(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-16
(45)【発行日】2022-03-25
(54)【発明の名称】固定スクロール及び旋回スクロールのコンプレッサー、エキスパンダー、又は真空ポンプの液体冷却
(51)【国際特許分類】
F04C 18/02 20060101AFI20220317BHJP
【FI】
F04C18/02 311Y
(21)【出願番号】P 2020561761
(86)(22)【出願日】2018-12-07
(86)【国際出願番号】 US2018064427
(87)【国際公開番号】W WO2019212598
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2020-12-28
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520189902
【氏名又は名称】エア・スクエアード・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Air Squared,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】ブライス・アール・シェイファー
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン・ディ・ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン・ディ・マティス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ピー・ディ・ウィルソン
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-343459(JP,A)
【文献】特開2002-295386(JP,A)
【文献】特開2003-090291(JP,A)
【文献】特開2002-106485(JP,A)
【文献】特開平03-185287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01C 1/02
F01C 21/06
F04C 2/00- 2/077
F04C 18/00-18/077
F04C 23/00-29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクロール・デバイスであって、
第1インボリュート及び第1冷却チャンバーを有して成る固定スクロール;
第2インボリュート及び第2冷却チャンバーを有して成る旋回スクロール;並びに
第1冷却チャンバー及び第2冷却チャンバーと流体連通する可撓性導管
を有して成り、
旋回スクロールは機械的結合を介して固定スクロールに取り付けられ、旋回スクロールは、旋回軸の周りを固定スクロールに対して旋回するようになっており、
可撓性導管は、スクロール・デバイスの第1サイドからスクロール・デバイスの第2サイドにまで、旋回軸の周りに延在
し、
第2サイドは、旋回軸を基準として第1サイドの反対に位置する、スクロール・デバイス。
【請求項2】
第1冷却チャンバーは固定スクロール・ジャケットによって少なくとも部分的に規定され、第2冷却チャンバーは旋回スクロール・ジャケットによって少なくとも部分的に規定される、請求項1に記載のスクロール・デバイス。
【請求項3】
スクロール・デバイスの第1サイドから
第2サイドに延在する第2可撓性導管をさらに有して成り、第2可撓性導管は冷却材入口及び第2冷却チャンバーと流体連通している、請求項1に記載のスクロール・デバイス。
【請求項4】
第1冷却チャンバーは第1入口及び第1出口を有して成り、第2冷却チャンバーは第2入口及び第2出口を有して成り、さらに、第2可撓性導管は冷却材入口から第2入口に冷却材を流し、第1可撓性導管は第2出口から第1入口に冷却材を流す、請求項3に記載のスクロール・デバイス。
【請求項5】
冷却材入口は第1サイドにあり、第1入口は
第2サイドにあり、第1出口は固定スクロール・ジャケットに位置付けられる、請求項4に記載のスクロール・デバイス。
【請求項6】
冷却材入口がスクロール・デバイスの静止部分に位置付けられる、請求項5に記載のスクロール・デバイス。
【請求項7】
第1冷却チャンバー内に延在する、少なくとも1つの冷却フィンをさらに有して成る、請求項1に記載のスクロール・デバイス。
【請求項8】
少なくとも1つの冷却フィンが第1入口から第1出口に冷却材を流すために配置される、請求項7に記載のスクロール・デバイス。
【請求項9】
第1インボリュートが、基部、被覆又はめっきされた壁、及びチップ・シール溝を有して成る、請求項1に記載のスクロール・デバイス。
【請求項10】
被覆又はめっきされた壁が、固体耐摩耗性潤滑材で被覆又はめっきされる、請求項9に記載のスクロール・デバイス。
【請求項11】
スクロール・デバイスであって、
少なくとも1つの機械的結合を介して固定スクロールに取り付けられる旋回スクロール;
第1冷却チャンバーと流体連通する可撓性導管
を有して成り、
旋回スクロールは、旋回軸の周りを固定スクロールに対して旋回するようになっており、
固定スクロールは、
旋回スクロールに向かって延在する第1インボリュート;
第1冷却チャンバー;及び
旋回スクロールから離れるように、第1冷却チャンバー内に延在する第1の複数の冷却フィン
を有して成り、
可撓性導管は、固定スクロールに接続される第1端部、旋回スクロールに接続される第2端部、及び旋回軸の周りを湾曲する長さを有する、スクロール・デバイス。
【請求項12】
可撓性導管が旋回軸に対して実質的に垂直に延在する、請求項11に記載のスクロール・デバイス。
【請求項13】
固定スクロールが固定スクロール・ジャケットをさらに有して成り、固定スクロール・ジャケットは第1冷却チャンバーの壁を規定する、請求項11に記載のスクロール・デバイス。
【請求項14】
旋回スクロールが、
第2冷却チャンバー;及び
旋回スクロールから離れるように第2冷却チャンバー内に延在する、第2の複数の冷却フィン
を有して成る、請求項11に記載のスクロール・デバイス。
【請求項15】
旋回スクロールは旋回スクロール・ジャケットをさらに有して成り、旋回スクロール・ジャケットは、第2冷却チャンバーの壁を規定し、クランクシャフト・ベアリングを有して成る、請求項14に記載のスクロール・デバイス。
【請求項16】
液冷スクロール・デバイスであって、
第1冷却材通路を有して成る固定スクロール;
第2冷却材通路を有して成る旋回スクロール;
旋回スクロールに作動可能に接続されるモーター;及び
旋回軸の周りを湾曲する可撓性導管
を有して成り、
モーターによって、旋回スクロールが旋回軸の周りを固定スクロールに対して旋回し、
可撓性導管は第1冷却材通路及び第2冷却材通路と流体連通する、液冷スクロール・デバイス。
【請求項17】
モーターを少なくとも部分的に包囲するモーター・ジャケットをさらに有して成り、モーター・ジャケットは第3冷却材通路を有して成る、請求項16に記載の液冷スクロール・デバイス。
【請求項18】
第3冷却材通路は、入口、出口、及び複数の冷却フィンを有して成る、請求項17に記載の液冷スクロール・デバイス。
【請求項19】
第2冷却材通路及び第3冷却材通路と流体連通する第2可撓性導管をさらに有して成る、請求項18に記載の液冷スクロール・デバイス。
【請求項20】
固定スクロール又は旋回スクロールが、固体耐摩耗性潤滑材で被覆又はめっきされた壁を有するインボリュートを有して成る、請求項16に記載の液冷スクロール・デバイス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2018年5月4日に出願された米国仮特許出願第62/762,437号、表題「Scroll Type Device Having Liquid Cooling Through Flexible Tubing」、及び2018年7月19日に出願された、米国仮特許出願第62/700,767号、表題「Liquid Cooling of Fixed and Orbiting Scroll Compressor,Expander or Vacuum Pump」の利益を主張し、その両方の全体は、全ての目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、コンプレッサー(又は圧縮機、compressor)、エキスパンダー(又は膨張機
expander)、又は真空ポンプなどのスクロール・デバイス、より具体的には、液体冷却を有するスクロール・デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
スクロール・デバイスは、コンプレッサー、エキスパンダー、ポンプ、及び真空ポンプとして長年用いられている。一般に、2段階又はそれより多くの段階の複雑性に起因して、圧縮(又は膨張)の単一段階に限定されている。単一段階のスクロール真空ポンプにおいて、スパイラル・インボリュート又はスクロールは、固定されたスパイラル内、又は静止プレート上のスクロール内で旋回する。モーターはシャフトを回転させ、旋回スクロールは、シャフトによって固定スクロール内で偏心的に旋回する。偏心的な旋回により、旋回スクロールと固定スクロールとの間に作られるポケットに気体を出し入れさせ、それによって、スクロール・デバイスと流体連通しているコンテナ内に真空を作る。エキスパンダーは同じ原理で作動するものの、気体を膨張させることによって旋回スクロールが逆に旋回し、いくつかの実施形態では、発電機を駆動する。コンプレッサーを参照する場合、真空ポンプがコンプレッサーの代わりになり得ること、スクロールが膨張している気体と逆に作動する場合、エキスパンダーが代替の使用になり得ることが理解される。
【0004】
スクロール型のコンプレッサー及び真空ポンプは、圧縮又はポンピングのプロセスの一部として熱を生じる。圧力比が高いほど、圧縮流体の温度は高くなる。コンプレッサーのハードウェアを適切な温度に保つため、コンプレッサーは冷却されなければならず、さもないとハードウェアに損傷が起こり得る。ある場合では、コンプレッサーの構成要素に周囲の冷たい空気を吹き付けることによって冷却が達成される。一方で、スクロール型のエキスパンダーは、作動流体の膨張による温度の低下を経験し、全体の出力を減少させる。結果として、スクロール型のエキスパンダーは、温度の低下及び対応する出力の減少を制限するために断熱されてよい。
【発明の概要】
【0005】
スクロール・デバイス(scroll device)は、様々な欠点に悩まされる。狭い装置(又は設備、installation)又は放熱させるには暑すぎるなどのいくつかの場合において、スクロール・デバイスの空冷は効果的ではない可能性がある。半密閉又は密閉の用途において、スクロール・デバイスの空冷は任意ではない可能性がある。液体は、空気よりはるかに高い伝熱係数を有するため、スクロール・デバイスの冷却への液体の使用は有益であり得る。スクロール・エキスパンダーの場合、同じ理由のため、スクロール・エキスパンダーの加熱への液体の使用は有益であり得る。
【0006】
油フリーのスクロール・デバイスは、温度制限のため、一般的に高圧用途に使用されない。圧縮プロセスで生じた熱は、高温によって悪影響を受けるベアリングに伝達される。
【0007】
現在の液冷スクロール・デバイスは、旋回スクロール(又は軌道スクロール、orbiting scroll)に冷却材を移送することの課題のため、固定スクロールを冷却するのみである。
【0008】
スクロール・デバイスは、旋回スクロールの裏側に設置されるクランクシャフト・ベアリングを用いる。これは、スクロール・デバイスの最も熱い領域であり、その熱は、高圧用途においてベアリングの故障を引き起こすことがよくある。
【0009】
小さいスクロール・メッシュ・ギャップ(scroll mesh gap)は、スクロールの接触及びゲージング(gauging)を防ぐために用いられる。より大きなスクロール・メッシュ・ギャップが用いられる場合、気体の漏出によりコンプレッサーの性能は低下する。
【0010】
本開示の実施形態は、固定スクロールと旋回スクロールの両方の液体冷却を利用するスクロール・デバイスを含み、それによって、高温による早期のスクロールの故障のリスク、及び高温をもたらす寸法変化による固定スクロールと旋回スクロールとの間の接触のリスクを減じながら、スクロール・デバイスが高圧で作動することを可能にする。
【0011】
本開示の実施形態には、冷却材を移送するための、可撓性チューブ、ホース、又はベローズなどの1つ又はそれより多くの可撓性導管(flexible conduit)を使用するスクロール・デバイスが含まれ、1つ又はそれより多くの可撓性導管は、スクロール・デバイスの旋回スクロールの旋回軸に対して実質的に垂直に方向づけられる。
【0012】
また、本開示の実施形態には、固定スクロール又は旋回スクロールのインボリュート(involute)に被覆(又はコーティング、coating )を適用する方法が含まれる。
【0013】
また、本開示の実施形態には、スクロール・デバイスのモーター及び/又は駆動ベアリングから熱を抽出するための、モーター冷却材ジャケット又は他の冷却材保持デバイスを有して成るスクロール・デバイスが含まれる。
【0014】
本明細書で用いられる「スクロール・デバイス」という用語は、スクロール・コンプレッサー、スクロール真空ポンプ、及び類似の機械デバイスを指す。また、本明細書で用いられる「スクロール・デバイス」という用語は、スクロール・エキスパンダーが熱を生じるのではなく、熱を吸収するということを理解し、スクロール・エキスパンダーを包含する。それによって、スクロール・エキスパンダー以外のスクロール・デバイスを冷却するための、本明細書で説明される様々な態様及び要素が、スクロール・エキスパンダーを加熱するために用いられてよい(例えば、温かい液体の使用)。
【0015】
「少なくとも1つ」、「1つ又はそれより多く」、並びに「及び/又は」という語句は、動作において接続的であって離接的でもある、オープン・エンドの(又は制限しない、open-end)表現である。例えば、「A、B及びCの少なくとも1つ」、「A、B、又はCの少なくとも1つ」、「A、B、及びCの1つ又はそれより多く」、「A、B、又はCの1つ又はそれより多く」並びに「A、B、及び/又はC」という表現の各々は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBを合わせて、A及びCを合わせて、B及びCを合わせて、若しくはA、B及びCを合わせて、ということを意味する。上記表現におけるA、B、及びCの各々1つが、X、Y、及びZなどの要素、又はX1-Xn、Y1-Ym、Z1-Zoなどの要素のクラスを指すとき、そのフレーズは、X、Y、及びZから選択される単一の要素、同じクラスから選択される要素の組合せ(例えば、X1及びX2)、並びに2つ又はそれより多くのクラスから選択される要素の組合せ(たとえば、Y1及びZo)を指すことを意図している。
【0016】
「a」又は「an」という用語の実体(entity)は、その実体の1つ又はそれより多くを指す。このように、用語「a」(又は「an」)、「1つ又はそれより多く」及び「少なくとも1つ」は、本明細書では互換的に使用され得る。また、「含んで成る(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語が互換的に使用され得ることにも留意されたい。
【0017】
本開示全体にわたって与えられる全ての最大数値制限は、あたかもそのようなより低い数値限度が本明細書に明示的に記載されているかのように、代替としてありとあらゆるより低い数値限度を含むものとみなされることを理解されたい。本開示全体にわたって与えられるあらゆる最小数値の限度は、あたかもそのようなより高い数値限度が本明細書に明示的に記載されているかのように、代替としてありとあらゆるより高い数値限度を含むものとみなされる。本開示全体にわたって与えられるあらゆる数値範囲は、あたかもそのようなより狭い数値範囲が本明細書に明示的に記載されているかのように、そのようなより広い数値範囲内にある、ありとあらゆるより狭い数値範囲を含むものとみなされる。
【0018】
上記は、本開示のいくつかの態様の理解をもたらすための本開示の簡略化した概要である。この概要は、本開示及びその様々な態様、実施形態、及び構成の、広範な要旨でも網羅的な要旨でもない。本開示の重要な又は決定的な要素を特定することも本開示の範囲を説明することも意図していないが、以下に提示するより詳細な説明への導入として、本開示の選択された概念を簡略化した形で提示することを意図したものである。理解されるように、本開示の他の態様、実施形態、及び構成は、上記に示す又は以下に詳細に説明する特徴のうちの1つ又は複数を、単独で又は組み合わせて利用することもある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
添付の図面は、本開示のいくつかの例示を図示するために本明細書に組み込まれ、その一部を形成する。図面は、本開示を図示され、説明される例のみに限定すると解釈されるべきではない。
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの部分斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの部分斜視図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの立面図である。
【
図5A】
図5Aは、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの部分斜視図である。
【
図5B】
図5Bは、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの部分斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの部分斜視図である。
【
図6B】
図6Bは、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの立面図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの部分斜視図である。
【
図8A】
図8Aは、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの一部の断面図である。
【
図8B】
図8Bは、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの別の部分の断面図である。
【
図9A】
図9Aは、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの一部の立面図である。
【
図9B】
図9Bは、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの部分斜視図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの部分斜視図である。
【
図11A】
図11Aは、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの斜視図である。
【
図11B】
図11Bは、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの部分斜視図である。
【
図11C】
図11Cは、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの平面図である。
【
図11D】
図11Dは、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの部分斜視図である。
【
図11E】
図11Eは、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの部分斜視図である。
【
図12】
図12は、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの部分斜視図である。
【
図13】
図13は、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの斜視図である。
【
図14】
図14は、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示のいずれかの実施形態が詳細に説明される前に、本開示は、以下の記述で述べられる、又は図に示される構成の詳細及び構成要素の配置に、その適用を制限されないということを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践又は実行されることが可能である。また、本明細書で用いられる表現及び用語は、説明を目的とするものであって、限定として見なされるべきではないということを理解されたい。「含む(including)」、「含んで成る(comprising)」又は「有する(having)」及びそれらのバリエーションの使用は、その後に列記される項目及びその等価物、並びにさらなる項目を包含することを意味する。さらに、本開示は、それらの態様の1つ又はそれより多くを示すために、例示を用い得る。明示的に他に記述されない限り、1つ又はそれより多くの例示(「例えば(for example)」、「例示的であるが(by way of example)」、「例(e.g.)」、「など(such as)」又は同様の語句によって表され得る)は、本開示の範囲を制限することを意図されておらず、制限しない。
【0021】
ここで、図面を参照すると、同様の番号は同様の項目を指すものであって、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイス10は、可撓性(又は柔軟な、flexible)導管の使用を介する液体冷却から利益を得る。
図1において、スクロール・デバイス10は、モーター14に接続されるハウジング12を有して成るように図示されている。モーター14は電気モーターであってよく、又は内燃機関(又は内燃エンジン、internal combustion engine)であってよい。モーター14が電気モーターである実施形態において、モーター14は直流又は交流で作動するように構成されてよい。モーター14は、ブラシ付き(brushed)モーター又はブラシレス(brushless)モーターであってよい。
【0022】
エア・フィルター13は、ハウジング12に引き込まれる空気をろ過するために、ハウジング12に作動可能に取り付けられる。
【0023】
スクロール・デバイス10は、固定スクロール16を有して成る。固定スクロール16は、アルミニウム、鋼鉄、又は別の金属若しくは金属合金から、機械加工又は製造されてよい。固定スクロール16は突起(又は突出部、protrusion)86を有して成り、そこに冷却材入口24が供され、それを通るように交差チャネル(又は横断チャネル、cross channel)54(
図3に示されている)が延在する。交差穴(又は横断穴、cross hole)90(
図6Aに示されている)は、固定スクロール16の突起86を通るように延在する。固定スクロール・ジャケット48(固定スクロール16に隣接する冷却チャンバーを形成するのに適した、いずれの冷却材保持デバイスであってもよい)は、複数のボルト又は他の留め具(又はファスナー、fastener)で固定スクロール16に固定される(又は留められる、secure)。冷却材出口80は、固定スクロール・ジャケット48に供される。Oリング又は他のガスケット、若しくはシールは、固定スクロール・ジャケット48と固定スクロール16との間に供されてよい。固定スクロール16は、固定スクロール・ジャケットの反対のサイド(又は反対の側、opposite side)に位置付けられ、ハウジング12内に延在するインボリュートを有して成る。
【0024】
固定スクロール16は、そこに取り付けられ、約120°離れるように間隔をあけられた3つのアイドラー・シャフト・アッセンブリ(idler shaft assembly)18、20、及び22を有する。各アイドラー・シャフト・アッセンブリは、偏心性アイドラー・シャフト及び少なくとも1つのベアリング(図示せず)を有して成る。スクロール・デバイス10は、3つのアイドラー・シャフト・アッセンブリを有するように図示されているものの、本開示は、正確に3つのアイドラー・シャフト・アッセンブリを有するスクロール・デバイスに制限されない。本開示のいくつかの実施形態に従うスクロール・デバイスは、3つより多くの、又は3つより少ないアイドラー・シャフト・アッセンブリを有してよい。さらに、本開示は、固定スクロール16及び旋回スクロール(又は軌道スクロール、orbiting scroll)60をリンクさせる(又は関連付ける若しくは連結する、link)アイドラー・シャフト・アッセンブリの使用に制限されない。固定スクロール16に対する旋回スクロール60の好ましい旋回運動を保証するように構成された、オルダム・リング(Oldham ring)及び/又は任意の他の機械的結合(又は機械的連結部、mechanical coupling)が、アイドラー・シャフト18、20、及び22の代わりに用いられてよい。
【0025】
スクロール・デバイス10の作動の間、新たな冷却材は冷却材入口24を介してスクロール・デバイス10に入り、加熱された冷却材は冷却材出口80を通って排出される。本明細書で用いられるように、冷却材は、例えば、水、不凍剤、ポリアルキレングリコール、他のグリコール溶液、冷凍剤、油、又はいずれの他の伝熱流体であってよい。ポート82は、スクロール・コンプレッサー及び真空ポンプの作用流体排出ポートとして、又はスクロール・エキスパンダーの作用流体取入れポート(又は取入れ口、intake port)として役立つ。
【0026】
図2は、明確さのためにハウジング12の一部を除去した、スクロール・デバイス10の斜視図を示している。旋回スクロール60は、アイドラー・シャフト・アッセンブリ18、20、及び22に取り付けられる。旋回スクロール60は、アイドラー・シャフト・アッセンブリ18、20、及び22の偏心性アイドラー・シャフトによって、固定スクロール16に対して(又は関して、relative to)旋回することが可能となる。旋回スクロール60は、アルミニウム、鋼鉄、又は別の金属若しくは金属合金から、機械加工又は製造されてよい。旋回スクロール・ジャケット66(旋回スクロール60に隣接する冷却チャンバーを形成するのに適した、いずれの冷却材保持デバイスであってよい)は、旋回スクロール60に固定される。Oリング又は他のガスケット、若しくはシールは、旋回スクロール・ジャケット66と旋回スクロール60との間に供されてよい。旋回スクロール60は、旋回スクロール・ジャケット66の反対のサイドに位置付けられ、固定スクロール16に向かって延在するインボリュートを有して成る。旋回スクロール60のインボリュートは、固定スクロール16のインボリュートに対して位置付けられ、それによって、固定スクロール16に対する旋回スクロール60の旋回運動は、そこにある作用流体を圧縮又は膨張させるための、連続的にサイズが変動するポケット(又はくぼみ、pocket)を作り出す。
【0027】
旋回スクロール・ジャケット66は、クランクシャフト・ベアリング(又はクランク軸ベアリング、crankshaft baring)を有して成ってよく、モーター14によって駆動される電気クランクシャフトは、それに作動可能に接続されている。この構成において、モーター14は、クランクシャフト及び旋回スクロール・ジャケット66を介して、旋回スクロール60と力伝達するように連通している。
【0028】
また、旋回スクロール60は、冷却材を通す(又は流す、channel)ための交差穴が供されている突起94、及び交差穴88(
図5Bに示されている)が供されている突起96(
図4に示されている)を有して成る。
【0029】
また、
図2に示されているのは、スクロール・デバイス10を介して流体を移送するための他の構成要素である。交差チャネル54(
図3に示されている)は、突起26並びに突起84を通るように延在しており、したがって、冷却材を入口24からハウジング12内に流すための通路を供する。かかり付きホース・フィッティング(又はバーブ・ホース接手、barbed hose fitting)28は、交差チャネル54と流体連通しているブロック26に、しっかりと、又は取り外し可能に固定される。別のかかり付きホース・フィッティング38は、旋回スクロール60のブロック94に、しっかりと、又は取り外し可能に固定される。可撓性導管32(例えば、可撓性チューブ、可撓性ホース、又は可撓性のベローズ(又は蛇腹、bellows)であってよい)の第1端部は、スクロール・デバイス10の第1サイド(又は側、side)のかかり付きホース・フィッティング28に、しっかりと、又は取り外し可能に固定される。可撓性導管32の第2端部は、スクロール・デバイス10の第2サイドのかかり付きホース・フィッティング34に、しっかりと、又は取り外し可能に固定される。可撓性導管32は、入口24を介して受けた流体を、旋回スクロール60に通し、より詳細には、旋回スクロール60と旋回スクロール・ジャケット66との間に形成される冷却チャンバーに通す。別の可撓性導管36の第1端部は、スクロール・デバイス10の第1サイドのかかり付きホース・フィッティング38に、しっかりと、又は取り外し可能に固定される。可撓性導管36の第2端部は、スクロール・デバイス10の第2サイドのかかり付きホース・フィッティング40に、しっかりと、又は取り外し可能に固定される。可撓性導管36は、旋回スクロール60から固定スクロール16に流体を通す。ピンチ・ホース・クランプ(又はピンチ・ホース締め金、pinch hose clamp)又は類似のクランプは、可撓性導管32及び36の端部を、かかり付きホース・フィッティング28、34、38、及び40にそれぞれ固定するのに用いられてよい。
【0030】
可撓性導管32及び36は、旋回スクロール60の旋回軸63(
図6Aに示されている)に対して垂直に(又は実質的に垂直に(又はほぼ垂直に、substantially perpendicular)、若しくは少なくとも鈍角を成して)位置付けられてよい。旋回軸63は、スクロール・デバイス10に対して長手方向に(例えば、スクロール・デバイス10の一方の端部から他方の端部まで)延在する。可撓性導管32及び36は、旋回軸63の周りで湾曲(curve)してよい。可撓性導管32及び36は、旋回軸63の一方のサイドからその反対サイドに横切ってよい。この構成において、スクロール・デバイス10が作動している場合、可撓性導管32及び36は屈曲運動に従う(例えば、可撓性導管32及び36は、一方の端部をスクロール・デバイス10の静止部分(又は固定部分、stationary portion)に接続され、他方の端部をスクロール・デバイスの旋回部分に接続されるため)。一方で、液体冷却材チューブが旋回軸63に実質的に平行に位置付けられた(及び、一方の端部をスクロール・デバイス10の静止部分に接続され、他方の端部をスクロール・デバイスの旋回部分に接続されたままである)場合、スクロール・デバイスの作動中、チューブは、次いでねじれ荷重(又は回旋性の負荷、torsional loading)を受けることになる。さらに、可撓性導管32及び36は、そこにおける力の集中を減じるため、延長された長さで供される。例えば、いくつかの実施形態において、可撓性導管32及び36は、可撓性導管32及び36が取り付けられるかかり付きホース・フィッティングの間に達するのに必要な最小長さよりも約10%長くてよい。他の実施形態において、可撓性導管32及び36は、必要とされる最小長さより約20%長くてよく、さらに他の実施形態では、可撓性導管32及び36は、必要とされる最小長さより約30%、及び約50%長くてよい。旋回軸63に対して角度を成して、延長された長さを有する可撓性導管32及び36の構成は、ねじれ荷重及び集中した曲げ応力を減少又は除去することによって、可撓性導管32及び36の有効寿命を有利に増加させる。
【0031】
いくつかの実施形態において、可撓性導管32及び/又は36は、らせん状、ばね状、又はコイル状の形状で供されてよい。このような形状の使用により、可撓性導管の全体の長さが増加し、それによって力の集中が有利に減じられる。
【0032】
可撓性導管32及び36は、高いサイクル疲労及び連続的な曲げ応力に耐え得る。可撓性導管32及び36は、チューブ又はホースであってよく、例えば、ゴム、プラスチック、繊維、金属、又はそれらの任意の組合せでできている、又は含んで成ってよい。可撓性導管32及び36は、1つ又はそれより多くの合成又は繊維強化材料で成ってよい。可撓性導管32及び36は、その特性を改善するため、その製造中に1つ又はそれより多くの処理にさらされてよい。例えば、ゴム製、又はゴムを含んで成る可撓性導管32及び36を用いる本開示の実施形態において、可撓性導管32及び/又は36に含まれるゴムは、硬化ゴム(又は硫化ゴム、vulcanized rubber)であってよい。いくつかの実施形態において、本明細書で説明されるようなスクロール・デバイスには、可撓性導管ではなく、旋回可能に、又は回転可能に互いに接続された複数の剛性部分(又は剛性セクション、rigid section)を有して成る導管が利用されてよい。
【0033】
本開示のいくつかの実施形態において、可撓性導管32及び36の一方又は両方は、可撓性ベローズであってよい。可撓性のベローズは金属、プラスチック、又はいずれの他の材料で成ってよく、その材料は、例えば、可撓性ベローズを通って流される冷却材の温度、可撓性ベローズを通って流される冷却材の圧力、及び/又は可撓性ベローズを通って流される冷却材の化学組成に基づいて選択されてよい。
【0034】
固定スクロール・ジャケット48及び固定スクロール16は、第1冷却チャンバーを形成し、冷却材は、固定スクロール16を冷却するためにそれを介して通されてよい。その一方で、旋回スクロール・ジャケット66及び旋回スクロール60は、第2冷却チャンバーを形成し、冷却材は、旋回スクロール60を冷却するためにそれを介して通されてよい。第1冷却チャンバーは、固定スクロール16のインボリュートの反対側に位置付けられ、第2冷却チャンバーは旋回スクロール60のインボリュートの反対側に位置付けられる。スクロール・デバイス10において、固定スクロール・ジャケット48は固定スクロール16の第1冷却チャンバーの壁を規定(又は画定、define)し、旋回スクロール・ジャケット66は、旋回スクロール60の第2冷却チャンバーの壁を規定する。
【0035】
いくつかの実施形態において、固定スクロール・ジャケット及び/又は旋回スクロール・ジャケットは、固定スクロール・ジャケット48及び/又は旋回スクロール・ジャケット66より多い、又は少ない第1冷却チャンバー及び第2冷却チャンバーの境界をそれぞれ規定してよい。固定スクロール・ジャケット48及び旋回スクロール・ジャケット66は、本適用の図に示されている形状又は形態に限定されないものの、いずれの適当な形状又は形態におけるいずれの冷却材保持デバイスであってもよい。さらに、いくつかの実施形態において、固定スクロール16及び旋回スクロール60のどちらか一方又は両方は、それぞれ、固定スクロール・ジャケット48及び旋回スクロール・ジャケット66の使用を要さない冷却チャンバーをそこに有して成ってよい。
【0036】
固定スクロール16と固定スクロール・ジャケット48との間に形成された冷却チャンバー、及び旋回スクロール60と旋回スクロール・ジャケット66との間に形成された冷却チャンバーは、いくつかの実施形態において円柱体積を有してよく、その他の実施形態において非円柱体積を有してよい。いくつかの実施形態において、冷却チャンバーの一方又は両方は、その入り口からその出口に冷却材を通す通路を有して成ってよい。また、いくつかの実施形態において、冷却チャンバーは、固定スクロール・ジャケット又は旋回スクロール・ジャケットのそれぞれ、若しくはいずれの他の冷却材保持デバイスも使用せずに、固定スクロール16によって、及び/又は旋回スクロール60によって全体的に規定されてよい。
【0037】
Oリング又は他のガスケット、若しくはシールは、冷却チャンバーからの冷却材の漏出を減ずるため、固定スクロール16及び旋回スクロール60と、固定スクロール・ジャケット48及び旋回スクロール・ジャケット66との間にそれぞれ供されてよい。
【0038】
可撓性導管32により、入口24を介して受けた液体冷却材の旋回スクロール60への移送が可能となり、より詳細には、旋回スクロール60と旋回スクロール・ジャケット66との間に形成された冷却チャンバーへの移送が可能となる。可撓性導管36により、液体冷却材の旋回スクロール60から固定スクロール16への移送が可能となり、より詳細には、固定スクロール16と固定スクロール・ジャケット48との間に形成された冷却チャンバーへの移送が可能となる。
【0039】
図2及び図面の全体にわたって、矢印(引き出し線以外)は、スクロール・デバイス10及び/又はスクロール・デバイス10の様々な構成要素に関する液体冷却材の流れを表す。
【0040】
図3は、その態様の視覚化を可能にするために透視で示されたスクロール・デバイス10の一部を伴う、入口24及びスクロール・デバイス10の周囲領域の拡大図を供する。
図3に示されるように、交差チャネル54は突起84及び26を通るように延在し、それによって、入口24を介して受けた液体冷却材の、ハウジング12を通過し、かかり付きホース・フィッティング28(
図2に示されている)を介して可撓性導管32(
図2に示されている)にまで通るチャネルが供される。冷却材が交差チャネル54を通って流れる際に、スクロール・デバイス10の作動によって発生した熱は冷却材に伝達される。いくつかの実施形態において、入口24及び交差チャネル54は、突起84の代わりに突起86(
図1に示されている)に機械加工された、又は供された入口を有し、固定スクロール16の反対のサイドに位置付けられてよい。実際に、いくつかの実施形態において、入口24は、スクロール・デバイス10の作動を妨げない、固定スクロール16のいずれの場所に位置付けられてよい。ただし、スクロール・デバイス10の関連する構成要素(例えば、突起84又は86及び26、並びに交差チャネル54を含む)は、固定スクロール16の冷却チャンバー、若しくは可撓性導管32及び36の一方に、入口24を介して受けられる冷却材を通すように構成される。
【0041】
一般的に、
図1~3を参照すると、図に詳細に示されていないものの、旋回スクロール60は、旋回性センター・シャフト(又は旋回性の中心軸、eccentric center shaft)を介して、モーター14によって駆動される。バランス・ウェイト(または釣合い重り、balance weight)は、旋回スクロール60及び/又はセンター・シャフト上にあり、旋回スクロール60の旋回運動を相殺し(又は釣り合わせて、若しくは埋め合わせて、counterbalance)スクロール・デバイス10の望ましくない振動を防ぐために用いられてよい。偏心性センター・シャフトは、フロント・ベアリング(または前部ベアリング、front bearing)又は対のフロント・ベアリング、並びにリア・ベアリング(または後部ベアリング、rear bearing)又は対のリア・ベアリングによって支持されてよい。いくつかの実施形態において、ベアリング及びモーター14はハウジング12に取り付けられてよく、その一方で、他の実施形態では、モーター14及び/又はベアリングは、ハウジング12の外側に取り付けられてよい。アイドラー・シャフト・アッセンブリ18、20、及び22のアイドラー・シャフトの中心線は、旋回スクロールを駆動する(又は、スクロール・エキスパンダーの場合では、旋回スクロールによって駆動される)センター・シャフトの中心線からずれている(またはオフセットされている、offset)。
【0042】
上述のように、旋回スクロール60は旋回スクロール60を偏心的に動かす、又は旋回させるセンター・シャフトに連結される。旋回スクロール60は、固定スクロール16に関して固定された経路に従い、固定スクロール16及び旋回スクロール60のインボリュート間に一連の三日月形状のポケットを作る。スクロール・デバイス10がスクロール・コンプレッサーである実施形態において、作用流体は、スクロール・インボリュートの周縁にある1つ又はそれより多くの入口から、スクロール・インボリュートの中心、又は中心付近にある排出出口(例えば、ポート82)に向かって、次第に小さくなるポケットを通って移動し、結果として作用流体の圧縮をもたらす。同様の原理は、スクロール真空ポンプ及びスクロール・エキスパンダーに適用される。スクロール・エキスパンダーに関して、圧縮された流体は、旋回スクロール60と固定スクロール16との間の小さなポケットに(例えば、ポート82を介して)導入される。圧縮された流体によってかけられる圧力が大きな力でインボリュートの壁を押すことによって、旋回スクロール60は固定スクロール16に対して旋回し、今度は圧縮された流体が膨張することが可能となる。スクロール・エキスパンダーの旋回スクロールは、旋回スクロールの運動エネルギーを電気エネルギーに変換するように、(例えば、偏心性センター・シャフトを介して)発電機に作動可能に連結されてよい。
【0043】
ここで、
図3~7を参照して、本開示のある実施形態に従う、スクロール・デバイス10を通る液体冷却材の流れを説明する。冷却材は、一度冷却材入口24を介してスクロール・デバイス10に入ると、交差チャネル54を通ってハウジング12を横切り、冷却材はかかり付きホース・フィッティング28を介して可撓性導管32内に通る。可撓性導管32は旋回スクロール60に冷却材を移送し、可撓性導管32は、固定スクロール16及び旋回スクロール60の中心軸の周り(したがって、旋回スクロール60の旋回軸63の周り)で曲がって(又は屈曲して、bend)おり、中心軸及び/又は旋回軸に対して実質的に垂直に保持されてよい。より詳細には、冷却材は、可撓性導管32及びかかり付きホース・フィッティング34を通過し、ブロック96における交差穴88内に入り、旋回スクロール60と旋回スクロール・ジャケット66との間の冷却チャンバー(cooling chamber)に冷却材を方向づける。冷却チャンバー内の冷却フィン(cooling fin)は、旋回スクロール60から冷却材への伝熱を促進し、また、冷却チャンバーを通って、ブロック94における別のチャネル(図示せず)に入るように冷却材を方向づけ、次に、かかり付きホース・フィッティング38を介して可撓性導管36に入るように冷却材を方向づける。かかり付きホース・フィッティング38を介して可撓性導管36に入る冷却材は、かかり付きホース・フィッティング40を介してブロック92に移送される。交差チャネル(図示せず)は、ハウジング12を通ってブロック86に入るように冷却材を方向づけ、そこで、交差穴90(固定スクロール・ジャケット48が除去されている
図6Aで見ることができる)は、固定スクロール16と固定スクロール・ジャケット48との間の冷却チャンバーに冷却材を通す。旋回スクロール冷却チャンバーと同様に、固定スクロール冷却チャンバー内の冷却フィンは、固定スクロール16から冷却材への伝熱を促進する。さらに、冷却フィンは、から冷却材出口80に冷却材を通し、そのポイント(又は地点、point)から、加熱された冷却材が外部のヒート・シンク(又は吸熱器、heat sink)、熱交換器、又は他の冷却システムに移されてよい。ここで、熱は、スクロール・デバイス10を通る冷却材の再循環に備えて冷却材から抽出されてよく、又は冷却材源又は貯蔵所(repository)に戻されてよく、若しくは廃棄されてよい。
【0044】
図3~7は、スクロール・デバイスを通る冷却材の経路決定(又はルーティング、routing)のための、1つの可能な構成を示しているものの、本開示は他の構成も同様に包含する。例えば、ハウジング12を通る交差チャネル54及び56の一方又は両方は、いくつかの実施形態において、ハウジング12の他の位置に設置されてよい。さらに、交差穴88及び90の一方又は両方は(突起86、92、94、及び96の1つ又はそれ以上と共に)、スクロール・デバイスの他の場所に位置付けられてよい。いくつかの実施形態において、突起94及び96の一方又は両方は、バルブ又は他のアクセス・ポート(又は点検ポート、access port)を有して成ってよく、それによって冷却材をそこにある冷却材チャネルに直接挿入する、又は冷却材チャネルから直接抽出することが可能となる。同様に、いくつかの実施形態において、突起84及び86の一方又は両方は、バルブ又は他のアクセス・ポートを有して成ってよく、それによって、冷却材をそこにある冷却材チャネルに直接挿入する、又は冷却材チャネルから直接抽出することが可能となる。
【0045】
さらに、いくつかの実施形態において、スクロール・デバイス10などの液体冷却を伴うスクロール・デバイスは、入口から旋回スクロール60(旋回スクロール60と関連する冷却チャンバーを含む)、固定スクロール16(固定スクロール16と関連する冷却チャンバーを含む)に冷却材を送るように構成されてよい。他の実施形態において、このようなスクロール・デバイスは、入口から固定スクロール16(固定スクロール16と関連する冷却チャンバーを含む)に、次いで旋回スクロール60(旋回スクロール60と関連する冷却チャンバーを含む)に冷却材を送るように構成されてよい。また、さらなる実施形態では、冷却材は、旋回スクロール16(旋回スクロール60と関連する冷却チャンバーを含む)のみ、又は固定スクロール16(固定スクロール16と関連する冷却チャンバーを含む)のみに送られてよい。いくつかの実施形態において、例えば、固定スクロール16は液冷されてよく、その一方で旋回スクロール60は空冷されてよい。他の実施形態において、固定スクロール16は空冷されてよく、その一方で旋回スクロール60は液冷されてよい。
【0046】
図8Aは、冷却チャンバー150の断面を示しており、これは、スクロール・デバイス10の旋回スクロール60と旋回スクロール・ジャケット66との間に形成される冷却チャンバーの代表的なものであり、また、スクロール・デバイスの固定スクロール16と固定スクロール・ジャケット48との間に形成される冷却チャンバーの作動の原理を論証する。冷却材は、入口152を通って冷却チャンバー150に流入する。冷却フィン64は、冷却材が冷却フィン64を流れ過ぎ、そこから熱を抽出することを可能にする遠回りの経路に沿って冷却チャンバー152を通るように冷却材を方向づける。冷却フィンは、出口154に冷却材を送り、そのポイントから、まだ熱い(now-heated)冷却材を冷却するための別の冷却チャンバー、又は熱交換機に冷却材が送られてよい。例えば、冷却フィンの製造材料、冷却フィンの厚み、冷却フィンの位置、及び/又は冷却フィンの表面仕上げを含む冷却フィン64の態様は、冷却フィン64が関連するスクロール(例えば、固定スクロール又は旋回スクロール)から、冷却チャンバー150を通るように流れる冷却材への伝熱を促進するために選択されてよい。
【0047】
図8Aは、冷却フィン64のある構成を示しているものの、冷却フィン64の他の構成は本開示の範囲に属する。より詳細には、入口152から出口154に冷却材を通すように構成されることに加え、冷却フィン64は、冷却チャンバー150が位置付けられる固定スクロール又は旋回スクロールの最も温度の高い部分に隣接する冷却チャンバーの部分又は領域に、より多くの冷却材を通すように構成されてよい。例えば、冷却フィン64は、冷却チャンバー150の中央に、より多くの冷却材を通すように構成されてよい。さらに、いくつかの実施形態において、冷却フィン64の全ては、固定スクロール又は旋回スクロールから、固定スクロール・ジャケット又は旋回スクロール・ジャケットに延在してよく、その一方で、他の実施形態では、冷却フィン64の1つ又はそれより多くは、固定スクロール又は旋回スクロールから固定スクロール・ジャケット又は旋回スクロール・ジャケットに向かって部分的にのみ延在してよい。またさらに、冷却フィンは、固定スクロール又は旋回スクロールから、冷却チャンバー150を通って流れる冷却材への伝熱を最大限にする、又は改善するように構成されてよい。
【0048】
図8Aは、一方のサイドにある入口152及び反対サイドにある出口154を有する冷却チャンバー150を示している一方で、他の実施形態では、入口152及び/又は出口154は、冷却チャンバー150の外周のあたりの別の場所に位置付けられてよい。いくつかの実施形態において、入口及び出口の一方又は両方は、冷却チャンバー150を覆うジャケットに位置付けられてよい。
【0049】
図8Bは、スクロール・デバイス10などのスクロール・デバイスの固定スクロール16及び旋回スクロール60、並びに固定スクロール冷却ジャケット48及び旋回スクロール冷却ジャケット66の断面図を示している。この図に示されるように、固定スクロール・インボリュート16及び旋回スクロール・インボリュート61は、複数のポケット65を形成し、そこで、作用流体は(スクロール・エキスパンダー以外のスクロール・デバイスにおいて)圧縮、又は(スクロール・エキスパンダーにおいて)膨張される。固定スクロール・インボリュート16は、チップ・シール(tip seal)67に適合する(又は合う、fit)チップ・シール溝(tip seal groove)を有して成る。チップ・シール67は、旋回スクロール60に押し当てられ、あるポケット65から別のポケットへの作用流体の漏出を減ずる。また、旋回スクロール・インボリュート61も、チップ・シール69が適合するチップ・シール溝を有して成る。チップ・シール69は固定スクロール16に押し当てられ、また、あるポケット65から別のポケットへの作用流体の漏出を減ずる。
【0050】
固定スクロール・ジャケット48及び固定スクロール16、並びに旋回スクロール・ジャケット66及び旋回スクロール60は、それらの間に冷却チャンバー150を各々形成する。冷却チャンバー150内の冷却フィン64は、固定スクロール16及び旋回スクロール60から冷却チャンバー150を通って流れる冷却材への伝熱を促進するように構成される。また、冷却フィン64は、入口から各冷却チャンバーに、各冷却チャンバーから出口に流体を通す。
【0051】
また、
図8Bに示されているのは、クランクシャフト・ベアリング71であって、それは、旋回スクロール・ジャケット66に取り付けられ、偏心性クランクシャフト73の一方の端部に作動可能に接続される。スクロール・エキスパンダー以外のスクロール・デバイスにおいて、モーターによって駆動される偏心性クランクシャフト73によって、旋回スクロール60が固定スクロール16に対して旋回する。スクロール・エキスパンダーでは、作用流体の膨張によって、旋回スクロール60が固定スクロール16に対して旋回する。偏心性クランクシャフト73は、発電機に作動可能に接続され、旋回スクロールの旋回運動によって偏心性クランクシャフト73が回転し、それによって発電機を回転させ、発電する。
【0052】
図9A及び9Bは、本開示の別の実施形態に従うスクロール・デバイス100を示している。スクロール・デバイス100は、旋回スクロール112に合わされる(または対になる、mated)固定スクロール106を有して成り、旋回スクロール112はモーター104に作動可能に接続される。モーター104は、モーター14と同一、又は類似であってよい。固定スクロール16と同一又は類似であってよい固定スクロール106は、約120°離れるように間隔をあけられている3つのアイドラー・シャフト・アッセンブリ108、109、110を有する。アイドラー・シャフト・アッセンブリ108、109、110は、アイドラー・シャフト・アッセンブリ18、20、及び22と同一又は類似であってよい。本明細書で説明される他の実施形態と同様に、アイドラー・シャフト・アッセンブリ108、109、110以外のいずれの機械的結合、旋回スクロール112を固定スクロール106に固定するため、及び固定スクロール106に対する旋回スクロールの運動の好ましい範囲を保証するために用いられてよい。例えば、オルダム・リングがアイドラー・シャフト・アッセンブリ108、109、110の代わりに用いられてよい。固定スクロール106は、アイドラー・シャフト・アッセンブリ108、109、110のアイドラー・シャフトを介して旋回スクロール112に合わされる。旋回スクロール112は、旋回スクロール60と同一又は類似であってよい。アイドラー・シャフトによって、旋回スクロールが固定スクロール106に対して旋回することが可能となる。また、スクロール・デバイス100は、モーター104に接続されるセンター・シャフト122を有して成る。センター・シャフト122は、フロント・ベアリング124又は対のフロント・ベアリング、並びにリア・ベアリング(図示せず)又は対のリア・ベアリングによって支持される。モーター104は、センター・シャフト122を駆動させる。旋回スクロール112は第1インボリュートを有し、固定スクロール106は第2インボリュートを有する。
【0053】
旋回スクロール112の回転運動のバランスをとるため、動的に旋回スクロール112のバランスをとるように、対のバランス・ウェイトが第1インボリュートに同軸的に位置付けられてよい。また、動的に旋回スクロール112のバランスをとるため、対のカウンターウェイト(counterweight)がセンター・シャフトに位置付けられてよい。旋回スクロール112はセンター・シャフトに連結されており、センター・シャフトは、固定スクロール106に関する固定された経路に従って、2つのスクロール106及び112の間に一連の三日月形状のポケットを作りながら、偏心的に旋回スクロールを動かす、又は旋回させる。スクロール・デバイス100は、スクロール・デバイス10と同じ作動原理を利用する。
【0054】
スクロール・デバイス100は、冷却材入口114に接続される入口可撓性チューブ又はベローズ118、並びに冷却材出口116に接続される出口可撓性チューブ又はベローズ120を有して成る。液体冷却材(図示せず)は、入口114から入口ベローズ118に流入してよく、次いで、出口可撓性チューブ又はベローズ120及び冷却材出口116を通って出る前に、旋回スクロール112と関連する冷却フィン(図示せず)に流入してよい。他の実施形態において、入口114及び可撓性チューブ又はベローズ118は、入口114から可撓性チューブ又はベローズ118を通って、固定スクロール106と関連する冷却フィンに冷却材を通すように構成されてよく、出口116及び可撓性チューブ又はベローズ120は、固定スクロール106から可撓性チューブ又はベローズ120を介して出口116に冷却材を通すように構成されてよい。また他の実施形態において、入口114及び可撓性チューブ又はベローズ118は、入口114から固定スクロール106及び旋回スクロール112の一方に関連する冷却フィンに冷却材を通すように構成されてよく、その上で、別の可撓性チューブ又はベローズは、固定スクロール106及び旋回スクロール112の他方に冷却材を通すように構成されてよく、可撓性チューブ又はベローズ120は、そこから出口116に冷却材を通すように構成されてよい。本開示の実施形態に従い、可撓性チューブ又はベローズは、固定スクロール106(それと関連するいずれかの冷却フィン又は冷却チャンバーを含む)、旋回スクロール112(それと関連するいずれかの冷却フィン又は冷却チャンバーを含む)、モーター104(それと関連するいずれかの冷却フィン又は冷却チャンバーを含む)、及び、冷却に要する、又はスクロール・デバイス100の所望の冷却を達成するために冷却材を送らなければならない、任意の他の構成要素の、いずれか1つ又はそれより多くに、又はそこから、若しくはその間に冷却材を流すために用いられてよい。
【0055】
図10は、スクロール・デバイス100の代替の実施形態を示しており、そこにおいて、可撓性チューブ又はベローズ118及び120は、固定スクロール106から離れるように、スクロール・デバイス100の後方に向かう代わりにハウジング102の前方に向かって延在する。この実施形態において、冷却材入口及び出口は見えないものの、ハウジング102の前方に位置付けられる。
【0056】
ねじり応力は、可撓性配管(又はチュービング、tubing)の劣化を早め得る。したがって、本開示は、スクロール・デバイス100における可撓性配管又はベローズのどちらかの使用を包含しており、可撓性配管がスクロール・デバイス100の構成で用いられた場合に可撓性配管が受けることになるねじり応力を考慮すると、
図9A~9B及び
図10の実施形態における、冷却材を流すベローズの使用は、有益であり得る。一方で、ベローズは、固定スクロール106に対する旋回スクロール112の運動に起因する応力及び負荷により耐え得るものであり、したがって、より長く持続し得る(又は持ちこたえ得る、last)。
【0057】
高圧スクロール・デバイスは、それを駆動させるのに高出力のモーターを要する傾向があり(スクロール・コンプレッサー及び真空ポンプの場合)、又は高電力(high power)の発電機を駆動させる傾向がある(スクロール・エキスパンダーの場合)。したがって、このようなデバイスは、周囲環境との強制された伝導(forced conduction)に依存し得る、大きなモーター又は発電機を要し、それは周囲の温度に大きく依存する。また、本開示の実施形態に従い、液体冷却は、モーター又は発電機に適用されることができ、それによって、予測可能な、一貫したモーター又は発電機の温度を維持しながら、全体のサイズを減ずることが可能となる。
【0058】
ここで、
図11A~11Eを参照すると、スクロール・デバイス10と同一又は実質的に類似であってよい、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイス200は、モーター204、ハウジング208、モーター冷却ジャケット212、及び結合部(又は連結若しくは継手、coupling)214を有して成る。モーター冷却ジャケット212は、冷却材入口216及び冷却材出口220を有して成り、シールされた(又は密封された、sealed)モーター・ヒート・シンク(又はモーター吸熱器、motor heat sink)224を少なくとも部分的に規定する。冷却材入口216にポンプ流入される、又は冷却材入口216によって受けられる冷却材は、モーター・ヒート・シンク224を通って流れ、モーター204の温度を低減するため、モーター204のローター(又は回転子、rotor)及びステータ(又は固定子、stator)の両方からの熱を吸収する。次いで、冷却材は、冷却材出口220を介してモーター冷却ジャケット212を出て、そのポイントにおいて、冷却材は外部の熱交換機に循環され得る、冷却材源又は貯蔵所に戻され得る、又は廃棄され得る。
【0059】
モーター冷却ジャケット212及び/又はモーター・ヒート・シンク224は、1つ又はそれより多くの冷却フィンを有して成ってよい。
【0060】
図11Eは、スクロール・デバイス200の斜視図を示しており、ハウジング208の一部は除去されている。
図11Eにおいて見えるものは、固定スクロール232、並びに互いに120度の間隔をあけた2つのアイドラー・シャフト228(見えていない3つ目を伴う)及び固定スクロール・ジャケット236である。また、旋回スクロール248、旋回スクロール・ジャケット252、かかり付きホース・フィッティング241及び244も見える。かかり付きホース・フィッティング241は、旋回スクロール248及び旋回スクロール・ジャケット252によって規定される冷却チャンバーと流体連通している。かかり付きホース・フィッティング244及び241の各々は、本明細書の他の所で説明されるのと同様に、スクロール・デバイス200の一方の側から他方の側に冷却材を移送するため、それらに固定される可撓性導管を有するように適合される。
【0061】
ハウジング208が透視で示されている
図12において、スクロール・デバイス250は、
図11A~11Eのスクロール・デバイス200に実質的に類似しているものの、かかり付きホース・フィッティング251を支持する突起253を用いて構成される。この実施形態において、可撓性導管240は、旋回スクロール248と旋回スクロール・ジャケット252との間に形成される冷却チャンバーと流体連通しているかかり付きホース・フィッティング(見えず)の一方の端部、及びかかり付きホース・フィッティング251の他方の端部に取り付けられ、これは、モーター冷却ジャケット212、及び/又は(
図11Dに示されたような)モーター・ヒート・シンク224などのモーター・ヒート・シンクに冷却材を移送する冷却材チャネル(図示せず)に流体連通している。これは、旋回スクロール248から(又は固定スクロール232から)モーター冷却ジャケット212に冷却材を移送するための、外部のハウジング又は配管の必要性を除去する。
【0062】
スクロール・デバイス250の可撓性導管240及び242の別の構成が可能である。可撓性配管240及び242は、冷却材入口から、固定スクロール232と関連する冷却チャンバー、旋回スクロール248と関連する冷却チャンバー、及びモーター冷却ジャケット212と関連する冷却チャンバーを含む1つ又はそれより多くの冷却チャンバーに冷却材を通すことを要するように配置されてよい。
【0063】
スクロール・デバイス200の構成要素は、スクロール・デバイス10の対応する構成要素と同一又は類似であってよい。
【0064】
図13は、スクロール・デバイス200に類似するスクロール・デバイス260の斜視図を供する。
図13のスクロール・デバイス260において、可撓性金属ベローズ243及び245は、可撓性導管240及び242の代わりに用いられる。冷却材入口246から、かかり付きホース・フィッティング244及び可撓性金属ベローズ245を通って、旋回スクロール248及び旋回スクロール・ジャケット252によって規定される冷却チャンバー内に冷却材を送るように、可撓性金属ベローズ243及び245は、それぞれ、かかり付きホース・フィッティング241及び244に接続されるように図示されている。冷却チャンバーを通過後、冷却材は、かかり付きホース・フィッティング241を通って可撓性金属ベローズ243に通され、それは、固定スクロール232及び固定スクロール・ジャケット236によって規定される冷却チャンバーに向かって冷却材を流す。
【0065】
本開示に従い、スクロール・デバイス200などのスクロール・デバイスの様々な実施形態は、固定スクロール232、旋回スクロール248、及びモーター冷却ジャケット212の1つ又はそれより多くに、任意の順序で冷却材を送るように構成されてよい。例えば、冷却材は、旋回スクロール248に送られてよく、次いで、外部の熱交換器に循環される前にモーター冷却ジャケット212に送られ、次いで、旋回スクロール248に戻ってよい。別の例示のように、冷却材は、外部の熱交換器に循環される前に、旋回スクロール248から固定スクロール232、モーター冷却ジャケット212に循環されてよく、次いで旋回スクロール248に戻ってよい。いくつかの実施形態において、冷却材は、いずれの外部のチューブ、ホース、ベローズ、又は他の導管をも使用せずに、モーター冷却ジャケット212に送られてよい。その一方で、他の実施形態では、冷却材を冷却材入口216に通すチューブ、ホース、ベローズ、又は他の導管を介して、冷却材がモーター冷却ジャケットに送られてよい。要するに、スクロール・デバイス200の実施形態は、固定スクロール232及び固定スクロール・ジャケット236によって規定される冷却チャンバー、旋回スクロール248及び旋回スクロール・ジャケット252によって規定される冷却チャンバー、冷却ジャケット212、外部の熱交換器、並びに/若しくは任意の他の所望の位置の間、若しくはその2つ又はそれより多くの間に冷却材を送るため、可撓性チューブ、ホース、ベローズ、又は他の導管を利用してよい。
【0066】
ここで、
図14では、本開示の実施形態に従うスクロール・デバイス300は、本明細書の他の所で説明される、スクロール・デバイス10、100、及び200の構成要素と同一又は実質的に類似である多くの構成要素を有して成る。スクロール・デバイス300は、冷却チャンバー312を規定する固定スクロール304及び固定スクロール・ジャケット308;冷却チャンバー324を規定する旋回スクロール316及び旋回スクロール・ジャケット320;複数のベアリング336によって支持されるアイドラー・シャフト332を各々有して成る複数のアイドラー・シャフト・アッセンブリ328;スクロール・デバイス300の様々な冷却チャンバー、外部の熱交換器、及び/又は任意の他の所望の位置の間、又はその2つ又はそれより多くの間に冷却材を送るための可撓性導管368及び372;旋回スクロール316を駆動させるためのクランクシャフト340、旋回スクロール・ジャケット320においてクランクシャフト・ベアリング356によって支持されるセンター駆動シャフト340、並びにスクロール・デバイス300の駆動モーターとスクロール・デバイス300のハウジング380との間に延在する結合部376において供される複数のクランクシャフト・ベアリング344、348、352;並びに結合部376に取り付けられる結合部ジャケット360であって、結合部376と結合部ジャケット360との間の冷却チャンバー364を規定するように構成される、結合部ジャケット360、を有して成る。冷却チャンバー312、324、及び364の1つ又はそれより多くからの冷却材の漏出を防ぐ、又は漏出の可能性を減ずるため、Oリング又は他のシール若しくはガスケットの1つ又はそれより多くは、固定スクロール304と固定スクロール・ジャケット308との間;旋回スクロール316と旋回スクロール・ジャケット320との間;及び/又は結合部376と結合部ジャケット360との間に供されてよい。
【0067】
本明細書の他の所で説明されるように、クランクシャフト340は、クランクシャフト340を駆動させるモーター(図示せず)に一方の端部において(直接的又は間接的のどちらかで、例えば、ベルト又はチェーン(又は鎖、chain)によって)作動可能に接続される。クランクシャフト340の反対の端部は、クランクシャフト・ベアリング356と係合する(又はかみ合わせる、engage)。クランクシャフト340は偏心的であって、それによって、クランクシャフト340は固定スクロール304に対して偏心運動で(クランクシャフト・ベアリング356及び旋回スクロール・ジャケット320を介して)旋回スクロール316を駆動することを可能にする。
【0068】
クランクシャフト340の回転によってベアリング344、348、及び352の回転が発生し、結果としてかなりの量の熱の発生をもたらし得る。ベアリング344、348、及び352を冷却するため、冷却材は、結合部376及び結合部ジャケット360によって規定される冷却チャンバー364内、及び冷却チャンバー364を介して送られてよい。この方法におけるベアリング344、348、及び352の冷却は、ベアリング344、348、及び352の有効寿命を有利に増加させ、それらの早期の故障の可能性を減じ得る。
【0069】
冷却チャンバー364を形成するための結合部ジャケット360の使用は、スクロール・デバイス300に限定されない。本明細書で説明されるいずれのスクロール・デバイスにおいても、ベアリング344、352、及び356などのベアリングの冷却が可能となるように、結合部ジャケット360及び冷却チャンバー364を増やすために改変されてよい。
【0070】
前述から、スクロール・コンプレッサー、真空ポンプ、及びエキスパンダーの機械類からのスクロール・デバイス10、100、及び200が説明されている。スクロール・デバイス10、100、及び200は、流体を周期的に膨張及び圧縮し、付近の大気の侵入なしにスクロール・デバイス10に接続されるライン、デバイス、又は空間を空にする(又は排気する、evacuate)ことが可能である。スクロール・デバイス10、100、及び200は、モーターから直接、又は代替的に、ハウジング及び作用流体への大気侵入の発生を最小限にする、磁気結合(又は磁気カップリング、magnetic coupling)に接続されたモーターから、駆動力を受ける。本開示及びその様々な構成要素は、既存の装置を使用してよく、限定しないものの、金属シート及び金属箔、エラストマー、鋼鉄プレート、ポリマー、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、鉄金属及び非鉄金属、様々な合金、並びに合成物を含む、多くの材料から製造されてよい。
【0071】
本開示の実施形態において、固定スクロール・インボリュート及び/又は旋回スクロール・インボリュートは、被覆又はめっきされたインボリュート壁を有して成ってよい。被覆又はめっきは、耐摩耗性潤滑材であってよい。被覆又はめっきは、自己潤滑性の被覆又はめっきであってよい。被覆又はめっきは、乾燥状態及び/又は固体であってよい。被覆又はめっきは、ポリテトラフルオロエチレンであってよく、それを含んで成ってよい。被覆又はめっきは、耐食(又は防食)であってよく、摂氏35度~摂氏1000度、又は摂氏100度~摂氏750度、又は摂氏150度~摂氏500度、又は摂氏200度~摂氏300度の温度の環境において使用可能であってよい。被覆又はめっきは、固定スクロール・インボリュートと旋回スクロール・インボリュートとの間におけるギャップ(又は間隔、gap)の存在を有利に減じ得る又は除去し得るものであり、また、固定スクロール・インボリュートと旋回スクロール・インボリュートとの間の摩擦を有利に減じ得る。
【0072】
記述された全てから、したがって、例えば可撓性チューブ、可撓性ホース、又は可撓性ベローズであり得る可撓性導管の使用を介する液体冷却を有する、本明細書で図示及び説明されているスクロール・デバイスが明らかとなるであろう。しかしながら、当業者に明白となるように、対象のスクロール・デバイスの多くの変更、修正、変形及び他の使用並びに用途が可能であり、想定される。本開示の精神及び範囲から逸脱しない全ての変更、修正、変形及び他の使用並びに用途は、後述の特許請求の範囲によってのみ制限される本開示によって網羅されているとみなされる。
【0073】
かかり付きフィッティングは、本明細書において図示の目的で使用されているものの、圧縮フィッティング(compression fitting)又はフレア状フィッティング(又はフレア管フィッティング、flared fitting)など、フィッティングの他の種類が使用され得るということが可能であり、想定される。フィッティングの種類は、本開示の範囲を制限することを意図されていない。
【0074】
本明細書に記載される固定スクロール・ジャケット及び旋回スクロール・ジャケットは、図に示された形状又は形態に制限されないものの、それぞれ、固定スクロール及び旋回スクロールに近接する冷却チャンバーを形成するために適当ないずれの冷却保持デバイスであってもよく、図に示された、又は示唆されたものより大きい、又は小さい冷却チャンバーの境界を有して成ってよい。さらに、いくつかの実施形態において、スクロール・ジャケット又は冷却保持デバイスを必要としないように、固定スクロール及び/又は旋回スクロールは、そこにおいて冷却チャンバーの境界を全体的に規定してよい。
【0075】
「可撓性導管」という用語は、スクロール・デバイスのある領域又は容積から、スクロール・デバイスの別の領域又は容積に液体冷却材を移送する可撓性部材を説明するのに用いられ、可撓性チューブ、可撓性ホース、可撓性金属ロッド(又は棒材、rod)、可撓性ベローズ、並びに他の可撓性の中空コネクタ又はデバイスを含むが、これに制限されない。可撓性導管は、本明細書で特定された材料を含む、いずれの適当な材料で成ってもよい。
【0076】
入口は、ハウジングに形成されているとして本明細書で説明されるものの、入口は、スクロール・デバイスのいずれかの静止部分、又は、特にスクロール・デバイスの作動を妨げない固定スクロールのいずれかの部分に形成され得る。固定スクロールと旋回スクロールとの間に延在する可撓性導管を有する、及び固定スクロールとハウジングとの間に延在する第2の可撓性導管を有する静止した(又は固定された、stationary)固定スクロールにある入口など、用途に応じて、他の組合せが同様に有利であり得る。また、固定スクロール及び/又はモーター・ジャケットから旋回スクロールに、又は旋回スクロールから固定スクロール及び/又はモーター・ジャケットに液体冷却材を移動させるための可撓性導管の使用など、他の組合せが本開示によって想定される。
【0077】
本明細書で説明されるものなどの固定スクロール及び旋回スクロールにおける収容な伝熱経路は、作用流体(例えば、スクロール・コンプレッサーによって圧縮され、スクロール・エキスパンダーによって膨張されている流体)からインボリュート壁に、次いでインボリュート壁を介し、冷却フィン(供される場合)を介して、冷却材に伝わる。本開示のいくつかの実施形態において、本明細書で説明されるスクロール・デバイスの固定スクロール及び/又は旋回スクロールのインボリュートは、このようなスクロール・デバイスで現在利用されているよりも厚い壁を形成されてよい。そして、インボリュート壁の一部又は全ては、機械加工によるかどうかに関わらず、それぞれのスクロールの裏側から(例えば、冷却チャンバーを部分的に規定するスクロールの側から)中空にされてよい。代替の実施形態において、インボリュートは、形成されたように完全に又は部分的に中空であってよい。部分的に又は完全に中空にされたインボリュート壁を有するどちらの場合においても、冷却材はインボリュート壁内を流れることができ、熱が冷却材に達する前に移動しなければならない距離を減じ、結果としてより効率的な冷却をもたらす。本開示のいくつかの実施形態において、インボリュート壁は、完全に又は部分的に中空であってよく、対応する冷却チャンバー(例えば、旋回スクロール及び旋回スクロール・ジャケットによって規定される旋回スクロールの冷却チャンバー、及び/又は固定スクロール及び固定スクロール・ジャケットによって規定される固定スクロールの冷却チャンバー)内には、冷却フィンがなくてよい。本開示の他の実施形態において、インボリュート壁は完全に又は部分的に中空であってよく、また、冷却フィンの1つ又はそれより多くは、対応する冷却チャンバーに供されてよい。このような冷却フィンは、入口から冷却チャンバーに、完全に又は部分的に中空のインボリュート壁内に、及び冷却チャンバーから出口に流体を通すように構成されてよく、又は構成されなくてよい。
【0078】
代替的に、本明細書で開示されるスクロール・デバイスの固定スクロール及び/又は旋回スクロールのインボリュートは、固定スクロール及び/又は旋回スクロールのインボリュートに形成された、又は組み込まれた冷却チャネルを有して成ってよい。このような実施形態において、液体冷却材は、冷却チャンバー150などの冷却チャンバーを通って流れることの代わりに、又はそれに加えて、インボリュート自体を介して循環する。このような配置は、他の方法で必要とされるより大きな幅を有するインボリュートを要することになる一方で、冷却材は、作用流体の近くを循環することになり、それによって温度管理の改善が可能となる。インボリュートに形成された、又は他の方法で組み込まれた冷却チャネルは、インボリュートに機械加工、鋳造、又は3D印刷され得る。
【0079】
さらに、穴の1つ又はそれより多くは、本明細書で開示されるように、スクロール・デバイスの固定スクロールのインボリュート及び/又は旋回スクロールのインボリュートにあけられてよい。固定スクロール・インボリュートにおける穴は、本明細書で開示されるように、固定スクロールの冷却チャンバーに流体連通してよく、旋回スクロールのインボリュートにおける穴は、本明細書で開示されるように、旋回スクロールの冷却チャンバーに流体連通してよい。このような穴を供される実施形態において、インボリュートの改善された冷却を供するため、冷却材はチャネルに流入してよい。さらに、改善された伝熱係数を達成するように、冷却材の温度が、冷却材の沸点に近づくものの、それを超えないということを保証するために、冷却材が選択されてよい(及び構成されたスクロール・デバイスの冷却材循環システム)。
【0080】
1つ又はそれより多くの穴が、固定スクロールのインボリュート及び/又は旋回スクロールのインボリュートにあけられるいくつかの実施形態において、1つ又はそれより多くの穴に銅ロッドが押し入れられてよい。銅は高い熱伝導率を有するため(例えば、アルミニウムの熱伝導率の約2倍高い)、説明されるように、銅ロッドの使用は、インボリュートから冷却材への伝熱を改善する(銅の熱伝導率が、インボリュートが形成された金属、(例えば、アルミニウムであってよい)の熱伝導率より高い場合)。銅ロッドは、冷却材への伝熱をさらに改善するため、穴から冷却チャンバー又は通路、若しくは他の冷却材流路に延在する。
【0081】
また、いくつかの実施形態において、熱交換プレート(例えば、銅フィンに鋳造された又は貼り付けられた(又は固定された、affix)銅チューブ、並びに/若しくは改善された伝熱のために使用されるいずれの他の材料及び構造をも有して成ってよい)は、本明細書に説明されるスクロール・デバイスの固定スクロール及び旋回スクロールの一方又は両方に取り付けられてよい。このような熱交換プレートは、本明細書に説明されるように、冷却チャンバーの内側に取り付けられてよく、及び/又は本明細書で説明されるようにジャケット又は冷却材保持デバイスの機能を実行してよく、並びに/若しくはそれによって冷却材通路を通る冷却材の循環が可能となるように、1つ又はそれより多くの冷却材通路が供されてよい。
【0082】
また、本開示のいくつかの実施形態において、固定スクロール(そのインボリュートを含む)、旋回スクロール(そのインボリュートを含む)、及び/又はスクロール・デバイスの他の構成要素を製造するために、3D印刷が用いられてよい。3D印刷されたスクロールは、必要な交差を達成するために、最終的な機械加工をさらに要する可能性がある一方で、これにより、通常の機械加工/穴あけ操作に伴う制限に関係なく、その3D印刷中に、問題の構成要素の内側に液体冷却材チャネルを形成することが有利に可能となる。実際に、複雑な冷却チャネル及び/又は冷却チャネル・ネットワーク(又は冷却チャネル網、cooling channel network)は、そのインボリュート及びその裏側を介して含み、3D印刷されたスクロールに組み込まれてよい。スクロールを冷却するため、固定スクロール及び/又は旋回スクロール内に直接形成されたこのようなチャネルを利用することによって、スクロール・ジャケット及び冷却チャンバーの必要性が除去され得る。
【0083】
本開示は、スクロールのアライメント(又は位置合わせ、alignment)のためのオルダム・リング又はベローズを有するスクロール・コンプレッサーなど、アイドラー・シャフトが用いられない、スクロール・デバイスの他の種類に関しても同様に機能することになる。
【0084】
代替の液体冷却構成において、本明細書で説明されるスクロール・デバイスは、スクロール・デバイスの固定スクロール、旋回スクロール、及び/又はハウジングに液体冷却材を噴霧することによって冷却されてよい。噴霧された液体冷却材は、固定スクロール、旋回スクロール、及び/又はハウジングの下に位置付けられるリザーバーから引き出されてよく、噴霧された冷却材は、スクロール・デバイスの固定スクロール、旋回スクロール、及び/又はハウジングからそのリザーバー内に流れ落ち、滴り落ちてよい。この方法における液体冷却は、例えば、完全に密封されたスクロール・デバイスに利用されてよい。必要な、又は所望の冷却レベルに応じて、本明細書で説明されるような液体冷却材の噴霧は、本明細書の他の所で説明される冷却チャンバー及び/又は可撓性導管の使用の代替として使用されてよく、若しくは冷却チャンバー及び/可撓性導管の使用に加えて用いられてよい。
【0085】
さらに別の代替の液体冷却構成において、本明細書で説明されるスクロール・デバイスは、その固定スクロールに関連する、冷却チャンバー及び/又は1つ又はそれより多くの冷却材通路を介して冷却材を循環させるための第1冷却ループ、並びにその旋回スクロールに関連する、冷却チャンバー及び/又は1つ又はそれより多くの冷却材通路を介して冷却材を循環させるための、独立した第2冷却ループを有して成ってよい。スクロール・デバイスに作動可能に接続されたモーターに関連する冷却チャンバー又は通路を含む実施形態において(冷却チャンバー又は通路がモーター・ジャケットによって形成されるかどうかにかかわらず)、モーターに関連する冷却チャンバー又は通路は、第1冷却ループ、第2冷却ループ、又は第3の独立した冷却ループの一部であってよい。別個の冷却ループが、第1スクロール、旋回スクロール、及び又はモーターを冷却するために使用される場合、1つの冷却ループにおける漏れ又は他の故障は、他の冷却ループに支障をきたす(又は障害する、compromise)ことなく、作動し続け得る。これにより、冷却ループが遮断された場合においても、スクロール・デバイスは作動し続けることが可能となり得る。
【0086】
上述のような別個の冷却ループを有して成る実施形態において、冷却材は、スクロール・デバイスの一部、又はスクロール・デバイスから分かれる1つ又はそれより多くの静止位置から、各冷却ループに供されてよい。
【0087】
従って、本開示は、1つ又はそれより多くの可撓性導管の使用を介する液体冷却を組み込んだ、ガスのコンプレッサー、真空ポンプ、及びエキスパンダーの機械類からの、新しく改良されたスクロール・デバイスを供する。
【0088】
本開示は、同等の圧力で作動するように設計された既存のスクロール・デバイスよりも低い温度で作動することができるスクロール型デバイスを供する。
【0089】
また、本開示は、他のスクロール型デバイスと比較して、より長寿命が可能なスクロール・デバイスを供する。本開示は、1つ又は複数の可撓性導管を通るように流れてよい冷却流体又は冷却液体の使用を介して、スクロール・デバイスによって発生する熱を減ずることが可能なスクロール・デバイスを供する。
【0090】
さらに、本開示は、インボリュート及びベアリングなどのスクロール・デバイスの構成要素の温度を低下させるため、冷却流体又は冷却液体がその中を流れるためのチャネル又は冷却フィンを有するスクロール・デバイスを供し、それによって、その有効寿命が増加する
【0091】
また、本開示は、冷却流体又は冷却液体のいくらかの停滞した流れを減ずるように、スクロール・デバイス内にいくらかの冷却流体又は冷却液体の流れを強制するためのフィン設計を使用するスクロール・デバイスを供する。
【0092】
また、本開示は、可撓性チューブ又はベローズなどの可撓性導管を使用することによって、冷却流体又は冷却液体がその中に流れ、スクロール・デバイスを冷却することを可能にするスクロール・デバイスに向けられる。
【0093】
本開示の多くの変形及び修正が用いられ得る。他のものを供することなく、本開示のいくつかの特徴を供することが可能であろう。
【0094】
本開示のある実施形態に従うスクロール・デバイスは、第1インボリュート及び第1冷却チャンバーを有して成る固定スクロール;第2インボリュート及び第2冷却チャンバーを有して成る旋回スクロールであって、旋回スクロールは、機械的結合を介して固定スクロールに取り付けられ、旋回軸の周りを固定スクロールに対して旋回するように構成された、旋回スクロール;並びに第1冷却チャンバー及び第2冷却チャンバーに流体連通する可撓性導管であって、スクロール・デバイスの第1サイドからスクロール・デバイスの第2サイドに、旋回軸の周りに延在する、可撓性導管を有して成る。
【0095】
前述のスクロール・デバイスの態様は、以下を含む:第1冷却チャンバーは、固定スクロール・ジャケットによって少なくとも部分的に規定され、第2冷却チャンバーは、旋回スクロール・ジャケットによって少なくとも部分的に規定される;第2可撓性導管は、スクロール・デバイスの第1サイドから反対サイドに延在し、第2可撓性導管は、冷却材入口及び第2冷却チャンバーに流体連通している;第1冷却チャンバーは第1入口及び第2出口を有して成り、第2冷却チャンバーは第2入口及び第2出口を有して成り、さらに、第2可撓性導管は冷却材入口から第2入口に冷却材を流し、冷却材入口は第1サイドにあって、第1入口は反対サイドにあって、第1出口は固定スクロール・ジャケットに位置付けられる;冷却材入口はスクロール・デバイスの静止部分に位置付けられる;少なくとも1つの冷却フィンは、第1冷却チャンバーに延在する;少なくとも1つの冷却フィンは、第1入口から第1出口に冷却材を通すように配置され、第1インボリュートは基部、被覆又はめっきされた壁、及びチップ・シール溝を有して成る;並びに、被覆又はめっきされた壁は、固体耐摩耗性潤滑材で被覆又はめっきされる。
【0096】
本開示の別の実施形態に従うスクロール・デバイスは、少なくとも1つの機械的結合を介して固定ロールに取り付けられる旋回スクロール、旋回軸の周りで固定スクロールに対して旋回するように構成された旋回スクロール、固定スクロールであって、旋回スクロールに向かって延在する第1インボリュート;第1冷却チャンバー;及び旋回スクロールから離れるように第1冷却チャンバー内に延在する、第1の複数の冷却フィン、を有して成る固定スクロール;第1冷却チャンバーに流体連通している可撓性導管、固定スクロールに接続される第1端部を有する可撓性導管、旋回スクロールに接続される第2端部、並びに旋回軸の周りで曲がった長さ、を有して成る。
【0097】
前述のスクロール・デバイスの態様は、以下を含む:可撓性導管は、旋回軸に対して実質的に垂直に延在する;固定スクロールは固定スクロール・ジャケットをさらに有して成り、固定スクロール・ジャケットは第1冷却チャンバーの壁を規定する;旋回スクロールは、第2冷却チャンバー及び旋回スクロールから離れるように、第2冷却チャンバー内に延在する第2の複数の冷却フィンを有して成る;旋回スクロールは旋回スクロール・ジャケットをさらに有して成り、旋回スクロール・ジャケットは、第2冷却チャンバーの壁を規定し、クランクシャフト・ベアリングを有して成る。
【0098】
本開示の別の実施形態に従う液体冷却スクロール・デバイスは、第1冷却材通路を有して成る固定スクロール;第2冷却材通路を有して成る旋回スクロール;旋回スクロールに作動可能に接続されるモーターであって、モーターによって旋回スクロールが旋回軸の周りを固定軸に対して旋回する、モーター;旋回軸の周りで湾曲する可撓性導管、を有して成り、可撓性導管は、第1冷却剤通路及び第2冷却材通路と流体連絡している。
【0099】
前述の液体冷却スクロール・デバイスの態様は、以下を含む:モーターを少なくとも部分的に包囲するモーター・ジャケットであって、第3冷却通路を有して成る、モーター・ジャケット;第3冷却通路は、入口、出口、及び複数の冷却フィンを有して成る;第2冷却材通路及び第3冷却材通路に流体連通している第2可撓性導管;並びに、固定スクロール又は旋回スクロールは、固体耐摩耗性潤滑材で被覆又はめっきされた壁を有するインボリュートを有して成る。
【0100】
前述の中で、範囲が議論され、用いられてきた。当業者は、本発明から逸脱することなく、広範囲内の任意の数又は値と同様に、記載された範囲内の任意のサブ範囲(又は部分範囲、sub-range)が適切であることを理解するであろう。さらに、本明細書で用いられる「約」という用語の意味が当業者に明白でない場合は、「約」という用語は、記載された値のプラスマイナス5パーセント以内を意味するとして解釈されるべきである。
【0101】
本開示を通して、様々な実施形態が開示されている。ある実施形態に関して説明された構成要素は、別の実施形態に関して説明された同様の番号の構成要素と同一又は類似している。
【0102】
本開示は、特定の標準及びプロトコル(protocol)を参照して、態様、実施形態、及び/又は構成で実施される構成要素並びに機能を説明するものの、態様、実施形態、及び/又は構成は、そのような標準及びプロトコルに限定されない。本明細書に記載されていない他の同様の標準及びプロトコルが存在し、それらは本開示に含まれると見なされる。さらに、本明細書に記載の標準及びプロトコル、並びに本明細書に記載されていない他の同様の標準及びプロトコルは、本質的に同じ機能を有する、より速くより効果的な同等物によって、定期的に取って代わられる。同じ機能を有する、このような標準及びプロトコルの置き換えは、本開示に含まれる同等物と見なされる。
【0103】
様々な態様、実施形態、及び/又は構成において、本開示には、様々な態様、実施形態、構成の実施形態、サブコンビネーション(subcombination)、及び/又はそれらのサブセットを含む、本明細書に実質的に図示され、説明された構成要素、方法、プロセス、システム及び/又は装置が含まれる。当業者は、本開示を理解した後、開示された態様、実施形態、及び/又は構成を作成及び使用する方法を理解するであろう。本開示は、様々な態様、実施形態、及び/又は構成において本明細書又は本明細書の様々な態様、実施形態、及び/又は構成において図示及び/又は説明されていない項目がない場合、例えば、パフォーマンスの向上、容易さの達成、及び/又は実施コストの削減のための以前のデバイス又はプロセスにおいて使用されていてよい、そのような項目がない場合を含み、供されるデバイス及びプロセスを含む。
【0104】
前述の議論は、図示及び説明の目的で提示されている。上述は、本明細書で開示される1つ又は複数の形態に本開示を限定することを意図されていない。前述の詳細な説明において、例えば、本開示の様々な特徴は、本開示を合理化する目的のため、1つ又はそれより多くの態様、実施形態、及び/又は構成にまとめられる。本開示の態様、実施形態、及び/又は構成の特徴は、上述のそれら以外の代替の態様、実施形態、及び/又は構成で組み合わせられ得る。本開示の方法は、特許請求の範囲が各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を要するという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、前述の単一の開示された態様、実施形態、及び/又は構成の全ての特徴よりも少ない特徴にある。したがって、以下の特許請求の範囲は、本開示の別個の好ましい実施形態として自立した各請求項を伴い、本明細書によってこの詳細な説明に組み込まれる。
【0105】
さらに、本明細書には、態様、実施形態、及び/又は構成の1つ又はそれより多く、並びにある変形及び修正が含まれているものの、他の変形、組合せ、及び修正は、本開示の範囲内であって、例えば、本開示の理解後の当業者の技能及び知識の範囲内であってよい。特許可能な主題を公にすることを意図するのではなく、代替の、交換可能な、及び/又は同等の構造、機能、範囲又はステップが本明細書に開示されているかどうかに関わらず、主張されるものに対する、代替の、交換可能な、及び/又は同等の構造、機能、範囲又はステップを含む、許可される範囲の代替の態様、実施形態、及び/又は構成を含む権利を得ることを意図する。
【0106】
本明細書で議論されるステップ、機能、及び作動のいずれも、連続的及び自動的に実行され得る。