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特許7042311スマートロック、スマート監視システムおよびスマート監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】スマートロック、スマート監視システムおよびスマート監視方法
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20220317BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20220317BHJP
   E05B 67/00 20060101ALN20220317BHJP
【FI】
E05B49/00 K
E05B49/00 L
G08B25/04 E
E05B67/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020150667
(22)【出願日】2020-09-08
(65)【公開番号】P2021042660
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2020-09-08
(31)【優先権主張番号】201910865256.1
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503414751
【氏名又は名称】同方威視技術股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】502192546
【氏名又は名称】清華大学
【氏名又は名称原語表記】Tsinghua University
【住所又は居所原語表記】Tsinghua University,Haidian District,Beijing 100084,P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】張 麗
(72)【発明者】
【氏名】彭 剛
(72)【発明者】
【氏名】黄 清萍
(72)【発明者】
【氏名】李 亮
(72)【発明者】
【氏名】楊 帆
(72)【発明者】
【氏名】陳 佳寶
(72)【発明者】
【氏名】程 坤
(72)【発明者】
【氏名】何 志鋒
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108389285(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108234625(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108898709(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109727356(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 - 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック本体および開錠構造と、
UWB測位方法に基づいて前記スマートロックの位置を確定するように配置されたUWB測位モジュールと、
ブルートゥース通信に基づいて施錠コマンドまたは開錠コマンドを受信するように配置されたブルートゥース通信モジュールと、
各々が前記スマートロックのブルートゥースアドレスに関連付けられる1つまたは複数のバインディングタブと、を含み、
前記開錠構造は、前記施錠コマンドまたは開錠コマンドに基づいて前記スマートロックを施錠あるいは開錠し、または、前記1つまたは複数のバインディングタブに対して行われた操作に基づいて、前記スマートロックを施錠あるいは開錠するように配置されるスマートロック。
【請求項2】
前記1つまたは複数のバインディングタブは、バーコードまたは2次元コードである識別コードと、無線周波数識別RFIDタグとの少なくとも一つを含む、請求項1に記載のスマートロック。
【請求項3】
前記1つまたは複数のバインディングタブに対して行われた操作に基づいて、前記スマートロックを施錠または開錠することは、
前記識別コードに対してスキャンする操作に基づいて前記スマートロックを施錠または開錠すること、および、前記RFIDに対して読み取る操作に基づいて、前記スマートロックを施錠または開錠することの少なくとも一つを含む、請求項2に記載のスマートロック。
【請求項4】
請求項1~の何れかに記載のスマートロックが適用された物体を監視するためのスマート監視システムであって、
前記スマートロックのUWB測位モジュールに基づいて前記スマートロックの所在領域を確定するように配置された測位サブシステムと、
前記スマートロックの所在領域の性質に基づいて前記測位サブシステムのサンプリングモードを調整するように配置された調整サブシステムと、
前記スマートロックの所在領域に基づいて前記スマートロックのブルートゥース通信モジュールをオンまたはオフして、前記スマートロックが設定領域に入ると確定した場合に警報情報を生成するように配置された警報サブシステムと、を含む、スマート監視システム。
【請求項5】
前記測位サブシステムは、
前記スマートロックが適用された物体が通過するゲート通路内に配置され、それぞれが前記UWB測位モジュールと通信する複数のUWB距離測定基地局と、
前記複数のUWB距離測定基地局と前記UWB測位モジュールとの間の距離測定に基づいて距離データを取得し、前記距離データに基づいて前記スマートロックの所在領域を算出するように配置された処理モジュールとを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記測位サブシステムは、2つのUWB距離測定基地局を含み、
前記処理モジュールは、前記2つのUWB距離測定基地局のそれぞれと前記UWB測位モジュールとの間の距離測定に基づいて第1距離データおよび第2の距離データをそれぞれ取得し、前記第1距離データおよび前記第2の距離データと、前記ゲート通路の長さおよび内径幅とに基づいて、第1距離条件パラメータおよび第2の距離条件パラメータをそれぞれに算出し、前記第1距離条件パラメータおよび前記第2の距離条件パラメータに基づいて前記スマートロックの所在領域を確定するように配置された、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記調整サブシステムは、前記スマートロックの所在領域の性質に基づいて前記測位サブシステムのサンプリングモードを調整することは、
前記調整サブシステムは、
前記スマートロックが適用された物体が第1のタイプの領域を通過すると確定したときに、前記測位サブシステムのサンプリング頻度を下げ、
前記スマートロックが適用された物体が第2のタイプの領域を通過すると確定したときに、前記測位サブシステムのサンプリング頻度を上げるように配置されることを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
請求項1~の何れかに記載のスマートロックが適用された物体を監視するためのスマート監視方法であって、
測位サブシステムを通過するスマートロックの所在領域を算出することと、
前記スマートロックの所在領域の性質に基づいて前記測位サブシステムのサンプリングモードを調整することと、
前記スマートロックの所在領域に基づいて前記スマートロックのブルートゥース通信モジュールをオンまたはオフすることと、
前記スマートロックが設定領域に入ると確定した場合に警報情報を生成することとを含む、スマート監視方法。
【請求項9】
前記測位サブシステムは、複数のUWB距離測定基地局を含み、
前記測位サブシステムを通過するスマートロックの所在領域を算出することは、
前記複数のUWB距離測定基地局と前記スマートロックのUWB測位モジュールとの間の距離測定に基づいて距離データを取得することと、
前記距離データに基づいて前記スマートロックの所在領域を算出することとを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記測位サブシステムは、2つのUWB距離測定基地局を含み、
前記測位サブシステムを通過するスマートロックの所在領域を算出することは、
前記2つのUWB距離測定基地局のそれぞれと前記スマートロックのUWB測位モジュールとの間の距離測定に基づいて第1距離データおよび第2の距離データをそれぞれ取得することと、
前記第1距離データおよび前記第2の距離データと、前記スマートロックが適用された物体が通過するゲート通路の長さおよび内径幅とに基づいて、第1距離条件パラメータおよび第2の距離条件パラメータをそれぞれに算出することと、
前記第1距離条件パラメータおよび前記第2の距離条件パラメータに基づいて前記スマートロックの所在領域を確定することとを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記前記スマートロックの所在領域の性質に基づいて前記測位サブシステムのサンプリングモードを調整することは、
前記スマートロックが適用された物体が第1のタイプの領域を通過すると確定したときに、前記測位サブシステムのサンプリング頻度を下げることと、
前記スマートロックが適用された物体が第2のタイプの領域を通過すると確定したときに、前記測位サブシステムのサンプリング頻度を上げることとを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
コマンドを記憶するメモリと、
少なくとも一つのプロセッサと、
を備え、
請求項に記載の方法を実現するように、前記少なくとも一つのプロセッサが、メモリに記憶されるコマンドを実行する、電子機器。
【請求項13】
プロセッサにより実行されるときに請求項に記載の方法を実現するコンピュータコマンドが記憶されているコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スマート監視分野に関し、特にスマートロック、当該スマートロックが適用された物体を監視するためのスマート監視システムおよびスマート監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
税関による荷物の監視では、荷物を室内環境で測位して追跡し、荷物が入ることができない領域を明確にし、領域に入るときに早期警告または警報を行なうとともに、設定権限に従って開錠を行い、開錠が物理的なキーに依存しないように要求される。
【0003】
現在、市場でのスマートロックの測位には、基本的にGPS測位システムが使用されている。GPS信号は建物の影響を受けやすく、物体を測位することができない。一方、GPSの測位精度は、十分な測位精度を提供することができない。標準測位サービス(SPS)の精度は、100mであり、GPS精密測位サービス(PPS)精度は、10mである。明らかに、10m~100mの測位精度は、室内測位の精度要求を満たすことができない。
【0004】
また、現在、市場でのスマートロック開錠は何れも、ブルートゥース(登録商標)技術を用いており、主に操作するターゲットロックを選択することにより開錠し、かつ、市場でのブルートゥース技術によるスマートロックは何れも、最初にブルートゥースをオンしてブルートゥースをアクティブする必要がある。上記製品に存在する問題は、開錠するために、ブルートゥースをアクティブしてブルートゥースを接続しなければならないことである。操作が比較的に煩雑であり、複数のスマートロックを同時に操作する必要がある場合、操作すべきターゲットロックを一つずつ選択する必要があり、使い勝手が非常に悪い。
【発明の概要】
【0005】
上記課題のうちの少なくとも一部を解決するために、本開示の第1態様によれば、ロック本体および開錠構造と、ブルートゥース通信に基づいて施錠または開錠コマンドを受信するように配置されたブルートゥース通信モジュールと、各々が前記スマートロックのブルートゥースアドレスに関連付けられる1つまたは複数のバインディングタブ(ボンディングタブ)とを含み、前記開錠構造は、前記施錠あるいは開錠コマンドに基づいて前記スマートロックを施錠または開錠し、または、前記1つあるいは複数のバインディングタブに対して行われた操作に基づいて、前記スマートロックを施錠または開錠するスマートロックを提供する。
【0006】
いくつかの実施例では、前記1つまたは複数のバインディングタブは、バーコードまたは2次元コードである識別コードと無線周波数識別RFIDとの少なくとも一つを含む。
【0007】
いくつかの実施例では、前記1つまたは複数のバインディングタブに対して行われた操作に基づいて、前記スマートロックを施錠または開錠することは、前記バーコードまたは2次元コードをスキャンする操作に基づいて前記スマートロックを施錠または開錠し、および前記RFIDタブを読み取ることにより、前記スマートロックを施錠または開錠することを含む。
【0008】
いくつかの実施例では、UWB(Ultra Wideband)測位方法に基づいて前記スマートロックの位置を確定するように配置されたUWB測位モジュールをさらに含む。
【0009】
本開示の第2の形態によれば、前記のようなスマートロックが適用された物体を監視するためのスマート監視システムが提供され、前記システムは、前記スマートロックのUWB測位モジュールに基づいて前記スマートロックの所在領域を確定するように配置された測位サブシステムと、前記スマートロックの所在領域の性質に基づいて前記測位サブシステムのサンプリングモードを調整するように配置された調整サブシステムと、前記スマートロックの所在領域に基づいて前記スマートロックのブルートゥース通信モジュールをオンまたはオフして前記スマートロックが設定領域に入ると確定した場合に警報情報を生成するように配置された警報サブシステムとを含む。
【0010】
いくつかの実施例では、前記測位サブシステムは、前記スマートロックが適用された物体が通過するゲート通路内に配置され、それぞれが前記UWB測位モジュールと通信する複数のUWB距離測定基地局と、前記複数のUWB距離測定基地局と前記UWB測位モジュールとの間の距離測定に基づいて距離データを取得し、前記距離データに基づいて前記スマートロックの所在領域を算出するように配置された処理モジュールとを含む。
【0011】
いくつかの実施例では、前記測位サブシステムは、2つのUWB距離測定基地局を含み、前記処理モジュールは、前記2つのUWB距離測定基地局のそれぞれと前記UWB測位モジュールとの間の距離測定に基づいて第1距離データおよび第2の距離データをそれぞれ取得し、前記第1距離データおよび前記第2の距離データと、前記ゲート通路の長さおよび内径幅とに基づいて、第1距離条件パラメータおよび第2の距離条件パラメータをそれぞれに算出し、前記第1距離条件パラメータおよび前記第2の距離条件パラメータに基づいて前記スマートロックの所在領域を確定するように配置された。
【0012】
いくつかの実施例では、前記調整サブシステムは前記スマートロックの所在領域の性質に基づいて前記測位サブシステムのサンプリングモードを調整することは、前記スマートロックが適用された物体が第1のタイプの領域を通過すると確定したときに、前記測位サブシステムのサンプリング頻度を下げることと、前記スマートロックが適用された物体が第2のタイプの領域を通過すると確定したときに、前記測位サブシステムのサンプリング頻度を上げることとを含む。
【0013】
本開示の第3の形態によれば、前記のようなスマートロックが適用された物体を監視するためのスマート監視方法が提供され、前記方法は、測位サブシステムを通過するスマートロックの所在領域を算出することと、前記スマートロックの所在領域の性質に基づいて前記測位サブシステムのサンプリングモードを調整することと、前記スマートロックの所在領域に基づいて前記スマートロックのブルートゥース通信モジュールをオンまたはオフすることと、前記スマートロックが設定領域に入ると確定した場合に警報情報を生成することとを含む。
【0014】
いくつかの実施例では、前記測位サブシステムは、複数のUWB距離測定基地局を含み、測位サブシステムを通過するスマートロックの所在領域を算出することは、前記複数のUWB距離測定基地局と前記スマートロックのUWB測位モジュールとの間の距離測定に基づいて距離データを取得することと、前記距離データに基づいて前記スマートロックの所在領域を算出することとを含む。
【0015】
いくつかの実施例では、前記測位サブシステムは、2つのUWB距離測定基地局を含み、測位サブシステムを通過するスマートロックの所在領域を算出することは、前記2つのUWB距離測定基地局のそれぞれと前記スマートロックのUWB測位モジュールとの間の距離測定に基づいて第1距離データおよび第2の距離データをそれぞれ取得することと、前記第1距離データおよび前記第2の距離データと、前記スマートロックが適用された物体が通過するゲート通路の長さおよび内径幅とに基づいて、第1距離条件パラメータおよび第2の距離条件パラメータをそれぞれに算出することと、前記第1距離条件パラメータおよび前記第2の距離条件パラメータに基づいて前記スマートロックの所在領域を確定することとを含む。
【0016】
いくつかの実施例では、調整サブシステムが前記スマートロックの所在領域の性質に基づいて前記測位サブシステムのサンプリングモードを調整することは、前記スマートロックが適用された物体が第1のタイプの領域を通過すると確定したときに、前記測位サブシステムのサンプリング頻度を下げることと、前記スマートロックが適用された物体が第2のタイプの領域を通過すると確定したときに、前記測位サブシステムのサンプリング頻度を上げることとを含む。
本開示の他の態様によれば、コマンドを記憶するメモリと、少なくとも一つのプロセッサと、を備え、上記方法を実現するように、前記少なくとも一つのプロセッサが、メモリに記憶されるコマンドを実行する、電子機器が提供されている。
本開示の他の態様によれば、プロセッサにより実行されるときに上記方法を実現するコンピュータコマンドが記憶されているコンピュータが読み取り可能な記憶媒体が提供されている。
【0017】
本開示の実施例のスマートロックによれば、ブルートゥースモジュールを頻繁に操作することなく、スマートロックの開錠操作を実現することができるため、スマートロックの使用が簡素化される。当該スマートロックが適用された物体を監視するためのシステムでは、UWB距離測定技術に基づいてスマートロックの所在の異なる領域を確定し、異なる領域に基づいて測位距離測定操作のサンプリング頻度を調整することにより、システムのコストおよび消費電力を効果的に低減する。
【0018】
以下、図面の詳細な説明を参照しながら、本開示の上記特徴および他の特徴は、より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の実施例に係るスマートロックの構造概略図
図2】本開示の実施例に係るスマート監視システムのブロック図
図3】本開示の実施例に係るスマート監視システムおよびスマート監視方法の領域分割の例
図4】本開示の実施例に係るスマート監視方法のフローチャート
図5】本開示の実施例に係る電子機器のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面において、同じまたは類似の構造には同じまたは類似の参照符号を付している。
【0021】
本開示の目的、技術手段及び利点をより明確にするために、以下に添付図面を参照して本開示をさらに詳細に説明する。以下の説明は、単に例示に過ぎず、本発明を限定するためのものではないことに注意すべきである。以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、これらの特定の詳細を採用して本発明を実施する必要がないことは、当業者には明らかである。他の例では、本発明を混淆するのを回避するために、周知の回路、材料または方法は具体的に説明されない。
【0022】
明細書全体では、「一実施例」、「実施例」、「一例示」または「例示」が言及されることは、当該実施例または例示に関連して説明される特定の特徴、構造または特性が本開示の少なくとも一つの実施例に含まれることを意味する。したがって、明細書全体の各箇所に出現する「一実施例において」、「実施例において」、「一例示」または「例示」という用語は、必ずしも同一の実施例または例示を指すとは限らない。また、任意の適切な組み合わせおよび/または部分的な組み合わせで特定の特徴、構造または特性を1つまたは複数の実施例または例示に組み合わせてもよい。また、当業者は、ここに提供される図面が説明の目的のためであり、図面が必ずしも縮尺通りに描かれているとは限らないことを理解すべきである。ここで使用される「および/または」という用語は、関連的に列挙された項目の1つまたは複数の任意および全ての組み合わせを含む。
【0023】
図1は、本開示の実施例に係るスマートロックの構造概略図を示す。図1に示すように、図1の上の部分には、スマートロックの底面図が示され、図1の下の部分には、スマートロックのロック本体の側面図(左側)および正面図(右側)が示されている。
【0024】
本開示の実施例に係るスマートロックは、主にロック本体と開錠構造とから構成される。主に、ロック本体11、交換可能なロックビーム12、ロック孔13、ブザー14、充電器ならびにキーロック孔15、指紋モジュール16およびLED指示ランプ17を含む。ロック本体11の内部には、開錠構造、電子御御モジュール、ブルートゥース通信モジュール、UWB測位モジュールおよび電源管理モジュールを含む複数の制御および通信モジュールがさらに集積されている。
【0025】
さらに、本開示の実施例に係るスマートロックは、図1の下面部分の正面図に示すように、好ましくはロック本体の任意の好適な位置に設けられた1つまたは複数のバインディングタブ18をさらに含む。各バインディングタブは、スマートロックのブルートゥースアドレスに関連付けられてもよく、具体的には、各バインディングタブは、スマートロックおよびスマートロックのブルートゥースアドレスと1対1にバインディングされる。
【0026】
任意の既存のモノのネットワーク技術を用いて1つまたは複数のバインディングタブを実現してもよい。いくつかの実施例では、1つまたは複数のバインディングタブは、バーコードあるいは2次元コードであってもよく、または、無線周波数識別RFIDタグであってもよい。当該バーコードまたは2次元コードまたは無線周波数識別RFIDタグは、スマートロックのブルートゥースアドレスと1対1にバインディングされる。
【0027】
いくつかの実施例では、1つまたは複数のバインディングタブに対して行われた操作に基づいてスマートロックを施錠または開錠してもよい。具体的には、バーコードあるいは2次元コードをスキャンするか、または、無線周波数識別RFIDタグを読み取ることもでき、当該バーコードまたは2次元コードまたは無線周波数識別RFIDタグは、スマートロックと対応してバインディングされる関係であるため、バーコードまたは2次元コードまたは無線周波数識別RFIDタグを操作することによって、対応するスマートロックを一意に選択することができ、コードをスキャンすることによる開錠、またはRFIDタグを読み取ることによる開錠を実現することができる。
【0028】
多くの場合、使用者は、どのスマートロックを用いるかに鈍感であることが多く、最もよく覚えているのは、ロックした物品であることが多い。このため、スマートロックを探すことによって開錠することは、使用者の慣性的思考と一致しない。本開示の実施例では、スマートロックに設けられたバインディングタブ(例えば、バーコードまたは2次元コードまたは無線周波数識別RFIDタグ)を用いて開錠を実行することにより、ブルートゥースモジュールを頻繁に操作してスマートロックの開錠を実現することを回避することができ、スマートロックの使用が簡素化される。
【0029】
本開示の実施例に係るスマートロックのブルートゥース通信モジュールは、ブルートゥース通信に基づいて施錠コマンドまたは開錠コマンドを受信するように配置されてもよい。したがって、いくつかの実施例では、スマートロックのブルートゥース通信モジュールをオンしてブルートゥースのアクティブを行い、ブルートゥース通信技術に基づいて施錠または開錠コマンドを受信し、受信した施錠または開錠コマンドに基づいてスマートロックを施錠または開錠してもよい。
【0030】
本開示の実施例に係るスマートロックのUWB測位モジュールは、UWB測位方法に基づいてスマートロックの位置を確定するように配置された。
【0031】
UWB(Ultra Wideband)は超広帯域とも呼ばれ、正弦波のキャリアを用いずにナノ秒オーダーの非正弦波の狭パルスを用いてデータを伝送する無線キャリア通信技術であるため、その占めるスペクトル範囲は広い。UWB技術は、システムの複雑度が低く、送信信号の電力スペクトル密度が低く、通路のフェージングに影響されにくく、傍受されにくく、測位精度が高い、などの利点を有する。
【0032】
UWB測位を利用するとき、移動物体(本実施例では、UWB測位モジュールが設けられたスマートロック)のUWB測位モジュールは、UWB測位基地局が形成する座標系により、UWB測位モジュールが各UWB測位基地局と通信を行うことができ、UWB測位モジュールとUWB測位基地局との間の距離測定により移動物体の位置情報を取得する。以下、スマートロックが適用された物体を監視するためのスマート監視システムおよびその監視方法の実施例を参照してUWB測位の原理を詳細に説明する。
【0033】
本開示の実施例に係るスマートロックは、リチウム電池を利用して給電を行い、リチウム電池は、電源管理モジュールにより電子御御モジュール、ブルートゥース通信モジュールおよびUWB測位モジュールに給電する。電子御御モジュールは、開錠構造を作動させて開錠するようにモータの動作を制御することを担当する。
【0034】
いくつかの実施例では、バックグラウンドシステムによりスマートロックに対応する関連ブルートゥースアドレスを設けて、バインディングワークステーションにより1つまたは複数のバインディングタブとスマートロックのブルートゥースアドレスとのバインディングを実現してもよい。物品の外観に対して写真を撮る形態により、ロックと施錠物体との間のバインディングを実現してもよく、このように、施錠物品に従って開錠を行うことができ、開錠流れが簡素化され得る。バインディングワークステーションは、パーソナルコンピュータPCまたは移動端末であってもよく、本開示の実施例はこれに限定されない。
【0035】
図2は、本開示の実施例に係るスマート監視システムのブロック図を示し、当該スマート監視システムは、主に、スマートロックが適用された物体を監視するために用いられ、図に示すように、当該スマート監視システムは、測位サブシステム21、調整サブシステム22および警報サブシステム23を含み、3つのサブシステムは互いに接続されている。
【0036】
いくつかの実施例では、測位サブシステム21は、スマートロックのUWB測位モジュールに基づいてスマートロックの所在領域を確定するように配置された。調整サブシステム22は、スマートロックの所在領域の性質に基づいて測位サブシステム21のサンプリングモードを調整するように配置された。警報サブシステム23は、スマートロックの所在領域に基づいてスマートロックのブルートゥース通信モジュールをオンまたはオフするように配置された。
【0037】
いくつかの実施例では、測位サブシステム21は、複数のUWB距離測定基地局と処理モジュールとを含む。複数のUWB距離測定基地局は、スマートロックが適用された物体が通過するゲート通路に配置され、複数のUWB距離測定基地局は、それぞれがスマートロックのUWB測位モジュールと通信し得る。
【0038】
UWB距離測定基地局は、UWBタグの測位を担当する。複数のUWB距離測定基地局は、距離測定範囲内に座標系を形成するために用いられる。スマートロックが適用された物体が複数のUWB距離測定基地局の検出範囲に入ると、スマートロックのUWB測位モジュールは、上記座標系に位置する。
【0039】
UWB測位モジュールが各UWB距離測定基地局に接続されているため、処理モジュールは、複数のUWB距離測定基地局とUWB測位モジュールとの間の距離測定に基づいて距離データを取得し、距離データに基づいて上記座標系におけるスマートロックの座標を確定してもよい。
【0040】
例えば、ゲート通路内に2セットのUWB距離測定基地局を実装するとき、実際の需要に応じて対称的なレイアウトでも他のレイアウトでもよい。タグがゲート通路内を移動し、タグと距離測定ゲートの両側の距離測定基地局との間に生成された距離値AおよびBを距離測定によって生成する。バックグラウンドサービスは、リアルタイムでAおよびBとゲート通路長さおよび内径幅などのパラメータに基づいて、距離条件パラメータaおよびbをそれぞれに算出する。距離条件パラメータaおよびbが予め設定された条件を満たすとき、タグが通路内を移動しているとし、逆に通路内に存在していないものとする。すなわち、システム設定に応じて対応する警報情報を生成し得る。
【0041】
いくつかの実施例では、通路内の両側の距離測定基地局から通路の反対側の入口までの長さのうちの最大値を最大値としてもよく、所在の通路内において距離測定基地局との垂直距離を最小値としてもよく、例えば、最小値を0メートルに設定してもよい。両側の基地局は、オーバーラップした、2つの扇形の被覆面積をそれぞれに形成する。当該面積は、測位警報識別領域である。
【0042】
いくつかの実施例では、スマートロックが適用された物体が通過する監視空間は、分割され得る。領域の分割は、異なる標準に依拠してもよい。いくつかの実施例では、領域の重要度に応じて分割してもよい。例えば、ゲートの所在領域は、領域全体に比べて、UWB測位モジュールが存在し続ける時間が相対的に短いため、当該領域を重要度の高い領域とする。ゲートに入る前又はゲートから離れる領域を重要度のやや低い領域としてもよい。監視空間を複数の領域に分割した後、処理モジュールは、算出されたスマートロックの位置をさらに基づいてスマートロックの所在領域を確定してもよい。
【0043】
例えば、スマートロックが適用された物体が、重要度の低い第1のタイプの領域を通過するときに、測位サブシステムのサンプリング頻度を下げ、スマートロックが適用された物体が、重要度の高い第2のタイプの領域を通過するときに、測位サブシステムのサンプリング頻度を上げる。
【0044】
具体的には、UWBの領域分割と頻度設定を設定する。複数レベルに分けて設定してもよく、頻度は、その領域の重要度に関する。UWB測位モジュールが、重要度の低い領域に入るとき、報告頻度を減らしてシステムの消費電力を低減する。UWB測位モジュールが重要度の高い領域に入るとき、報告頻度を上げて応答時間間隔を減らす。ゲートの所在領域は、領域全体に比べて、UWB測位モジュールが存在し続ける時間が相対的に短いため、当該領域の報告頻度を上げてより多くの監視検出データを取得することができ、監視の精度に寄与する。ゲートの所在領域よりも前の領域について、当該領域の報告頻度を下げてもよく、適切な監視精度を取得するとともにシステムの消費電力を低減する。
【0045】
いくつかの実施例では、スマートロックが適用された物体が通過する監視空間は、さらに複数の領域に分割されてもよく、例えば、図3に示すように、2つの以上の領域に分割されてもよい。
【0046】
ゲート通路に入る前端部、通路内、および通路の出口箇所を合計5つの領域に分割し、各領域の実際の配置と実際の需要に応じて分割し、異なる領域内にスマートロックのパラメータをそれぞれ配置してもよい。設定され得るパラメータは、ブルートゥースのオンまたはオフ、UWBの報告頻度、開錠の許可可否などを含むが、それらに限定されない。一般的には、開錠領域内に設置されたもののみが開錠が許可される。
【0047】
例えば、図3に示される実施例では、スマートロックの所在の異なる領域に応じて以下のように設定されてもよい。
【0048】
ロックが設定可能なUWB頻度領域1に入るとき(例えば、ゲート通路から100メートル外に位置するとき)、UWBが10秒毎に1回報告し、ブルートゥースをオフする。
【0049】
ロックが設定可能なUWB頻度領域2に入るとき(例えば、ゲート通路50-100からメートル外に位置するとき)、UWBが5秒毎に1回報告し、ブルートゥースをオフする。
【0050】
ロックが設定可能なUWB頻度領域3に入るとき(例えば、ゲート通路から30-50メートル外に位置するとき)、UWBが3秒毎に1回報告し、ブルートゥースをオフする。
【0051】
ロックが設定可能なUWB頻度領域4に入るとき(例えば、ゲート通路から10-39メートル外に位置するとき)、UWBが1秒毎に1回報告し、ブルートゥースをオフする。
【0052】
ロックが設定可能なUWB頻度領域5に入るとき(例えば、ゲート通路から0-10メートル外に位置するとき)、UWBが1秒毎に3回報告し、ブルートゥースをオフする。
【0053】
開錠領域に入り、ブルートゥースをオンする。
【0054】
いくつかの実施例では、調整サブシステム22は、スマートロックの所在領域の性質に基づいて測位サブシステム21のサンプリングモードを調整する。スマートロックの所在領域の性質は、例えば、上記領域の重要度であってもよい。測位サブシステム21のサンプリングモードは、例えば、検出データを監視する報告頻度であってもよい。
【0055】
また、警報サブシステム23は、さらに、スマートロックの所在領域に基づいてスマートロックのブルートゥース通信モジュールをオンまたはオフしてもよい。UWB測位モジュールが重要度の低い領域に入るとき、スマートロックのブルートゥース通信モジュールをオフしてもよく、このような場合に通常は開錠操作が行わないためである。UWB測位モジュールが重要度の高い領域に入るとき、スマートロックのブルートゥース通信モジュールをオンしてもよく、開錠操作を実行する必要があるときに、ブルートゥース通信モジュールによって開錠コマンドを伝送する。ブルートゥース通信モジュールの状態を個別に設定することにより、システムの消費電力をさらに低減することができる。
【0056】
スマートロックの所在の異なる領域に基づいてサンプリング頻度を切り替えることによって、UWBの報告頻度を具体的なシーンに合わせて、消費電力を効果的に制御することができ、エネルギ効率および利用率をより高め、環境保護に有利である。
【0057】
他の実施例では、領域の重要性を事前設定できることに加えて、開錠領域に、ブルートゥースモジュールのアクティブおよびオフを許可することや、スマートロック内の警報装置などについて設定でき、例えば、ブザーが警報するか否か等を設定してもよい。当業者は、これら実施例の変形を容易に想到することができ、ここでは詳細に説明しない。
【0058】
図4は、本開示の実施例に係るスマート監視方法のフローチャートを示し、当該スマート監視方法は、主に、スマートロックが適用された物体を監視するために用いられ、図に示すように、当該方法は、以下のステップを含む。
【0059】
ステップS410では、測位サブシステムは、測位サブシステムを通過するスマートロックの所在領域を確定する。
【0060】
ステップS420では、調整サブシステムは、スマートロックの所在領域の性質に基づいて測位サブシステムのサンプリングモードを調整する。
【0061】
ステップS430では、警報サブシステムは、スマートロックの所在領域に基づいてスマートロックのブルートゥース通信モジュールをオンまたはオフして、警報情報を生成する。
【0062】
具体的には、測位サブシステムが、測位サブシステムを通過するスマートロックの所在領域を算出することは、複数のUWB距離測定基地局とUWB測位モジュールとの間の距離測定に基づいて距離データを取得することと、距離データに基づいてスマートロックの所在領域を算出することとを含む。
【0063】
スマートロックが適用された物体が、第1のタイプの領域を通過するときに、測位サブシステムのサンプリング頻度を下げ、スマートロックが適用された物体が、第2のタイプの領域を通過するときに、測位サブシステムのサンプリング頻度を上げる。
【0064】
より多くの操作詳細は、前述の実施例を参照してもよく、ここでは詳細に説明しない。
【0065】
本開示の実施例に係るスマートロックおよびそのスマート監視システムとスマート監視方法は、金属通路などに対するUWB測位モジュールの干渉が多いという複雑な場合においても100%警報率および100%警報精度を効果的に向上させることができ、隣接通路で誤警報を発生させることなく通路内の精度の良い警報を実現することができる。すなわち、スマートロックが設定領域に入る限り、設定に応じて失報なしに警報を行い、かつ、設定領域内に複数のゲート通路が存在する場合には、他の通路の誤報が発生することなく、スマートロックが入った、対応する通路のみが警報する。また、警報応答時間は、ミリ秒レベルに短縮され得る。
【0066】
本開示の実施例に係るスマートロック、そのスマート監視システム、およびスマート監視方法は、システムのコストを効果的に下げることができる。ゲート通路に超高周波RFIDリーダを使用するコストは、4万元程度であるのに対し、UWB基地局を用いたテストのコストは、4000元だけであり、コストが90%も下がる。
【0067】
また、使用されるUWBタグは、回収可能および再利用可能なタグであるため、使い捨てタイプでシール式のRFIDタグに比べて環境に優しく、その後の消耗品の料金がかからない。特殊領域でサンプリング頻度を切り換えることで、使用シーンに合わせて消費電力を効率的に制御し、エネルギ効率を効率的に向上させ、環境保護に有利である。本開示の実施例は、低消費電力と高性能を両立し、幅広い適用見込みがある。当業者は、以上に示された方法が単なる例示であることを理解すべきである。本開示の方法は、以上に示されたステップおよび順序に限定されない。当業者は、示された実施例の教示に従って、多くの変更および修正を行うことができる。
【0068】
図5は、本願の実施例に係る上記物質選別方法を適用可能な電子機器のブロック図を示す。図5に示すように、該電子機器50は、1つまたは複数のプロセッサ51と記憶装置52とを含み得る。なかには、記憶装置52は、1つまたは複数のプログラムを記憶するために用いられる。上記1つまたは複数のプログラムが上記1つまたは複数のプロセッサ51により実行されるときに、前記1つまたは複数のプロセッサ51に上記各実施例に記載のスマート監視方法を実行させる。
【0069】
以上、本開示の好ましい実施例を参照して本開示を説明したが、当業者は、本開示の精神と範囲から逸脱しない場合、本開示に多様な修正、置換および変更を行うことができることを理解すべきである。本開示は、上記実施例に限定されるべきではなく、請求項およびその均等物によって限定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5