(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】選択丁合システム
(51)【国際特許分類】
B65H 39/043 20060101AFI20220318BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
B65H39/043
B65G1/137 A
(21)【出願番号】P 2018060948
(22)【出願日】2018-03-27
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】508132470
【氏名又は名称】株式会社サム技研
(73)【特許権者】
【識別番号】518106032
【氏名又は名称】株式会社ケイ・エム・ピー
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100162293
【氏名又は名称】長谷 久生
(74)【代理人】
【識別番号】100126170
【氏名又は名称】水野 義之
(72)【発明者】
【氏名】幸 貴広
(72)【発明者】
【氏名】平松 禎舗
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-169614(JP,A)
【文献】特開2007-008653(JP,A)
【文献】特開平11-060048(JP,A)
【文献】特開2007-022705(JP,A)
【文献】特開2005-350232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 39/043
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
宛先に応じて選択された発送物を丁合する選択丁合システムであって、
少なくとも1つの発送物を含む丁合物を搬送するための複数のフィンガーを有する搬送路と、
前記搬送路の最上流に配置され、前記宛先を表す宛先情報が印字された宛名用紙を前記搬送路に投入する宛名用紙投入機と、
前記搬送路に投入された前記宛名用紙に印字された前記宛先情報を読み取る宛先情報読取機と、
単一種類の発送物がセットされ、セットされた前記単一種類の発送物を前記丁合物に投入する自動投入機と、
人手によりピッキングされた発送物を先入れ先出し方式で保持するバッファスロットを有し、前記バッファスロットに保持された発送物を前記丁合物に投入するバッファ投入機と、
を備え、
前記複数のフィンガーのそれぞれには、個々のフィンガーを識別可能なフィンガー識別情報が格納されたタグが設けられており、
前記宛名用紙投入機と前記宛先情報読取機とのいずれかにより前記フィンガー識別情報を前記タグから読み取ることによって、前記フィンガー識別情報を前記宛先情報に対応付けるとともに、
前記自動投入機および前記バッファ投入機により前記フィンガー識別情報を前記タグから読み取ることによって、前記自動投入機および前記バッファ投入機が読み取られた前記フィンガー識別情報に対応付けられた前記宛先情報で表される前記宛先に対して発送すべき発送物を前記丁合物に投入するように構成されている、
選択丁合システム。
【請求項2】
前記バッファ投入機は、前記バッファスロットとして、上下方向と前記搬送路における前記丁合物の搬送方向とに配列された複数のバッファスロットを有している、請求項1記載の選択丁合システム。
【請求項3】
前記バッファ投入機は、
前記搬送方向に配列された前記複数のバッファスロットのうち、発送物を投入すべきバッファスロットを指示するバッファ投入指示ランプと、
該バッファスロットに発送物が投入されたことを検出するバッファ投入確認センサと、
を有している、
請求項2記載の選択丁合システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか記載の選択丁合システムであって、さらに、
前記バッファスロットに投入される複数種類の発送物がセットされるピッキング棚を備えており、
前記ピッキング棚は、
前記複数種類の発送物のうち前記バッファスロットに投入すべき発送物を指示するピッキング指示ランプと、
該発送物がピッキングされたことを検出するピッキング完了センサと、
を有している、
選択丁合システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発送物を丁合する丁合システムに関し、特に、宛先に応じて選択された発送物を丁合する選択丁合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信教育業に於ける教材の発送現場においては、教科毎の書籍類をピッキングし、発送先毎に一まとめにして梱包発送することが行われている。このように書籍類を複数冊ピッキングして一まとめにする(丁合する)作業の効率化を図るため、書籍類としての教材を所定の箇所に搬送する搬送コンベアと、出荷宛名用紙を所定の箇所に搬送する宛名搬送コンベアとを平行に配設し、搬送コンベアの移動方向に沿って各種の教材をピッキングして搬送コンベアに送り出す複数台の丁合機を設置するとともに、宛名搬送コンベアの最上流側に対応する位置に出荷宛名用紙をピッキングする丁合機を設置したランダムピッキング装置を使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の如きランダムピッキング装置では、大きさが略同一の書籍類の丁合は容易であっても、大きさ、厚み、形状等が区々異なる非定形な発送物を機械化した自動投入機で自動ピッキングして丁合することは必ずしも容易ではない。また、大きさが略同一の発送物を丁合する場合や自動化可能なものであっても、その少なくとも一部が少数の宛先にのみ発送される場合、必要となる丁合機の数が過大となるため、特許文献1の如きランダムピッキング装置を用いて丁合を行うのは適切ではない。
【0005】
本発明の目的は、上記問題点を解消し、宛先に応じて選択された発送物を丁合する選択丁合システムにおいて、システムの規模の増大を抑制しつつ、より柔軟に丁合を行うことを可能にする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内、請求項1に記載の発明は、宛先に応じて選択された発送物を丁合する選択丁合システムであって、少なくとも1つの発送物を含む丁合物を搬送するための複数のフィンガーを有する搬送路と、前記搬送路の最上流に配置され、前記宛先を表す宛先情報が印字された宛名用紙を前記搬送路に投入する宛名用紙投入機と、前記搬送路に投入された前記宛名用紙に印字された前記宛先情報を読み取る宛先情報読取機と、単一種類の発送物がセットされ、セットされた前記単一種類の発送物を前記丁合物に投入する自動投入機と、人手によりピッキングされた発送物を先入れ先出し方式で保持するバッファスロットを有し、前記バッファスロットに保持された発送物を前記丁合物に投入するバッファ投入機と、を備え、前記複数のフィンガーのそれぞれには、個々のフィンガーを識別可能なフィンガー識別情報が格納されたタグが設けられており、前記宛名用紙投入機と前記宛先情報読取機とのいずれかにより前記フィンガー識別情報を前記タグから読み取ることによって、前記フィンガー識別情報を前記宛先情報に対応付けるとともに、前記自動投入機および前記バッファ投入機により前記フィンガー識別情報を前記タグから読み取ることによって、前記自動投入機および前記バッファ投入機が読み取られた前記フィンガー識別情報に対応付けられた前記宛先情報で表される前記宛先に対して発送すべき発送物を前記丁合物に投入するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記バッファ投入機が、前記バッファスロットとして、上下方向と前記搬送路における前記丁合物の搬送方向とに配列された複数のバッファスロットを有していることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記バッファ投入機が、前記搬送方向に配列された前記複数のバッファスロットのうち、発送物を投入すべきバッファスロットを指示するバッファ投入指示ランプと、該バッファスロットに発送物が投入されたことを検出するバッファ投入確認センサとを有していることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3記載のいずれかに記載の発明において、さらに、前記バッファスロットに投入される複数種類の発送物がセットされるピッキング棚を備えており、前記ピッキング棚が、前記複数種類の発送物のうち前記バッファスロットに投入すべき発送物を指示するピッキング指示ランプと、該発送物がピッキングされたことを検出するピッキング完了センサと、を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る選択丁合システムによれば、自動投入機およびバッファ投入機により、発送すべき発送物が丁合物に投入される。バッファ投入機には、人手による発送物の投入をより確実に行うことを可能とするバッファスロットが設けられているため、自動投入機による投入に適さない発送物あるいは発送数が少ない発送物を人手によって投入することにより、自動投入機の設置台数を抑制してシステムの規模の増大を抑制しつつ、より柔軟に丁合を行うことができる。
【0011】
請求項2に係る選択丁合システムによれば、バッファ投入機に複数のバッファスロットが設けられているため、搬送路上における丁合物の搬送速度の低下を抑制しつつ、人手による発送物の投入をより確実にすることが可能となる。また、複数のバッファスロットを搬送方向に配列させることにより、作業性の低下を来すことなくバッファスロットの数をより多くすることができる。
【0012】
請求項3に係る選択丁合システムによれば、搬送方向に複数のバッファスロットが配列されたバッファ投入機を用いる場合においても、作業者をして発送物を投入すべきバッファスロットに発送物を投入させることができる。
【0013】
請求項4に係る選択丁合システムによれば、複数種類の発送物をバッファスロットに投入することがより容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】選択丁合システムの概略構成を示す概略構成図である。
【
図2】自動投入機により印刷物が搬送路に投入される様子を示す説明図である。
【
図3】ピッキング棚およびバッファ投入機の構成を示す説明図である。
【
図4】ピッキング棚およびバッファ投入機の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に例示した説明図に基づいて本発明の一実施形態としての選択丁合システム1を説明する。
図1は、選択丁合システム1の概略構成を示す概略構成図である。この選択丁合システム1は、通信販売等において発送される発送商品と、発送商品に併せて発送される印刷物や見本等の同梱物と(以下、発送商品および同梱物を併せて「発送物」とも呼ぶ)を重ね合わせる丁合機能を有している。発送物は、紙面左の上流から紙面右の下流に向かって、搬送路10上を搬送されるとともに、搬送路10に順次投入されることにより丁合される。以下では、このように丁合のために搬送路10に投入され、あるいは、搬送路10において丁合された少なくとも1つの発送物を、丁合物とも謂う。
【0016】
具体的な構成については後述するが、丁合物を搬送する搬送路10には、所定の間隔で配置され、搬送路10に沿って移動する複数のフィンガー(図示しない)が設けられている。搬送路10に設けられたフィンガーのそれぞれには、RFID等の非接触で読取可能なタグが埋め込まれている。タグには、個々のフィンガーを識別するためのフィンガー識別情報(例えば、フィンガーに付された連続番号)が予め格納されており、格納されたフィンガー識別情報を読み取ることにより、個々のフィンガーおよびフィンガーによって搬送される個々の丁合物を識別することが可能となっている。
【0017】
搬送路10の最上流部に配置された宛名用紙投入機2にフィンガーが接近すると、宛名用紙投入機2は、フィンガーのタグに格納されたフィンガー識別情報を読み取るとともに、発送商品の宛名を印字した宛名用紙を搬送路10に投入する。宛名読取機3は、宛名用紙投入機2により投入された宛名用紙に印字された宛名を読み取る。宛名用紙投入機2により読み取られたフィンガー識別情報と、宛名読取機3により読み取られた宛名とは、一組の情報として対応付けられ、図示しない制御装置に送信される。
【0018】
なお、
図1の例では、宛名用紙投入機2と、宛名読取機3とを、搬送方向において略同位置に配置しているため、フィンガー識別情報に対応付けられる宛名を宛名用紙投入機2において読み取っているが、フィンガー識別情報を宛名読取機3において読み取るものとしても良い。この場合、宛名用紙投入機2と、宛名読取機3との位置関係をより柔軟に設定することができる。
【0019】
図1に示すように、宛名読取機3の下流側には、複数の自動投入機4が配置されている。自動投入機4のそれぞれには、単一種類の印刷物がセットされており、自動投入機4は、制御装置の指示に応じて、それぞれにセットされている印刷物を搬送路10に投入する。
【0020】
図2は、自動投入機により印刷物が搬送路10に投入される様子を示す説明図である。
図2において、5台の自動投入機(図示しない)のそれぞれには、発送物として、別種の印刷物91a~91eが積み重ねられた状態でセットされている。各自動投入機は、セットされた印刷物91a~91eのうち、最下層の印刷物91a~91eを取り出し、取り出した印刷物91a~91eを表裏を反転して搬送路10に投入する。なお、自動投入機による印刷物の投入方法は、種々変更することも可能である。例えば、最下層の印刷物を取り出し、表裏を反転させることなく印刷物を投入するようにしても良い。また、複数の自動投入機として、構成の異なる自動投入機を組み合わせて用いることも可能である。
【0021】
図2に示すように、搬送路10は、搬送方向において所定の間隔で配置されたフィンガー11と、フィンガー11を移動させるためのチェーン12とを有している。搬送路10上の丁合物92は、フィンガー11の下流側に配置され、フィンガー11の下流方向(搬送方向)への移動に伴って、下流方向に搬送される。なお、
図2および
図2を参照する以下の説明では、複数のフィンガー11や丁合物92において、個々のフィンガー11や丁合物92を区別するため、符号の末尾に大括弧で括った番号を付加して説明する。
【0022】
フィンガー11[1]が最上流の自動投入機に接近すると、自動投入機は、フィンガー11[1]のタグに格納されたフィンガー識別情報を読み取り、読み取ったフィンガー識別情報を制御装置に送信する。制御装置では、フィンガー識別情報に対応付けられた宛名から投入リストを参照し、自動投入機にセットされた印刷物91aを投入するか否かを判断する。そして、自動投入機にセットされた印刷物91aが投入すべきものであると判断された場合、制御装置は、自動投入機に印刷物91aを投入する指示を送信する。ここで、投入リストとは、宛先ごとに投入すべき発送物を示すリストであり、宛先である顧客の購入履歴、年齢、性別等の顧客情報に基づいて予め作成される。
【0023】
自動投入機は、制御装置から印刷物91aを投入する指示を受信すると、接近してきたフィンガー11[1]の下流側、すなわち丁合物92[1]に印刷物91aを投入する。これにより、印刷物91aは、印刷物91aを投入すべき丁合物92[1]に丁合される。同様に、他の自動投入機においても、印刷物91b~91eが必要に応じて投入され、丁合物92[3],92[5],92[7],92[9]に丁合される。これにより、印刷物91a~91eのうち、宛先ごとに発送すべき印刷物が丁合される。
【0024】
図1に戻って説明する。自動投入機4による丁合が行われた丁合物には、バッファ投入機6により発送物が投入される。バッファ投入機6には、丁合物の搬送方向に沿って4列に配列され、各列が上下方向に3段に配列された、計12個のバッファスロット61が設けられている。このバッファ投入機6の上部には、複数種類の発送物が配置されたピッキング棚5が設けられている。ピッキング棚5に配置された発送物は、人手によりピッキング棚5から取り出され、バッファスロット61に投入される。なお、ピッキング棚5とバッファ投入機6との構成および動作については、後述する。
【0025】
バッファ投入機6の下流側に設けられた手投入域7では、バッファ投入機6により丁合が行われた丁合物の全てに発送商品が投入される。換言すれば、本実施形態の場合は、手投入域より上流の投入物は選択的であるのに対し本手投入域7は全投入である。そして、発送商品が投入された丁合物は、払出機8により搬送路10から封入テーブル9に押し出され、封入テーブル9において封筒に封入される。封筒に封入された丁合物は、図示しない発送用の搬送路に送られ、発送される。
【0026】
図3および
図4は、ピッキング棚5およびバッファ投入機6の構成を示す説明図である。
図3は、ピッキング棚5およびバッファ投入機6を搬送路10側から見た様子を示し、
図4は、ピッキング棚5およびバッファ投入機6と、搬送路10とを搬送方向側(下流側)から見た様子を示している。
図3および
図4に示すように、本実施形態においては、ピッキング棚5とバッファ投入機6とは、一体のピッキングラックRKに組み付けられている。但し、ピッキング棚とバッファ投入機とを別体のものとして構成することも可能である。なお、以下の説明では、ピッキングラックRKから搬送路10を見る方向を前あるいは前方とも謂い、搬送路10からピッキングラックRKを見る方向を後あるいは後方とも謂う。
【0027】
ピッキング棚5は、上下方向に配列された3段の棚板51を有している。棚板51のそれぞれには、丁合物の搬送方向に5個、前後方向に2個のトレー59が配置される。また、それぞれの棚板51の前方側端部には、搬送方向におけるトレー59の配列に対応して、5組のピッキング指示ランプ52およびピッキング完了センサ53が取り付けられている。ピッキング完了センサ53は、作業者の手あるいは被ピッキング物が接近したことを検出する近接センサであり、静電容量式、光学式あるいは超音波式等の各種センサを用いて構成することができる。
【0028】
バッファ投入機6は、バッファ投入指示ランプ62、バッファ投入確認センサ63、発送物保持パイプ64、パイプ駆動シリンダ65および止め板66を有している。止め板66は、発送物保持パイプ64を通すための通し穴が設けられた板状部材であり、略鉛直に立ち上がるように、ピッキングラックRKの前方側端部に取り付けられている。
【0029】
止め板66の上端部には、バッファ投入指示ランプ62が取り付けられている。バッファ投入確認センサ63は、止め板66の上流側上端付近において、止め板66の前方に張り出すように、最下段の棚板51に取り付けられている。バッファ投入確認センサ63は、作業者の手あるいは発送物が止め板66の上端に接近したことを検出する近接センサであり、ピッキング完了センサ53と同様に、静電容量式、光学式あるいは超音波式の各種センサを用いて構成することができる。
【0030】
パイプ駆動シリンダ65は、発送物保持パイプ64をその軸方向に伸長あるいは縮長させるように駆動する空圧式のシリンダーであり、
図4から分かるように、前方側において後方側よりも高くなるように、ピッキングラックRKに取り付けられている。このようにパイプ駆動シリンダ65を斜めに取り付けることにより、後述するように発送物を保持する際において、発送物をより安定的に保持することが可能となる。但し、パイプ駆動シリンダ65は、必ずしも斜めに取り付ける必要はなく、水平に取り付けても良い。
【0031】
図3および
図4に示すように、バッファ投入指示ランプ62、バッファ投入確認センサ63および止め板66は、バッファスロット61(
図1)の搬送方向の配列に対応して、それぞれ、搬送方向に4個配列されている。発送物保持パイプ64およびパイプ駆動シリンダ65は、1つの止め板66に対して、搬送方向に3列に配列されている。そして、搬送方向に配列した発送物保持パイプ64およびパイプ駆動シリンダ65の列は、バッファスロット61の上下方向の配列に対応して、上下方向に3段に配列されている。
【0032】
このように、1つの止め板66に対して、搬送方向に3本の発送物保持パイプ64を配列することにより、小型の発送物であっても、発送物保持パイプ64の上に保持することが可能となる。発送物保持パイプ64の上に保持された発送物は、止め板66により後方への移動が規制されるので、一列(3本)の発送物保持パイプ64を同時に縮長させて後方に移動させると、搬送路10あるいは下段の発送物保持パイプ64の上に落下する。なお、以上の説明から分かるように、1つの止め板66に対して設けられ、搬送方向に配列された3本の発送物保持パイプ64の列は、
図1に示すバッファスロット61に対応する。
【0033】
後述するように、バッファスロットのそれぞれには、保持された発送物が丁合される丁合物を搬送するフィンガーのフィンガー識別情報が対応付けられている。そして、フィンガー11がバッファ投入機6に接近すると、バッファ投入機6は、フィンガー11のタグに格納されたフィンガー識別情報を読み取り、読み取ったフィンガー識別情報を制御装置に送信する。制御装置は、フィンガー11から読み取ったフィンガー識別情報と、バッファスロットに対応付けられたフィンガー識別情報とを照合する。そして、バッファスロットに対応付けられたフィンガー識別情報と、接近してきたフィンガー11のフィンガー識別情報とが一致した場合、制御装置は、フィンガー11が当該発送物を保持するバッファスロットに到達する直前に、そのバッファスロットに対応する発送物保持パイプ64を縮長させ、発送物を搬送路10に投入し、発送物の丁合を行う。
【0034】
発送物の投入の後、制御装置は、縮長させた発送物保持パイプ64を伸長させ、その後、順次上方の発送物保持パイプ64を縮長・伸長させることにより、バッファスロットに保持された発送物を下段に移送する。このようにしてバッファスロットの最上段が空になると、制御装置は、空いたバッファスロットに、丁合物に対応するフィンガー識別情報を対応付ける。
【0035】
具体的には、既にバッファスロットにフィンガー識別情報が対応付けられたフィンガー11よりも上流側のフィンガー11について、投入リストを参照する。そして、参照された投入リストにおいて、ピッキング棚5にセットされた発送物が投入すべきものであると設定されている場合、当該フィンガー11のフィンガー識別情報を空いたバッファスロットに対応付ける。一方、参照された投入リストにおいてピッキング棚5にセットされた発送物が投入すべきものであると設定されていない場合、フィンガー識別情報がバッファスロットに対応付けられるまで、さらに上流側のフィンガー11について同様の処理が繰り返される。
【0036】
このようにして、空のバッファースロットにフィンガー識別情報が対応付けられると、制御装置は、投入リストの設定に基づいて、当該バッファスロットに投入すべき発送物と、当該発送物が投入されるバッファスロットとを作業者に示す。具体的には、制御装置は、投入すべき発送物がセットされたトレー59を示すピッキング指示ランプ52を点灯させるとともに、発送物を投入すべきバッファスロット、すなわち、空になったバッファスロットを示すバッファ投入指示ランプ62を点灯させる。
【0037】
作業者は、点灯したピッキング指示ランプ52で示されたトレー59から発送物を取り出し、取り出した発送物をバッファ投入指示ランプ62が点灯しているバッファスロットに投入する。このとき、ピッキング指示ランプ52の中央に配置されたピッキング完了センサ53は、作業者の手の接近を検出し、検出信号を制御装置に送信する。制御装置は、ピッキング完了センサ53から検出信号を受信すると、対応するトレー59から発送物が取り出されたものと判断し、ピッキング指示ランプ52を消灯させる。
【0038】
同様にして、投入すべき発送物の全てについて、発送物がトレー59から取り出されると、全てのピッキング指示ランプ52が消灯する。このようにして、発送物が投入されたバッファスロットには、フィンガー識別番号に対応付けられた宛先に対して発送すべき発送物が保持される。
【0039】
この状態において、バッファ投入確認センサ63が作業者の手あるいは発送物の接近を検出し、検出信号を制御装置に送信すると、制御装置は、バッファスロットへの発送物の投入が完了したと判断し、バッファ投入指示ランプ62を消灯させる。そして、空のバッファスロットが存在する場合には、そのバッファスロットについても同様の処理が行われ、バッファ投入機6には、12組の発送物が保持される。
【0040】
バッファスロットに保持された発送物は、上述の通り、バッファスロットに対応付けられたフィンガー識別情報と、接近してきたフィンガー11のフィンガー識別情報とが一致した場合に、フィンガー11により搬送されてきた丁合物に投入される。そのため、バッファ投入機においても、フィンガー識別情報に対応付けられた宛名で表される宛先に対して発送すべき発送物が丁合される。
【0041】
なお、以上の説明から分かるように、バッファ投入機6では、バッファスロット数分の発送物が先入れ先出し(FIFO:First In First Out)方式で保持される。このように、バッファスロット数分の発送物が保持されるため、搬送路上における丁合物の搬送速度の低下を抑制しつつ、人手による発送物の投入をより確実に行うことができる。
【0042】
そして、バッファ投入機6を用いることにより、人手による発送物の投入をより確実に行うことが可能となるため、厚みのある発送物、小型の発送物あるいは非定形なパッケージ品等の自動投入機による投入に適さない発送物等をより確実に丁合することができる。また、発送数が少ない発送物についても人手によって投入することにより、自動投入機の設置台数を抑制することが可能となる。
【0043】
従って、本実施形態によれば、自動投入機による投入に適さない発送物や、発送数が少ない発送物については、バッファ投入機6を用いて丁合を行い、印刷物等の自動投入機による投入に適した形状を有し、かつ、発送数が十分に多い発送物については、自動投入機を用いて丁合を行うことにより、自動投入機の設置数を抑制してシステムの規模の増大を抑制しつつ、より柔軟に丁合を行うことが可能となる。
【0044】
上述のように、発送物のピッキング棚5からの取り出しとバッファスロットへの投入は人手によって行われる。そのため、単位時間あたりの発送物の投入数が多くなると、人手による投入作業の作業量が過大となる虞がある。そのため、発送物の投入数が多い状態が継続する場合には、作業量を低減する対応措置をとるようにするのが好ましい。このような対応措置としては、例えば、丁合物の搬送の停止、丁合物の搬送速度の低減、あるいは、応援要請のための警報の発報が挙げられる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば以下のような変形も可能である。
【0046】
上記実施形態では、宛名用紙投入機2で読み取られたフィンガー識別情報と、宛名読取機3により読み取られた宛名とを対応付けているが、一般的には、フィンガー識別情報と、発送物の宛先を表す情報(例えば、顧客番号)との対応付けが可能であればよい。このようにしても、自動投入機4およびバッファ投入機6により、宛先ごとに発送すべき発送物を丁合することが可能となる。
【0047】
上記実施形態では、バッファ投入機6において、より多くの発送物が保持されるように制御を行っているが、異なる態様で制御を行うことも可能である。例えば、バッファ投入機6に保持される発送物の数(すなわち、発送物セットが保持されているバッファスロット61の数)が所定の値以下となった場合に、発送物の投入作業が開始されるように警報を発報するものとしても良い。
【0048】
上記実施形態では、ピッキング棚5の棚板51を3段とし、搬送方向のトレー59の配列数を5個としている。また、バッファ投入機6においては、バッファスロット61を搬送方向に4列、上下方向に3段で配列している。しかしながら、棚板の段数、搬送方向のトレーの配列数、バッファスロットの列数、および、バッファスロットの段数は、適宜変更することが可能である。但し、これらの数は、作業性の低下を抑制するため、発送物の最大の大きさや、作業者の手の届く範囲を考慮して設定するのが好ましく、一般的には、上記実施形態に近い数(例えば±2の範囲)に設定される。
【0049】
また、上記実施形態では、複数種類の発送物をセットしたピッキング棚5から発送物をピッキングしているが、ピッキング棚5を省略することも可能である。この場合、バッファ投入機6においては、単一種類のあるいは固定的に組み合わされる複数種類の発送物が投入される。但し、複数種類の発送物のバッファスロット61への投入をより容易とするため、上記実施形態で示したようなピッキング棚5を用いるのが好ましい。
【0050】
上記実施形態では、バッファ投入機6のバッファスロット61を、止め板66と、搬送方向および上下方向に配列された発送物保持パイプ64とを用いて構成しているが、FIFO方式で発送物が保持可能であれば、バッファ投入機6の構成を種々変更することも可能である。例えば、搬送方向あるいは前後方向に発送物を移送可能なコンベアを組み合わせ、FIFO方式で発送物を保持することも可能である。但し、発送物の後方への移動を規制する止め板66と、搬送方向に配列され、止め板66に対して前後方向に移動可能な発送物保持パイプ64の列とを用いることにより、バッファ投入機6の構成をより簡単にすることができる。
【符号の説明】
【0051】
1・・選択丁合システム、2・・宛名用紙投入機、3・・宛名読取機、4・・自動投入機、5・・ピッキング棚、6・・バッファ投入機、7・・手投入域、8・・払出機、9・・封入テーブル、10・・搬送路、11・・フィンガー、12・・チェーン、51・・棚板、52・・ピッキング指示ランプ、53・・ピッキング完了センサ、59・・トレー、61・・バッファスロット、62・・バッファ投入指示ランプ、63・・バッファ投入確認センサ、64・・発送物保持パイプ、65・・パイプ駆動シリンダ、66・・止め板、91aないし91e・・印刷物、92・・丁合物、RK・・ピッキングラック