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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】無線装置システム
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/40 20060101AFI20220317BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20220317BHJP
   B66C 15/00 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
B66C13/40 D
H04Q9/00 301B
B66C15/00 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020176980
(22)【出願日】2020-10-21
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】591267338
【氏名又は名称】株式会社エニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】篠原 幸児
(72)【発明者】
【氏名】野島 篤志
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-078593(JP,A)
【文献】特表2015-518804(JP,A)
【文献】特開2019-034820(JP,A)
【文献】特開2006-107362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/40
H04Q 9/00
B66C 15/00
B66F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ駆動装置を制御するための操作指示情報を送信する無線送信機と、前記無線送信機から前記操作指示情報を受信する無線受信機と、を有する無線装置システムであって、
前記無線受信機は、
前記無線送信機から前記操作指示情報を受信する通信部と、
前記操作指示情報を前記モータ駆動装置に送信する出力部と、
前記操作指示情報の前記出力部への供給を制御する制御部と、
所定の範囲に人が存在することを検知して検知信号を出力する人検知センサと、を有し、
前記制御部は、
前記人検知センサの前記検知信号の有無に応じて、前記操作指示情報を前記出力部へ供給する否かを判断し、
前記無線送信機は、
情報を出力する情報出力部を更に有し、
前記無線受信機の前記制御部は、
前記無線送信機が前記モータ駆動装置を制御するための前記操作指示情報を送信し、かつ、前記人検知センサの前記検知信号が無いことを検知した場合、前記通信部から前記無線送信機に検知信号無し情報を送信し、
前記情報出力部は、
前記検知信号無し情報に応答して、前記無線受信機が前記操作指示情報の前記通信部から前記出力部へ供給を遮断していることを示す情報を出力することを特徴とする無線装置システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記人検知センサの前記検知信号が有ることを検知した場合、前記操作指示情報を前記通信部から前記出力部へ供給し、
前記出力部は、
前記モータ駆動装置に前記操作指示情報を送信して前記モータ駆動装置を動作させ、
前記制御部は、
前記人検知センサの前記検知信号が無いことを検知した場合、前記操作指示情報の前記通信部から前記出力部へ供給を遮断し、
前記出力部は、
前記モータ駆動装置に前記操作指示情報を送信しないで前記モータ駆動装置の動作を停止させることを特徴とする請求項1に記載の無線装置システム。
【請求項3】
前記情報出力部は、スピーカーにより構成され、
前記スピーカーは、
前記所定の範囲に移動して前記無線送信機から前記操作指示情報を再送信すること促す情報を音声により出力することを特徴とする請求項に記載の無線装置システム。
【請求項4】
前記情報出力部は、表示装置により構成され、
前記表示装置は、
前記所定の範囲に移動して前記無線送信機から前記操作指示情報を再送信すること促す情報を表示することを特徴とする請求項に記載の無線装置システム。
【請求項5】
モータ駆動装置を制御するための操作指示情報を送信する無線送信機と、前記無線送信機から前記操作指示情報を受信する無線受信機と、識別信号を無線電波により送信するRFタグと、を有する無線装置システムであって、
前記無線受信機は、
前記無線送信機から前記操作指示情報を受信する通信部と、
前記操作指示情報を前記モータ駆動装置に送信する出力部と、
前記操作指示情報の前記出力部への供給を制御する制御部と、
前記RFタグから送信される前記識別信号を判定して、所定の範囲に前記RFタグが存在することを検知して検知信号を出力するリーダライタと、を有し、
前記制御部は、
前記リーダライタの前記検知信号の有無に応じて、前記操作指示情報を前記出力部へ供給する否かを判断することを特徴とする無線装置システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記リーダライタの前記検知信号が有ることを検知した場合、前記操作指示情報を前記通信部から前記出力部へ供給し、
前記出力部は、
前記モータ駆動装置に前記操作指示情報を送信して前記モータ駆動装置を動作させ、
前記制御部は、
前記リーダライタの前記検知信号が無いことを検知した場合、前記操作指示情報の前記通信部から前記出力部へ供給を遮断し、
前記出力部は、
前記モータ駆動装置に前記操作指示情報を送信しないで前記モータ駆動装置の動作を停止させることを特徴とする請求項に記載の無線装置システム。
【請求項7】
前記無線送信機は、
情報を出力する情報出力部を更に有し、
前記無線受信機の前記制御部は、
前記無線送信機が前記モータ駆動装置を制御するための前記操作指示情報を送信し、かつ、前記リーダライタの前記検知信号が無いことを検知した場合、前記通信部から前記無線送信機に検知信号無し情報を送信し、
前記情報出力部は、
前記検知信号無し情報に応答して、前記無線受信機が前記操作指示情報の前記通信部から前記出力部へ供給を遮断していることを示す情報を出力することを特徴とする請求項に記載の無線装置システム。
【請求項8】
前記情報出力部は、スピーカーにより構成され、
前記スピーカーは、
前記所定の範囲に移動して前記無線送信機から前記操作指示情報を再送信すること促す情報を音声により出力することを特徴とする請求項に記載の無線装置システム。
【請求項9】
前記情報出力部は、表示装置により構成され、
前記表示装置は、
前記所定の範囲に移動して前記無線送信機から前記操作指示情報を再送信すること促す情報を表示することを特徴とする請求項に記載の無線装置システム。
【請求項10】
前記RFタグは、前記無線送信機に内蔵されていることを特徴とする請求項に記載の無線装置システム。
【請求項11】
モータ及びブレーキを有するモータ駆動装置と、前記モータ駆動装置を制御するための操作指示情報を送信する無線送信機と、前記無線送信機から前記操作指示情報を受信する無線受信機と、を有する無線装置システムであって、
前記モータ駆動装置は、
前記無線受信機から前記操作指示情報を受信する入力部と、
前記操作指示情報の前記モータ及び前記ブレーキへの供給を制御する制御部と、
所定の範囲に人が存在することを検知して検知信号を出力する人検知センサを有し、
前記制御部は、
前記人検知センサの前記検知信号の有無に応じて、前記操作指示情報を前記モータ及び前記ブレーキへ供給する否かを判断することを特徴とする無線装置システム。
【請求項12】
モータ及びブレーキを有するモータ駆動装置と、前記モータ駆動装置を制御するための操作指示情報を送信する無線送信機と、前記無線送信機から前記操作指示情報を受信する無線受信機と、識別信号を無線電波により送信するRFタグと、を有する無線装置システムであって、
前記モータ駆動装置は、
前記無線受信機から前記操作指示情報を受信する入力部と、
前記操作指示情報の前記モータ及び前記ブレーキへの供給を制御する制御部と、
前記RFタグから送信される前記識別信号を判定して、所定の範囲に前記RFタグが存在することを検知して検知信号を出力するリーダライタと、を有し、
前記制御部は、
前記リーダライタの前記検知信号の有無に応じて、前記操作指示情報を前記モータ及び前記ブレーキへ供給する否かを判断することを特徴とする無線装置システム。
【請求項13】
前記RFタグは、前記無線送信機に内蔵されていることを特徴とする請求項12に記載の無線装置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動装置を制御する無線装置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
モータ駆動装置を制御する場合に使用される制御機器としてモータ駆動装置とケーブルで接続された有線制御装置(以下、ペンダントと称す)が、一般的に使用されている。
【0003】
ペンダントでは、有限のケーブル長で制限された範囲の場所からしか制御できないため、作業範囲が制限され作業性が悪い。また、作業安全性の確保が困難な場合がある。さらに、ケーブル断線等の故障時のメンテナンス性が悪い等の問題点がある。
【0004】
これらの問題点を改善するための方策として、モータ駆動装置を無線送信機と無線受信機からなるシステムで無線操作により制御するシステムがある。
【0005】
無線操作する場合に使用される無線機器は、市販品が用いられることが多い。市販品の無線機器の場合、無線機器が制御する制御対象の汎用性を持たせるために、無線送信機の操作情報を、対となる無線受信機からリレー回路を用いてリレー接点の動作で出力させ、制御対象の機器へ操作情報を入力している。
【0006】
上記モータ駆動装置を無線操作する場合に使用される無線機器は、特定小電力(利用者が免許や資格・登録なしで使用できる低出力タイプの無線)の無線機器が使用されることが多い。
【0007】
特定小電力で使用される電波の通達距離は、使用される環境にもよるが、数十メートルから数百メートルに及ぶ場合があり、無線受信機から遠距離の位置にある無線送信機からの操作が可能となり、作業範囲が広がる。
【0008】
また、装置から離れた場所での操作が可能となり作業の安全性が確保される。さらに、機器故障時には、無線送信機、無線受信機の交換で対応することができるので、メンテナンス性の改善等が可能となる。これに関連する技術として、例えば、特許文献1、特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平09-086885号公報
【文献】特開2004-128652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、モータ駆動装置を制御するシステムの無線化により、作業性の向上、安全性の確保及び機器のメンテナンス性の向上など、様々な利点がある。
【0011】
一方、無線電波の特性上、無線受信機から数十メートルから数百メートル離れた場所の無線送信機からの操作が可能となる。このため、無線送信機の操作者から無線受信機が見えない場所から誤操作し、無線受信機が無線送信機からの信号を受信し、予期しない動作をしてしまい危険な事態が発生する可能性があるという問題点があった。
【0012】
本発明の目的は、無線装置システムにおいて、無線送信機の誤操作を防止して作業の安全性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様の無線装置システムは、モータ駆動装置を制御するための操作指示情報を送信する無線送信機と、前記無線送信機から前記操作指示情報を受信する無線受信機と、を有する無線装置システムであって、前記無線受信機は、前記無線送信機から前記操作指示情報を受信する通信部と、前記操作指示情報を前記モータ駆動装置に送信する出力部と、前記操作指示情報の前記出力部への供給を制御する制御部と、所定の範囲に人が存在することを検知して検知信号を出力する人検知センサと、を有し、前記制御部は、前記人検知センサの前記検知信号の有無に応じて、前記操作指示情報を前記出力部へ供給する否かを判断することを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様の無線装置システムは、モータ駆動装置を制御するための操作指示情報を送信する無線送信機と、前記無線送信機から前記操作指示情報を受信する無線受信機と、識別信号を無線電波により送信するRFタグと、を有する無線装置システムであって、前記無線受信機は、前記無線送信機から前記操作指示情報を受信する通信部と、前記操作指示情報を前記モータ駆動装置に送信する出力部と、前記操作指示情報の前記出力部への供給を制御する制御部と、前記RFタグから送信される前記識別信号を判定して、所定の範囲に前記RFタグが存在することを検知して検知信号を出力するリーダライタと、を有し、前記制御部は、前記リーダライタの前記検知信号の有無に応じて、前記操作指示情報を前記出力部へ供給する否かを判断することを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様の無線装置システムは、モータ及びブレーキを有するモータ駆動装置と、前記モータ駆動装置を制御するための操作指示情報を送信する無線送信機と、前記無線送信機から前記操作指示情報を受信する無線受信機と、を有する無線装置システムであって、前記モータ駆動装置は、前記無線受信機から前記操作指示情報を受信する入力部と、前記操作指示情報の前記モータ及び前記ブレーキへの供給を制御する制御部と、所定の範囲に人が存在することを検知して検知信号を出力する人検知センサを有し、前記制御部は、前記人検知センサの前記検知信号の有無に応じて、前記操作指示情報を前記モータ及び前記ブレーキへ供給する否かを判断することを特徴とする。
【0016】
本発明の一態様の無線装置システムは、モータ及びブレーキを有するモータ駆動装置と、前記モータ駆動装置を制御するための操作指示情報を送信する無線送信機と、前記無線送信機から前記操作指示情報を受信する無線受信機と、識別信号を無線電波により送信するRFタグと、を有する無線装置システムであって、前記モータ駆動装置は、前記無線受信機から前記操作指示情報を受信する入力部と、前記操作指示情報の前記モータ及び前記ブレーキへの供給を制御する制御部と、前記RFタグから送信される前記識別信号を判定して、前記所定の範囲に前記RFタグが存在することを検知して検知信号を出力するリーダライタと、を有し、前記制御部は、前記リーダライタの前記検知信号の有無に応じて、前記操作指示情報を前記モータ及び前記ブレーキへ供給する否かを判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、無線装置システムにおいて、無線送信機の誤操作を防止して作業の安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1の無線装置システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施例2の無線装置システムの構成を示すブロック図である。
図3】実施例3の無線装置システムの構成を示すブロック図である。
図4】実施例4の無線装置システムの構成を示すブロック図である。
図5】実施例5の無線装置システムの構成を示すブロック図である。
図6】実施例6の無線装置システムの構成を示すブロック図である。
図7】実施例7の無線装置システムの構成を示すブロック図である。
図8】実施例8の無線装置システムの構成を示すブロック図である。
図9】無線受信機の信号処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて実施例について説明する。
【実施例1】
【0020】
図1を参照して、実施例1の無線装置システムの構成について説明する。
図1に示すように、モータ駆動装置であるクレーン3の操作者が操作する無線送信機1の操作指示情報を無線受信機2が受け取り、無線受信機2がクレーン3へ操作指示信号を出力する。この操作指示情報によりクレーン3が動作する。無線受信機2は、アンテナ4、通信部5、制御部6、出力部7及びセンサ部8を有する。
【0021】
無線受信機2では、無線送信機1から送信された操作指示情報からなる無線電波をアンテナ4で受信する。操作指示情報は、通信部5へ入力される。通信部5において受信無線電波から無線送信機1からの操作指示情報を取り出す。取り出された操作指示情報は、制御部6を介して出力部7に出力される。
【0022】
制御部6は、センサ8からの信号により操作指示情報を出力部7へ出力するように制御する。あるいは、制御部6は、センサ8からの信号により操作指示情報の出力部7へ出力を遮断するように制御する。
【0023】
ここで、センサ8の一例として、赤外線を利用した人感センサ(人検知センサ)がある。人感センサでは、赤外線を照射しそれに人などがあたると人の存在を検知する。人感センサの反応距離は、数十センチメートルから数メートルの範囲である。
【0024】
センサ8として人感センサが搭載されている無線受信機2から反応距離の位置に人が存在する場合、センサ8が人の存在を検知して、その検知信号を制御部6に入力する。制御部6では、検知信号により通信部5からの操作指示情報を出力部7に出力し、出力部7を介してクレーン7に操作指示情報が供給されクレーン3が動作する。
【0025】
一方、無線受信機2から反応距離の位置に人が存在しない場合には、センサ8は人が存在しないことを検知する。その結果、制御部6には、センサ8から検知信号が出力されない。このため、制御部6では、通信部5からの操作指示情報を遮断し、出力部7には操作指示情報が出力されない。その結果、クレーン3には、操作指示情報が供給されないため、クレーン3は動作しない。
【0026】
無線送信機1と無線受信機2の間は、数十メートルから数百メートルの距離において電波が到達可能であり、電波による操作指示情報の送受信が可能である。しかし、無線送信機1を保持している操作者が、無線受信機2の近傍である数十センチメートルから数メートルの距離にいる場合にのみ、無線受信機2は操作指示情報を出力可能となる。
【0027】
無線送信機1を保持している操作者が、前記距離以上の場所に移動した場合は、無線受信機2では操作指示情報の受信は可能であるが、無線受信機2からの操作指示情報の出力は遮断される。この結果、無線受信機2に接続されたクレーン3は動作できなくなる。
【0028】
このように、操作者が無線受信機2の近傍に居るときにのみクレーン3の操作が可能となる。このため、無線による操作により、離れた場所から無線送信機1を操作することが可能となり作業性が維持される。一方、操作者が無線受信機2から離れた場所にいるときに、無線送信機1を誤操作してしまった場合でも、クレーン3の操作はできないため、作業の安全性が確保される。
【実施例2】
【0029】
図2を参照して、実施例2の無線装置システムの構成について説明する。
実施例2の無線装置システムでは、クレーン操作者が操作する無線送信機1は、送信機用の入力部9、送信機用の制御部10、送信機用の通信部12、送信機用アンテナ13及び情報を出力する情報出力部11を有する。無線受信機2の構成は、実施例1の無線装置システムと同じなので、その説明は省略する。
【0030】
無線受信機2の制御部6は、センサ8からの検知信号が無いことを検知した場合、通信部5から無線送信機1に検知信号無し情報を送信する。送信された検知信号無し情報は、通信部12を介して制御部10に入力される。制御部10は、検知信号無し情報に基づいて情報出力部11を制御する。
【0031】
具体的には、情報出力部11は、検知信号無し情報に応答して、無線受信機2において出力部7から操作指示信号が出力されない状態であるという情報を出力する。これにより、クレーン3の操作者に対して、無線受信機2から所定の距離範囲内に移動して無線送信機1から操作指示情報を再送信することを促す。
【0032】
ここで、情報出力部11は、例えば、スピーカーにより構成され、音声として、操作指示信号が出力されない状態であるという情報を出力する。あるいは、情報出力部11は、例えば、LED等による光の点灯、点滅等による表示装置により構成され、操作指示信号が出力されない状態であるという情報を視覚情報として出力しても良い。
【0033】
このように、情報出力部11は、無線受信機2が操作指示情報の通信部5から出力部7へ供給を遮断していることを示す情報を出力することにより、無線送信機1を保持している操作者に対して、所定の範囲に移動して無線送信機1から操作指示情報を再送信すること促す。
【実施例3】
【0034】
図3を参照して、実施例3の無線装置システムの構成について説明する。
図3に示すように、実施例3の無線装置システムは、無線受信機2の外部にRF(radio frequency)タグ15を有し、クレーン操作者が操作する無線送信機1の操作指示情報を無線受信機2が受け取り、無線受信機2がクレーン3へ操作指示情報を出力する。この操作指示情報によりクレーン3が動作する。
【0035】
無線受信機2は、アンテナ4、通信部5、制御部6、出力部7及び外部のRF(radio frequency)タグ15と無線接続されるリーダライタ14を有する。
【0036】
無線受信機2では、無線送信機1から送信された操作指示情報からなる無線電波をアンテナ4で受信し通信部5へ入力される。通信部5において受信無線電波から無線送信機1からの操作指示情報を取り出し、制御部6を介して出力部7に出力される。
【0037】
制御部6は、リーダライタ14からの信号により操作指示情報を出力部7へ出力するように制御する。あるいは、制御部6は、リーダライタ14からの信号により操作指示情報の出力部7へ出力を遮断するように制御する。
【0038】
リーダライタ14とRFタグ15は、同一の識別情報を有しており相互に無線通信を行うことができる。リーダライタ14とRFタグ15との間の電波通達距離は、せいぜい数十センチメートルから数メートルである。
【0039】
リーダライタ14が搭載されている無線受信機2から、電波通達距離の位置にRFタグ15と共に無線送信機1を所有した人が存在すると、リーダライタ14がRFタグ15の存在を検知し、その検知信号を制御部6に入力する。制御部6では、検知信号により通信部6からの操作指示情報を出力部7に出力し、出力部7を介してクレーン7に操作指示情報が供給されクレーン3が動作する。
【0040】
一方、無線受信機2から電波通達距離の位置にRFタグ15と共に無線送信機1を所有した人が存在しない場合には、リーダライタ14はRFタグ15が存在しないことを検知する。その結果、制御部6には、リーダライタ14から検知信号が出力されない。このため、制御部6では、通信部5からの操作指示情報を遮断し、出力部7には操作指示情報が出力されない。その結果、クレーン3には、操作指示情報が供給されないため、クレーン3は動作しない。
【0041】
このように、実施例3によれば、無線送信機1と無線受信機2の間は、数十メートルから数百メートルの距離において電波が到達可能であり電波による操作指示情報の送受信が可能である。しかし、無線送信機1と共にRFタグ15を保持している操作者が、無線受信機2の近傍、数十センチメートルから数メートルの距離にいる場合にのみ、無線受信機2の操作指示情報の出力が可能となる。
【0042】
一方、無線送信機1と共にRFタグ15を保持している操作者が、前記距離以上の場所に移動した場合は、無線受信機2では操作指示情報の受信は可能であるが、無線受信機2からの操作指示情報の出力は遮断される。これにより、無線受信機2に接続されたクレーン3は、動作できなくなる。
【0043】
このように、実施例3によれば、無線送信機1と共にRFタグ15を保持している操作者が無線受信機2の近傍に居るときにのみクレーン3の操作が可能となる。このため、無線による操作により、離れた場所から無線送信機1を操作することが可能となり作業性が維持される。一方、操作者が無線受信機2から離れた場所にいるときに、無線送信機1を誤操作してしまった場合でも、クレーン3の操作はできないため、作業の安全性が確保される。
【実施例4】
【0044】
図4を参照して、実施例4の無線装置システムの構成について説明する。
実施例4の無線装置システムでは、クレーン操作者が操作する無線送信機1は、送信機用の入力部9、送信機用の制御部10、送信機用の通信部12、送信機用アンテナ13及び情報を出力する情報出力部11を有する。無線受信機2の構成は、実施例3の無線装置システムと同じなので、その説明は省略する。
【0045】
無線受信機2の制御部6は、リーダライタ14からの検知信号が無いことを検知した場合、通信部5から無線送信機1に検知信号無し情報を送信する。送信された検知信号無し情報は、通信部12を介して制御部10に入力される。制御部10は、検知信号無し情報に基づいて情報出力部11を制御する。
【0046】
具体的には、情報出力部11は、検知信号無し情報に応答して、無線受信機2において出力部7から操作指示信号が出力されない状態であるという情報を出力する。これにより、クレーン3の操作者に対して、無線受信機2から所定の距離範囲内に移動して無線送信機1から操作指示情報を再送信することを促す。
【0047】
ここで、情報出力部11は、例えば、スピーカーにより構成され、音声として、操作指示信号が出力されない状態であるという情報を出力する。あるいは、情報出力部11は、例えば、LED等による光の点灯、点滅等による表示装置により構成され、操作指示信号が出力されない状態であるという情報を視覚情報として出力しても良い。
【0048】
このように、情報出力部11は、無線受信機2が操作指示情報の通信部5から出力部7へ供給を遮断していることを示す情報を出力することにより、無線送信機1と共にRFタグ15を保持している操作者に対して、所定の範囲に移動して無線送信機1から操作指示情報を再送信すること促す。
【実施例5】
【0049】
図5を参照して、実施例5の無線装置システムの構成について説明する。
実施例5の無線装置システムでは、図4に示す実施例4の無線装置システムにおけるRFタグ15を無線送信機1に内蔵させた。
【0050】
図5に示すように、クレーン操作者が操作する無線送信機1は、送信機用の入力部9、送信機用の制御部10、送信機用の通信部12、送信機用アンテナ13、情報を出力する情報出力部11及びRFタグ15を有する。無線受信機2の構成は、実施例4の無線装置システムと同じなので、その説明は省略する。
【0051】
無線受信機2の制御部6は、リーダライタ14からの検知信号が無いことを検知した場合、通信部5から無線送信機1に検知信号無し情報を送信する。送信された検知信号無し情報は、通信部12を介して制御部10に入力される。制御部10は、検知信号無し情報に基づいて情報出力部11を制御する。
【0052】
具体的には、情報出力部11は、検知信号無し情報に応答して、無線受信機2において出力部7から操作指示信号が出力されない状態であるという情報を出力する。これにより、クレーン3の操作者に対して、無線受信機2から所定の距離範囲内に移動して無線送信機1から操作指示情報を再送信することを促す。
【0053】
ここで、情報出力部11は、例えば、スピーカーにより構成され、音声として、操作指示信号が出力されない状態であるという情報を出力する。あるいは、情報出力部11は、例えば、LED等による光の点灯、点滅等による表示装置により構成され、操作指示信号が出力されない状態であるという情報を視覚情報として出力しても良い。
【0054】
このように、情報出力部11は、無線受信機2が操作指示情報の通信部5から出力部7へ供給を遮断していることを示す情報を出力することにより、無線送信機1を保持している操作者に対して、所定の範囲に移動して無線送信機1から操作指示情報を再送信すること促す。
【0055】
次に、図9を参照して、実施例1~実施例5における無線装置システムの無線受信機2の信号処理(制御部6の処理)のフローについて説明する。
【0056】
最初に、通信部5が受信動作を行う(S901)。
次に、操作指示情報の有無を判定する(S902)。
判定の結果、操作指示情報有りの場合は、センサ8又はリーダライタ14の検知動作が行われる(S903)。
判定の結果、操作指示情報無しの場合は、通信部5の受信動作へ戻る(S906)。
次に、検知信号の有無を判定する(S904)。
判定の結果、検知信号有の場合は、操作指示情報を出力部7へ送る(S905)。
判定の結果、操作指示情報無し場合は、通信部5の受信動作へ戻る(S906)。
【0057】
このように、通信部5で無線送信機1からの操作指示情報を受信した場合に、センサ8又はリーダライタ14から検知信号が制御部6に入力される。制御部6では、通信部5で受信した操作指示情報を出力部7に出力する。そして、出力部7は、クレーン3に操作指示情報を出力しクレーン3が動作する。
【0058】
一方、センサ8又はリーダライタ14から検知信号が出力されない場合には、制御部6では、センサ8又はリーダライタ14からの検知信号が入力されないため操作指示信号を出力部7に出力しない。このため、出力部7からクレーン3には、操作指示情報が入力されずクレーン3は動作しない。
【実施例6】
【0059】
図6を参照して、実施例6の無線装置システムの構成について説明する。
図1に示す実施例1の無線装置システムでは、センサ8は無線受信機2に内蔵されていたが、実施例6の無線装置システムでは、センサ8を無線受信機2ではなくクレーン制御機16に内蔵した。
【0060】
図6に示すように、クレーン制御機16は、無線受信機2から出力される操作指示情報が入力される入力部17、クレーン3のモータ19及びブレーキ20を制御する制御信号を出力するクレーン制御部18及び人の存在を検知するセンサ8を有している。
【0061】
クレーン制御機16のクレーン制御部18がセンサ8からの検知信号が無いことを検知した場合、無線受信機2からの操作指示情報が入力部17を介してクレーン制御部18に入力される。しかし、クレーン制御部18は、操作指示情報がモータ19及びブレーキ20に伝達されずに遮断されるように制御する。この結果、クレーン3は動作しない。
【0062】
一方、クレーン制御機16のクレーン制御部18がセンサ8からの検知信号が有ることを検知した場合、無線受信機2からの操作指示情報が入力部17を介してクレーン制御部18に入力される。クレーン制御部18は、操作指示情報がモータ19及びブレーキ20に出力されるように制御する。この結果、クレーン3は動作する。
【実施例7】
【0063】
図7を参照して、実施例7の無線装置システムの構成について説明する。
図3に示す実施例3の無線装置システムでは、リーダライタ14は無線受信機2に内蔵されていたが、実施例7の無線装置システムでは、リーダライタ14を無線受信機2ではなくクレーン制御機16に内蔵した。
【0064】
図7に示すように、クレーン制御機16は、無線受信機2から出力される操作指示情報が入力される入力部17、クレーン3のモータ19及びブレーキ20を制御する制御信号を出力する制御部18及びリーダライタ14を有している。
【0065】
クレーン操作者が、無線送信機1とRFタグ15を所有し、クレーン制御機16から所定の距離範囲内で操作を行った場合には、クレーン制御機16のリーダライタ14は、RFタグ15を認識し検知信号をクレーン制御部18に出力する。
【0066】
クレーン制御部18がリーダライタ14からの検知信号が有ることを検知した場合、無線受信機2からの操作指示情報が入力部17を介してクレーン制御部18に入力される。クレーン制御部18は、操作指示情報がモータ19及びブレーキ20に出力されるように制御する。この結果、クレーン3は動作する。
【0067】
クレーン操作者が、無線送信機1とRFタグ15を所有し、クレーン制御機16から所定の距離範囲外で操作を行った場合には、クレーン制御機16のリーダライタ14は、RFタグ15を認識出来ず、検知信号をクレーン制御部18に出力しない。
【0068】
クレーン制御部18がリーダライタ14からの検知信号が無いことを検知した場合、無線受信機2からの操作指示情報が入力部17を介してクレーン制御部18に入力される。しかし、クレーン制御部18は、操作指示情報がモータ19及びブレーキ20に伝達されずに遮断されるように制御する。この結果、クレーン3は動作しない。
【実施例8】
【0069】
図8を参照して、実施例8の無線装置システムの構成について説明する。
実施例8の無線装置システムでは、図7に示す実施例7の無線装置システムにおけるRFタグ15を無線送信機1に内蔵させた。
【0070】
図8に示すように、クレーン操作者が操作する無線送信機1は、送信機用の入力部9、送信機用の制御部10、送信機用の通信部12、送信機用アンテナ13、情報を出力する情報出力部11及びRFタグ15を有する。無線受信機2及びクレーン制御機16の構成は、図7に示す実施例7の無線装置システムと同じなので、その説明は省略する。
【0071】
図8に示すように、操作者が操作する無線送信機1は、送信機用の入力部9、送信機用の制御部10、送信機用の通信部12、送信機用アンテナ13及びRFタグ15を有する。
【0072】
クレーン操作者が、RFタグ15が内蔵された無線送信機1を用いて、クレーン制御機16から所定の距離範囲内で操作を行った場合には、クレーン制御機16のリーダライタ14は、RFタグ15を認識し検知信号をクレーン制御部18に出力する。
【0073】
クレーン制御部18がリーダライタ14からの検知信号が有ることを検知した場合、無線受信機2からの操作指示情報が入力部17を介してクレーン制御部18に入力される。クレーン制御部18は、操作指示情報がモータ19及びブレーキ20に出力されるように制御する。この結果、クレーン3は動作する。
【0074】
クレーン操作者が、RFタグ15が内蔵された無線送信機1を用いて、クレーン制御機16から所定の距離範囲外で操作を行った場合には、クレーン制御機16のリーダライタ14は、RFタグ15を認識出来ず、検知信号をクレーン制御部18に出力しない。
【0075】
クレーン制御部18がリーダライタ14からの検知信号が無いことを検知した場合、無線受信機2からの操作指示情報が入力部17を介してクレーン制御部18に入力される。しかし、クレーン制御部18は、操作指示情報がモータ19及びブレーキ20に伝達されずに遮断されるように制御する。この結果、クレーン3は動作しない。
【0076】
以上、本発明をその実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、本発明のモータ駆動装置の一例としてクレーンで説明を行ったが、他の例としてウィンチ、ゴンドラ、リフター等がある。
【符号の説明】
【0077】
1 無線送信機
2 無線受信機
3 クレーン
4 受信機用アンテナ
5 通信部
6 制御部
7 出力部
8 センサ
9 入力部
10 制御部
11 情報出力部
12 通信部
13 送信機用アンテナ
14 リーダライタ
15 RFタグ
16 クレーン制御機
17 入力部
18 クレーン制御部
19 モータ
20 ブレーキ
【要約】
【課題】無線装置システムにおいて、無線送信機の誤操作を防止して作業の安全性を向上する。
【解決手段】モータ駆動装置を制御するための操作指示情報を送信する無線送信機と、無線送信機から操作指示情報を受信する無線受信機とを有し、無線受信機は、無線送信機から操作指示情報を受信する通信部と、操作指示情報をモータ駆動装置に送信する出力部と、操作指示情報の出力部への供給を制御する制御部と、所定の範囲に人が存在することを検知して検知信号を出力する人検知センサを有し、制御部は、人検知センサの検知信号の有無に応じて操作指示情報を出力部へ供給する否かを判断する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9