(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】折り畳み式輸送コンテナ
(51)【国際特許分類】
B65D 90/08 20060101AFI20220317BHJP
B65D 88/52 20060101ALI20220317BHJP
B65D 6/26 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
B65D90/08 F
B65D88/52
B65D6/26 A
(21)【出願番号】P 2020538138
(86)(22)【出願日】2019-04-04
(86)【国際出願番号】 SK2019050003
(87)【国際公開番号】W WO2020204840
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2020-07-23
(73)【特許権者】
【識別番号】520246618
【氏名又は名称】ユニパス エスピーオーエル エスアールオー
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】カラ、マロス
【審査官】武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】実開平2-74252(JP,U)
【文献】特開2008-74496(JP,A)
【文献】特表平11-504300(JP,A)
【文献】実開平5-3609(JP,U)
【文献】特開2002-321734(JP,A)
【文献】実開平5-19128(JP,U)
【文献】特開2007-119031(JP,A)
【文献】特表2003-518471(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0194382(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 90/08
B65D 88/52
B65D 6/16-6/26
B65D 19/06-19/20
F16B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料、物品、および他の貨物の輸送を主として目的とする折り畳み式輸送コンテナであって、底部と、側面直立部(2、3)を有するサイドパネルとを備え、これらのパネルは底部の縁とのピボットリンクと、ロック/リリース機構(1)とを有し、ロック/リリース機構は、折り畳み式輸送コンテナの外側寸法を超えず、第1サイドパネルの側面直立部(2)の内側に配置され、留め金(5)を有するレバー(4)と、ばね(6)とを含み、レバー(4)は、レバー(4)の一端が第1サイドパネルの側面直立部(2)の孔1(8)内に配置されるように、固定軸(7)を使用して第1サイドパネルの側面直立部(2)の内側に回転式に配置され、レバー(4)の他端は、第1サイドパネルの側面直立部(2)の孔2(9)内に配置される留め金(5)に固定連結されており、隣接するサイドパネルの側面直立部(3)は開口(10)が設けられ、その形状及び寸法は留め金(5)の形状及び寸法に適合して、留め金(5)と一平面内にあり、ばね(6)はレバー(4)に連結され、レバー
(4
)の一端を側面直立部
(2
)の孔1(8)を通して押さえると、レバー
(4
)は固定軸
(7
)を中心に回転し、側面直立部
(2
)の内側に側面直立部
(2
)の孔2(9)から留め金
(5
)を完全に挿入させ、レバー
(4
)の一端をリリースすると、ばね
(6
)の動作は、側面直立部
(2
)の孔2(9)を突き抜けて留め金
(5
)を、隣接するサイドパネルの側面直立部
(3
)の開口
(10
)に押し込む、
折り畳み式輸送コンテナ。
【請求項2】
レバー(4)は、2つの対向する斜壁(13、14)で接続された2つの対向し互いにオフセットした壁(11、12)を含み、壁(11)は側面直立部(2)の孔1(8)に隣接し、壁(12)の外側の端部には留め金(5)が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の折り畳み式輸送コンテナ。
【請求項3】
レバー(4)の2つの対向する斜壁(13、14)は、固定軸(7)の配置のための2つの対向する開口(15、16)を含むことを特徴とする請求項1に記載の折り畳み式輸送コンテナ。
【請求項4】
直立部(2)の壁は、固定軸(7)を配置するための1つの開口(17)または2つの開口(17)を含み、レバー(4)は、開口(17)がレバー(4)の対向する斜壁(13、14)の開口(15、16)と1つの平面内にあるように配置されることを特徴とする請求項2乃至3のいずれかに記載の折り畳み式輸送コンテナ。
【請求項5】
留め金(5)は楔形であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の折り畳み式輸送コンテナ。
【請求項6】
突起(18)が壁(12)の内側に配置され、ばね(6)は、ばね(6)に形成されたループを介して突起(18)に取り付けられることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の折り畳み式輸送コンテナ。
【請求項7】
固定軸(7)は、キャリングシャフトであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の折り畳み式輸送コンテナ。
【請求項8】
第1サイドパネルの側面直立部(2)には安全支持部(19)が設けられ、第1サイドパネルに隣接するサイドパネルの側面直立部(3)には安全支持部(19)の反対側にある開口(20)が設けられ、この開口(20)は安全支持部(19)の形状及び寸法に適合した形状及び寸法により安全支持部(19)の挿入用であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の折り畳み式輸送コンテナ。
【請求項9】
ばね(6)は、可撓性鋼で作られていることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の折り畳み式輸送コンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術的解決策は、主に材料、物品、および他の貨物の輸送を目的とする折り畳み式輸送コンテナに関し、輸送分野に属する。
【背景技術】
【0002】
現在、大量の材料、物品、および他の貨物は、水上輸送、道路輸送、鉄道輸送、および航空輸送を使用して、コンテナに梱包されて輸送されている。個々の容器は、互いにすぐ隣り合って配置され、それによって、輸送中および貯蔵中両方の空間を最小限にすることが望ましい。空のコンテナを保管または輸送するとき、空のコンテナによって占められる空間の容積が最小限に抑えられることも望ましい。これは、容器を折り畳むことによって達成することができる。
【0003】
現在使用されている輸送コンテナは、例えば、プラスチックまたは金属の壁を使用した金属製のプロファイルで作られている。このような輸送コンテナを折り畳む現在知られている状態は、引き抜かれるとコンテナの側壁の直立部の一部をリリースし、それによってコンテナの直立部の折り畳みまたは側壁の折り畳みを可能にする引き抜き可能なプルロッド(引き棒)の使用に基づいている。この公知の解決策の欠点は引き抜き可能なプルロッドが輸送コンテナの外壁から突出し、輸送コンテナを互いにすぐ隣に又は後ろに配置することを不可能にし、貯蔵又は輸送に必要な空間を増大させることである。別の欠点は、操作中に、引き抜き可能なプルロッドが動かなくなるか、または破壊さえされることである。それらの破壊は、容器を可能な限り互いに接近させて配置した場合にも起こる。引き抜き可能なプルロッドを使用することの別の欠点は、引き抜きに必要な物理的な力が大きいことである。
【0004】
米国特許8261924には折り畳みの航空コンテナが記載されており、このコンテナは、標準底部と、底部にスライド可能にヒンジ結合されたサイドパネルと、サイドパネルと連動する底部にヒンジ結合された背面パネルとを備えている。しかしながら、この特許文献では、サイドパネルと背面パネルとのロック/リリース機構の構成上の問題が解決されていない。
【発明の概要】
【0005】
前述の欠点は、主に材料、物品、および本発明による他の貨物の輸送を目的とする折り畳み式輸送コンテナによって取り除かれ、その原理は、本発明による埋め込みロック/リリース機構によって提供される輸送コンテナの折り畳みと展開に基づく。
【0006】
主に材料、物品、およびその他の貨物の輸送に使用することを目的とした折り畳み式輸送コンテナには、底部、側面直立部を有するサイドパネルが含まれ、サイドパネルには底部の縁とのピボットリンクが設けられている。また、折り畳み式輸送コンテナは、第1サイドパネルの側面直立部の内側に位置するロック/リリース機構を含む。ロック/リリース機構には、留め金付きレバーとばねがある。このレバーは、固定軸を用いて第1サイドパネルの側面直立部の内側に回転式に配置され、レバーの一端が第1サイドパネルの側面直立部の孔1内に配置される一方、レバーの他端が第1サイドパネルの側面直立部の孔2内に配置される留め金に固定された連結を有する。隣接するサイドパネルの側面直立部には、第1サイドパネルの側面直立部に配置され、その形状および寸法が留め金の形状および寸法に適合し、留め金と一平面内で整列する開口が設けられている。ばねはレバーに連結されている。
【0007】
留め金は楔形であってもよく、これは、主に、材料および物品の輸送に使用する前に輸送コンテナを展開するときに好ましい。固定軸の好ましい実施形態は、搬送シャフト(キャリングシャフト)を使用する。キャリングシャフトは、スクリューボルトまたはねじ歯車(ウォーム)で作ることができる。
【0008】
レバーの好ましい構造は、一対の対向する、好ましくは平行に、相互にオフセットした壁を含み、一対の対向する、好ましくは平行に傾斜した壁によって接続され、相互にオフセットした壁の一方は側面直立部の孔1に隣接し、留め金は、一対の相互にオフセットした壁の他方の壁の外側の端部に取り付けられる。
【0009】
さらに、技術、製造、および安全性の点から、レバーの2つの対向する、好ましくは平行な斜壁が、レバーの固定軸の配置のために働く2つの対向する開口を含む。第1サイドパネルの側面直立部の壁には固定軸の配置のための開口または2つの開口が含まれており、開口/2つの開口はレバーの平行な斜壁内に配置された開口と、1つの平面内に配置される開口と一致する。第1サイドパネルの側面直立部の内側にあるレバーが、第1サイドパネルの側面直立部の対向壁にある開口の内側に取り付けられたキャリングシャフトの周りを回転すると、技術、製造、及び安全性の点から好ましい。回転はレバー壁内の対向する開口によって容易になり、キャリングシャフト上のレバーのサスペンションを提供する。
【0010】
レバー壁の内側は、ばね上に形成されたループを介してばねを取り付けるためにレイアウトされた突起を含むことができる。
【0011】
輸送コンテナの安全性と強度を高めるために、第1サイドパネルの側面直立部には安全支持部を設けることができ、隣接するサイドパネルの側面直立部には開口が設けられ、その形状および寸法は突起の挿入のために突起の形状および寸法に適合される。隣接するサイドパネルの側面直立部の開口に安全支持部を挿入することにより、輸送される材料または物品の保管の準備が整った、展開状態の輸送パネルの安全性および強度が向上する。
【0012】
本発明による上述の折り畳み式輸送コンテナは、空の輸送コンテナを折り畳むための効率的で好ましい解決策を示す。本発明の利点には、大部分が含まれる:
・ ロック/リリース機構は輸送コンテナの外側寸法を超えず、これにより、コンテナを互いにすぐ隣に又は後ろに配置することが容易になり、それにより、コンテナの保管に必要なスペースが減少し、コンテナの保管コストも減少する。
・ 引き抜き可能なプルロッドの詰まりまたは破損によって引き起こされる輸送コンテナのトラブル発生率の低減により、輸送コンテナの修理および保守のコストが低減される。
・ 相当な物理的な力を使用する必要のない単純な操作。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、固定軸7を配置するための2つの対向する開口15、16を有し、ばね6を取り付けるための突起18を有するレバー4を表す。
【
図2】
図2は、ロック時の留め金5とばね6を有するレバー4を備えた、第1サイドパネルの側面直立部2の縦断面を表す。
【
図3】
図3は、第1サイドパネルの側面直立部2の縦断面を表し、リリース時の留め金5とばね6を有するレバー4を備えている。
【
図4】
図4は、第1サイドパネルの側面直立部2の縦断面を表し、レバー4は留め金5とばね6を有し、隣接サイドパネルの側面直立部3はロックされている。また、第1サイドパネルの側面直立部2、隣接サイドパネルの側面直立部3の開口20に挿入される安全支持部19を表している。
【
図5】
図5は、第1サイドパネルの側面直立部2の縦断面を、レバー4をくさび形の留め金5で、隣接サイドパネルの側面直立部3をロックした状態で表したものである。また、第1サイドパネルの側面直立部2、隣接サイドパネルの側面直立部3の開口20に挿入される安全支持部19を表している。
【
図6】
図6は、レバー4を備えた第1サイドパネルの側面直立部2を表し、リリース時の隣接サイドパネルの側面直立部3を表す。また、第1サイドパネルの側面直立部2、隣接サイドパネルの側面直立部3の開口20に挿入される安全支持部19を表している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、実施形態の以下の非限定的な例においてさらに詳細に開示される。
【実施例】
【0015】
実施例1
折り畳み式輸送コンテナは、主に材料輸送に使用するためのロック/リリース機構1を備えて製造された。底部と、側面直立部を有する4枚のサイドパネルがある。これらのパネルには、底部の縁とのピボットリンク(旋回連結)がある。2つのロック/リリース機構1を含み、一方は右サイドパネルと前面サイドパネルとの間で第1(右)サイドパネルの側面直立部2の内側に配置され、他方は左サイドパネルと後面サイドパネルとの間で第1(左)サイドパネルの側面直立部2の内側に配置される。右側サイドパネルおよび背面サイドパネルの直立部、ならびに左側サイドパネルおよび前面サイドパネルの直立部には、輸送コンテナの強度および安全性を高めるために突起を挿入するための安全支持部およびそれぞれの開口が装備されている。
【0016】
両方のロック/リリース機構1は同一である。各ロック/リリース機構1は、留め金5及びばね6を備えたレバー4を含む。レバー4は回転式に設置され、レバー4の一端が第一サイドパネルの側面直立部2側の孔1(8)の内側に位置するように固定軸7を用いて第一サイドパネルの側面直立部2の内側に設置され、レバー4の他端は第一サイドパネルの側面直立部2側の孔2(9)の内側に設置された留め金5に固定連結を有し、一方、隣接するサイドパネルの側面直立部3には開口10が設けられ、その形状及び寸法は留め金5の形状及び寸法に適合し、レバー4は柔軟性のあるスチール製のばね6に連結されている。レバー4は2つの平行かつ相互にオフセットした壁11、12を2つの平行の傾斜した斜壁13、14で連結しており、壁11は側面直立部2の孔1、8に隣接しており、壁12の外側の端は固定溶接された継手によって取り付けられた留め金5を含んでいる。このばね6は、固定溶接された継手によってレバー4の壁12の内側に取り付けられている。ばね6は、レバー4のロック位置への戻りを確実にするように配置されている。留め金5は直方体形状である。
【0017】
レバー4の2つの対向する平行な斜壁13、14は固定軸7の配置のための2つの対向する開口15、16を含み、直立部2の壁は、固定軸7の配置のための2つの開口17を含む。開口17は、レバー4の対向する平行な傾斜壁13、14にある開口15、16と一平面に整列されている。固定軸7はキャリングシャフトである。第1の開口17には、ねじ山が設けられている。キャリングシャフトは、ネジボルトが開口17(ネジ付き)と開口15、16を貫通してねじ込まれ、他方の開口17に食い込むように作成される。
【0018】
容器が展開され、折りたたむ必要がある場合、レバー4の壁11の外側を側面直立部2の孔1(8)を通して押さえると、レバー4は固定軸7を中心に回転し、直立部2の内側に側面直立部2の孔2(9)から留め金5を完全に挿入させ、隣接するサイドパネルの側面直立部3を第1のサイドパネルの側面直立部2の隣接位置側から分離させることにより、容器を段階的に折りたたむ。容器を展開する際には、レバー4の壁11の外側が側面直立部2の孔1(8)を通して押されることにより、レバー4が固定軸7を中心に回転し、留め金5が側面直立部2の孔2(9)から側面直立部2に完全に挿入されることにより、第1サイドパネルの側面直立部2に隣り合うサイドパネルの側面直立部3の配置が可能となる。レバー4の壁11の外側をリリースした後、ばね6の動作は、側面直立部2の孔2(9)を突き抜けて留め金5を、隣接するサイドパネルの側面直立部3の開口10に押し込む。
【0019】
実施例2
折り畳み式輸送コンテナは実施例1と同様に、ロック/リリース機構1を備えて製造されたものであり、ばね6上に形成されたループを介して取り付けられたばね6を備えて、壁12の内側に配置された突起18を収容することによって異なる。留め金5は楔形である。このような形状の留め金5は容器の展開時に、隣接するサイドパネルの接近によって隣接するサイドパネルの側面直立部3が第1サイドパネルの側面直立部2よりも内側にくさび状の留め金5を徐々に押し付けていくため、レバー4の壁11の外側を押し付ける必要がないことを確実にする。
【0020】
安全性および強度を高めるために、第1のサイドパネルの側面直立部2には安全支持部19が設けられ、隣接するサイドパネルの側面直立部3には開口20が設けられ、その形状および寸法は、安全支持部19の形状および寸法に適合し、突起の挿入のためのものである。隣接するサイドパネルに接近し、隣接するサイドパネルの側面直立部3の内部に第1サイドパネルの側面直立部2の安全支持部19が開口20に挿入される。
【0021】
実施例3
実施例1と同様に、ロック/リリース機構1を備えた折り畳み式輸送コンテナを製造したが、各サイドパネルの1つの直立部2に配置された4つのロック/リリース機構1を備える点が異なる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明によるロック/リリース機構を備えた折り畳み式輸送コンテナの産業上の利用可能性は明らかである。この解決策、特にロック/リリース機構の実施形態は、輸送目的として他の目的、例えば貯蔵容器などにも使用することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 ロック/リリース機構
2 第1サイドパネルの側面直立部
3 隣接するサイドパネルの側面直立部
4 レバー
5 留め金
6 ばね
7 固定軸
8 側面直立部2の孔1
9 側面直立部2の孔2
10 隣接するサイドパネルの側面直立部3の開口
11、12 レバー4のオフセット壁
13、14 レバー4の斜壁
15、16 固定軸7の配置のためのレバー4の対向する開口
17 固定軸7の配置のための直立部2の壁の開口/2つの開口
18 ばね6を取り付けるための突起
19 第1サイドパネルの側面直立部2の安全支持部
20 安全支持部19の挿入のための隣接するサイドパネルの側面直立部3内の開口