(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】皮膚炎症または老化を改善する新規のオートファジー作用活性化誘導化合物
(51)【国際特許分類】
C07K 5/068 20060101AFI20220317BHJP
A23L 33/18 20160101ALI20220317BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20220317BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20220317BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220317BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20220317BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20220317BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20220317BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20220317BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20220317BHJP
A61K 38/05 20060101ALI20220317BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220317BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220317BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20220317BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220317BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20220317BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20220317BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220317BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20220317BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220317BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
C07K5/068
A23L33/18
A61K8/64
A61K9/06
A61K9/08
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/70 401
A61K38/05
A61P3/10
A61P17/00
A61P17/06
A61P25/00
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/28
A61P37/08
A61P43/00 111
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2019520348
(86)(22)【出願日】2017-06-23
(86)【国際出願番号】 KR2017006670
(87)【国際公開番号】W WO2017222345
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2019-01-10
【審判番号】
【審判請求日】2020-11-25
(31)【優先権主張番号】10-2016-0079506
(32)【優先日】2016-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0001515
(32)【優先日】2017-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518455170
【氏名又は名称】インコスファーム コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INCOSPHARM CORPORATION
【住所又は居所原語表記】#112, 125, Gwahak-ro, Yuseong-gu, Daejeon 34141 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】リム, チェジン
(72)【発明者】
【氏名】キム, フン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】チュン, ハ-ジー
(72)【発明者】
【氏名】ユング, ジュヨン
(72)【発明者】
【氏名】シン, カヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ボエム チョル
(72)【発明者】
【氏名】ユン, ソク ジョン
(72)【発明者】
【氏名】コール, ミョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】クォン, ソン ドク
(72)【発明者】
【氏名】パク, ケドン
【合議体】
【審判長】福井 悟
【審判官】中島 庸子
【審判官】吉森 晃
(56)【参考文献】
【文献】CAS,2016年4月20日,RN 1894171-14-2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C07K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される
、化合物またはその薬学的に許容可能な塩
からなる、オートファジー活性化誘導剤。
[化学式1]
【化1】
前記化学式1中、
Rは、水素または‐X‐R
1であり、Xは、単結合または‐CO‐であり、R
1は、
C
1
‐C
20
アルキルである
。
【請求項2】
前記化合物は、下記化学式2で表される、請求項1に記載
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩
からなる、オートファジー活性化誘導剤。
[化学式2]
【化2】
前記化学式2中、
R´は、水素または‐X‐R
2であり、Xは、単結合または‐CO‐であり、R
2は、
C
1
‐C
20
アルキルである
。
【請求項3】
前記Xは、‐CO‐であり、R
2は、
C
1
‐C
20
アルキルである、請求項2に記載
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩
からなる、オートファジー活性化誘導剤。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の
オートファジー活性化誘導剤を有効成分として含む、アトピーまたは乾癬皮膚疾患治療および予防用の医薬組成物。
【請求項5】
前記
オートファジー活性化誘導剤は、0.0001~10重量%含まれる、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記医薬組成物は、錠剤、丸剤、カプセル、顆粒、粉末、散剤、液剤、貼付剤、塗布剤または注射剤の形態で使用されることを特徴とする、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載の
オートファジー活性化誘導剤を含む、化粧料組成物。
【請求項8】
前記
オートファジー活性化誘導剤は、0.0001~1重量%含まれる、請求項7に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
前記化粧料組成物は、剤形が、懸濁液、エマルジョン、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング、オイル、パウダーファンデーション、エマルジョンファンデーション、ワックスファンデーションまたはスプレーである、
請求項7に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
請求項1から3のいずれか1項に記載の
オートファジー活性化誘導剤を含む、食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の化合物およびその用途に関し、オートファジー活性化能に優れ、様々な老化関連の代謝疾患、アトピー、乾癬などの炎症性皮膚疾患の予防および治療に適用することができる化合物またはその薬学的に許容される塩およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
乾癬およびアトピー性皮膚疾患の発病原因は、まだ明確になっていないが、アレルギー性皮膚疾患であると評価されている。アトピー性皮膚炎は、遺伝的な要因と免疫系の欠乏が関連していると考えられる。その他に、乾燥した皮膚、普通の人に比べてかゆみを感じやすい特性や情緒的、環境的な要因が互いに複合的に作用すると報告されている。
【0003】
アトピー性皮膚炎患者関連の病変は、Th2‐細胞媒介免疫反応によってIL‐6、IL‐8、IL‐10の過剰生成と血清兔疫グロブリン(IgE)濃度の増加およびインターフェロン‐γ(IFN‐γ)の生成の減少に関連している。乾癬は、皮膚において炎症性細胞浸潤の慢性的活性化と表皮角質細胞の調節障害によりもたらされた免疫‐媒介‐自己免疫皮膚疾患である。既存に報告されたところによると、炎症性サイトカインとT細胞のような免疫細胞浸潤間の相互作用として含む複雑なメカニズムに関連していると報告されており、Th1細胞だけでなく、最近の研究で、Th17細胞およびIL‐17A、IL‐22のようなTh‐17媒介サイトカインが乾癬の促進を誘導すると報告されている。
【0004】
一方、オートファジー(autophagy)は、細胞内のエネルギー源が枯渇したり、細胞内のストレス要因が過剰に発生した時に老巧あるいは損傷した細胞内物質および機関を分解することで、エネルギー再生産および損傷物質を除去するメカニズムを言い、正常な細胞の維持を可能にする。最近、様々な研究を経て老化が進むにつれてまたは老化を加速化するほど細胞内のオートファジー活性が急激に減少すると報告されている。また、オートファジーを抑制した場合、細胞内に老朽ミトコンドリアや誤って折りたたまれたタンパク質などが過剰に蓄積し、細胞内の自由ラジカルおよび酸化ストレスが増加し、結局、細胞の死滅が増加し、老化が促進する結果をもたらすことになる。
【0005】
したがって、細胞内の老化した物質および機関を分解し、その分解産物をリサイクルするオートファジーメカニズムの活性化により、変形したタンパク質、脂質およびミトコンドリアなどを迅速に除去し、これにより、細胞がより健康な状態で生存することができる環境を提供する。
【0006】
かかるオートファジーの活性化がアルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病などの神経変性疾患だけでなく、2型糖尿病の治療および予防に主に作用するという先行文献が公知となっている。
【0007】
また、オートファジーは、細胞内の恒常性を維持するだけでなく、兔疫細胞反応と炎症経路にも関連している。細胞内微生物を除去するためのメカニズムをオートファジーアダプターにより提供する。したがって、細胞内のオートファジー活性化を促進することで、神経変性疾患および2型糖尿病の治療および予防と皮膚炎症を緩和するオートファジー活性化素材の開発が求められる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Hung et al.Autophagy,2009,5,4,502‐510
【文献】Qi et al.PLOS one,2012,7,10,e46834
【文献】Xilouri et al.Brain,2013,136,2130‐2146
【文献】Kim et al.The Journal of Clinical Investigation,2014,124,8,3311‐3324
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、新規のオートファジー活性化誘導化合物およびその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0010】
また、本発明は、本発明のオートファジー活性化誘導化合物およびその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む神経変性疾患、2型糖尿病、およびアトピーまたは乾癬などの炎症性皮膚疾患の治療および予防用の医薬組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は、本発明のオートファジー活性化誘導化合物およびその薬学的に許容可能な塩を含む化粧料組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、本発明のオートファジー活性化誘導化合物およびその薬学的に許容可能な塩を含む食品組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、細胞内オートファジー活性化を誘導する化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供するものであり、本発明の化合物は、下記化学式1で表される。
【0014】
【0015】
[前記化学式1中、
Rは、水素または‐X‐R1であり、Xは、単結合または‐CO‐であり、R1は、(C1‐C20)アルキルである。]
【0016】
本発明の一実施形態による前記化学式1は、下記化学式2で表され得る。
【0017】
【0018】
[前記化学式2中、
R´は、水素または‐X‐R2であり、Xは、単結合または‐CO‐であり、R2は、(C1‐C20)アルキルである。]
【0019】
好ましくは、本発明の一実施形態による前記化学式2中、Xは、‐CO‐であり、R2は、(C1‐C20)アルキルであってもよい。
【0020】
また、本発明は、本発明の前記化学式1で表されるオートファジー活性化誘導化合物またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む神経変性疾患、2型糖尿病またはアトピーおよび乾癬などの炎症性皮膚疾患の治療および予防用の医薬組成物を提供する。
【0021】
本発明の一実施形態による神経変性疾患は、アルツハイマー病、ハンチントン病またはパーキンソン病であってもよい。
【0022】
好ましくは、本発明の一実施形態による医薬組成物は、前記化学式1で表されるオートファジー活性化誘導化合物またはその薬学的に許容可能な塩が0.0001~10重量%含まれてもよく、錠剤、丸剤、カプセル、顆粒、粉末、散剤、液剤、貼付剤または注射剤の形態で使用され得る。
【0023】
また、本発明は、本発明の前記化学式1で表されるオートファジー活性化誘導化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む化粧料組成物を提供する。
【0024】
好ましくは、本発明の一実施形態による化粧料組成物は、前記化学式1で表されるオートファジー活性化誘導化合物またはその薬学的に許容可能な塩が0.0001~1重量%含まれてもよく、懸濁液、エマルジョン、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング、オイル、パウダーファンデーション、エマルジョンファンデーション、ワックスファンデーションまたはスプレーの剤形であってもよい。
【0025】
また、本発明は、本発明の前記化学式1で表されるオートファジー活性化誘導化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む食品組成物を提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の新規のオートファジー活性化誘導化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、オートファジー関連タンパク質の発現を増加させることでオートファジーを活性化し、酸化ストレスから細胞を保護することができ、酸化ストレスによる各種の疾患および現象を改善、予防および治療することができる。
【0027】
本発明の医薬組成物は、オートファジー活性化を誘導する本発明のオートファジー活性化誘導化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含むことで、オートファジー関連の疾患、特に、乾癬、アトピー性皮膚炎、神経変性疾患または2型糖尿病の治療および予防に非常に効果的である。
【0028】
本発明の化粧料組成物(特に、乾癬、アトピー性皮膚炎の緩和および治療用)と食品組成物もまた、オートファジー関連タンパク質の発現を増加させる本発明のオートファジー活性化誘導化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含むことで、酸化ストレスから細胞、組織および個体を保護することができ、抗炎症に非常に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の化合物8の処理によってオートファジー活性化とそれに関連するタンパク質発現を分析した結果である。
【
図2】本発明の化合物8によるアトピーおよび乾癬に関連するマーカーの遺伝子発現およびタンパク質発現を分析した結果である。
【
図3】本発明の化合物8によるアトピーおよび乾癬に関連するマーカーの遺伝子発現およびタンパク質発現を分析した結果である。
【
図4】本発明の化合物8によるアトピーおよび乾癬に関連するマーカーの遺伝子発現およびタンパク質発現を分析した結果である。
【
図5】本発明の化合物8がアトピーおよび乾癬免疫反応に示されるサイトカインIL‐6(interleukin‐6)、IL‐8(interleukin‐8)免疫分析法を用いた結果である。
【
図6】本発明の化合物8がアトピーおよび乾癬免疫反応に示されるサイトカインIL‐6(interleukin‐6)、IL‐8(interleukin‐8)免疫分析法を用いた結果である。
【
図7】本発明の化合物8がアトピーおよび乾癬免疫反応に示されるサイトカインIL‐6(interleukin‐6)、IL‐8(interleukin‐8)免疫分析法を用いた結果である。
【
図8】アトピーおよび乾癬免疫反応に示されるサイトカインを遺伝子発現分析した結果である。
【
図9】アトピーおよび乾癬免疫反応に示されるサイトカインを遺伝子発現分析した結果である。
【
図10】本発明の化合物8と比較例化合物がアトピーおよび乾癬免疫反応に示されるサイトカインIL‐1b(Symbol)(Interleukin‐1 beta)に及ぼす効果を免疫分析法を用いて比較した結果である。
【
図11】乾癬動物モデル実験の全体的な過程およびその具体的な方法を表現した模式図である。
【
図12】乾癬動物モデル実験の全体的な過程およびその具体的な方法を表現した模式図である。
【
図13】本発明の化合物8による乾癬動物モデルでの臨床学的および組織学的な結果である。
【
図14】本発明の化合物8による乾癬動物モデルでの臨床学的および組織学的な結果である。
【
図15】本発明の化合物8による乾癬動物モデルでの臨床学的および組織学的な結果である。
【
図16】本発明の化合物8を乾癬動物モデルに処理した後の体重変化を分析した結果である。
【
図17】本発明の化合物8を乾癬動物モデルに処理した後の経表皮水分喪失量を分析した結果である。
【
図18】本発明の化合物8を
図12のように乾癬動物モデルの耳に処理した後、耳皮膚の厚さの変化を分析した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[定義]
用語「アルキル」は、指定された炭素原子の数を有する(すなわち、C1‐C10は、1~10個の炭素を意味する)それ自体でまたは他の置換体の一部として、特記しない限り、完全に飽和されるか、モノ‐または多不飽和されていてもよく、一価、二価および多価ラジカルを含んでいてもよい、直鎖または分岐鎖または環状炭化水素ラジカル、またはこれらの組み合わせを意味する。飽和アルキルラジカルの例は、メチル、メチレン、エチル、エチレン、n‐プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、t‐ブチル、イソブチル、sec‐ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、例えば、n‐ペンチル、n‐ヘキシル、n‐ヘプチル、n‐オクチルなどの同族体および異性体などの基を含むが、これに制限されない。不飽和アルキル基は、一つ以上の二重結合または三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例は、ビニル、2‐プロペニル、クロチル、2‐イソペンテニル、2‐(ブタジエニル)、2,4‐ペンタジエニル、3‐(1,4‐ペンタジエニル)、エチニル、1‐および3‐プロピニル、3‐ブチニル、および高級同族体および異性体を含むが、これに制限されない。
【0031】
用語「アルキル」は、特に断らない限り、「アルキレン」および任意に下記でより詳細に定義されたアルキルの誘導体、例えば「ヘテロアルキル」を含む。
【0032】
用語「ヘテロアルキル」は、それ自体でまたは他の用語と組み合わされ、特記しない限り、言及された数の炭素原子およびO、N、Si、PおよびSからなる群から選択される少なくとも一つのヘテロ原子からなる、安定した直鎖または分岐鎖、または環状炭化水素ラジカル、またはこれらの組み合わせを意味し、ここで、窒素および硫黄原子は、選択的に酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は、選択的に四級化されていてもよい。ヘテロ原子(ら)のO、N、S、PおよびSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置にまたはアルキル基が分子の残りの部分に付着された位置に配置されていてもよい。例としては、‐CH2‐CH2‐O‐CH3、‐CH2‐CH2‐NH‐CH3、‐CH2‐CH2‐N(CH3)‐CH3、‐CH2‐S‐CH2‐CH3、‐CH2‐CH2、‐S(O)‐CH3、‐CH2‐CH2‐S(O)2‐CH3、‐CH=CH‐O‐CH3、‐Si(CH3)3、‐CH2‐CH=N‐OCH3、および-CH=CH‐N(CH3)‐CH3を含むが、これに制限されない。例えば、‐CH2‐NH‐OCH3および‐CH2‐O‐Si(CH3)3のように最大2個のヘテロ原子が連続していてもよい。同様に、用語「ヘテロアルキレン」は、それ自体でまたは他の置換体の一部として、‐CH2‐CH2‐S‐CH2CH2‐および‐CH2‐S‐CH2‐CH2‐NH‐CH2として例示されるが、これに制限されないヘテロアルキル由来の二価ラジカルを意味する。ヘテロアルキレン基に対して、ヘテロ原子は、また鎖末端の一方または両方のいずれも占めることができる(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。また、さらに、アルキレンおよびヘテロアルキレン連結基に対して、連結基の化学式が記載された方向によって連結基の配向が暗示されるものではない。例えば、化学式‐C(O)2R´‐は、‐C(O)2R´および‐R´C(O)2の両方を示す。
【0033】
用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、それ自体でまたは他の用語と組み合わされ、特記しない限り、「アルキル」および「ヘテロアルキル」それぞれの環状バージョンを示す。また、「シクロアルキレン」のような二価および多価種が含まれる。また、ヘテロシクロアルキルに対して、ヘテロ原子は、ヘテロ環が分子の残りに付着される位置を占めることができる。シクロアルキルの例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、1‐シクロヘキセニル、3‐シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどを含むが、これに制限されない。ヘテロシクロアルキルは、1‐(1,2,5,6‐テトラヒドロピリジル)、1‐ピペリジニル、2‐ピペリジニル、3‐ピペリジニル、4‐モルホリニル、3‐モルホリニル、テトラヒドロフラン‐2‐イル、テトラヒドロフラン‐3‐イル、テトラヒドロチエン‐2‐イル、テトラヒドロチエン‐3‐イル、1‐ピペラジニル、2‐ピペラジニルなどを含むが、これに制限されない。
【0034】
例示的な「アルキル」、「アルコキシ」および本願に記載の「アルキル」部分を含むその他の置換基は、直鎖および分岐鎖状の両方を含み、1~20個の炭素原子、好ましくは1~17個、より好ましくは1~15個の炭素原子を有する。
【0035】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、これらの自体でまたは他の置換体の一部として、特記しない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。さらに、「ハロアルキル」といった用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むものを意味する。例えば、用語「ハロ(C1‐C4)アルキル」は、トリフルオロメチル、2,2,2‐トリフルオロエチル、4‐クロロブチル、3‐ブロモプロピルなどの種を含むが、これに制限されないものを意味する。
【0036】
用語「アリール」は、特記しない限り、ともに融合されるか共有連結された単環または多環(好ましくは、1個~3個の環)であってもよく、多不飽和された、芳香族、炭化水素の置換体を意味する。用語「ヘテロアリール」は、N、O、およびSから選択される1個~4個のヘテロ原子を含有するアリール基(または環)を指し、ここで、窒素および硫黄原子は、選択的に酸化され、窒素原子(ら)は、選択的に四級化される。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して分子の残りに付着されることができる。アリールおよびヘテロアリール基の非制限的な例は、フェニル、1‐ナフチル、2‐ナフチル、4‐ビフェニル、1‐ピロリル、2‐ピロリル、3‐ピロリル、3‐ピラゾリル、2‐イミダゾリル、4‐イミダゾリル、ピラジニル、2‐オキサゾリル、4‐オキサゾリル、2‐フェニル‐4‐オキサゾリル、5‐オキサゾリル、3‐イソキサゾリル、4‐イソキサゾリル、5‐イソキサゾリル、2‐チアゾリル、4‐チアゾリル、5‐チアゾリル、2‐フリル、3‐フリル、2‐チエニル、3‐チエニル、2‐ピリジル、3‐ピリジル、4‐ピリジル、2‐ピリミジル、4‐ピリミジル、5‐ベンゾチアゾリル、プリニル、2‐ベンゾイミダゾリル、5‐インドリル、1‐イソキノリル、5‐イソキノリル、2‐キノキサリニル、5‐キノキサリニル、3‐キノリル、および6‐キノリルを含む。また、「アリレン」のような二価および多価リンカー種が含まれる。上述のアリールおよびヘテロアリール環システムそれぞれに対する置換体は、以下に記載する許容可能な置換体の群から選択される。
【0037】
簡単に、用語「アリール」は、他の用語と組み合わせて使用する時に(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)、上記に定義されたようなアリールおよびヘテロアリール環の両方を含む。したがって、用語「アリールアルキル」は、炭素原子(例えば、メチレン基)が、例えば、酸素原子で置換されたアルキル基(例えば、フェノキシメチル、2‐ピリジルオキシメチル、3‐(1‐ナフチルオキシ)プロピルなど)を含む、アリール基がアルキル基に付着されたラジカル(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)を含むことを意図する。
【0038】
上記用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」)それぞれは、示されたラジカルの置換および非置換の形態の両方を含む。各類型のラジカルに対する好ましい置換体は、下記に提供される。
【0039】
アルキル、およびヘテロアルキルラジカル(しばしば、アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルと称する基を含む)に対する置換体は、0~(2m´+1)範囲の数(ここで、m´は、上記ラジカル中の炭素原子の総数である)であり、‐OR´、=O、=NR´、=N‐OR´、‐NR´R´´、‐SR´、‐ハロゲン、‐SiR´R´´R´´´、‐OC(O)R´、‐C(O)R´、‐CO2R´、‐CONR´R´´、‐OC(O)NR´R´´、‐NR´´C(O)R´、SO3R´、NR´C(O)NR´´R´´´、‐NR´´C(O)2R´、‐NR‐C(NR´R´´R´´´)=NR´´´´、‐NRC(NR´R´´)=NR´´´、‐S(O)R´、‐S(O)2R´、‐S(O)2NR´R´´、NRSO2R´、‐CNおよび‐NO2から選択されるが、これに制限されない各種基の一つ以上であってもよい。R´、R´´、R´´´およびR´´´´は、それぞれ、好ましくは、独立して水素、置換または非置換のヘテロアルキル、置換または非置換のアリール、例えば、1個~3個のハロゲンで置換されたアリール、置換または非置換のアルキル、アルコキシまたはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を指す。本発明の化合物が一つ超過のR基を含む場合、例えば、R基は、それぞれ独立して、それぞれのR´、R´´、R´´´およびR´´´´基(これら基のうち一つ超過が存在する場合)でのように選択される。R´およびR´´が同じ窒素原子に付着された場合、これらは、窒素原子と組み合わされ、五‐、六‐、または七‐員環を形成する。例えば、‐NR´R´´は、1‐ピロリジニルおよび4‐モルホリニルを含むが、これに制限されないことを意図する。置換体に対する上記論議から、当業者は、用語「置換されたアルキル」および「ヘテロアルキル」が、水素基以外の基に結合した炭素原子を含む基、例えば、ハロアルキル(例えば、‐CF3および‐CH2CF3)およびアシル(例えば、‐C(O)CH3、‐C(O)CF3、‐C(O)CH2OCH3など)を含むことを意図することを理解するであろう。
【0040】
上記段落に記載の置換体は、本願において「アルキル基置換体」と称する。
【0041】
アルキルラジカルについて記載された置換体と同様、アリールおよびヘテロアリール基置換体は、一般的に、それぞれ「アリール置換体」および「ヘテロアリール置換体」として言及され、これらは、様々であり、0~芳香族環システム上の開放原子価の総数範囲の数であり、例えば、ハロゲン、OR´、=O、=NR´、=N‐OR´、‐NR´R´´、‐SR´、‐ハロゲン、‐SiR´R´´R´´´、OC(O)R´、‐C(O)R´、CO2R´、‐CONR´R´´、‐OC(O)NR´R´´、‐NR´´C(O)R´、NR´C(O)NR´´R´´´、‐NR´´C(O)2R´、NRC(NR´R´´)=NR´´´、‐S(O)R´、‐S(O)2R´、SO3R´、‐S(O)2NR´R´´、NRSO2R´、‐CNおよびNO2、‐R´、‐N3、‐CH(Ph)2、フルオロ(C1‐C4)アルコキシ、およびフルオロ(C1‐C4)アルキルから選択され;ここで、R´、R´´、R´´´およびR´´´´は、好ましくは、独立して、水素、(C1‐C8)アルキルおよびヘテロアルキル、非置換のアリールおよびヘテロアリール、(非置換のアリール)‐(C1‐C4)アルキル、および(非置換のアリール)オキシ‐(C1‐C4)アルキルから選択される。例えば、本発明の化合物が一つ超過のR基を含む場合、R基は、それぞれ独立して、それぞれのR´、R´´、R´´´およびR´´´´基(これらの基のうち一つ超過が存在する場合)でのように選択される。
【0042】
アリールまたはヘテロアリール環の隣接した原子上の置換体のうち2個は、選択的に、化学式‐T‐C(O)‐(CRR´)q‐U‐(ここで、TおよびUは、独立して、‐NR‐、‐O‐、‐CRR´‐または単結合であり、qは0~3の整数である)の置換体で置換されていてもよい。代案的に、アリールまたはヘテロアリール環の隣接した原子上の置換体のうち2個は、選択的に、化学式‐A(CH2)rB‐(ここで、AおよびBは、独立して、‐CRR´‐、‐O‐、‐NR‐、‐S‐、‐S(O)‐、‐S(O)2‐、‐S(O)2NR´‐または単結合であり、rは1~4の整数である)の置換体で置換されていてもよい。このように形成された新たな環の単結合の一つは、選択的に二重結合で置換されてもよい。代案的に、アリールまたはヘテロアリール環の隣接した原子上の置換体のうち2個は、選択的に、化学式‐(CRR´)s‐X‐(CR´´R´´´)d‐(ここで、sおよびdは、独立して、0~3の整数であり、Xは、‐O‐、‐NR´‐、‐S‐、‐S(O)‐、‐S(O)2‐、または‐S(O)2NR´‐である)の置換体で置換されていてもよい。置換体のR、R´、R´´およびR´´´は、好ましくは、独立して、水素または置換または非置換の(C1‐C6)アルキルから選択される。
【0043】
上記二つの段落に記載の置換体は、本願において「アリール基置換体」と称する。
【0044】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に記述する。
【0045】
本発明は、オートファジー活性化を誘導することができ、様々な用途に効果的に使用可能な下記化学式1で表されるオートファジー活性化誘導化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0046】
【0047】
[前記化学式1中、
Rは、水素または‐X‐R1であり、Xは、単結合または‐CO‐であり、R1は、(C1‐C20)アルキルである。]
【0048】
細胞内のオートファジー活性化は、若い人の組織および細胞では活溌に起こるが、老化が進むにつれて細胞内のオートファジー関連タンパク質の発現量が急激に減少するため、オートファジー活性度が急激に低下することになり、細胞内の老巧タンパク質、脂質およびミトコンドリアが適切な時期に除去されることができず、細胞老化現象が急速に生じることになる。
【0049】
したがって、オートファジーを活性化させることで、各細胞、組織および個体の老化を抑制し、老化によってもたらされる各種の疾患の治療を可能にすることができる。
【0050】
また、オートファジーの活性化は、細胞内の有害なタンパク質および機関の除去により、老化した細胞の生存率を向上させ、さらには各個体の寿命増加と非常に密接な関係がある。
【0051】
先行報告によると、オートファジーの活性化は、アルツハイマー病の主な原因であるアミロイドβの蓄積を減少させて、これによる細胞の毒性から細胞を保護する効果を提供することになり、神経細胞の損傷を最小化し(Hung et al.Autophagy,2009,5,4,502‐510)、ハンチントン病の主な原因である突然変異ハンチンティン(huntingtin)を分解および除去し、ハンチントン病の症状緩和および治療可能性を提示しており(Qi et al.PLOS one,2012,7,10,e46834)、パーキンソン病の主な原因であるα‐シヌクレインの蓄積を抑制してα‐シヌクレインによる神経退行を緩和させる効果を提供することになり(Xilouri et al.Brain,2013,136,2130‐2146)、膵臓β細胞を破壊して2型糖尿病を誘発するヒト膵臓アミロイドポリペプチドの毒性オリゴマー形成体を除去して2型糖尿の発生を遮断し、ヒト膵臓アミロイドポリペプチドの毒性オリゴマー形成体によって発生した2型糖尿病の症状緩和および治療可能性を提示している(Kim et al.The Journal of Clinical Investigation,2014,124,8,3311‐3324)。
【0052】
また、最近、アトピー性皮膚、乾癬、にきびといった皮膚炎や、環境汚染による皮膚疾患の発生頻度が増加すると報告されている。かかる発病に対する正確なメカニズムは明らかになっていないが、サイトカインは、多数の信号伝達経路を介して様々な細胞に下流信号を送り、細胞の表面上にサイトカイン受容体に結合することで免疫および皮膚炎症を調節することにより、ケラチノサイト(keratinocyte)の過形成およびケラチノサイト分化の抑制をもたらすということが広く認められている(Arijit Coondoo,Indian J Dermatol,57,90‐96,2012)。
【0053】
したがって、本発明者らは、オートファジー活性化を促進させる素材を開発するために鋭意研究を重ねた結果、前記化学式1で表される化合物が、細胞でオートファジー関連遺伝子の転写およびタンパク質の発現の増加によりオートファジーを活性化させる効果を糾明し、炎症性サイトカイン(inflammatory cytokine)の分泌を抑制させる重要な役割をすることで本発明を完成するに至った。
【0054】
結論として、本発明の前記化学式1で表されるオートファジー活性化誘導化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、オートファジー活性化関連タンパク質の発現を増大し、オートファジーを活性化させる効能を有することで、これを含む組成物は、老化用途、または神経変性疾患(アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病など)または2型糖尿病、または乾癬およびアトピー性皮膚炎などの皮膚炎症疾患の予防、改善または治療に非常に有用に使用可能である。
【0055】
好ましくは、本発明の一実施形態による前記化学式1で表されるオートファジー活性化誘導化合物は、下記化学式2で表され得る。
【0056】
【0057】
[前記化学式2中、
R´は、水素または‐X‐R2であり;Xは、単結合または‐CO‐であり;R2は、置換されているかまたは置換されていない(C1‐C20)アルキルであり、例えば、置換されているかまたは置換されていないC2‐C18アルキルであり、例えば、置換されているかまたは置換されていないC3‐C17アルキルである。一実施形態において、R2は、置換されているかまたは置換されていないC13‐C17アルキルである。さらなる一実施形態において、R2は、置換されているかまたは置換されていないC15アルキルである。様々な実施形態において、R2は、置換されていないC15アルキルである。
【0058】
より好ましくは、本発明の一実施形態による化学式2中、Xは、‐CO‐であってもよく、R2は、置換されているかまたは置換されていない(C1‐C20)アルキルであり、例えば、置換されているかまたは置換されていないC2‐C18アルキルであり、例えば、置換されているかまたは置換されていないC3‐C17アルキルであってもよい。一実施形態において、R2は、置換されているかまたは置換されていないC3‐C17アルキルである。さらなる一実施形態において、R2は、置換されているかまたは置換されていないC15アルキルである。様々な実施形態において、R2は、置換されていないC15アルキルである。]
【0059】
具体的には、本発明の前記化学式1で表されるオートファジー活性化誘導化合物は、下記化学式3で表され得る。
【0060】
【0061】
【0062】
また、本発明は、本発明の前記化学式1で表されるオートファジー活性化誘導化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む神経変性疾患、2型糖尿病または乾癬およびアトピー性皮膚炎の予防または治療用医薬組成物を提供する。
【0063】
詳細には、本発明の医学組成物は、オートファジー活性化作用によって突然変異α‐アミロイド、ハンチンティン、α‐シヌクレインおよびヒト膵臓アミロイドポリペプチドの毒性オリゴマー形成体によって誘発されるアルツハイマー、ハンチントン病、パーキンソン病、2型糖尿病、乾癬またはアトピー性皮膚炎の予防または治療効能に非常に効果的である。
【0064】
本発明の一実施形態による神経変性疾患は、アルツハイマー病、ハンチントン病またはパーキンソン病であってもよい。
【0065】
本発明の一実施形態による医薬組成物に含まれる前記オートファジー活性化誘導化合物またはその薬学的に許容可能な塩の含有量は、組成物の用途、適用形態、使用目的および所望の効果に応じて適宜調節可能であり、含有量に対する効果を考慮し、例えば、全組成物重量に対して、0.0001~10重量%、好ましくは0.001~5重量%、最も好ましくは0.03~1重量%であることが好ましい。前記範囲未満の場合には、実質的なオートファジー活性化効果を得ることができず、前記範囲以上の場合には、本原料の高吸湿性によって剤形の安定性を低下させ得るため、前記範囲であった方が好ましい。
【0066】
本発明の化合物の薬学的に許容可能な塩は、当業界に知られている通常の技術を使用して製造されてもよく、本発明における用語、「薬学的に許容可能な塩」とは、薬学的に許容される無機酸、有機酸、または塩基から誘導された塩を含む。好適な酸の例としては、塩酸、臭酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン‐p‐スルホン酸、酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ホルム酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン‐2‐スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などが挙げられる。好適な塩基から誘導された塩は、ナトリウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、およびアンモニウムなどを含んでもよい。
【0067】
本発明の医学組成物は、主に、経口、静脈、腹腔、筋肉および皮下投与の方法で使用され得る。また、通常の方法によって散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルション、シロップ、エアゾールなどの経口型剤形、外用剤、坐剤または滅菌注射溶液などの形態に剤形化して使用されてもよく、その形態は特に制限されない。
【0068】
本発明の医薬組成物は、医学組成物の製造に通常使用する薬学的に許容される添加剤をさらに含んでもよい。薬学的に許容可能な添加剤とは、生物体をよほど刺激することなく投与化合物の生物学的活性および特性を阻害しない担体または希釈剤を言う。また、前記添加剤は、製剤の製造、圧縮性、外観および味を向上させることができ、例えば、安定化剤、界面活性剤、滑沢剤、可溶化剤、緩衝剤、甘味剤、基剤、吸着剤、矯味剤、結合剤、懸濁化剤、硬化剤、抗酸化剤、光沢剤、着香剤、香味剤、顔料、コーティング剤、湿潤剤、湿潤調整剤、充填剤、消泡剤、清涼化剤、咀嚼剤、静電防止剤、着色剤、糖衣剤、等張化剤、軟化剤、乳化剤、粘着剤、粘増剤、発泡剤、pH調節剤、賦形剤、分散剤、崩壊剤、防水剤、防腐剤、保存剤、溶解補助剤、溶剤、流動化剤などを必要に応じて添加してもよい。
【0069】
一例として、経口投与のための製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、かかる製剤は、少なくとも一つ以上の賦形剤および/または滑剤などを含んでもよい。経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが相当するが、よく使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィンの他に、様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれ得る。また、非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤などが含まれ得る。
【0070】
前記医学組成物の好ましい投与量は、患者の状態および体重、疾病の程度、薬物の形態、投与経路および期間に応じて異なるが、当業者によって適宜選択され得る。より好ましい効果のために、本発明の組成物の投与量は、有効成分を基準として、1日0.1mg/kg~100mg/kgにすることが好ましいが、これに制限されるものではない。投与は、1日に1回投与してもよく、数回に分けて投与してもよい。本発明の医薬組成物の薬学的投与形態は、有効成分の薬学的許容可能な塩の形態でも使用され得、また単独でまたは他の薬学的活性化合物と結合だけでなく、適当な集合で使用され得る。
【0071】
本発明の医薬組成物は、経口または非経口投与することができ、非経口投与の場合には、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、経皮投与などで投与することができる。
【0072】
本発明の医薬組成物は、薬剤学的に許容される担体を含んでもよい。本発明の医薬組成物に含まれる薬剤学的に許容される担体は、製剤時に通常用いられるものであり、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石、ステアリン酸マグネシウムおよびミネラルオイルなどを含むが、これに限定されるものではない。本発明の医薬組成物は、前記成分以外に、滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などをさらに含んでもよい。
【0073】
本発明の医薬組成物は、当該発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施することができる方法によって、薬学的に許容される担体および/または賦形剤を用いて通常の製剤に剤形化することで、単位容量形態に製造されるかまたは多容量容器内に取り入れて製造され得る。通常の剤形とは、例えば、経口(錠剤、カプセル剤、粉末剤)、口腔内、舌下、直腸内、膣内、鼻腔内、局所または非経口(静脈内、海綿体内、筋肉内、皮下および管内を含む)投与剤形を称する。例えば、本発明に係るオートパージ活性化誘導化合物は、デンプンまたはラクトースを含有する錠剤形態で、または単独または賦形剤を含有するカプセル形態で、または味をつけるか色をつける化学薬品を含有するエリキシルまたは懸濁剤形態で、経口、口腔内または舌下投与され得る。液体製剤は、懸濁剤(例えば、メチルセルロース、ウィテップゾール(witepsol)のような半合成グリセリドまたは杏仁油(apricot kernel oil)とPEG‐6エステルの混合物またはPEG‐8とカプリリック/カプリックグリセリドの混合物のようなグリセリド混合物)のような薬剤学的に許容可能な添加剤とともに製造される。また、非経口的に、例えば、静脈内、海綿体内、筋肉内、皮下および管内を介して注射される場合、無菌の水溶液形態で使用することが最も好ましく、この際、前記溶液は、血液との等張性を有するために、他の物質(例えば、塩(salt)またはマンニトール、グルコースのような単糖類)を含有してもよい。
【0074】
好ましくは、本発明の一実施形態による医薬組成物は、錠剤、丸剤、カプセル、顆粒、粉末、散剤、液剤、貼付剤または注射剤の形態で使用され得る。
【0075】
また、本発明は、本発明の前記化学式1で表されるオートファジー活性化誘導化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む化粧料組成物を提供する。
【0076】
本発明の化粧料組成物は、アトピー性皮膚炎の緩和および治療または抗老化用機能性化粧料組成物であり、投与経路によって、皮膚外用、経皮または皮下投与が可能であり、好ましくは、皮膚外用または経皮、より好ましくは、皮膚外用投与が可能な組成物であってもよい。
【0077】
本発明の化粧料組成物は、皮膚、頭皮または毛髪に経皮的に適用されてもよく、基礎化粧品、メイクアップ化粧品、ボディー製品、剃り用製品、毛髪製品などのすべての化粧品製品の製造に使用可能な組成物を意味するものであり、懸濁液、エマルション、ペースト、ジェル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング、オイル、パウダーファンデーション、エマルジョンファンデーション、ワックスファンデーションまたはスプレーに剤形化したものであってもよく、その形態は特に制限されない。
【0078】
本発明の化粧料組成物に含有された前記化学式1で表されるオートファジー活性化誘導化合物の含有量は、組成物の用途、適用形態、使用目的および所望の効果に応じて適宜調節可能であり、含有量に対する効果を考慮し、例えば、全組成物重量に対して、0.0001~1重量%、好ましくは0.001~0.5重量%、最も好ましくは0.03~0.1重量%であることが好ましい。前記範囲未満の場合には、実質的なオートファジー活性化効果を得ることができず、前記範囲以上の場合には、本原料の高吸湿性によって剤形の安定性を低下させ得るため、前記範囲であった方が好ましい。
【0079】
本発明の一実施形態による化粧料組成物は、本発明の前記化学式1で表されるオートファジー活性化誘導化合物またはその薬学的に許容可能な塩以外に、通常の製品化または製剤化に使用可能なすべての種類の成分、例えば、香料、色素、殺菌剤、酸化防止剤、防腐剤、保湿剤、安定化剤、乳化剤、粘増剤、液晶膜強化剤、顔料、賦形剤、希釈剤、無機塩類および合成高分子物質などをさらに含んでもよく、その種類と含有量は、最終産物の用途および使用目的に応じて適宜調節してもよい。
【0080】
前記さらに含まれ得る添加剤は、当業界において一般的に使用される原料であれば限定されず、具体的な一例としては、プロパンジオール、1,2‐ヘキサンジオール、エチルヘキシルグリセリン、フェノキシエタノール、カプリルヒドロキサム酸およびグリセリルカプリレートなどの防腐剤;メトキシケイ皮酸誘導体、ジフェニルアクリル酸誘導体、サリチル酸誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンザルマロネート誘導体、アントラニル誘導体、イミダゾリン誘導体、4,4‐ジアリールブタジエン誘導体およびフェニルベンゾイミダゾール誘導体系などの紫外線吸収剤;セテアリルアルコール、セチルアルコールおよびベヘニルアルコールなどの脂肪(fatty)アルコールおよびビス‐PEG15/メチルエチルジメチルシラン、ジメチコン/ジメチコンPEG‐10/15、ジメチコン/ポリグリセリン‐3、ジメチコン/ジメチコノール、ジメチコン/ジメチコンビニルジメチコン、シクロメチコン/ジメチコノール、シクロメチコン/ジメチコン、シクロメチコン/トリメチルシロキシシリケート、シクロペンタシロキサン/ジメチコン、シクロペンタシロキサン/PEG‐12ジメチコン、シクロペンタシロキサン/セテアリルジメチコン/ビニルジメチコン、シクロペンタシロキサン/ジメチコン/ビニルジメチコン、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーなどのシリコンポリマーなどから選択される安定化剤;カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などから選択される乳化剤が混合されてもよく、好ましくは、ポリグリセリル‐4カプリレート/カプレート、ポリグリセリル‐5カプリレート/カプレート、ポリグリセリル‐6カプリレート/カプレート、ポリグリセリル‐7カプリレート/カプレート、ポリグリセリル‐8カプリレート/カプレート、ポリグリセリル‐9カプリレート/カプレート、ポリグリセリル‐10カプリレート/カプレート、ポリグリセリル‐4カプレート、ポリグリセリル‐5カプレート、ポリグリセリル‐6カプレート、ポリグリセリル‐7カプレート、ポリグリセリル‐8カプレート、ポリグリセリル‐9カプレート、ポリグリセリル‐10カプレート、ポリグリセリル‐4ラウレート、ポリグリセリル‐5ラウレート、ポリグリセリル‐6ラウレート、ポリグリセリル‐7ラウレート、ポリグリセリル‐8ラウレート、ポリグリセリル‐9ラウレート、ポリグリセリル‐10ラウレート、ポリグリセリル‐6ココエート、ポリグリセリル‐7ココエート、ポリグリセリル‐8ココエート、ポリグリセリル‐9ココエート、ポリグリセリル‐10ココエート、ポリグリセリル‐11ココエート、ポリグリセリル‐12ココエート、ポリグリセリル‐6ミリステート、ポリグリセリル‐7ミリステート、ポリグリセリル‐8ミリステート、ポリグリセリル‐9ミリステート、ポリグリセリル‐10ミリステート、ポリグリセリル‐11ミリステート、ポリグリセリル‐12ミリステート、ポリグリセリル‐10オレエート、ポリグリセリル‐11オレエート、ポリグリセリル‐12オレエート、ポリグリセリル‐10ステアレート、ポリグリセリル‐11ステアレート、ポリグリセリル‐12ステアレート、ポリグリセリル‐6ベヘネートなどのポリグリセリル脂肪酸エステル系界面活性剤としてポリグリセリルと脂肪酸を反応させて直接製造するか、市販のものを購入して使用してもよいことは言うまでもない。前記粘増剤は、化粧料組成物の適切な粘度を付与して使用感および剤形の安定度を向上させるためのものであり、カルボマー、カーボポール、ゼラチン、キサンタンガム、天然セルロース、ハイセル、メチルセルロースなどから選択されてもよく、これに限定されるものではない。前記液晶膜強化剤は、液晶の強度を増加させ、稠密に囲いを連結して液晶の長期安定性を維持する役割をするものであり、フィトスフィンゴシン、ビスヒドロキシエチルビスセチルマロアミド、コレステロールイソステアレート、コレステロールオレート、コレステロールステアレート、レシチン、セラミド類(一例として、セラミド3、セラミド6)などであってもよく、これに限定されるものではない。
【0081】
また、前記顔料は、体質顔料、白色顔料、着色顔料、真珠光沢顔料、金属粉体、有機粉体などを含み、前記体質顔料としては、タルク、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、アルミナ、ケイ酸バリウム、ゼオライト、白雲母、炭酸マグネシウム、硫酸バリウムなどが可能であり、白色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛などが可能であり、着色顔料としては、ベンガラ、硫酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、群青、紺青、およびカーボンブラックなどが可能であり、真珠光沢顔料としては、二酸化チタン、雲母チタン、チタン酸鉄および酸化チタン被覆雲母、シリカ、酸化スズ、およびフェロシアン化第二鉄などが可能であり、金属粉体としては、金、銀、銅、パラジウム、白金などが可能であり、有機粉体としては、ポリメチルメタクリレート、ナイロン、セルロース、デンプンなどが可能である。また、通常、化粧料において公知の天然物、無機系、および有機系顔料がいずれも使用されてもよく、前記天産物顔料としては、クチナシ黄色、クチナシ青色、クチナシ緑色、クチナシ赤色、ベニコウジ赤色素、ベニコウジ黄色素、ベニバナ黄色素、アナトー色素、コチニール色素、ラック色素、コウリャン色素、葡萄果皮色素、赤キャベツ色素、エルダーベリー色素、ブルーベリー色素、パプリカ色素、キャラメル色素、アカダイコン色素、カキ色素、全硫化色素、リボフラビン、ベータカロチン、カカオ色素、ターメリック色素、コーンレッド色素、ビートレッド色素、アントシアン、アントシアニン、ピコシアン、ピコシアニン、クロロピル色素、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1種が可能であり、無機系顔料としては、金属酸化物、特に、酸化鉄(赤色、黒色、黄色、茶色)、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロム、ビズマスオキシクロライド、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、酸化セリウム、酸化ニッケル、水酸化カリウム、水酸化鉄、水酸化アルミニウム、水酸化クロミウム、水酸化マグネシウム、フェロシアン化第二鉄アンモニウム、紺青、硫化鉄、マンガンバイオレット、カーボンブラック、マイカー、カオリン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1種が可能であり、有機系顔料としては、インディゴレーキ、カルミンレーキ、周知のFD&CおよびD&C染料シリーズ由来のレーキ、例えば、D&C Red21アルミニウムレーキ、D&C Red 7カルシウムレーキ、芳香性アゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノンおよびキサンチン染色剤のような天然または合成の有機性染料などが使用可能である。
【0082】
本発明の化粧料組成物は、抗老化用機能性化粧料組成物またはアトピー性皮膚炎の緩和用化粧料組成物であり、投与経路に応じて、皮膚外用、経皮または皮下投与が可能であり、好ましくは、皮膚外用または経皮、より好ましくは、皮膚外用投与が可能な組成物であってもよく、特に、アトピー性皮膚炎の緩和および治療用としての化粧料組成物は、皮膚外用剤が好ましい。
【0083】
また、前記化粧料組成物は、適用される形態に通常含まれる溶媒を含んでもよく、例えば、エタノール、グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2,4‐ブタントリオール、ソルビトールエステル、1,2,6‐ヘキサントリオール、ベンジルアルコール、イソプロパノール、ブタンジオール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルイソソルビド、N‐メチル‐2‐ピロリドン、プロピレンカーボネート、グリセレス‐26、メチルグルセス‐20、イソセチルミリステート、イソセチルオクタノエート、オクチルドデシルミリステート、オクチルドデカノール、イソステアリルイソステアレート、セチルオクタノエートおよびネオペンチルグリコールジカプレートなどから選択される1種以上を含んでもよい。かかる溶媒を使用して本発明の組成物を製造する場合、化合物の種類に応じてまたは溶媒の混合比に応じて、溶媒に対する化合物の溶解度が少しずつ異なるが、本発明が属する技術分野における当業者であれば、製品の特性に応じて溶媒の種類および使容量を適宜選択して適用することができる。
【0084】
また、前記化粧料組成物は、経皮投与時の経皮透過を強化するための様々な物質を含んでもよい。例えば、ラウロカプラム(laurocapram)誘導体およびオレイン酸、モノオレート誘導体のエステル誘導体、アダパレン、トレチノイン、レチンアルデヒド、タザロテン、サリチル酸、アゼライン酸、グリコール酸、エトキシジグリコール、ツイン80、レシチンオルガノゲルなどを含んでもよい。また、本発明の化粧料組成物は、さらなる機能を付与するために、本発明の組成物によるオートファージー活性化効果を害しない範囲内で、共界面活性剤、界面活性剤、フケ防止剤、角質軟化剤、血行促進剤、細胞活性剤、清涼剤、保湿剤、抗酸化剤、pH調節剤、精製水などの補助成分を添加してもよく、適用される形態に応じて、適切な香料、色素、防腐剤、賦形剤などの添加剤を含有してもよい。
【0085】
また、本発明は、本発明の前記化学式1で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む食品組成物を提供する。
【0086】
本発明の食品組成物は、許容可能な食品補助添加剤を含んでもよく、機能性食品の製造に通常使用される適切な担体、賦形剤および希釈剤をさらに含んでもよい。
【0087】
本発明において、食品は、栄養素を一つまたはそれ以上含有している天産物または加工品を意味し、好ましくは、ある程度の加工工程を経て直接食べることができる状態になったものを意味し、通常の意味として、各種の食品、健康機能食品、飲み物、食品添加剤および飲み物添加剤をいずれも含む意味で使用される。前記食品の例としては、各種の食品類、飲み物、ガム、お茶、ビタミン複合剤、機能性食品などがある。さらに、本発明において、食品には、特殊栄養食品(例えば、調乳類、乳幼児食など)、食肉加工品、魚肉製品、豆腐類、こんにゃく類、麺類(例えば、ラーメン類、ソバ類など)、健康補助食品、調味食品(例えば、醤油、味噌、コチュジャン、混合味噌など)、ソース類、お菓子類(例えば、スナック類)、乳加工品(例えば、発酵乳、チーズなど)、その他の加工食品、キムチ、漬け食品(各種のキムチ類、漬物など)、飲み物(例えば、果実、野菜類飲み物、豆乳類、醗酵ドリンク類、アイスクリーム類など)、天然調味料(例えば、ラーメンスープなど)、ビタミン複合剤、アルコール飲み物、酒類およびその他の健康補助食品類を含むが、これに限定されない。前記健康機能食品、飲み物、食品添加剤または飲み物添加剤は、通常の製造方法により製造され得る。
【0088】
また、前記食品組成物に含まれる本発明の前記化学式1で表される化合物またはその塩の含有量は、全体食品重量に対して0.00001重量%~50重量%含まれてもよく、前記食品が飲み物の場合には、食品の全体積100mlを基準として、0.001g~50g、好ましくは0.01g~10gの割合で含まれてもよく、これに制限されるものではない。
【実施例】
【0089】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明を例示するだけであって、本発明が下記の実施例により限定されるものではない。
【0090】
[実施例1]化合物1の合成
実施例1‐1.化合物1aの合成
【0091】
【0092】
800mlの反応容器に2‐クロロトリチルクロリドレジン(100‐200mesh,Novabiochem 20g、1当量)とFmoc‐Lys(Dde)‐OH(Nα‐Fmoc‐Nε‐Dde‐L‐リジン、Nα‐Fmoc‐Nε‐[1‐(4,4‐ジメチル‐2,6‐ジオキソシクロヘキシリデン)エチル]‐L‐リジン)(21.3g、2当量)およびDIPEA(29.9ml、8当量)をDCM(700ml)を入れて常温で12時間反応させた。ろ過して反応液を除去し、合成されたレジンをそれぞれ500mlのDCM(ジクロロメタン)とMeOH、DCM、DMF(ジメチルホルムアミド)を用いて順次洗浄した。真空乾燥して固体相形態の化合物1a(Fmoc‐Lys(Dde)‐O‐2‐クロロトリチルレジン)を99%収率で23g取得した。
【0093】
実施例1‐2.化合物1bの合成
【0094】
【0095】
800mlの反応容器に化合物1aと700mlのDMF中20%ピペリジンを入れて常温で5分間反応させた後、ろ過して反応液を除去した。700mlのDMF中20%ピペリジンをもう一度加えて常温で5分間反応させた。ろ過して反応液を除去し、合成されたレジンをそれぞれ500mlのDCMとMeOH、DCM、DMFを用いて順次洗浄した。真空乾燥して固体相形態のFmocが除去された生成物にFmoc‐Lys(Fmoc)‐OH(47.3g、4当量)とHOBt(10.8g、4当量)およびDIC(12.4ml、4当量)を600mlのDMFに溶解して加え、常温で4時間反応させた。ろ過して反応液を除去し、合成されたレジンをそれぞれ500mlのDCMとMeOH、DCM、DMFを用いて順次洗浄した。真空乾燥して固体相形態の化合物1b(Fmoc‐Lys(Fmoc)‐Lys(Dde)‐O‐2‐クロロトリチルレジン)を98%収率で25g取得した。
【0096】
実施例1‐3.化合物1cの合成
【0097】
【0098】
800mlの反応容器に化合物1bと700mlのDMF中20%ピペリジンを入れて常温で5分間反応させた後、ろ過して反応液を除去した。700mlのDMF中20%ピペリジンをもう一度加えて常温で5分間反応させた。ろ過して反応液を除去し、合成されたレジンをそれぞれ500mlのDCMとMeOH、DCM、DMFを用いて順次洗浄した。真空乾燥して固体相形態のFmocが除去された生成物にtert‐ブチルブロモアセテート(59.1ml、20当量)とDIPEA(69.7ml、20当量)を600mlのDMFに溶解して加え、常温で12時間反応させた。ろ過して反応液を除去し、合成されたレジンを500mlのDMFを用いて洗浄した。また、1,8‐ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン(85.7g、20当量)とtert‐ブチルブロモアセテート(59.1ml、20当量)およびDIPEA(69.7ml、20当量)を600mlのDMFに溶解して加え、常温で12時間反応させた。ろ過して反応液を除去し、合成されたレジンをそれぞれ500mlのDCMとMeOH、DCM、DMFを用いて順次洗浄した。真空乾燥して固体相形態の化合物1c(tert‐ブトキシカルボニルメチル)2‐Lys(tert‐ブトキシカルボニルメチル)2‐Lys(Dde)‐O‐2‐クロロトリチルレジン)を95%収率で31g取得した。
【0099】
実施例1‐4.化合物1dの合成
【0100】
【0101】
800mlの反応容器に化合物1cと700mlのDMF中2%ヒドラジンを入れて5分間常温で反応させた。ろ過して反応液を除去し、合成されたレジンを500mlのDMFを用いて洗浄した。また、700mlの10%DIPEA in DMFを加えて常温で5分間反応させた。ろ過して反応液を除去し、合成されたレジンをそれぞれ500mlのDCMとMeOH、DCM、DMFを用いて順次洗浄した。真空乾燥して固体相形態の化合物1d(tert‐ブトキシカルボニルメチル)2‐Lys(tert‐ブトキシカルボニルメチル)2‐Lys(NH2)‐O‐2‐クロロトリチルレジン)を99%収率で30g取得した。
【0102】
実施例1‐5.保護基およびResin除去反応による化合物1の合成
【0103】
【0104】
10mlの反応容器に化合物1d(1g、1当量)を入れて、5mlのcleavage cocktail(トリフルオロ酢酸:トリイソプロピルシラン:DW=95:2.5:2.5)加えて常温で3時間反応させた。ろ過して反応液を集め、これに45mlのジエチルエーテルを加えて生成物を沈殿させた。遠心分離機を用いて固体生成物を集め、45mlのジエチルエーテルで2回洗浄した。得られた固体生成物をPrep‐HPLC(column C18、10μm、250mm×22mm)用いて精製した後、凍結乾燥して化合物1(LC massで測定された分子量:506.5)を77%収率で181mg取得した。
【0105】
[実施例2]化合物2の合成
【0106】
【0107】
10mlの反応容器に化合物1d(460mg、1当量)を入れて、acetic anhydride(200μl、8当量)とDIPEA(200μl、8当量)を5mlのDMFに溶解して加え、常温で30分間反応させた。ろ過して反応液を除去し、合成されたレジンをそれぞれ5mlのDCMとMeOH、DCMを用いて順次洗浄した。真空乾燥した後、5mlの切断カクテル(トリフルオロ酢酸:トリイソプロピルシラン:DW=95:2.5:2.5)を加えて常温で3時間反応させた。ろ過して反応液を集め、これに45mlのジエチルエーテルを加えて生成物を沈殿させた。遠心分離機を用いて固体生成物を集め、45mlのジエチルエーテルで2回洗浄した。得られた固体生成物をPrep‐HPLC(column C18、10μm、250mm×22mm)用いて精製した後、凍結乾燥して化合物2(LC massで測定された分子量:548.54)を66%収率で80mg取得した。
【0108】
[実施例3]化合物3の合成
【0109】
【0110】
10mlの反応容器に化合物1d(460mg、1当量)を入れて、無水酪酸(200μl、8当量)とDIPEA(200μl、8当量)を5mlのDMFに溶解して加えて、常温で1時間反応させた。ろ過して反応液を除去し、合成されたレジンをそれぞれ5mlのDCMとMeOH、DCMを用いて順次洗浄した。真空乾燥した後、5mlの切断カクテル(トリフルオロ酢酸:トリイソプロピルシラン:DW=95:2.5:2.5)を加えて常温で3時間反応させた。ろ過して反応液を集め、これに45mlのジエチルエーテルを加えて生成物を沈殿させた。遠心分離機を用いて固体生成物を集め、45mlのジエチルエーテルで2回洗浄した。得られた固体生成物をPrep‐HPLC(column C18、10μm、250mm×22mm)用いて精製した後、凍結乾燥して化合物3(LC massで測定された分子量:576.59)を68%収率で75mg取得した。
【0111】
[実施例4]化合物4の合成
【0112】
【0113】
10mlの反応容器に化合物1d(460mg、1当量)を入れて、ヘキサン酸(186μl、8当量)とDIC(248μl、8当量)およびHOBt(216mg、8当量)を5mlのDMFに溶解して加え、常温で2時間反応させた。ろ過して反応液を除去し、合成されたレジンをそれぞれ5mlのDCMとMeOH、DCMを用いて順次洗浄した。真空乾燥した後、5mlの切断カクテル(トリフルオロ酢酸:トリイソプロピルシラン:DW=95:2.5:2.5)を加えて常温で3時間反応させた。ろ過して反応液を集め、これに45mlのジエチルエーテルを加えて生成物を沈殿させた。遠心分離機を用いて固体生成物を集め、45mlのジエチルエーテルで2回洗浄した。得られた固体生成物をPrep‐HPLC(column C18、10μm、250mm×22mm)用いて精製した後、凍結乾燥して化合物4(LC massで測定された分子量:604.65)を64%収率で77mg取得した。
【0114】
[実施例5]化合物5の合成
【0115】
【0116】
10mlの反応容器に化合物1d(460mg、1当量)を入れて、オクタン酸(230μl、8当量)とDIC(248μl、8当量)およびHOBt(216mg、8当量)を5mlのDMFに溶解して加え、常温で2時間反応させた。ろ過して反応液を除去し、合成されたレジンをそれぞれ5mlのDCMとMeOH、DCMを用いて順次洗浄した。真空乾燥した後、5mlの切断カクテル(トリフルオロ酢酸:トリイソプロピルシラン:DW=95:2.5:2.5)を加えて常温で3時間反応させた。ろ過して反応液を集め、これに45mlのジエチルエーテルを加えて生成物を沈殿させた。遠心分離機を用いて固体生成物を集め、45mlのジエチルエーテルで2回洗浄した。得られた固体生成物をPrep‐HPLC(column C18、10μm、250mm×22mm)用いて精製した後、凍結乾燥して化合物5(LC massで測定された分子量:632.7)を56%収率で62mg取得した。
【0117】
[実施例6]化合物6の合成
【0118】
【0119】
10mlの反応容器に化合物1d(460mg、1当量)を入れて、デカン酸(275μl、8当量)とDIC(248μl、8当量)およびHOBt(216mg、8当量)を5mlのDMFに溶解して加え、常温で2時間反応させた。ろ過して反応液を除去し、合成されたレジンをそれぞれ5mlのDCMとMeOH、DCMを用いて順次洗浄した。真空乾燥した後、5mlの切断カクテル(トリフルオロ酢酸:トリイソプロピルシラン:DW=95:2.5:2.5)を加えて常温で3時間反応させた。ろ過して反応液を集め、これに45mlのジエチルエーテルを加えて生成物を沈殿させた。遠心分離機を用いて固体生成物を集め、45mlのジエチルエーテルで2回洗浄した。得られた固体生成物をPrep‐HPLC(column C18、10μm、250mm×22mm)用いて精製した後、凍結乾燥して化合物6(LC massで測定された分子量:660.36)を66%収率で79mg取得した。
【0120】
[実施例7]化合物7の合成
【0121】
【0122】
10mlの反応容器に化合物1d(460mg、1当量)を入れて、ドデカン酸(320μl、8当量)とDIC(248μl、8当量)およびHOBt(216mg、8当量)を5mlのDMFに溶解して加え、常温で2時間反応させた。ろ過して反応液を除去し、合成されたレジンをそれぞれ5mlのDCMとMeOH、DCMを用いて順次洗浄した。真空乾燥した後、5mlの切断カクテル(トリフルオロ酢酸:トリイソプロピルシラン:DW=95:2.5:2.5)を加えて常温で3時間反応させた。ろ過して反応液を集め、これに45mlのジエチルエーテルを加えて生成物を沈殿させた。遠心分離機を用いて固体生成物を集め、45mlのジエチルエーテルで2回洗浄した。得られた固体生成物をPrep‐HPLC(column C18、10μm、250mm×22mm)用いて精製した後、凍結乾燥して化合物7(LC massで測定された分子量:688.81)を62%収率で72mg取得した。
【0123】
[実施例8]化合物8の合成
【0124】
【0125】
10mlの反応容器に化合物1d(460mg、1当量)を入れて、パルミチン酸(308mg、8当量)とDIC(248μl、8当量)およびHOBt(216mg、8当量)を5mlのDMFに溶解して加え、常温で3時間反応させた。ろ過して反応液を除去し、合成されたレジンをそれぞれ5mlのDCMとMeOH、DCMを用いて順次洗浄した。真空乾燥した後、5mlの切断カクテル(トリフルオロ酢酸:トリイソプロピルシラン:DW=95:2.5:2.5)を加えて常温で3時間反応させた。ろ過して反応液を集め、これに45mlのジエチルエーテルを加えて生成物を沈殿させた。遠心分離機を用いて固体生成物を集め、45mlのジエチルエーテルで2回洗浄した。得られた固体生成物をPrep‐HPLC(column C18、10μm、250mm×22mm)用いて精製した後、凍結乾燥して化合物8(LC massで測定された分子量:744.93)を70%収率で80mg取得した。
【0126】
[実施例9]本発明の化合物8によるオートファジー活性の増加
本発明の化合物8の処理による細胞内オートファジー活性の増加を分析するために、LC3(軽鎖3)タンパク質に対するウエスタンブロットを行った。
【0127】
具体的な実験方法として、ヒト表皮角質形成細胞であるHaCaTは、培養用6ウェルプレートに3×105個の細胞数で一定に分注し、DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地、Gibco BRL)で24時間37℃、5%CO2の条件でインキュベーターで培養した。本発明の化合物8を10mMの濃度でDMSOで溶解して濃縮液にし、これを培地に希釈して20μMの濃度で希釈した後、各wellに1mlの培地がまず入っている状態で各希釈液を1mlずつ入れて処理した後、所定時間培養し、培養終了後、培地を除去した後、SDSサンプルバッファーで細胞を破砕した後、SDS‐PAGEゲル電気泳動で各タンパク質を分離し、PVDF膜(ポリビニリデンフルオリド)に移動させた後、ブロッキングバッファーを用いて非特異的結合を除去し、LC3タンパク質に対する抗体およびこれに対するHRP結合された二次抗体(anti‐rabbit IgG HRP(sigma))を反応させた後、ECLプライムキット(Amersham pharmacia)を用いた増強化学発光(ECL)反応をさせて、ChemiDoc分析を行った。
【0128】
その結果として、
図1に示されているように、本発明の化合物8でLC3‐II(微小管関連タンパク質1A/1B‐軽鎖3)の生成が増加することが分かる。
【0129】
[実施例10]本発明の化合物8によるオートファジー活性化タンパク質の調節
本発明の化合物8のオートファジー活性の増加が、如何なる遺伝子発現と連関するかを分析するために、オートファジー活性化と非常に密接な関連のあるベクリン‐1およびULK‐1(セリン/トレオニンプロテインキナーゼ‐1)タンパク質に対するウエスタンブロットを行った。
【0130】
具体的な実験方法として、ヒト由来の角質形成細胞であるHaCaT細胞を培養用60Odishに3×105個の細胞数で一定に分注し、DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地、Gibco BRL)で24時間37℃、5%CO2の条件でインキュベーターで培養した。本発明の化合物8をそれぞれ10mMの濃度でDMSOで溶解して濃縮液にし、これを培地に希釈して20μMの濃度で希釈した後、各wellに1mlの培地がまず入っている状態で各希釈液を1mlずつ入れて処理した後、所定時間培養し、培養終了後、培地を除去した後、SDSサンプルバッファーで細胞を破砕した後、SDS‐PAGEゲル電気泳動で各タンパク質を分離し、PVDF膜に移動させた後、ブロッキングバッファーを用いて非特異的結合を除去し、ベクリン‐1およびUlk‐1 タンパク質に対する抗体およびこれに対するHRP結合された二次抗体(anti‐rabbit IgG HRP(sigma))を反応させた後、ECLプライムキット(Amersham pharmacia)を用いた増強化学発光(ECL)反応をさせて、ChemiDoc分析を行った。
【0131】
その結果を
図1に示しており、
図1に示されているように、本発明の化合物8を処理した場合には、オートファジー活性との関連が非常に高い遺伝子であるベクリン‐1およびULK‐1タンパク質の発現が有意に増加していることを確認することができた。
【0132】
[実施例11]本発明の化合物8による乾癬の緩和効果
本発明の化合物8の処理によって乾癬関連遺伝子をcDNA array結果により確認することができ、これによる乾癬の緩和に効果があるかを分析するために、乾癬と非常に密接な関連があるIL‐36(インターロイキン36)、KLK7(カリクレイン関連ペプチダーゼ7)、OASL(2´‐5´‐Oligoadenylate Synthetase Like)、ALOX12B(アラキドネート12-リポキシゲナーゼ、12R型)に対するRT‐PCRを行った。また、乾癬関連増殖、分化マーカーと知られているKRT16(Keratin 16)、KRT6(Keratin 6)、KRT1(ケラチン1)をウエスタンブロットにより確認した。具体的な実験方法として、ヒト由来の表皮角質細胞であるHEKa(ヒト表皮ケラチノサイト、成人)細胞を培養用24ウェルプレートに1×10
5個の細胞数で一定に分注し(1xヒトケラチノサイト成長補助剤(Human keratinocyte Growth supplement)、1X 抗生物質)、EpiLife 培地で24時間37℃、5%CO2の条件でインキュベーターで培養した。本発明の化合物8を10mMの濃度でDMSOで溶解して濃縮液にし、これを培地に希釈して20μMの濃度で希釈した後、各wellに1mlの培地がまず入っている状態で各希釈液を1mlずつ入れて処理した後、所定時間培養し、培養終了後、Trizol(Life Science)で細胞を破砕しており、クロロホルム/イソプロパノールで全体のmRNAを集めた後、逆転写酵素でcDNAを合成し、各遺伝子に対する特異的なプライマーを用いてPCRを行った。これをアガロースゲル電気泳動で分析し、その結果を
図2に示した。
【0133】
図2~
図3に示されているように、本発明の化合物8を処理した場合には、乾癬との関連が非常に高い遺伝子であるIL‐36G(インターロイキン36、ガンマ)およびKLK7(カリクレイン関連ペプチダーゼ7)、OASL(2´‐5´‐Oligoadenylate Synthetase Like)、ALOX12B(アラキドネート12-リポキシゲナーゼ、12R型)遺伝子の発現が有意に減少することを確認することができた。また、炎症反応を誘発した条件(IL‐17A(インターロイキン‐17A)/TNFα(腫瘍壊死因子α)/IFNγ(インターフェロンγ)でも乾癬に関連する転写因子であるTbet(T‐box transcription factor)、STAT3(Signal transducer and activator of transcription 3)、Foxp3(forkhead box P3)が化合物8によって減少することを確認した。
図4からタンパク質発現でも増殖マーカーであるKRT6(Keratin 6)、KRT16(ケラチン16)が減少することを確認し、分化マーカーであるKRT1(ケラチン1)は増加することを確認した。
【0134】
[実施例12]本発明の化合物8による抗アトピーと乾癬の緩和効果
本発明の化合物8の処理がアトピー緩和効果があるかを分析するために、アトピー炎症と乾癬に非常に密接な関連があるIL‐6(インターロイキン6)、IL‐8(インターロイキン8)に対するELISA(酵素免疫測定法)分析を行った。
【0135】
具体的な実験方法として、ヒト由来の表皮角質細胞であるHEKa細胞(ヒト表皮角化細胞、成人)を培養用24ウェルプレートに1×105個の細胞数で一定に分注し(1xヒトケラチノサイト成長補助剤、1X抗生物質)、EpiLifeで24時間37℃、5%CO2の条件でインキュベーターで培養した。
【0136】
培養後、各wellにTNF‐α(腫瘍壊死因子α)/IFN‐γ(インターフェロン‐γ)IL‐17A(インターロイキン‐17A)、IL‐22(インターロイキン‐22)をそれぞれ処理して炎症反応を誘導しながら、本発明の化合物8を10μmの濃度でさらに処理した後、所定時間培養し、培養終了後、培地を集めた後、各IL‐6、IL8に対するELISA分析を行い、その結果を
図5~
図6と
図7に示した。
【0137】
図8に示されているように、本発明の化合物8を処理した場合には、TNF‐α/IFN‐γ処理によって発現および分泌が増加するIL‐24(インターロイキン‐24)、IL_20(インターロイキン‐20)、CXCL2(ケモカイン(C‐X‐C motif)リガンド2)が化合物8によって減少することを確認した。また、
図9に示されているように、IL‐17A/TNFα処理によって発現および分泌が増加するIL‐8(インターロイキン‐8、IL‐36γ(インターロイキン36γ)、CCL20(ケモカイン(C‐C motif)リガンド 20)が化合物8によって減少することを確認した。
【0138】
したがって、本発明のオートファジー活性誘導化合物である前記化学式1の化合物が、アトピー性皮膚炎と乾癬の緩和、治療および予防に非常に効果的に使用され得ることが分かる。
【0139】
[実施例13および比較例1]本発明の化合物8による抗アトピーと乾癬の緩和効果
アトピー炎症と乾癬に非常に密接な関連があるIL‐1β(インターロイキン‐1β)に対するELISA(酵素免疫測定法)分析を行った。
【0140】
具体的な実験方法として、ヒト由来の表皮角質細胞であるHEKa細胞(ヒト表皮角化細胞、成人)を培養用24ウェルプレートに1×105個の細胞数で一定に分注し(1xヒトケラチノサイト成長補助剤、1X 抗生物質)、EpiLifeで24時間37℃、5%CO2の条件でインキュベーターで培養した。
【0141】
培養後、各ウエルにLPS(リポポリサッカリド)をそれぞれ処理して炎症反応を誘導しながら、本発明の化合物8および下記比較例化合物(インコスパム(株式会社))を10μMの濃度でさらに処理した後、所定時間培養し、培養終了後、培地を集めた後、各IL‐1βに対するELISA分析を行い、その結果を下記
図10に示した。
【0142】
[比較例化合物]
【0143】
【0144】
図10に示されているように、LPS処理によって分泌が増加する炎症誘発サイトカインIL‐1β分泌水準が、本発明のオートファジー活性化誘導化合物である化合物8を処理した場合、その分泌水準が著しく減少した一方、比較例化合物を処理した場合には、その減少効果がほとんど示されていないことが分かる。
【0145】
[実施例14および比較例2]本発明の化合物8を含む化粧料組成物
本発明の実施例8で製造された化合物8を含む化粧料組成物を、下記表1に記載の成分および含有量で製造した。
【0146】
本発明の化合物8、カルボキシビニルポリマー、ブチレングリコールおよびグリセリンを精製水に混合攪拌しながら80℃に加熱して乳化反応器に投入した後、トリエタノールアミン以外のすべての成分を追加し、80℃で加熱して乳化させた。次に、乳化が終了すると、攪拌機によって攪拌させて常温で徐々に冷却し、化粧料組成物を製造した。
【0147】
【0148】
製造された実施例14および比較例2の化粧料組成物のアトピー性皮膚炎または乾癬の緩和効果を見るために、アトピーおよび乾癬症状(かゆみ、ただれまたはひどい乾燥症)がある10~60代の20名を対象として、本発明の実施例14の化粧料組成物および本発明の比較例2の化粧料組成物をそれぞれ提供し、アトピーおよび乾癬症状を示す部位に毎日2回ずつ12週間塗布するようにした。12週間処置後、アンケートを通じてアトピーおよび乾癬症状の改善程度を調査した。「かゆみ」、「乾燥する」、「角質発生」、「フケ」、「紅斑」、「腫れ上がり」、「皮膚亀裂」および「膿と湿疹」などの代表的なアトピー性または乾癬皮膚炎の症状の改善程度に関するアンケート調査を行った。前記症状がある場合、各症状の改善程度を評価させた後、これを平均し、各対象者のアトピー性または乾癬皮膚炎が全体的に改善した程度を評価し、改善した程度別の対象者の数を下記の表2に示した。
【0149】
【0150】
表2に示されているように、本発明のオートファジー活性化誘導化合物を含む化粧料組成物を塗布したグループが、アトピーおよび乾癬症状が著しく改善したことが分かる。
【0151】
以下、本発明の化合物8が乾癬治療に効果があることを確認するために、乾癬動物モデルを作製し、実験を行っており、実験方法は、下記のとおりである。
【0152】
[乾癬動物モデルの作製方法]
本発明の化合物8に起因した乾癬の治療効果を確認するために、8週齢のBALB/cマウス(メス)の背中の毛を除毛クリーム(Veet(登録商標)、Oxy Reckitt Benckiser、Cedex、France)を用いて除毛し、イミキモド5%クリーム(Aldara(登録商標);3M Pharmaceuticals、UK;62.5mg)を午前、午後の2回背中と両耳に塗布した(Sensitization;Day 0)。次に、2日間の障壁回復の期間を置き、また、イミキモド5%クリーム(62.5mg/day)を7日間(誘導ステージ;Day 2~Day 8)塗布することで、乾癬動物モデルを誘導した。
【0153】
[乾癬動物モデルの背中への本発明の化合物8の処理方法]
【0154】
乾癬動物モデルを誘導した後、エタノールに溶解した本発明の化合物8(0.5%)および発明化合物8が0.5重量%含有されたクリーム(PEG/エタノール)を午前に1回、5日間背中に塗布した(治療段階;Day 8~Day 12)。正常対照群(Untreated control)と疾患対照群(Vehicle)は、本発明の化合物8が含まれていないクリームとエタノールを処理しており、処理期間中にイミキモド5%クリームを一日置きに塗布することで、乾癬を維持した。動物の屠殺は、Day 12の午後に実施し、かかる方法は
図11に示した。
【0155】
[乾癬動物モデルの耳への本発明の化合物8の処理方法]
本発明の化合物の処理時期は、上記で提示したとおり、8日目から5日間、毎日1回ずつ塗布した。正常対照群(Untreated control)の左耳には如何なる処理も施しておらず、右耳にイミキモドが含まれていないクリームとエタノールを処理した。イミキモドとともに本発明の化合物8を処理した実験群(化合物8および化合物8クリーム)動物の左耳にはイミキモドとエタノールのみを処理し、右耳にはイミキモドと本発明の化合物8をともに処理し、具体的には、かかる方法を
図12に示した。
【0156】
[経表皮水分喪失量(Transepidermal Water Loss:TEWL)の測定]
実験動物の屠殺前(Days 0,8,11,and 14)に恒温/恒湿が維持される空間で30分間放置した後、コルネオメータ(Corneometer)の探針を背中の左側、右側部位の皮膚の表面に密着接触し、軽く押して示される数値を記録した。
【0157】
[動物の耳の厚さの測定]
動物の屠殺とともに、両耳の真中部分の厚さをデジタルキャリパー(Digital caliper,Marathon Inc.Belleville,ON,Canada)を用いて測定した。
【0158】
[Hematoxylin & Eosin(H&E)染色]
実験動物の背中の組織(2cm×2cm)を4%パラホルムアルデヒドに1日間固定した後、パラフィンを用いて包埋した。包埋後、ミクロトーム(microtome,Leica RM 2235,Leica Biosystems Inc.Buffalo Grove,IL,USA)を使用して5μmの厚さで切片後、普遍化したH&E(Hematoxylin & Eosin)染色(Jonathan M.S.et al.,J.Clin.Invest.101,1614‐1622,1998)を実施した。次に、顕微鏡を用いてランダムに各組織当たり3ヶ所を撮影した。
【0159】
[実施例15]発明化合物8の処理が乾癬の臨床学的、組織学的所見に及ぼす影響
イミキモド5%クリームによって誘導された乾癬動物群(Vehicle)で皮腐病変の紅斑、角質層の厚さが増加する乾癬の臨床的変化(
図13および
図14)および組織学的変化(
図15)を確認した。
図13に示されているように、エタノールに溶解した本発明の化合物8と本発明の化合物8が0.5%含まれた化合物8クリームを6日間処理したときに、イミキモドによって増加した紅斑が著しく減少した。特に
図14に示されているように、化合物8の処理後、14日目の紅斑を比較すると、その減少水準が非常に著しいことを示し、
図15に示されたように、H&E染色で観察した組織の変化を比較した結果、化合物8と化合物8が含まれたクリームをつけた実験群で角質層の厚さが著しく減少することを示した。また
図16に示されているように、本発明の化合物8を処理して体重の変化を観察すると、対照群とほぼ類似した数値を示しした。
【0160】
したがって、本発明の化合物8が、乾癬の治療に非常に効果があることが分かり、これにより、本発明の化合物を8は、乾癬の治療のための外用剤として使用可能であることが分かる。
【0161】
[実施例16]発明化合物8の処理が、経表皮水分喪失量(TEWL)に及ぼす影響
5%イミキモド処理により有意に増加したTEWL数値は、エタノールに溶解した本発明の化合物8(化合物8)と本発明の化合物8が0.5%含まれたクリーム(化合物8クリーム)を5日間塗布したときに著しく減少することを確認し、
図17に示した。
図17に示されているように、本発明の化合物8が、乾癬皮膚の保湿増進に効果があることが分かる。
【0162】
[実施例17]発明化合物8による耳の厚さの減少
正常対照群(Untreated control)で、処理をしていない左耳とイミキモドが含まれていないクリームおよびエタノールを処理した右耳の厚さの差は観察されなかった。しかし、エタノールに溶解した本発明の化合物8(化合物8)と本発明の化合物8が0.5%含まれたクリーム(化合物8クリーム)を塗布した実験群の右耳は、5%イミキモドとエタノールを処理した左耳に比べ、著しい厚さの減少が確認され、これを
図18に示した。
図18に示されているように、TEWL結果と同様、本発明の化合物8が、乾癬をはじめ炎症性皮膚疾患の治療に効果があることが分かる。