(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】レゾルバ
(51)【国際特許分類】
H02K 24/00 20060101AFI20220318BHJP
G01D 5/20 20060101ALI20220318BHJP
H02K 1/14 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
H02K24/00
G01D5/20 J
H02K1/14 Z
(21)【出願番号】P 2018056158
(22)【出願日】2018-03-23
【審査請求日】2020-08-13
(73)【特許権者】
【識別番号】594183299
【氏名又は名称】株式会社松尾製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100101742
【氏名又は名称】麦島 隆
(72)【発明者】
【氏名】関冨 勇治
(72)【発明者】
【氏名】山河 雄輝
(72)【発明者】
【氏名】今枝 宏旨
(72)【発明者】
【氏名】山下 重利
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-101024(JP,A)
【文献】特開2010-175301(JP,A)
【文献】特開2015-167471(JP,A)
【文献】特開2002-369421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/14
H02K 24/00
G01D 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、前記ステータにギャップを介して配置されるロータとを備えたレゾルバであって、
前記ステータは、
前記ロータに対向する周縁部に円周方向に沿って複数設けられるスロットと、隣接するスロット間に位置し、コイルが巻装される磁極片とを有する、略環状の磁性鋼板1枚から形成されるステータコアが上下に2つ組み合わせて構成されていると共に、
前記ロータにギャップを介して対向する前記磁極片の先端対向部が、前記ロータの軸方向に略平行な方向に沿った長さにおいて、前記磁性鋼板
1枚の厚さを越える長さを有して
おり、
前記各ステータコアの各磁極片に、上側の磁極片の磁界変化に対応した出力を得るコイルと下側の磁極片の磁界変化に対応した出力を得るコイルとが配置され、
前記ロータの回転により、前記上側の磁極片に対応して配置されたコイルと前記下側の磁極片に対応して配置されたコイルのそれぞれから、前記各磁界変化に対応した出力信号が得られる構成であり、
かつ、
前記上下のステータコアは、上側の磁極片と下側の磁極片の円周方向における位置が同じか又は所定角度ずれていると共に、上側の磁極片に対応して配置されるコイルと下側の磁極片に対応して配置されるコイルは、同じ軸倍角仕様の巻線構成となっており、
前記ロータは、軸方向に2つ積層されて構成され、そのうちの一方のロータが上方に配置されるステータコアに対応し、他方のロータが下方に配置されるステータコアに対応しており、それぞれのロータに形成された凸部が同数である
ことを特徴とするレゾルバ。
【請求項2】
ステータと、前記ステータにギャップを介して配置されるロータとを備えたレゾルバであって、
前記ステータは、
前記ロータに対向する周縁部に円周方向に沿って複数設けられるスロットと、隣接するスロット間に位置し、コイルが巻装される磁極片とを有する、略環状の磁性鋼板1枚から形成されるステータコアが上下に2つ組み合わせて構成されていると共に、
前記ロータにギャップを介して対向する前記磁極片の先端対向部が、前記ロータの軸方向に略平行な方向に沿った長さにおいて、前記磁性鋼板1枚の厚さを越える長さを有しており、
前記各ステータコアの各磁極片に、上側の磁極片の磁界変化に対応した出力を得るコイルと下側の磁極片の磁界変化に対応した出力を得るコイルとが配置され、
前記ロータの回転により、前記上側の磁極片に対応して配置されたコイルと前記下側の磁極片に対応して配置されたコイルのそれぞれから、前記各磁界変化に対応した出力信号が得られる構成であり、
かつ、
前記上下のステータコアは、上側の磁極片と下側の磁極片の円周方向における位置が所定角度ずれていると共に、上側の磁極片に対応して配置されるコイルと下側の磁極片に対応して配置されるコイルは、異なる軸倍角仕様の巻線構成となっており、
前記ロータは、軸方向に2つ積層されて構成され、そのうちの一方のロータが上方に配置されるステータコアに対応し、他方のロータが下方に配置されるステータコアに対応しており、それぞれのロータに、各コイルの前記巻線構成に対応して、異なる軸倍角に対応した凸部が形成されている
ことを特徴とするレゾルバ。
【請求項3】
ステータと、前記ステータにギャップを介して配置されるロータとを備えたレゾルバであって、
前記ステータは、
前記ロータに対向する周縁部に円周方向に沿って複数設けられるスロットと、隣接するスロット間に位置し、コイルが巻装される磁極片とを有する、略環状の磁性鋼板1枚から形成されるステータコアが上下に2つ組み合わせて構成されていると共に、
前記ロータにギャップを介して対向する前記磁極片の先端対向部が、前記ロータの軸方向に略平行な方向に沿った長さにおいて、前記磁性鋼板1枚の厚さを越える長さを有しており、
前記各ステータコアの各磁極片に、上側の磁極片の磁界変化に対応した出力を得るコイルと下側の磁極片の磁界変化に対応した出力を得るコイルとが配置され、
前記ロータの回転により、前記上側の磁極片に対応して配置されたコイルと前記下側の磁極片に対応して配置されたコイルのそれぞれから、前記各磁界変化に対応した出力信号が得られる構成であり、
かつ、
前記上下のステータコアは、上側の磁極片と下側の磁極片の円周方向における位置が同じか又は所定角度ずれていると共に、上側の磁極片に対応して配置されるコイルと下側の磁極片に対応して配置されるコイルは、同じ軸倍角仕様の巻線構成となっており、
前記ロータが、1枚の磁性鋼板から筒状体に形成され、
前記筒状体の上縁部及び下縁部はいずれも凹凸状に形成され、前記上縁部の凹凸と前記下縁部の凹凸が同じピッチであり、
前記上縁部が上方に配置されるステータコアに対応し、前記下縁部が下方に配置されるステータコアに対応している
ことを特徴とするレゾルバ。
【請求項4】
ステータと、前記ステータにギャップを介して配置されるロータとを備えたレゾルバであって、
前記ステータは、
前記ロータに対向する周縁部に円周方向に沿って複数設けられるスロットと、隣接するスロット間に位置し、コイルが巻装される磁極片とを有する、略環状の磁性鋼板1枚から形成されるステータコアが上下に2つ組み合わせて構成されていると共に、
前記ロータにギャップを介して対向する前記磁極片の先端対向部が、前記ロータの軸方向に略平行な方向に沿った長さにおいて、前記磁性鋼板1枚の厚さを越える長さを有しており、
前記各ステータコアの各磁極片に、上側の磁極片の磁界変化に対応した出力を得るコイルと下側の磁極片の磁界変化に対応した出力を得るコイルとが配置され、
前記ロータの回転により、前記上側の磁極片に対応して配置されたコイルと前記下側の磁極片に対応して配置されたコイルのそれぞれから、前記各磁界変化に対応した出力信号が得られる構成であり、
かつ、
前記上下のステータコアは、上側の磁極片と下側の磁極片の円周方向における位置が所定角度ずれていると共に、上側の磁極片に対応して配置されるコイルと下側の磁極片に対応して配置されるコイルは、異なる軸倍角仕様の巻線構成となっており、
前記ロータが、1枚の磁性鋼板から筒状体に形成され、
前記筒状体の上縁部及び下縁部はいずれも凹凸状に形成され、前記上縁部の凹凸数と前記下縁部の凹凸数が異なっており、
前記上縁部が上方に配置されるステータコアに対応し、前記下縁部が下方に配置されるステータコアに対応している
ことを特徴とするレゾルバ。
【請求項5】
前記上下のステータコアの内周縁又は外周縁に、前記スロット、前記磁極片及び前記コイルが設けられている請求項1~4のいずれか1に記載のレゾルバ。
【請求項6】
前記上下のステータコアの内周縁及び外周縁の両方に、前記スロット、前記磁極片及び前記コイルが設けられ、内周縁側及び外周縁側のそれぞれに前記ロータが配設されている請求項1~4のいずれか1に記載のレゾルバ。
【請求項7】
前記上下のステータコアの外周縁に、前記スロット、前記磁極片及び前記コイルが設けられていると共に、外周縁側に前記ロータが配設される場合において、
外周縁側に配設される前記ロータとして、1枚の磁性鋼板から筒状体に形成されると共に、前記筒状体の上縁部及び下縁部のいずれか一方のみに凹凸を備えたものが用いられ、この筒状体からなるロータが軸方向に2つ設けられ、それぞれに形成された前記凹凸が上方に配置されるステータコアと下方に配置されるステータコアにそれぞれ対応している
請求項1~4及び6のいずれか1に記載のレゾルバ。
【請求項8】
ステータと、前記ステータにギャップを介して配置されるロータとを備えたレゾルバであって、
前記ステータは、
前記ロータに対向する周縁部に円周方向に沿って複数設けられるスロットと、隣接するスロット間に位置し、コイルが巻装される磁極片とを有する、略環状の磁性鋼板1枚から形成されるステータコアが上下に2つ組み合わせて構成されていると共に、
前記ロータにギャップを介して対向する前記磁極片の先端対向部が、前記ロータの軸方向に略平行な方向に沿った長さにおいて、前記磁性鋼板1枚の厚さを越える長さを有しており、
前記各ステータコアの各磁極片に、上側の磁極片の磁界変化に対応した出力を得るコイルと下側の磁極片の磁界変化に対応した出力を得るコイルとが配置され、
前記ロータの回転により、前記上側の磁極片に対応して配置されたコイルと前記下側の磁極片に対応して配置されたコイルのそれぞれから、前記各磁界変化に対応した出力信号が得られる構成であり、
かつ、
前記上下のステータコアの内周縁及び外周縁の両方に、前記スロット、前記磁極片及び前記コイルが設けられ、内周縁側及び外周縁側のそれぞれに前記ロータが配設されると共に、
前記上下のステータコアには、
a)
上側の磁極片と下側の磁極片の円周方向における位置が同じか又は所定角度ずれていると共に、上側の磁極片に対応して配置されるコイルと下側の磁極片に対応して配置されるコイルは、同じ軸倍角仕様の巻線構成となっている構成、
及び、
b)
上側の磁極片と下側の磁極片の円周方向における位置が所定角度ずれていると共に、上側の磁極片に対応して配置されるコイルと下側の磁極片に対応して配置されるコイルは、異なる軸倍角仕様の巻線構成となっている構成
のうちの一方が内周縁に他方が外周縁に設けられ、
前記a)の構成に対応して配設される前記ロータとして、
軸方向に2つ積層されて構成され、そのうちの一方のロータが上方に配置されるステータコアに対応し、他方のロータが下方に配置されるステータコアに対応しており、それぞれのロータに形成された凸部が同数であるもの、
又は、
1枚の磁性鋼板から筒状体に形成され、前記筒状体の上縁部及び下縁部はいずれも凹凸状に形成され、前記上縁部の凹凸と前記下縁部の凹凸が同じピッチであり、前記上縁部が上方に配置されるステータコアに対応し、前記下縁部が下方に配置されるステータコアに対応しているもの
が配設され、
前記b)の構成に対応して配設される前記ロータとして、
軸方向に2つ積層されて構成され、そのうちの一方のロータが上方に配置されるステータコアに対応し、他方のロータが下方に配置されるステータコアに対応しており、それぞれのロータに、各コイルの前記巻線構成に対応して、異なる軸倍角に対応した凸部が形成されているもの、
又は、
1枚の磁性鋼板から筒状体に形成され、前記筒状体の上縁部及び下縁部はいずれも凹凸状に形成され、前記上縁部の凹凸数と前記下縁部の凹凸数が異なっており、前記上縁部が上方に配置されるステータコアに対応し、前記下縁部が下方に配置されるステータコアに対応しているもの
が配設される
ことを特徴とするレゾルバ。
【請求項9】
前記上下のステータコアにおける上側の磁極片と下側の磁極片の円周方向における位置が同じ場合、
前記上側の磁極片の先端対向部が上方に延びるように折り曲げられ、前記下側の磁極片の先端対向部が下方に延びるように折り曲げられているか、又は、前記上側の磁極片及び前記下側の磁極片の各突出長さが異なっており、
前記上側の磁極片の先端対向部及び前記下側の磁極片の先端対向部同士の干渉が回避されている
請求項1、3又は8記載のレゾルバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータコア及び該ステータコアを用いたレゾルバに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車や電気自動車等の車輪を駆動するためのモーターや発電機等において、回転角を検出する回転角度センサとしてレゾルバが用いられている。レゾルバは、スロットに配置されたコイル(励磁コイル及び出力コイル)を備えたステータと、ステータにギャップを介して対峙するロータとを有して構成され、検出対象のモーター等の回転部をロータに接続し、ロータの回転に伴うロータとステータ間のギャップパーミアンスの変化から、回転角に応じた出力信号を出力コイルから得て、回転角度を算出する。かかるレゾルバのステータを構成するステータコアは、特許文献1~2に示されているように、磁性鋼板を複数枚積層し、それをかしめて一体化したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-239645号公報
【文献】特開2013-27130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、レゾルバを含む自動車等に搭載される部品は、それらの機能が担保される範囲において、取り扱い易さ、作業性、性能向上等を考慮して、軽量化が常に求められている。
【0005】
本発明は上記に鑑みなされたもので、ステータを構成する材料使用量の低減によりレゾルバの軽量化を図ることができ、それに伴い、材料コストの低減、製造工程の簡素化、製造コストの低減等を図ることができるステータコア、該ステータコアを有するレゾルバを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するにあたって本発明者は、従来のレゾルバの電磁解析結果から、表層効果によって、積層されたステータコアのうち、ロータに対峙する内周縁側の表層寄りほど磁束が集中していることに着目し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明のステータコアは、
略環状の磁性鋼板から形成され、ロータに対向する周縁部に円周方向に沿ってコイルを支持するためのスロットと、隣接するスロット間に位置する磁極片とが設けられてなる、レゾルバのステータに用いられるステータコアであって、
前記ロータにギャップを介して対向する前記磁極片の先端対向部が、前記ロータの軸方向に略平行な方向に沿った長さにおいて、前記磁性鋼板の厚さを越える長さを有していることを特徴とする。
【0008】
前記先端対向部は、前記磁極片が中途で折り曲げられることにより形成されていることが好ましい。
前記スロットの溝底部よりも外周縁寄りに、円周方向に沿ったスリットが形成されていることが好ましい。
【0009】
前記ステータコアは、1枚の前記磁性鋼板から形成されていることが好ましい。
【0010】
また、本発明のレゾルバは、
ステータと、前記ステータにギャップを介して配置されるロータとを備えたレゾルバであって、
前記ステータが、
前記いずれかのステータコアと、
前記ステータコアに支持されるコイルと
を有していることを特徴とする。
【0011】
前記ステータコアが複数組み合わされている構成とすることができる。
この場合、前記ステータコアが2つ組み合わされていると共に、一方のステータコアと他方のステータコアの各磁極片の位置が、円周方向に同じ位置に設けられている構成とすることが好ましい。
【0012】
また、前記ステータコアが2つ組み合わされていると共に、一方のステータコアと他方のステータコアの各磁極片の位置が、円周方向に所定角度ずれた位置に設けられている構成とすることが好ましい。
【0013】
本発明のレゾルバは、ステータと、前記ステータにギャップを介して配置されるロータとを備えたレゾルバであって、前記ステータが用いられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のステータコアは、ロータに対向する磁極片における先端対向部の、ロータの軸方向に略平行な方向に沿った長さが、該ステータコアを構成する磁性鋼板の厚さを上回っている。ロータとの間で磁束が集中するのは、上記のように、表層効果から、ロータに直接対向しているステータコアの先端対向部の内周の表面寄りである。逆に言えば、この内周の表面よりも外周に寄るほど、ロータとの間での磁路形成への貢献度が低い。従来、磁性鋼板を積層することにより、このステータコアの内周表面の軸方向に沿った長さを所定の長さで確保している。これは、軸方向に所定長で形成されたロータのとの間で磁路を形成しやすくするためであるが、ステータコアは、上記のように外周寄りの部位ほど磁路の形成への貢献度が低い。よって、ロータと対向する磁極片の先端対向部の内周表面の軸方向に略平行な方向に沿った長さを、ステータコアを構成する1枚の磁性鋼板の厚さよりも長くすれば、磁路形成の機能(磁束密度)に関しては、コイルを支持するスロット間の磁極片の先端対向部まで均一厚さで形成された磁性鋼板を複数枚積層してなる従来のステータコアと同様の効果が期待できる。換言すれば、本発明は、目的とする機能を発揮するために必要なステータコアを、磁性鋼板1枚から形成でき、その意味で一つのステータを構成するために必要なステータコアの材料使用量を低減でき、もってステータ及びレゾルバの軽量化、構造の簡素化、製造の容易化、材料コスト、製造コストの低減等に寄与できる。また、冗長機能や絶対角検出等のために複数のステータコアを用いる場合でも、ステータコア一つ当たりが、1枚の磁性鋼板からなるため、非常に軽量でコンパクトな構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るレゾルバを構成するステータ及びロータを示した斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、第1の実施形態で用いたステータコアを示す斜視図であり、
図2(b)は、
図2(a)のA部拡大図である。
【
図3】
図3は、ステータコアとロータとの間で形成される磁路を模式的に示した図である。
【
図4】
図4は、ステータコアの他の例の一部を示した平面図である。
【
図5】
図5は、ステータコアのさらに他の例を示した斜視図である。
【
図6】
図6(a)~(c)は、先端対向部の種々の態様を示した図である。
【
図7】
図7(a)は、本発明の第2の実施形態に係るレゾルバを構成するステータ及びロータを示した斜視図であり、
図7(b)は、
図7(a)のB部拡大図である。
【
図8】
図8(a)は、本発明の第3の実施形態に係るレゾルバを構成するステータ及びロータを示した斜視図であり、
図8(b)は、
図8(a)のC部拡大図である。
【
図9】
図9(a)は、本発明の第4の実施形態に係るレゾルバを構成するステータ及びロータを示した斜視図であり、
図9(b)は、
図9(a)のD部拡大図である。
【
図10】
図10(a)は、上縁部及び下縁部の両方に凹凸が形成された円筒状のロータの例を示した斜視図であり、
図10(b)は、上縁部のみに凹凸が形成された円筒状のロータの例を示した斜視図である。
【
図11】
図11は、ロータがステータコアの外周側に配置される態様を模式的に示した図である。
【
図12】
図12は、ロータがステータコアの内周側及び外周側のいずれに配置された場合でも対応可能な態様を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
図1は、第1の実施形態に係るレゾルバ1の全体構成を示した図であり、ステータ10、ロータ20を有して構成される。ステータ10の内周側にロータ20が配置され、ステータ10が図示しない取り付け部材に支持され、ロータ20を回転角の検出対象である図示しないモーター等の回転部に接続されて所定の部位に取り付けられる。
【0017】
ステータ10は、ステータコア11とコイル12とを有して構成される。ステータコア11は、本実施形態では、1枚の磁性鋼板から形成される。ここでいう磁性鋼板は、磁界が印加されると、ロータの回転角度検出に必要な磁束又は磁束密度が生じる高透磁率材料からなる部材であり、無方向性電磁鋼板、方向性電磁鋼板、無方向性珪素鋼板、方向性珪素鋼板、ステンレス鋼、構造用炭素鋼、Fe-Ni合金等の軟磁性合金、Fe-Al合金、Fe-Co合金等のパーメンジュール、アモルファス金属、及びFeO、CoO、ZnO等のフェライト等を含む概念である。
【0018】
ステータコア11は、
図2(a),(b)に示したように、環状に形成され、周縁部の円周方向に沿って、本実施形態では内周縁部111の円周方向に沿って、複数のスロット112が設けられている。また、隣接するスロット112,112間には、それらの溝底部112a,112aよりも相対的に内方に突出する磁極片114が設けられている。この磁極片114には、溝底部112a,112aに沿って円周方向に結んだ仮想線(以下、「仮想境界線」)の外側の範囲を環状本体部113とした場合に(
図4参照)、
図2(a),(b)に示したように、該磁極片114のみが環状本体部113の内方に突出するように形成されている形態のほか、
図4に示したように、磁極片114に隣接するスロット112,112にさらに隣接して、仮想境界線で区切られる環状本体部113が、その内周からさらに内方に延在する内方延在部113aを有する形態も含まれる。
【0019】
コイル12は、
図1に示したように、円周方向に隣接する2つのスロット112,112に収容されるように、各磁極片114の外周に巻装される。コイル12は、励磁コイルと出力コイルを備えてなり、1相励磁2相出力の場合には、出力コイルがSIN巻線、COS巻線から構成され、2相励磁1相出力の場合には、励磁コイルがSIN巻線、COS巻線から構成される。コイル12にはコネクタを介して電気配線が接続され、励磁コイルに交流電圧を印加すると、ロータ20の回転角に応じて変圧された出力電圧が出力コイルから出力され、その信号がR/Dコンバータ等の演算部に入力されて回転角が求められる。
【0020】
ステータコア11の環状本体部113の内周に沿った位置に、
図1に示したように、合成樹脂からなるインシュレータ131が略環状に配置されている。また、コイル12の内周側のロータ20に対向する面にも、略方形に形成されたインシュレータ132が配置されており、インシュレータ132は、コイル12を磁極片114に保持するためのフランジ部として機能している。合成樹脂からなるインシュレータ131,132の配設方法は任意であり、インサート成形、組み付け等により、絶縁の必要な位置に設けられる。
【0021】
ここで、磁極片114は、
図1に示したように、コイル12を保持するフランジ部として機能しているインシュレータ132から、先端対向部114aが突出している。先端対向部114aは、
図3に示したように、ロータ20の外周面に対向している。ロータ20は、外方に円弧状に突出する凸部20aを有しており、ロータ20が回転して、ロータ20の外周面との間のギャップの距離が変化することに伴って励磁コイル及び出力コイル間の磁路の長さが変化する。このとき、先端対向部114aのロータ20の軸方向(軸心R方向)に略平行な方向に沿った長さ(以下、単に「軸方向長さ」という)が短いほど、磁束密度は低くなり、出力感度が低下する。
【0022】
本実施形態のステータコア10は、上記のように1枚の磁性鋼板から構成されている。従って、磁極片114の先端対向部114aは、何らの加工もしない状態(ステータコア10として所定形状に打抜き加工を行った平板の状態)では、切断された状態の切断端面がこの先端対向部に相当するため、その軸方向長さは、当該磁性鋼板の厚さ(環状本体部113の厚さ)と同じである。そこで、ロータ20との間で磁気回路を形成する先端対向部114aを、その軸方向長さが当該磁性鋼板の厚さ(環状本体部113の厚さ)を越える長さとなるように加工する。その加工方法は任意であるが、本実施形態では、
図2(b)の拡大図に示したように、磁極片114を中途(折り曲げ位置114c)から、軸方向に沿った方向、すなわち、ステータコア10の面方向に略直交する方向に折り曲げる方法を採用している。折り曲げ位置114cは、磁極片114の切断端面114dから溝底部112a方向に向かって環状本体部113の厚さtよりも長い長さ分、溝底部112a寄りの位置である。この折り曲げ位置114cから折り曲げることにより、折り曲げ位置114cから切断端面114dまでの範囲が、ロータ20の外周面に対向する先端対向部114aとなり、その軸方向長さLは、環状本体部113の厚さtを上回ることになる。
【0023】
これにより、先端対向部114a及びロータ20間の磁束密度は、単に、磁性鋼板を切断加工しただけの場合と比較して増加し、出力感度が増す。先端対向部114aの軸方向長さは、磁性鋼板(環状本体部113)の厚さの2倍以上であることが好ましい。これにより、1枚の磁性鋼板を使用したものでありながら、2枚以上の磁性鋼板を積層した従来のステータコアと同等の強さの磁界が得られる。
【0024】
本実施形態によれば、磁極片114の先端対向部114aの軸方向長さLが、磁性鋼板(環状本体部113)1枚の厚さtを上回る長さである。そのため、ステータコア11が1枚の磁性鋼板から構成されるものでありながら、磁極片114を環状本体部113と同じ平板状のままで用いる場合と比較して、ロータ20との間の磁束密度を高めることができ、出力感度を増すことができる。従って、本実施形態のステータコア11を用いることにより、ステータ10及びレゾルバ1の軽量化、材料コストの低減を図ることができる。また、ステータコア11が1枚の磁性鋼板からなるため、従来と比較して、製造工程が簡素化され、製造コストの低減を図ることができる。
【0025】
なお、
図5に示したように、ステータコア11は、スロット112,112の溝底部112a,112aよりも環状本体部113の外周縁113b寄りの位置において、円周方向に沿って所定の長さのスリット113cが複数形成された構成とすることもできる。これにより、磁極片114、磁極片114に隣接するスロット112の溝底部112a及びロータ20を含んだ部位に生じる磁路に至るまでの磁気抵抗が大きくなり、外部ノイズの影響の抑制に効果的である。
【0026】
また、磁極片114及び先端対向部114aの形状も全く限定されるものではない。例えば、上記の例では、
図2(b)に示したように、磁極片114の円周方向中央部に径方向に沿ったスリット114bを形成しているが、
図6(a)に示したように、かかるスリット114bを有しない形状とすることもできる。また、
図6(b)に示したように、先端対向部114aが、磁極片114の幅よりも幅広の延長部114c,114cを左右に有する形状とすることもできる。さらに、
図6(c)に示したように、ロータ20の軸心R位置から外方に向けて見た場合に、略T字形の形状となっている先端対向部114aとすることもできる。
図6(c)の略T字形の先端対向部114aは、例えば、磁性鋼板の素材を所定形状に切断加工した段階で、平板状に内方に突出している形態の磁極片114を、平面視で、環状本体部113寄りに連結辺部が位置するように略コ字状に切り込み114eを入れ、中途から折り曲げて軸方向に沿って引き起こすことにより形成することができる。また、
図6(b),(c)に示した先端対向部114aは、
図2等に示した先端対向部114aと同様に、スリット114bを1以上有する形状とすることもできる。このほか、先端対向部114aの軸方向長さが、磁性鋼板の厚さを越えるものである限り、例えば、ロータ20の軸心R位置から外方に向けて見た場合に、三角形その他の多角形、丸形、楕円形等にするなど、種々の形状とすることができる。
【0027】
図7(a),(b)は、本発明の第2の実施形態に係るレゾルバ1Aの構成を示している。本実施形態では、第1の実施形態で説明したステータコア11を2枚背中合わせで上下に組み合わせた構成としている。この際、上下のステータコア11,11の各磁極片114A,114Bの円周方向の位置が、同じ位置となるように組み合わせている。また、磁極片114A,114Bの先端対向部114a,114a同士の干渉を回避するため、下方に配置されるステータコア11は、磁極片114Bの軸方向に折り曲げられた先端対向部114aが下方に延びる姿勢で、上方に配置されるステータコア11は、磁極片114Aの軸方向に折り曲げられた先端対向部114aが上方に延びる姿勢で、すなわち、上下のステータコア11,11の各先端対向部114a,114aが、上下に逆方向に延びる姿勢で配置している。
【0028】
コイル12は、上下に配置された各磁極片114A,114Bのいずれにも同じn軸倍角仕様の巻線構成のものが配設される。但し、上側の磁極片114Aの磁界変化に対応した出力を得るコイル12Aと、下側の磁極片114Bの磁界変化に対応した出力を得るコイル12Bとを円周方向に交互に配置する。
【0029】
一方、第2の実施形態では、軸方向に積層され、外方に突出する略円弧状の凸部が同数である2つのロータ20A,20Bを備えている。上下のステータコア11,11に2つのロータ20A,20Bを対応させることにより、各ステータコア11,11のコイル12A,12Bからそれぞれ出力が得られる。なお、2つのロータ20A,20B間は、必要に応じて、間隙を設けたり、両者間に合成樹脂等を介在させたりすることもできる。第2の実施形態によれば、いずれかに故障などにより誤検出が生じても、他方のコイル12A又は12Bからの出力信号を用いることで、回転角の検出を行うことができ、第2の実施形態によれば冗長機能を持たせることができる。
【0030】
従来の構成では、冗長機能を持たせるために複数組のステータを配設する場合、磁性鋼板が多数積層されたステータコアを複数組使用しており、重量が嵩むと共に大型化しがちであった。しかし、本実施形態では、ステータコア11,11がそれぞれ磁性鋼板1枚からなるため、ステータコア11,11を2組用いた場合でも、磁性鋼板としては2枚使用されるだけであり、重量の低減を図り、小型化に寄与できる。なお、上下のステータコア11,11の各先端対向部114a,114aの向きは上記のように相互に逆方向に折り曲げた場合に限定されるものではない。例えば、上下のステータコア11,11の各磁極片114A,114Bの突出長さを異ならせた構成とすれば、軸方向に沿って同じ向きに折り曲げたものでも先端対向部114a,114a同士の干渉がなくなるため、本実施形態と同様のレゾルバ1Aとすることができる。
【0031】
図8(a),(b)は、本発明の第3の実施形態に係るレゾルバ1Bの構成を示している。本実施形態でも、第2の実施形態に係るレゾルバ1Aと同様に、2つのステータコア11,11を上下に背中合わせで組み合わせた構成としている。但し、上下のステータコア11,11の各磁極片114A,114Bの円周方向の位置は、相互に一致しないように所定角度ずれた位置になっている。なお、
図8(a),(b)では、上下のステータコア11,11の磁極片114A,114Bの各先端対向部114a,114aが、軸方向に沿って上下に逆方向に延びるように組み合わせているが、これはあくまで一例であり、上下のステータコア11,11の磁極片114A,114Bの各先端対向部114a,114aが軸方向に沿って上方向又は下方向に同方向に延びるように折り曲げられた構成でもよい。
【0032】
そして、例えば、上方のステータコア11の先端対向部114aが上向きの磁極片114Aと、下方のステータコア11の先端対向部114aが下向きの磁極片114Bとに、巻数構成の異なるコイル12C,12Dをそれぞれ支持させる。例えば、上方のステータコア11の磁極片114Aに支持されるコイル12Cを「n軸倍角仕様の巻数構成」とし、下方のステータコア11の磁極片114Bに支持されるコイル12Dを「(n±1)軸倍角仕様の巻線構成」とする。あるいは、逆にコイル12Cを「(n±1)軸倍角仕様の巻線構成」とし、コイル12Dを「n軸倍角仕様の巻線構成」とする。
【0033】
ロータとしては、軸方向に積層された2つのロータ20C,20Dからなるものを用いる。一方のロータ20Cは、上方のステータコア11のコイル12Cの巻線仕様の軸倍角に対応した凸部を備えており、他方のロータ20Dは、下方のステータコア11のコイル12Dの巻線仕様の軸倍角に対応した凸部を備えている。2つのロータ20C,20D間に、必要に応じて間隙を設けたり、合成樹脂を介在させたりすることができることは上記第2の実施形態と同様である。
【0034】
従って、本実施形態によれば、2種類のコイル12C,12Dからの軸倍角の異なる出力信号を用いることで、両者の差分等を算出し、絶対角を求めることができる。絶対角を求める構成とする場合、巻線仕様の異なるコイル12C,12Dを支持するためのステータコアが2組必要となるが、従来の構成では、各ステータコアが多数の磁性鋼板の積層体から構成されているところ、本実施形態によれば上記のように典型的には2枚の磁性鋼板で構成することができ、上記各実施形態と同様、ステータ及びレゾルバの軽量化、製造工程の簡易化、材料コスト及び製造コストの低減等を図ることができる。
【0035】
図9(a),(b)は、本発明の第4の実施形態に係るレゾルバ1Cの構成を示している。本実施形態は、第3の実施形態に係るレゾルバ1Bと同様に、上下のステータコア11,11の各磁極片114A,114Bの円周方向の位置は、相互に一致しないように所定角度ずれた位置になっている。但し、上下に配置された各磁極片114A,114Bのいずれにも同じn軸倍角仕様の巻線構成のコイル12E,12Fを配設している。なお、
図9(a),(b)では、上下のステータコア11,11の磁極片114A,114Bの各先端対向部114a,114aが、いずれも軸方向に沿って上方向に延びるように形成されているが、これはあくまで一例であり、いずれも下方向に延びるように形成されていてもよいし、
図8(a),(b)と同様に相互に逆方向に延びるように形成されていてもよい。
本実施形態によれば、上下のステータコア11,11に対応する各コイル12E,12Fの巻線構成が同じであるため、上記第2の実施形態と同様に、冗長機能を持たせた構成とすることができる。
【0036】
ここで、上記第2乃至第4の実施形態では、軸方向に積層された2つのロータ20A,20B又は20C,20Dの組合せを用いている。第2乃至第4の実施形態では、ステータコア11,11を2組用いていても、実質的に使用している磁性鋼板は2枚であり、極めて簡素でコンパクトな構成である。これに対し、ロータとして、従来と同様の軸方向に配置した2つのロータ20A,20B又は20C,20Dの組合せからなるものを用いると、ロータ20A,20B又は20C,20Dがそれぞれ複数枚の磁性鋼板の積層体からなるため、重さ、体積の点で課題があり、軽量化、コンパクト化が望まれていた。この点に関し、本出願人は、特願2017-247056等として、ロータにおける表皮効果に着目して、
図10(a)に示したように、ロータ200を1枚の磁性鋼板からなる筒状体から構成し、例えば、1枚の平板状の磁性鋼板を所定形状に打ち抜いて、筒状に丸めて筒状体となし、その上縁部210及び下縁部220の両方を波状等の凹凸状としたロータを提案している
【0037】
そこで、第2及び第3の実施形態において、ロータ20A,20B,20C,20Dに代えて、このような筒状体からなるロータ200を用いることで、レゾルバ全体のさらなるコンパクト化、材料使用量の低減、製造工程の簡素化等の効果を得ることができる。
【0038】
上縁部210及び下縁部220の凹凸を同じピッチで形成した場合には、上縁部210及び下縁部220の凹凸が同数となり、上縁部210の凹凸を上方のステータコア11に対応させ、下縁部220の凹凸を下方のステータコア11に対応させることで、第2の実施形態と同様に、冗長機能を持たせることができる。
【0039】
上縁部210及び下縁部220の凹凸数を異ならせた場合には、上縁部210の凹凸を上方のステータコア11に対応させ、下縁部の凹凸を下方のステータコア11に対応させることで、第3の実施形態と同様に、絶対角の測定が可能となる。
【0040】
また、
図10(b)に示したように、1枚の磁性鋼板からなる筒状体のうち、上縁部及び下縁部のいずれか一方のみ(
図10(b)の例では上縁部210Aのみ)を凹凸状としたロータ200Aを用い、このロータ200Aの凹凸を第1の実施形態のステータ10に対応させる構成とすることもできる。この場合も、レゾルバ1全体として、さらなる軽量化、コンパクト化を図ることができる。
【0041】
また、上記実施形態では、いずれもステータコア11の内周縁にスロット112、磁極片114(114A,114B)及びコイル12(12A,12B,12C,12D,12E,12F)を設けているが、
図11に示したように、ステータコア11の外周縁に、スロット112、磁極片114(114A,114B)及びコイル12を設け、そのさらなる外方にギャップを介してロータ2000を配設した構成とすることもできる。これによれば、外周側が回転する回転体(例えば、アウターモーター等)にも対応できる。また、
図12に示したように、ステータコア11の内周縁と外周縁の両周縁部に、スロット112、磁極片114(114A,114B)及びコイル12(12A,12B,12C,12D,12E,12F)を設け、内周縁側と外周縁側の両方にロータ20,2000を配置した構成とすることもできる。2つのロータ20,2000のそれぞれを、検出対象の回転部に適宜のアダプタを介して接続することで、内周側が回転する回転体(例えば、インナーモーター等)と外周側が回転する回転体(例えば、アウターモーター等)のいずれにも対応できるなど、種々の用途に適用可能である。
【0042】
また、
図11の態様において、
図7及び
図8に示した第2乃至第4の実施形態のようにステータコア11,11を2枚組み合わせて用いる場合、ステータコア11,11の外方に配設されるロータ2000は、リング状の磁性鋼板を軸方向に積層したものを2組使用してもよいし、それに代え、
図10(a)に示した上縁部210及び下縁部220に凹凸が形成された筒状体からなるロータ200を一つ配設するようにしてもよい。また、
図10(b)に示した上縁部210Aのみに凹凸を備えた筒状体のロータ200Aを、軸方向に2つ配設した構成とすることもできる。
【0043】
図12の態様も同様であり、
図7及び
図8に示した第2乃至第4の実施形態のようにステータコア11,11を2枚組み合わせて用いる場合、内周縁側のロータ20及び外周縁側のロータ2000のいずれも、軸方向に2つ積層したものを用いることもできるし、あるいは、
図10(a)に示した筒状体からなるロータ200を用いることもできる。後者の場合、ステータコア11,11の内周縁内に収まる小径のロータ200を一つ配置し、外周縁の外方に対応した大径のロータ200を一つ配置すれば対応できる。
図10(b)に示した上縁部210Aのみに凹凸を備えた筒状体のロータ200Aを用いる場合には、ステータコア11,11の内周縁内に収まる小径のロータ200Aを軸方向に2つ配置し、外周縁の外方に対応した大径のロータ200Aを軸方向に2つ配置して対応することができる。
【0044】
さらに、
図10(a)に示したロータ200を内周縁内に配置し、
図10(b)に示したロータ200Aを外周側に配置するといったように、軸方向に積層するタイプのロータ20,2000、
図10(a)に示した筒状体からなるロータ200、
図10(b)に示した筒状体からなるロータ200Aを適宜に組み合わせて用いることもできる。これらは、検出対象の回転部の構造等に合わせるなどして適宜に調整できる。但し、
図10(a),(b)に示した筒状体からなるロータ200,200Aを用いると、レゾルバのコンパクト化、軽量化に適している。
【0045】
但し、いずれの場合も、磁極片114,114A,114Bにおけるロータとの先端対向部114aの軸方向長さは、ステータコア11を構成する磁性鋼板の厚さを越える長さとする必要があることは上記各実施形態と同様である。
【0046】
また、
図12に示したようなステータコアの内周側、外周側に複数のロータを用いようとする場合、これに従来の磁性鋼板の積層体からなるステータを組み合わせたのでは重量が嵩み、大型化する。そのため、そのような構成要素を備えたレゾルバとしては、取り扱い易さ、実用性の点で課題があったが、本発明のステータコアを用いて構成されるステータは磁性鋼板1枚で構成されるため、軽量化、小型化に寄与でき、実用性を高めることができる。従って、例えば、
図12の態様において、第2乃至第4の実施形態の構成を適用して、内周側の磁極片及びコイルに、冗長機能又は絶対角検出機能の一方の機能を持たせ、外周側の磁極片及びコイルに他方の機能を持たせる構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0047】
1,1A,1B,1C レゾルバ
10 ステータ
11 ステータコア
112 スロット
112a 溝底部
113 環状本体部
114,114A,114B 磁極片
114a 先端対向部
12,12A,12B,12C,12D,12E,12F コイル
20,20A,20B,20C,20D,200,200A,2000 ロータ