面
300 畳表折り曲げ装置
302 装置フレーム
304 レール
306 上前整形部
308 下前整形部
310 垂直軸
312 旋回ベース
A イ草の向き
B 矢印
C 矢印
D 矢印
E 矢印
F 矢印
G 矢印
H 矢印
J 矢印
P 仮想中心軸
P1、P2 仮想中心軸
Q 仮想中心軸
S 間隙
α 角度
β 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24