(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】宇宙飛行体のための液体貯蔵タンクおよびシステムおよび推進システムならびに関連する方法
(51)【国際特許分類】
B64G 1/40 20060101AFI20220317BHJP
B65D 90/52 20060101ALI20220317BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
B64G1/40 200
B65D90/52
F17C13/00 301Z
(21)【出願番号】P 2018549831
(86)(22)【出願日】2017-03-27
(86)【国際出願番号】 US2017024356
(87)【国際公開番号】W WO2017176490
(87)【国際公開日】2017-10-12
【審査請求日】2019-12-13
(32)【優先日】2016-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598174370
【氏名又は名称】ノースロップ・グラマン・イノベーション・システムズ・エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】518332125
【氏名又は名称】ドナルド・イー・ジャクル・ジュニア
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド・イー・ジャクル・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】カワハラ,ギャリー・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】グリフィン,ポール
(72)【発明者】
【氏名】アブラモブ,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター,タム
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0145022(US,A1)
【文献】特表2011-501072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/00
B64D 37/00
B65D 90/52
F17C 5/00
F17C 9/00
F17C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
宇宙飛行体のための液体貯蔵システムであって、前記液体貯蔵システムは、
少なくとも1つの液体貯蔵タンク(100、200、300、400、500)であって、
タンク入口(102、202、402、502)と、
液体を前記少なくとも1つの液体貯蔵タンク(100
、200、300、400、500)内部から抜き取るためのタンク出口(104、204、404、504)と、
前記タンク入口と前記タンク出口との間で連続して互いに連結された複数の液体貯蔵区画(106、206、406、506)であって、前記複数の液体貯蔵区画の各液体貯蔵区画は、前記液体貯蔵区画の、別の液体貯蔵区画に隣接する該液体貯蔵区画の端部に多孔性出口(110、210、410、510)を含むエンドプレート(108、208、408、508)を含む、前記複数の液体貯蔵区画と、
前記各液体貯蔵区画(106
、206、406、506)内部に配置された1つまたは複数のフィン(114、214)であって、前記1つまたは複数のフィンは、前記各エンドプレート(108
、208、408、508)の外方周囲部分から前記エンドプレートの多孔性出口(110
、210、410、510)まで延びるように、前記各エンドプレートに連結されている、前記1つまたは複数のフィン(114、214)と、を備える液体貯蔵システム。
【請求項2】
前記タンク入口に連結され、前記タンク入口と流体連通する加圧ガス供給源をさらに含む、請求項1に記載の液体貯蔵システム。
【請求項3】
前記加圧ガス供給源は、前記少なくとも1つの
液体貯蔵タンクを少なくとも部分的に囲むシェルによって定められる容積を有する、請求項2に記載の液体貯蔵システム。
【請求項4】
前記加圧ガス供給源は、前記液体貯蔵区画に動作可能に接続されて加圧ガスを収容するタンク、ポンプ、またはガス発生器のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の液体貯蔵システム。
【請求項5】
前記1つまたは複数のフィンは、前記エンドプレートの前記多孔性出口から離れて前記液体貯蔵区画の内部に向かって延びる、請求項1から4のいずれか一項に記載の液体貯蔵システム。
【請求項6】
各液体貯蔵区画内部の前記1つまたは複数のフィンは、それぞれの前記液体貯蔵区画の外壁から内向きに延びる複数のフィンを含み、前記フィンは、前記液体貯蔵区画の中心に近接して合流し、前記多孔性出口の上に延びる、請求項5に記載の液体貯蔵システム。
【請求項7】
各液体貯蔵区画は、前記多孔性出口の周囲を囲む中実のエンドプレートを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の液体貯蔵システム。
【請求項8】
前記複数の液体貯蔵区画は、連続して少なくとも第2の液体貯蔵区画に接続された少なくとも第1の液体貯蔵区画を含み、前記第1の液体貯蔵区画の前記多孔性出口は、前記第2の液体貯蔵区画の多孔性入口としての機能を果たす、請求項1から4のいずれか一項に記載の液体貯蔵システム。
【請求項9】
前記複数の液体貯蔵区画は、少なくとも1つの、液体貯蔵区画の円筒形スタックを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の液体貯蔵システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの液体貯蔵タンクは、第1の液体貯蔵タンクと、前記第1の液体貯蔵タンクと実質的に同じ構成の、少なくとも第2の液体貯蔵タンクとを含み、前記第1の液体貯蔵タンクの前記タンク出口は、前記第2の液体貯蔵タンクのタンク入口と流体連通する、請求項1から4のいずれか一項に記載の液体貯蔵システム。
【請求項11】
宇宙飛行体のための推進システムであって、前記推進システムは、
請求項1から10のいずれか一項に記載の液体貯蔵システムと、
前記液体貯蔵システムの前記
タンク出口に動作可能に連結された1つまたは複数のスラスターと、を含む、推進システム。
【請求項12】
前記エンドプレートは、前記エンドプレートを貫通する、複数の実質的に円形の孔を含む、請求項11に記載の推進システム。
【請求項13】
前記複数の液体貯蔵区画のうちの第1の液体貯蔵区画内部に位置付けられた第1の温度センサと、
前記複数の液体貯蔵区画のうちの第2の液体貯蔵区画内部に位置付けられた第2の温度センサと、
前記第1の液体貯蔵区画および前記第2の液体貯蔵区画に隣接して位置付けられた少なくとも1つの熱源と、
を含む、液面計測システムをさらに含む、請求項11または請求項12に記載の推進システム。
【請求項14】
前記加圧ガス供給源は、前記液体貯蔵区画に隣接して加圧ガスを収容するタンクである、請求項4に記載の液体貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、「Liquid Storage Tanks and Systems and Propulsion Systems for Space Vehicles and Related Methods」について2016年4月5日に出願された米国特許出願第15/091,453号の出願日の利益を主張する。
技術分野
本開示の実施形態は、推進薬または他の液体を人工衛星、打ち上げ用ロケット、および宇宙船内に保持するためのシステムなど、低重力環境において使用されるように特に適合された液体貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
宇宙飛行体内では、液体推進薬が、打ち上げ中に加速下で、および低重力環境において(例えば、宇宙空間内で、地球周辺の軌道において)タンクの動きに応じて、貯蔵タンク内で移動し、スロッシングする傾向があり、このような貯蔵タンクを組み込んだ宇宙飛行体の質量中心を移動させる可能性があり、望ましくない振動、および飛行体制御の問題をもたらす。このスロッシングを低減しようとして、いくつかの従来の液体貯蔵タンクは、スロッシングに対する障害物を提供する構造体をその中に含む。さらに、低重力環境では、液体は、貯蔵タンク内部の任意の場所に位置することがあり、必ずしも貯蔵タンクの出口に位置するわけではない。よって、この構造体は、貯蔵タンク内部の液体によって「湿潤され」得る表面を提供して、表面張力によって液体を出口に向けるように構成されることもできる。
【0003】
さらに、低重力環境において(例えば、宇宙空間内で、地球周辺の軌道において)タンク内の液体の量を決定するのは困難である。なぜならば、方向付けられたかなりの重力または加速力がなければ、液体が貯蔵タンクの予測可能な側または端部に沈む傾向がないためである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施形態では、宇宙飛行体のための液体貯蔵システムは、タンク入口と、タンク出口と、タンク入口とタンク出口との間で連続して互いに連結された複数の液体貯蔵区画と、を含む、少なくとも1つの液体貯蔵タンクを含む。タンク出口は、少なくとも1つの貯蔵タンク内部から液体を抜き取るためのものである。複数の液体貯蔵区画の各液体貯蔵区画は、この液体貯蔵区画の、別の液体貯蔵区画に隣接する端部に多孔性出口を含むエンドプレートを含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、宇宙飛行体のための推進システムは、液体貯蔵システムと、液体貯蔵システムの出口に動作可能に連結された1つまたは複数のスラスターと、を含む。液体貯蔵システムは、少なくとも1つの液体貯蔵タンクを含み、この液体貯蔵タンクは、第1の液体貯蔵区画と、第1の液体貯蔵区画および出口に連結された第2の液体貯蔵区画と、第1の液体貯蔵区画と第2の液体貯蔵区画とを分離する多孔性要素を含むエンドプレートと、を含む。多孔性要素は、多孔性要素全域の圧力差に応じて第1の液体貯蔵区画から第2の液体貯蔵区画に液体を通過させるように、および、第2の液体貯蔵区画内の液体が多孔性要素に対してスロッシングした際に液体が第2の液体貯蔵区画から第1の液体貯蔵区画に通過することを実質的に阻止するようにサイズ決めされ、構成された複数の孔を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、低重力環境において宇宙飛行体のスラスターに液体推進薬を提供する方法は、タンク内部の第1の区画から液体推進薬を抜き取って、第1の区画を、これに隣接する第2の区画から分離するエンドプレート全域に圧力差を誘発するステップと、誘発された圧力差に応じて、エンドプレートと関連付けられた多孔性要素を通して第2の区画から第1の区画内へと液体推進薬を流すステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示による液体貯蔵システムの一実施形態の側面図を示す。
【
図2】
図1の液体貯蔵システムの区画の一実施形態の部分斜視図を示す。
【
図4】本開示による液体貯蔵システムの別の実施形態の斜視図を示す。
【
図5】本開示による液体貯蔵システムの別の実施形態の切欠き側面図を示す。
【
図6】本開示による液体貯蔵システムの一実施形態の上面図を示す。
【
図7】本開示による液体容積測定システムを含む液体貯蔵システムの一実施形態の断面側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明は、本開示の実施形態の十分な説明を提供するために、材料の種類、材料の厚み、および加工条件など、具体的な詳細を提供するものである。しかしながら、当業者は、本開示の実施形態がこれらの具体的な詳細を用いずに実施され得ることを、理解するであろう。実際、本開示の実施形態は、業界で用いられる従来の製造技術および材料と共に実施され得る。
【0009】
以下の詳細な説明では、この一部を形成する添付図面を参照し、添付図面には、実例として、本開示が実施され得る具体的な実施形態が示されている。これらの実施形態を、当業者が本開示を実施することができるよう、十分詳細に説明する。しかしながら、他の実施形態を用いてもよく、構造、材料、または動作の変更を、本開示の範囲から逸脱せずに行うことができる。本明細書に提示する実例は、任意の特定のシステム、装置、構造、またはプロセスの実際の図とすることを意味しておらず、本開示の実施形態を説明するのに用いられる理想的な表示である。さまざまな図面における同様の構造体または部品は、読者の便宜のために、同じかまたは同様の符号を保持し得る;しかしながら、符号の類似性は、それらの構造体または部品のサイズ、組成、構成、または他の特性が必ず同一であることを意味するわけではない。本明細書で提示される図面は、必ずしも一定の比率に縮小して描かれたものではない。
【0010】
所与のパラメータ、特性、または状態への言及において本明細書で使用される用語「実質的に」は、その所与のパラメータ、特性、または状態が許容可能な製作公差以内など相違度合いが小さい状態で満たされることを、当業者が理解するであろう程度で、意味し、含む。例えば、実質的に満たされたパラメータとは、少なくとも約90%が満たされているか、少なくとも約95%が満たされているか、または少なくとも約99%が満たされていてよい。
【0011】
本明細書で使用される、「第1の」、「第2の」、「第3の」、「上」、「下」などといった任意の関係を示す用語は、本開示および添付図面を理解する上で、明確化のため、および便宜上、使用されるものであり、文脈上特に明確な指示のない限り、任意の特定の好み、向き、または順序を暗示したり、それに依存したりするものではない。
【0012】
本開示の実施形態は、宇宙飛行体内など、低重力の適用で使用される液体貯蔵システムを含む。液体貯蔵システムは、その中に貯蔵された液体のスロッシングを阻止および制御するように構成され得、種々の容積および適用に合わせて拡大縮小可能であってよく、液体貯蔵システムの中に貯蔵された液体容積の測定を可能にし得る。液体貯蔵システムは、連続して互いに連結され、かつ多孔性要素(例えば多孔性プレート)によって互いから分離される、複数の区画を含む。
【0013】
図1は、本開示の一実施形態による液体貯蔵システム101のタンク100の側面図を示す。液体貯蔵タンク100は、タンク入口102と、タンク出口104と、タンク入口102とタンク出口104との間で連続して互いに長手方向に連結された複数の液体貯蔵区画106と、を含む。
図2および
図3は、複数の液体貯蔵区画106のうちの単一の区画106の一部の詳細図を示す。タンク100は、例えば、液体推進薬(例えば、従来の宇宙船推進薬)、二元推進薬システムの液体成分、水、液体酸素、液体窒素、または油などの任意の液体を無重力環境に貯蔵するように構成され得る。
【0014】
図1~
図3を参照すると、タンク100の区画106は、それぞれのエンドプレート108によって互いから分離され得る。エンドプレート108は、タンク100の隣接する区画106間に連続して流体連通をもたらすように、それぞれの多孔性要素110と関連付けられ(例えば、多孔性要素110を含むか、または多孔性要素110に連結され)得る。よって、多孔性要素110は、区画106のうちの少なくともいくつかの流体出口としての機能を果たすことができ、また、隣接する区画106の流体入口としての機能を果たすことができる。
【0015】
区画106はそれぞれ、一部が側壁112によって画定され得、側壁112は、
図2に示すように実質的に円筒形であってよい。側壁112は、タンク100の区画106すべてに共通であってよく、または、区画106それぞれが、隣接する区画106の側壁112に長手方向に連結され(例えば、溶接され、接着され、留められ)た別個の側壁112を有し得る。区画106は、タンク100の予想される用途に従ってサイズ決めされ構成され得る。例えば、スロッシングの低減は、各区画106の容積を減少させ、特定のサイズ(すなわち、総容積)のタンク100に、より多い数の区画106を設けることによって、得ることができる。一方、重量および製造費は、各区画106の容積を増大し、特定のサイズ(容積)のタンク100に、より少ない数の区画106を設けることによって、低減され得る。当業者は、特定の適用に適切な各区画106の容積および区画106の数を選択することができる。限定ではなく、一例として、タンク100は、2~12個の区画106、例えば6~10個の区画106、を有し得る。しかしながら、本開示は、1つのタンク100当たり任意の特定の数の区画106に制限されず、一部分は、タンク100およびタンク100を利用する宇宙船のサイズ(例えば長さ)によって決まり得る。
【0016】
図2および
図3を参照すると、いくつかの実施形態では、区画106はそれぞれ、そのエンドプレート108に連結され、かつ多孔性要素110に近接した場所まで延びる、1つまたは複数のフィン114を含み得る。1つまたは複数のフィン114は、エンドプレート108から離れて(例えば垂直に)、また区画106の内部に向かって概ね横向きに延びる、1つまたは複数の実質的に平坦な部材を含み得る。
図2および
図3に例示するように、1つまたは複数のフィン114は、例えばX形状で配置され得、フィン114の半径方向に内側の端部が多孔性要素110およびエンドプレート108の中心で合流する。1つまたは複数のフィン114は、区画106が一部のみ液体で満たされている場合に、横方向への液体スロッシングを阻止する障壁を提供することができる。1つまたは複数のフィン114はまた、液体によって湿潤され得る、多孔性要素110に隣接する表面を提供して、液体を多孔性要素110に向かって引き込み、多孔性要素110を通して液体を区画106から流出させることができる。さらに、フィン114は、部分的に満たされた区画106を埋め戻すガスが、区画106からその中の液体が実質的に排出される前にその多孔性要素110に到達することを阻止し得る。90°間隔で位置した4つのフィン114が描かれているが、別の偶数または奇数のフィン114が、均一または異なる間隔で用いられてもよい。さらに、平坦なフィン114が描かれているが、平坦でないフィン114が用いられてもよく、また、液体スロッシングの傾向をさらに低減するためにフィン114と関連付けられる突出部または弓状エッジをエンドプレートの反対側に含むフィン114が用いられてもよい。
【0017】
限定ではなく、一例として、多孔性要素110はそれぞれ、エンドプレート108の穿孔部分(例えば、中心部分)、エンドプレート108に連結された別個の穿孔プレート、またはエンドプレート108に連結されたスクリーンであってよい。多孔性要素110は、エンドプレート108で取り囲まれ得る。いくつかの実施形態では、多孔性要素110は、エンドプレート108の中心にあってよい。多孔性要素110は、内部を通って延びる開口部(例えば、実質的に円形の孔)を有する金属材料(例えば、金属プレート、金属スクリーン)を含み得る。開口部は、例えば、金属プレートを微細加工(例えば電子ビーム穴あけ)することによって、または織布もしくは不織布のスクリーンを提供することによって、形成され得る。
【0018】
多孔性要素110の開口部は、2つの隣接する区画間でエンドプレート108全域に圧力差が存在すると、タンク100内部の液体が1つの区画106から隣接する区画106へと移動することを可能にするようにサイズ決めおよび構成され得る。さらに、多孔性要素110の開口部は、所与の区画106内部で液体のみが(すなわち、圧力差の非存在下で)スロッシングした際に液体が多孔性要素110を通過することを阻止するように十分に小さくてよい。限定ではなく、一例として、多孔性要素110の開口部は、約0.005インチ(約0.0127cm)~約0.010インチ(約0.0254cm)、例えば約0.007インチ(約0.0177cm)、のサイズ(例えば、直径、断面範囲)を有し得る。開口部のサイズは、タンク100内部に貯蔵される液体の粘度および密度を考慮して選択され得る。開口部が中を通って延びる、多孔性要素110の金属プレートまたはスクリーンは、約0.010インチ(約0.0254cm)~約0.020インチ(約0.0508cm)、例えば約0.015インチ(約0.0381cm)など、の厚みを有し得る。多孔性要素110の材料は、タンク100内に貯蔵される液体にさらされた場合に耐腐食性であるように選択され得る。非限定的な例として、多孔性要素110の材料は、タンク100内に貯蔵される液体に応じて、アルミニウム、ステンレス鋼、またはチタンのうちの1つまたは複数を含み得る。例えば、タンク100が推進薬を貯蔵するのに使用される場合、多孔性要素110の材料はチタンであってよい。
【0019】
再び
図1を参照すると、液体貯蔵タンク100は、入口102に近接して、また出口104に近接して、エンドキャップ116をさらに含み得る。タンク100の内部がタンク100の外部に対して加圧される実施形態では、エンドキャップ116は、
図1に示すように丸みを帯びていてよい。タンク100内部に大きな圧力がない他の実施形態では、エンドキャップ116は、実質的に平坦などの、別の形状を有し得る。
【0020】
入口102は、液体が出口104を通ってタンク100から抜き取られる際にガスでタンク100を加圧および埋め戻しするための圧力調整システム118などの、加圧ガス供給源と流体連通していてよい。例えば、圧力調整システム118は、圧縮ガスを収容する別個のタンク、ガスを加圧するポンプ、またはバッファタンクおよび調整器と組み合わせられたガス発生器を含み得る。圧力調整システム118は、出口104における、またはそこから下流の弁が開いた際に液体をタンク100から流出させるように、タンク100内で十分な圧力を維持するためにガスを提供し得る。圧力調整システム118は、実質的に一定の圧力をタンク100に提供するように構成され得るか、または、可変圧力(例えば、液体がタンク100から抜き取られる際に変化する圧力)をタンク100に提供するように構成され得る。タンク100が推進薬を貯蔵するのに使用される実施形態では、1つまたは複数のスラスター120が、タンク100の出口104と流体連通していてよい。弁121は、液体がタンク100から1つまたは複数のスラスター120へと流れることを選択的に可能にするために出口104と動作可能に連結され得る。
【0021】
本開示による液体貯蔵システム101は、タンク100、圧力調整システム118、および/またはスラスター120のうちの1つまたは複数を含み得る。いくつかの実施形態では、液体貯蔵システム101は、連続して互いに連結された複数のタンク100を含み得る。例えば、第1のタンク100の出口104は、第2のタンク100の入口102と流体連通する。追加のタンク100が、追加の貯蔵容量を提供するため、このように連続して互いに連結され得る。したがって、液体貯蔵システム101は、追加の液体貯蔵が比較的容易に、また低コストで提供され得る点で、モジュール式である。
【0022】
二元推進薬システムでは、第1の液体成分が、1つまたは複数のタンク100に貯蔵され得、第2の液体成分が、1つまたは複数の追加のタンク100に貯蔵され得る。第1および第2の液体成分は、燃焼のため、タンク100のそれぞれの出口104の下流で(例えば、スラスター120で、またはスラスター120と連通するマニホールドで)組み合わせられ得る。
【0023】
液体貯蔵システム101の動作を示すため、
図1を参照するが、
図1では、液体122を実質的に完全に充填されている第1の区画106Aと、第1の区画106Aに隣接し、そこから上流にある第2の区画106Bであって、液体122で部分的にのみ満たされている、第2の区画106Bと、第2の区画106Bに隣接し、そこから上流にある、第3の区画106Cであって、その中に実質的に液体122がない(例えば、液体122がまったくないか、または残存量の液体122のみがある)第3の区画106Cと、が示されている。いくらかの残存液体122が、第3の区画106C内部にとどまり得る。液体貯蔵システム101のタンク100は、最初は、推進薬、水、液体酸素、液体窒素、または油などの液体122を少なくとも部分的に充填され得る。液体は、出口104から抜き取られ得る。液体が出口104から抜き取られると、出口104に最も近い区画106内の圧力が低減され得、出口104に最も近い区画106と隣接する区画106との間のエンドプレート108および多孔性要素110全域に圧力差を生じる。したがって、液体は、隣接する区画106から出口104に最も近い区画106へと、多孔性要素110を通って流れ込む。このような圧力差、および区画106からの液体の抜き取りは、タンク100の中を通って連続して継続する。ガス(例えば、圧力調整システム118からの加圧ガス)は、入口102からタンク100を埋め戻すのに使用され得る。多孔性要素110全域の圧力差は、入口102から出口104への方向に多孔性要素110を通る液体の流れを生じ得る。
【0024】
本明細書で使用される用語「上流」は、入口102から出口104へとタンク100を通るバルク流体流の計画された方向とは反対の方向を指す。本明細書で使用される用語「下流」は、入口102から出口104へとタンク100を通るバルク流体流の計画された方向を指す。
【0025】
圧力が第1の区画106A内で低減されると、第2の区画106Bからの液体122は、第1の区画106Aと第2の区画106Bとの間の多孔性要素110を通って第1の区画106Aに向かって流れることができる。第2の区画106B内の液体122の容積は、液体122が第2の区画106Bから多孔性要素110を通って第1の区画106Aに流れ込むと、低減し得る。第2の区画106B内の液体122は、第2の区画106Bの側壁112、多孔性要素110、およびフィン114(
図2および
図3)を湿潤させ得る。したがって、液体122は、第2の区画106Bの側壁112およびフィン114に沿って多孔性要素110に向かって流れがちとなり得る。第3の区画106Cからのガスは、第2の区画106Bに流れ込むことができ、第2の区画106B内のガスの容積は、増大し得る。第2の区画106Bが実質的に空になる(例えば、第2の区画106B内に液体122が残っていないか、または残存量の液体122のみが残っている)と、ガスは、第2の区画106Bから第1の区画106Aへ流れ込み始めることができる。
【0026】
前述したプロセスは、区画106のそれぞれ、およびタンク100全体から液体122が実質的に完全に排出されるまで、タンク100の区画106の中を通って連続して継続し得る。
【0027】
液体122が実質的に排出されている区画106内に残った、見込まれる残存液体122のほかに、タンク100内部でスロッシングを受ける液体122の容積は、単一の区画106の容積に実質的に限られ得る。よって、本開示の実施形態は、先の既知の液体貯蔵タンクと比べてスロッシングをより効果的に制御し、低減することができる。したがって、液体の貯蔵を含む宇宙飛行体の制御は、本開示による液体貯蔵システム101を使用することにより改善され得る。
【0028】
図4を参照すると、液体貯蔵システム201は、互いに隣接して配置され、かつ連続して互いに流体連結された、一群の液体貯蔵タンク200を含み得る。タンク200はそれぞれ、実質的に、タンク100を参照して前述したように構成され得る。したがって、タンク200はそれぞれ、入口202と、出口204と、連続して互いに長手方向に連結され、かつそれぞれのエンドプレート208および多孔性要素210によって分離された複数の液体貯蔵区画206と、側壁212と、エンドキャップ216と、を含み得る。区画206はそれぞれ、1つまたは複数のフィン214を含み得る(そのうちの1つが
図4に破線で示されている)。液体貯蔵システム201は、システム入口224と、システム出口226と、を含み得る。圧力調整システム218が、システム入口224と流体連通していてよく、システム入口224は、液体貯蔵システム201の最も上流でタンク200の入口202と流体連通していてよい。システム出口226は、液体貯蔵システム201内の最も下流でタンク200の出口204と流体連通していてよい。システム出口226は、例えば1つまたは複数のスラスターとさらに選択的に流体連通していてよい。
【0029】
液体貯蔵システム201は、タンク200を互いに、また支持構造体(例えば宇宙飛行体)に固定するために、上方構造部品230および下方構造部品232をさらに含み得る。(液体貯蔵システム201の出口に最も近いタンク200以外の)各タンク200の出口204は、コネクタパイプ234を通って、続いて下流にあるタンク200の入口202と流体連通していてよい。
図4の視点から見ると、コネクタパイプ234は、タンク200の下部にある、タンク200に垂直な各出口204から、上方へ、かつ、タンク200に対して平行に、および下流のタンク200の上部にある入口202までタンク200に垂直に、流体を向けることができる。あるいは、タンク200は、ジグザグパターンで互いに流体接続され得る。このような実施形態では、各タンク200の出口204は、続いて下流にあるタンク200の入口202に隣接してよく、液体が、タンク200のうちの1つでは下向きに、続いて下流にあるタンク200では上向きに、さらに続いて下流にあるタンク200では下向きに、などで、システム出口226から抜き取られるときに液体貯蔵システム201内部で液体の大きな流れを生じる。
【0030】
いくつかの実施形態では、液体貯蔵システム201は、液体燃料と液体酸化剤とを組み合わせて燃焼させるシステムなどの、二元推進薬システムの液体成分を貯蔵するように構成され得る。このような実施形態では、システム201のタンク200の第1のグループ(例えば、タンク200の第1の半分)が、二元推進薬の第1の液体成分を収容するように構成され得、タンク200の第2の異なるグループ(例えば、タンク200の第2の半分)が、二元推進薬の第2の液体成分を収容するように構成され得る。よって、液体貯蔵システム201は、2つのシステム入口224および2つのシステム出口226(二元推進薬の第1および第2の流体成分のそれぞれについて1つのシステム入口224および1つのシステム出口226)を含み得る。二元推進薬の第1および第2の液体成分は、2つのシステム出口226において、またはそこから下流で、例えば2つのシステム出口226と流体連通するスラスターにおいて、燃焼のために組み合わせられ得る。いくつかの実施形態では、液体貯蔵システムは、三元推進薬(tripropellant)システムの3つの液体成分を貯蔵するように構成され得る。
【0031】
図5を参照すると、液体貯蔵タンク300は、液体貯蔵システム301を形成するのに使用され得る。例えば、液体貯蔵システム301は、円形パターンに配置された20個の液体貯蔵タンク300を含み得、1つの中心液体貯蔵タンク300、中心液体貯蔵タンク300に隣接し、かつその周辺にある、6個の中間液体貯蔵タンク300、および6個の中間液体貯蔵タンク300に隣接し、かつその周辺にある、13個の外側液体貯蔵タンク300がある。いくつかの実施形態では、液体貯蔵タンク300は、加圧ガス供給源として作用する圧力容器302内部に位置付けられるか、または、前述したような圧力調整システムに連結され得る。液体貯蔵タンク300は、前述したタンク100、200と同様であってよく、また、前述したように連続して互いに動作可能に連結され得る。
【0032】
図6を参照すると、液体貯蔵システム401は、圧力容器440内部に位置付けられた1つまたは複数の液体貯蔵タンク400を含み得る。タンク400は、前述したタンク100、200、300と同様であってよく、また、それぞれの入口402と、出口404と、連続して互いに連結された区画406と、を含み得る。区画406は、それぞれの多孔性要素410と関連付けられたそれぞれのエンドプレート408によって互いから分離され得る。液体貯蔵タンク400は、タンク400の連続する出口と入口との間に流体連通をもたらすコネクタパイプ434などによって、互いに動作可能に連結され得る。
【0033】
最も上流のタンク400は、圧力容器440の内部と流体連通するタンク入口402を含み得る。最も下流のタンク400は、タンク400内部から圧力容器440の外部まで、例えばスラスターまたは他の推進要素まで液体を提供するように構成されたタンク出口404を含み得る。よって、最も下流のタンク400のタンク出口404は、システム出口444として機能し得る。3つのタンク400のみが、明確にするため、および説明しやすくするために、
図6に示されているが、本開示はそのように制限されず、任意の数のタンク400が、特定の適用に応じて圧力容器440内部に位置付けられ得る。
【0034】
動作中、タンク400は、液体(例えば推進薬)を少なくとも部分的に充填されてよく、圧力容器440の内部容積は、液体がシステム出口444を通って除去される際にタンク400を埋め戻すためにガス(例えば、窒素、ヘリウム、貯蔵された液体に対する他の不活性ガス、および/または貯蔵された液体から蒸発した蒸気)で加圧され得る。液体貯蔵システム401は、いわゆる「ブローダウン」システムであってよく、このシステムでは、圧力容器440からタンク400に提供された圧力は、液体がタンク400から抜き取られる際に低下する。液体がシステム出口444を通って液体貯蔵システム401から抜き取られると、圧力容器440内部からの加圧ガスがタンク400を埋め戻し、タンク400および圧力容器440内部の圧力レベルが低下する。タンク400が液体で実質的に満たされている場合に圧力容器440に提供される初期圧力レベルは、少なくとも一部では、タンク400と、そのタンク400を取り囲む圧力容器440と、の相対容積に基づいて選択され得る。初期圧力レベルは、システム出口444を通じてタンク400から液体を実質的に完全に押し出すために圧力容器440およびタンク400内部に十分な最終圧力レベルを生じるように選択され得る。限定ではなく、一例として、タンク400およびコネクタパイプ434の内部容積は、圧力容器440の総内部容積の約3/4であってよい。所定の初期圧力レベルは、約800psi(約5,516kPa)となるように選択され得る。このような例では、圧力容器440およびタンク400内部の最終圧力レベル(すなわち、タンク400内の液体の最終部分がシステム出口444を通って実質的に完全に抜き取られるときの)は、例えば、最初に圧力容器440内部にある加圧ガスがタンク400を埋め戻すために膨張した結果として、約200psi(約1,379kPa)であってよい。
【0035】
液体貯蔵システム501の実施形態の断面側面図を
図7に示す。液体貯蔵システム501は、前述した液体貯蔵システム101、201、301、401のうちのいずれかと同様であってよく、タンク入口502と、タンク出口504と、連続して互いに連結され、それぞれのエンドプレート508および関連付けられた多孔性要素510によって分離された複数の液体貯蔵区画506と、を含む、少なくとも1つの液体貯蔵タンク500を含む。液体貯蔵システム501は、それぞれの区画506と関連付けられた温度センサ552および少なくとも1つの熱源554を含む液面計測システム550をさらに含み得る。温度センサ552は、例えば、サーミスタまたは熱電対であってよい。温度センサ552は、タンク500の共通する側(例えば、
図7の視点から見て右側)に沿ってそれぞれの区画506内部に位置付けられ得る。少なくとも1つの熱源554は、例えば、タンク500の、温度センサ552とは反対側で、タンク500の外部または内部に沿って位置付けられたストリップヒータまたは細長い熱流板であってよい。
【0036】
動作中、タンク500内部の液面を測定することが望ましい場合、液面計測システム550は、熱を発生するように熱源554を起動させることによって機能することができ、温度センサ552は、熱源554から発生した熱に対する熱応答を測定することができる。実例として、部分的に満たされた区画506Aが、いくらかの液体522を含み得る。部分的に満たされた区画506Aから上流の区画506は、ガスを実質的に完全に充填されていてよく、また、その中に液体が実質的になくてよい。部分的に満たされた区画506Aから下流の区画506は、液体を実質的に完全に充填されていてよい。熱応答は、異なる熱伝達率により、ガスを実質的に完全に充填された区画506と、液体で部分的に満たされた区画506と、実質的に完全に充填された区画506とでは異なる。区画506それぞれの内部の異なる質量は、熱源554を起動させた際に温度センサ552で温度変化を観察することにより測定可能である、その熱伝達率に影響を及ぼし得る。例えば、ガスを実質的に完全に充填された区画506内の温度センサ552は、その相対的に最高の熱伝達率により、熱源554の起動後、相対的に最も速い温度上昇を経験し得る。液体を実質的に完全に充填された区画506内の温度センサ552は、その相対的に最低の熱伝達率により、熱源554の起動後、相対的に最も遅い温度上昇を経験し得る。部分的に満たされた区画506A内の温度センサ552は、その中間的な熱伝達率により、熱源554の起動後、中間的な温度上昇を経験し得る。
【0037】
このように、タンク500内部の液面は、区画506のうちの1つの少なくともおおよその容積の精度で測定され得る。いくつかの実施形態では、測定の精度は、部分的に満たされた区画506Aの熱応答を、残りの区画506の熱応答と比較することによって、向上させることができる。例えば、部分的に満たされた区画506Aの熱応答が、液体で実質的に満たされた区画506の熱応答に相対的に近い場合、部分的に満たされた区画506A内部の液体の容積は、液体で半分超が満たされていると推定され得る。同様に、部分的に満たされた区画506Aの熱応答が、ガスで実質的に満たされた区画506の熱応答に相対的に近い場合、部分的に満たされた区画506A内部の液体の容積は、液体で半分足らずが満たされていると推定され得る。測定の精度のさらなる向上は、既知の比率の液体とガスが区画506内部にある場合に区画506のそれぞれの熱応答を測定することなどによって、区画506の熱応答を較正することによって得られる。
【0038】
前述し、添付図面に例示した本開示の実施形態は、これらの実施形態が本開示の実施形態の単なる例にすぎないので、本発明の範囲を制限するものではない。本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的等価物によって包含される。任意の等価な実施形態が、本開示の範囲内に存在する。実際、説明した要素の他の組み合わせおよび改変など、本明細書において図示および説明したものに加え、本開示のさまざまな改変が、説明から当業者には明らかとなるであろう。このような実施形態、組み合わせ、および改変も、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的等価物の範囲内に含まれる。以下は、本願の出願当初の本発明の各種形態である。
(形態1)
宇宙飛行体のための液体貯蔵システムであって、前記液体貯蔵システムは、
少なくとも1つの液体貯蔵タンクであって、
タンク入口と、
液体を前記少なくとも1つの液体貯蔵タンク内部から抜き取るためのタンク出口と、
前記タンク入口と前記タンク出口との間で連続して互いに連結された複数の液体貯蔵区画とを含み、前記複数の液体貯蔵区画の各液体貯蔵区画は、
前記液体貯蔵区画の、別の液体貯蔵区画に隣接する端部に多孔性出口を含むエンドプレートを含む、少なくとも1つの液体貯蔵タンク
を備える、液体貯蔵システム。
(形態2)
前記タンク入口に連結され、前記タンク入口と流体連通する加圧ガス供給源をさらに含む、形態1に記載の液体貯蔵システム。
(形態3)
前記加圧ガス供給源は、前記少なくとも1つの液体貯蔵タンクを少なくとも部分的に囲むシェルによって定められる容積を有する、形態2に記載の液体貯蔵システム。
(形態4)
前記加圧ガス供給源は、前記液体貯蔵区画に隣接して加圧ガスを収容するタンク、ポンプ、またはガス発生器のうちの少なくとも1つを含む、形態2に記載の液体貯蔵システム。
(形態5)
前記複数の液体貯蔵区画の各液体貯蔵区画内部に1つまたは複数のフィンをさらに含み、前記1つまたは複数のフィンは、前記多孔性出口に少なくとも近接して位置付けられ、前記多孔性出口から離れて前記液体貯蔵区画の内部に向かって延びる、形態1から4のいずれか一項に記載の液体貯蔵システム。
(形態6)
各液体貯蔵区画内部の前記1つまたは複数のフィンは、それぞれの前記液体貯蔵区画の外壁から内向きに延びる複数のフィンを含み、前記フィンは、前記液体貯蔵区画の中心に近接して合流し、前記多孔性出口の上に延びる、形態5に記載の液体貯蔵システム。
(形態7)
各液体貯蔵区画は、前記多孔性出口の周囲を囲む中実のエンドプレートを含む、形態1から4のいずれか一項に記載の液体貯蔵システム。
(形態8)
前記複数の液体貯蔵区画は、連続して少なくとも第2の液体貯蔵区画に接続された少なくとも第1の液体貯蔵区画を含み、前記第1の液体貯蔵区画の前記多孔性出口は、前記第2の液体貯蔵区画の多孔性入口としての機能を果たす、形態1から4のいずれか一項に記載の液体貯蔵システム。
(形態9)
前記複数の液体貯蔵区画は、少なくとも1つの、液体貯蔵区画の円筒形スタックを含む、形態1から4のいずれか一項に記載の液体貯蔵システム。
(形態10)
前記少なくとも1つの液体貯蔵タンクは、第1の液体貯蔵タンクと、前記第1の液体貯蔵タンクと実質的に同じ構成の、少なくとも第2の液体貯蔵タンクとを含み、前記第1の液体貯蔵タンクの前記タンク出口は、前記第2の液体貯蔵タンクのタンク入口と流体連通する、形態1から4のいずれか一項に記載の液体貯蔵システム。
(形態11)
宇宙飛行体のための推進システムであって、前記推進システムは、
形態1に記載の液体貯蔵システムと、
前記液体貯蔵システムの前記出口に動作可能に連結された1つまたは複数のスラスターと、
を含む、推進システム。
(形態12)
前記エンドプレートは、前記エンドプレートを貫通する、複数の実質的に円形の孔を含む、形態11に記載の推進システム。
(形態13)
前記複数の液体貯蔵区画のうちの第1の液体貯蔵区画内部に位置付けられた第1の温度センサと、
前記複数の液体貯蔵区画のうちの第2の液体貯蔵区画内部に位置付けられた第2の温度センサと、
前記第1の液体貯蔵区画および前記第2の液体貯蔵区画に隣接して位置付けられた少なくとも1つの熱源と、
を含む、液面計測システムをさらに含む、形態11または形態12に記載の推進システム。
(形態14)
低重力環境において宇宙飛行体のスラスターに液体推進薬を提供する方法であって、前記方法は、
タンク内部の第1の区画から液体推進薬を抜き取って、前記第1の区画を、これに隣接する第2の区画から分離するエンドプレート全域に圧力差を誘発するステップと、
誘発された前記圧力差に応じて、前記エンドプレートと関連付けられた多孔性要素を通じて前記第2の区画から前記第1の区画内へと前記液体推進薬を流すステップと
を含む、方法。
(形態15)
前記液体推進薬が前記第2の区画から前記第1の区画内へと流れる際に前記第2の区画を埋め戻すために、前記第2の区画内へとガスを流すステップをさらに含む、形態14に記載の方法。
(形態16)
前記液体推進薬が前記第1の区画から抜き取られる際に前記第1の区画を埋め戻すために前記第1の区画内へとガスを流す前に、前記第2の区画から前記液体推進薬を実質的に完全に排出して前記第1の区画内に入れるステップをさらに含む、形態15に記載の方法。
(形態17)
前記第2の区画を第3の区画から分離する別のエンドプレートと関連付けられた別の多孔性要素を通じて前記第3の区画から前記第2の区画内へと前記液体推進薬を流すステップをさらに含む、形態14から16のいずれか一項に記載の方法。
(形態18)
前記第1の区画から前記液体推進薬を抜き取るステップは、前記タンクの出口に連結された弁を開くステップを含む、形態14から16のいずれか一項に記載の方法。