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特許7042283フレーバー成分としてのアルケニルカルボノチオアート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】フレーバー成分としてのアルケニルカルボノチオアート
(51)【国際特許分類】
   C07C 329/06 20060101AFI20220317BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20220317BHJP
   A23L 27/20 20160101ALI20220317BHJP
   A23L 27/28 20160101ALI20220317BHJP
   A23L 2/56 20060101ALI20220317BHJP
   A23F 5/46 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
C07C329/06 CSP
C11B9/00 S
A23L27/20 D
A23L27/28
A23L2/56
A23F5/46
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019562299
(86)(22)【出願日】2018-05-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2018062040
(87)【国際公開番号】W WO2018206662
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2020-08-05
(31)【優先権主張番号】1707639.9
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】カオウアス,アブデルマジド
(72)【発明者】
【氏名】クラネン,ベルナルド
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-109305(JP,A)
【文献】特表2012-522826(JP,A)
【文献】英国特許第01379019(GB,B)
【文献】特表2006-527285(JP,A)
【文献】FAULKNER D J,APPLICATION OF THE CLAISEN REARRANGEMENT TO THE SYNTHESIS OF TRANS TRISUBSTITUTED 以下備考,JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,米国,1973年01月24日,PAGE(S):553-563,https://pubs.acs.org/doi/pdf/10.1021/ja00783a040,OLEFINIC BONDS. SYNTHESIS OF SQUALENE AND INSECT JUVENILE HORMONE
【文献】Garmaise, D. L.; Uchiyama, A.; McKay, A. F.,Thiono- and thiolcarbonates,Journal of Organic Chemistry,1962年,27,4509-12
【文献】Mizuno, Takumi; Nishiguchi, Ikuzo; Hirashima, Tsuneaki; Ogawa, Akiya; Kambe, Nobuaki; Sonoda, Noboru,A new selenium-catalyzed synthesis of S-alkyl carbonothioates from alcohols, carbon monoxide, sulfur and alkyl halides,Tetrahedron Letters ,1990年,31(33),,4773-6
【文献】Pogulyai, A.; Khvostenko, V. I.; Kalashnikov, S. M.; Mavlyutov, R. F.; Imashev, U. B.,Electronic structure of monothiocarbonate negative ions,Izvestiya Akademii Nauk SSSR, Seriya Khimicheskaya ,1987年,(10),,2198-202
【文献】Mizuno, Takumi; Nishiguchi, Ikuzo; Hirashima, Tsuneaki; Ogawa, Akiya; Kambe, Nobuaki; Sonoda, Noboru,Sulfur-assisted O-carbonylation of alcohols with carbon monoxide in the presence of DBU,Tetrahedron Letters,1988年,29(37),,4767-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C11B
A23L
A23F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
式中
nは、1または2であり;
mは、1、2または3であり;
は、アルキルであり;および
、R、Rは、独立して水素またはアルキルを示す、
で表される化合物。
【請求項2】
O-エチルS-(3-メチルブタ-2-エン-1-イル)カルボノチオアート;(E)-S-(ブタ-2-エン-l-イル)O-エチルカルボノチオアート;O-エチルS-ゲラニルカルボンチオアート;O-エチルS-ネリルカルボンチオアート;およびO-エチルS-ファルネシルカルボンチオアートからなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
可食製品における請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項4】
が、メチル、エチル、プロピル、イソブチルまたはtert-ブチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
、R、Rが、メチル、エチルまたはプロピルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
式(I)
【化2】
式中
nは、1または2であり;mは、1、2または3であり;Rは、アルキルであり;およびR、R、Rは独立して水素またはアルキルを示す;で表される化合物、および
少なくとも1つのフレーバー成分
を含む、フレーバー組成物。
【請求項7】
式(I)に従う化合物が、O-エチルS-(3-メチルブタ-2-エン-1-イル)カルボノチオアート;(E)-S-(ブタ-2-エン-l-イル)O-エチルカルボノチオアート;O-エチルS-ゲラニルカルボンチオアート;O-エチルS-ネリルカルボンチオアート;およびO-エチルS-ファルネシルカルボンチオアートからなる群から選択される、請求項6に記載のフレーバー組成物。
【請求項8】
式(I)に従う化合物が、組成物の重量の0.005ppm~5.0ppmのレベルで存在する、請求項6に記載のフレーバー組成物。
【請求項9】
式(I)に従う化合物が、組成物の重量の0.01ppm~1.0ppmのレベルで存在する、請求項6に記載のフレーバー組成物。
【請求項10】
担体材料をさらに含む、請求項6に記載のフレーバー組成物。
【請求項11】
O-エチルS-(3-メチルブタ-2-エン-1-イル)カルボノチオアート;(E)-S-(ブタ-2-エン-l-イル)O-エチルカルボノチオアート;O-エチルS-ゲラニルカルボンチオアート;O-エチルS-ネリルカルボンチオアート;およびO-エチルS-ファルネシルカルボンチオアートからなる群から選択される化合物;
フレーバー組成物;および
製品ベース
を含む、飲料製品。
【請求項12】
化合物が飲料製品の重量の0.001ppb~1.0ppbのレベルで存在する、請求項11に記載の飲料製品。
【請求項13】
化合物が飲料製品の重量の0.002ppb~0.5ppのレベルで存在する、請求項11に記載の飲料製品。
【請求項14】
化合物が飲料製品の重量の0.003ppb~0.3ppbのレベルで存在する、請求項11に記載の飲料製品。
【請求項15】
フレーバー組成物が少なくとも1つのフレーバー成分を含む、請求項11に記載の飲料製品。
【請求項16】
フレーバー組成物が担体材料を含む、請求項11に記載の飲料製品。
【請求項17】
製品がコーヒーである、請求項11に記載の飲料製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本開示は、フレーバーおよびフレグランスとしてもカルボノチオアートの使用に関する。より具体的に、本開示は、フレーバーおよびフレグランスとしてのO-アルキルS-ヒドロキシアルケニルカルボノチオアートの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
フレーバーおよびフレグランス産業は、消費者製品のフレーバー特性を強化、改善または改変し得る新しい成分に継続的に関心を持っている。
可食製品、例えば食料品および飲料のフレーバーは、アロマおよび味の2つの部分で構成される。一般に、鼻腔の嗅上皮を通して提供されるものは「アロマ」と称され、一方用語「味」は一般的に、口、特に舌を介して知覚される感覚的影響を表すために使用される。
【0003】
驚くべきことに、発明者らは、以下に定義する式(I)のO-アルキルS-ヒドロキシアルケニルカルボノチオアートを混合することにより、可食製品のフレーバーを優位に改善することができることを見出した。
以下に定義される式(I)の化合物を含まない製品と比較して、製品のフレーバーは、より強いおよび/またはより長く持続することが見出された。これらの特性は、約75℃~約150℃の加熱などのプロセス条件下において維持され、これは、式(I)で表される化合物を、インスタントコーヒーおよび粉末状コーヒー飲料などの加工食料品および飲料に特に適したものとする。
【発明の概要】
【0004】
本発明の概要
一態様において、式(I)で表される化合物が提供される:
【化1】
式中、nは、1または2であり;mは、1、2または3であり;Rは、アルキルまたはアリールであり;およびR、R、Rは独立して水素またはアルキルを示す。
【0005】
別の態様において、フレーバー組成物は、式(I)で表される化合物
【化2】

式中、nは、1または2であり;mは、1、2または3であり;Rは、アルキルまたはアリールであり;およびR、R、Rは独立して水素またはアルキルを示す;および少なくとも1つのフレーバー成分を含む。
【0006】
さらに別の態様において、飲料製品は、O-エチルS-(3-メチルブタ-2-エン-1-イル)カルボノチオアート;O-エチルS-(3-メチルブタ-3-エン-1-イル)カルボノチオアート;(E)-S-(ブタ-2-エン-l-イル)O-エチルカルボノチオアート;S-(ブタ-3-エン-l-イル)O-エチルカルボノチオアート;S-アリルO-エチルカルボノチオアート;O-エチルS-ゲラニルカルボンチオアート;O-エチルS-ネリルカルボンチオアート;およびO-エチルS-ファルネシルカルボンチオアートからなる群から選択される化合物;フレーバー組成物;および製品ベースを含む。
特定の態様のこれらのおよび他の特色、側面および利点は、本開示を読むことにより当業者に明らかになるであろう。
【0007】
本発明の詳細な記載
以下のテキストは、本開示の多くの異なる態様の広範な説明を記載している。説明は例示としてのみ解釈されるべきであり、すべての可能な態様を説明することは不可能ではないにしても非現実的であるため、すべての可能な態様を説明するものではない。本明細書に記載のあらゆる特色、特徴、構成要素、組成物、成分、製品、ステップまたは方法論は、全部または一部を、削除すること、本明細書に記載のあらゆる他の特色、特徴、構成要素、組成物、成分、製品、ステップまたは方法論と組み合わせること、またはこれで置き換えることができることが理解されるであろう。現在の技術またはこの特許の出願日の後に開発された技術のいずれを使用して、多数の代替態様を実施することができ、これらは依然として特許請求の範囲内にある。本明細書において引用されたすべての刊行物および特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0008】
本開示に従って、式(I)
【化3】

式中
nは、1または2であり;
mは、1、2または3であり;
は、アルキルまたはアリール(例としてメチル、エチル、プロピル、イソブチル、tert-ブチル、フェニルまたはベンジル)であり;および
、R、Rは、独立して水素またはアルキル(例としてメチル、エチルまたはプロピル)を示す、
で表される化合物が提供される。
【0009】
式(I)で表される化合物は、いくかのキラル中心を含み、それ自体は、立体異性体の混合物として存在してもよく、またはそれらは異性体的に純粋な形態として分割されてもよい。立体異性体の分割はこれらの化合物の製造および精製の複雑さを増すため、単に経済的な理由のために、それらの立体異性体の混合物として当該化合物を使用することが好ましい。しかしながら、個々の立体異性体を調製することが所望される場合、当該技術分野において知られている方法、例えば、分取HPLCおよびGC、結晶化または立体選択的合成にしたがって達成することができる。
【0010】
特定の態様において、式(I)で表される化合物は、
O-エチルS-(3-メチルブタ-2-エン-1-イル)カルボノチオアート;
O-エチルS-(3-メチルブタ-3-エン-1-イル)カルボノチオアート;
(E)-S-(ブタ-2-エン-l-イル)O-エチルカルボノチオアート;
S-(ブタ-3-エン-l-イル)O-エチルカルボノチオアート;
S-アリルO-エチルカルボノチオアート;
O-エチルS-ゲラニルカルボンチオアート;
O-エチルS-ネリルカルボンチオアート;および
O-エチルS-ファルネシルカルボンチオアート
から選択される。
【0011】
式(I)で表される化合物は、単独で、または必要な目的のために有用な他の物質、例えば、フレグランスまたはフレーバーと組み合わせて使用することができる。一態様において、式(I)で表される化合物は、エーテル油および抽出物、アルコール、アルデヒドおよびケトン、エーテルおよびアセタール、エステルおよびラクトン、大員環および複素環などの現在利用可能な広範囲の天然および合成分子から選択される他のフレーバーおよび/またはフレグランスと組み合わせることができる。
結果的に、さらなる態様において、式(I)で表される化合物および少なくとも1つのさらなるフレーバー成分を含むフレーバー組成物が提供される。
【0012】
別の態様において、式(I)で表される化合物は、フレグランスが付与された/フレーバーが付与された応用品においてフレーバーまたはフレグランスと共に従来使用される1以上の成分または賦形剤、例えば、担体材料、および当該技術分野において一般的に使用される溶媒(例えば、ジプロピレングリコール(DPG)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、クエン酸トリエチル(TEC)、エタノール、プロピレングリコール(PG)、トリアセチン、およびベンジルアルコール、などの他の助剤と混合し得る。式(I)で表される化合物は、脂肪などの担体材料に溶解または分散させることができ、またはマルトースデキストリン、ゼラチン、グアガム等で包むこともできる。それらは、調製する準備ができている食品成分と混合するか、成分の1つと混合することができる。
【0013】
さらなる態様において、式(I)で表される化合物および製品ベースを含むフレーバー応用品が提供される。
式(I)で表される化合物が特に適しているフレーバーが付与された応用品は、乾燥、缶詰、冷凍およびインスタントスープ、レディーミール、コロッケ、ソースキューブ、ブイヨンキューブ、ベーキング用の脂肪、マーガリン、パン、ケーキ、およびインスタントコーヒーおよび粉末状コーヒー飲料などの温水で調製するインスタントドリンク、ビール、ソフトドリンク、フレーバーティーおよび乳製品である。この製品のリストは、説明のために与えられ、決して限定的なものと見なされるべきではない。
【0014】
本明細書に使用されるとき、フレーバー応用品に関する「製品ベース」は、上で定義した式(I)で表される化合物を含有しない可食製品を意味する。
本明細書に使用されるとき、「可食製品」は、食料品および飲料、またはヒトまたは動物の口腔に導入され、摂取または口から取り出される前に一定期間そこにとどまることが意図されるパーソナルケア製品などの製品を意味する。かかる製品は、それらの加工された、部分的に加工された、または未加工の状態の組成物を含む。
【0015】
式(I)で表される化合物は、応用品において、応用品の重量の約.001ppb~約1.0ppb、別の態様において約.002ppb~約0.5ppb、さらに別の態様において約.003ppb~約0.3ppbの範囲の量で存在し得る。
フレーバー組成物において使用される場合、式(I)で表される化合物は、フレーバー組成物に基づいて、約0.005ppm~約5.0ppm、別の態様において約.01ppm~約1.0ppmの範囲の量で存在し得る。
【0016】
別の態様において、式(I)で表される化合物は、幅広い範囲のフレグランス応用品、例えば、香水、家庭用製品、洗濯製品、ボディケア製品および化粧品などのファインおよび機能的香料のあらゆる分野において使用することができる。
フレグランス応用品において使用される場合、式(I)で表される化合物は、フレグランス応用品に基づいて、約1~30ppmの範囲の量で存在し得る。しかしながら、経験豊富なパヒューマーは、より低いまたは高い濃度で、効果を達成したり、新規のアコードを生み出したりもできるため、これらの値は、単に例として与えられている。
【0017】
式(I)で表される化合物は、化合物を、またはこれを含むフレグランス/フレーバー組成物を製品ベースと混合することで製品ベースへ用いることができ、および/またはこれらは、より前のステップにおいて封入材料で封入し、次いで消費者製品ベースと混合することもできる。
【0018】
式(I)で表される化合物は、当業者に既知の条件下で、スキーム1に示されるように調製することができる。反応条件のさらなる詳細は、例において提供される
スキーム1:
【化4】

n;m;R1;R2;R3およびR4は、上記式(I)に与えられたものと同じ意味を有する。
【0019】
一態様において、O-エチルS-(3-メチルブタ-2-エン-1-イル)カルボノチオアートを以下のように調製することができる:
【化5】

nおよびmが1であり;Rがエチルであり;Rが水素であり;R3がメチルであり、R4が水素である場合。
【0020】
別の態様において、O-エチルS-ゲラニルカルボンチオアートを以下のように調製することができる:
【化6】

nが1であり;mが2であり;R1がエチルであり;R2が水素であり;R3がメチルであり、R4が水素である場合。
【0021】
別の態様において、O-エチルS-ファルネシルカルボンチオアートを以下のように調製することができる:
【化7】

nが1であり;mが3であり;R1がエチルであり;R2が水素であり;R3がメチルであり、R4が水素である場合。
【0022】

本開示の精神および範囲から逸脱することなく本発明の多くのバリエーションが可能であるため、以下の実施例は単に例示の目的で与えられ、本発明の限定として解釈されるべきではない。ベンチトップのテイスティングパネル(6人のパネリストで構成)を使用して、パネリストに例のサンプルのフレーバーおよび匂いの特性を記録するように依頼した。
【0023】
例1
O-エチルS-(3-メチルブタ-2-エン-1-イル)カルボノチオアート
窒素下で、クロロギ酸エチル(323mmol)を、氷/アセトン浴(-1℃)において、無水THF400ml中のプレニルメルカプタン(294mmol)およびトリエチルアミン(323mmol)の溶液に滴下した。投与後、冷却浴を取り外し、撹拌を1時間続けた。濾過により後処理し、濾液を真空下で濃縮した。残渣をジエチルエーテルに溶解し、HCl水溶液、炭酸ナトリウム水溶液および水で適切に洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸留により精製して、33.8グラムの生成物を得た(収率66%)。
フレーバーの説明:硫黄、ブラックカラント、トロピカル、ローストコーヒー。
匂いの説明:マッシュルーム、ハーブのよう、わずかにココアの含み。
【0024】
例2
ブラックコーヒー
以下の成分からブラックコーヒーを調製した:
【表1】
【0025】
ブラックコーヒーの一部に、コーヒーの重量に対して0.003ppbのO-エチルS-(3-メチルブタ-2-エン-1-イル)カルボノチオアートを添加した。コーヒーを缶に詰め、121℃で10分間レトルトした。ブラックコーヒーは、減少したオフノート(酸味)、ダークチョコレートおよび滑らかな味を有していた。
【0026】
ブラックコーヒーの別の部に、コーヒーの重量に対して0.03ppbのO-エチルS-(3-メチルブタ-2-エン-1-イル)カルボノチオアートを添加した。コーヒーを缶に詰め、121℃で10分間レトルトした。ブラックコーヒーは豊かな味、良好なトップノートおよび滑らかな味を有していた。
【0027】
ブラックコーヒーのさらに別の部に、コーヒーの重量に対して0.3ppbのO-エチルS-(3-メチルブタ-2-エン-1-イル)カルボノチオアートを添加した。コーヒーを缶に詰め、121℃で10分間レトルトした。ブラックコーヒーはわずかな金属、焦げ、動物様の味を有していた。
【0028】
例3
レギュラーコーヒー
レギュラーコーヒーを以下の成分から調製した:
【表2】
【0029】
レギュラーコーヒー(対照)を缶に詰め124℃で20分間レトルトした。レギュラーコーヒー(対照)は、ダークローストが少なく、平らで、新鮮さが少ないと説明された。
【0030】
レギュラーコーヒーの一部に、コーヒーの重量に対して0.03ppbのO-エチルS-(3-メチルブタ-2-エン-1-イル)カルボノチオアートを添加した。コーヒーを缶に詰め124℃で20分間レトルトした。レギュラーコーヒーは、葉巻様の、焦げた砂糖、わずかに良好なスモーキー、丸みを有し、オフノート(乳)をマスクした。
【0031】
レギュラーコーヒーの別の部に、コーヒーの重量に対して0.3ppbのO-エチルS-(3-メチルブタ-2-エン-1-イル)カルボノチオアートを添加した。コーヒーを缶に詰め124℃で20分間レトルトした。レギュラーコーヒーは、ブースト、良好なボディ、わずかに(ネガティブな)焦げ味を有していた。
【0032】
レギュラーコーヒーのさらに別の部に、コーヒーの重量に対して3ppbのO-エチルS-(3-メチルブタ-2-エン-1-イル)カルボノチオアートを添加した。コーヒーを缶に詰め124℃で20分間レトルトした。レギュラーコーヒーは、強い、金属、動物様、焦げ、苦い味を有していた。
【0033】
例4
カフェオレ
以下の成分からカフェオレを調製した:
【表3】
【0034】
カフェオレ(対照)を缶に詰め、124℃で20分間レトルトした。カフェオレ(対照)は、ローストが少なく、平らで、新鮮さが少なく、調理した乳のノートが入ってくると説明された。
【0035】
カフェオレの一部に、コーヒーの重量に対して0.03ppbのO-エチルS-(3-メチルブタ-2-エン-1-イル)カルボノチオアートを添加した。カフェオレを缶に詰め124℃で20分間レトルトした。カフェオレは、甘い、ミルキー、良好な丸みを持つマイルドなローストノートを有し、対照よりも明確に改善したローストノートを有していた。
【0036】
カフェオレの別の部に、コーヒーの重量に対して0.3ppbのO-エチルS-(3-メチルブタ-2-エン-1-イル)カルボノチオアートを添加した。カフェオレを缶に詰め124℃で20分間レトルトした。カフェオレは、良いバランス、滑らか、深く良好な丸みを有していた。
【0037】
カフェオレのさらに別の部に、コーヒーの重量に対して3ppbのO-エチルS-(3-メチルブタ-2-エン-1-イル)カルボノチオアートを添加した。カフェオレを缶に詰め124℃で20分間レトルトした。カフェオレは、アンバランスで、金属、硫黄およびスカンクのようなノートを有していた。
【0038】
本明細書に開示される寸法および値は、記載されたぴったりの数値に厳密に限定されると理解されるべきではない。代わりに、特に特定がない限り、かかる各寸法は、記載された値とその値を囲む機能的に同等な範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示されている寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0039】
相互参照または関連する特許または出願を含む、本明細書で引用されるすべての文書は、明示的に除外または制限されない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。あらゆる文書の引用は、本明細書において開示または請求された発明に関する先行技術であること、またはこれが単独で、または他の文献(単数)または文献(複数)と組み合わせにおいて、かかる発明を教示、示唆、または開示することを認めるものではない。さらに、この文書内の用語の意味または定義が参照により組み込まれた文書内の同じ用語の意味または定義と矛盾する場合、この文書でその用語に割り当てられた意味または定義が適用される。
【0040】
本発明の特定の態様を例示および説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく他の様々な変更および修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲内にある、かかるすべての変更および修正を添付の特許請求の範囲で網羅することを意図している。