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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】デオキシコール酸を含む医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/575 20060101AFI20220318BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20220318BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220318BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220318BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220318BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
A61K31/575
A61K47/18
A61K47/10
A61K9/08
A61K45/00
A61P3/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020544840
(86)(22)【出願日】2019-04-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 KR2019004485
(87)【国際公開番号】W WO2019203511
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-08-21
(31)【優先権主張番号】10-2018-0044131
(32)【優先日】2018-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520316896
【氏名又は名称】ペンミックス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク,ドンキュ
(72)【発明者】
【氏名】イ,サンユン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ヨンソブ
(72)【発明者】
【氏名】キム,スリン
(72)【発明者】
【氏名】イ,スンジュン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ハナ
(72)【発明者】
【氏名】チ,スンホ
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0112615(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0131697(KR,A)
【文献】国際公開第2017/079700(WO,A1)
【文献】特表2014-524467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デオキシコール酸(Deoxycholic acid)またはその薬学的に許容可能な塩、および薬学的に許容可能な添加剤と担体を含む、6.5~7.9のpHを有する安定性が改善された医薬組成物であって、前記薬学的に許容可能な添加剤は、塩化ベンザルコニウムおよび塩化ベンゼトニウムからなる群より選択された一つ以上を含む、前記医薬組成物
【請求項2】
薬学的に許容可能な添加剤は、pH調節剤、等張化剤、保存剤、抗菌剤および緩衝剤からなる群より選択された一つ以上である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
保存剤は、フェノール、クレゾール、クロロクレゾール、クロロブタノールおよびベンジルアルコールからなる群より選択された一つ以上である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
水性非経口投与用製剤に製剤化される、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
肥満の予防または治療のためのものである、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
7.0~7.9のpHを有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
薬学的に許容可能な添加剤は、ベンジルアルコールを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
7.2~7.8のpHを有する、請求項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デオキシコール酸またはその薬学的に許容可能な塩を含む、安定性が改善された医薬組成物に関する。具体的には、本発明は、低いpHにおいても、沈殿が発生せず、副作用が改善された医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪は、食物として摂取した余剰エネルギーが白色脂肪組織に蓄積されたものであり、通常、過多な白色脂肪組織の蓄積による状態を肥満と称する。ホルモン感受性リパーゼ(Hormone sensitive lipase、HSL)の作用により中性脂肪が遊離脂肪酸(free fatty acid、FFA)とグリセロール(glycerol)に分解される過程を脂肪分解(Lipolysis)と称する。
【0003】
このような肥満を改善するためには、外科的治療および非外科的治療方法がある。
【0004】
外科的治療としては、脂肪吸引術が代表的におこなわれているが、手術部位の傷、浮腫、麻痺および灼熱感、感染の危険、皮膚または神経に対する損傷または重要器官に対する穿孔を含む深刻な副作用が発生する恐れがあり、治療/回復の期間を必要とし、手術過程で局所麻酔または場合によっては全身麻酔を要するため、現在のところ、非外科的治療方法である注射療法が好まれている。注射療法に用いられる様々な注射剤成分のうちデオキシコール酸ナトリウム(Sodium Deoxycholate;以下、DCAという)の水溶性溶液が、生体内で脂肪組織に注入されると、細胞溶解メカニズムにより脂肪を除去する性質を有することが報告されている(国際公開公報WO2005/117900号およびWO2005/112942号、米国公開公報US2005/0261258号;US2005/0267080号;US2006/127468号;およびUS2006/0154906号)。
【0005】
また、DCAは、溶解度(Solubility)が高いため、製剤化が容易であるという長所がある。しかし、DCAの水溶性組成物は、このような長所にもかかわらず、選択的にベンジルアルコールを含む水溶性溶液において低い濃度で一定期間保管される場合、白色の沈殿物を形成することが知られており、驚くべきことに、DCA濃度がより低くなるほど、溶液のpHにおいて任意の有意な変化にもかかわらず、沈殿の速度がより速くなることが明らかになった。このような沈殿は、DCAの皮下注射が低い濃度において逆-指示(counter-indicated)されて発生することが知られており、市販中の美容注射剤の平均的な有効期間が24ヶ月以上であることを考慮すると、沈殿物が発生すれば事実上安定性のために商用化が不可である。
【0006】
このような短所を解決するために、pHを8.5まで高めた範囲に調節して沈殿物が発生しない市販製品が販売されているが、高いpHによる灼熱感、炎症のような副作用が報告されており、より低いpHにおいて沈殿安定性を満たしながらも副作用が減少した製剤の開発が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、優れた脂肪分解活性および製剤安定性を有し、且つ、副作用が現れない脂肪分解組成物、例えば、肥満の予防または治療用の医薬組成物を開発するために様々な研究を行った。本発明者らは、デオキシコール酸に様々な添加剤/担体を添加して安定性および副作用を評価し、デオキシコール酸を含有する製剤が、従来のDCA含有製剤に比
べて、低いpHにおいても、沈殿物が発生しないため、保管安定性に優れるだけでなく、投与部位での灼熱感、炎症などの副作用を最小化できるということを見出した。
【0008】
したがって、本発明は、デオキシコール酸を有効成分として含有する肥満の予防または治療用の医薬組成物を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、脂肪分解の誘導あるいは肥満の治療を必要とする哺乳動物に治療学的に有効な量の前記デオキシコール酸を投与することを含む、脂肪分解の誘導方法あるいは肥満の治療方法を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、脂肪分解の誘導あるいは肥満の予防または治療のための薬剤の製造における使用のための前記デオキシコール酸の用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、デオキシコール酸またはその薬学的に許容可能な塩を含む、安定性が改善された医薬組成物を提供する。
【0012】
より具体的には、本発明は、デオキシコール酸またはその薬学的に許容可能な塩、および薬学的に許容可能な添加剤および担体を含む、6.5~8.0のpHを有する安定性が改善された医薬組成物を提供する。前記医薬組成物は、7.0~7.9のpHを有し、より具体的には、7.2~7.8のpHを有することができる。
【0013】
本発明において、薬学的に許容可能な添加剤は、pH調節剤、等張化剤、保存剤、抗菌剤、抗酸化剤および緩衝剤からなる群より選択されたる一つ以上であってもよい。
【0014】
本発明において、薬学的に許容可能な保存剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、クレゾール、クロロクレゾール、クロロブタノールおよびベンジルアルコールからなる群より選択された一つ以上であってもよく、好ましくは、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムおよびベンジルアルコールからなる群より一つ以上を選択することができる。
【0015】
本発明において、医薬組成物は、水性非経口投与用製剤に製剤化できる。
【0016】
本発明において、医薬組成物は、肥満の予防または治療のために使用できる。本発明の医薬組成物において、ベンジルアルコールを除いた添加剤/担体を含むpH7.0~7.9の水性医薬組成物が好ましい。
【0017】
また、本発明の医薬組成物において、ベンジルアルコールを含むpH7.2~7.8の医薬組成物が好ましい。
【0018】
本発明の医薬組成物は、水性非経口投与用製剤に製剤化でき、前記非経口投与用製剤は、経皮投与用製剤、皮下投与用製剤、静脈内投与用製剤、筋肉内投与用製剤または腹腔内投与用製剤であってもよい。また、前記非経口投与用製剤は、溶液またはエマルションの形態であってもよい。前記非経口投与用製剤は、pH調節剤、等張化剤、界面活性剤、安定化剤、保存剤、キレート剤、緩衝剤および凍結乾燥安定化剤からなる群より一つ以上選択された薬学的に許容可能な添加剤;およびオイル、有機溶媒および水性溶媒からなる群より一つ以上選択された薬学的に許容可能な担体を含むことができる。
【0019】
本発明において、医薬組成物は、前記添加剤または担体を追加して凍結乾燥形態の非経口投与用製剤に製剤化できる。
【0020】
また、本発明は、デオキシコール酸またはその薬学的に許容可能な塩、および薬学的に許容可能な添加剤および担体を含む、8.7以上のpHを有する安定性が改善された第1医薬組成物、およびビタミン、リドカイン(Lidocaine)、プロカイン(Procaine)、L-カルニチン(carnitine)、ミノフィリン(minophylline)、カフェイン(Caffeine)、ビタミンC、プラセンタ(Placenta)、ペントキシフィリン(Pentoxifylline)、クロストリジウム・ボツリヌム・トキシン(Clostridium Botulinum Toxin)、ポリデオキシリボヌクレオチド(PDRN)、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)、チオクト酸(Thioctic acid)、グルタチオン(Glutathione)、グリチルリチン(Glycyrrhizin)、フルスルチアミン(Fursultiamine)、ヒアルロニダーゼ(Hyaluronidase)からなる群より選択された1種以上の成分を含む第2医薬組成物を含む、医薬組成物を提供する。具体的には、前記第1医薬組成物は、9.0~9.5のpHを有することができる。また、前記第1医薬組成物と第2医薬組成物とは、注射直前に混合してもよい。前記第1医薬組成物において、デオキシコール酸の溶解度が顕著に改善されて優れた沈殿安定性を達成する。したがって、本発明の他の態様は、デオキシコール酸またはその薬学的に許容可能な塩、および薬学的に許容可能な添加剤および担体を含む、8.7以上のpHを有する安定性が改善された医薬組成物である。本発明のまた他の態様により、デオキシコール酸またはその化粧料として許容可能な塩、および化粧料として許容可能な添加剤および担体を含む、6.5~8.0のpHを有する安定性が改善された化粧料組成物が提供される。本発明のまた他の態様により、脂肪分解の誘導あるいは肥満の治療を必要とする哺乳動物に治療学的に有効な量のデオキシコール酸またはその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、脂肪分解の誘導方法あるいは肥満の治療方法が提供される。
【0021】
本発明のまた他の態様により、脂肪分解の誘導あるいは肥満の予防または治療のための薬剤の製造における使用のための、デオキシコール酸またはその薬学的に許容可能な塩の用途を提供する。
【発明の効果】
【0022】
デオキシコール酸またはその薬学的に許容可能な塩を含有する本発明の医薬組成物は、従来のDCA含有製剤に比べて、沈殿物が発生しない、優れた保管安定性を示す。また、本発明の医薬組成物は、投与部位での灼熱感、炎症などの副作用を最小化することができる。したがって、本発明の医薬組成物は、保管期間の安定性を各行政当局の許可基準値以上に有意に確保することができるため、肥満、特に局所肥満の予防および治療に有用に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例1-1の各pH別(pH7.2、7.4、7.6、7.8、9.0)の製剤のInitial、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の間の長期および加速保管の条件下で沈殿物の生成を比較観察した結果を示すものである。
図2】本発明の実施例1-2の各pH別(pH7.2、7.4、7.6、7.8、9.0)の製剤のInitial、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の間の長期および加速保管の条件下で沈殿物の生成を比較観察した結果を示すものである。
図3】本発明の実施例2-1の各pH別(pH7.2、7.4、7.6、7.8、9.0)の製剤のInitial、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の間の長期および加速保管の条件下で沈殿物の生成を比較観察した結果を示すものである。
図4】本発明の実施例2-2の各pH別(pH7.2、7.4、7.6、7.8、9.0)の製剤のInitial、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の間の長期および加速保管の条件下で沈殿物の生成を比較観察した結果を示すものである。
図5】本発明の実施例3の各pH別(pH7.4、7.6、7.8、9.0)の製剤のInitial、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の間の長期および加速保管の条件下で沈殿物の生成を比較観察した結果を示すものである。
図6】比較例2の製剤(pH8.3)のInitial、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の間の長期および加速保管の条件下で沈殿物の生成を比較観察した結果を示すものである。
図7】本発明の比較例1の各pH別(pH7.2、7.4、7.6、7.8、9.0)のInitial、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の間の長期および加速保管の条件下で沈殿物の生成を比較観察した結果を示すものである。
図8】デオキシコール酸の含量を確認した結果を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係るデオキシコール酸は、従来のDCA含有製剤に比べて、沈殿物が発生しない、優れた保管安定性を有すると共に、灼熱感、炎症などの副作用を最小化することによって、肥満、特に局所肥満の予防または治療に有用に適用できる。したがって、本発明は、デオキシコール酸を有効成分として含む肥満の予防、改善または治療用の医薬組成物または化粧料組成物を提供する。
【0025】
前記デオキシコール酸またはその塩は、いずれも公知の物質であり、公知の方法により製造することができる。例えば、前記デオキシコール酸またはその塩は、動物由来、例えば、牛の胆汁酸(Bile acid)を抽出した後、結晶化(crystallization)および精製して、高純度のデオキシコール酸またはその塩に製造することができる。また、前記デオキシコール酸またはその塩は、商業的に購入することができる(例えば、PCA S.P.Aから購入可能)。
【0026】
本発明のデオキシコール酸は、薬学的に許容可能な塩の形態であってもよい。デオキシコール酸は、(4R)-4-((3R,5R,10S,12S,13R,17R)-3,12-ジヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)ペンタノエートである。 前記塩としては、通常の酸付加塩、例えば、塩酸、臭素酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸などのような無機酸から誘導された塩、およびクエン酸、酢酸、乳酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、ラクトビオン酸、サリチル酸、マロン酸、ギ酸、プロピオン酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、グルコン酸、メタンスルホン酸、グリコール酸、コハク酸、4-トルエンスルホン酸、グルタミン酸またはアスパラギン酸のような有機酸との塩などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。また、前記塩は、通常の金属塩の形態、例えば、リチウム、ナトリウムまたはカリウムのようなアルカリ金属塩;カルシウムまたはマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;またはクロム塩を含む。
【0027】
本発明の医薬組成物は、前記デオキシコール酸またはその薬学的に許容可能な塩に加え、有効成分として薬学的に許容可能な塩をさらに含むことができ、好ましくはナトリウム塩を含むことができる。
【0028】
本発明の医薬組成物は、好ましくは非経口的に投与し、より好ましくは非経口的に局所投与することができる。前記局所投与は、目の下、顎の下、腕の下、お尻、下腿、背中、大腿、足首、腹部の部位などに局所適用されることを含む。例えば、本発明の医薬組成物は、非経口投与用製剤(局所投与製剤を含む)に製剤化でき、前記非経口投与用製剤は、経皮投与用製剤、皮下投与用製剤、静脈内投与用製剤、筋肉内投与用製剤または腹腔内投与用製剤であってもよい。また、前記非経口投与用製剤は、単回投与用または数回投与用の製剤であってもよい。前記数回投与用製剤は、約0.2mlの容積で7日~1ヶ月の間隔で総6回まで施行可能であり、1日に最大60回以下投与されるのに適するように製造
できる。必要により、前記非経口投与用製剤は、0.5~2.0cmに離隔した部位に繰り返し投与できる。
【0029】
前記非経口投与用製剤は、溶液、エマルション、懸濁液、凍結乾燥などの形態を含み、好ましくは、溶液またはエマルションの形態を含む。前記液状製剤は、細菌濾過器などにより無菌濾過した後、アンプル、シリンジまたはバイアルに充填できる。
【0030】
前記液状製剤形態の非経口投与用製剤は、薬学的に許容可能な添加剤および/または担体を用いて、製剤学分野で通常用いられる製剤化方法により製造できる。したがって、本発明の医薬組成物は、pH調節剤、等張化剤、保存剤(あるいは、抗菌剤)、抗酸化剤および緩衝剤からなる群より一つ以上選択された薬学的に許容可能な添加剤;有機溶媒および水性溶媒からなる群より一つ以上選択された薬学的に許容可能な担体を含むことができる。
【0031】
前記pH調節剤は、注射用製剤に通常用いられるpH調節剤を含み、例えば、ジエタノールアミン、酢酸、メグルミン、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、アジピン酸、クエン酸、塩酸、乳酸、硫酸、酒石酸、リン酸などを含むが、これらに制限されるものではない。本発明の医薬組成物は、pH6.5~pH8.0の範囲、例えば、pH7.0~pH7.9の範囲、より具体的にはpH7.2~7.8の範囲を有することができる。前記pH範囲を有する医薬組成物は、局所投与される場合、痛みおよび/または炎症を最小化することができる。例えば、一般の健康な人の身体は、胃液と小便を除いてはpH7.2~7.8を保持し、この中で血液などの体液は、通常pH7.4程度(約pH7.35~7.45の範囲)である。このようなpH値の小さな変化にも敏感に反応するが、一例としてpH8を超過する組成物の場合、体液のpHより過度に高いpHを持って投与部位での灼熱感のような痛み、炎症反応などの副作用が発生しうる。そのため、体内に投与される組成物の場合、体液と類似した範囲のpH値を有することが好ましい。本発明の医薬組成物は、pH6.5~pH8.0の範囲、例えば、pH7.0~pH7.9の範囲、より具体的にはpH7.2~7.8の範囲を有することができる。したがって、体内投与時に灼熱感のような痛みや炎症反応のような副作用を最小化することができる。
【0032】
前記等張化剤は、糖、糖アルコール、塩類などを含み、例えば、グルコース、グリセリン、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、分子量1000以下のポリエチレングリコール)、デキストロース、ヒドロキシプロピルベータデックス、マンニトール、塩化カリウム、デキストラン、フィコール、ゼラチン、ヒドロキシエチルデンプンなどを含むが、これらに制限されるものではない。一実施態様において、前記等張化剤は、グリセリンおよび/または塩化ナトリウムであってもよい。前記等張化剤は、生理学的に許容可能な浸透圧を提供するのに好適な量をもって使用できる。
【0033】
前記保存剤は、製剤学分野で通常用いられる抗菌剤を含む。前記保存剤は、ベンジルアルコール、グリセリン、m-クレゾール、フェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、アカシア、アルブミン、アルコール、アルギン酸、パルミチン酸アスコルビル、アスパルテーム、ホウ酸、クエン酸、ペンテト酸、酢酸ナトリウム、ソルビン酸、クロロブタノール、o-クレゾール、ρ-クレゾール、クロロクレゾール、フェニル水銀酸硝酸塩、チメロサール、安息香酸、コレステロールなどを含むが、これらに制限されるものではない。一実施態様において、前記保存剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、クレゾール、クロロクレゾール、クロロブタノールおよび/またはベンジルアルコールであってもよい。
【0034】
前記抗酸化剤は、アルファトコフェロール(Alpha tocopherol)、ブ
チル化ヒドロキシトルエン(Butylated hydroxytoluene)、ブチル化ヒドロキシアニソール(Butylated hydroxyanisole)、メタ重亜硫酸カリウム(Potassium metabisulfite)、重亜硫酸ナトリウム(Sodium bisulfite)およびシステイン(Cysteine))などを含む。
【0035】
前記緩衝剤は、酸、塩基、塩類などを含み、例えば、アジピン酸、ホウ酸、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸ナトリウム、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メチオニン、グリシン、グルタミン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ砂、水酸化ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、乳酸ナトリウム、トリエタノールアミン、無水リン酸水素ナトリウムなどを含むが、これらに制限されるものではない。一実施態様において、前記緩衝剤は、無水リン酸水素ナトリウムおよび/またはクエン酸であってもよい。
【0036】
前記水性溶媒は、注射用水、滅菌蒸留水、塩水、水性デキストロースまたは水性スクロースなどを制限されずに含む。
【0037】
本発明の医薬組成物は、注射液の注入による痛み緩和のための局所麻酔剤と、アレルギー防止のための抗ヒスタミン剤と、脂肪分解の促進のための脂肪分解促進剤と、シワ改善剤と、コラーゲン生成促進剤とをさらに含むことができる。前記局所麻酔剤としては、リドカイン(Lidocaine)とプロカイン(Procaine)が使用可能であるが、好ましくはリドカインであり、抗ヒスタミン剤としては、ピプリンヒドリナート(Piprinhydrinate)とクロルフェニラミン(Chlorpheniramine)が使用可能であるが、好ましくはクロルフェニラミンであり、脂肪酸化促進剤としては、L-カルニチン(carnitine)、ヒアルロニダーゼ(Hyaluronidase)、ミノフィリン(minophylline)、カフェイン(Caffeine)、チオクト酸(Thioctic acid)などが使用可能であり、皮膚再生促進剤としては、ビタミンC、プラセンタ(Placenta)、ペントキシフィリン(Pentoxifylline)、クロストリジウム・ボツリヌム・トキシン(Clostridium Botulinum Toxin)、ポリデオキシリボヌクレオチド(PDRN)、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)、グルタチオン(Glutathione)、グリチルリチン(Glycyrrhizin)、フルスルチアミン(Fursultiamine)などが使用可能であるが、これらに制限されるものではない。
【0038】
また、本発明の医薬組成物は、注射直前に他の第2医薬組成物と混合して用いられる、デオキシコール酸またはその薬学的に許容可能な塩、および薬学的に許容可能な添加剤および担体を含む、8.7以上のpHを有する安定性が改善された第1医薬組成物を提供する。前記第1医薬組成物は、例えば、9.0~9.5のpHを有することができる。前記第1医薬組成物は、デオキシコール酸の溶解度が顕著に改善されて沈殿の発生が抑制されるため、保管安定性に優れた製剤として使用できる。
【0039】
本発明の医薬組成物は、通常、密封、滅菌されたプラスチックまたは有機容器内に入れられている。容器は、アンプル、バイアル、シリンジまたはカートリッジのような規定容量の形状で供給するか、または注射用バッグまたは瓶のような大容量の形状で供給することができる。
【0040】
本発明の医薬組成物において、前記デオキシコール酸またはその薬学的に許容可能な塩の治療学的に有効な量は一日当たり約1mg/kg~約1,500mg/kgの範囲であってもよいが、これは患者の年齢、体重、感受性、症状または製剤の形態などに応じて変更できる。一実施態様において、単位製剤当たりに前記デオキシコール酸またはその薬学
的に許容可能な塩を1~1,000mg、好ましくは1~500mgの範囲で含むことができる。
【0041】
また、本発明は、デオキシコール酸またはその化粧料として許容可能な塩と、化粧料として許容可能な添加剤と、担体とを含む、6.5~8.0のpHを有する安定性が改善された化粧料組成物が提供される。前記化粧料として許容可能な塩および化粧料として許容可能な添加剤および担体は、上記で説明した薬学的に許容可能な塩および薬学的に許容可能な添加剤および担体と同様である。
【0042】
また、本発明は、脂肪分解の誘導あるいは肥満の治療を必要とする哺乳動物に治療学的に有効な量の前記デオキシコール酸またはその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、脂肪分解の誘導方法あるいは肥満の治療方法を含む。
【0043】
また、本発明は、脂肪分解の誘導あるいは肥満の予防または治療のための薬剤の製造における使用のためのデオキシコール酸またはその薬学的に許容可能な塩の用途を提供する。
【0044】
以下、本発明を実施例および試験例を挙げてさらに詳細に説明する。但し、下記の実施例および試験例は、本発明を例示するためのものであって、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0045】
実施例1.ベンザルコニウムを含む溶液の製造
1-1.ベンザルコニウム0.01%を含む溶液の製造
下記表1の成分および含量に従い、溶液の形態を有する製剤を製造した。表1の含量は、各成分の重量(g)を示す。約25~30℃の注射用水80~85ml(基準量の約80~85%)に塩化ベンザルコニウム0.01%(w/v)を添加し、約10分間十分に攪拌して溶解させた。得られた溶液に塩化ナトリウム、リン酸二ナトリウムを添加して20分間攪拌させた。得られた溶液に水酸化ナトリウムを溶解させた後、デオキシコール酸(PCA社から入手)を添加して、300rpmで約60分間攪拌して溶解させた。溶液のpHは、約10.8~11.6であった。得られた溶液のpHを塩酸を用いてpH7.2に調節した後、注射用水を用いて最終体積100mlに合わせた。メンブレンフィルタ(PES 0.22μmフィルタ、Millipore、USA)で濾過した後にバイアルに充填した。充填したバイアルをオートクレーブ(Systec DX-200、Germany)に積載し、設定温度121℃で30分間滅菌した。
【0046】
また、下記表1に示すように、pHを各々7.4、7.6、7.8および9.0に調節したことを除いては、上記と同様の方法によりバイアルを製造した。
【0047】
【表1】
【0048】
1-2.ベンザルコニウム0.02%を含む溶液の製造
下記表2の成分および含量に従い、溶液の形態を有する製剤を製造した。表2の含量は、各成分の重量(g)を示す。約25~30℃の注射用水80~85ml(基準量の約80~85%)に塩化ベンザルコニウム0.02%(w/v)を添加し、約10分間十分に攪拌して溶解させた。得られた溶液に塩化ナトリウム、リン酸二ナトリウムを添加して20分間攪拌させた。得られた溶液に水酸化ナトリウムを溶解させた後、デオキシコール酸を添加して、350rpmで約30分間攪拌して溶解させた。溶液のpHは、約10.8~11.6であった。得られた溶液のpHを塩酸を用いてpH7.2に調節した後、注射用水を用いて最終体積100mlに合わせた。メンブレンフィルタ(PVDF 0.22μmフィルタ、Millipore、USA)で濾過した後にバイアルに充填した。充填したバイアルをオートクレーブ(Systec DX-200、Germany)に積載し、設定温度121℃で30分間滅菌した。
【0049】
また、下記表2に示すように、pHを各々7.4、7.6、7.8および9.0に調節したことを除いては、上記と同様の方法によりバイアルを製造した。
【0050】
【表2】
【0051】
実施例2.ベンゼトニウムを含む溶液の製造
2-1.ベンゼトニウム0.01%を含む溶液の製造
下記表3の成分および含量に従い、溶液の形態を有する製剤を製造した。表3の含量は、各成分の重量(g)を示す。約25~30℃の注射用水80~85ml(基準量の約80~85%)に塩化ベンゼトニウム0.01%(w/v)を添加し、約10分間十分に攪拌して溶解させた。得られた溶液に塩化ナトリウム、リン酸二ナトリウムを添加して20分間攪拌させた。得られた溶液に水酸化ナトリウムを溶解させた後、デオキシコール酸を添加して、300rpmで約60分間攪拌して溶解させた。溶液のpHは、約10.8~11.6であった。得られた溶液のpHを塩酸を用いてpH7.2に調節した後、注射用水を用いて最終体積100mlに合わせた。メンブレンフィルタ(PVDF 0.22μmフィルタ、Millipore、USA)で濾過した後にバイアルに充填した。充填したバイアルをオートクレーブ(Systec DX-200、Germany)に積載し、設定温度121℃で30分間滅菌した。
【0052】
また、下記表3に示すように、pHを各々7.4、7.6、7.8および9.0に調節したことを除いては、上記と同様の方法によりバイアルを製造した。
【0053】
【表3】
【0054】
2-2.ベンゼトニウム0.02%を含む溶液の製造
下記表4の成分および含量に従い、溶液形態を有する製剤を製造した。表4の含量は、各成分の重量(g)を示す。約25~30℃の注射用水80~85ml(基準量の約80~85%)に塩化ベンゼトニウム0.02%(w/v)を添加し、約10分間十分に攪拌して溶解させた。得られた溶液に塩化ナトリウム、リン酸二ナトリウムを添加して20分間攪拌させた。得られた溶液に水酸化ナトリウムを溶解させた後、デオキシコール酸を添加して、350rpmで約30分間攪拌して溶解させた。溶液のpHは、約10.8~11.6であった。得られた溶液のpHを塩酸を用いてpH7.2に調節した後、注射用水を用いて最終体積100mlに合わせた。メンブレンフィルタ(PVDF 0.22μmフィルタ、Millipore、USA)で濾過した後にバイアルに充填した。充填したバイアルをオートクレーブ(Systec DX-200、Germany)に積載し、設定温度121℃で30分間滅菌した。
【0055】
また、下記表4に示すように、pHを各々7.4、7.6、7.8および9.0に調節したことを除いては、上記と同様の方法によりバイアルを製造した。
【0056】
【表4】
【0057】
実施例3.ベンジルアルコールを含む溶液の製造
下記表5の成分および含量に従い、溶液の形態を有する製剤を製造した。表5の含量は、各成分の重量(g)を示す。約25~30℃の注射用水80~85ml(基準量の約80~85%)にベンジルアルコール0.9%(w/v)を添加し、約10分間十分に攪拌して溶解させた。得られた溶液に塩化ナトリウム、リン酸二ナトリウムを添加して20分間攪拌させた。得られた溶液に水酸化ナトリウムを溶解させた後、デオキシコール酸を添加して、300rpmで約60分間攪拌して溶解させた。溶液のpHは、約10.8~11.6であった。得られた溶液のpHを塩酸を用いてpH7.4に調節した後、注射用水を用いて最終体積100mlに合わせた。メンブレンフィルタ(PES 0.22μmフィルタ、Millipore、USA)で濾過した後にバイアルに充填した。充填したバイアルをオートクレーブ(Systec DX-200、Germany)に積載し、設定温度121℃で30分間滅菌した。
【0058】
また、下記表5に示すように、pHを各々7.6、7.8および9.0に調節したことを除いては、上記と同様の方法によりバイアルを製造した。
【0059】
【表5】
【0060】
比較例1.保存剤を全く含まない溶液の製造
下記表6の成分および含量に従い、溶液の形態を有する製剤を製造した。表6の含量は、各成分の重量(g)を示す。約25~30℃の注射用水80~85ml(基準量の約80~85%)に塩化ナトリウム、リン酸二ナトリウムを添加して約10分間攪拌して溶解させた。得られた溶液に水酸化ナトリウムを溶解させた後、デオキシコール酸を添加して、300rpmで約60分間攪拌して溶解させた。この時、溶液のpHは、約10.6~11.6であった。得られた溶液のpHを塩酸を用いてpH7.2に調節した後、注射用水を用いて最終体積100mlに合わせた。メンブレンフィルタ(PES 0.22μmフィルタ、Millipore、USA)で濾過した後にバイアルに充填した。充填したバイアルをオートクレーブ(Systec DX-200、Germany)に積載し、設定温度121℃で30分間滅菌した。
【0061】
また、下記表6に示すように、pHを各々7.4、7.6、7.8および9.0に調節したことを除いては、上記と同様の方法によりバイアルを製造した。
【0062】
【表6】
【0063】
比較例2.市販製剤の製造
下記表7の成分および含量に従い、大韓民国特許第10-1751585号の実施例を参照して比較例を製造した。表7の含量は、各成分の重量(g)を示す。約25~30℃の注射用水80~85ml(基準量の約80~85%)にベンジルアルコールを添加し、約10分以上十分に攪拌して溶解させた。得られた溶液に塩化ナトリウム、リン酸二ナトリウムを添加して20分間攪拌させた。得られた溶液に水酸化ナトリウムを溶解させた後、デオキシコール酸を添加して、300rpmで約60分間攪拌して溶解させた。溶液のpHは、約10.6~11.6であった。得られた溶液のpHを塩酸を用いてpH8.3に調節した後、注射用水を用いて最終体積100mlに合わせた。メンブレンフィルタ(PES 0.22μmフィルタ、Millipore、USA)で濾過した後にバイアルに充填した。充填したバイアルをオートクレーブ(Systec DX-200、Germany)に積載し、設定温度121℃で30分間滅菌した。
【0064】
【表7】
【0065】
試験例1.安定性試験
試験例1-1.実施例1の安定性試験
pH7.2から9.0までpH範囲だけを異にして製造した実施例1(実施例1-1および1-2)の製剤を0日(Initial)、1ヶ月、3ヶ月および6ヶ月の間、各々長期保管(25℃、湿度60%)および加速保管(40℃、湿度75%)して比較をした。
【0066】
その結果、図1および2に示すように、本発明の実施例1の製剤は、沈殿物が発生しない、優れた保管安定性を有することを確認することができた。
【0067】
試験例1-2.実施例2の安定性試験
pH7.2から9.0までpH範囲だけを異にして製造した実施例2(実施例2-1および2-2)の製剤を0日(Initial)、1ヶ月、3ヶ月および6ヶ月の間、各々長期保管(25℃、湿度60%)および加速保管(40℃、湿度75%)して比較をした。
【0068】
その結果、図3および4に示すように、本発明の実施例2の製剤は、沈殿物が発生しない、優れた保管安定性を有することを確認することができた。
【0069】
試験例1-3.実施例3の安定性試験
pH7.4から9.0までpH範囲だけを異にして製造した実施例3、およびpHをpH8.3に調節して製造した比較例2(市販製剤)の製剤を0日(Initial)、1ヶ月、3ヶ月および6ヶ月の間、各々長期保管(25℃、湿度60%)および加速保管(40℃、湿度75%)して比較をした。
【0070】
その結果、図5および6に示すように、本発明の実施例3の製剤は、比較例2(市販製剤)と同等なレベルに沈殿現象が発生しない、優れた保管安定性を有することを確認することができた。
【0071】
試験例1-4.比較例1の安定性試験
pH7.2から9.0までpH範囲だけを異にして製造した比較例1の製剤を0日(Initial)、1ヶ月、3ヶ月および6ヶ月の間、各々長期保管(25℃、湿度60%)および加速保管(40℃、湿度75%)して比較をした。
【0072】
その結果、図7に示すように、比較例1は、時間の経過に伴って沈殿現象が発生し、p
Hが低いほどより多い量の沈殿物が発生することを肉眼で確認することができた。
【0073】
試験例2.実施例の含量変化試験
上記で製造した実施例の含量を確認するために、InfinityLab poroshell 120 EC-C18(4.6×150mm、4μm、USA)カラムと高圧液体クロマトグラフィー(Agilent Technologies 1260 Infinity II HPLC/GPC、Agilent、USA)、ELSD検出器(Agilent Technologies 1260 Infinity II ELSD、Agilent、USA)を利用して、下記表8に示す分析条件を参考にして試験した。移動相(A)水中ギ酸0.1%(0.1% Formic acid in water)、(B)ACN中ギ酸0.1%(0.1% Formic acid in ACN)、希釈液はメタノール/水(80:20)、カラム温度25℃、分当たり1.0mlの流速、注入量25μL、エバポレーター(Evaporator)およびネブライザー(Nebulaizer)の温度60℃、窒素ガス流速1.1L/minの条件で検出し、サンプル濃度を0.1mg/mLを用いて実施例の含量を確認した。
【0074】
その結果、図8に示すように、実施例の製剤が13.2分に現れることを確認することができ、これはデオキシコール酸および含量変化が現れないことを示す。
【0075】
【表8】
【0076】
試験例3.不溶性微粒子の測定試験
上記で製造した実施例の組成物の不溶性微粒子(HIAC 9703+、MT-C-006)を測定した。バイアル当たりに6000個以下の直径10μm以上の粒子、および600個以下の直径25μm以上の粒子の基準許容値を満たした。測定結果を各々表9および10に示す。
【0077】
その結果、下記表9および10に示すように、10μm以上の大きさを有する不溶性微粒子および25μm以上の大きさを有する不溶性微粒子の数は、比較例2と比較した時、同等または類似したレベルの不溶性微粒子を含有することを確認した。
【0078】
【表9】
【0079】
【表10】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8