(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】リール装置、並びにそれを備えた圧延設備及び圧延方法
(51)【国際特許分類】
B21C 47/00 20060101AFI20220317BHJP
B21C 47/02 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
B21C47/00 G
B21C47/02 E
(21)【出願番号】P 2018149209
(22)【出願日】2018-08-08
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】501120122
【氏名又は名称】スチールプランテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】吉川 種浩
(72)【発明者】
【氏名】鳥海 貴大
(72)【発明者】
【氏名】都築 哲平
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-196033(JP,A)
【文献】特開2009-101367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 47/00,47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延機によって圧延される被圧延材の巻出し及び巻取りのうちの少なくともいずれか一方を行うリール装置であって、
主駆動軸を有する主電動機と、
第1マンドレルと、
前記第1マンドレルと共に回転するよう前記第1マンドレルに同軸に結合された第1回転軸と、
前記主電動機よりも小型であって、第1補助駆動軸を有し、前記第1回転軸を回転させるための第1補助電動機と、
第2マンドレルと、
前記第2マンドレルと共に回転するよう前記第2マンドレルに同軸に結合された第2回転軸と、
前記主電動機よりも小型であって、第2補助駆動軸を有し、前記第2回転軸を回転させるための第2補助電動機と、
前記第1回転軸に対して前記主駆動軸と前記第1補助駆動軸とを選択的に接続することで、前記第1マンドレルの動力源を前記主電動機と前記第1補助電動機との間で切替可能とするよう構成されているとともに、前記第2回転軸に対して前記主駆動軸と前記第2補助駆動軸とを選択的に接続することで、前記第2マンドレルの動力源を前記主電動機と前記第2補助電動機との間で切替可能とするよう構成されており、基礎上に固定された動力伝達装置と、
を備えていることを特徴とするリール装置。
【請求項2】
請求項1に記載のリール装置であって、
前記動力伝達装置が、
前記主駆動軸と前記第1回転軸との間の接続状態を伝動状態と非伝動状態とに切り替える機能と、前記第1補助駆動軸と前記第1回転軸との間の接続状態を伝動状態と非伝動状態とに切り替える機能とを有する第1クラッチ装置と、
前記主駆動軸と前記第2回転軸との間の接続状態を伝動状態と非伝動状態とに切り替える機能と、前記第2補助駆動軸と前記第2回転軸との間の接続状態を伝動状態と非伝動状態とに切り替える機能とを有する第2クラッチ装置と、を有することを特徴とするリール装置。
【請求項3】
圧延機と、
請求項1又は2に記載のリール装置とを備え、
前記圧延機による圧延前の被圧延材のコイルを供給する側である入側と、前記圧延機による圧延後の被圧延材のコイルを払い出す側である出側とのうちの少なくとも一方に前記リール装置が設けられていることを特徴とする圧延設備。
【請求項4】
圧延機と、
請求項1又は2に記載のリール装置とを備え、
前記圧延機による圧延後の被圧延材のコイルを払い出す側である出側に前記リール装置が設けられた圧延設備を用いて圧延を行う圧延方法であって、
前記第1マンドレルの動力源を前記主電動機とした状態で、前記第1マンドレルにより被圧延材を巻き取ることと、
前記主電動機の回転数を所定の低回転数に減速するとともに、前記第1補助電動機の回転数を前記低回転数に合わせてから、前記第1マンドレルの動力源を前記主電動機から前記第1補助電動機に切り替えることと、
前記第1マンドレルが前記低回転数で回転している状態で、前記第1マンドレルに巻き取られた被圧延材の末端部を切断することと、
前記第1マンドレルに巻き取られた被圧延材のコイルを第1マンドレルから取り外して払い出すことと、
前記第2マンドレルの動力源を前記第2補助電動機とした状態で、前記第2補助電動機の回転数を前記低回転数に合わせてから、前記第2マンドレルの動力源を前記第2補助電動機から前記主電動機に切り替えることと、
前記第2マンドレルの動力源を前記主電動機とし、前記第2マンドレルが前記低回転数で回転している状態で、前記第2マンドレルで被圧延材の巻取を開始することと、
を含むことを特徴とする圧延方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リール装置、並びにそれを備えた圧延設備及び圧延方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧延機によって圧延される被圧延材の巻出しや巻取りを行う従来のリール装置には、公転ドラムに支持された2本のマンドレルを切り替えながら使用するカローゼル型リール装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特公昭60-047002号公報
【文献】特開平7-108322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、2本のマンドレルを1つの主電動機で駆動するリール装置が記載されているが、このリール装置では、一方のマンドレルを主電動機で回転させているときに他方のマンドレルを主電動機で回転させることができない。
【0005】
これに対し、操業効率を向上させるために、第1回転軸に結合された第1マンドレルと、第2回転軸に結合された第2マンドレルと、第1回転軸を回転させるための第1電動機と、第2回転軸を回転させるための第2電動機と、を備えるカローゼル型リール装置も存在する(特許文献2)。
【0006】
しかし、この構成では、第1電動機と第2電動機のどちらにも出力が大きい電動機が必要となるため、リール装置が巨大化してコストが増大していた。
また、カローゼル型リール装置自体に、構造が複雑で大掛かりな装置となることで、リール装置が巨大化してコストが増大するという課題もあった。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装置構造の簡素化とコンパクト化によりコスト抑制を可能とするとともに、生産性向上も可能となるリール装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための主たる発明は、
圧延機によって圧延される被圧延材の巻出し及び巻取りのうちの少なくともいずれか一方を行うリール装置であって、
主駆動軸を有する主電動機と、
第1マンドレルと、
前記第1マンドレルと共に回転するよう前記第1マンドレルに同軸に結合された第1回転軸と、
前記主電動機よりも小型であって、第1補助駆動軸を有し、前記第1回転軸を回転させるための第1補助電動機と、
第2マンドレルと、
前記第2マンドレルと共に回転するよう前記第2マンドレルに同軸に結合された第2回転軸と、
前記主電動機よりも小型であって、第2補助駆動軸を有し、前記第2回転軸を回転させるための第2補助電動機と、
前記第1回転軸に対して前記主駆動軸と前記第1補助駆動軸とを選択的に接続することで、前記第1マンドレルの動力源を前記主電動機と前記第1補助電動機との間で切替可能とするよう構成されているとともに、前記第2回転軸に対して前記主駆動軸と前記第2補助駆動軸とを選択的に接続することで、前記第2マンドレルの動力源を前記主電動機と前記第2補助電動機との間で切替可能とするよう構成されており、基礎上に固定された動力伝達装置と、
を備えていることを特徴とするリール装置である。
【0009】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、装置構造の簡素化とコンパクト化を実現すると同時に、生産性向上も可能となるリール装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る圧延設備1の概略図である。
【
図2】第1実施形態に係るリール装置30の上面概略図である。
【
図3】リール装置30の動作を説明するためのタイミング図である。
【
図4】第2実施形態に係る圧延設備60の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0013】
圧延機によって圧延される被圧延材の巻出し及び巻取りのうちの少なくともいずれか一方を行うリール装置であって、主駆動軸を有する主電動機と、第1マンドレルと、前記第1マンドレルと共に回転するよう前記第1マンドレルに同軸に結合された第1回転軸と、第1補助駆動軸を有し、前記第1回転軸を回転させるための第1補助電動機と、第2マンドレルと、前記第2マンドレルと共に回転するよう前記第2マンドレルに同軸に結合された第2回転軸と、第2補助駆動軸を有し、前記第2回転軸を回転させるための第2補助電動機と、前記第1回転軸に対して前記主駆動軸と前記第1補助駆動軸とを選択的に接続することで、前記第1マンドレルの動力源を前記主電動機と前記第1補助電動機との間で切替可能とするよう構成されているとともに、前記第2回転軸に対して前記主駆動軸と前記第2補助駆動軸とを選択的に接続することで、前記第2マンドレルの動力源を前記主電動機と前記第2補助電動機との間で切替可能とするよう構成されており、基礎上に固定された動力伝達装置と、を備えていることを特徴とするリール装置。
【0014】
このようなリール装置によれば、リール装置のコンパクト化とコスト抑制が可能となる。
【0015】
かかるリール装置であって、前記動力伝達装置が、前記主駆動軸と前記第1回転軸との間の接続状態を伝動状態と非伝動状態とに切り替える機能と、前記第1補助駆動軸と前記第1回転軸との間の接続状態を伝動状態と非伝動状態とに切り替える機能とを有する第1クラッチ装置と、前記主駆動軸と前記第2回転軸との間の接続状態を伝動状態と非伝動状態とに切り替える機能と、前記第2補助駆動軸と前記第2回転軸との間の接続状態を伝動状態と非伝動状態とに切り替える機能とを有する第2クラッチ装置と、を有することが望ましい。
【0016】
このようなリール装置によれば、コンパクトでコストが抑制されたリール装置を簡単な構造で実現することが可能となる。
【0017】
圧延機と、かかるリール装置とを備え、前記圧延機による圧延前の被圧延材のコイルを供給する側である入側と、前記圧延機による圧延後の被圧延材のコイルを払い出す側である出側とのうちの少なくとも一方に前記リール装置が設けられていることを特徴とする圧延設備が望ましい。
【0018】
このような圧延設備によれば、圧延設備のコンパクト化とコスト抑制が可能となる。
【0019】
圧延機と、かかるリール装置とを備え、前記圧延機による圧延後の被圧延材のコイルを払い出す側である出側に前記リール装置が設けられた圧延設備を用いて圧延を行う圧延方法であって、前記第1マンドレルの動力源を前記主電動機とした状態で、前記第1マンドレルにより被圧延材を巻き取ることと、前記主電動機の回転数を所定の低回転数に減速するとともに、前記第1補助電動機の回転数を前記低回転数に合わせてから、前記第1マンドレルの動力源を前記主電動機から前記第1補助電動機に切り替えることと、前記第1マンドレルが前記低回転数で回転している状態で、前記第1マンドレルに巻き取られた被圧延材の末端部を切断することと、前記第1マンドレルに巻き取られた被圧延材のコイルを第1マンドレルから取り外して払い出すことと、前記第2マンドレルの動力源を前記第2補助電動機とした状態で、前記第2補助電動機の回転数を前記低回転数に合わせてから、前記第2マンドレルの動力源を前記第2補助電動機から前記主電動機に切り替えることと、前記第2マンドレルの動力源を前記主電動機とし、前記第2マンドレルが前記低回転数で回転している状態で、前記第2マンドレルで被圧延材の巻取を開始することと、を含むことを特徴とする圧延方法が望ましい。
【0020】
このような圧延方法によれば、双方のマンドレルで作業を並行して行うことができ、連続的な被圧延材の巻取が可能となる。
【0021】
===第1実施形態に係る圧延設備1について===
第1実施形態に係る圧延設備1は、連続式圧延機5により被圧延材3を圧延し、目的の板厚に圧延されたシート状の被圧延材3をリール装置30でコイル毎に巻き取って払い出す設備である。
【0022】
図1は、第1実施形態に係る圧延設備1の概略図である。なお、
図1においては、本発明を解りやすく説明するために、被圧延材3を連続式圧延機5に送り込む巻出機等の幾つかの装置について省略した図としている(以降では、省略した装置等の説明についても省略している)。また、互いに直交する3方向のことをX方向、Y方向、Z方向と呼び、X方向及びY方向がそれぞれ水平方向を向いており、Z方向が鉛直方向を向いている。そして、
図1においては、紙面の横方向を「X方向」として、紙面の左側(右側)を「下流(上流)」と呼び、紙面の縦方向を「Z方向」として、紙面の上側(下側)を「上(下)」と呼ぶ。
【0023】
第1実施形態に係る圧延設備1は、
図1に示すように、連続式圧延機5と、ピンチロール10と、切断機20と、案内部25と、リール装置30と、ベルトラッパー50と、制御部55と、を備えている。そして、上流側から連続式圧延機5、ピンチロール10、切断機20、案内部25、リール装置30及びベルトラッパー50の順に設けられている。尚、制御部55は、簡便のため、リール装置30との接続線のみ示しているが、本実施形態においては、圧延設備1の全体を制御する機能を有するものである。
【0024】
連続式圧延機5は、被圧延材3を圧延する装置であり、5つのスタンドを有している。これらのスタンドは、上流側から第1スタンド5a、第2スタンド5b、第3スタンド5c、第4スタンド5d、第5スタンド5eの順に設けられている。
【0025】
第1スタンド5a乃至第5スタンド5eの各々は、上下一対の圧延ロール5wと上下一対のバックアップロール5uを有しており、被圧延材3は、各々の圧延ロール5wで挟圧されて圧延される。つまり、圧延前のシート状の被圧延材3は、連続式圧延機5へ送り込まれて第1スタンド5a乃至第5スタンド5eにより順次圧延され、第5スタンド5eでの圧延後、すなわち、連続式圧延機5による圧延後には、目的の板厚に圧延された被圧延材3として、連続式圧延機5から送り出される。
【0026】
連続式圧延機5から搬出された被圧延材3は、搬送経路上を搬送され、ピンチロール10→切断機20→案内部25→リール装置30の順に搬送され、リール装置30でコイル毎に巻き取られる。ピンチロール10は、上下一対のロールであり、被圧延材3を一定の圧力で挟み込む装置である。
【0027】
切断機20は、リール装置30で巻き取られる被圧延材3の1コイル当たりの長さを所定長さとするために、連続したシート状の被圧延材3を切断する装置である。切断機20は、被圧延材3の幅方向(
図1において紙面を貫く方向)に被圧延材3の幅寸法よりも広い幅寸法の上下一対のドラム20aと、上下一対の切断刃20b(上刃及び下刃)を有している。
【0028】
切断刃20bは、ドラム20aの外周部において、被圧延材3を切断する切断部(上刃と下刃が噛み合う部分)をドラム20aの外径方向の外側に突出させ、ドラム20aの回転によって切断部が対向するように(噛み合うように)設けられている。つまり、切断機20は、ドラム20aを回転させて切断刃20bを噛み合わせることにより、被圧延材3を幅方向に横断して切断する。
【0029】
したがって、切断機20により切断された被圧延材3は、上流側の被圧延材3と下流側の被圧延材3に切り分けられ、下流側の切断端部は、現在巻き取られている被圧延材3のコイルの末端部となり、上流側の切断端部は、次に巻き取られる被圧延材3のコイルの始端部となる。
【0030】
案内部25は、コイルの始端部を第1マンドレル31a又は第2マンドレル32aへ案内する装置である。案内部25は、紙面を貫く方向に沿った方向を回転軸として回転可能に支持されている。
【0031】
つまり、案内部25が、
図1に示す状態から反時計回りに回転して、下面でコイルの始端部を下側へ案内すると(換言すれば、回転する案内部25の先端が、コイルの始端部に接触して、始端部を下側へ押し下げることにより、始端部の方向を転換させると)、コイルの始端部は、第1マンドレル31aへ案内される。また、案内部25が、
図1に示す状態のときは、コイルの始端部は、第2マンドレル32aへ案内される。
【0032】
ベルトラッパー50は、リール装置30の第1マンドレル31aと第2マンドレル32aにコイルの始端部を固定するための装置であり、第1マンドレル31aと第2マンドレル32aの各々に対して設けられている。そして、待機中のマンドレルには、ベルトラッパー50がスタンバイ完了の状態(
図1の第2マンドレル32aに対して設けられたベルトラッパー50が示す状態)で待機している。
【0033】
したがって、
図1に示す状態において切断機20により被圧延材3が切断されると、下流側に切り分けられたコイルの末端部は、現在巻き取っている第1マンドレル31aでそのまま巻き取られ、上流側に切り分けられたコイルの始端部は、案内部25により上側へ案内されて、待機中である第2マンドレル32aへ案内される。
【0034】
そして、待機中の第2マンドレル32aへ案内されたコイルの始端部は、ベルトラッパー50により第2マンドレル32aに押し付けられ、第2マンドレル32aは速やかに被圧延材3の巻取を開始する。つまり、リール装置30は、被圧延材3の送りを停止することなく、連続して被圧延材3の巻取を行うことが可能である。すなわち、第1実施形態に係る圧延設備1は、被圧延材3の圧延を停止することなく、連続して被圧延材3の圧延を行うことが可能である。
【0035】
===第1実施形態に係るリール装置30について===
第1実施形態に係るリール装置30について、
図2を用いて説明する。
図2は、第1実施形態に係るリール装置30の上面概略図である。
図2においては、紙面の横方向を「X方向」として、紙面の左側(右側)を「下流(上流)」呼び、紙面の縦方向を「Y方向」として、紙面の上側(下側)を「奥(手前)」と呼ぶ。
【0036】
第1実施形態に係るリール装置30は、前述したように、被圧延材3の巻取機として設けられている。そして、リール装置30は、第1マンドレル31aと、第2マンドレル32aと、主電動機35と、第1補助電動機36と、第2補助電動機37と、動力伝達装置40と、を備えている。
【0037】
第1マンドレル装置31及び第2マンドレル装置32は、主電動機35に対して、第1マンドレル装置31が上流側に、第2マンドレル装置32が下流側に、互いが対称となるように設けられている。つまり、第1マンドレル装置31と第2マンドレル装置32は、主電動機35に対して対称に設けられた一対のマンドレル装置であり、互いに同じ構成をしている。そのため、以下では、同じ構成をしている第1マンドレル装置31と第2マンドレル装置32のうち、第1マンドレル装置31を主に例に挙げて説明し、第2マンドレル装置32の説明は適宜省略する。
【0038】
第1マンドレル装置31(第2マンドレル装置32)は、第1マンドレル支持部31c(第2マンドレル支持部32c)に回転可能に支持された第1マンドレル31a(第2マンドレル32a)と、第1回転軸支持部31d(第2回転軸支持部32d)に回転可能に支持された第1回転軸31b(第2回転軸32b)と、第1マンドレル31a(第2マンドレル32a)と第1回転軸31b(第2回転軸32b)との間を接続する第1拡縮シリンダ31f(第2拡縮シリンダ32f)と、第1マンドレル支持部31c(第2マンドレル支持部32c)が固定的に設けられている第1ベース31e(第2ベース32e)と、を備えている。
【0039】
第1マンドレル31a(第2マンドレル32a)は、圧延されたシート状の被圧延材3をコイル状に巻き取るための略軸形状をした回転体であって、Y方向に沿った方向を軸方向として回転可能に設けられている。
【0040】
第1マンドレル31aは、第1マンドレル装置31において被圧延材3が巻き付けられる部分であり、第1マンドレル装置31の手前側に位置している。そして、第1マンドレル31aは、第1マンドレル支持部31cにより回転可能に支持されており、第1マンドレル支持部31cは、第1ベース31e上に固定されている。
【0041】
第1回転軸31bは、第1マンドレル31aの奥側に位置しており、後述する動力伝達装置40をY方向に貫通するようにして、第1回転軸支持部31dにより回転可能に支持されている。そして、第1回転軸31bは、第1マンドレル31aと共に回転するよう第1マンドレル31aに同軸にカップリングと第1拡縮シリンダ31fを介して結合されており、動力源からの動力を受けて回転する。
【0042】
第1拡縮シリンダ31fは、第1マンドレル31aで被圧延材3を着脱する際に、第1マンドレル31aの軸径を変更するための装置である。
【0043】
主電動機35は、第1マンドレル31a(第2マンドレル32a)で被圧延材3を巻き取るための動力源であり、第1実施形態に係る主電動機35は、2200kWの出力を有している。
【0044】
主電動機35は、モータ35aと、主駆動軸支持部35cに回転可能に支持されるとともに主駆動軸ギヤ35dを有する主駆動軸35bと、を備えている。モータ35aは、その駆動軸であるモータ駆動軸がY方向に沿った方向を回転軸として回転するように設けられており、主駆動軸35bとの結合部を手前側に向けて、動力伝達装置40よりも奥側に設けられている。
【0045】
主駆動軸35bは、モータ35aの動力を伝達するための駆動軸であり、モータ駆動軸と同軸で回転するように、一方の端部(奥側の端部)がモータ駆動軸とカップリング等で結合されている。そして、主駆動軸35bは、モータ駆動軸との結合部から動力伝達装置40の手前側まで延出しており、主駆動軸支持部35cにより回転可能に支持されている。
【0046】
動力伝達装置40の内部において、主駆動軸35bの手前側には、主駆動軸ギヤ35dが固定されており、主駆動軸35bの回転に伴い主駆動軸ギヤ35dが回転する。そして、主駆動軸ギヤ35dには、後述する第1アイドルギヤ42aと第2アイドルギヤ42bが噛み合わされており、主駆動軸ギヤ35dが回転すると、第1アイドルギヤ42a及び第2アイドルギヤ42bが回転する。すなわち、主電動機35の動力が第1アイドルギヤ42a及び第2アイドルギヤ42bへ伝達される。
【0047】
第1補助電動機36は、第1マンドレル31aを回転させるための電動機であり、第2補助電動機37は、第2マンドレル32aを回転させるための電動機である。そして、第1補助電動機36及び第2補助電動機37は、主電動機35に対して上流側と下流側に対称に設けられており、互いに同じ構成をしている。そのため、以下では、同じ構成をしている第1補助電動機36と第2補助電動機37のうち、第1補助電動機36を主に例に挙げて説明し、第2補助電動機37の説明は適宜省略する。
【0048】
第1補助電動機36(第2補助電動機37)は、第1マンドレル31a(第2マンドレル32a)によって、被圧延材3の巻取準備やコイル払い出し作業を行うための動力源である。したがって、主電動機35のように大きな出力が必要なく、第1実施形態に係る第1補助電動機36(第2補助電動機37)は、75kWの出力を有する。すなわち、第1補助電動機36(第2補助電動機37)は、主電動機35よりも小型の電動機である。
【0049】
第1補助電動機36(第2補助電動機37)は、第1小型モータ36a(第2小型モータ37a)と、第1補助駆動軸支持部36c(第2補助駆動軸支持部37c)に回転可能に支持されるとともに第1補助駆動軸ギヤ36d(第2補助駆動軸ギヤ37d)を有する第1補助駆動軸36b(第2補助駆動軸37b)と、を備えている。
【0050】
第1小型モータ36aは、その駆動軸である小型モータ駆動軸がY方向に沿った方向を回転軸として回転するように設けられており、第1補助駆動軸36bとの結合部を手前側に向けて、動力伝達装置40よりも奥側に設けられている。
【0051】
第1補助駆動軸36bは、第1小型モータ36aの動力を伝達するための駆動軸であり、小型モータ駆動軸と同軸で回転するように、一方の端部(奥側の端部)が小型モータ駆動軸とカップリング等で固定されている。そして、第1補助駆動軸36bは、小型モータ駆動軸との結合部から動力伝達装置40の内部まで延出しており、第1補助駆動軸支持部36cにより回転可能に支持されている。
【0052】
動力伝達装置40の内部における奥側に位置する第1補助駆動軸36bの他方の端部(手前側の端部)には、第1補助駆動軸ギヤ36dが固定されており、第1補助駆動軸36bの回転に伴い第1補助駆動軸ギヤ36dが回転する。そして、第1補助駆動軸ギヤ36dには、後述する第1補助クラッチギヤ44aが噛み合わされており、第1補助駆動軸ギヤ36dが回転すると、第1補助クラッチギヤ44aが回転する。すなわち、第1補助電動機36の動力が第1補助クラッチギヤ44aへ伝達される。
【0053】
動力伝達装置40は、第1回転軸31b(第2回転軸32b)に対して、主駆動軸35bと第1補助駆動軸36b(第2補助駆動軸37b)とを選択的に接続する機能を有し、第1マンドレル31a(第2マンドレル32a)の動力源を主電動機35と第1補助電動機36(第2補助電動機37)との間で切替可能とするように構成されている。
【0054】
なお、動力伝達装置40において、第1マンドレル31aへ動力を伝達する機構と、第2マンドレル32aへ動力を伝達する機構との構成は同じある。そのため、以下では、第1マンドレル31aへ動力を伝達する機構について主に例に挙げて説明し、第2マンドレル32aへ動力を伝達する機構の説明は適宜省略する。
【0055】
動力伝達装置40は、第1アイドルギヤ42a(第2アイドルギヤ42b)と、第1メインクラッチギヤ43a(第2メインクラッチギヤ43b)と、第1補助クラッチギヤ44a(第2補助クラッチギヤ44b)と、第1クラッチ装置45a(第2クラッチ装置45b)と、これらのギヤ及びクラッチ装置を内部に収容し、リール装置30を設置する床面等の基礎上に固定された略矩形状の動力伝達部ベース41と、を備えている。すなわち、動力伝達装置40は、動力伝達部ベース41を介して基礎上に固定されている。
【0056】
第1アイドルギヤ42aは、主駆動軸ギヤ35d及び第1メインクラッチギヤ43aと噛み合わされた状態でY方向に沿った方向を回転軸として回転可能に動力伝達部ベース41に支持されている。つまり、第1アイドルギヤ42aは、主駆動軸ギヤ35d(主駆動軸35b)の回転により回転させられ、該回転により第1メインクラッチギヤ43aを回転させる。すなわち、第1アイドルギヤ42aは、主電動機35の動力を第1メインクラッチギヤ43aへ伝達する。
【0057】
第1メインクラッチギヤ43aは、主電動機35の動力により回転するギヤであって、動力伝達装置40の内部の手前側において、第1回転軸31bとベアリングを介して同軸で回転するように設けられている。つまり、ベアリングを介しているため、第1メインクラッチギヤ43aの回転が、第1回転軸31bへ直接的に伝達されない構成となっている。
【0058】
そのため、第1メインクラッチギヤ43aは、後述する第1クラッチ装置45aとの接続部を有しており、第1メインクラッチギヤ43aと第1クラッチ装置45aが接続された状態において、第1メインクラッチギヤ43aの回転が第1クラッチ装置45aを介して第1回転軸31bへ伝達される。
【0059】
第1補助クラッチギヤ44aは、第1補助電動機36の動力により回転するギヤであって、動力伝達装置40の内部の奥側において、第1回転軸31bとベアリングを介して同軸で回転するように設けられている。つまり、ベアリングを介しているため、第1補助クラッチギヤ44aの回転が、第1回転軸31bへ直接的に伝達されない構成となっている。
【0060】
そのため、第1補助クラッチギヤ44aは、第1クラッチ装置45aとの接続部を有しており、第1補助クラッチギヤ44aと第1クラッチ装置45aが接続された状態において、第1補助クラッチギヤ44aの回転が第1クラッチ装置45aを介して第1回転軸31bへ伝達される。
【0061】
第1クラッチ装置45aは、主駆動軸35bと第1回転軸31bとの間の接続状態を伝動状態(第1メインクラッチギヤ43aと接続している状態)と非伝動状態(第1メインクラッチギヤ43aと接続していない状態)とに切り替える機能と、第1補助駆動軸36bと第1回転軸31bとの間の接続状態を伝動状態(第1補助クラッチギヤ44aと接続している状態)と非伝動状態(第1補助クラッチギヤ44aと接続していない状態)とに切り替える機能とを有する装置である。
【0062】
第1クラッチ装置45aは、第1回転軸31bと同軸で回転する回転体であり、第1回転軸31bと周方向においてキーとキー溝による固定手段46aにより固定されている。つまり、第1クラッチ装置45aの回転に伴い、第1回転軸31bが回転する。
【0063】
また、固定手段46aにおいては、第1クラッチ装置45aと第1回転軸31bとが軸方向に対して互いに摺動可能となる程度の遊びを有する状態でキーとキー溝とが嵌め合わされており、第1クラッチ装置45aは、第1回転軸31bの軸方向に沿って移動可能である。第1メインクラッチギヤ43aと第1補助クラッチギヤ44aの間に設けられた第1クラッチ装置45aは、手前側では第1メインクラッチギヤ43aと接する位置まで、奥側では第1補助クラッチギヤ44aと接する位置まで、第1回転軸31bの軸方向に沿って移動可能である。
【0064】
そして、第1クラッチ装置45aは、第1メインクラッチギヤ43aと第1補助クラッチギヤ44aのそれぞれと接続する接続部を有し、それぞれと接する位置において、どちらか一方とのみ接続することが可能である。
【0065】
つまり、第1クラッチ装置45aが第1メインクラッチギヤ43aと接続している際には(
図2に示す状態では)、主電動機35の動力により回転する主駆動軸35bの回転が、主駆動軸ギヤ35d→第1アイドルギヤ42a→第1メインクラッチギヤ43a→第1クラッチ装置45a→第1回転軸31b→第1マンドレル31aの順に伝達されて第1マンドレル31aを回転させ、第1クラッチ装置45aが第1補助クラッチギヤ44aと接続している際には、第1補助電動機36の動力により回転する第1補助駆動軸36bの回転が、第1補助駆動軸ギヤ36d→第1補助クラッチギヤ44a→第1クラッチ装置45a→第1回転軸31b(第1マンドレル31a)の順に伝達されて第1マンドレル31aを回転させる。
【0066】
<<<第1実施形態に係るリール装置30の動作について>>>
第1実施形態に係るリール装置30は、被圧延材3の巻取を停止することなく、連続して被圧延材3の巻取を行うことができる。これは、制御部55が、第1マンドレル31aと第2マンドレル32aを交互に用いて被圧延材3を連続して巻き取ることにより実現している。
【0067】
以下では、第1実施形態に係るリール装置30の動作について、つまり、連続式圧延機5と、連続式圧延機5の出側(下流側)にリール装置30が設けられた圧延設備1で圧延を行う圧延方法におけるリール装置30の動作について、
図1乃至
図3を用いて説明する。
図3は、リール装置30の動作を説明するためのタイミング図である。
【0068】
図3の縦軸には、被圧延材3の巻き取り速度(=マンドレル上のコイルの周速度=被圧延材3の送り速度)が示されており、1200mpm(meter per minute)との速度は、通常の巻き取り速度の一例を示すものであり、この巻き取り速度となる回転数で電動機が回転している状態を示している。また、150mpmとの速度は、電動機が所定の低回転数で回転している状態における巻き取り速度の一例を示すものである。
図3においては、「主電動機の回転数(第1マンドレル駆動時)」、「第1補助電動機の回転数」、「主電動機の回転数(第2マンドレル駆動時)」、「第2補助電動機の回転数」が、この巻き取り速度によって間接的に示されている。
【0069】
図3の横軸は、時間の経過を示しており、横軸の最も左の地点(縦軸と交わる地点)が
図1に示す状態であり、右に行くほどに時間が経過している。また、縦の点線で区切られた期間をそれぞれA~Eのアルファベットで示している。以下では、
図1に示す状態を最初の状態として、下記の表1も参照してリール装置30の動作を順番に説明していく。
【0070】
【0071】
(期間A)
期間Aにおいては、
図1に示す状態で、第1マンドレル31aが圧延されたシート状の被圧延材3をコイル状に巻き取っている。すなわち、第1マンドレル31aの動力源を主電動機35とした状態で、第1マンドレル31aが被圧延材3を1200mpmの巻き取り速度で巻き取っている。これは、
図2に示す第1クラッチ装置45aが第1メインクラッチギヤ43aと接続した状態である。言い換えると、主駆動軸35bと第1回転軸31bとの間の接続状態が伝動状態にあり、第1補助駆動軸36bと第1回転軸31bとの間の接続状態が非伝動状態にある。
【0072】
一方、
図1に示す第2マンドレル32aは、停止しており待機中である。このとき、
図2に示す第2クラッチ装置45bは第2補助クラッチギヤ44bと接続した状態である。即ち、この状態では、第2クラッチ装置45bは、
図2に示す第2クラッチ装置45bの位置よりも奥側に位置している。言い換えると、主駆動軸35bと第2回転軸32bとの間の接続状態が非伝動状態にあり、第2補助駆動軸37bと第2回転軸32bとの間の接続状態が伝動状態にある。
【0073】
第1マンドレル31aに巻き取られた被圧延材3が所定長さに至ると、被圧延材3が切断機20により切断されるが、制御部55は、該切断により被圧延材3の巻取が停止されないようにリール装置30の動作を制御する。すなわち、制御部55は、被圧延材3を連続して巻き取るために、第1マンドレル31aと第2マンドレル32aの動力源の切り替えを行い、被圧延材3の巻取を第1マンドレル31aから第2マンドレル32aに変更する。
【0074】
より具体的には、制御部55は、第1マンドレル31aに巻き取られた被圧延材3が所定長さに近づくと(至る前)に、第1マンドレル31aの巻き取り速度を150mpmまで減速する。そして、該減速と並行して、制御部55は、第1補助電動機36を駆動させ、第1補助クラッチギヤ44aを150mpmの回転数まで加速する。
【0075】
すなわち、制御部55は、主電動機35の回転数を150mpmに減速するとともに、第1補助電動機36の回転数を主電動機35の回転数に合わせる(双方の回転数は完全に一致させる必要はなく、略一致していればよい)。したがって、第1補助駆動軸36b→第1補助駆動軸ギヤ36d→第1補助クラッチギヤ44aと動力が伝達され、第1補助クラッチギヤ44aが150mpmの回転数で回転する。
【0076】
(期間B)
期間Bにおいては、制御部55は、まず第1補助クラッチギヤ44aが150mpmの回転数で回転している状態で、第1クラッチ装置45aを第1補助クラッチギヤ44aと接する位置まで移動させて、第1マンドレル31aの動力源を切り替える。つまり、制御部55は、第1クラッチ装置45aと第1メインクラッチギヤ43aの接続を解除し(OFF)、第1クラッチ装置45aと第1補助クラッチギヤ44aを接続させて(ON)、第1補助クラッチギヤ44a→第1クラッチ装置45a→第1回転軸31b(第1マンドレル31a)と動力が伝達するように変更する。すなわち、制御部55は、第1マンドレル31aの動力源を主電動機35から第1補助電動機36へ切り替える。このとき、主駆動軸35bと第1回転軸31bとの間の接続状態が非伝動状態となり、第1補助駆動軸36bと第1回転軸31bとの間の接続状態が伝動状態となる。
【0077】
制御部55は、第1マンドレル31aの動力源が第1補助電動機36に切り替わってから、第1マンドレル31aに巻き取られる被圧延材3が所定長さに至るように(切断機20により所定長さに切断されるように)制御し、かかる状態において、切断機20により被圧延材3を切断する。つまり、第1マンドレル31aが第1補助電動機36により150mpmで回転している状態で、第1マンドレル31aに巻き取られる被圧延材3の末端部が切断機20により切断される。
【0078】
一方、停止していた第2マンドレル32aは、第1マンドレル31aの動力源の切り替えと並行して、第2補助電動機37により回転を開始する。すなわち、制御部55は、第2クラッチ装置45bが第2補助クラッチギヤ44bと接続した状態、即ち第2補助駆動軸37b→第2補助駆動軸ギヤ37d→第2補助クラッチギヤ44b→第2クラッチ装置45b→第2回転軸32b(第2マンドレル32a)と動力が伝達される状態で、第2補助電動機37を150mpmに加速する。すなわち、制御部55は、第2補助電動機37の回転数を、所定の低回転数(本実施形態では150mpm)とする。このとき、主駆動軸35bと第2回転軸32bとの間の接続状態は非伝動状態のままであり、第2補助駆動軸37bと第2回転軸32bとの間の接続状態は伝動状態のままである。
【0079】
(期間C)
期間Cにおいては、制御部55は、まず第2クラッチ装置45bを第2メインクラッチギヤ43bと接する位置まで移動させて、第2マンドレル32aの動力源を切り替える。つまり、制御部55は、第2クラッチ装置45bと第2補助クラッチギヤ44bの接続を解除し(OFF)、第2クラッチ装置45bと第2メインクラッチギヤ43bを接続させて(ON)、主駆動軸ギヤ35d→第2アイドルギヤ42b→第2メインクラッチギヤ43b→第2クラッチ装置45b→第2回転軸32b(第2マンドレル32a)と動力が伝達するように変更する。すなわち、制御部55は、第2マンドレル32aの動力源を第2補助電動機37から主電動機35へ切り替える。このとき、主駆動軸35bと第2回転軸32bとの間の接続状態が伝動状態となり、第2補助駆動軸37bと第2回転軸32bとの間の接続状態が非伝動状態となる。
【0080】
制御部55は、第2マンドレル32aの動力源が主電動機35に切り替わってから、コイルの始端部が第2マンドレル32aに至るように制御し、かかる状態において、ベルトラッパー50がコイルの始端部を第2マンドレル32aに固定する。
【0081】
そうしたら、制御部55は、第2マンドレル32aで被圧延材3の巻取を速やかに開始する。つまり、第2マンドレル32aの動力源を主電動機35とし、第2マンドレル32aが150mpmで回転している状態で、第2マンドレル32aで被圧延材3の巻取を開始する。
【0082】
そして、制御部55は、第2マンドレル32aの回転数を1200mpmまで加速させて被圧延材3の巻取を行い、第2マンドレル32aに巻き取られた被圧延材3が所定長さに近づくと、上記期間Aで第1マンドレル31aと第2マンドレル32aに対して行った制御と同様の制御を第2マンドレル32aと第1マンドレル31aに対して行う。つまり、制御部55は、第1マンドレル31aと第2マンドレル32aを交互に用いて被圧延材3を巻き取ることにより、連続した被圧延材3の巻取を実現している。
【0083】
一方、制御部55は、被圧延材3を末端部まで第1マンドレル31aに巻き取らせた後、第1補助電動機36により第1マンドレル31aを寸動させ、第1マンドレル31aに巻き取られた被圧延材3のコイルを第1マンドレル31aから取り外して払い出すための補助動作を行う(コイルの払い出しを行う)。そのため、このときには、主駆動軸35bと第1回転軸31bとの間の接続状態は非伝動状態のままとされ、第1補助駆動軸36bと第1回転軸31bとの間の接続状態は伝動状態のままとされる。
【0084】
この後、期間D、期間Eが続くが、これらの期間でのクラッチ装置の切り替え動作は、第1と第2とが入れ替わる以外は期間B、Cにおける動作と同様であるため、詳細説明は省略する。
【0085】
===第2実施形態について===
次に、第2実施形態について、
図4を用いて説明する。
図4は、
図1に相当する図であり、第2実施形態に係る圧延設備60の概略図である。
【0086】
なお、
図4においては、本発明を解りやすく説明するために、被圧延材3を巻出機に巻き付ける装置等の幾つかの装置について省略した図としている(以降では、省略した装置等の説明についても省略している)。また、
図4においては、紙面の横方向を「X方向」として、紙面の左側(右側)を「下流(上流)」と呼び、紙面の縦方向を「Z方向」として、紙面の上側(下側)を「上(下)」と呼ぶ。
【0087】
上記第1実施形態と第2実施形態との相違点は、第1実施形態においては、連続式圧延機5による圧延後の被圧延材3のコイルを払い出す側である出側(下流側)にリール装置30が巻取機として設けられていたが、第2実施形態においては、逆転式圧延機65による圧延前の被圧延材3のコイルを供給する側である入側(上流側)にリール装置30が巻取巻出機として設けられている点である。
【0088】
第2実施形態に係る圧延設備60は、
図4に示すように、巻出機及び入側巻取巻出機として機能するリール装置30と、逆転式圧延機65と、板厚測定器70と、ストリッププレス80と、不図示の出側巻取巻出機と、を備えている。そして、上流側からリール装置30、板厚測定器70、ストリッププレス80、逆転式圧延機65、出側巻取巻出機、の順に設けられている。
【0089】
第2実施形態に係る圧延設備60が備えるリール装置30において、第1マンドレル31aは、圧延前の被圧延材3のコイルを装着し、1パス目の圧延を行う際の被圧延材3の巻出を行うために用いられ、第2マンドレル32aは、2パス目以降の圧延を行う際に入側で被圧延材3の巻取及び巻出を行うために用いられる。
【0090】
逆転式圧延機65は、被圧延材3を圧延する装置であり、上下一対の圧延ロール65wと、上下一対のバックアップロール65uと、を備え、被圧延材3は、圧延ロール65wにより狭圧されて圧延される。そして、逆転式圧延機65により圧延を行う圧延設備60においては、リール装置30と出側巻取巻出機(逆転式圧延機65の出側において、被圧延材3の巻取及び巻出を行う装置)との間で被圧延材3を往復させ、逆転式圧延機65を被圧延材3が複数回通過することにより、被圧延材3に対して複数回の圧延が行われる。
【0091】
つまり、上流側から下流側へ被圧延材3を搬送して圧延する場合は、被圧延材3の巻出を1パス目は第1マンドレル31aを用いて、2パス目以降は第2マンドレル32aを用いて行い、巻取を出側巻取巻出機を用いて行う。逆に、下流側から上流側へ被圧延材3を搬送して圧延する場合は、被圧延材3の巻出を出側巻取巻出機を用いて行い、巻取を第2マンドレル32aを用いて行う。
【0092】
板厚測定器70は、被圧延材3の板厚を測定する装置であり、被圧延材3の搬送ライン上でX方向における第2マンドレル32aと逆転式圧延機65との間に設けられており、往復移動する被圧延材3の板厚を検出する。
【0093】
ストリッププレス80は、1パス目の圧延において、第1マンドレル31aから被圧延材3の端部(第1マンドレル31aに巻き付けられた被圧延材3のコイルの始端部)が離脱した際に、被圧延材3を摺動可能な程度の圧力でクランプして圧延に必要な張力を維持し、逆転式圧延機65の直前まで被圧延材3を圧延するための装置である。そのため、ストリッププレス80は、逆転式圧延機65の上流側の直前に設けられている。
【0094】
<<<第2実施形態に係るリール装置30の動作について>>>
以下では、第2実施形態に係るリール装置30の動作について、
図2、
図4を用いて説明する。
【0095】
図4に示す状態は、第1マンドレル31aから圧延前の被圧延材3が繰り出されて(巻き出されて)おり、被圧延材3の一端部(
図4において、符号E1で示す)が出側巻取巻出機にまだ固定されていない状態を示している。つまり、
図4に示す状態から被圧延材3の一端部が更に下流側へ搬送されて出側巻取巻出機に至り、この被圧延材3の一端部が出側巻取巻出機に固定され、第1マンドレル31a(巻出)と出側巻取巻出機(巻取)の間で被圧延材3の圧延、所謂1パス目の圧延が行われる。
【0096】
したがって、動力伝達装置40においては、
図2に示す第1クラッチ装置45aが第1メインクラッチギヤ43aと接続しており、第1マンドレル31aは、被圧延材3を主電動機35の動力により巻き出している。
【0097】
一方、
図4に示す第2マンドレル32aは、停止している待機中である。すなわち、第2クラッチ装置45bは、第2メインクラッチギヤ43bと接続していない状態である。
【0098】
1パス目の圧延は、巻出機である第1マンドレル31aから被圧延材3の他端部(前記一端部とは反対側の端部)が離脱して、該他端部がストリッププレス80に至るまで行われる。そして、2パス目以降の圧延は、ストリッププレス80に至った被圧延材3の他端部を第2マンドレル32aまで移動させて第2マンドレル32aに固定して、第2マンドレル32aと出側巻取巻出機の間で被圧延材3を往復させて行われる。
【0099】
そのため、1パス目が終了してから2パス目が開始するまでの間に、主電動機35の動力の伝達先が第1マンドレル31aから第2マンドレル32aに切り替えられる。具体的には、動力伝達装置40においては、第1クラッチ装置45aと第1メインクラッチギヤ43aの接続が解除され、第2クラッチ装置45bと第2メインクラッチギヤ43bが接続される。
【0100】
第2マンドレル32aと出側巻取巻出機とで、2パス目以降の圧延が行われている間に、動力伝達装置40においては、第1クラッチ装置45aと第1補助クラッチギヤ44aが接続され、第1マンドレル31aでは、第1補助電動機36を動力源として、次の圧延の準備が行われる。つまり、第1マンドレル31aに次に圧延される圧延前の被圧延材3のコイルが取り付けられ、第1マンドレル31aに取り付けられた被圧延材3のコイルの一端部が、不図示の鼻曲げ装置(被圧延材3の一端部が滑らかに搬送ライン上を通過するように、一端部を折り曲げる装置)の位置まで搬送され、次の圧延の準備が行われる。
【0101】
そして、第2マンドレル32aと出側巻取巻出機との間で、被圧延材3が目的の板厚まで圧延されたら、圧延された被圧延材3は、第2マンドレル32aにおいてコイル状に巻き取られ、第1マンドレル31aと第2マンドレル32aの双方の回転が停止する。そして、第2マンドレル32aにおいては、圧延された被圧延材3のコイルの払い出しを行うために動力源が変更され、第1マンドレル31aにおいては、次の圧延の1パス目の圧延を行うために動力源が変更される。
【0102】
具体的には、動力伝達装置40においては、第1クラッチ装置45aと第1補助クラッチギヤ44aとの接続が解除されて第1クラッチ装置45aと第1メインクラッチギヤ43aが接続され、第2クラッチ装置45bと第2メインクラッチギヤ43bとの接続が解除され、第2クラッチ装置45bと第2補助クラッチギヤ44bとが接続される。
【0103】
この状態で、第1マンドレル31aにおいては、主電動機35を動力源として被圧延材3が巻き出されて1パス目の圧延が行われ、第2マンドレル32aにおいては、第2補助電動機37を動力源として被圧延材3のコイル払い出しが行われる。
【0104】
このように、第1マンドレル31aにおける1パス目の圧延と、第2マンドレル32aにおける被圧延材3のコイル払い出しは、並行して行われる。つまり、第1マンドレル31aの1パス目の圧延が終了した際には、第2マンドレル32aでは被圧延材3のコイル払い出しが完了しており、第2マンドレル32aは待機中となっている。そのため、第2マンドレル32aへの被圧延材3の固定が速やかに行われ、2パス目以降の圧延が円滑に行われる。
【0105】
また、第1実施形態とは異なり、巻取りや巻出しのためのマンドレルの駆動には第1補助電動機36(第2補助電動機37)を用いないため、第1補助電動機36(第2補助電動機37)は第1実施形態のものよりも小型でよい(例えば11kW程度の電動機)。
【0106】
===第1実施形態及び第2実施形態に係るリール装置30等の有効性について===
上述したとおり、第1実施形態(第2実施形態)に係るリール装置30は、連続式圧延機5(逆転式圧延機65)よって圧延される被圧延材3の巻取り(巻出し及び巻取巻出)を行うリール装置30であって、主駆動軸35bを有する主電動機35と、第1マンドレル31aと、第1マンドレル31aと共に回転するよう第1マンドレル31aに同軸に結合された第1回転軸31bと、第1補助駆動軸36bを有し、前記第1回転軸31bを回転させるための第1補助電動機36と、第2マンドレル32aと、第2マンドレル32aと共に回転するよう第2マンドレル32aに同軸に結合された第2回転軸32bと、第2補助駆動軸37bを有し、前記第2回転軸32bを回転させるための第2補助電動機37と、前記第1回転軸31bに対して前記主駆動軸35bと前記第1補助駆動軸36bとを選択的に接続することで、前記第1マンドレル31aの動力源を前記主電動機35と前記第1補助電動機36との間で切替可能とするよう構成されているとともに、前記第2回転軸32bに対して前記主駆動軸35bと前記第2補助駆動軸37bとを選択的に接続することで、前記第2マンドレル32aの動力源を前記主電動機35と前記第2補助電動機37との間で切替可能とするよう構成されており、基礎上に固定された動力伝達装置40と、を備えていることとした。そのため、リール装置30のコンパクト化とコスト抑制が可能となる。
【0107】
従来の第1マンドレル31aの第1回転軸31bを回転させるための第1電動機と、第2マンドレル32aの第2回転軸32bを回転させるための第2電動機と、を備えるカローゼル型リール装置では、第1電動機と第2電動機のどちらにも大きな電動機が必要となっていた。そのため、リール装置が巨大化してコストが増大していた。
【0108】
例えば、連続式圧延機の出側の巻取機として従来のカローゼル型巻取機を用いる場合、2つの電動機には共に主電動機35相当の出力が必要となるため、例えば、2200×2=4400kWの出力が必要となっていた。
【0109】
これに対し、本発明のリール装置を連続式圧延機の出側の巻取機として設けた場合(上記の第1実施形態)、第1マンドレル31a(第2マンドレル32a)に対して、主電動機35と第1補助電動機36(第2補助電動機37)を選択的に接続させて切り替え可能であるため、リール装置30の電動機の出力が、主電動機35、第1補助電動機36、及び第2補助電動機37の合計、2200+75+75=2350kWとなる。即ち、リール装置30のほうが従来のリール装置に比べて電動機の出力を抑えることができる。
【0110】
また、逆転式圧延機の入側の巻出機及び入側巻取巻出機として、従来のように巻出機と入側巻取巻出機を個別に設けた場合、巻出機と入側巻取巻出機の電動機には、例えば巻出機が500kW、入側巻取巻出機が主電動機35相当の2000kWといった出力がそれぞれ必要となる。この場合、500+2000=2500kWの出力が必要となる。
【0111】
これに対し、本発明のリール装置を逆転式圧延機の入側の巻出機及び入側巻取巻出機として設けた場合(上記の第2実施形態)、リール装置30の電動機の出力は、主電動機35、第1補助電動機36、及び第2補助電動機37の合計、2000+11+11=2022kWとなる。即ち、リール装置30のほうが従来のリール装置に比べて電動機の出力を抑えることができる。
【0112】
また、カローゼル型巻取機には公転機構が必要であり、かつ、各々の部材に、該公転に耐え得るための機械的な強度が必要であった。そのため、カローゼル型巻取機は、構造が複雑で大掛かりな装置となり、リール装置が巨大化してコストが増大していた。
【0113】
これに対し、第1実施形態においては、動力伝達装置40が基礎に固定されたリール装置30を巻取機とすることとした。そのため、第1実施形態に係る巻取機においては、カローゼル型巻取機のような公転機構が必要なくなり、各々の部材にも公転に耐え得る強度が必要ない。つまり、第1実施形態に係る巻取機をリール装置30とすることにより、リール装置(巻取機)の巨大化を抑制して重量を減らすことができるため、リール装置のコンパクト化とコスト抑制が可能となる。
【0114】
また、逆転式圧延機の入側に設けられる従来のリール装置(巻出機)は、上記の通り出力が例えば500kWと本発明の主電動機35の出力と比べて小さいため、1パス目に十分な後方張力が得られず、被圧延材3が蛇行する問題が発生していた。更に、巻出機の出力不足により、1パス目の被圧延材3の圧延速度が、例えば500mpm以下に制限され、生産性が低下する問題があった。
【0115】
これに対し、本発明の第2実施形態においては、2200kWの主電動機35を動力源とする第1マンドレル31aを巻出に用いることができる。そのため、第2実施形態においては、1パス目の被圧延材3の圧延速度を高速化することが可能となり、更に、従来において発生していた1パス目の被圧延材3の蛇行が抑制され、生産性を向上することが可能となる。
【0116】
また、第1実施形態及び第2実施形態においては、動力伝達装置40が、主駆動軸35bと第1回転軸31bとの間の接続状態を伝動状態と非伝動状態とに切り替える機能と、第1補助駆動軸36bと第1回転軸31bとの間の接続状態を伝動状態と非伝動状態とに切り替える機能とを有する第1クラッチ装置45aと、主駆動軸35bと第2回転軸32bとの間の接続状態を伝動状態と非伝動状態とに切り替える機能と、第2補助駆動軸37bと第2回転軸32bとの間の接続状態を伝動状態と非伝動状態とに切り替える機能とを有する第2クラッチ装置45bと、を有することとした。
【0117】
すなわち、動力伝達装置40において主電動機35と第1補助電動機36(第2補助電動機37)の切り替えを、第1クラッチ装置45a(第2クラッチ装置45b)を用いたクラッチ機構とすることにより、コンパクトでコストが抑制されたリール装置30を簡単な構造で実現することが可能となる。
【0118】
このように、本発明によれば、装置構造の簡素化とコンパクト化によりコスト抑制を可能とするとともに、生産性向上も可能となるリール装置が提供される。
【0119】
また、第1実施形態(第2実施形態)においては、連続式圧延機5(逆転式圧延機65)と、リール装置30とを備え、連続式圧延機5(逆転式圧延機65)による圧延後の被圧延材3のコイルを払い出す側である出側(コイルを供給する側である入側)にリール装置30が設けられている圧延設備1(圧延設備60)とした。すなわち、圧延機の出側と入側のうちの少なくとも一方にリール装置30が設けられている圧延設備とした。
【0120】
したがって、圧延設備のコンパクト化とコスト抑制、生産性の向上も可能となる。
【0121】
また、第1実施形態においては、連続式圧延機5と、リール装置30とを備え、連続式圧延機5による圧延後の被圧延材3のコイルを払い出す側である出側にリール装置30が設けられた圧延設備1を用いて圧延を行う圧延方法であって、第1マンドレル31aの動力源を主電動機35とした状態で、第1マンドレル31aにより被圧延材3を巻き取ることと、主電動機35の回転数を150mpmに減速するとともに、第1補助電動機36の回転数を150mpmに合わせてから、第1マンドレル31aの動力源を主電動機35から第1補助電動機36に切り替えることと、第1マンドレル31aが150mpmで回転している状態で、第1マンドレル31aに巻き取られた被圧延材3の末端部を切断することと、第1マンドレル31aに巻き取られた被圧延材3のコイルを第1マンドレル31aから取り外して払い出すことと、第2マンドレル32aの動力源を第2補助電動機37とした状態で、第2補助電動機37の回転数を150mpmに合わせてから、第2マンドレル32aの動力源を第2補助電動機37から主電動機35に切り替えることと、第2マンドレル32aの動力源を主電動機35とし、第2マンドレル32aが150mpmで回転している状態で、第2マンドレル32aで被圧延材3の巻取を開始する圧延方法とした。
【0122】
つまり、このような圧延方法によれば、巻き取りを行うマンドレルに主電動機35を接続させて、コイルの払い出しや次の巻取準備の作業を行うマンドレルに補助電動機を接続させるため、双方のマンドレルで作業を並行して行うことができ、連続的な被圧延材3の巻取が可能となる。
【0123】
===その他の実施形態===
以上、上記実施形態に基づき本発明に係るリール装置30を説明したが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0124】
また、上記実施形態では、リール装置30が圧延機の入側か出側のどちらか一方に設けられていたが、これに限らない。リール装置30が圧延機の入側と出側の両側に設けられていても構わない。
【0125】
また、上記実施形態では、第1マンドレル31a(第2マンドレル32a)が動力伝達装置40よりも手前側に設けられ、主電動機35のモータ35aや第1補助電動機36(第2補助電動機37)の第1小型モータ36a(第2小型モータ37a)が動力伝達装置40よりも奥側に設けられていたが、これに限らない。例えば、各々が動力伝達装置40よりも手前側に設けられていても構わない。
【0126】
また、上記実施形態では、主電動機35の出力を2200kW、第1補助電動機36及び第2補助電動機37の出力を75kW等、と電動機の具体的な出力を記載したが、これらの数値は一例として挙げたものであり、これらに限るものではない。
【0127】
また、上記実施形態では、被圧延材3の通常の巻き取り速度を1200mpmとし、所定の低回転数を150mpmとしたが、これらの数値は一例として挙げたものであり、これらに限るものではない。
【0128】
また、上記の実施形態で示した4本ロール形式の圧延機は一例として挙げたものであり、本発明の圧延設備が備える圧延機はこれには限られず、6本ロール形式やそれ以外の形式の圧延機であってもよい。
【符号の説明】
【0129】
1 圧延設備
3 被圧延材
5 連続式圧延機
5a 第1スタンド
5b 第2スタンド
5c 第3スタンド
5d 第4スタンド
5e 第5スタンド
5u バックアップロール
5w 圧延ロール
10 ピンチロール
20 切断機
20a ドラム
20b 切断刃
25 案内部
30 リール装置
31 第1マンドレル装置
31a 第1マンドレル
31b 第1回転軸
31c 第1マンドレル支持部
31d 第1回転軸支持部
31e 第1ベース
31f 第1拡縮シリンダ
32 第2マンドレル装置
32a 第2マンドレル
32b 第2回転軸
32c 第2マンドレル支持部
32d 第2回転軸支持部
32e 第2ベース
32f 第2拡縮シリンダ
35 主電動機
35a モータ
35b 主駆動軸
35c 主駆動軸支持部
35d 主駆動軸ギヤ
36 第1補助電動機
36a 第1小型モータ
36b 第1補助駆動軸
36c 第1補助駆動軸支持部
36d 第1補助駆動軸ギヤ
37 第2補助電動機
37a 第2小型モータ
37b 第2補助駆動軸
37c 第2補助駆動軸支持部
37d 第2補助駆動軸ギヤ
40 動力伝達装置
41 動力伝達部ベース
42a 第1アイドルギヤ
42b 第2アイドルギヤ
43a 第1メインクラッチギヤ
43b 第2メインクラッチギヤ
44a 第1補助クラッチギヤ
44b 第2補助クラッチギヤ
45a 第1クラッチ装置
45b 第2クラッチ装置
50 ベルトラッパー
55 制御部
60 圧延設備
65 逆転式圧延機
65u バックアップロール
65w 圧延ロール
70 板厚測定器
80 ストリッププレス