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特許7042346伸縮式レバーアセンブリを備えるコネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】伸縮式レバーアセンブリを備えるコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/629 20060101AFI20220317BHJP
【FI】
H01R13/629
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020534894
(86)(22)【出願日】2018-11-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2018082593
(87)【国際公開番号】W WO2019129453
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-06-22
(31)【優先権主張番号】102017223810.0
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】シャームバッハ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】プレツ,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ライニンガー,トービアス
(72)【発明者】
【氏名】フェルトマイアー,ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】スツェーラグ,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー,フランツ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィボルク,オーレ
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-135371(JP,A)
【文献】特開平11-329579(JP,A)
【文献】特開2009-259442(JP,A)
【文献】特開平06-243928(JP,A)
【文献】特開2010-003526(JP,A)
【文献】特開2004-335286(JP,A)
【文献】特表2008-541354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/629
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ(1)であって、
前記コネクタ(1)は、
- 接続方向(22)に沿って相補コネクタ(11)に連結するための連結面(23)と、
- コネクタハウジング(2)と、
- 前記相補コネクタ(11)に連結するための少なくとも2つのレバー(6)を含むレバーアセンブリ(4)とを備え、
前記レバー(6)は、回転軸(20)の周りで旋回可能に前記コネクタハウジング(2)に保持され、
前記回転軸(20)は、前記接続方向(22)に対して略垂直に延び、
前記少なくとも2つのレバー(6)は、前記接続方向(22)の少なくとも1つの位置(78)で、前記回転軸(20)から離れる方向へ延び、
前記少なくとも2つのレバー(6)はそれぞれ、少なくとも1つの伸長部(12)を備え、前記伸長部(12)は、対応する前記レバー(6)に対して可動であり、前記レバーアセンブリ(4)を伸長状態(38)で前記回転軸(20)から離れる方向へ伸長させることを特徴とする、
コネクタ(1)。
【請求項2】
前記伸長部(12)は、前記レバーアセンブリ(4)の伸長状態(38)および/または非伸長状態(80)で前記レバー(6)に掛止されることを特徴とする、
請求項1に記載のコネクタ(1)。
【請求項3】
前記伸長部(12)は前記レバー(6)に摺動可能に取り付けられることを特徴とする、
請求項1または2に記載のコネクタ(1)。
【請求項4】
前記レバー(6)と前記伸長部(12)とが、入れ子状に伸縮自在に格納可能なアセンブリを形成することを特徴とする、
請求項1から3のいずれか一項に記載のコネクタ(1)。
【請求項5】
前記レバーアセンブリ(4)は、前記レバー(6)に対する前記伸長部(12)の可動性を制限するための少なくとも1つの止め(50)を備えることを特徴とする、
請求項1から4のいずれか一項に記載のコネクタ(1)。
【請求項6】
前記レバー(6)の数は、2つである、
請求項1から4のいずれか一項に記載のコネクタ(1)。
【請求項7】
前記レバー(6)および/または前記伸長部(12)は、少なくとも1つの位置(78)で前記接続方向(22)に略平行に延びることを特徴とする、
請求項1から6のいずれか一項に記載のコネクタ(1)。
【請求項8】
少なくとも非伸長状態(80)において、前記伸長部(12)は、前記少なくとも1つの位置(78)で前記コネクタハウジング(2)と反対側を向く面(13)に配置されることを特徴とする、
請求項1から7のいずれか一項に記載のコネクタ(1)。
【請求項9】
前記伸長部(12)は、前記レバー(6)の少なくとも1つの側縁部(34)を把持する少なくとも1つのフック状締結部(35)を備えることを特徴とする、
請求項1から8のいずれか一項に記載のコネクタ(1)。
【請求項10】
前記伸長部(12)は、把持補助(67)を有する外方に湾曲した把持面(66)を備えることを特徴とする、
請求項1から9のいずれか一項に記載のコネクタ(1)。
【請求項11】
前記レバーアセンブリ(4)は、前記相補コネクタ(11)に連結するための連結レバー(8)を備え、前記連結レバー(8)は、前記少なくとも1つの位置(78)で、前記レバー(6)に対して前記コネクタハウジング(2)側へ旋回可能であることを特徴とする、
請求項1から10のいずれか一項に記載のコネクタ(1)。
【請求項12】
前記レバーアセンブリ(4)は少なくとも1つの窓(32)を備え、前記少なくとも1つの位置(78)で前記窓(32)に前記連結レバー(8)が配置されることを特徴とする、
請求項11に記載のコネクタ(1)。
【請求項13】
前記連結レバー(8)は、前記連結レバー(8)を厚くする少なくとも1つの隆起(26)を有することを特徴とする、
請求項11または12に記載のコネクタ(1)。
【請求項14】
前記レバーアセンブリ(4)の少なくとも非伸長状態(80)において、前記連結レバー(8)は前記伸長部(12)によって少なくとも部分的に覆われることを特徴とする、請求項11から13のいずれか一項に記載のコネクタ(1)。
【請求項15】
前記レバーアセンブリ(4)は、前記レバーアセンブリ(4)の旋回を防止するための少なくとも1つのロック機構を備えることを特徴とする、
請求項1から14のいずれか一項に記載のコネクタ(1)。
【請求項16】
前記少なくとも2つのレバー(6)は互いに対向するように前記コネクタハウジング(2)に配置され、前記相補コネクタ(11)を部分的に覆う略円筒状のジャケット(58)を形成する、
請求項1から15のいずれか一項に記載のコネクタ(1)。
【請求項17】
前記コネクタハウジング(2)は、前記連結面で前記接続方向に沿って延びる少なくとも1つの安定柱(104)を備え、
前記少なくとも1つの安定柱は、前記相補コネクタ(11)を半径方向に安定させるように構成されていることを特徴とする、
請求項1から16のいずれか一項に記載のコネクタ(1)。
【請求項18】
前記少なくとも1つの安定柱(104)は、前記少なくとも1つの位置(78)で、前記レバーアセンブリ(4)の外周と略同一平面上にあることを特徴とする、
請求項17に記載のコネクタ(1)。
【請求項19】
前記少なくとも1つの位置(78)で、前記コネクタハウジング(2)と前記レバーアセンブリ(4)との間に少なくとも部分的に間隙(154)が設けられることを特徴とする、
請求項1から18のいずれか一項に記載のコネクタ(1)。
【請求項20】
前記間隙(154)は、そのようなコネクタ(1)で使用するためのワイヤ(118)よりも、前記接続方向(22)の幅が大きいことを特徴とする、
請求項19に記載のコネクタ(1)。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載のコネクタ(1)と、
前記連結面(23)に面する端面(120)を有する相補コネクタ(11)とを備え、
前記相補コネクタ(11)は、前記コネクタハウジング(2)に前記接続方向(22)で少なくとも部分的に挿入されるように構成されていることを特徴とする、
コネクタアセンブリ(150)。
【請求項22】
前記相補コネクタ(11)は、少なくとも1つのワイヤ(118)を前記接続方向(22)に対して垂直に保持するための少なくとも1つのワイヤホルダ(122)を備える、
請求項21に記載のコネクタアセンブリ(150)。
【請求項23】
前記相補コネクタ(11)は、ケーブル(116)のシールドに接触するように構成されている、少なくとも1つの弾性的および/または半径方向にたわみ可能なシールドコンタクト(128)を備え、
前記少なくとも1つのシールドコンタクト(128)は、少なくとも1つの位置(78)で窓(32)から突出することを特徴とする、
請求項21または22に記載のコネクタアセンブリ(150)。
【請求項24】
前記相補コネクタ(11)は、前記ケーブル(116)の前記シールドに接触するように構成されている、弾性的および/または半径方向にたわみ可能な少なくとも1つの副シールドコンタクト(134)を備え、
前記少なくとも1つの副シールドコンタクト(134)は、前記少なくとも1つの位置(78)で前記レバーアセンブリ(4)に当接することを特徴とする、
請求項23に記載のコネクタアセンブリ(150)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続方向に沿って相補コネクタに連結するための連結面と、コネクタハウジングと、相補コネクタに連結するための少なくとも1つのレバーを含むレバーアセンブリとを備え、レバーは回転軸の周りで旋回可能にコネクタハウジングに保持され、回転軸は接続方向に対して略垂直に延び、少なくとも1つのレバーは、接続方向の少なくとも1つの位置で回転軸から離れて延びる、コネクタに関する。さらに、本発明は、そのようなコネクタと、連結面に面する端面を有する相補コネクタとを備え、相補コネクタは、コネクタハウジングに接続方向で少なくとも部分的に挿入されるように構成されている、コネクタアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタまたは相補コネクタは、コンタクトピンで終端する複数のワイヤを備えており、このコンタクトピンを、相補コネクタまたはコネクタのそれぞれのソケットに挿入しなければならない。シングルコンタクトピンの数が増加すると、コネクタを相補コネクタに連結するために必要な差込力も増加する。さらに、ワイヤ絶縁体がコネクタによって変位する圧接コネクタなどの一般的なコネクタの適用においては、大きい差込力が必要である。
【0003】
差込力が大きい場合、ユーザがコネクタを相補コネクタに連結できないことがある。特に限られた空間では、取扱いがより困難になるため、コネクタおよび/または相補コネクタの連結も困難になる。さらに、コネクタが占める空間はできるだけ小さいことが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、限られた空間でも身体的な負担が少なく(low physical effort)簡単に連結することができ、製造が容易で、連結状態において占める空間ができるだけ小さい、コネクタおよび/またはコネクタアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、レバーに対して可動であり、かつレバーアセンブリを伸長状態で回転軸から離れる方向へ伸長させる少なくとも1つの伸長部をレバーアセンブリに設けることによって、上記コネクタおよび/またはコネクタアセンブリに関する課題が解決される。
【0006】
本発明のコネクタおよび/またはコネクタアセンブリによれば、レバーアームを伸長部によって伸長させることができるため、限られた空間でもユーザが大きい軸方向力を実現することができる。レバーアームが長いほど、大きいトルクを身体的な負担を少なくして実現することができ、相補コネクタとの連結中に、このトルクを連結方向への大きい軸方向力に変換することができる。非伸長状態では、レバーアセンブリは小さい空間を占めるだけである。したがって、本発明のコネクタは、最小限の空間を有する連結に特に適している。
【0007】
本発明を以下の特徴によってさらに改良することができる。これらの特徴は、それぞれの技術的効果に関して互いに独立しており、任意に組み合わせることができる。
【0008】
第1の有利な実施形態によれば、レバーアセンブリの伸長状態および/または非伸長状態で、伸長部をレバーに掛止することができる。掛止により、伸長部は伸長状態または非伸長状態のそれぞれに保持され、レバーに対する意図しない動きが防止される。掛止は、例えば、伸長状態または非伸長状態のそれぞれにおいて開口部を貫通する突起によって実現することができるが、これに限定されない。一実施形態において、突起をレバーに配置することができ、伸長部は開口部を備えることができる。別の実施形態において、伸長部は突起を備え、レバーは開口部を備え、少なくとも1つの状態でこの開口部に突起を掛止することができる。
【0009】
レバーに対する伸長部の動きを可能にするために、伸長部をレバーに摺動可能に配置することができる。あるいはまたは加えて、伸長部をレバーにヒンジ留めすることができる。これにより、必要なときに伸長部を容易に折り畳み、かつ広げることができる。伸長部を最大180°に広げて、レバーアームを直線状に伸長させ、力の衝撃によって伸長部がさらに外方へ広がらず、力がレバーに伝達されるようにすることができると好ましい。あるいは、レバーアセンブリは、広げた状態で伸長部をロックするロックを備えることができる。これにより、伸長部を広げることのできる角度を、ユーザが条件に応じて自由に構成することができる。ロック後、伸長部に加わる力はレバーに伝達され、最終的に、連結された相補コネクタに伝達される。
【0010】
さらに有利な実施形態において、レバーと伸長部とは入れ子状に伸縮自在に格納可能なアセンブリを形成することができる。これにより、レバーアセンブリを必要に応じて伸長させることができ、レバーアセンブリは非伸長状態において最小限の空間を占めることができる。あるいはまたは加えて、伸長部またはレバーはキャビティを備えることができ、非伸長状態においてレバーおよび伸長部をそれぞれ少なくとも部分的にこのキャビティに挿入することができる。
【0011】
レバーに対する伸長部の可動性を制限するために、レバーアセンブリは、少なくとも1つの止めを備えることができる。止めは、レバーおよび伸長部のそれぞれの外縁部を把持することができる。止めは窪みを備え、レバーに対する伸長部の意図しない動きを防止するために突起をこの窪みに嵌め込むことができると好ましい。
【0012】
別の有利な実施形態によれば、伸長部をレバーに繰り返し取り付け可能に形成することができる。伸長部は別個の部品であることが好ましい。これにより、伸長部を容易に交換する可能性が広がる。さらに、伸長部を、レバーを伸長させるために必要であれば取り付けることができ、その後で取り外して、コネクタが最小限の空間を占めるようにすることができる。
【0013】
レバーアセンブリを、接続方向の周りで少なくとも部分的に湾曲させることができる。少なくとも1つの位置で、レバーアセンブリはハウジングとして機能することができ、このハウジングは、連結部を覆い、ならびに連結配置において相補コネクタを少なくとも部分的に覆い、接続方向に対して半径方向に及ぼされる外部の影響から相補コネクタを保護する。
【0014】
さらに有利な実施形態によれば、少なくとも非伸長状態において、伸長部を、少なくとも1つの位置でコネクタハウジングと反対側を向くレバーの面に少なくとも部分的に配置することができる。あるいは、伸長部を、少なくとも非伸長状態において、少なくとも1つの位置でコネクタハウジングに面したレバーの面に少なくとも部分的に配置することができる。
【0015】
別の有利な実施形態によれば、伸長部は、レバーの少なくとも1つの側縁部を把持する少なくとも1つのフック状締結部を備えることができる。締結部は、伸長部の側縁部に位置することが好ましい。フック状締結部により、伸長部とレバーとの簡単な組立てが可能になる。フック状締結部は、サドル滑り面(saddle slideway)として機能して、レバーに対する伸長部の動きを案内し、伸長部が側部側に回転することを防止することができる。あるいは、少なくとも1つのフック状締結部をレバーの少なくとも1つの側縁部に配置し、フック状締結部が伸長部の少なくとも1つの側縁部を把持することができる。
【0016】
伸長部の取扱いを簡単にするために、伸長部は把持補助を有する把持面を備えることができる。把持補助を、例えば、リッフル(riffle)の形で実現することができる。把持補助により、伸長部を1本の指のみで取り扱うことができる。
【0017】
別の有利な実施形態において、レバーは窓を備えることができ、この窓を伸長部の突起が貫通し、突起が窓の内縁部に押し付けられると、伸長部が内外へ動くことを阻止する。
【0018】
レバーアセンブリは、レバーアセンブリを相補コネクタに少なくとも接続方向に連結するための連結レバーを備えることができる。連結レバーは、回転軸から離れた点でレバーに取り付けられることが好ましい。
【0019】
さらに有利な実施形態によれば、レバーと連結レバーとを2つの部品で構成することができ、これにより、連結レバーは、レバーに対してコネクタハウジングに向かう方向へ旋回可能である。別々の部品を有するアセンブリは、材料のたわみ、したがって摩耗を減少させることができるため、有利である。さらに、連結レバーの簡単な交換が可能である。
【0020】
簡単かつ費用効率の高い製造のために、レバーと連結レバーとを一体部品の要素とすることができる。
【0021】
空間を節約するために、連結レバーを、少なくとも1つの位置で、レバーおよび/または伸長部の窓に少なくとも部分的に配置することができる。これにより、レバーアセンブリは、例えば連結状態で、接続方向へ半径方向外方に不要に広げられることがない。
【0022】
さらなる実施形態によれば、連結レバーを略平面に形成することができる。その結果、連結レバーは可撓性で、相補コネクタに連結されたときにレバーに加わる力を軸方向力に変換することができる。これにより、連結レバーは、連結状態で弾性変形可能な板ばねとして作用する。
【0023】
連結レバーが連結状態で弾性変形すると、連結方向への恒久的な力によってコネクタと相補コネクタとの連結を維持することができる。
【0024】
さらなる実施形態において、連結レバーは、連結レバーとレバーとの間に変形領域(deformation zone)を含むことができる。この変形領域により、連結レバーを相補コネクタに連結するように曲げることができる。さらに、変形領域は、連結レバーの変形の場所を決めるために高い可撓性を有することができる。変形領域は、連結レバーの残りの部分と比べて小さい材料厚さを有することができる。あるいはまたは加えて、変形領域における連結レバーの横断面を、連結レバーがレバーに取り付けられる点と比べて小さくすることができる。
【0025】
変形領域外での連結レバーの意図しない変形を防止するために、連結レバーは、少なくとも1つの位置で、コネクタハウジング側の面および/またはコネクタハウジングと反対側の面に、より大きい材料厚さを有する部分を含むことができる。これは、例えば隆起によって実現することができる。材料厚さが大きいと、この部分の安定性が高まるため、より材料厚さの小さい変形領域で変形が生じる。連結レバーを相補コネクタに連結するために相補コネクタ側へ向ける必要がある場合に、隆起はユーザのための作動面としてさらに機能することができる。
【0026】
レバーアセンブリは、少なくとも1つの位置、好ましくはレバーアセンブリが接続方向に平行に延びる位置に、少なくとも1つの放射状円周ジャケットを形成することが好ましい。このジャケットは、連結部を外部の影響から保護し、かつ小型である。
【0027】
意図せず開くことを防止するために、レバーアセンブリは、少なくとも1つの位置でレバーをロックするための少なくとも1つのロック機構を備えることができる。ロック機構を、例えば、噛合フックとして形成することができる。レバーアセンブリは、ロック可能位置で接続方向に平行に配置されることが好ましい。
【0028】
本発明の別の有利な実施形態によれば、コネクタは、連結面で接続方向に沿って延びる少なくとも1つの安定柱を備えることができ、この安定柱は、相補コネクタを半径方向に固定する、かつ/または安定させるように構成されている。案内柱は、特に相補コネクタのワイヤが非対称に配置される場合に、ねじり応力を補償することができる。例えば、ワイヤが相補コネクタの端面から半径方向に突出しており、相補コネクタをコネクタハウジングに挿入するときにワイヤが適切な長さに切断される場合、相補コネクタはワイヤの非対称の配置によって傾斜することがある。案内柱が相補コネクタを半径方向に安定させることによって、そのような傾斜運動を防止することができる。安定柱を、金属ダイカスト片などの堅牢性の高い剛性材料から形成することができると好ましい。
【0029】
コネクタハウジングは、少なくとも1つの位置で、少なくとも部分的にレバーアセンブリの陰になることができる。特に、連結面は、少なくとも1つの位置で、少なくとも部分的にレバーアセンブリの陰になることができる。これは、連結面が、少なくとも1つの位置で、少なくとも部分的にレバーアセンブリを越えて半径方向に突出しないことを意味する。コネクタハウジング、特に安定柱は、少なくとも1つの位置で、レバーアセンブリの外周と略同一平面上にあり得ることが好ましい。少なくとも1つの位置におけるレバーアセンブリの外周は、少なくとも部分的に、コネクタハウジングの外面、特に安定柱と略同一平面上にあり得る。この配置により、安定柱に大きい材料厚さ、したがって高い堅牢性を与えることができる。さらに、少なくとも1つの位置で、コネクタは、レバーアセンブリによりコネクタ受入面に環状形状を有する。
【0030】
別の例示的実施形態によれば、少なくとも1つの位置で、コネクタハウジングとレバーアセンブリとの間に少なくとも部分的に間隙を設けることができる。間隙は、コネクタハウジングとレバーアセンブリとの間で少なくとも部分的に接続方向へ延びることができる。間隙を、ソケットとレバーアセンブリとの間に設けることができると好ましい。間隙は、特に、そのようなコネクタで使用するためのワイヤの直径と、少なくとも接続方向に同じ幅であり得る。したがって、レバーアセンブリを少なくとも1つの位置へ旋回させながらワイヤを適切な長さに切断すると、余分なワイヤが間隙から突出することができ、レバーアセンブリを再び開く必要なくワイヤをつまみ取ることができる。したがって、この間隙を設けることにより、より容易な設置を実現することができる。
【0031】
相補コネクタは、ワイヤマネージャ(wire manager)であり得ることが好ましい。ワイヤマネージャは、少なくとも1つのワイヤ、好ましくは2対または4対のワイヤ、特にツイストペアのワイヤを所定の位置で端面に保持することができる。したがって、端面をソケットに挿入すると、少なくとも1つのワイヤを、コネクタの対応するコンタクト、例えば圧接コンタクトで終端させることができる。
【0032】
相補コネクタは、接続方向に対して垂直な少なくとも1つのワイヤを端面に保持することができると好ましい。このために、相補コネクタは、少なくとも1つのワイヤを所定の位置に保持および/または固定する少なくとも1つのワイヤホルダを備えることができる。少なくとも1つのワイヤホルダは、接続方向に対して垂直に開くことができるため、少なくとも1つのワイヤを相補コネクタの端面で接続方向に対して垂直に配置することができる。
【0033】
少なくとも1つのワイヤホルダを、コネクタのソケットに挿入する前に間隙に配置することができる。したがって、ワイヤの余分な長さ、すなわち相補コネクタから半径方向に突出するワイヤの部分が、曲がることなく間隙を通って突出することができる。少なくとも1つのワイヤの余分な長さを切断すると、少なくとも1つのワイヤの可撓性絶縁体により、切断部分がコネクタアセンブリに付着したままとなる。したがって、切断部分を手で、または道具を使用して除去する必要がある。ワイヤホルダをソケットに挿入することによりワイヤの余分な長さを切断する前に、ワイヤホルダを間隙に配置することにより、コネクタアセンブリに損傷を与えることなく、コネクタアセンブリを切り離す必要なく、またはレバーアセンブリを少なくとも1つの位置から離れる方へ旋回させることなく、切断部分を容易に除去することができる。
【0034】
コネクタハウジングは、ソケットに受け入れられるリング状の内側ハウジングを備えることができる。内側ハウジングを電気絶縁材料から形成することができ、内側ハウジングは、相補コネクタの端面に面する少なくとも1つの切刃を備えることができる。したがって、内側ハウジングは、端面をソケットに挿入する間にワイヤを適切な長さに切断し、少なくとも1つのワイヤを電気的に絶縁することができる。あるいは、切刃をセラミック材料から形成することができ、または金属刃として形成することもできる。この場合、絶縁機構を設けて、相補コネクタがコネクタハウジングに接続されるときに、少なくとも1つのワイヤを確実に電気的に絶縁することができるようにする。
【0035】
内側ハウジングは、接続方向に沿って相補コネクタ側へ延びる少なくとも1つのガイド機構を備えることができる。相補コネクタは、少なくとも1つのガイド機構を受け入れるための少なくとも1つの相補ガイドスロットを備えることができる。少なくとも1つのガイド機構は、コネクタアセンブリを符号化して、コネクタと相補コネクタとの正確な相対回転位置を決めることができるようにしてもよい。
【0036】
少なくとも1つのガイド機構を安定柱の半径方向内側に配置して、安定柱がガイド機構を安定させ、相補コネクタをソケットに挿入する間にガイド機構が半径方向に弾性変形および/またはたわむことを防止するようにしてもよい。したがって、相補コネクタをソケットに挿入する間に非対称な力配分があるときに、相補コネクタの傾斜を防止することができる。
【0037】
少なくとも1つのガイド機構は、半径方向外方を向く面に窪みを有することができ、少なくとも1つの安定柱は、少なくとも部分的に窪みに位置することができる。したがって、少なくとも1つの安定柱は、ねじり力に対してガイド機構をさらに安定させることができる。したがって、安定柱により、コンタクトと相補コンタクトとの接続中における前記コンタクト同士の相対回転を防止することができる。
【0038】
コネクタアセンブリは、相補コネクタのケーブルのシールドに接触するように構成されている、少なくとも1つの半径方向および弾性的にたわみ可能なシールドコンタクトを備えることができる。ケーブルのシールドは、編組シールドおよび/または箔張シールドであり得ることが好ましい。少なくとも1つのシールドコンタクトは、少なくとも1つの位置で窓から突出して、コネクタアセンブリに少なくとも部分的に嵌めることのできる外殻に直接接触することができるようになっていてもよい。したがって、コネクタアセンブリは360°シールド機構を備えることができる。
【0039】
加えてまたは代替として、コネクタアセンブリは、半径方向および弾性的にたわみ可能な少なくとも1つの副シールドコンタクトを備えることができる。副シールドコンタクトは、相補コネクタのケーブルの、好ましくは編組シールドおよび/または箔張シールドに接触するように構成されている。少なくとも1つの副シールドコンタクトは、少なくとも1つの位置でレバーアセンブリに接触することができる。少なくとも1つの副シールドコンタクトは、少なくとも1つの位置で連結レバーに接触し、ケーブルの編組シールドおよび/または箔張シールドに押し付けられて、編組シールドおよび/または箔張シールドを有する平面コンタクトを形成することができると好ましい。
【0040】
レバーアセンブリを導電性材料から形成して、副シールドコンタクトを、レバーアセンブリを介して間接的に外殻に接続することができる。例えば、外方に湾曲する把持面および/または把持補助が、外側スリーブの内壁に当接することができる。
【0041】
以下で、有利な例示的実施形態を示す添付図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。図示した有利な発展および実施形態は、互いに独立し、適用の場合に応じて任意に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】伸長状態にある本発明のコネクタの概略斜視図である。
図2】伸長状態にある本発明のコネクタのさらなる概略斜視図である。
図3】非伸長状態にある図1および図2の本発明のコネクタの概略斜視図である。
図4】本発明によるコネクタの第2の実施形態の概略斜視図である。
図5】本発明によるコネクタアセンブリの相補コネクタの実施形態の概略斜視図である。
図6】本発明によるコネクタアセンブリの概略斜視図である。
図7図6に示すコネクタアセンブリの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1および図2はそれぞれ、本発明によるコネクタ1の概略斜視図である。コネクタ1は、コネクタハウジング2と2つのレバー6を含むレバーアセンブリ4とを備え、レバー6は互いに対向してコネクタハウジング2に配置されている。
【0044】
コネクタハウジング2は、その連結面23aにソケット7を備え、図2に概略的に示す相補コネクタ11をこのソケット7に挿入することができる。
【0045】
各レバー6は、くびれ(necking)9を有する連結レバー8をさらに備え、このくびれ9は、連結レバー8とレバー6との間に変形領域10を形成する。変形領域10は、その隣接する周囲と比べて高い可撓性を有する弾性的変形可能な部分であり、連結中に連結レバー8に加わる力効果よる変形の場所を決めるように機能する。レバーアセンブリ4は伸長部12をさらに備え、この伸長部12は、対向するレバー6と反対側を向く、レバー6のそれぞれの面13に配置される。
【0046】
レバー6は構造的に同一であるため、図中の参照符号は2つのレバー6のうちの一方のみに示される。
【0047】
図1および図2は、レバー6と連結レバー8とが一体の実施形態を示す。図示しない実施形態では、連結レバー8を、ヒンジ(図示せず)を介してレバー6に旋回可能に取り付けてもよい。2部品の実施形態(図示せず)では、変形領域は不要である。
【0048】
図1および図2のレバーアセンブリ4は開状態14を示し、レバー6がソケット7に対して鋭角で配置されている。
【0049】
レバー6は各々、接続方向22に対して略垂直に延びる回転軸20の周りで旋回可能な取付部16により、コネクタハウジング2の受入ポケット18に取り付けられる。さらに、レバー6はコネクタ1の連結面23から離れて延びる。レバー6は取付部16にガイド窓72を備え、このガイド窓72をガイド74が貫通する。これにより、レバー6が旋回中に横方向へ回転することを防止する。
【0050】
連結レバー8は各々、相補コネクタ11に連結可能な自由端24を有する。このために、相補コネクタ11は半径方向に回転する突起29を備える。連結レバー8の自由端24を、ソケット7と反対側を向く面31に接続方向22で締結して、力42によってレバーアーム40に加わるトルクを相補コネクタ11に伝達し、このトルクを接続方向22に作用する軸方向力に変換することができる。
【0051】
さらに、連結レバー8は各々、対向する連結レバー8側の面27および対向する連結レバー8と反対側を向く面13に、連結レバー8を厚くする隆起26を有する。隆起26により厚さが増加することによって、変形領域10外の連結レバー8の変形を防止することができ、これにより、連結レバー8の形状安定性がさらに高まる。
【0052】
レバー6および伸長部12は凹形状28を有し、レバー6および伸長部12の凹面30は、基本的に対向するレバー6および伸長部12側を向く。さらに、レバー6は各々、連結レバー8が配置される窓32を備える。
【0053】
伸長部12は、凹面30側に内方へフック状に変形したガイド溝36を有する締結部35を側縁部34に備え、このガイド溝36は各々、レバー6の側縁部34を把持する。これにより、伸長部12をレバー6に取り付けることができ、ガイド溝36によるガイドの下で、図1および図2に示すように伸長部12をコネクタハウジング2から離れて伸長状態38へ押す、または図3に示すように非伸長状態80に押し込むことができる。
【0054】
伸長状態38で、レバーアセンブリ4は、より長いレバーアーム40を有する。コネクタ1と相補コネクタ11との連結中、レバーアーム40に加わる力42を、少なくとも相補コネクタ11に接続方向22で連結される連結レバー8によって伝達することができる。レバーアーム40の長さが増加するにつれて、必要な力42が減少する。
【0055】
レバー6は、接続方向22に略平行に配置される(図3参照)まで、加わる力42によってコネクタハウジング2側に内方へ旋回する。その際に、レバーアセンブリ4は、コネクタ1のソケット7を少なくとも部分的に覆うジャケット58を形成する。
【0056】
凹面30において、伸長部12は、レバー6の窓32内に突出する留め具44をコネクタハウジング2の近位端25に備える。これにより、最大伸長状態38で留め具44が窓32の内縁部46に当接するため、伸長部12の引出しが制限される。
【0057】
さらに、伸長部12は、コネクタハウジング2の遠位における自由端24の外縁部48に、略U字形の止め50を備える。この止め50は凹面30側へ延び、その開口部52がコネクタハウジング2側を向く。凹面30に位置する止め50の面54は切欠き56を含み、レバー6の自由端24で凹面30に位置する突出部76をこの切欠き56に挿入することができる。
【0058】
伸長部12は、接続方向11に対して垂直な略U字形横断面を有して形成され、これにより、アーム62はレバー6を把持するガイド溝36を備え、アームの接続部64は伸長部12の自由端24を形成し、把持面66として機能する。把持面66には把持補助67が形成され、この把持補助67は、対向するレバー6と反対側を向く面13で外方へ弓状になったリッフル68の形である。リッフル68により、把持が強まり、伸長部12を1本の指のみで容易に内外へ摺動させることができる。アーム62と伸長部12との間の切抜き部70により、窓32に配置された連結レバー8に手が届く。
【0059】
図3は、図1および図2に示すコネクタ1を閉位置78で示す。さらに、レバーアセンブリ4が非伸長状態80にある。伸長部12は、止め50まで後退している。止め50は各々、レバー6の対応する外縁部48を把持する。これにより、突出部76が対応する切欠き56に配置されて掛止されるため、伸長部12から意図せず動くことを防止することができる。対向する伸長部12はガイド切欠き36により互いに当接し、コネクタ1のソケット7を覆う。
【0060】
図示しない実施形態において、伸長部12は各々、閉位置78で互いに噛み合うフック(図示せず)を備え、これにより、レバーアセンブリ4の旋回運動を防止することができる。さらに、レバーアセンブリ4によってコネクタ1と相補コネクタ11との連結を固定することができる。
【0061】
非伸長状態80で、レバーアセンブリ4は、小さい空間しか占めないため、空間が限られた、大きい挿入力を必要とする適用に特に適している。
【0062】
図4は、本発明のコネクタ1の第2の実施形態を示す。第1の実施形態と比較すると、レバー6は、レバー6の側面92、すなわち湾曲形状の頂部に隣接する面に凹部90を有する。凹部90は、回転軸20に近接する、それぞれのレバー6の近位端94に設けられる。レバー6が接続方向22に沿って回転軸20から離れて連結面23の方向へ延びる閉位置78で、レバー6とコネクタハウジング2との間で接続方向22に延びる間隙(図6または図7参照)を設けることができる。
【0063】
コネクタハウジング2は、ソケット7内にリング状の内側ハウジング96を少なくとも部分的に受け入れることができる。内側ハウジング96をセラミック材料および/または樹脂などの電気絶縁材料から形成することができ、内側ハウジング96は、相補コネクタ11をソケット7に挿入する間に相補コネクタ11の少なくとも1つのワイヤを適切な長さに切断するための少なくとも1つの切刃98を備えることができる。リング状の内側ハウジング96は八角形であり、少なくとも1つの切刃98は、相補コネクタ11に面する内側ハウジング96の内縁部100によって形成される。この例示的実施形態において、内側ハウジング96は8個の切刃98を備え、これらの切刃98は八角形の交互の面に対で配置される。言い換えると、八角形の1つおきの面が2つの切刃98を有する。
【0064】
内側ハウジング96は少なくとも1つのガイド機構102を備え、このガイド機構102は、相補コネクタ11のガイドスロットに挿入されるように構成されているソケット7から離れて接続方向22へ延びる。ガイド機構102は、切刃98を備えていない八角形の面から延び、相補コネクタ11をコネクタ1に対して所定の回転位置のみで挿入することができるように、コネクタ1を符号化(code)する。この例示的実施形態において、2つのガイド機構102が互いに正反対に配置される。
【0065】
コネクタハウジング2は、ガイド機構102に平行に延びてガイド機構102を安定させる2つの安定柱(stabilizing post)104をさらに備える。ガイド機構102に力が加わる場合に、前記ガイド機構102の半径方向へのたわみが安定柱104により防止される。少なくとも安定柱104をダイカストによって形成することができ、安定柱104は金属などの堅牢な材料を含むことができる。あるいは、コネクタハウジング2をダイカストによって形成することができる。コネクタハウジング2と少なくとも1つの安定柱104とを互いに一体に形成してもよい。コネクタハウジング2、特に安定柱104の半径方向の材料厚さは、コネクタハウジング2、特に安定柱104の外面106が、閉位置78でレバーアセンブリ4の外周と略同一平面上にあるようになっている。
したがって、コネクタハウジング2、特に安定柱104が、内側ハウジング96および/またはコネクタハウジング2自体の変形を防止するのに十分堅牢かつ剛性であることが確実になる。
【0066】
レバーの凹部90により、コネクタハウジング2、特に安定柱104が接続方向22に沿ってさらに延びて、ソケット7の深さを増加させ、さらに内側ハウジング96を接続方向22に沿って収容することができる。したがって、内側ハウジング96がコネクタハウジング2により深く挿入されるほど、コネクタハウジング2による内側ハウジング96の安定性がさらに高まる。
【0067】
ガイド機構102は、半径方向外方を向く面110に窪み108を有することが好ましい。安定柱104は、対応する窪み108に位置して、ガイド機構102を半径方向だけでなく周方向にも安定させるようにすることができる。したがって、材料厚さの大きい堅牢な安定柱104により、非対称の挿入力配分であっても、コネクタ1と相補コネクタ11との安定した接続を形成することができる。
【0068】
図5は、相補コネクタ11の例示的実施形態の概略斜視図である。相補コネクタ11は、接続方向22に沿って延びるワイヤマネージャ112として形成される。ワイヤマネージャ112は、中空管状本体114として形成される。ケーブル116を、中空本体114に接続方向22に挿入することができる。ケーブル116は少なくとも1つのワイヤ118を含み、このワイヤ118は、中空本体114から接続方向22に突出し、接続方向22に対して垂直に配置されたワイヤマネージャ112の端面120に配置される。端面120は、少なくとも1つのワイヤ118を所定の位置に保持するように構成され、内側ハウジング96に挿入されるように構成される。この例示的実施形態において、ケーブル116は4対のツイストワイヤ118を含む。
しかしながら、異なる実施形態も可能であり、特にケーブルは2対のツイストワイヤ118を含む。端面120は内側ハウジング96に相補的に形成され、対のツイストワイヤ118は対の切刃98に対向して配置され、すなわち、八角形の1つおきの面に対のツイストワイヤ118を配置することができる。したがって、対のツイストワイヤを対称の十字形に配置することができる。
【0069】
しかしながら、ケーブル116が2対のツイストワイヤ118のみを含む場合、この2対のツイストワイヤ118を非対称に配置することも可能であり、すなわち、2対が互いに正反対に配置されない。
【0070】
端面120は、ワイヤ118を端面120に保持し固定するためのワイヤホルダ122を備える。ワイヤホルダ122は略U字形の座部124として形成され、ワイヤ118を対応する座部124のスロット126に挿入して、ワイヤ118が接続方向22に対して略垂直に配置されるようにすることができる。ワイヤ118は、端面120の縁部127から半径方向に突出する。図6および図7を参照して詳細に後述するように、端面120を内側ハウジング96に挿入する間に、ワイヤ118の突出部分を切断しなければならない。
【0071】
さらに、相補コネクタ11は、ケーブル116の編組シールドおよび/または箔張シールド(図示せず)に接触する少なくとも1つのシールドコンタクト128を備える。シールドコンタクト128は、半径方向および弾性的にたわみ可能であり、中空本体114から半径方向に突出する台座130に少なくとも部分的に位置する。したがって、シールドコンタクト128は、コネクタアセンブリの連結部に嵌めることのできる外殻132に接触して、360°シールドすることができる。
【0072】
少なくとも1つのシールドコンタクト128に加えて、相補コネクタ11は、弾性的および/または半径方向にたわみ可能な少なくとも1つの副シールドコンタクト134をさらに備え、この副シールドコンタクト134を、少なくとも部分的にケーブル116の編組シールドおよび/または箔張シールドに巻き付けることができる。レバーアセンブリ4が副シールドコンタクト134に当接して、副シールドコンタクト134をケーブル116の編組シールドおよび/または箔張シールドに押し付けるように、少なくとも1つの副シールドコンタクト134を形成することにより、ケーブル116の編組シールドおよび/または箔張シールドの平面分散コンタクトを実現するようにしてもよい。
【0073】
少なくとも1つの副シールドコンタクト134を、レバーアセンブリ4を介して外殻132に接続することができる。
【0074】
ワイヤマネージャ112は、ガイド機構102に相補的に形成されたガイドスロット136をさらに備えることにより、コネクタ1と相補コネクタ11との接続を確立している間、ガイド機構102をガイドスロット136に受け入れることができる。
【0075】
以下で、図6および図7を参照しながら、コネクタ1と相補コネクタ11との機能および相互作用について説明する。
【0076】
図6および図7は、本発明によるコネクタアセンブリ150の概略斜視図である。図6および図7に示すコネクタアセンブリ150の例示的実施形態は、図4を参照して説明した本発明のコネクタ1と、図5を参照して説明した相補コネクタ11とを備える。
【0077】
図6において、レバーアセンブリ4が開位置14にある、すなわち、レバーが接続方向22に略平行に配置されていないコネクタ1が示される。
【0078】
図6に見られるように、相補コネクタ11の端面120を内側ハウジング96に挿入する必要がある。しかしながら、ワイヤ118が端面120の縁部127から突出しており、挿入中に適切な長さに切断する必要がある。したがって、コネクタ1を相補コネクタ11に連結するために必要な軸方向の挿入力が、さらに増加する。これは、ユーザがコネクタ1と相補コネクタ11とを連結するために必要な力を与えることができない狭い空間で、特に問題になり得る。
【0079】
相補コネクタ11との連結が小さい力および小さい空間要件で行われるコネクタ1を提供するために、コネクタ1は、可動伸長部12が取り付けられた少なくとも1つのレバー6を含むレバーアセンブリ4を備える。伸長したレバーアーム40によって、トルクを発生させるために必要な力42がより小さくなる。このトルクを、コネクタ1を相補コネクタ11に連結するための軸方向力に変換することができる。
【0080】
連結レバー8の自由端24は、ソケット7と反対側を向く台座130の面31に当接し、かつ/または掛止され、これにより、相補コネクタ11に連結される。力42を伸長部12に加えることにより、レバー6は、接続方向22に略平行に配置されるまで、回転軸20の周りで旋回する。この動きの間、連結レバー8は相補コネクタ11を接続方向22に押して、端面120をソケット7に挿入する。
【0081】
縁部127は、切刃98と共に剪断アセンブリ152を形成する。縁部127は切刃98を通り過ぎて滑り、ワイヤ118の余分な長さが剪断されるようになっている。
【0082】
内側ハウジング96の半径方向の変形を、コネクタハウジング2によって防止することができる。特に、安定柱104が、ガイド機構102の半径方向および/または周方向のたわみを防止することにより、相補コネクタ11の傾斜またはねじりを防止することができる。これは、ワイヤ118が所望の終端構成により端面120に対称に配置されていないときに、特に適切である。例えば、ケーブル116は、オルト配置またはメタ配置で位置する2対のツイストワイヤ118を含むことがある。そのため、相補コネクタ11は、抵抗が小さいことにより、対のツイストワイヤなしで対向面側へ傾斜し得る。しかしながら、安定柱104がガイド機構102を押すことによって、この傾斜運動を防止することができる。
【0083】
レバー6を閉位置78へ旋回させる間、副シールドコンタクト134は連結レバー8に当接し、ケーブル116の編組シールドおよび/または箔張シールドに押し付けられる。
【0084】
レバーアセンブリ4は、導電性材料によって形成されることが好ましい。
【0085】
その後、レバーアセンブリ4が閉位置78になると、ワイヤ118の突出部分が切断され、コネクタ1と相補コネクタ11とが正しく連結される。しかしながら、ワイヤ絶縁体の弾性により、ワイヤ118の切断部分は、コネクタアセンブリ150から単に落下することはない。それどころか、切断部分はコネクタアセンブリ150に付着したままであり、手でかつ/または道具、例えばプライヤ(図7参照)を使用して除去しなければならない。
【0086】
コネクタ1の有利な実施形態によれば、レバーアセンブリ4とコネクタハウジング2との間、特にレバーアセンブリ4と内側ハウジング96との間に延びる間隙154が形成される。間隙154は、レバーアセンブリ4の凹部90によって形成され、少なくとも部分的にレバーアセンブリ4の周囲に沿って延びることができる。レバーアセンブリ4と内側ハウジング96との間の間隙154の、接続方向22の幅は、そのようなコネクタアセンブリ150で使用するワイヤ118の直径より大きい。
【0087】
ワイヤ118は、間隙154を半径方向に通って突出するように配置される。これは、ワイヤホルダ122が、内側ハウジング96に挿入される直前に、間隙154内に開くことによって実現することができる。したがって、ワイヤ118の切断部分が、ワイヤ118を曲げることなく間隙154から突出することができるため、切断部分を手でかつ/または道具を使用して容易につまみ取ることができる。したがって、ワイヤ118の切断部分を除去するために、レバー6を開位置に旋回させてコネクタ1と相補コネクタ11とを互いに切り離す必要がない。
【0088】
図7において少なくとも1つの位置、すなわち閉位置78で見られるように、台座130が窓32を通って突出して、台座に部分的に配置されたシールドコンタクト128が、閉位置78でレバーアセンブリ4の外周を越えて延びるようになっている。副シールドコンタクト134は、連結レバー8によって編組シールドおよび/または箔張シールドに押し付けられる。レバーアセンブリ4は導電性材料から形成されることが好ましく、これにより、レバーアセンブリ4は、副シールドコンタクト134を、レバーアセンブリの連結部に嵌めることのできる外殻132に電気的に結合することができる。シールドコンタクト128は、外殻132に直接接触することができる。
【0089】
閉位置78で、伸長部12を後退させて、レバーアセンブリ4が非伸長状態80になり、したがって多くの空間を占めないようにすることができる。レバーアセンブリ4を開く必要なしに、切断されたワイヤ118をつまみ取ることができ、外殻132をコネクタアセンブリ150の連結部に嵌めて、コネクタアセンブリ150をシールドするコネクタハウジング2にねじ接続により固定することができるため、連結部を外部の影響から保護し、さらにレバー6が閉位置78から旋回することを阻止する。外殻132は、張力緩和のための機構を備えることができる。
【符号の説明】
【0090】
1 コネクタ
2 コネクタハウジング
4 レバーアセンブリ
6 レバー
7 ソケット
8 連結レバー
9 くびれ
10 変形領域
11 相補コネクタ
12 伸長部
13 対向するレバーと反対側を向く面
14 開位置
16 締結部
18 受入ポケット
20 回転軸
22 接続方向
24 自由端
25 端部
26 隆起
27 対向するレバー側の面
28 凹形状
30 凹面
31 ソケットと反対側を向く面
32 窓
34 側縁部
35 締結部
36 ガイド溝
38 伸長状態
40 レバーアーム
42 力
44 留め具
46 内縁部
48 外縁部
50 止め
52 開口部
54 面
56 切欠き
58 ジャケット
60 連結部
62 アーム
64 アームの接続部
66 把持面
67 把持補助
68 リッフル
70 切抜き部
72 ガイド窓
74 ガイド
76 突出部
78 閉位置
80 非伸長状態
90 凹部
92 側面
94 近位端
96 内側ハウジング
98 切刃
100 内縁部
102 ガイド機構
104 安定柱
106 外面
108 窪み
110 半径方向外方を向く面
112 ワイヤマネージャ
114 中空本体
116 ケーブル
118 ワイヤ
120 端面
122 ワイヤホルダ
124 座部
126 スロット
127 縁部
128 シールドコンタクト
130 台座
132 外殻
134 副シールドコンタクト
150 コネクタアセンブリ
152 剪断アセンブリ
154 間隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7