(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】ステルスダイシング用粘着シートおよび半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20220317BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20220317BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20220317BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220317BHJP
B32B 7/022 20190101ALI20220317BHJP
【FI】
H01L21/78 M
H01L21/78 B
H01L21/78 V
H01L21/78 X
C09J7/38
C09J201/00
B32B27/00 M
B32B7/022
(21)【出願番号】P 2019528339
(86)(22)【出願日】2018-02-02
(86)【国際出願番号】 JP2018003591
(87)【国際公開番号】W WO2019008807
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2020-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2017130298
(32)【優先日】2017-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100176407
【氏名又は名称】飯田 理啓
(72)【発明者】
【氏名】福元 孝斉
(72)【発明者】
【氏名】山下 茂之
(72)【発明者】
【氏名】中村 優智
【審査官】山口 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/052444(WO,A1)
【文献】特開2011-171588(JP,A)
【文献】特表2014-509450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
C09J 7/38
C09J 201/00
B32B 27/00
B32B 7/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、内部に改質層が形成された半導体ウエハを、-20℃以上、10℃以下の環境下で個々のチップに切断分離するために使用される、ステルスダイシング用粘着シートであって、
基材と、前記基材の一方の面側に積層された粘着剤層とを備え、
前記粘着剤層を介して前記ステルスダイシング用粘着シートをシリコンウエハに貼付した場合における、前記粘着剤層と前記シリコンウエハとの界面の0℃でのせん断力が、30N/(3mm×20mm)以上、190N/(3mm×20mm)以下である
ことを特徴とするステルスダイシング用粘着シート。
【請求項2】
前記粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤から構成されることを特徴とする請求項1に記載のステルスダイシング用粘着シート。
【請求項3】
前記基材の0℃における貯蔵弾性率は、100MPa以上、1500MPa以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のステルスダイシング用粘着シート。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のステルスダイシング用粘着シートの前記粘着剤層と半導体ウエハとを貼合する貼合工程と、
前記半導体ウエハの内部に改質層を形成する改質層形成工程と、
-20℃以上、10℃以下の環境下で前記ステルスダイシング用粘着シートをエキスパンドして、内部に改質層が形成された前記半導体ウエハを個々のチップに切断分離するクールエキスパンド工程と
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記ステルスダイシング用粘着シートに貼合された前記半導体ウエハにおける前記ステルスダイシング用粘着シート側とは反対側の面に、接着用フィルムを積層するラミネート工程をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステルスダイシング(登録商標)加工に用いられるステルスダイシング用粘着シート、および当該ステルスダイシング用粘着シートを使用した半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハからチップ状の半導体装置を製造する際に、従来は、半導体ウエハに洗浄等を目的とした液体を吹き付けながら回転刃で半導体ウエハを切断してチップを得るブレードダイシング加工が行われることが一般的であった。しかしながら、近年は、乾式でチップへの分割が可能なステルスダイシング加工が採用されてきている。ステルスダイシング加工では、一例としてダイシングシートに貼付した半導体ウエハに対して開口度(NA)の大きなレーザ光を照射し、半導体ウエハの表面近傍が受けるダメージを最小限にしつつ半導体ウエハ内部に予備的に改質層を形成する。その後、ダイシングシートをエキスパンドすることにより、半導体ウエハに力を加えて個々のチップに切断分離する。
【0003】
近年、上記のようにして製造したチップに対して別のチップを積層したり、チップをフィルム基板上に接着したりすることが求められている。そして、チップの回路と別のチップまたは基板上の回路とをワイヤーにより接続するフェースアップタイプの実装から、突起状の電極が設けられたチップの電極形成面と、別のチップまたは基板上の回路とを対向させ、その電極により直接接続をするフリップチップ実装や、Through Silicon Via(TSV)への移行が一部の分野では行われている。こうしたフリップチップ実装等におけるチップの積層・接着への要求に応えて、他のチップやフィルム基板に対して、接着剤を用いて電極付きチップを固定する方法が提案されている。
【0004】
そして、このような用途に適用しやすいように、上記の製造方法の過程で、電極形成面とは逆の面にダイシングシートが貼付された電極付き半導体ウエハまたは電極付き改質半導体ウエハに対して、その電極形成面にフィルム状の接着剤を積層し、エキスパンド工程により分割された電極付きチップが、その電極形成面に接着剤層を備えるようにすることが提案されてきている。かかる接着剤層として、ダイアタッチフィルム(DAF)や、非導電性接着フィルム(Nonconductive film;NCF)と呼ばれる接着用フィルムが使用される。
【0005】
特許文献1には、DAFをウエハに貼付し、ステルスダイシング加工を行い、その後、エキスパンドによりウエハをチップに個片化すると同時にDAFを分割することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したDAFやNCFは低温領域で脆性化する特性を有するため、DAFやNCFの分割性を向上させるために、上記エキスパンドを-20℃~10℃程度の低温環境下で実施するクールエキスパンド工程を行うことが多くなっている。
【0008】
しかしながら、従来のダイシングシートを上記のようにクールエキスパンド工程でエキスパンドした場合、ウエハをチップに個片化できたとしても、チップ相互間の間隔(チップ間隔)が十分に広がらないことがあった。チップ間隔が十分に広がらないと、ダイシングシートをエキスパンドした状態から開放した直後またはその後において、チップ同士の衝突が生じ、端部の欠け、破損、脱落といった問題が生じることがある。
【0009】
本発明は、上記のような実状に鑑みてなされたものであり、クールエキスパンドによってチップ間隔を十分に広げることができ、エキスパンドした状態からの開放に起因するチップの衝突を抑制することのできるステルスダイシング用粘着シートおよび半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1に本発明は、少なくとも、内部に改質層が形成された半導体ウエハを、-20℃以上、10℃以下の環境下で個々のチップに切断分離するために使用される、ステルスダイシング用粘着シートであって、基材と、前記基材の一方の面側に積層された粘着剤層とを備え、前記粘着剤層を介して前記ステルスダイシング用粘着シートをシリコンウエハに貼付した場合における、前記粘着剤層と前記シリコンウエハとの界面の0℃でのせん断力が、30N/(3mm×20mm)以上、190N/(3mm×20mm)以下であることを特徴とするステルスダイシング用粘着シートを提供する(発明1)。
【0011】
上記発明(発明1)に係るステルスダイシング用粘着シートでは、0℃のせん断力が上記範囲であることで、-10℃以上、10℃以下といった低温環境下においてもチップ間隔を十分に広げることができ、その結果、エキスパンドした状態を開放した後においても、チップ間隔を適度な距離に維持することができる。そのため、開放直後およびその後における、チップ同士の衝突を抑制することができる。
【0012】
上記発明(発明1)において、前記粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤から構成されることが好ましい(発明2)。
【0013】
上記発明(発明1,2)において、前記基材の0℃における貯蔵弾性率は、100MPa以上、1500MPa以下であることが好ましい(発明3)。
【0014】
第2に本発明は、前記ステルスダイシング用粘着シート(発明1~3)の前記粘着剤層と半導体ウエハとを貼合する貼合工程と、前記半導体ウエハの内部に改質層を形成する改質層形成工程と、-20℃以上、10℃以下の環境下で前記ステルスダイシング用粘着シートをエキスパンドして、内部に改質層が形成された前記半導体ウエハを個々のチップに切断分離するクールエキスパンド工程とを備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する(発明4)。
【0015】
上記発明(発明4)においては、前記ステルスダイシング用粘着シートに貼合された前記半導体ウエハにおける前記ステルスダイシング用粘着シート側とは反対側の面に、接着用フィルムを積層するラミネート工程をさらに備えることが好ましい(発明5)。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、クールエキスパンドによってチップ間隔を十分に広げることができ、エキスパンドした状態からの開放に起因するチップの衝突を抑制することのできるステルスダイシング用粘着シートおよび半導体装置の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】試験例1に係るせん断力の測定方法を説明する平面図である。
【
図2】試験例1に係るせん断力の測定方法を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔ステルスダイシング用粘着シート〕
本発明の一実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートは、少なくとも、内部に改質層が形成された半導体ウエハを、低温環境下で個々のチップに切断分離するために使用されるものである。ここで、低温環境下とは、DAFやNCFが十分に脆性化する温度環境下のことをいい、例えば10℃以下の環境下であることを意味し、特に6℃以下の環境下であることが好ましく、さらには4℃以下の環境下であることが好ましい。また、ここにいう低温環境下における温度の下限値は特に制限されず、例えば、低温環境下とは、-20℃以上の環境下であることを意味し、特に-15℃以上の環境下であることが好ましく、さらには-10℃以上の環境下であることが好ましい。10℃を超える環境下では、DAFやNCFの脆性化が不十分となり、良好な分割を行うことができないおそれがある。また、-20℃未満の環境下では、DAF、NCFまたは粘着シートがそれらのガラス転移温度(Tg)以下の環境下に置かれることになるため、それらと半導体ウエハとの密着性が低下する懸念があり、またエキスパンド時に粘着シートの破断が生じる懸念がある。半導体ウエハ内部に改質層を形成する工程(改質層形成工程)は、半導体ウエハが当該ステルスダイシング用粘着シートに貼合された状態で行われてもよいし、半導体ウエハが当該ステルスダイシング用粘着シートに貼合される前に行われてもよい。なお、本明細書における「シート」には「テープ」の概念も含まれるものとする。
【0019】
本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートは、基材と、当該基材の一方の面側に積層された粘着剤層とを備える。基材と粘着剤層とは直接積層されていることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0020】
本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートが有する粘着剤層を介して当該ステルスダイシング用粘着シートをシリコンウエハに貼付した場合における、粘着剤層とシリコンウエハとの界面の0℃でのせん断力は、30N/(3mm×20mm)以上、190N/(3mm×20mm)以下である。
【0021】
本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートは、上記のようなせん断力を有することにより、当該ステルスダイシング用粘着シートに貼合されている、内部に改質層が形成された半導体ウエハを、低温環境下でのエキスパンド(以下、「クールエキスパンド」という場合がある。)によって、個々のチップに切断分離し、そのチップ間隔を十分に広げることができる。具体的には、チップ間隔(隣接するチップの側面と側面との距離)を70~250μm程度、好ましくは80~240μm程度、特に好ましくは90~230μm程度まで広げることができる。これにより、エキスパンドした状態を開放した後においても、チップ間隔を適度な距離に維持することができる。具体的には、開放後のチップ間隔を10~70μm程度、好ましくは15~65μm程度、特に好ましくは20~60μm程度に維持することができる。チップ間隔をこのような距離に維持することにより、開放後におけるチップ同士の衝突を抑制することができる。さらに、半導体ウエハにDAFやNCFが積層されていた場合でも、それらDAFやNCFも良好に分割することができ、また、分割したチップ側面の洗浄も十分に行うこともできる。なお、上記せん断力の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
【0022】
上記せん断力が30N/(3mm×20mm)未満であると、クールエキスパンド時にステルスダイシング用粘着シートとリングフレームとが密着する部分にせん断力が加わった際に、ステルスダイシング用粘着シートがリングフレームから脱落するおそれが大きいため、安定して使用することができない。一方、上記せん断力が190N/(3mm×20mm)を超えると、クールエキスパンドによってチップ間隔を十分に広げることができない。
【0023】
以上の観点から、上記せん断力の下限値は、40N/(3mm×20mm)以上であることが好ましく、特に45N/(3mm×20mm)以上であることが好ましい。また、上記せん断力の上限値は、170N/(3mm×20mm)以下であることが好ましく、特に165N/(3mm×20mm)以下であることが好ましい。
【0024】
1.粘着剤層
本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートの粘着剤層は、上記のせん断力を満たすものであれば、特に限定されない。当該粘着剤層は、非エネルギー線硬化性粘着剤から構成されてもよいし、エネルギー線硬化性粘着剤から構成されてもよい。非エネルギー線硬化性粘着剤としては、所望の粘着力および再剥離性を有するものが好ましく、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等を使用することができる。これらの中でも、改質層形成工程やクールエキスパンド工程等にて半導体ウエハやチップ等の脱落を効果的に抑制することのできるアクリル系粘着剤が好ましい。
【0025】
一方、エネルギー線硬化性粘着剤は、エネルギー線照射により硬化して粘着力が低下するため、半導体ウエハを分割して得られたチップとステルスダイシング用粘着シートとを分離させたいときに、エネルギー線照射することにより、容易に分離させることができる。
【0026】
粘着剤層を構成するエネルギー線硬化性粘着剤は、エネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とするものであってもよいし、非エネルギー線硬化性ポリマー(エネルギー線硬化性を有しないポリマー)と少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物を主成分とするものであってもよい。また、エネルギー線硬化性を有するポリマーと非エネルギー線硬化性ポリマーとの混合物であってもよいし、エネルギー線硬化性を有するポリマーと少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物であってもよいし、それら3種の混合物であってもよい。
【0027】
最初に、エネルギー線硬化性粘着剤が、エネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とする場合について、以下説明する。
【0028】
エネルギー線硬化性を有するポリマーは、側鎖にエネルギー線硬化性を有する官能基(エネルギー線硬化性基)が導入された(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)(以下「エネルギー線硬化型重合体(A)」という場合がある。)であることが好ましい。このエネルギー線硬化型重合体(A)は、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)と、その官能基に結合する官能基を有する不飽和基含有化合物(a2)とを反応させて得られるものであることが好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの両方を意味する。他の類似用語も同様である。
【0029】
アクリル系共重合体(a1)は、官能基含有モノマーから導かれる構成単位と、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位とを含むことが好ましい。
【0030】
アクリル系共重合体(a1)の構成単位としての官能基含有モノマーは、重合性の二重結合と、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基とを分子内に有するモノマーであることが好ましい。
【0031】
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0032】
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
アミノ基含有モノマーまたは置換アミノ基含有モノマーとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、n-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
アクリル系共重合体(a1)を構成する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アルキル基の炭素数が1~20であるアルキル(メタ)アクリレートの他、例えば、分子内に脂環式構造を有するモノマー(脂環式構造含有モノマー)が好ましく用いられる。
【0035】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、特にアルキル基の炭素数が1~18であるアルキル(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が好ましく用いられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
脂環式構造含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル等が好ましく用いられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
アクリル系共重合体(a1)は、上記官能基含有モノマーから導かれる構成単位を、好ましくは1~35質量%、特に好ましくは5~30質量%、さらに好ましくは10~25質量%の割合で含有する。また、アクリル系共重合体(a1)は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位を、好ましくは50~99質量%、特に好ましくは60~95質量%、さらに好ましくは70~90質量%の割合で含有する。
【0038】
アクリル系共重合体(a1)は、上記のような官能基含有モノマーと、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体とを常法で共重合することにより得られるが、これらモノマーの他にもジメチルアクリルアミド、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、スチレン等が共重合されてもよい。
【0039】
上記官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)を、その官能基に結合する官能基を有する不飽和基含有化合物(a2)と反応させることにより、エネルギー線硬化型重合体(A)が得られる。
【0040】
不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基は、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基含有モノマー単位の官能基の種類に応じて、適宜選択することができる。例えば、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基がヒドロキシ基、アミノ基または置換アミノ基の場合、不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基としてはイソシアネート基またはエポキシ基が好ましく、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基がエポキシ基の場合、不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基としてはアミノ基、カルボキシ基またはアジリジニル基が好ましい。
【0041】
また上記不飽和基含有化合物(a2)には、エネルギー線重合性の炭素-炭素二重結合が、1分子中に少なくとも1個、好ましくは1~6個、さらに好ましくは1~4個含まれている。このような不飽和基含有化合物(a2)の具体例としては、例えば、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、2-(1-アジリジニル)エチル(メタ)アクリレート、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン等が挙げられる。
【0042】
上記不飽和基含有化合物(a2)は、上記アクリル系共重合体(a1)の官能基含有モノマーモル数に対して、好ましくは50~95モル%、特に好ましくは60~93モル%、さらに好ましくは70~90モル%の割合で用いられる。
【0043】
アクリル系共重合体(a1)と不飽和基含有化合物(a2)との反応においては、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基と不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基との組合せに応じて、反応の温度、圧力、溶媒、時間、触媒の有無、触媒の種類を適宜選択することができる。これにより、アクリル系共重合体(a1)中に存在する官能基と、不飽和基含有化合物(a2)中の官能基とが反応し、不飽和基がアクリル系共重合体(a1)中の側鎖に導入され、エネルギー線硬化型重合体(A)が得られる。
【0044】
このようにして得られるエネルギー線硬化型重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、1万以上であるのが好ましく、特に15万~150万であるのが好ましく、さらに20万~100万であるのが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
【0045】
エネルギー線硬化性粘着剤が、エネルギー線硬化型重合体(A)といったエネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とする場合であっても、エネルギー線硬化性粘着剤は、エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)をさらに含有してもよい。
【0046】
エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)としては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル等を使用することができる。
【0047】
かかるエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の単官能性アクリル酸エステル類、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等の多官能性アクリル酸エステル類、ポリエステルオリゴ(メタ)アクリレート、ポリウレタンオリゴ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0048】
エネルギー線硬化型重合体(A)に対し、エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)を配合する場合、エネルギー線硬化性粘着剤中におけるエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の含有量は、エネルギー線硬化型重合体(A)100質量部に対して、0.1~180質量部であることが好ましく、特に60~150質量部であることが好ましい。
【0049】
ここで、エネルギー線硬化性粘着剤を硬化させるためのエネルギー線として紫外線を用いる場合には、光重合開始剤(C)を添加することが好ましく、この光重合開始剤(C)の使用により、重合硬化時間および光線照射量を少なくすることができる。
【0050】
光重合開始剤(C)としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4-ジエチルチオキサンソン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β-クロールアンスラキノン、(2,4,6-トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2-ベンゾチアゾール-N,N-ジエチルジチオカルバメート、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-プロペニル)フェニル]プロパノン}、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0051】
光重合開始剤(C)は、エネルギー線硬化型重合体(A)(エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)を配合する場合には、エネルギー線硬化型重合体(A)およびエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の合計量100質量部)100質量部に対して0.1~10質量部、特には0.5~6質量部の範囲の量で用いられることが好ましい。
【0052】
エネルギー線硬化性粘着剤においては、上記成分以外にも、適宜他の成分を配合してもよい。他の成分としては、例えば、非エネルギー線硬化性ポリマー成分またはオリゴマー成分(D)、架橋剤(E)、重合性分岐重合体(F)等が挙げられる。
【0053】
非エネルギー線硬化性ポリマー成分またはオリゴマー成分(D)としては、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリオレフィン、高分岐ポリマー等が挙げられ、重量平均分子量(Mw)が3000~250万のポリマーまたはオリゴマーが好ましい。当該成分(D)をエネルギー線硬化性粘着剤に配合することにより、硬化前における粘着性および剥離性、硬化後の強度、被着体からの易剥離性、他の層との接着性、保存安定性などを改善し得る。当該成分(D)の配合量は特に限定されず、エネルギー線硬化型重合体(A)100質量部に対して0.01~50質量部の範囲で適宜決定される。
【0054】
架橋剤(E)としては、エネルギー線硬化型重合体(A)等が有する官能基との反応性を有する多官能性化合物を用いることができる。このような多官能性化合物の例としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アミン化合物、メラミン化合物、アジリジン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド化合物、オキサゾリン化合物、金属アルコキシド化合物、金属キレート化合物、金属塩、アンモニウム塩、反応性フェノール樹脂等を挙げることができる。架橋剤(E)をエネルギー線硬化性粘着剤に配合することにより、前述したせん断力を調整することができる。
【0055】
架橋剤(E)の配合量は、エネルギー線硬化型重合体(A)100質量部に対して、0.01~8質量部であることが好ましく、特に0.04~5質量部であることが好ましく、さらには0.05~3.5質量部であることが好ましい。
【0056】
重合性分岐重合体(F)とは、エネルギー線重合性基および分岐構造を有する重合体を意味する。エネルギー線硬化性粘着剤が重合性分岐重合体を含有することにより、ステルスダイシング用粘着シート上に積層された半導体ウエハまたは半導体チップへの粘着剤層からの有機物質の移行を抑制できるとともに、ステルスダイシング用粘着シートから半導体チップを個別にピックアップする工程において、半導体チップが受ける機械的な負荷を低減させることが可能となる。このような効果に対して重合性分岐重合体(F)がどのように寄与しているかは明確でないものの、重合性分岐重合体(F)は、粘着剤層において半導体ウエハまたは半導体チップとの界面近傍に存在しやすい傾向を有していると考えられることや、重合性分岐重合体(F)がエネルギー線照射により、エネルギー線硬化型重合体(A)やエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)と重合することなどが影響している可能性がある。
【0057】
重合性分岐重合体(F)の分子量、分岐構造の程度、一分子中に有するエネルギー線重合性基の数といった具体的な構造は特に限定されない。このような重合性分岐重合体(F)を得る方法の例としては、最初に、2個以上のラジカル重合性二重結合を分子内に有するモノマーと、活性水素基および1個のラジカル重合性二重結合を分子内に有するモノマーと、1個のラジカル重合性二重結合を分子内に有するモノマーとを重合させることにより、分岐構造を有する重合体を得る。次に、得られた重合体と、当該重合体が有する活性水素基と反応して結合を形成可能な官能基および少なくとも1個のラジカル重合性二重結合を分子内に有する化合物とを反応させることで、重合性分岐重合体(F)を得ることができる。重合性分岐重合体(F)の市販品としては、例えば、日産化学工業社製「OD-007」を使用することができる。
【0058】
重合性分岐重合体(F)の重量平均分子量(Mw)は、エネルギー線硬化型重合体(A)やエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)との相互作用を適度に抑制することを容易にする観点から、1000以上であることが好ましく、特に3000以上であることが好ましい。また当該重量平均分子量(Mw)は、100,000以下であることが好ましく、特に30,000以下であることが好ましい。
【0059】
粘着剤層中の重合性分岐重合体(F)の含有量は特に限定されないが、重合性分岐重合体(F)を含有することによる上述した効果を良好に得る観点から、通常、エネルギー線硬化型重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることが好ましい。重合性分岐重合体(F)は分岐構造を有するため、粘着剤層中の含有量が比較的少量であっても、上述した効果を良好に得ることができる。
【0060】
なお、重合性分岐重合体(F)の種類によっては、重合性分岐重合体(F)が、半導体ウエハまたは半導体チップにおける粘着剤層との接触面にパーティクルとして残留する場合がある。このパーティクルは半導体チップを備える製品の信頼性を低下させるおそれがあることから、残留するパーティクル数は少ないことが好ましい。具体的には、半導体ウエハとしてシリコンウエハに残留する0.20μm以上の粒径のパーティクルの数を100未満とすることが好ましく、特に50以下とすることが好ましい。このようなパーティクルに関する要請を満たすことを容易にする観点から、重合性分岐重合体(F)の含有量は、エネルギー線硬化型重合体(A)100質量部に対して、3.0質量部未満とすることが好ましく、特に2.5質量部以下とすることが好ましく、さらには2.0質量部以下とすることが好ましい。
【0061】
次に、エネルギー線硬化性粘着剤が、非エネルギー線硬化性ポリマー成分と少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物を主成分とする場合について、以下説明する。
【0062】
非エネルギー線硬化性ポリマー成分としては、例えば、前述したアクリル系共重合体(a1)と同様の成分が使用できる。
【0063】
少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、前述の成分(B)と同じものが選択できる。非エネルギー線硬化性ポリマー成分と少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの配合比は、非エネルギー線硬化性ポリマー成分100質量部に対して、少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマー1~200質量部であるのが好ましく、特に60~160質量部であるのが好ましい。
【0064】
この場合においても、上記と同様に、光重合開始剤(C)や架橋剤(E)を適宜配合することができる。
【0065】
粘着剤層の厚さは、本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートが使用される各工程において適切に機能できる限り、特に限定されない。具体的には、1~50μmであることが好ましく、特に3~40μmであることが好ましく、さらには5~30μmであることが好ましい。
【0066】
本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートにおける粘着剤層は、0℃における貯蔵弾性率が、0.02~40.0MPaであることが好ましく、特に0.10~30.0MPaであることが好ましく、さらには0.50~20.0MPaであることが好ましい。粘着剤層の0℃における貯蔵弾性率が上記範囲であることで、ステルスダイシング用粘着シートはクールエキスパンドし易いものとなり、チップ間隔を効果的に広げ易くなり、エキスパンドからの開放後におけるチップ間隔を適度に維持することが容易となる。その結果、エキスパンドからの開放に起因する、チップ同士の衝突を効果的に抑制することができる。なお、上記貯蔵弾性率の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
【0067】
2.基材
本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートにおける基材は、0℃における貯蔵弾性率が、100MPa以上、1500MPa以下であるものが好ましい。粘着剤層のせん断力が前述した範囲にある場合に、基材の貯蔵弾性率が上記の範囲にあると、それらの相乗効果により、当該ステルスダイシング用粘着シートに貼合されている、内部に改質層が形成された半導体ウエハを、クールエキスパンドによって、個々のチップに切断分離し、そのチップ間隔をより十分に広げることができる。なお、上記貯蔵弾性率の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
【0068】
また、上記貯蔵弾性率が100MPa以上であると、基材が所定の剛性を示すため、剥離シート等に形成した粘着剤層を転写によって当該基材に積層することができ、効率良くステルスダイシング用粘着シートを製造することができる。さらに、ステルスダイシング用粘着シートのハンドリング性も良好になる。一方、上記貯蔵弾性率が1500MPa以下であると、ステルスダイシング用粘着シートがクールエキスパンドによって良好に伸長する。また、リングフレームに装着したステルスダイシング用粘着シートによって、半導体ウエハを良好に支持することができる。
【0069】
以上の観点から、上記貯蔵弾性率の下限値は、120MPa以上であることがより好ましく、特に150MPaであることが好ましい。また、上記貯蔵弾性率の上限値は、1200MPa以下であることがより好ましく、特に1000MPa以下であることが好ましい。
【0070】
ステルスダイシング用粘着シートに貼合された半導体ウエハに対して、当該ステルスダイシング用粘着シート越しにレーザ光を照射する改質層形成工程を行う場合、本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートにおける基材は、そのレーザ光の波長の光に対して優れた光線透過性を発揮するものであることが好ましい。
【0071】
また、粘着剤層を硬化させるためにエネルギー線を使用する場合、基材は当該エネルギー線に対する光線透過性を有することが好ましい。エネルギー線については、後述する。
【0072】
本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートにおける基材は、樹脂系の材料を主材とするフィルム(樹脂フィルム)を含むものであることが好ましく、特に、樹脂フィルムのみからなることが好ましい。樹脂フィルムの具体例としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム;エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体フィルム、その他のエチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム等のエチレン系共重合フィルム;ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、エチレン-ノルボルネン共重合体フィルム、ノルボルネン樹脂フィルム等のポリオレフィン系フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム等のポリ塩化ビニル系フィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系フィルム;(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム;ポリウレタンフィルム;ポリイミドフィルム;ポリスチレンフィルム;ポリカーボネートフィルム;フッ素樹脂フィルムなどが挙げられる。ポリエチレンフィルムの例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム等が挙げられる。また、これらの架橋フィルム、アイオノマーフィルムといった変性フィルムも用いられる。基材は、これらの1種からなるフィルムでもよいし、これらを2種類以上組み合わせた材料からなるフィルムであってもよい。また、上述した1種以上の材料からなる層が複数積層された、多層構造の積層フィルムであってもよい。この積層フィルムにおいて、各層を構成する材料は同種であってもよく、異種であってもよい。
【0073】
クールエキスパンド工程での使用を考慮すると、基材としては、上記フィルムの中でも、エチレン-メタクリル酸共重合体フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィン系フィルム、そのようなポリオレフィンのアイオノマーフィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリウレタンフィルム、または(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルムを使用することが好ましい。
【0074】
基材においては、上記のフィルム内に、フィラー、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、酸化防止剤、着色剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、イオン捕捉剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。これらの添加剤の含有量としては、特に限定されないものの、基材が所望の機能を発揮する範囲とすることが好ましい。
【0075】
本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートにおいて基材と粘着剤層とが直接積層されている場合、基材における粘着剤層側の面は、粘着剤層との密着性を高めるために、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理が施されてもよい。
【0076】
基材の厚さは、ステルスダイシング用粘着シートが使用される工程において適切に機能できる限り限定されない。当該厚さは、通常、20~450μmであることが好ましく、特に25~250μmであることが好ましく、さらには50~150μmであることが好ましい。
【0077】
3.剥離シート
本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートにおける粘着剤層の基材側とは反対側の面には、当該ステルスダイシング用粘着シートが使用されるまで、粘着剤層を保護するために、剥離シートが積層されていてもよい。
【0078】
剥離シートとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等を用いることができる。また、これらの架橋フィルムを用いてもよい。さらに、これらのフィルムの複数が積層された積層フィルムであってもよい。
【0079】
上記剥離シートの剥離面(剥離性を有する面;特に粘着剤層と接する面)には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系の剥離剤が挙げられる。
【0080】
なお、剥離シートの厚さについては特に限定されず、通常、20μmから100μm程度である。
【0081】
4.粘着力
本実施体形態に係るステルスダイシング用粘着シートでは、0℃におけるシリコンミラーウエハに対する粘着力が、0.5N/25mm以上であることが好ましく、特に1.0N/25mm以上であることが好ましい。また、当該粘着力は、30N/25mm以下であることが好ましく、特に25N/25mm以下であることが好ましい。0℃における粘着力が上記範囲であることで、クールエキスパンド工程において粘着シートをエキスパンドする際に、半導体ウエハや得られる半導体チップの所定の位置に維持し易くなり、半導体ウエハの改質層部分における分断を良好に行うことが可能となる。なお、粘着剤層がエネルギー線硬化性粘着剤から構成される場合、上記粘着力は、エネルギー線照射前の粘着力をいうものとする。また、粘着力は、後述する方法により測定されたものをいう。
【0082】
本実施体形態に係るステルスダイシング用粘着シートにおいて、粘着剤層がエネルギー線硬化性粘着剤から構成される場合、23℃におけるエネルギー線照射後のシリコンミラーウエハに対する粘着力が、10mN/25mm以上であることが好ましく、特に20mN/25mm以上であることが好ましい。また、当該粘着力は、1000mN/25mm以下であることが好ましく、特に900mN/25mm以下であることが好ましい。半導体ウエハの個片化が完了した後、ステルスダイシング用粘着シートにエネルギー線を照射して、粘着力を上記範囲まで低下させることができることにより、得られた半導体チップを容易にピックアップすることが可能となる。なお、粘着力は、後述する方法により測定されたものをいう。
【0083】
上述した0℃における粘着力および23℃におけるエネルギー線照射後の粘着力は、次の方法により測定することができる。まず、半導体加工用シートを25mmの幅に裁断し、その粘着剤層側の面を、シリコンミラーウエハに貼付する。この貼付は、ラミネーター(リンテック社製,製品名「RAD-3510F/12」)を用いて、貼付速度10mm/s、ウエハ突出量20μmおよびローラー圧力0.1MPaの条件で行うことができる。続いて、得られた半導体加工用シートとシリコンミラーウエハとの積層体を、23℃、50%RHの雰囲気下に20分間放置する。ここで、23℃におけるエネルギー線照射後の粘着力を測定する場合には、20分間放置した後に、当該積層体に対して、紫外線照射装置(リンテック社製,製品名「RAD-2000m/12」)を用いて、窒素雰囲気下にてシートの基材側から紫外線(UV)照射(照度230mW/cm2,光量190mJ/cm2)を行う。20分間の放置またはUV照射に続いて、JIS Z0237に準じ、万能型引張試験機(AMD社製,製品名「RTG-1225」)を用いて、剥離角度180°、剥離速度300mm/minでシートをシリコンミラーウエハから剥離し、測定される値を粘着力(mN/25mm)とする。ここで、0℃における粘着力を測定する場合には、上記万能型引張試験機を用いる測定を0℃の環境下で行い、23℃における粘着力を測定する場合には、上記万能型引張試験機を用いる測定を23℃の環境下で行う。
【0084】
5.ステルスダイシング用粘着シートの製造方法
本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートの製造方法は、特に限定されず、常法を使用することができる。当該製造方法の第1の例としては、まず、粘着剤層の材料を含む粘着剤組成物、および所望によりさらに溶媒または分散媒を含有する塗工用組成物を調製する。次に、この塗工用組成物を、剥離シートの剥離面上に、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、スリットコーター、ナイフコーター等により塗布して塗膜を形成する。さらに、当該塗膜を乾燥させることにより、粘着剤層を形成する。その後、剥離シート上の粘着剤層と基材とを貼合することで、ステルスダイシング用粘着シートが得られる。塗工用組成物は、塗布を行うことが可能であればその性状は特に限定されない。粘着剤層を形成するための成分は、塗工用組成物中に溶質として含有されてもよく、または分散質として含有されてもよい。
【0085】
塗工用組成物が架橋剤(E)を含有する場合、所望の存在密度で架橋構造を形成させるために、上記の乾燥の条件(温度、時間など)を変えてもよく、または加熱処理を別途設けてもよい。架橋反応を十分に進行させるために、通常は、上記の方法などによって基材に粘着剤層を積層した後、得られたステルスダイシング用粘着シートを、例えば23℃、相対湿度50%の環境に数日間静置するといった養生を行う。
【0086】
本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートの製造方法の第2の例としては、まず、基材の一方の面に上記塗工用組成物を塗布して、塗膜を形成する。次に、当該塗膜を乾燥させて、基材と粘着剤層とからなる積層体を形成する。さらに、この積層体における粘着剤層の露出した面と、剥離シートの剥離面とを貼合する。これにより、粘着剤層に剥離シートが積層されたステルスダイシング用粘着シートが得られる。
【0087】
〔半導体装置の製造方法〕
本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法は、前述したステルスダイシング用粘着シート(本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シート)の粘着剤層と半導体ウエハとを貼合する貼合工程と、半導体ウエハの内部に改質層を形成する改質層形成工程と、低温環境下でステルスダイシング用粘着シートをエキスパンドして、内部に改質層が形成された半導体ウエハを個々のチップに切断分離するクールエキスパンド工程とを備える。
【0088】
上記製造方法においては、改質層形成工程の前に貼合工程が先に行われてもよいし、逆に、貼合工程の前に改質層形成工程が先に行われてもよい。前者の場合における改質層形成工程では、本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートに貼合された半導体ウエハに対してレーザ光が照射される。後者の場合における改質層形成工程では、例えば、別の粘着シート(例えばバックグラインドシート)に貼合された半導体ウエハに対してレーザ光が照射される。
【0089】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、少なくともクールエキスパンド工程において前述したステルスダイシング用粘着シートを使用するため、当該ステルスダイシング用粘着シートのクールエキスパンドによって、半導体ウエハを分割して得た個々のチップの相互間の間隔を十分に広げることができる。そのため、エキスパンドした状態を開放した後においても、チップ間隔を適度な距離に維持することができ、開放後におけるチップ同士の衝突を抑制することができる。また、チップ間隔を十分に広げることができるため、各チップ側面の洗浄を十分に行うこともできる。
【0090】
また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、ステルスダイシング用粘着シートに貼合された半導体ウエハにおけるステルスダイシング用粘着シート側とは反対側の面に、接着用フィルム(DAF、NCF等)を積層するラミネート工程をさらに備えてもよい。本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、クールエキスパンド工程を行うため、接着用フィルムを低温環境下で良好に分割することができる。
【0091】
以下、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法の好ましい具体例を説明する。
【0092】
(1)貼合工程
まず、本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートの粘着剤層と半導体ウエハとを貼合する貼合工程を行う。通常は、ステルスダイシング用粘着シートの粘着剤層側の面を、半導体ウエハの一方の面にマウントするが、これに限定されるものではない。この貼合工程では、通常、ステルスダイシング用粘着シートの粘着剤層側の面における、半導体ウエハが貼着している領域の外周側の領域に、リングフレームが貼付される。この場合、平面視で、リングフレームと半導体ウエハとの間には粘着剤層が露出した領域が、周縁領域として存在する。
【0093】
(2)ラミネート工程
次に、ステルスダイシング用粘着シートに貼合された半導体ウエハにおけるステルスダイシング用粘着シート側とは反対側の面に、接着用フィルムを積層するラミネート工程を行ってもよい。この積層は、通常、加熱積層(熱ラミネート)によって行う。半導体ウエハが表面に電極を有する場合、通常、半導体ウエハにおけるステルスダイシング用粘着シート側とは反対側の面に電極が存在するため、接着用フィルムは、半導体ウエハの電極側に積層される。
【0094】
接着用フィルムは、DAF、NCF等のいずれであってもよく、通常は感熱接着性を有する。材料としては特に限定されず、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂といった耐熱性の樹脂材料と、硬化促進剤とを含有する接着剤組成物から形成されたフィルム状部材が具体例として挙げられる。
【0095】
(3)改質層形成工程
好ましくは、上記貼合工程後またはラミネート工程後に、半導体ウエハの内部に改質層を形成する改質層形成工程を行うが、それらの工程の前に改質層形成工程を行ってもよい。改質層形成工程は、通常、半導体ウエハの内部に設定された焦点に集束されるように赤外域のレーザ光を照射することにより行う(ステルスダイシング加工)。レーザ光の照射は、半導体ウエハのいずれの側から行ってもよい。改質層形成工程を、ラミネート工程後に行う場合であれば、ステルスダイシング用粘着シート越しにレーザ光を照射することが好ましい。また、改質層形成工程を上記貼合工程と上記ラミネート工程との間に行う場合、または上記ラミネート工程を行わない場合には、ステルスダイシング用粘着シートを介さず、半導体ウエハに直接レーザ光を照射することが好ましい。
【0096】
(4)クールエキスパンド工程
改質層形成工程の後、低温環境下でステルスダイシング用粘着シートをエキスパンドすることにより、半導体ウエハを切断分離するクールエキスパンド工程を行う。これにより、ステルスダイシング用粘着シートの粘着剤層上には、半導体ウエハが分割されてなる半導体チップが貼着した状態となる。また、半導体ウエハ上に接着フィルムが積層されている場合には、エキスパンド工程により当該接着フィルムも半導体ウエハの分割と同時に分割され、接着剤層付きチップが得られる。
【0097】
クールエキスパンド工程における具体的な条件は限定されない。例えば、ステルスダイシング用粘着シートをエキスパンドする際の温度は、一般的なクールエキスパンドの温度とすることができ、前述した通り、通常10℃以下であり、特に6℃以下であることが好ましく、さらには4℃以下であることが好ましい。また、クールエキスパンドの温度の下限値についても特に制限されず、通常-20℃以上であり、特に-15℃以上であることが好ましく、さらには-10℃以上であることが好ましい。前述した通り、本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートを使用してクールエキスパンド工程を行うことにより、得られるチップ間隔を十分に広げることができ、接着用フィルムが積層されている場合には、当該接着用フィルムも良好に分割される。
【0098】
(5)再エキスパンド工程
クールエキスパンド工程を行った後、ステルスダイシング用粘着シートおよびその上に積層された半導体チップまたは接着剤層付きチップを室温環境下に戻し、室温環境下で再度エキスパンド工程を行ってもよい(再エキスパンド工程)。再エキスパンド工程における具体的な条件は、エキスパンドを室温(例えば23℃)で行うことを除いて特に制限されない。
【0099】
なお、この再エキスパンド工程により、通常、ステルスダイシング用粘着シートの周縁領域(平面視でリングフレームとチップ群との間の領域)には弛みが生じる。
【0100】
(6)シュリンク工程
再エキスパンド工程により、ステルスダイシング用粘着シートの周縁領域に弛みが生じた場合には、当該周縁領域を加熱するシュリンク工程を行うことが好ましい。ステルスダイシング用粘着シートの周辺領域を加熱することにより、この周縁領域に位置する基材が収縮し、再エキスパンド工程で生じたステルスダイシング用粘着シートの弛み量を低減させることが可能となる。シュリンク工程における加熱方法は限定されない。熱風を吹き付けてもよいし、赤外線を照射してもよいし、マイクロ波を照射してもよい。
【0101】
(7)ピックアップ工程
再エキスパンド工程を行う場合には、それに続くシュリンク工程の後、再エキスパンド工程を行わない場合には、クールエキスパンド工程の後に、ステルスダイシング用粘着シートに貼着しているチップを個別にステルスダイシング用粘着シートからピックアップして、チップを半導体装置として得るピックアップ工程を行う。
【0102】
ここで、ステルスダイシング用粘着シートの粘着剤層がエネルギー線硬化性粘着剤からなる場合、貼合工程以降、ピックアップ工程より前のいずれかの段階で、粘着剤層に対してエネルギー線を照射して粘着剤層を硬化させ、粘着力を低下させることが好ましい。これにより、上記のチップのピックアップをより容易に行うことができる。
【0103】
エネルギー線としては、電離放射線、すなわち、X線、紫外線、電子線などが挙げられる。これらのうちでも、比較的照射設備の導入の容易な紫外線が好ましい。
【0104】
電離放射線として紫外線を用いる場合には、取り扱いのしやすさから波長200~380nm程度の紫外線を含む近紫外線を用いればよい。紫外線の光量としては、粘着剤層に含まれるエネルギー線硬化性粘着剤の種類や粘着剤層の厚さに応じて適宜選択すればよく、通常50~500mJ/cm2程度であり、100~450mJ/cm2が好ましく、150~400mJ/cm2がより好ましい。また、紫外線照度は、通常50~500mW/cm2程度であり、100~450mW/cm2が好ましく、150~400mW/cm2がより好ましい。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、発光ダイオード(LED)などが用いられる。
【0105】
電離放射線として電子線を用いる場合には、その加速電圧については、粘着剤層に含有されるエネルギー線重合性基やエネルギー線重合性化合物の種類や粘着剤層の厚さに応じて適宜選定すればよく、通常加速電圧10~1000kV程度であることが好ましい。また、照射線量は、粘着剤層に含まれるエネルギー線硬化性粘着剤の種類や粘着剤層の厚さに応じて適宜選択すればよく、通常10~1000kradの範囲で選定される。電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
【0106】
以上の製造方法を実施することにより、本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートを用いて、半導体装置を製造することができる。
【0107】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【実施例】
【0108】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0109】
〔実施例1〕
(1)粘着剤組成物の調製
ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=80/5/15(質量比)を反応させて得られたアクリル系共重合体と、その2-ヒドロキシエチルアクリレートに対して80モル%のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて、エネルギー線硬化型重合体を得た。このエネルギー線硬化型重合体の重量平均分子量(Mw)は、40万であった。
【0110】
得られたエネルギー線硬化型重合体100質量部(固形分換算値;以下同様に表記)と、光重合開始剤としての1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製,製品名「イルガキュア184」)3質量部と、架橋剤としてのトリレンジイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業社製,製品名「コロネートL」)0.49質量部とを溶媒中で混合し、粘着剤組成物を得た。
【0111】
(2)ステルスダイシング用粘着シートの製造
剥離シート(リンテック社製,製品名「SP-PET3811」)の剥離面上に、上記の粘着剤組成物を塗布した。次いで、加熱による乾燥を行い、粘着剤組成物の塗膜を粘着剤層とした。この粘着剤層の厚さは10μmであった。その後、得られた剥離シート上の粘着剤層と、基材として一方の面がコロナ処理されたエチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)フィルム(厚さ:80μm,コロナ処理面の表面張力:54mN/m)のコロナ処理面とを貼合することで、ステルスダイシング用粘着シートを得た。
【0112】
〔実施例2〕
ブチルアクリレート/アクリル酸=91/9(質量比)を反応させて得られたアクリル系共重合体(Mw:40万)100質量部と、エネルギー線硬化性基を有するオリゴマーとしてのポリウレタンオリゴアクリレート(大日精化社製,製品名「セイカビームPU-5(NS)」)120質量部と、光重合開始剤としての1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製,製品名「イルガキュア184」)3質量部と、架橋剤としてのトリレンジイソシアネート系架橋剤(東洋インキ社製,製品名「コロネートL」)2.23質量部とを溶媒中で混合し、粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤組成物を使用する以外、実施例1と同様にしてステルスダイシング用粘着シートを製造した。
【0113】
〔実施例3〕
架橋剤の配合量を2.44質量部とする以外、実施例1と同様にして粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤組成物を使用し、実施例1と同様にしてステルスダイシング用粘着シートを製造した。
【0114】
〔実施例4〕
2-エチルヘキシルアクリレート/酢酸ビニル/2-ヒドロキシエチルアクリレート=60/20/20(質量比)を反応させて得られたアクリル系共重合体と、その2-ヒドロキシエチルアクリレートに対して80モル%のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて、エネルギー線硬化型重合体(Mw:40万)を得た。
【0115】
得られたエネルギー線硬化型重合体100質量部と、光重合開始剤としての1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製,製品名「イルガキュア184」)3質量部と、架橋剤としてのトリレンジイソシアネート系架橋剤(東洋インキ社製,製品名「コロネートL」)0.31質量部とを溶媒中で混合し、粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤組成物を使用する以外、実施例1と同様にしてステルスダイシング用粘着シートを製造した。
【0116】
〔実施例5〕
ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=62/10/28(質量比)を反応させて得られたアクリル系共重合体と、その2-ヒドロキシエチルアクリレートに対して80モル%のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて、エネルギー線硬化型重合体(Mw:40万)を得た。
【0117】
得られたエネルギー線硬化型重合体100質量部と、光重合開始剤としての1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製,製品名「イルガキュア184」)3質量部と、架橋剤としてのトリレンジイソシアネート系架橋剤(東洋インキ社製,製品名「コロネートL」)1.61質量部とを溶媒中で混合し、粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤組成物を使用する以外、実施例1と同様にしてステルスダイシング用粘着シートを製造した。
【0118】
〔実施例6〕
2-エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=42/30/28(質量比)を反応させて得られたアクリル系共重合体と、その2-ヒドロキシエチルアクリレートに対して70モル%のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて、エネルギー線硬化型重合体(Mw:40万)を得た。
【0119】
得られたエネルギー線硬化型重合体100質量部と、光重合開始剤としての1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製,製品名「イルガキュア184」)3質量部と、架橋剤としてのトリレンジイソシアネート系架橋剤(東洋インキ社製,製品名「コロネートL」)1.13質量部とを溶媒中で混合し、粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤組成物を使用する以外、実施例1と同様にしてステルスダイシング用粘着シートを製造した。
【0120】
〔実施例7〕
ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=55/30/15(質量比)を反応させて得られたアクリル系共重合体と、その2-ヒドロキシエチルアクリレートに対して80モル%のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて、エネルギー線硬化型重合体(Mw:40万)を得た。
【0121】
得られたエネルギー線硬化型重合体100質量部と、光重合開始剤としての1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製,製品名「イルガキュア184」)3質量部と、架橋剤としてのトリレンジイソシアネート系架橋剤(東洋インキ社製,製品名「コロネートL」)0.59質量部とを溶媒中で混合し、粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤組成物を使用する以外、実施例1と同様にしてステルスダイシング用粘着シートを製造した。
【0122】
〔実施例8〕
2-エチルヘキシルアクリレート/イソボルニルアクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=42/30/28(質量比)を反応させて得られたアクリル系共重合体と、その2-ヒドロキシエチルアクリレートに対して80モル%のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて、エネルギー線硬化型重合体(Mw:40万)を得た。
【0123】
得られたエネルギー線硬化型重合体100質量部と、光重合開始剤としての1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製,製品名「イルガキュア184」)3質量部と、架橋剤としてのトリレンジイソシアネート系架橋剤(東洋インキ社製,製品名「コロネートL」)1.07質量部とを溶媒中で混合し、粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤組成物を使用する以外、実施例1と同様にしてステルスダイシング用粘着シートを製造した。
【0124】
〔実施例9〕
ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=52/20/28(質量比)を反応させて得られたアクリル系共重合体と、その2-ヒドロキシエチルアクリレートに対して80モル%のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて、エネルギー線硬化型重合体(Mw:40万)を得た。
【0125】
得られたエネルギー線硬化型重合体100質量部と、光重合開始剤としての1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製,製品名「イルガキュア184」)3質量部と、架橋剤としてのトリレンジイソシアネート系架橋剤(東洋インキ社製,製品名「コロネートL」)1.07質量部とを溶媒中で混合し、粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤組成物を使用する以外、実施例1と同様にしてステルスダイシング用粘着シートを製造した。
【0126】
〔実施例10〕
2-エチルヘキシルアクリレート/メチルアクリレート/アクリル酸=50/40/10(質量比)を反応させて得られたアクリル系共重合体(Mw:60万)100質量部と、エネルギー線硬化性基を有するモノマーとしての5~6官能ウレタンアクリレート(大日精化社製,製品名「セイカビーム14-29B」)120質量部と、光重合開始剤としての1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製,製品名「イルガキュア184」)3質量部と、架橋剤としての1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン(三菱ガス化学社製,製品名「テトラッドC」)0.286質量部とを溶媒中で混合し、粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤組成物を使用する以外、実施例1と同様にしてステルスダイシング用粘着シート3製造した。
【0127】
〔実施例11〕
架橋剤の配合量を3.21質量部とする以外、実施例5と同様にして粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤組成物を使用し、実施例1と同様にしてステルスダイシング用粘着シートを製造した。
【0128】
〔実施例12〕
基材として、直鎖型低密度ポリエチレン樹脂(宇部丸善ポリエチレン社製,製品名「ユメリット3540F」)とポリプロピレン樹脂(出光石油化学社製,製品名「F-724NP」)との混合基材(厚さ:80μm)を使用する以外、実施例6と同様にしてステルスダイシング用粘着シートを製造した。
【0129】
〔比較例1〕
ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=42/30/28(質量比)を反応させて得られたアクリル系共重合体と、その2-ヒドロキシエチルアクリレートに対して70モル%のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて、エネルギー線硬化型重合体(Mw:40万)を得た。
【0130】
得られたエネルギー線硬化型重合体100質量部と、光重合開始剤としての1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製,製品名「イルガキュア184」)3質量部と、架橋剤としてのトリレンジイソシアネート系架橋剤(東洋インキ社製,製品名「コロネートL」)0.43質量部とを溶媒中で混合し、粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤組成物を使用する以外、実施例1と同様にしてステルスダイシング用粘着シートを製造した。
【0131】
〔比較例2〕
2-エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=42/30/28(質量比)を反応させて得られたアクリル系共重合体と、その2-ヒドロキシエチルアクリレートに対して80モル%のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて、エネルギー線硬化型重合体(Mw:40万)を得た。
【0132】
得られたエネルギー線硬化型重合体100質量部と、光重合開始剤としての1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製,製品名「イルガキュア184」)3質量部と、架橋剤としてのトリレンジイソシアネート系架橋剤(東洋インキ社製,製品名「コロネートL」)1.07質量部とを溶媒中で混合し、粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤組成物を使用する以外、実施例1と同様にしてステルスダイシング用粘着シートを製造した。
【0133】
〔比較例3〕
ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=42/30/28(質量比)を反応させて得られたアクリル系共重合体と、その2-ヒドロキシエチルアクリレートに対して80モル%のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて、エネルギー線硬化型重合体(Mw:40万)を得た。
【0134】
得られたエネルギー線硬化型重合体100質量部と、光重合開始剤としての1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製,製品名「イルガキュア184」)3質量部と、架橋剤としてのトリレンジイソシアネート系架橋剤(東洋インキ社製,製品名「コロネートL」)1.07質量部とを溶媒中で混合し、粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤組成物を使用する以外、実施例1と同様にしてステルスダイシング用粘着シートを製造した。
【0135】
〔比較例4〕
ラウリルアクリレート/メチルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルアクリレート=42/30/28(質量比)を反応させて得られたアクリル系共重合体と、その2-ヒドロキシエチルアクリレートに対して80モル%のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて、エネルギー線硬化型重合体(Mw:40万)を得た。
【0136】
得られたエネルギー線硬化型重合体100質量部と、光重合開始剤としての1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製,製品名「イルガキュア184」)3質量部と、架橋剤としてのトリレンジイソシアネート系架橋剤(東洋インキ社製,製品名「コロネートL」)1.07質量部とを溶媒中で混合し、粘着剤組成物を得た。得られた粘着剤組成物を使用する以外、実施例1と同様にしてステルスダイシング用粘着シートを製造した。
【0137】
〔試験例1〕(せん断力の測定)
実施例および比較例で得られたステルスダイシング用粘着シートの基材における粘着剤層とは反対側の面に、瞬間接着剤(東亜合成社製,製品名「アロンアルファ」)を使用して、裏打ち材としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:100μm)を接着し、積層体を得た。
【0138】
得られた積層体を、温度23℃、相対湿度50%の環境下にて、長さ50mm、幅30mmに裁断した後、粘着剤層から剥離シートを剥離し、これをサンプルとした。このサンプルを、温度23℃、相対湿度50%の環境下にて、シリコンミラーウエハ(厚さ:350μm)のミラー面に粘着剤層を介して貼付した。このとき、サンプルに対して2kgのローラーを1往復させて荷重をかけ、サンプルの長さ方向3mm部分がシリコンウエハに密着するように貼付した。次に、シリコンミラーウエハ上において、サンプルの幅が20mmとなるようにサンプルのみをカッターで切断し、不要となるサンプルの切断片をシリコンミラーウエハから剥離した。これにより、
図1および
図2に示すように、サンプルとシリコンミラーウエハとが20mm×3mm(60mm
2)の領域で貼付されてなる試験対象物を得た。なお、
図1および
図2において、符号1は裏打ち材付きのステルスダイシング用粘着シート(サンプル)、符号2はシリコンミラーウエハ、符号11は基材、符号12は粘着剤層、符号13は裏打ち材を示す。
【0139】
上記貼付の直後に、得られた試験対象物を0℃の環境下に移し、貼付から20分後に、0℃の環境下にて、引張速度1mm/minの条件にて、オートグラフ(今田製作所社製,製品名「SDT-203NB-50R3」)を使用して引張試験を行い、せん断力(N/(3mm×20mm))を測定した。結果を表1に示す。
【0140】
〔試験例2〕(基材の貯蔵弾性率の測定)
実施例および比較例で使用した基材について、下記の装置および条件で0℃における基材の貯蔵弾性率(MPa)を測定した。結果を表1に示す。
測定装置:ティー・エイ・インスツルメント社製,動的弾性率測定装置「DMA Q800」
試験開始温度:0℃
試験終了温度:200℃
昇温速度:3℃/分
周波数:11Hz
振幅:20μm
【0141】
〔試験例3〕(粘着剤層の貯蔵弾性率の測定)
実施例および比較例で使用した粘着剤組成物を、剥離シートの剥離面に塗布して粘着剤層を形成し、別途用意した剥離シートの剥離面を、露出している粘着剤層に圧着し、剥離シート/粘着剤層/剥離シートからなる粘着シートを作製した。その粘着シートから剥離シートを剥がし、粘着剤層を厚さ200μmになるように複数層積層した。得られた粘着剤層の積層体から、30mm×4mmの矩形(厚さ:200μm)を打ち抜き、これを測定用試料とした。この測定用試料について、下記の装置および条件で0℃における粘着剤層の貯蔵弾性率(MPa)を測定した。結果を表1に示す。
測定装置:ティー・エイ・インスツルメント社製,弾性率測定装置「ARES」
測定間距離:20mm
試験開始温度:-30℃
試験終了温度:120℃
昇温速度:3℃/分
周波数:11Hz
振幅:20μm
【0142】
〔試験例4〕(エキスパンド性の評価)
実施例および比較例で得られたステルスダイシング用粘着シートの粘着剤層に、6インチリングフレームおよび6インチシリコンミラーウエハ(厚さ:100μm)のミラー面を貼付した。次いで、ステルスダイシング装置(ディスコ社製,製品名「DFL7360」)を使用して、以下の条件で、6インチシリコンミラーウエハにおけるステルスダイシング用粘着シートとは反対側の面からレーザを照射して、6インチシリコンミラーウエハ内に改質層を形成した。このときのレーザ照射は、得られるチップのサイズが8mm角となるように行った。
<照射の条件>
照射高さ:テープ側から68μm
周波数:90Hz
出力:0.3W
加工速度:360mm/sec
【0143】
その後、エキスパンド装置(JCM社製,製品名「ME-300B」)を用いて、0℃の環境下にて、上記ワークに対し、引き落とし速度100mm/sec、引き落とし量10mmにてエキスパンドを行った。その直後に、デジタル顕微鏡(KEYENCE社製,製品名「VHX-1000」)によって、チップ間隔(μm)を測定し、任意の5点を測定した平均値を算出した。この平均値を、エキスパンド直後のチップ間隔(μm)とした。また、エキスパンド直後のチップ間隔の値から、以下の基準に基づいてエキスパンド性を評価した。それぞれの結果を表1に示す。
○:チップ間隔が70μm以上
×:チップ間隔が70μm未満
【0144】
さらに、0℃の環境下で、エキスパンド装置を引き落とし前の状態に戻し、ステルスダイシング用粘着シートをエキスパンド状態から開放した。この開放から0℃の環境下で30分放置した後、上記デジタル顕微鏡を用いて、チップ間隔(μm)を測定し、任意の5点を測定した平均値を算出した。この平均値を、開放後のチップ間隔(μm)とした。この値から、以下の基準に基づいて開放後のチップ間隔について評価した。結果を表1に示す。
○:チップ間隔が10μm以上
×:チップ間隔が10μm未満
【表1】
【0145】
表1から分かるように、実施例で得られたステルスダイシング用粘着シートは、クールエキスパンドによってチップ間隔が十分に広くなり、優れたエキスパンド性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明に係るステルスダイシング用粘着シートは、クールエキスパンドを行う半導体装置の製造方法に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0147】
1…裏打ち材付きのステルスダイシング用粘着シート(サンプル)
11…基材
12…粘着剤層
13…裏打ち材
2…シリコンミラーウエハ