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特許7042344リチウムイオン電池用セパレーター、その製造方法及び応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池用セパレーター、その製造方法及び応用
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/414 20210101AFI20220317BHJP
   H01M 50/44 20210101ALI20220317BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20220317BHJP
   H01M 50/446 20210101ALI20220317BHJP
   H01M 50/449 20210101ALI20220317BHJP
   H01M 50/451 20210101ALI20220317BHJP
   H01M 50/457 20210101ALI20220317BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20220317BHJP
   H01M 50/42 20210101ALI20220317BHJP
   H01M 50/423 20210101ALI20220317BHJP
   H01M 50/403 20210101ALI20220317BHJP
【FI】
H01M50/414
H01M50/44
H01M50/417
H01M50/446
H01M50/449
H01M50/451
H01M50/457
H01M50/489
H01M50/42
H01M50/423
H01M50/403 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020533663
(86)(22)【出願日】2017-12-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2017118480
(87)【国際公開番号】W WO2019126978
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】514272818
【氏名又は名称】ファイバーウェイ・マテリアルズ・サイエンス・アンド・テクノロジー・デベロップメント・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】胡 健
(72)【発明者】
【氏名】龍 金
(72)【発明者】
【氏名】姚 運振
(72)【発明者】
【氏名】王 宜
(72)【発明者】
【氏名】汪 洋
(72)【発明者】
【氏名】蒙 玲
【審査官】松岡 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-129308(JP,A)
【文献】特開2010-202987(JP,A)
【文献】特開2015-060702(JP,A)
【文献】特開2005-159283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/40- 50/497
D04H 1/00- 18/04
D21H 11/00- 27/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
持層と、充填材層とで構成されたリチウムイオン電池用セパレーターであって
記セパレーターの厚さは19~26μmであり、記セパレーターの坪量は19~22g/m2であり、記セパレーターの平均孔径は0.2~0.5μmであり、記セパレーターの最大孔径は0.7~1μmであり、記セパレーターは300℃で1h放置した熱収縮率が2.8%以下であり、
前記支持層は、坪量3~9g/m 2 の延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(延伸PET)と、坪量3~9g/m 2 の熱可塑性接着繊維と、坪量0~11g/m 2 の第1ナノ繊維で製造され、前記熱可塑性接着繊維はポリエチレン繊維(PE)、ポリプロピレン繊維(PP)、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(未延伸PET)、二成分PP/PE繊維、二成分PET/PE繊維、二成分PET/PP繊維及び二成分PET/co-PET繊維から選択される少なくとも1種であり、
前記充填材層は坪量5~7g/m 2 の無機粒子と、坪量0~11g/m 2 の第3ナノ繊維で製造され、
前記充填材層における第3ナノ繊維の量が0となる場合、前記リチウムイオン電池用セパレーターは緻密層をさらに含み、前記緻密層は第2ナノ繊維で製造され、前記支持層と前記充填材層との間に位置し、前記緻密層の坪量は2~4g/m 2 であり、前記緻密層において、前記第2ナノ繊維の坪量は2~4g/m 2 であり、
前記第1ナノ繊維と第2ナノ繊維と第3ナノ繊維の坪量との和は4g/m 2 以上である、リチウムイオン電池用セパレーター。
【請求項2】
前記支持層の坪量は11g/m2であり、前記充填材層の坪量は7g/m2である、請求項1に記載のリチウムイオン電池用セパレーター。
【請求項3】
記支持層は坪量5g/m2の延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(延伸PET)と、坪量4g/m2の熱可塑性接着繊維と、坪量2g/m2の第1ナノ繊維製造され、記充填材層は坪量7g/m2の無機粒子で製造され、請求項1または2に記載のリチウムイオン電池用セパレーター。
【請求項4】
前記延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(延伸PET)の直径は1~3μmであり、前記延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(延伸PET)の長さは3mmであり、記熱可塑性接着繊維は延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(未延伸PET)であり、前記熱可塑性接着繊維の直径は3~5μmであり、記熱可塑性接着繊維の長さは2~4mmである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用セパレーター。
【請求項5】
前記第1ナノ繊維は、ィブリル化ポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA)ナノ繊維またはフィブリル化リヨセルナノ繊維であり、前記第1ナノ繊維の叩解度は95°SRであり、記第3ナノ繊維はフィブリル化ポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA)ナノ繊維、フィブリル化ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)ナノ繊維またはフィブリル化ポリアクリルニトリル(PAN)ナノ繊維であり、記第3ナノ繊維の叩解度は85°SRである、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用セパレーター。
【請求項6】
無機充填材は無機粒子であり、前記無機粒子はルミナであり、記無機粒子の粒径は200nmである、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用セパレーター。
【請求項7】
記第2ナノ繊維と第3ナノ繊維の坪量との和は2g/m2以上であり、記第2ナノ繊維はフィブリル化ポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA)ナノ繊維あり、記第2ナノ繊維の叩解度は85°SRである、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用セパレーター。
【請求項8】
支持層、緻密層及び充填材層、又は支持層と充填材層の原料を水と混合して、それぞれ独立に離解、叩解、混合した後、ファンポンプを採用してサイジング濃度になるまで水で希釈するステップaと、
希釈された支持層、緻密層及び充填材層、又は支持層と充填材層のスラリーをHydroformer多層スプレッダーに送り込み、ここでは、充填材層のスラリーは一定の流路流量で上層流路に入り、緻密層のスラリーは一定の流路流量で中間流路に入り、支持層のスラリーは一定の流路流量で成形ネットに近接する流路に入り、各流路におけるスラリーは相次いで、同じ領域で積層しながら抄造成形を行い、脱水処理を経て湿式抄造シートを得て、造する前に、スラリーが高強度の微小乱流で流す状態にあるようにスラリーの整流をさらに含むステップbと、
前記ステップbの後に、セパレーターの湿式抄造シートをヤンキーシリンダで乾燥処理してセパレーターの乾式抄造シートを得るステップcと、
前記ステップcの後に、セパレーターの乾式抄造シートを一定温度で金属ロールとソフトロールによるカレンダー処理を経てリチウムイオン電池用セパレーターを得るステップdと、を含み、
ステップaにおいて、スラリーを水で希釈する前に、各層のスラリーの固体質量パーセント濃度はすべて0.2wt%であり、
ステップaにおいて、前記支持層のスラリーのサイジング濃度は0.023~0.049wt%であり、前記緻密層のスラリーのサイジング濃度は0.02~0.048wt%であり、前記充填材層のスラリーのサイジング濃度は0.064~0.38wt%であり、又は、前記支持層のスラリーのサイジング濃度は0.023~0.049wt%であり、前記充填材層のスラリーのサイジング濃度は0.047~0.064wt%であり、
ステップbにおいて、前記支持層のスラリーの流路流量は400~700m 3 /hであり、前記緻密層のスラリーの流路流量は200~500m 3 /hであり、前記充填材層のスラリーの流路流量は100~500m 3 /hであり、又は、前記支持層のスラリーの流路流量は500~700m 3 /hであり、前記充填材層のスラリーの流路流量は300~500m 3 /hであり、
ステップbにおいて、前記成形ネットに近接する流路と、中間層流路と上層流路との断面積比が7:2:1または4:5:1であり、あるいは、前記成形ネットに近接する流路と、上層流路との断面積比が7:3であり、
ステップcにおいて、前記乾燥の温度は80~130℃であり、ステップdにおいて、前記カレンダー処理の温度は110~220℃であり、前記支持層における熱可塑性接着繊維が未延伸PET繊維である場合、その乾燥の温度は120℃であり、そのカレンダー処理の温度は190℃であり、前記支持層における熱可塑性接着繊維が二成分PET/co-PET繊維または二成分PP/PE繊維である場合、その乾燥の温度は90℃であり、そのカレンダー処理の温度は120℃である、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用セパレーターの製造方法。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用セパレーターを含むリチウムイオン電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池の技術分野に関し、具体的には、一次成形のリチウムイオン電池用セパレーター、その製造方法及び応用に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池はエネルギー密度の増加、及び電池の体積と重量の増加に伴い、その放熱性と安定性が悪くなり、熱的暴走という現象が一層発生しやすくなる。高温条件下で、セパレーターは、収縮と溶断が発生し、正極と負極が接触し、大量の熱が急速に蓄積されることで、電池内部に高気圧を発生させ、電池の燃焼又は爆発を引き起こす。セパレーターは電池の短絡を防止する重要な技術材料であり、電池の短絡が電池材料の分解・放熱を大幅に加速させるため、セパレーターの熱安定性と溶断温度を高めることは電池の安全にとって非常に重要である。
【0003】
現在、リチウムイオン電池用セパレーターは主にポリオレフィン延伸膜と不織布との2種類がある。ポリオレフィン延伸膜(例えば、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)膜)は技術的成熟度が高く、力学物性や化学的安定性に優れ、且つ比較的安価であるという利点をもち、現在の市場で主流となるセパレーターである。しかし、ポリオレフィン材料の耐温性能は制限され、適切な動作温度は150℃未満である。ポリオレフィンセパレーターに耐熱セラミックコーティングを施すことは、セパレーター熱安定性を効果的に向上させることができるが、300℃で試験すると、セラミック粒子の骨格が残っているものの、セパレーター強度が完全に失われ、セラミックコーティングだけではセパレーターの高温耐性を効果的に高めることができないことが明らかになっている。また、不織布は繊維非配向性堆積を利用した三次元空隙構造材料であり、原材料を柔軟に選択し、構造を柔軟に設計できる特性を持つ。不織布セパレーターは、高温耐性、高速充放電特性と使用寿命は、ポリオレフィンセパレーターよりも優位を示しているが、不織布セパレーターは強度が低く、マクロポアが存在し、電池に微小短絡を発生させる可能性がある。
【0004】
無機充填材は優れた熱安定性を有し、一般には、ポリオレフィンや不織布基材に無機粒子を塗布することで、熱安定性を高めることができる。ドイツのデグサ社の特許出願(公開番号US20060024569)には、ポリマー繊維を用いて不織布セパレーターの基材を作製し、基材を単層抄造し、両面に大量に充填材粒子に浸漬または塗布して複合セパレーターを製造し、またセパレーターの使用温度が 200℃ であることが提案されている。しかし、このセパレーターは基材の構造及び組成の制限で、両面に充填材粒子を塗布または浸漬しても、マクロポアや充填材粒子が脱落しやすいという問題の存在が不可避である。また、試験によれば、当該特許のセパレーターは300℃で1h処理すると、基材が溶融し、セパレーターの強度が完全に失われ、300℃でのセパレーターの隔離性能を保証できない。華南理工大学の特許出願(公開番号:CN104157812A)には、製紙と塗布技術を用いて3層構造のリチウムイオン電池用セパレーターを製造することが提案されているが、このセパレーターの緻密層は一部に非ナノ合成繊維を使用し、セパレーターの熱安定性は110℃での熱収縮率が1.0%未満するようにするしかできず、リチウムイオン電池用セパレーターの高温耐性に対する要件を満たすことができず、また、無機物の塗布による製造工程が増加し、コストが上昇し、且つ接着剤により吸着されるコーティングが破損しやすいから、粒子の脱落は避けられない。日本住友化学株式会社の特許出願(公開番号:CN106914384A)には、ポリオレフィン基材に耐熱コーティング剤を塗布し、この耐熱コーティング剤は、アルミナ等の無機充填材をアラミドのNMP(N-メチル-ピロリドン)溶液に分散させることによって製造されることが提案されているが、この方法は、セパレーターの耐熱性を効果的に向上させることができるが、塗布工程を増やし、また有機溶剤の使用で、生産コスト及び環境、安全管理コストを増加させることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、多層の傾斜網で一次成形され、構造が均一でコンパクトであり、製造工程がシンプルであり、ピンホールがなく、厚さが30μmを超えない前提で、引張強さが依然として1506N/mmに達することができ、かつ110℃での熱収縮率が0であり、300℃で1h処理しても良好に強度を保持でき、300℃での熱収縮率が依然として3%未満であり、空隙と強度の要件を満たすほかに、特に優れた耐熱性を備え、総合性能に優れている、一次成形のリチウムイオン電池用セパレーター、その製造方法及び応用を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
まず、本発明は、極細幹繊維、熱可塑性接着繊維及び第1ナノ繊維から選択される少なくとも2種を含むかまたはそれらで製造された支持層と、無機充填材及び第3ナノ繊維から選択される少なくとも1種を含むかまたはそれで製造された充填材層と、を含むかまたはそれらで構成される。
好適には、前記セパレーターの厚さは19~31μm、好ましくは19~26μmであり、好適には、前記セパレーターの坪量は15~30 g/m、好ましくは15~25 g/m、より好ましくは19~22 g/mであり、好適には、前記セパレーターの平均孔径は1μm未満、好ましくは0.2~0.5μmであり、好適には、前記セパレーターの最大孔径は1μm以下、好ましくは0.7~1μmであり、好適には、前記セパレーターは300℃での熱収縮率が2.8%以下である。
【0007】
好適には、前記支持層の坪量は6~17 g/m、好ましくは8~14 g/m、より好ましくは8~11 g/m、最も好ましくは11 g/mであり、前記充填材層の坪量は5~19 g/m、好ましくは5~16 g/m、より好ましくは5~9 g/m、さらに好ましくは5~7 g/m、最も好ましくは7g/mである。
【0008】
好適には、前記支持層において、前記極細幹繊維の坪量は3~9 g/m、好ましくは3~6 g/m、より好ましくは5 g/mであり、前記熱可塑性接着繊維の坪量は3~9 g/m、好ましくは3~6 g/m、より好ましくは4 g/mであり、前記第1ナノ繊維の坪量は0~11 g/m、好ましくは2~11 g/m、より好ましくは2~8 g/m、さらに好ましくは2~6 g/m、最も好ましくは2 g/mである。
好適には、前記支持層は坪量3~9 g/mの極細幹繊維と、坪量3~9 g/mの熱可塑性接着繊維と、坪量0~11 g/mの第1ナノ繊維を含むかまたはそれらで製造される。
好適には、前記支持層は坪量3~6 g/mの極細幹繊維と、坪量3~6 g/mの熱可塑性接着繊維と、坪量2~11 g/mの第1ナノ繊維を含むかまたはそれらで製造される。
好適には、前記支持層は坪量5 g/mの極細幹繊維と、坪量4 g/mの熱可塑性接着繊維と、坪量2 g/mの第1ナノ繊維を含むかまたはそれらで製造される。
好適には、前記充填材層において、前記無機粒子の坪量は5~19 g/m、好ましくは5~16 g/m、より好ましくは5~10 g/m、さらに好ましくは5~7 g/m、最も好ましくは7g/mであり、前記第3ナノ繊維の坪量は0~11 g/m、好ましくは2~11 g/m、より好ましくは2~8 g/m、さらに好ましくは2~4 g/m、最も好ましくは0~2 g/mである。
好適には、前記充填材層は坪量5~19 g/mの無機粒子と、坪量0~11 g/mの第3ナノ繊維を含むかまたはそれらで製造される。
好適には、前記充填材層は坪量5~7 g/mの無機粒子と、坪量0~11 g/mの第3ナノ繊維を含むかまたはそれらで製造される。
好適には、前記充填材層は坪量5~7 g/mの無機粒子と、坪量2~11 g/mの第3ナノ繊維を含むかまたはそれらで製造される。
好適には、前記充填材層は坪量5~7 g/mの無機粒子で製造される。
好適には、前記充填材層は坪量7 g/mの無機粒子で製造される。
好適には、前記充填材層は坪量7 g/mの無機粒子と、坪量2 g/mの第3ナノ繊維で製造される。
好適には、前記第1ナノ繊維と第3ナノ繊維の坪量との和は4g/m以上である。
好適には、前記支持層の坪量は6~17 g/mであり、前記充填材層の坪量は5~19 g/mである。
好適には、前記支持層の坪量は8~14 g/mであり、前記充填材層の坪量は5~16 g/mである。
好適には、前記支持層の坪量は8~14 g/mであり、前記充填材層の坪量は5~9 g/mである。
好適には、前記支持層の坪量は8~11 g/mであり、前記充填材層の坪量は5~7 g/mである。
好適には、前記支持層の坪量は8~11 g/mであり、前記充填材層の坪量は5~7 g/mである。
好適には、前記支持層の坪量は11 g/mであり、前記充填材層の坪量は7g/mである。
【0009】
好適には、前記極細幹繊維は、延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(延伸PET)、ポリアクリルニトリル繊維(PAN)、ポリアミド繊維(PA)及びポリプロピレン繊維(PP)から選択される少なくとも1種であり、好ましくは延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(延伸PET)である。
好適には、前記極細幹繊維の直径は0.1~6μm、好ましくは0.5~4μm、より好ましくは0.5~3μm、最も好ましくは1~3μmであり、好適には、前記極細幹繊維の長さは1~6mm、好ましくは2~4mm、最も好ましくは3mmであり、
好適には、前記熱可塑性接着繊維はポリエチレン繊維(PE)、ポリプロピレン繊維(PP)、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(未延伸PET)、二成分PP/PE繊維、二成分PET/PE繊維、二成分PET/PP繊維及び二成分PET/co-PET繊維から選択される少なくとも1種であり、好ましくは未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(未延伸PET)である。
好適には、前記熱可塑性接着繊維の直径は0.1~8μm、好ましくは0.5~6μm、より好ましくは1~5μm、最も好ましくは3~5μmであり、好適には、前記熱可塑性接着繊維の長さは1~6mm、好ましくは2~4mmである。
【0010】
好適には、前記第1ナノ繊維は、フィブリル化ポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA)ナノ繊維、フィブリル化リヨセルナノ繊維、フィブリル化ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)ナノ繊維、フィブリル化ポリアクリルニトリル(PAN)ナノ繊維、ポリイミド(PI)ナノ繊維及びナノ繊維素繊維から選択される少なくとも1種であり、好ましくはフィブリル化ポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA)ナノ繊維またはフィブリル化リヨセルナノ繊維である。
好適には、前記第1ナノ繊維の叩解度は70~95°SR、好ましくは95°SRである。
好適には、前記第3ナノ繊維はそれぞれ独立してフィブリル化ポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA)ナノ繊維、フィブリル化リヨセルナノ繊維、フィブリル化ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)ナノ繊維及びフィブリル化ポリアクリルニトリル(PAN)ナノ繊維から選択される少なくとも1種である。
好適には、前記第3ナノ繊維はフィブリル化ポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA)ナノ繊維、フィブリル化ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)ナノ繊維またはフィブリル化ポリアクリルニトリル(PAN)ナノ繊維である。
好適には、前記第3ナノ繊維の叩解度は60~85°SR、好ましくは85°SRである。
【0011】
好適には、前記無機充填材は無機粒子であり、前記無機粒子はアルミナ、シリカ、ベーマイト、水酸化マグネシウムから選択される少なくとも1種であり、好ましくはアルミナである。
好適には、前記無機粒子の粒径は3μm以下、好ましくは1μm以下、最も好ましくは200nmである。
【0012】
好適には、前記リチウムイオン電池用セパレーターは緻密層をさらに含み、前記緻密層は第2ナノ繊維で製造され、前記支持層と前記充填材層との間に位置する。
好適には、前記充填材層における第3ナノ繊維の量が0となる場合、前記リチウムイオン電池用セパレーターは緻密層をさらに含み、前記緻密層は第2ナノ繊維で製造され、前記支持層と前記充填材層との間に位置する。
好適には、前記緻密層の坪量は0~12 g/m、好ましくは2~12 g/m、より好ましくは2~8 g/m、さらに好ましくは2~4 g/m、最も好ましくは2 g/mである。
好適には、前記緻密層において、前記第2ナノ繊維の坪量は2~12 g/m、好ましくは2~10 g/m、より好ましくは2~8 g/m、さらに好ましくは2~4 g/m、最も好ましくは2 g/mである。
好適には、前記第1ナノ繊維と第2ナノ繊維と第3ナノ繊維の坪量との和は4g/m以上である。
好適には、前記第2ナノ繊維と第3ナノ繊維の坪量との和は2g/m以上である。
好適には、前記第2ナノ繊維はそれぞれ独立してフィブリル化ポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA)ナノ繊維、フィブリル化リヨセルナノ繊維、フィブリル化ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)ナノ繊維及びフィブリル化ポリアクリルニトリル(PAN)ナノ繊維から選択される少なくとも1種である。
好適には、前記第2ナノ繊維はフィブリル化ポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA)ナノ繊維、フィブリル化リヨセルナノ繊維、フィブリル化ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)ナノ繊維またはフィブリル化ポリアクリルニトリル(PAN)ナノ繊維である。
好適には、前記第2ナノ繊維の叩解度は60~85°SR、好ましくは85°SRである、一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターを提供する。
【0013】
次に、本発明は、
支持層、緻密層及び充填材層、又は支持層と充填材層の原料を水と混合して、それぞれ独立に離解、叩解、混合した後、ファンポンプを採用してサイジング濃度になるまで水で希釈するステップaと、
希釈された支持層、緻密層及び充填材層、又は支持層と充填材層のスラリーをHydroformer多層スプレッダーに送り込み、ここでは、充填材層のスラリーは一定の流路流量で上層流路に入り、緻密層のスラリーは一定の流路流量で中間流路に入り、支持層のスラリーは一定の流路流量で成形ネットに近接する流路に入り、各流路におけるスラリーは相次いで、同じ領域で積層しながら抄造成形を行い、脱水処理を経て湿式抄造シートを得て、好適には、抄造する前に、スラリーが高強度の微小乱流で流す状態にあるようにスラリーの整流をさらに含むステップbと、
前記ステップbの後に、セパレーターの湿式抄造シートをヤンキーシリンダで乾燥処理してセパレーターの乾式抄造シートを得るステップcと、
前記ステップcの後に、セパレーターの乾式抄造シートを一定温度で金属ロールとソフトロールによるカレンダー処理を経てリチウムイオン電池用セパレーターを得るステップdと、を含む。
【0014】
好適には、ステップaにおいて、スラリーを水で希釈する前に、各層のスラリーの固体質量パーセント濃度はすべて0.2wt%である。
好適には、ステップbにおいて、前記支持層のスラリーのサイジング濃度は0.010~0.050wt%、好ましくは0.023~0.049wt%であり、前記緻密層のスラリーのサイジング濃度は0.010~0.050wt%、好ましくは0.02~0.048wt%であり、前記充填材層のスラリーのサイジング濃度は0.05~0.50wt%、好ましくは0.064~0.38wt%であり、又は、前記支持層のスラリーのサイジング濃度は0.010~0.050wt%、好ましくは0.023~0.049wt%であり、前記充填材層のスラリーのサイジング濃度は0.03~0.08wt%、好ましくは0.047~0.064wt%である。
好適には、ステップbにおいて、前記支持層のスラリーの流路流量は100~1000 m/h、好ましくは400~700 m/hであり、前記緻密層のスラリーの流路流量は100~1000 m/h、好ましくは200~500 m/hであり、前記充填材層のスラリーの流路流量は40~1000 m/h、好ましくは100~500 m/hであり、又は、前記支持層のスラリーの流路流量は100~1000 m/h、好ましくは500~700 m/hであり、前記充填材層のスラリーの流路流量は40~1000 m/h、好ましくは300~500 m/hである。
好適には、ステップbにおいて、前記成形ネットに近接する流路と、中間層流路と上層流路との断面積比が4~7:2~5:1、好ましくは7:2:1または4:5:1であり、あるいは、前記成形ネットに近接する流路と、上層流路との断面積比が1~7:1~3、好ましくは7:3である。
好適には、ステップcにおいて、前記乾燥の温度は80~130℃である。
好適には、ステップdにおいて、前記カレンダー処理の温度は110~220℃である。
好適には、前記支持層における熱可塑性接着繊維が未延伸PET繊維である場合、その乾燥の温度は80~130℃、好ましくは120℃であり、そのカレンダー処理の温度は170~220℃、好ましくは190℃である。
好適には、前記支持層における熱可塑性接着繊維が二成分PET/co-PET繊維または二成分PP/PE繊維である場合、その乾燥の温度は80~130℃、好ましくは90℃であり、そのカレンダー処理の温度は110~140℃、好ましくは120℃である、上記リチウムイオン電池用セパレーターの製造方法を提供する。
【0015】
また、本発明は以上に記載のリチウムイオン電池用セパレーターを含む、リチウムイオン電池をさらに提供する。
【0016】
本発明は従来技術と比較して、少なくとも以下の利点を有する。本発明のリチウムイオン電池用セパレーター構造は全ての原料で一次成形され、追加の塗布工程を必要とせず、接着剤を添加する必要がなく、より良い空隙構造を有することを実現できる。また、本発明のリチウムイオン電池用セパレーターは特殊な構造と繊維組成により、低い坪量でナノ繊維の耐高温と高い比表面積の特性を最大限に発揮させる。本発明のリチウムイオン電池用セパレーターは、300℃で1h処理した後の熱収縮率が3%未満であり、しかも依然として良好な強度を有し、高温でのセパレーター充填材層の剛性構造の安定性と隔離性を高め、充填材粒子の脱落問題を解決する。
【0017】
本発明はHydroformer多層による一次成形技術を用いて、支持層、充填材層及び/又は緻密層においてそれぞれ独立してスラリー製造を行い、それぞれの特定のサイジング濃度、流路流量で同じ領域で積層しながら抄造し成形し、かつ特定の温度で乾燥させ、金属ロールとソフトロールによるカレンダー処理を行うことで、本発明の耐高温リチウムイオン電池用セパレーターを得て、ここでは、スプレッダーにおいて、油圧式圧力制御は本発明の特定の高速スラリー流に合わせて、本発明の特定の構造及び特定の濃度を有するスラリーを、固定素子の断面変化又は幾何的寸法変化を制御することにより、高強度の微動を発生させ、自由表面を除去し、繊維スラリーと充填材粒子の分散に有利である。その後、油圧式成形機において、多層原料を均一に成形し緊密に結合させ、高温でのセパレーターの寸法安定性を向上させる。流量と濃度を制御することにより多層原料への制御を実現し、本発明のセパレーター構造と繊維原料及び無機充填材の特定の組み合わせに加えて、本発明の特定構造において、本発明が選択したナノ繊維及び無機充填材粒子の耐熱性、高い比表面積特性、及び本発明の特定の極細幹繊維、熱可塑性接着繊維の補強作用を最大限に発揮することができ、また、セパレーターの耐熱性、孔径及び強度性能をより効率的かつ柔軟に調整することができ、より薄い耐高温リチウムイオン電池用セパレーターを製造するために、信頼できる技術保障を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1】本発明により製造されたリチウムイオン電池用セパレーターの外観を模式的に示す図である。
図2】本発明により製造されたリチウムイオン電池用セパレーターの外観を模式的に示す図である。
図3】本発明に採用されたHydroformer三層の構造を模式的に示す図である。図中、Aはスプレッダー、Bは整流領域、Cは成形領域、Dは成形後の湿式抄造シートである。
図4】本発明に採用したHydroformer二層の構造を模式的に示す図である。図中、Aはスプレッダー、Bは整流領域、Cは成形領域、Dは成形後の湿式抄造シートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、具体例に合わせて本発明をさらに詳細に説明する。本発明が提供する実施例は、本発明の範囲を限定するものではなく、単に本発明を説明するためのものに過ぎないことを理解されたい。
【0020】
以下に示す実施例で具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常の条件に従うか、製造業者が提案する条件に従うことが一般的である。特に定義されていない限り、ここで用いられる全ての専門用語と科学用語は、当業者が熟知している意味と同じである。また、記載される内容と類似しているか均等である方法及び材料は、全て本発明の方法に適用することができる。ここで記載されるような好ましい実施方法及び材料は、例示的なものとしてのみ使用される。
【0021】
本発明に使用されるHydroformer多層傾斜網成形機は、油圧式圧力制御、散布及び整流用素子を有し、マルチ流路設計を採用しているが、ここでは、実施例1~11、14~20、23~25が図3に示される。Hydroformer三層を用いて製造されたリチウムイオン電池用セパレーターの外観は図1に示される。製造例12、13、21、22が図4に示される。Hydroformer二層を用いて製造されたリチウムイオン電池用セパレーターの外観は図2に示される。
【0022】
以下の実施例1~25及び比較例1~15は、一部の繊維材料を用いてリチウムイオン電池用セパレーターを製造した例のみを示し、本発明の明細書に挙げた他の繊維材料及びそれらの組み合わせにより、本発明のリチウムイオン電池用セパレーターを製造してもよい。
【0023】
実施例1
支持層と、緻密層と充填材層との3層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表1に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0024】
ステップa:支持層、緻密層及び充填材層の原料を表1に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、緻密層及び充填材層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.026wt%まで希釈し、スラリー1を得て、緻密層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.040wt%まで希釈し、スラリー2を得て、充填材層の原料を固体質量パーセント濃度0.140wt%まで希釈し、スラリー3を得る。
【0025】
ステップb:成形機におけるフィンの位置を調整し、成形ネットに近接する流路:中間層流路:上層流路の断面積比を7:2:1に制御し、希釈された各層のスラリーをそれぞれHydroformer三層油圧式傾斜網成形機に送り込み、ここでは、スラリー1は成形ネットに近接する流路に入り、流路流量が700m/hであり、スラリー2は中間層流路に入り、流路流量が200m/hであり、スラリー3は上層流路に入り、流路流量が100m/hであり、整流後、三層で同時に抄造成形を行い、脱水処理を経て湿式抄造シートを得る。
【0026】
ステップc:ステップbで得られた湿式抄造シートをヤンキーシリンダで120℃の条件下で乾燥し、セパレーターの乾式抄造シートを得る。
【0027】
ステップd:ステップcで得られた乾式抄造シートを190℃の温度で金属ロールとソフトロールによる熱間カレンダー処理を経て、リチウムイオン電池用セパレーターを得る。
【0028】
実施例2
支持層と、緻密層と充填材層との3層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表1に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0029】
ステップa:支持層、緻密層及び充填材層の原料を表1に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、緻密層及び充填材層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.031wt%まで希釈し、スラリー1を得て、緻密層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.020wt%まで希釈し、スラリー2を得て、充填材層の原料を固体質量パーセント濃度0.140wt%まで希釈し、スラリー3を得る。
【0030】
ステップb、ステップc及びステップdは、実施例1と同じである。
【0031】
実施例3、4
支持層と、充填材層と緻密層との3層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表1に示すとおりであり、その製造方法は実施例2と同じである。
【0032】
実施例5
支持層と、緻密層と充填材層との3層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表1に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0033】
ステップa:支持層、緻密層及び充填材層の原料を表1に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、緻密層及び充填材層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.023wt%まで希釈し、スラリー1を得て、緻密層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.020wt%まで希釈し、スラリー2を得て、充填材層の原料を固体質量パーセント濃度0.100wt%まで希釈し、スラリー3を得る。
【0034】
ステップb、ステップc及びステップdは、実施例1と同じである。
【0035】
実施例6
支持層と、緻密層と充填材層との3層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表1に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0036】
ステップa:支持層、緻密層及び充填材層の原料を表1に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、緻密層及び充填材層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.049wt%まで希釈し、スラリー1を得て、緻密層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.020wt%まで希釈し、スラリー2を得て、充填材層の原料を固体質量パーセント濃度0.100wt%まで希釈し、スラリー3を得る。
【0037】
ステップb、ステップc及びステップdは、実施例1と同じである。
【0038】
実施例7
支持層と、緻密層と充填材層との3層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表1に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0039】
ステップa:支持層、緻密層及び充填材層の原料を表1に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、緻密層及び充填材層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.030wt%まで希釈し、スラリー1を得て、緻密層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.048wt%まで希釈し、スラリー2を得て、充填材層の原料を固体質量パーセント濃度0.100wt%まで希釈し、スラリー3を得る。
【0040】
ステップb:成形機におけるフィンの位置を調整し、成形ネットに近接する流路:中間層流路:上層流路の断面積比を4:5:1に制御し、希釈された各層のスラリーをそれぞれHydroformer三層油圧式傾斜網成形機に送り込み、ここでは、スラリー1は成形ネットに近接する流路に入り、流路流量が400m/hであり、スラリー2は中間層流路に入り、流路流量が500m/hであり、スラリー3は上層流路に入り、流路流量が100m/hであり、整流後、三層で同時に抄造成形を行い、脱水処理を経て湿式抄造シートを得る。
【0041】
ステップc及びステップdは、実施例1と同じである。
【0042】
実施例8
支持層と、緻密層と充填材層との3層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表1に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0043】
ステップa:支持層、緻密層及び充填材層の原料を表1に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、緻密層及び充填材層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.023wt%まで希釈し、スラリー1を得て、緻密層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.020wt%まで希釈し、スラリー2を得て、充填材層の原料を固体質量パーセント濃度0.380wt%まで希釈し、スラリー3を得る。
【0044】
ステップb、ステップc及びステップdは、実施例1と同じである。
【0045】
実施例9
支持層と、緻密層と充填材層との3層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表1に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0046】
ステップa:支持層、緻密層及び充填材層の原料を表1に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、緻密層及び充填材層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.040wt%まで希釈し、スラリー1を得て、緻密層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.020wt%まで希釈し、スラリー2を得て、充填材層の原料を固体質量パーセント濃度0.100wt%まで希釈し、スラリー3を得る。
【0047】
ステップb、ステップc及びステップdは、実施例1と同じである。
【0048】
実施例10、11
支持層と、充填材層と緻密層との3層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表1に示すとおりであり、その製造方法は実施例7と同じである。
【0049】
実施例12
支持層と、充填材層との2層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表1に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0050】
ステップa:支持層、充填材層の原料を表1に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、充填材層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.032wt%まで希釈し、スラリー1を得て、充填材層の原料を固体質量パーセント濃度0.064wt%まで希釈し、スラリー2を得る。
【0051】
ステップb:成形機におけるフィンの位置を調整し、成形ネットに近接する流路:上層流路の断面積比を5:5に制御し、希釈された各層のスラリーをそれぞれHydroformer二層油圧式傾斜網成形機に送り込み、ここでは、スラリー1は成形ネットに近接する流路に入り、流路流量が500m/hであり、スラリー2は上間層流路に入り、流路流量が500m/hであり、整流後、二層で同時に抄造成形を行い、脱水処理を経て湿式抄造シートを得る。
【0052】
ステップc及びステップdは、実施例1と同じである。
【0053】
実施例13
支持層と、充填材層との2層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表1に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0054】
ステップa:支持層、充填材層の原料を表1に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、充填材層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.040wt%まで希釈し、スラリー1を得て、充填材層の原料を固体質量パーセント濃度0.047wt%まで希釈し、スラリー2を得る。
【0055】
ステップb:成形機におけるフィンの位置を調整し、成形ネットに近接する流路:上層流路の断面積比を7:3に制御し、希釈された各層のスラリーをそれぞれHydroformer二層油圧式傾斜網成形機に送り込み、ここでは、スラリー1は成形ネットに近接する流路に入り、流路流量が700m/hであり、スラリー2は上間層流路に入り、流路流量が300m/hであり、整流後、二層で同時に抄造成形を行い、脱水処理を経て湿式抄造シートを得る。
【0056】
ステップc及びステップdは、実施例1と同じである。
【0057】
実施例14
支持層と、緻密層と充填材層との3層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表1に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0058】
ステップa:支持層、緻密層及び充填材層の原料を表1に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、緻密層及び充填材層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.031wt%まで希釈し、スラリー1を得て、緻密層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.020wt%まで希釈し、スラリー2を得て、充填材層の原料を固体質量パーセント濃度0.180wt%まで希釈し、スラリー3を得る。
【0059】
ステップb、ステップc及びステップdは、実施例1と同じである。
【0060】
実施例15、16
支持層と、充填材層と緻密層との3層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表1に示すとおりであり、その製造方法は実施例1と同じである。
【0061】
実施例17、18、19、20、23~25
支持層と、緻密層と充填材層との3層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表1に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0062】
ステップa及びステップbは、実施例2と同じである。
【0063】
ステップc:ステップbで得られた湿式抄造シートをヤンキーシリンダで90℃の温度で乾燥し、セパレーターの乾式抄造シートを得る。
【0064】
ステップd:ステップcで得られた乾式抄造シートを120℃の条件下で金属ロールとソフトロールによる熱間カレンダー処理を経て、リチウムイオン電池用セパレーターを得る。
【0065】
実施例21、22
支持層と、充填材層との2層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表1に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0066】
ステップa:支持層、充填材層の原料を表1に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、充填材層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.031wt%まで希釈し、スラリー1を得て、充填材層の原料を固体質量パーセント濃度0.06wt%まで希釈し、スラリー2を得る。
【0067】
ステップb:成形機におけるフィンの位置を調整し、成形ネットに近接する流路:上層流路の断面積比を7:3に制御し、希釈された各層のスラリーをそれぞれHydroformer二層油圧式傾斜網成形機に送り込み、ここでは、スラリー1は成形ネットに近接する流路に入り、流路流量が700m/hであり、スラリー2は上間層流路に入り、流路流量が300m/hであり、整流後、二層で同時に抄造成形を行い、脱水処理を経て湿式抄造シートを得る。
【0068】
ステップc及びステップdは、実施例1と同じである。
【0069】
比較例1
支持層の1層構造からなるリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表2に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0070】
ステップa:支持層の原料を表2に示した組成となるように、離解機で水と混合し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで離解し、続いて、支持層の原料をファンポンプで希釈し、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.018wt%まで希釈して、スラリー1を得る。
【0071】
ステップb:希釈されたスラリーをHydroformer油圧式傾斜網成形機に送り込み、流路流量が1000m/hであり、整流と脱水処理を経て、湿式抄造シートを得る。
【0072】
ステップc:ステップbで得られた湿式抄造シートをヤンキーシリンダで120℃の条件下で乾燥し、セパレーターの乾式抄造シートを得る。
【0073】
ステップd:ステップcで得られた乾式抄造シートを190℃の温度で金属ロールとソフトロールによる熱間カレンダー処理を経て、リチウムイオン電池用セパレーターを得る。
【0074】
比較例2
支持層と、緻密層との2層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表2に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0075】
ステップa:支持層、緻密層の原料を表2に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、緻密層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.026wt%まで希釈し、スラリー1を得て、緻密層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.027wt%まで希釈し、スラリー2を得る。
【0076】
ステップb:成形機におけるフィンの位置を調整し、成形ネットに近接する流路:上層流路の断面積比を7:3に制御し、希釈された各層のスラリーをそれぞれHydroformer二層油圧式傾斜網成形機に送り込み、ここでは、スラリー1は成形ネットに近接する流路に入り、流路流量が700m/hであり、スラリー2は上間層流路に入り、流路流量が300m/hであり、整流後、二層で同時に抄造成形を行い、脱水処理を経て湿式抄造シートを得る。
【0077】
ステップc:ステップbで得られた湿式抄造シートをヤンキーシリンダで120℃の条件下で乾燥し、セパレーターの乾式抄造シートを得る。
【0078】
ステップd:ステップcで得られた乾式抄造シートを190℃の温度で金属ロールとソフトロールによる熱間カレンダー処理を経て、リチウムイオン電池用セパレーターを得る。
【0079】
比較例3
支持層と、充填材層との2層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表2に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0080】
ステップa:支持層、充填材層の原料を表2に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、充填材層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.026wt%まで希釈し、スラリー1を得て、充填材層の原料を固体質量パーセント濃度0.047wt%まで希釈し、スラリー2を得る。
【0081】
ステップb:成形機におけるフィンの位置を調整し、成形ネットに近接する流路:上層流路の断面積比を7:3に制御し、希釈された各層のスラリーをそれぞれHydroformer二層油圧式傾斜網成形機に送り込み、ここでは、スラリー1は成形ネットに近接する流路に入り、流路流量が700m/hであり、スラリー2は上間層流路に入り、流路流量が300m/hであり、整流後、二層で同時に抄造成形を行い、脱水処理を経て湿式抄造シートを得る。
【0082】
ステップc及びステップdは、比較例1と同じである。
比較例4
支持層と、緻密層と充填材層との3層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表2に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0083】
ステップa:支持層、緻密層及び充填材層の原料を表2に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、緻密層及び充填材層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.026wt%まで希釈し、スラリー1を得て、緻密層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.030wt%まで希釈し、スラリー2を得て、充填材層の原料を固体質量パーセント濃度0.100wt%まで希釈し、スラリー3を得る。
【0084】
ステップb:成形機におけるフィンの位置を調整し、成形ネットに近接する流路:中間層流路:上層流路の断面積比を7:2:1に制御し、希釈された各層のスラリーをそれぞれHydroformer三層油圧式傾斜網成形機に送り込み、ここでは、スラリー1は成形ネットに近接する流路に入り、流路流量が700m/hであり、スラリー2は中間層流路に入り、流路流量が200m/hであり、スラリー3は上層流路に入り、流路流量が100m/hであり、整流後、三層で同時に抄造成形を行い、脱水処理を経て湿式抄造シートを得る。
【0085】
ステップc及びステップdは、比較例1と同じである。
【0086】
比較例5
支持層と、緻密層と充填材層との3層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表2に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0087】
ステップa:支持層、緻密層及び充填材層の原料を表2に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、緻密層及び充填材層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.029wt%まで希釈し、スラリー1を得て、緻密層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.020wt%まで希釈し、スラリー2を得て、充填材層の原料を固体質量パーセント濃度0.100wt%まで希釈し、スラリー3を得る。
【0088】
ステップb、ステップc及びステップdは、比較例4と同じである。
【0089】
比較例6
支持層と、緻密層と充填材層との3層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表2に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0090】
ステップa:支持層、緻密層及び充填材層の原料を表2に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、緻密層及び充填材層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.031wt%まで希釈し、スラリー1を得て、緻密層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.010wt%まで希釈し、スラリー2を得て、充填材層の原料を固体質量パーセント濃度0.100wt%まで希釈し、スラリー3を得る。
【0091】
ステップb、ステップc及びステップdは、比較例4と同じである。
【0092】
比較例7
支持層と、充填材層との2層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表2に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0093】
ステップa:支持層、充填材層の原料を表2に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、緻密層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.029wt%まで希釈し、スラリー1を得て、充填材層の原料を固体質量パーセント濃度0.047wt%まで希釈し、スラリー2を得る。
【0094】
ステップb、ステップc及びステップdは、比較例3と同じである。
【0095】
比較例8
支持層と、充填材層との2層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表2に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0096】
ステップa:支持層、充填材層の原料を表2に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、緻密層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.045wt%まで希釈し、スラリー1を得て、充填材層の原料を固体質量パーセント濃度0.070wt%まで希釈し、スラリー2を得る。
【0097】
ステップb:成形機におけるフィンの位置を調整し、成形ネットに近接する流路:上層流路の断面積比を4:1に制御し、希釈された各層のスラリーをそれぞれHydroformer二層油圧式傾斜網成形機に送り込み、ここでは、スラリー1は成形ネットに近接する流路に入り、流路流量が800m/hであり、スラリー2は上間層流路に入り、流路流量が200m/hであり、整流後、二層で同時に抄造成形を行い、脱水処理を経て湿式抄造シートを得る。
【0098】
ステップc及びステップdは、比較例1と同じである。
【0099】
比較例9
支持層と、緻密層と充填材層との3層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表2に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0100】
ステップa:支持層、緻密層及び充填材層の原料を表2に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、緻密層及び充填材層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.040wt%まで希釈し、スラリー1を得て、緻密層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.043wt%まで希釈し、スラリー2を得て、充填材層の原料を固体質量パーセント濃度0.100wt%まで希釈し、スラリー3を得る。
【0101】
ステップb:成形機におけるフィンの位置を調整し、成形ネットに近接する流路:中間層流路:上層流路の断面積比を3:6:1に制御し、希釈された各層のスラリーをそれぞれHydroformer三層油圧式傾斜網成形機に送り込み、ここでは、スラリー1は成形ネットに近接する流路に入り、流路流量が300m/hであり、スラリー2は中間層流路に入り、流路流量が600m/hであり、スラリー3は上層流路に入り、流路流量が100m/hであり、整流後、三層で同時に抄造成形を行い、脱水処理を経て湿式抄造シートを得る。
【0102】
ステップc及びステップdは、比較例1と同じである。
【0103】
比較例10
支持層と、緻密層と充填材層との3層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表2に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0104】
ステップa:支持層、緻密層及び充填材層の原料を表2に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、緻密層及び充填材層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.031wt%まで希釈し、スラリー1を得て、緻密層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.050wt%まで希釈し、スラリー2を得て、充填材層の原料を固体質量パーセント濃度0.080wt%まで希釈し、スラリー3を得る。
【0105】
ステップb、ステップc及びステップdは、比較例4と同じである。
【0106】
比較例11
支持層と、充填材層との2層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表2に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0107】
ステップa:支持層、充填材層の原料を表2に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、充填材層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.023wt%まで希釈し、スラリー1を得て、緻密層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.147wt%まで希釈し、スラリー2を得る。
【0108】
ステップb、ステップc及びステップdは、比較例3と同じである。
【0109】
比較例12、13
支持層と、緻密層と充填材層との3層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表2に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0110】
ステップa:支持層、緻密層及び充填材層の原料を表2に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、緻密層及び充填材層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.046wt%まで希釈し、スラリー1を得て、緻密層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.020wt%まで希釈し、スラリー2を得て、充填材層の原料を固体質量パーセント濃度0.100wt%まで希釈し、スラリー3を得る。
【0111】
ステップb、ステップc及びステップdは、比較例4と同じである。
【0112】
比較例14、15
支持層と、緻密層と充填材層との3層構造からなる一次成形のリチウムイオン電池用セパレーターであり、その組成は表2に示すとおりであり、その製造方法は以下のとおりである。
【0113】
ステップa:支持層、緻密層及び充填材層の原料を表2に示した組成となるように、それぞれ独立して離解機で水と混合し、離解し、固体質量パーセント濃度0.2wt%まで叩解し、続いて、支持層、緻密層及び充填材層の原料をそれぞれファンポンプで希釈し、ここでは、支持層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.043wt%まで希釈し、スラリー1を得て、緻密層の繊維原料を固体質量パーセント濃度0.020wt%まで希釈し、スラリー2を得て、充填材層の原料を固体質量パーセント濃度0.100wt%まで希釈し、スラリー3を得る。
【0114】
ステップb、ステップc及びステップdは、比較例4と同じである。
【0115】
【0116】
注:a)延伸PET繊維の直径は2μmで、長さは3mmである。
b)PAN繊維の直径は2μmで、長さは3mmである。
c)PA繊維の直径は2μmで、長さは3mmである。
d)未延伸PET繊維の直径は4μmで、長さは3mmである。
e)二成分PET/co-PET繊維の直径は4μmで、長さは3mmである。
f)二成分PP/PE繊維の直径は4μmで、長さは3mmである。
g)フィブリル化リヨセルナノ繊維の叩解度は95°SRである(オーストリアLenzing社)。
h)フィブリル化PPTAナノ繊維の叩解度は85°SRである(米国デュポン社Kevlar(登録商標))。
i)フィブリル化PBOナノ繊維の叩解度は85°SRである(日本Toyobo社)。
j)フィブリル化PANナノ繊維の叩解度は85°SRである。
k)アルミナナノ粒子の平均直径は200nmである。
l)シリカナノ粒子の平均直径は200nmである。
m)ベーマイトナノ粒子の平均直径は200nmである。
n)水酸化マグネシウムナノ粒子の平均直径は200nmである。
【0117】
【0118】
注:a)延伸PET繊維の直径は2μmで、長さは3mmである。
b)未延伸PET繊維の直径は4μmで、長さは3mmである。
c)フィブリル化リヨセルナノ繊維の叩解度は95°SRである(オーストリアLenzing社)。
d)フィブリル化PPTAナノ繊維の叩解度は85°SRである(米国デュポン社Kevlar(登録商標))。
e)アルミナナノ粒子の平均直径は200nmである。
【0119】
リチウムイオン電池用セパレーターの性能試験
実施例1~25及び比較例1~15で製造されたリチウムイオン電池用セパレーターに対して性能試験を行い、その試験項目及び試験方法は以下のとおりである。
1、坪量、厚さ及び引張強さ
TAPPI標準に基づいて測定する。
2、平均孔径及び最大孔径
PMIポロメーターを用いて測定する。
3、熱収縮率
セパレーターの一定温度での寸法安定性はセパレーターの熱安定性を示すことができ、一般的には熱収縮率で表す。以下の方法でセパレーターの熱収縮率を測定する。
まず、セパレーターを一辺の長さLの正方形に切り取り、続いてセパレーターをそれぞれ110℃、300℃の環境で1hに放置してからセパレーターの一辺の長さLを測定し、以下の式により収縮率を算出する。
収縮率(%)=(L-L)/L×100
4、セパレーターの強度保持
セパレーターを300℃の環境で1h放置してから取り出し、セパレーターの強度保持は以下の基準で評価する。
○:セパレーターを10回折り畳むと、破断しない。
△:セパレーターを2~10回折り畳むと、破断する。
×:セパレーターを1回折り畳むと、破断する。
【0120】
【0121】
注:本発明のリチウムイオン電池用セパレーターは110℃での熱収縮率が0である。
【0122】
【0123】
表3から分かるように、本発明の実施例1~25により得られたリチウムイオン電池用セパレーターは厚さが30μm以下であり、支持層、充填材層及び/又は緻密層を含む多層構造からなる。セパレーターは最大孔径が1μm未満であり、強度が600N/m超え、充填材粒子が脱落する現象がなく、110℃での熱収縮率が0で、300℃で1h処理した後に依然として良好な強度を有し、熱収縮率が3%未満であり、優れた熱安定性を有する。
【0124】
表4から分かるように、比較例1はPET繊維のみで製造され、セパレーターの空隙が大きく、しかも300℃では、セパレーターが溶融し、比較例2は無機ナノ充填材を使わないため、隔膜孔径が大きくなり、300℃で1h処理した後に熱収縮率が3%超え、比較例3はナノ繊維を使わないため、PET繊維の成形空隙が大きく、無機ナノ充填材粒子を効果的に保持することができず、製造されたセパレーターにピンホールが存在し、孔径が大きく、しかも300℃でセパレーターは融解し、比較例4、5、6及び7において、ナノ繊維の使用量の和は4g/m未満で、無機ナノ充填材粒子の成形部への付着量が減少し、繊維層に対して効果的な被覆を形成できないため、セパレーターの孔径が大きくなり、坪量の流失が大きい。比較例8、9、11、14、15におけるセパレーターの厚さは30μm超え、電池の体積エネルギー密度の制御に不利である。比較例10における充填材層の無機粒子の使用量は5g/m未満で、繊維層に対して効果的な被覆を形成できないため、セパレーターの孔径が大きくなる。比較例12と比較例13におけるPET繊維の使用量が少なすぎるため、セパレーターの強度要件を満たすことができない。
【0125】
本明細書に記載の発明は、特定の方法論、実験プロトコル、又は試薬に限定されるものではなく、これらは変化可能であるからであることを理解されたい。本明細書で提供される記述及び実例は、単に特定の実施形態の提示を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義されるものである。
図1
図2
図3
図4