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特許7042293学習支援装置、学習支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】学習支援装置、学習支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 7/04 20060101AFI20220317BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20220317BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20220317BHJP
【FI】
G09B7/04
G09B19/00 H
G06Q50/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020037108
(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公開番号】P2021140011
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2020-11-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.電気通信回線を通じた公開 ウェブサイトの掲載日 平成31年 4月11日 ウェブサイトのURL https://confit.atlas.jp/guide/event/jsai2019/subject/103-J-12-03/detail?lang=ja 2.電気通信回線を通じた公開 ウェブサイトの掲載日 令和 1年 5月24日 ウェブサイトのURL https://confit.atlas.jp/guide/event/jsai2019/proceedings/list 3.電気通信回線を通じた公開 ウェブサイトの掲載日 令和 1年 6月 1日 ウェブサイトのURL https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjsai/JSAI2019/0/JSAI2019_103J1203/_article/-char/ja/ 4.集会での発表による公開 2019年度 人工知能学会全国大会(第33回) (開催日 令和1年6月4日~6月7日) 公開日 令和1年6月4日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】300082623
【氏名又は名称】株式会社グロービス
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100190355
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 紀央
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 健太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健一
(72)【発明者】
【氏名】梶井 麻未
(72)【発明者】
【氏名】君島 朋子
【審査官】宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-086549(JP,A)
【文献】特開2013-097271(JP,A)
【文献】特開平05-188850(JP,A)
【文献】特開2001-331091(JP,A)
【文献】特開2014-038324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56
G09B 17/00-19/26
G06Q 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク経由による学習者端末装置との通信を介して、自然言語による問題が前記学習者端末装置にて出題されるようにするとともに、問題に対する学習者の解答に応じた学習者へのフィードバックが前記学習者端末装置にて提示されるようにする出題部と、
ネットワーク経由の通信を介して前記学習者端末装置から取得した、前記問題に対する自然言語による解答について分析を行う解答分析部と、
前記解答分析部による分析結果に基づいて、前記出題部により提示されるフィードバックと、前記出題部により出題される次の問題とを決定する決定部とを備え、
前記決定部は、出題された問題と当該出題された問題に対する解答の内容との組み合わせに応じた内容のフィードバックと、前記フィードバックの内容に対応付けられ、前記出題された問題と異なる問題とを、前記出題部により提示されるフィードバックと次の問題として決定し、前記解答分析部による分析結果に基づいて、他のユーザの解答のうちから解答を選択し、選択された他のユーザの解答を前記フィードバックに含める
学習支援装置。
【請求項2】
前記解答分析部は、1の事例に対応する最初の問題から最後の問題ごとの解答の分析結果に基づいて、前記1の事例に対する複数の解答についての総合的な評価を出力する
請求項1に記載の学習支援装置。
【請求項3】
前記出題部は、前記自然言語による問題に加えて、複数の選択肢のうちから選択された選択肢を解答とする選択問題の出題が可能とされ、
選択問題に対する解答に対しては、前記解答分析部は分析を行わず、前記決定部は、解答としての選択肢に予め対応付けられたフィードバックと次問題とを、前記出題部により提示されるフィードバックと、前記出題部により出題される次の問題として決定する
請求項1または2に記載の学習支援装置。
【請求項4】
学習支援装置における学習支援方法であって、
出題部が、ネットワーク経由による学習者端末装置との通信を介して、自然言語による問題が前記学習者端末装置にて出題されるようにするとともに、問題に対する学習者の解答に応じた学習者へのフィードバックが前記学習者端末装置にて提示されるようにする出題ステップと、
解答分析部が、ネットワーク経由の通信を介して前記学習者端末装置から取得した、前記問題に対する自然言語による解答について分析を行う解答分析ステップと、
決定部が、前記解答分析ステップによる分析結果に基づいて、前記出題ステップにより提示されるフィードバックと、前記出題ステップにより出題される次の問題とを決定する決定ステップとを備え、
前記決定ステップは、出題された問題と当該出題された問題に対する解答の内容との組み合わせに応じた内容のフィードバックと、前記フィードバックの内容に対応付けられ、前記出題された問題と異なる問題とを、前記出題部により提示されるフィードバックと次の問題として決定し、前記解答分析ステップによる分析結果に基づいて、他のユーザの解答のうちから解答を選択し、選択された他のユーザの解答を前記フィードバックに含める
学習支援方法。
【請求項5】
学習支援装置としてのコンピュータを、
ネットワーク経由による学習者端末装置との通信を介して、自然言語による問題が前記学習者端末装置にて出題されるようにするとともに、問題に対する学習者の解答に応じた学習者へのフィードバックが前記学習者端末装置にて提示されるようにする出題部と、
ネットワーク経由の通信を介して前記学習者端末装置から取得した、前記問題に対する自然言語による解答について分析を行う解答分析部と、
前記解答分析部による分析結果に基づいて、前記出題部により提示されるフィードバックと、前記出題部により出題される次の問題とを決定する決定部であって、出題された問題と当該出題された問題に対する解答の内容との組み合わせに応じた内容のフィードバックと、前記フィードバックの内容に対応付けられ、前記出題された問題と異なる問題とを、前記出題部により提示されるフィードバックと次の問題として決定し、前記解答分析部による分析結果に基づいて、他のユーザの解答のうちから解答を選択し、選択された他のユーザの解答を前記フィードバックに含める決定部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習支援装置、学習支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の学習者によるテスト項目への解答をネットワーク経由で収集し、収集した解答に基づいて分析したテスト項目の項目特性に応じて復習問題を送信するようにされた学習支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-205354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケースメソッドと呼ばれる教育手法が知られている。ケースメソッドは、一例として、経営学の場合であれば、或る企業で実際に起こった事例を題材(ケース)として、自分が経営者であればその事例にどのように対処するのかを受講者同志で議論するといったものを挙げることができる。ケースメソッドによる教育は、経営学のほかに、例えば法学、医学等の分野でも重要視されている。
また、このようなケースメソッドでは、講師の役割としては、受講者に講義をしたり自説を教えたりするのではなく、例えば受講者の議論を整理し、好ましい方向に導くことが求められる。この点で、ケースメソッドによる教育効果は、講師の技量に依存するところが大きいともいわれている。このため、ケースメソッドは、受講者が実際に講師のいる教室等の環境で学習するものとして認知されている。
一方で、eラーニング環境のもとでケースメソッドによる良質な教育をユーザが受けられるようにすることが求められている。このためには、ケースメソッドの性質上、現実の講師が行っているように、学習者の性格、能力等の個性に合わせて、学習者の思考等を適切に導いていくようにすることが求められる。
しかしながら、引用文献1に記載の技術は、複数の学習者に対して共通のテスト項目と複数問題とを提供することを前提としていることから、ケースメソッドに適用して、学習者ごとに適切に導いていくことは難しい。
【0005】
このような状況に鑑みて、本願発明は、eラーニング環境のもとでケースメソッドによる良質な教育をユーザが受けられるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するための本発明の一態様は、ネットワーク経由による学習者端末装置との通信を介して、自然言語による問題が前記学習者端末装置にて出題されるようにするとともに、問題に対する学習者の解答に応じた学習者へのフィードバックが前記学習者端末装置にて提示されるようにする出題部と、ネットワーク経由の通信を介して前記学習者端末装置から取得した、前記問題に対する自然言語による解答について分析を行う解答分析部と、前記解答分析部による分析結果に基づいて、前記出題部により提示されるフィードバックと、前記出題部により出題される次の問題とを決定する決定部とを備える学習支援装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、ネットワーク経由による学習者端末装置との通信を介して、自然言語による問題が前記学習者端末装置にて出題されるようにするとともに、問題に対する学習者の解答に応じた学習者へのフィードバックが前記学習者端末装置にて提示されるようにする出題ステップと、ネットワーク経由の通信を介して前記学習者端末装置から取得した、前記問題に対する自然言語による解答について分析を行う解答分析ステップと、前記解答分析ステップによる分析結果に基づいて、前記出題ステップにより提示されるフィードバックと、前記出題ステップにより出題される次の問題とを決定する決定ステップとを備える学習支援方法である。
【0008】
また、本発明の一態様は、学習支援装置としてのコンピュータを、ネットワーク経由による学習者端末装置との通信を介して、自然言語による問題が前記学習者端末装置にて出題されるようにするとともに、問題に対する学習者の解答に応じた学習者へのフィードバックが前記学習者端末装置にて提示されるようにする出題部と、ネットワーク経由の通信を介して前記学習者端末装置から取得した、前記問題に対する自然言語による解答について分析を行う解答分析部と、前記解答分析部による分析結果に基づいて、前記出題部により提示されるフィードバックと、前記出題部により出題される次の問題とを決定する決定部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、eラーニング環境のもとでケースメソッドによる十分な教育をユーザが受けられるようになるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の学習支援システムの全体的な構成例を示す図である。
図2】本実施形態の学習支援装置の構成例を示す図である。
図3】本実施形態の問題情報の一例を示す図である。
図4】本実施形態の問題群データの構成例を示す図である。
図5】本実施形態のユーザ端末装置と学習支援装置とが実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施形態の学習支援システムの全体的な構成例を示している。本実施形態の学習支援システムは、ユーザUが自分のユーザ端末装置100を用いてケースメソッドによる学習(ケースメソッド学習)を行うことを支援する。即ち、本実施形態におけるユーザUは、ユーザ端末装置100を用いてケースメソッド学習を行う者(受講者、学習者)である。
本実施形態の学習支援システムは、複数のユーザ端末装置100と、学習支援装置200とを含む。
ユーザ端末装置100(学習者端末装置の一例)は、ユーザUのそれぞれが、ケースメソッドによる学習を行うために利用する端末装置である。ユーザ端末装置100は、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等であってよい。
【0012】
学習支援装置200は、ユーザ端末装置100のそれぞれとネットワークNT経由で通信を行うことで、ケースメソッド学習に対応する学習支援をユーザUに対して行う装置である。つまり、学習支援装置200は、ユーザ端末装置100との通信により、ケースメソッド講座をユーザUに提供する。
【0013】
図2は、学習支援装置200の構成例を示している。同図の学習支援装置200は、通信部201、制御部202、及び記憶部203を備える。
通信部201は、ネットワークNT経由で通信を実行する。
【0014】
制御部202は、学習支援装置200における各種の制御を実行する。制御部202としての機能は、学習支援装置200が備えるCPU(Central Processing Unit)がプログラムを実行することにより実現される。制御部202は、出題部221、解答分析部222、及び決定部223を備える。
出題部221は、ネットワークNT経由によるユーザ端末装置100との通信を介して、ユーザ端末装置100にて問題が出題されるようにするとともに、問題に対する学習者の解答に応じた学習者へのフィードバックがユーザ端末装置100にて提示されるようにするための処理を実行する。
解答分析部222は、ネットワーク経由の通信を介してユーザ端末装置100から取得した解答について所定事項の分析を行う。
決定部223は、解答分析部222による分析結果に基づいて、出題部221により提示されるフィードバックと、出題部221により出題される次の問題を決定する。
【0015】
記憶部203は、学習支援装置200に関連する各種の情報を記憶する。記憶部203は、ユーザ情報記憶部231、問題情報記憶部232を備える。
ユーザ情報記憶部231は、学習支援装置200が提供するケースメソッド講座を受ける受講者としてのユーザごとの情報を記憶する。
問題情報記憶部232は、題材である事例ごとに対応して用意された問題を含む問題情報を記憶する。
【0016】
図3は、問題情報記憶部232が記憶する問題情報の一例を示している。同図に示されるように、問題情報は、事例ごとに問題群を対応付けた構造である。
現実に講師が存在するケースメソッドの講座では、例えば講師が或る1つの事例(題材)を提示したうえで、その事例を基に議論等が進められていく。
1つの事例データは、ケースメソッドの講座においてユーザに提示する事例の内容を示す情報である。事例データは、例えばテキストデータの形式であり、比較的長文により事例を説明する内容を有する。事例データにより示される事例の内容の具体例は以下のようになる。
【0017】
「航空会社Aは19AA年に創業した。当初は低価格とフラッグキャリア並みのサービスを提供し、創業から5年で年間乗客数が5,000人から64万人へと急拡大したが、同時に、高コスト経営から大きな赤字を計上し、破談寸前と報道された。
経営方針の見直しを余儀なくされた19BB年、現在もCEO(最高責任者)を務めるM氏が経営陣に参画した。格安運賃とローコスト経営で躍進していた米国のB航空をモデルに、欧州初の格安航空会社として航空会社Aは再出発した。
M氏が打ち出したホリデー客をターゲットとする戦略は成功した。19CC年からの湾岸戦争で業績が一次低迷したものの、その数年後以降は、地盤としていた国だけではなく、周囲の各国へ次々と路線を拡大し、乗客数、営業利益ともに現在まで成長を続けている。
(中略)
米国同時多発テロ事件の直後は航空需要自体が大きく減退したものの、路線が欧州内に限られている航空会社Aへの影響は限定的であり、欧州内の旅行ぐらいはしたい、というレジャー客を取り込むことができた。さらに、飛行機を利用せざるを得ないビジネス客も、大規模空港でのセキュリティの煩雑さを避け、より狙われにくいと思われる小空港で発着する格安航空会社を選ぶようになった。」
【0018】
問題群データは、対応の事例データが示す事例のもとでユーザUに出題される複数の問題を有するデータである。
現実の講師により行われるケースメソッド講座では、講師は、以下のようにして議論を進行させることができる。つまり、例えば講師から受講者に対して事例を基として或る問題を投げかける。受講者から問題に対する解答が返ってくると、講師は、返ってきた解答の内容に応じて、受講者の思考がより良い方向にいくように、また、深くなっていくようにするため、さらに別の問題を投げかけるようにする。この場合、講師は、次の問題を事前に決めているのではなく、解答の内容に応じて、次に投げかける問題の内容をどのようなものとするのかを判断することになる。つまり、ケースメソッド講座のもとでは、1つの問題に続く次の問題の内容として複数が用意される必要がある。本実施形態の問題群データは、このような要求に対応する構造を有する。
【0019】
図4は、1の事例データに対応する問題群データの構成例を示している。同図の問題群データは、上記のように1つの問題に対する解答の内容に応じて次の問題の内容を適宜異ならせることが可能なようにされた構造となっている。
同図においては、問題群データに含まれる或る1つの問題を一次問題としている。一次問題に対しては、3つのフィードバック(フィードバックA、フィードバックB、フィードバックC)が対応付けられた例が示されている。フィードバックは、問題に対する解答の内容に応じて、ユーザUに向けて提示される講師の立場からのコメントに相当するものである。このようなフィードバックは、出題された問題と解答の内容との組み合わせに応じたものとして作成される。フィードバックの内容としては、例えば解答の内容について評価したコメントや、解答の内容を受けてユーザUに気付きを与えることのできるコメント等を文章形式で表したものであってよい。
【0020】
同図の例では、一次問題に対する解答を対象とする解析によっては、解答の内容について、例えば予め用意された3つの評価分類1~3のうちのいずれか1つに分類される。
一具体例として、例えば一次問題が解答として或る1つの特定事項に言及していることを要求するものである場合、特定事項に言及していると判定された解答に対しては「評価分類1、特定事項に言及していないと判定された解答に対しては評価分類2に分類される。また、このような例での解答の評価分類にあたり、分類結果としては、上記の評価分類1と評価分類2のいずれかに分類できることが好ましいが、解答の内容によっては、評価分類1と評価分類2とのいずれにも該当する確度が低く、評価分類1と評価分類2とのいずれかに分類分けすることが難しい場合がある。このような解答については、評価分類3に分類される。つまり、評価分類3は、適正評価が不可である場合の分類となる。
【0021】
例えば、フィードバックA、フィードバックB、フィードバックCは、それぞれ、評価分類1、評価分類2、評価分類3に対応する。フィードバックA、フィードバックB、フィードバックCは、それぞれ、対応の評価分類に応じたフィードバックの内容を有する。評価分類1の評価分類に対応するフィードバックAは、例えば、問題が求めている特定事項に対する言及をユーザが行っていることを伝え、さらに良い考えに導くことができることを意図した内容を有する。また、評価分類2の評価分類に対応するフィードバックBは、例えば、問題が求めている特定事項に対して言及できていないことを指摘し、より的確な考えに導くことができることを意図した内容を有する。また、評価分類3の評価分類に対応するフィードバックCは、例えば評価分類1の評価分類に応じたフィードバックと評価分類2に応じたフィードバックとのいずれにも該当しないような一般的なコメント等による内容を有するものであってよい。
【0022】
また、フィードバックA、フィードバックB、フィードバックCには、それぞれ1つの二次問題が対応付けられる。二次問題は、一次問題の次にユーザに提示される問題である。
同図においては、フィードバックAに二次問題1が対応付けられ、フィードバックBに二次問題2が対応付けられ、フィードバックCに二次問題3が対応付けられる。
つまり、一次問題に対する解答の内容は、評価分類1、評価分類2、評価分類3の3つの評価分類のうちのいずれか1つに分類される。そのうえで、分類に応じて、一次問題に対するフィードバックと、一次問題に次いで出題される二次問題とが決定される。具体的に、一次問題に対する解答が評価分類1に分類されたことに応じては、一次問題に対するフィードバックとしてフィードバックAが選択され、一次問題の次の問題として、二次問題1が選択される。
【0023】
そして、二次問題ごとに、解答の内容に応じて、さらに二次問題の解答に対するフィードバックと、二次問題に次いで出題される三次問題とが決定されるようになっている。同図では、具体例として、二次問題2に対する解答に応じたフィードバックと三次問題が示されている。つまり、二次問題2の場合には、解答の内容に応じて、4つの評価分類1~4のうちのいずれかに分類される。
一具体例として、二次問題2が、或る事柄に関する問題点を指摘することと、指摘した問題点を踏まえて解決策を導き出すことを求めている場合、解答に応じて、以下のように評価分類1~評価分類4に分類される。つまり、問題点を的確に指摘しており、かつ、解決策も的確に導き出させている解答については、評価分類1に分類される。また、問題点は的確に指摘できたが、解決策については的確に導き出させていない解答については、評価分類2に分類される。また、問題点の指摘が的確とはいえず、このために解決策も的確に導き出せていないような解答については、評価分類3に分類される。また、評価分類1~評価分類3のいずれに該当する確度も低いとの判定が得られた回答については、評価分類4に分類される。一例として、評価分類4に分類される解答としては、例えば、問題点は的確に指摘できていないのにも関わらず、解決策が的確であるようなものを挙げることができる。また、まったく見当違いな問題点の指摘、解決策等を含んでいることで評価が適正に行えないような解答も評価分類4に分類されてよい。
同図では、評価分類1に対して、フィードバックDと三次問題1が対応付けられている。つまり、二次問題2に対する解答について評価分類1との評価に分類された場合には、二次問題2に対するフィードバックと、二次問題2に次いで出題される三次問題として、それぞれ、フィードバックD、三次問題1が決定される。
また、評価分類2に対しては、フィードバックEと三次問題2が対応付けられている。また、評価分類3に対しては、フィードバックFと三次問題2が対応付けられている。このように、次に出題される問題については、先の問題に対する解答についての複数の分類に対して1つの次問題が共通となる場合があってよい。なお、図示していないが、問題に対する解答についての複数の分類に対して1つのフィードバックが共通となる場合があってもよい。
また、評価分類4に対しては、フィードバックGと三次問題3が対応付けられている。
このように、問題群データは、1の問題に対して用意された評価分類ごとに、各1つのフィードバックと次問題とが対応付けられた構造を有する。
【0024】
なお、同図の問題群データの構成のもとで、最後となる問題については、特に何問目であると決まっていなくともよく、第1問から順次辿られてきた問題のパスにより異なるようにされてよい。例えば、ユーザUの解答が全体を通じて優秀であるような場合には、少ない問題数で目標とする学習効果を得ることができるので、出題される問題数は少なくてもよい。一方で、なかなかよい解答が返せないようなユーザの場合には、目標とする学習効果が得られるまでに紆余曲折しながら多くの問題に解答してもらう必要が出てくる。このようことを考慮して、問題群データにおける問題を構築する結果として、最後となる問題が何問目であるのかについては、ユーザUに出題された問題のパスにより異なるようにされてよい。
なお、同図の問題群データの構造としては、1つの解答に対して、フィードバックと次問題のセット(組み合わせ)」が決定されるようになっている。しかしながら、1つの解答に対して、まず、フィードバックが決定されたうえで、決定されたフィードバックに対して複数の次問題の候補が紐付けられており、何らかの条件に応じて、候補のうちから1つの次問題が決定されるような構造を有していてもよい。
【0025】
また、本実施形態の問題群データの構成によれば、ユーザUは、問題に対して解答する都度、解答に対するフィードバックを受けることができる。これにより、オンラインの講座であっても、実際に教室で講師と議論するのと近い感覚で学習を進めていくことができる。
【0026】
図5のフローチャートを参照して、本実施形態のユーザ端末装置100と学習支援装置200とが実行する処理手順例について説明する。
まず、ユーザ端末装置100が実行する処理手順例について説明する。
ステップS101:ユーザUは、ケースメソッド学習を開始するにあたり、ユーザ端末装置100を、学習支援装置200が提供するケースメソッド講座のウェブサイトにログインさせる操作(ログイン操作)を行う。ログイン操作に応じて、ユーザ端末装置100は、ネットワークNT経由で学習支援装置200にアクセスし、ログイン要求を実行する。
【0027】
ステップS102:ケースメソッド講座のウェブサイトにログインしたことにより、ユーザ端末装置100の表示部には、例えばこれからのケースメソッド学習に用いる事例を選択可能なウェブページが表示される。ユーザUは、表示されたウェブページに対して、自分が学習しようとする事例を選択する操作を行う。事例を選択する操作が行われたことに応じて、学習支援装置200は、選択された事例に対応する事例データを問題情報記憶部232から読み出し、読み出した事例データを学習支援装置200に送信する。
ユーザ端末装置100は、学習支援装置200から送信された事例データの内容(事例)を表示部に表示する。これにより、ユーザUは、表示された事例を読んで内容を把握することができる。
【0028】
なお、予めユーザUについて評価した特性等に基づいて、学習支援装置200がユーザUの特性に適合した事例を選択するようにしてもよい。
あるいは、例えば長期的なケースメソッドの学習プランが立てられているような場合であって、プランに沿った学習の進行に応じてユーザUが受講すべき事例が決まっている場合もある。このような場合、ユーザ端末装置100にて事例の選択は行われない。この場合の学習支援装置200は、ユーザUのプランに沿った学習の進行に応じて、今回の講座において用いる事例を決定し、決定された事例の事例データを問題情報記憶部232から読み出し、読み出した事例データを学習支援装置200に送信してよい。
【0029】
ステップS103:事例の内容を把握し終えると、ユーザUは、例えば出題の開始を指示する操作(出題開始指示操作)を行うようにされる。出題開始指示操作が行われたことに応じて、ユーザ端末装置100は、出題開始指示をユーザ端末装置100に送信する。なお、ユーザ端末装置100は、出題開始指示の送信のトリガは、出題開始指示操作に限定されるものではない。例えば事例の表示を行ってから一定時間を経過したことに応じて、出題開始指示を送信するようにしてもよい。
【0030】
ステップS104:ステップS103により出題開始指示を送信した後、ユーザ端末装置100は、問題データが受信されたか否かについて判定する。
【0031】
ステップS105:ステップS103による出題開始指示の送信に応じて、まず、学習支援装置200は、第1問としての問題の問題データを送信する。より具体的には、学習支援装置200は、第1問を出題するウェブページをユーザ端末装置100に送信するようにされてよい。第1問を出題するウェブページは、第1問としての問題の問題データの内容が、例えば文章により表示されるようにして作成される。
ユーザ端末装置100は、ステップS104にて学習支援装置200から送信された問題データが受信されたことを判定すると、受信された問題データが示す内容の問題を表示部に表示させる。
【0032】
本実施形態において、問題データは文字(テキスト)や画像によるものである。そして、ユーザ端末装置100にて表示される問題は、テキストや画像により、ユーザUに向けて文章により問題の内容を提示するものとなる。画像による問題データとしては、ユーザUに対して問題を提示する内容の動画や静止画であってよい。また、ユーザUに対して問題を提示する内容の画像としては、漫画のような体裁のものであってもよい。先に具体例として挙げた事例との対応では、例えば、「「ホリデー客」とは、どんな人たちで、普段はどんな交通手段を利用していたかを考えてください。」といった内容の問題が文章や画像により提示されるといった例を挙げることができる。いずれにせよ、このように文字や画像による問題の提示には、文章や音声による自然言語が用いられる。
【0033】
ステップS106:ユーザUは、表示された問題を読んで解答を考えたうえで、考えた解答を入力する操作(解答入力操作)を行う。解答入力操作は、例えば表示部にて表示される入力フォームに対して、文章(即ち、文字列)を入力するというものであってよい。
即ち、本実施形態における問題に対する解答は、例えば選択肢の選択といったものではなく、ユーザUが自由に文章を考えて記述したものとなる。
【0034】
現実に講師と受講者とがケースメソッドを実践する場合、講師は、口頭でユーザUに問題を伝え、ユーザUも口頭で自分の考えた解答を発言する。そこで、本実施形態においては、ユーザUに出題される問題については文章の形式で提示し、解答についてもユーザUに文章として記述してもらうようにする。つまり、事例の提示、出題、解答のいずれに関しても自然言語を積極的に用いるようにされる。これにより、ユーザUは、現実のケースメソッドに非常に近い感覚で学習を行っていくことができる。
【0035】
ステップS107:ユーザUは、解答の入力を終えると、例えば解答の送信を指示する操作を行う。この操作に応じて、ユーザ端末装置100は、入力された解答のデータ(解答データ)を学習支援装置200に対して送信する。学習支援装置200により送信される解答データは、文章として入力された文字列を示すテキストデータを含むものであってよい。
【0036】
ステップS108:学習支援装置200からは、ステップS107により送信した解答データが示す解答の内容に応じたフィードバックデータが送信される。ユーザ端末装置100は、受信されたフィードバックデータが示す内容のフィードバックを表示部に表示させる。また、フィードバックデータのうちには、ユーザUにとって参考となる他のユーザの解答が含められる場合がある。この場合には、当該ステップS108により、例えばフィードバックとともに、他のユーザの解答も表示される。
【0037】
ステップS109:ステップS107により解答データを送信した後、ユーザ端末装置100は、学習支援装置200から総合評価結果を受信したか否かについて判定する。総合評価結果は、全ての問題の出題が完了したことに応じて、これまでのユーザUの複数の解答に関する総合的な評価を行った結果を表す。
総合評価結果が受信されない場合には、ステップS104に処理が戻される。また、ステップS104にて問題が受信されないと判定された場合には、ステップS105~S107をスキップして、ステップS109に移行する。つまり、ユーザ端末装置100は、ステップS103により出題開始時を送信して以降、ステップS105~S107の処理を実行していない状態では、問題と総合評価結果とのいずれかが受信されるのを待機する。
【0038】
先の説明のようにして1の事例に対応する1問目の問題に対する解答が送信されたことに応じて、学習支援装置200は、2問目としての問題データを送信する。この場合、学習支援装置200は、2問目としての問題データが受信されたことに応じて、ステップS104にて問題データが受信されたと判定し、ステップS105~S108の処理を実行し、学習支援装置200に解答を送信し、解答に対するフィードバックを表示する。この後において、ユーザ端末装置100は、学習支援装置200から送信された問題データが受信されるごとに、ステップS105~S108の処理を繰り返す。
【0039】
ステップS110:そして、或る段階で学習支援装置200から最後の問題が送信され、ユーザ端末装置100は、受信された最後の問題に対応する解答をステップS107により送信する。学習支援装置200は、最後の問題に対する解答の受信に応じて総合評価を行い、ユーザ端末装置100に対して総合評価結果を送信する。ユーザ端末装置100は、送信された総合評価結果を受信したことにより、ステップS109からステップS110の処理に移行し、受信された総合評価結果を表示部に表示する。総合評価結果は、文章として表示される。つまり、学習支援装置200は、文章の形式の総合評価結果を生成する。
【0040】
次に、学習支援装置200が実行する処理手順例について説明する。
ステップS201:学習支援装置200において制御部202は、ユーザ端末装置100からのログイン要求に応答した処理を実行する。つまり、制御部202は、ユーザ端末装置100から送信されたログイン要求に含まれるユーザアカウントやパスワードを利用してアカウント認証を実行する。制御部202は、認証が成立したことに応じて、ケースメソッド学習のためのウェブサイトへのアクセスを許可する。
【0041】
ステップS202:ログインが成立した後において、制御部202の出題部221は、問題情報記憶部232に記憶される事例データのうちから選択した事例データをユーザ端末装置100に送信する。
【0042】
ユーザ端末装置100に送信する事例データの選択にあたり、出題部221は、前述のように、ユーザがウェブページに対して行った事例選択の操作に応じて選択してよい。
あるいは、出題部221は、ユーザUの学習プランの進行状況に応じて事例データを選択してもよい。この場合、出題部221は、ユーザ情報記憶部231に記憶されるユーザ情報に含まれる、ユーザUの学習プランにおける学習進行状況を参照し、今回の講座において使用する事例を決定してよい。
あるいは、出題部221は、ユーザUについて評価した特性に基づいて事例データを選択してもよい。この場合、出題部221は、ユーザの特性を学習データとして学習器に学習させた学習モデルを用いて事例データを選択するようにされてよい。
【0043】
ステップS203:ステップS202により事例データを送信した後において、学習支援装置200からは、ステップS103により出題開始指示が送信される。出題開始指示が受信されたことに応じて、学習支援装置200は、送信した事例データに対応付けられた問題(設問)を出題する段階に移行する。そこで、出題部221は、問題の出題順に対応する変数nに「1」を初期値として代入する。
【0044】
ステップS204:出題部221は、n番目の問題(第n問)の問題データを送信する。ここで、ステップS204により第1問(n=1)としての問題データを送信する場合、出題部221は、ステップS202により送信した事例データに対応付けられている問題群データのうちから第1問としての問題の問題データを問題情報記憶部232から読み出す。出題部221は、読み出した問題データを送信する。
【0045】
ステップS205:ステップS204により問題データを送信したことに応じて、ユーザ端末装置100は、ユーザUが入力した解答の内容が反映された解答データをステップS107により送信する。学習支援装置200において解答分析部222は、ユーザ端末装置100から送信された解答データを取得する。
【0046】
ステップS206:解答分析部222は、ステップS205にて取得された解答データが、最後の問題に対する解答に対応するものであるか否かについて判定する。
【0047】
ステップS207:最後の問題に対応する解答ではないことが判定された場合、解答分析部222は、次の問題を出題するための処理に遷移することになる。そこで、解答分析部222は、ステップS205により取得された解答データを利用して、解答についての分析を行う。ここで、解答データとして取得された解答は、例えばテキストデータによる文章の形式である。つまり、本実施形態における解答は自然言語によるものである。そこで、解答分析部222は、自然言語処理を用いて解答を分析する。
一例として、解答分析部222は、解答の解析として、解答データとしてテキストにより示される文字列について、形態素解析により単語に分割し、単語ごとに分散表現を行ってよい。また、解答分析部222は、解答の分析として、解答データが示す文字列について構文解析、意味解析等、文脈解析を行ってよい。
解答分析部222は、上記のようにして得られた単語ごとの分散表現、各種解析の結果から、解答の内容、文字数、使用する語彙等の適切さ(例えば、わかりやすさ)等の事項を導出してよい。また、解答分析部222は、例えば問題を送信(出題)してから解答が取得されるまでに要した時間(解答時間)等により、ユーザUにとっての問題の難易度であるとかユーザUの特性(例えば、考え込みがちな性格である、とか逆にあまり考えずに解答を決めてしまう傾向にあるといったこと)等の事項を導出してもよい。解答分析部222は、上記のように導出された事項に基づいて解答を分類する。解答を分類としては、具体的に、解答分析部222は、図4の説明にあたって述べたように、例えば評価分類1~評価分類N(Nは2以上の自然数)といったように、問題に対応して予め設定された評価分類のうちのいずれかに分類してよい。
【0048】
ここで、解答分析部222は、ステップS207の解答の分析において、解答についての採点を行っておくようにされてもよい。解答分析部222は、例えば問題に対応して予め採点基準を設定しておき、解析により得られた単語、意味等が採点基準を満たしているか否かに基づいて採点を行うようにされてよい。また、解答分析部222は、解答を分類した結果に基づいて、解答についての採点を行ってもよい。
【0049】
ステップS208:決定部223は、ステップS207による解答の分析によって得られた分類結果に基づき、ユーザUに提示するフィードバックと、次に出題する次問題を決定する。
具体的に、ステップS207により、図4の一次問題に対する解答を分析して、評価分類1との分類結果が得られた場合、決定部223は、ユーザUに提示するフィードバック及び次問題が、図4におけるフィードバックAと、二次問題1であると決定する。
【0050】
本実施形態において、例えばステップS207における解答の分析と、ステップS208による次問題の決定には、学習モデルを用いることができる。
ステップS207及びS208の処理のための学習モデルには、例えば、Support Vector Machine、あるいは、アテンションを導入したLSTM(Long Short-Term Memory)、あるいはBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)をはじめとするTransformerベースのもの等が採用されてよい。このような学習モデルの学習器は、解答の内容に応じた分類結果を出力させるため、多様な内容の解答を学習データとして入力して学習を行うようにされる。
なお、ステップS207及びS208の処理のための学習モデルは、上記のようなアテンションを導入したLSTMに限定されるものではなく、他のアルゴリズムが採用されてよい。
【0051】
ステップS208により決定されるフィードバック及び次問題は、ステップS205にて取得された解答に対する正誤をユーザUに通知するような性質のものではなく、例えば以下のような内容を有するものとなる。つまり、フィードバック及び次問題は、例えばステップS205にて取得された解答の内容に応じて、解答を行ったユーザUに気付きを与え、ユーザUがより良い解答を導き出せるように誘導するようにされた内容を有する。また、次問題の難易度も、問題や解答の内容に応じたものとすることができる。
一例として、或る1つの問題に対する解答について、以下のように、評価分類1~3の3つの評価分類が設定されている場合を例に挙げる。評価分類1は正解要素が含まれていないとの評価、評価分類2は正解要素が含まれているとの評価、評価分類3は正解要素が含まれているか否かの判別確度が一定以下であるとの評価である。
このような場合、評価分類1に対応するフィードバックは、ユーザUに対して誤っていると指摘するのではなく、ユーザUに寄り添うような表現でありながら、正解の方向にヒントを与えるような解説をユーザUに対して行う内容とすることができる。また、評価分類1に対応する次問題としては、ユーザUにとって理解が不足している点を補足できる内容とすることができる。また、評価分類2に対応しては、さらに応用的な考えをユーザUに促すような解説を行う内容のフィードバックや、ユーザUに応用的な考えを発想させるように誘導する内容の次問題とすることができる。また、評価分類3に対応しては、解答が評価分類1、2のいずれに寄っていたものであったとしても、ユーザUに寄り添った表現での受け答えにより納得感を与えるようなフィードバック、正解の方向にヒントを与えられるような次問題とすることができる。
また、他の例として、或る1つの問題に対する解答について、以下のように、評価分類1~4の4つの評価分類が設定されている場合を例に挙げる。評価分類1は解答に求められる2つの事項A、Bのうち、事項A、Bを両方とも含むとの評価、評価分類2は事項A、Bのうち事項Aのみを含むとの評価、評価分類3は事項A、Bのうち事項Bのみを含むとの評価、評価分類4は事項A、Bのいずれも含まないとの評価である。この場合、評価分類1に対応しては、さらに、その次に進めた考え方を促す内容のフィードバック、次問題とすることができる。また、評価分類2に対応しては、事項Bに気付いてもらうように誘導する内容のフィードバック、次問題とすることができる。評価分類3に対応しては、事項Aに気付いてもらうように誘導する内容のフィードバック、次問題とすることができる。評価分類4に対応しては、事項A、Bに気付いてもらうように誘導する内容のフィードバック、次問題とすることができる。
【0052】
また、図4の問題群データの構成によれば、次問題の内容は、その前の第n問の解答の内容に依存している。そして、第n問は、1つ前の第(n-1)問の解答の内容に依存している。このことからすると、次問題の内容は、第1問から第n問までの解答の内容にも依存しているということがいえる。そして、第1問から第n問の内容の組み合わせは、各問題に対するユーザUの解答に応じて異なってくるといえる。つまり、本実施形態においては、ユーザUごとの解答の内容に応じて、ユーザUごとに個別に、ユーザUにとって適切とされる問題を順次出題していくことができる。
【0053】
なお、例えば問題によっては、ステップS207による解答分析を行うことなくステップS208にてフィードバックや次問題を決定する場合があってもよい。この場合、ステップS208にてフィードバックや次問題を決定する処理としては、問題に対応して予め一義に設定された単一のフィードバックや次問題を特定するようにされればよい。
このように解答分析を行わない問題の一例としては、選択問題を挙げることができる。即ち、本実施形態のケースメソッド学習では、例えば順次出題される問題の流れにおいて、自然言語による解答を求める内容の問題だけでなく、適宜、選択問題を出題するようにされてよい。
この場合には、ユーザUからの解答は、自然言語によるのではなく、選択問題におけるいずれかの選択肢となる。この場合には、選択問題の選択肢ごとにフィードバックや次問題が予め対応付けられている。選択問題に対する解答が得られた場合、ステップS207の処理はスキップされ、決定部223は、ステップS208にて、ユーザUにより解答として選択された選択肢に対応付けられていたフィードバック、次問題が、ユーザUに提示するフィードバック、次問題として決定される。
【0054】
また、フィードバックを決定するにあたり、決定部223は、解析対象とされた解答に対応するのと同じ問題に対する他のユーザUの解答のうちから選択した解答を、フィードバックに含めるようにしてよい。この際、決定部223は、解答の解析結果に基づき、他のユーザUの解答のうちでユーザUにとって有用性があると判定した解答を選択するようにしてよい。有用性の有無の判定基準には、例えば、ユーザUの解答と近似する内容を有することが含まれてもよいし、逆に、ユーザUの解答と乖離した内容を有することが含まれてもよい。また、有用性の有無の判定基準には、ユーザUの解答に対する評価よりも高い評価が得られていることが含まれてもよい。
【0055】
ステップS210:出題部221は、変数nについてインクリメントしたうえで、ステップS204に処理を戻すことで、次の第n問をユーザ端末装置100に送信する。
このようにして、本実施形態においては、1の事例に応じて第1問から順次問題が出題される。ここで、出題される問題の内容は、その前に出題された問題のそれぞれに対してユーザUが行った解答の内容について分析した結果に応じて定まることになる。あるいは、前に出題される問題によっては、当該問題に予め一義に設定された次問題が出題される。そして、問題の内容としては、例えば前述のように、ユーザUがより良い解答を導き出させるように誘導するようなものとなる。そして、問題は、文章として記述された内容を有する。
これにより、ユーザUは、講師がユーザUに問いかけてくるような感覚を持って問題と向かい合うことができる。また、次問題に他のユーザUの解答が付加されている場合には、他のユーザUの考えなども吸収することができる。そして、問題が順次出題される都度、ユーザUが解答をしていくことで、ユーザUは、現実に講師や他の受講者がいる環境に近い状態でケースメソッド学習を進めていくことができる。
【0056】
ステップS211:そして、学習支援装置200は、上記のように問題を順次出題していくうちに、或る段階で最後の問題を出題する。最後の問題に対する解答データがステップS205にて取得されたことに応じて、解答分析部222は、ステップS206にて最後の問題に対する解答が得られたことを判定する。この場合、解答分析部222は、最後の問題に対する分析を行う。当該ステップS211による分析は、例えばステップS207の処理と同様でよい。この場合には、最後の解答を対象としているので、解答の分析は行うが、ステップS207の次のステップS208のように、解答分析結果に応じた次問題の決定は行わなくともよい。
【0057】
ステップS212:ステップS211による最後の解答に対する分析の後、解答分析部222は、第1問から最後の問題までに対するそれぞれの解答の分析結果に基づいて、ユーザUのこれまでの解答を総括した評価(総合評価)を行う。この場合、解答分析部222は、前述のように文章の形式による総合評価結果を出力(生成)するようにされてよい。また、解答分析部222は、ステップS212の総合評価にあたり学習モデルを用いてよい。この場合の学習モデルも例えばアテンションを導入したLSTMが採用されてよい。
あるいは、より簡易な構成として、例えば、解答分析部222は、問題群データにおいて最後の問題に対する解答の評価分類ごとに、総合評価を対応付けておき、最後の問題に対する解答の評価分類結果に対応する総合評価を問題群データから取得するようにしてもよい。
ステップS213:出題部221は、ステップS212により得られた総合評価結果をユーザ端末装置100に送信する。
【0058】
なお、本実施形態において、ユーザ端末装置100にて提示、出題されるフィードバック、問題は、例えば動画あるいは音声によって出題されてよい。同様に、解答についても、ユーザUが、ユーザ端末装置100を用いて、解答している自分を録画、あるいは解答の音声を録音することで、解答の入力を行うようにされてよい。この場合、ユーザ端末装置100は、録画あるいは録音によって得られた動画像(音声を含む)あるいは音声のデータを、解答データとして送信する。学習支援装置200の解答分析部222は、音声から自然言語によるテキストを抽出し、解答の分析を行うようにされる。また、解答が動画像である場合、解答分析部222は、動画におけるユーザUの表情や身振り手振り等に基づいてユーザUの感情を分析してもよい。さらに解答分析部222は、音声のデータに基づいて、ユーザが解答を話している声の調子等に基づいてユーザUの感情を分析してもよい。解答分析部222は、分析されたユーザUの感情も解答を分類するための入力データに含めてよい。
【0059】
なお、本実施形態における出題と解答とのやりとりは、例えばチャット形式によって実現されてもよい。
【0060】
なお、本実施形態の学習支援装置200としての機能は、例えばネットワーク上で複数の装置に分散されたうえで、各装置が相互に連携することでユーザUにケースメソッド講座を提供できるようにされてもよい。
【0061】
なお、上述のユーザ端末装置100や学習支援装置200等の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述のユーザ端末装置100や学習支援装置200等の処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
100 ユーザ端末装置、200 学習支援装置、201 通信部、202 制御部、203 記憶部、221 出題部、222 解答分析部、223 決定部、231 ユーザ情報記憶部、232 問題情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5