(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】使用済み手術用針の収納器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61B 50/36 20160101AFI20220318BHJP
A61B 17/06 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
A61B50/36
A61B17/06
(21)【出願番号】P 2017210235
(22)【出願日】2017-10-31
【審査請求日】2020-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】517381876
【氏名又は名称】須釜 美代子
(73)【特許権者】
【識別番号】517381887
【氏名又は名称】須釜 明美
(74)【代理人】
【識別番号】100067677
【氏名又は名称】山本 彰司
(74)【代理人】
【識別番号】100133411
【氏名又は名称】山本 龍郎
(72)【発明者】
【氏名】須釜 美代子
(72)【発明者】
【氏名】須釜 明美
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-169813(JP,A)
【文献】特開2003-210486(JP,A)
【文献】特開2012-176803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 50/36
A61B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済み手術用針が容易に刺し込めるような直方体形状の軟質プラスチック発泡体と、該
軟質プラスチック発泡体を収容し、支持・固定する、開放された長手方向の一側面を有する垂直断面が「コ」の字形状である直方体様形状からなる
軟質プラスチック発泡体用支持具と、支持台とを有する使用済み手術用針の収納器であって、該支持具と該支持台とが一体成形体であって、該支持具の下面が該支持台の表面と一体化しており、該支持具の長手方向の上面、下面及び該開放された
右側面とは反対側の
左側面、並びに長手方向の両端面である正面側端面及び背面側端面が閉鎖面であり、該支持具の上面と
前記右側面と前記左側面との隣り合った二つの面が交わってなす直線部分である稜部分が面取りされた角部が削られた丸面であるように、そして該支持具の該閉鎖された両端面のそれぞれと該支持具の上面との、また、該支持具の該閉鎖された両端面のそれぞれと該支持具の
前記右側面と前記左側面との隣り合った二つの面とが交わってなす直線部分である稜部分が面取りされた角部が削られた丸面であるように、さらに該支持具の該両端面の該
軟質プラスチック発泡体が収容される入口側の鉛直部分の稜部分が面取りされた角部が削られた丸面であるように、さらにまた、該支持台の上面の周囲の4辺の稜部分も全て面取りされた角部が削られた丸面であるように構成されており、該支持具の長手方向の開放された
前記右側面から該支持具内に収容された
軟質プラスチック発泡体は、その
軟質プラスチック発泡体の長手方向の
右側面の端部が該支持具から突出するように収容されており、該支持具内に収容された該
軟質プラスチック発泡体の長手方向の
左側面と該支持具の内部側面とが両面テープにより密着され、該
軟質プラスチック発泡体が該支持具に固定されていることを特徴とする使用済み手術用針の収納器。
【請求項2】
前記
軟質プラスチック発泡体用支持具は、該支持台上の所定の位置に配置され、
該軟質プラスチック発泡体の上面に対応する該支持具の
上面に符号が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の使用済み手術用針の収納器。
【請求項3】
前記
軟質プラスチック発泡体用支持具と支持台とは、硬質プラスチック
からなることを特徴とする請求項1~2のいずれか1項に記載の使用済み手術用針の収納器。
【請求項4】
直方体形状の
軟質プラスチック発泡体と、該
軟質プラスチック発泡体を収容し、支持・固定する、開放された長手方向の一側面を有する垂直断面が「コ」の字形状である直方体様形状からなる
軟質プラスチック発泡体用支持具と、支持台とを有する使用済み手術用針の収納器を製造する方法であって、該支持具の長手方向の上面、下面及び該開放された
右側面とは反対側の
左側面、並びに長手方向の両端面である正面側端面及び背面側端面が閉鎖面になるように、そして該支持具の下面が該支持台の表面と一体化するように、該支持具と該支持台とを鋳型を用いて一体成形により構成し、その際、該支持具の上面と
前記右側面と前記左側面との隣り合った二つの面が交わってなす直線部分である稜部分が面取りされた角部が削られた丸面になるように、そして該支持具の該閉鎖された両端面のそれぞれと該支持具の上面との、また、該支持具の該閉鎖された両端面のそれぞれと該支持具の
前記右側面と前記左側面との隣り合った二つの面が交わってなす直線部分である稜部分が面取りされた角部が削られた丸面になるように、さらに該支持具の該両端面の該
軟質プラスチック発泡体を収容する入口側の鉛直部分の稜部分が面取りされた角部が削られた丸面になるように、さらにまた、該支持台の上面の周囲の4辺の稜部分も全て面取りされた角部が削られた丸面になるように形成し、該支持具の長手方向の開放された側面から該支持具内に該
軟質プラスチック発泡体を収容して、その
軟質プラスチック発泡体の長手方向の
右側面の端部が該支持具から突出するように収容し、この場合、該支持具内に収容した該
軟質プラスチック発泡体の長手方向の
左側面と該支持具の内部側面とを、両面テープにより密着せしめ、該
軟質プラスチック発泡体を該支持具に固定することを特徴とする使用済み手術用針の収納器の製造方法。
【請求項5】
前記支持台上の所定の位置に該支持具を設けるよう形成し、該
軟質プラスチック発泡体の上面に対応する該支持具の
上面に符号を設けることを特徴とする請求項4に記載の使用済み手術用針の収納器の製造方法。
【請求項6】
前記
軟質プラスチック発泡体用支持具及び
軟質プラスチック発泡体が、それぞれ、複数個設けられ、各支持具が該支持台上に間隔を空けて平行に配置されており、該複数の
軟質プラスチック発泡体用支持具と1枚の前記支持台とが一体成形体であり、各支持具の長手方向の開放された側面が同一方向を向いているように構成され、各支持具の内部に各
軟質プラスチック発泡体が収容されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の使用済み手術用針の収納器。
【請求項7】
前記
軟質プラスチック発泡体用支持具及び
軟質プラスチック発泡体を、それぞれ、複数個設け、該複数の支持具と1枚の該支持台とを鋳型を用いて一体成形により形成して、各支持具が該支持台上に間隔を空けて平行に配置されるように構成し、そして各支持具の長手方向の開放された側面が同一方向を向いているように構成し、各支持具の内部に各
軟質プラスチック発泡体を収容することを特徴とする請求項4~5のいずれか1項に記載の使用済み手術用針の収納器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済み手術用針の収納器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医師が手術の際に縫合又は穿刺に用いる針については、手術前に予め用意した針の本数を数えておき、縫合又は穿刺が終わる度に一つ一つ所定の容器内に置き、手術が終わった後にその本数を数え、本数があっていることを確認した後に纏めて処理することが多い。この手術用針には尖鋭な小さなものが多いために、 容器内に単に置くだけであると紛失し易く、その結果、手術前に確認した針の数と合わなくなることがある。また、容器内に置く際に針に自分の手等を刺してしまうこともあるため、感染症の発症者や感染者、例えば、C型肝炎の発症者やエイズウイルスの感染者等の手術をする場合、医療関係者への感染の可能性が生じる。また、縫合又は穿刺した後の手術用針をスポンジやコルク等に突き刺して、手術後にその本数を確認してから、処分することも行われているが、この際にも上記したような問題が生じる。
【0003】
従来の使用済み手術用針収納器として、支持体の表面上に長方形の収納部材が少なくとも一つ固定されてなる使用済み手術用マイクロ針収納器であって、該収納部材は、剥離紙とマイクロ針押さえ部材とからなる積層体であり、この積層体は、支持体に接している剥離紙の一部と、該剥離紙が折り曲げられて該剥離紙の一部の上に重ねられた剥離紙の残部と、該剥離紙の残部の上に接着剤層を介して設けられたマイクロ針押さえ部材とからなっており、該剥離紙の残部が該マイクロ針押さえ部材から剥離自在に構成されており、該支持体に接している該剥離紙の一部の長手方向先端部が支持体に対して反対側に折り曲げられており、該マイクロ針押さえ部材は、該剥離紙と接着していない部分が支持体上に固定されており、該マイクロ針押さえ部材の固定された部分と該剥離紙に接着している部分との境界に、該マイクロ針押さえ部材と該剥離紙とを貫通してミシン目が形成されていることを特徴とする使用済み手術用マイクロ針収納器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、使用済み手術用針の収納器として、支持体の表面に直方体形状のプラスチック発泡体が少なくとも一つ固着されてなる使用済み手術用針の収納器であって、該発泡体は、複数の発泡体素材をその長手方向に沿って接着剤で貼り合わせて積層した積層体であり、該手術用針を該発泡体の長手方向の側面に刺す時に、接着剤層を貫通して刺すことができるように構成されていることを特徴とする使用済み手術用針の収納器が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、使用済み手術用マイクロ針収納器として、支持体の表面上に長方形の収納部材が少なくとも一つ固定されてなる使用済み手術用マイクロ針収納器であって、該収納部材は、剥離紙とマイクロ針押さえ部材とからなる積層体であり、この積層体は、支持体に接している剥離紙の一部と、該剥離紙が折り曲げられて該剥離紙の一部の上に重ねられた剥離紙の残部と、該剥離紙の残部の上に接着剤層を介して設けられたマイクロ針押さえ部材とからなっており、該剥離紙の残部が該マイクロ針押さえ部材から剥離自在に構成されており、該支持体に接している該剥離紙の一部の長手方向先端部が支持体に対して反対側に折り曲げられており、該マイクロ針押さえ部材は、該剥離紙と接着していない部分が支持体上に固定されており、該マイクロ針押さえ部材の固定された部分と該剥離紙に接着している部分との境界に、該マイクロ針押さえ部材と該剥離紙とを貫通してミシン目が形成されていることを特徴とする使用済み手術用マイクロ針収納器が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
しかし、上記特許文献1~3に記載された発明のいずれも、使いやすさ等の点で、完全には満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002-238910号公報
【文献】特開2003-169813号公報
【文献】特開2011-104064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のように、縫合又は穿刺用の針を単に容器内に置いたり、スポンジ等に突き刺したりして管理するだけでは、針を紛失したりすることがあって問題になっており、そのため、縫合又は穿刺した後に安全に針を処置し、管理することが求められていた。かくして、本発明の課題は、上述の従来技術の問題点を解決することにあり、縫合後又は穿刺後の手術用針を安全に処置・管理することができる、使いやすい使用済み手術用針の収納器及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の使用済み手術用針の収納器に係る第1の発明は、直方体形状の針山と、該針山を収容し、支持・固定する、開放された長手方向の一側面を有する垂直断面が「コ」の字形状である直方体様形状からなる針山用支持具と、支持台とを有する使用済み手術用針の収納器であって、該支持具と該支持台とが一体成形体であって、該支持具の下面が該支持台の表面と一体化しており、該支持具の長手方向の上面、下面及び該開放された側面とは反対側の側面、並びに長手方向の両端面である正面側端面及び背面側端面が閉鎖面であり、該支持具の上面と側面との隣り合った二つの面が交わってなす直線部分である稜部分が面取りされた角部が削られた丸面であるように、そして該支持具の該閉鎖された両端面のそれぞれと該支持具の上面との、また、該支持具の該閉鎖された両端面のそれぞれと該支持具の側面との隣り合った二つの面とが交わってなす直線部分である稜部分が面取りされた角部が削られた丸面であるように、さらに該支持具の該両端面の該針山が収容される入口側の鉛直部分の稜部分が面取りされた角部が削られた丸面であるように、さらにまた、該支持台の上面の周囲の4辺の稜部分も全て面取りされた角部が削られた丸面であるように構成されており、該支持具の長手方向の開放された側面から該支持具内に収容された針山は、その針山の長手方向の側面の端部が該支持具から突出するように収容されており、該支持具内に収容された該針山の長手方向の側面と該支持具の内部側面とが両面テープにより密着され、該針山が該支持具に固定されていることを特徴とする。
【0010】
第1の発明の使用済み手術用針の収納器において、前記針山用支持具は、該支持台上の所定の位置に配置され、該針山の上面に対応する該支持具の上面、該支持具の近辺、又は該支持具の上面及び該支持具の近辺に符号が設けられていることを特徴とする。
【0011】
第1の発明の使用済み手術用針の収納器において、該支持具の上面に設けられた符号に沿って、該支持台上に配置された該針山用支持具から突出した針山の側面の脇に区画線が設けられていることを特徴とする。
【0012】
第1の発明の使用済み手術用針の収納器において、前記針山用支持具が、硬質プラスチックからなり、前記針山が、軟質プラスチック発泡体からなることを特徴とする。
【0013】
本発明の使用済み手術用針の収納器の製造方法に係る第1の発明は、直方体形状の針山と、該針山を収容し、支持・固定する、開放された長手方向の一側面を有する垂直断面が「コ」の字形状である直方体様形状からなる針山用支持具と、支持台とを有する使用済み手術用針の収納器を製造する方法であって、該支持具の長手方向の上面、下面及び該開放された側面とは反対側の側面、並びに長手方向の両端面である正面側端面及び背面側端面が閉鎖面になるように、そして該支持具の下面が該支持台の表面と一体化するように、該支持具と該支持台とを鋳型を用いて一体成形により構成し、その際、該支持具の上面と側面との隣り合った二つの面が交わってなす直線部分である稜部分が面取りされた角部が削られた丸面になるように、そして該支持具の該閉鎖された両端面のそれぞれと該支持具の上面との、また、該支持具の該閉鎖された両端面のそれぞれと該支持具の側面との隣り合った二つの面が交わってなす直線部分である稜部分が面取りされた角部が削られた丸面になるように、さらに該支持具の該両端面の該針山を収容する入口側の鉛直部分の稜部分が面取りされた角部が削られた丸面になるように、さらにまた、該支持台の上面の周囲の4辺の稜部分も全て面取りされた角部が削られた丸面になるように形成し、該支持具の長手方向の開放された側面から該支持具内に該針山を収容して、その針山の長手方向の側面の端部が該支持具から突出するように収容し、この場合、該支持具内に収容した該針山の長手方向の側面と該支持具の内部側面とを、両面テープにより密着せしめ、該針山を該支持具に固定することを特徴とする。
【0014】
本発明の使用済み手術用針の収納器の製造方法に係る第1の発明において、前記支持台上の所定の位置に該支持具を設けるよう形成し、該針山の上面に対応する該支持具の上面、該支持具の近辺、又は該支持具の上面及び該支持具の近辺に符号を設けることを特徴とする。
【0015】
本発明の使用済み手術用針の収納器の製造方法に係る第1の発明において、前記支持台上に配置された該支持具から突出した針山の側面の脇に、該支持具の上面に設けられた符号に沿って区画線を設けることを特徴とする。
【0016】
本発明の使用済み手術用針の収納器に係る第2の発明は、前記収納器に係る第1の発明において、前記針山用支持具及び針山が、それぞれ、複数個設けられ、各支持具が該支持台上に間隔を空けて平行に配置されており、該複数の針山用支持具と1枚の前記支持台とが一体成形体であり、各支持具の長手方向の開放された側面が同一方向を向いているように構成され、各支持具の内部に各針山が収容されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の使用済み手術用針の収納器の製造方法に係る第2の発明は、使用済み手術用針の収納器の製造方法に係る第1の発明において、前記針山用支持具及び針山を、それぞれ、複数個設け、該複数の支持具と1枚の該支持台とを鋳型を用いて一体成形により形成して、各支持具が該支持台上に間隔を空けて平行に配置されるように構成し、そして各支持具の長手方向の開放された側面が同一方向を向いているように構成し、各支持具の内部に各針山を収容することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の収納器に係る第1の発明によれば、針山用支持具内に収容された針山にその側面から手術用針を刺しこんだ際に、支持具の一側面、上面、両方の端面が閉鎖されているので、本物品を構成する針山の一側面、上面、及び両方の端面から針先が突き抜けることはなく、本物品の使用者である医師や看護師が怪我をする危険が防止され、針を安全かつ確実に回収できる。この場合、針山は、使用済み手術用針を強い力を加えずに、誰でも簡単に刺し込むことができるプラスチック発泡体(例えば、軟質プラスチック発泡体)からなっていれば良い。
【0019】
本発明の収納器に係る第1の発明によれば、針山が両面テープを用いて支持具と密着していると共に、支持具の長手方向の両端面が閉鎖端面であるため、収容された針山が抜け落ちることはない。
【0020】
本発明の収納器に係る第1の発明によれば、針山の上面に対応する支持具の上面、支持具の近辺、又は支持具の上面及び支持具の近辺に符号が設けられているので、収納した針の本数を一目で容易に確認することができる。また、支持具の上面に設けられた符号に沿って、支持台上に配置された針山用支持具から突出した針山の側面の脇に区画線(区割り線)が設けられているので、収納した針の本数をさらに容易に正確に確認することができる。
【0021】
本発明の収納器に係る第1の発明によれば、針山用支持具の隣り合った所望の二つの面が交わってなす直線である稜部分が面取りされた角部が削られて丸面になるようにしてあり、また、針山部分が収容される支持具の両端面の針山が収容される入口部分(入口側の鉛直部分)の稜部分も同じよう面取りされた角部が削られて丸面になるようにしてあり、さらに支持台の上面の周囲の4辺の稜部分も全て面取りされた角部が削られて丸面になるようにしてあるので、本発明の使用済み手術用針の収納器を製品として容器(例えば、袋等)に詰める際に、製品が容器に触れて容器を壊すことがない。
【0022】
本発明の収納器に係る第1の発明によれば、使用済み手術用針の収納器を医師や看護師が手に持って(例えば、支持台の区画線を設けていない部分を手に持って)使用でき、手術の際に縫合等で用いた手術用針を、使用後に、針山の開放された側面から順次刺し込んで使用できるので、使用方法が簡便である。
【0023】
本発明の収納器に係る第2の発明によれば、上記第1の発明における効果に加えて、針山用支持具及び針山の数が複数であり、各針山用支持具の内部に各針山が収容されており、さらに支持具の上面に設けられた符号に沿って、支持台上に配置された針山用支持具から突出した針山の側面の脇に区画線が設けられているので、多数の手術用針を必要とする手術を行う場合に、多数の使用済み手術用針を収納できると共に、一つの収納器で済むので、便利であるというメリットがある。さらに、上記したように、各針山用支持具の間に間隔が設けられているので、手術中でも、使用済み手術用針の刺し込みが簡単である。刺し込んだ使用済み手術用針の本数が確実に認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1の発明に係る使用済み手術用針の収納器の正面図(a)、左側面図(b)及び右側面図(c)を模式的に示す。
【
図2】本発明の第1の発明に係る使用済み手術用針の収納器の平面図(a)及び底面図(b)を模式的に示す。
【
図3】本発明の第1の発明に係る使用済み手術用針の収納器の正面図を示す
図1(a)の拡大正面図(a)、左側面図を示す
図1(b)のA部分拡大左側面図(b)及び右側面図を示す
図1(c)のB部分拡大右側面図(c)を模式的に示す。
【
図4】本発明の第1の発明に係る使用済み手術用針の収納器の外観を明確にするための斜視図を模式的に示す。
【
図5】本発明の第1の発明に係る使用済み手術用針の収納器の袋詰め状態を明確にするための斜視図を模式的に示す。
【
図6】本発明の第2の発明に係る使用済み手術用針の収納器の平面図(a)及び底面図(b)を模式的に示す。
【
図7】本発明の第2の発明に係る使用済み手術用針の収納器の外観を明確にするための斜視図を模式的に示す。
【
図8】本発明の第2の発明に係る使用済み手術用針の収納器の袋詰め状態を明確にするための斜視図を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、実施の形態の概要を説明し、次いで個々の構成要素について詳細に説明する。
【0026】
本発明に係る使用済み手術用針の収納器の第1の実施の形態によれば、この使用済み手術用針の収納器は、直方体形状の、軟質プラスチック発泡体からなる針山と、該針山を収容し、支持・固定する、開放された長手方向の一側面を有する垂直断面が「コ」の字形状である直方体様形状からなる針山用支持具と、支持台とを有する使用済み手術用針の収納器であって、該支持具と該支持台とが一体成形体であって、該支持具の下面が該支持台の表面と一体化しており、該支持具の長手方向の上面、下面及び該開放された側面とは反対側の側面、並びに長手方向の両端面である正面側端面及び背面側端面が閉鎖面であり、該支持具は、該支持台上の所定の位置に配置され、該支持具の上面と側面との隣り合った二つの面が交わってなす直線部分である稜部分が面取りされた角部が削られた丸面であるように、そして該支持具の該閉鎖された両端面のそれぞれと該支持具の上面との、また、該支持具の該閉鎖された両端面のそれぞれと該支持具の側面との隣り合った二つの面が交わってなす直線部分である稜部分が面取りされた角部が削られた丸面であるように、さらに該支持具の該両端面の該針山が収容される入口側の鉛直部分の稜部分が面取りされた角部が削られた丸面であるように、さらにまた、該支持台の上面の周囲の4辺の稜部分も全て面取りされた角部が削られた丸面であるように構成されており、該支持具の長手方向の開放された側面から該支持具内に収容された針山は、その針山の長手方向の側面の端部が該支持具から突出するように収容されており、該支持具内に収容された該針山の長手方向の側面と該支持具の内部側面とが両面テープにより密着され、該針山が該支持具に固定されており、該支持具が該支持台上の所定の位置に配置されており、該針山の上面に対応する該支持具の上面、該支持具の近辺、又は該支持具の上面及び該支持具の近辺に符号が設けられており、該支持具の上面に設けられた符号に沿って、該支持台上に配置された該針山用支持具から突出した針山の側面の脇に区画線(区割り線)が設けられており、該針山用支持具と支持台とは、硬質プラスチックを用いて構成され、上記したように、該針山は使用済み手術用針が容易に刺し込めるように軟質プラスチック発泡体を用いて構成されている。
【0027】
本発明に係る使用済み手術用針の収納器の製造方法の第1の実施の形態によれば、直方体形状の、軟質プラスチック発泡体からなる針山と、該針山を収容し、支持・固定する、開放された長手方向の一側面を有する垂直断面が「コ」の字形状である直方体様形状からなる針山用支持具と、支持台とを有する使用済み手術用針の収納器を製造する方法であって、該支持具の長手方向の上面、下面及び該開放された側面とは反対側の側面、並びに長手方向の両端面である正面側端面及び背面側端面が閉鎖面になるように、そして該支持具の下面が該支持台の表面と一体化するように、該支持台上の所定の位置に該支持具を設けるように、該支持具と該支持台とを鋳型を用いて一体成形により構成し、その際、該支持具の上面と側面との隣り合った二つの面が交わってなす直線部分である稜部分が面取りされた角部が削られた丸面になるように(稜部分がアールとなっているように)、そして該支持具の該閉鎖された両端面のそれぞれと該支持具の上面との、また、該支持具の該閉鎖された両端面のそれぞれと該支持具の側面との隣り合った二つの面が交わってなす直線部分である稜部分が面取りされた角部が削られた丸面になるように、さらに該支持具の該両端面の該針山を収容する入口側の鉛直部分の稜部分が面取りされた角部が削られた丸面になるように、さらにまた、該支持台の上面の周囲の4辺の稜部分も全て面取りされた角部が削られた丸面になるように形成し、該支持具の長手方向の開放された側面から該支持具内に該針山を収容して、その針山の長手方向の側面の端部が該支持具から突出するように収容し、この場合、支持具内に収容した該針山の長手方向の側面と該支持具の内部側面とを、両面テープにより密着せしめ、その後、針山を圧接して該針山を該支持具に確実に固定し、該針山の上面に対応する該支持具の上面、該支持具の近辺、又は該支持具の上面及び該支持具の近辺に符号を既知の印刷等により設け、該支持具の上面に設けられた符号に沿って、該支持台上に配置された該支持具から突出した針山の側面の脇に区画線を設けてなり、該針山用支持具と支持台とは、硬質プラスチックを用いて構成され、該針山は使用済み手術用針が容易に刺し込めるように上記したような軟質プラスチック発泡体を用いて構成されている。
【0028】
本発明に係る使用済み手術用針の収納器の第2の実施の形態によれば、この使用済み手術用針の収納器は、本発明に係る使用済み手術用針の収納器の第1の実施の形態において、該針山用支持具及び針山が、それぞれ、複数個設けられ、各支持具が該支持台上に間隔を空けて平行に配置されており、該複数の針山用支持具と1枚の前記支持台とが一体成形体であり、各支持具の長手方向の開放された側面が同一方向を向いており、各支持具の内部に各針山が収容されており、該針山用支持具と支持台とは、硬質プラスチックを用いて構成され、該針山は使用済み手術用針が容易に刺し込めるように上記したような軟質プラスチック発泡体を用いて構成されている。他の構成要素については、本発明に係る使用済み手術用針の収納器の第1の実施の形態の場合と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0029】
本発明に係る使用済み手術用針の収納器の製造方法の第2の実施の形態によれば、この製造方法は、該針山用支持具及び針山を、それぞれ、複数個設け、該複数の支持具と1枚の該支持台とを鋳型を用いて一体成形により形成して、各支持具が該支持台上に間隔を空けて平行に配置されるように構成し、そして各支持具の長手方向の開放された側面が同一方向を向いているように構成し、各支持具の内部に各針山を収容することからなる。他の構成要素については、本発明に係る使用済み手術用針の収納器の製造方法の第1の実施の形態の場合と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0030】
本発明における針山で用いるプラスチック発泡体としては、上記したように、使用済み手術用針が容易に刺さり、かつ、抜け落ちないような材質の軟質プラスチック発泡体であればよく、例えば、ポリスチレン、ポリブタジエン・スチレン共重合体、メラミン-フォルムアルデヒド縮重合物からなるメラミンフォーム、ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、スチレンフォーム等を用いることが出来る。この発泡体の寸法は特に制限されず、例えば、手術用針が充分刺さる幅を有するものであれば良い。また、針山用支持具及び支持台の材質は特に制限されないが、例えば、ポリスチレン、スチレン・ブタジエン共重合体等からなる硬質プラスチッ クや厚紙等であれば良い。なお、支持台の形状は特に制限されない。
【0031】
本発明で用いることができる両面テープとしては、支持体と針山とがしっかりと固定できるものであれば、特に制限はない。例えば、日本電工(株)製の両面接着テープ(例えば、基材+アクリル系粘着剤+シリコーン処理紙からなる製品名ND-2330S等)を用いることができる。
【0032】
以下、添付図面を参照して、本発明を更に詳細に説明する。同じ構成要素は、特に断らない限り、全て同じ参照符号を付してある。
【0033】
本発明の第1の実施の形態に係わる使用済み手術用針の収納器によれば、
図1~2に示すように、支持台101の上に、垂直断面が「コ」の字形状である直方体様形状からなる針山用支持具102が設けられ、この支持具102の下面102aは支持台101と一体化されるように、通常の成形(成型)方法により作製されている。支持台101と支持具102とは、この支持具102及び支持台101の形状に適合した通常の鋳型を用い、鋳型内に原料を流し込み、固化して脱型する通常の成形(成型)方法により作製される。このような鋳型を用いて一体成形体を作製する成形方法は当業者に公知であり、一般的な技術であるため、詳細な説明は省略するが、以下の段落で簡単に説明をする。なお、支持具102の長手方向の上面、下面、開放された側面とは反対側の側面及び長手方向の両端面102bが閉鎖面となるようにし、支持具102の下面102aが上記したように支持台101の表面と一体化するようにし、そして支持具102の長手方向の上面、下面及び開放された側面とは反対側の側面、並びに長手方向の両端面102bである正面側端面及び背面側端面が閉鎖面となるように一体成形されている。
【0034】
上記の一般的な成形方法によれば、例えば、公知の方法でプラスチック成形加工をするための金型を作製し、その金型内にプラスチック成型加工用の原材料(例えば、DIC株式会社製のディックスチレンGH-6800等)を投入し、固化せしめた後に脱型し、支持具と支持台とが一体化した成形体を作製し、次いで、その所定の箇所の表面にシルク印刷等で符号を入れて、完成品とする。例えば、上記のディックスチレンを用いた場合、約190~220℃の温度に溶かしたプラスチック原材料を複数段階に分けて枠型に流し込み、溶解したプラスチックの射出速度及び保圧(流し込んだプラスチックが枠型から飛び出ないように圧力をかけること)を適宜変えて成形を実施する。
【0035】
針山用支持具102の「コ」の字形状の開放された側面(長手方向の側面)から、支持具内102内に、直方体形状の、軟質プラスチック発泡体からなる針山103が押し込まれて収容され、支持・固定されており、針山103の長手方向の側面の端部103aが支持具102から突出するよう形成されている。この際、支持具102の内部の側面壁(側面内壁)に両面テープ(例えば、日東電工(株)製の製品名ND-2330Sを用いることができる)を貼付し、この両面テープにより、支持具102の内部の側面壁と押し込んだ針山103の側面壁とを密着させる。
【0036】
図1~3(特に、
図3)から明らかなように、支持具102の上面と側面との隣り合った二つの面が交わってなす直線部分である稜部分102cが面取りされた角部が削られた丸面として形成され、そして支持具102の閉鎖された両端面102bのそれぞれと支持具102の上面との隣り合った二つの面が交わってなす直線部分である稜部分102dが面取りされた角部が削られた丸面として形成され、また、支持具102の閉鎖された両端面のそれぞれと支持具102の側面との隣り合った二つの面が交わってなす直線部分である稜部分102eが面取りされた角部が削られた丸面として形成され、さらに支持具10の閉鎖された両端面の針山103が押し入れられる入口側の鉛直部分の稜部分102fが面取りされた角部が削られた丸面として形成され、さらにまた、支持台101の上面の周囲の4辺の稜部分101a、101b、101c及び101dも全て面取りされた角部が削られた丸面として形成されている。4つの角部分も同じである。
【0037】
図2(a)から明らかなように、針山103の上面に対応する支持具102の上面、支持具102の近辺、又は支持具102の上面及び支持具102の近辺に、既知の印刷等により符号(数字、イロハ文字、アルファベット等)が設けられており(
図2(a)では数字が表示されている)、支持具102の上面に設けられた符号に沿って、支持台101上に配置された支持具102から突出した針山の側面の脇に区画線(区割り線)104が設けられてなり、針山用支持具102と支持台101とは、硬質プラスチックを用いて構成され、針山103は使用済み手術用針が容易に刺し込めるように軟質プラスチック発泡体を用いて構成されている。
【0038】
図4は、本発明の第1の発明に係る使用済み手術用針の収納器の外観の斜視図であり、この図から、本発明の収納器が明らかである。また、
図5は、本発明の第1の発明に係る使用済み手術用針の収納器の袋詰め状態を示す斜視図であり、この図から、製品の状態が明らかである。
【0039】
本発明の第2の実施の形態に係わる使用済み手術用針の収納器によれば、上記したように、また、
図6~8に示すように、この使用済み手術用針の収納器は、本発明に係る使用済み手術用針の収納器の第1の実施の形態において、針山用支持具102及び針山103が複数設けられ、各支持具102の内部に各針山103が収容されており、複数の針山用支持具102と1枚の支持台101とが一体成形体であり、各支持具102が支持台101上に間隔を空けて平行に配置されており、各支持具102の長手方向の開放された側面が同一方向を向いているように構成されてなる。
図6~8において、101は支持台、101a~101dは面取りされた角部が削られた丸面、102は針山用支持具、102bは支持具の長手方向の両端面である正面側端面及び背面側端面が閉鎖面、103は針山、103aは支持具102から突出した針山103の長手方向の側面の端部、104は区画線を示し、ここに記載のない符号を含めて、
図1~5に関連して説明した符号と同じであり、同様な機能を有する。
【0040】
図7は、本発明の第2の発明に係る使用済み手術用針の収納器の外観の斜視図であり、この図から、本発明の収納器が明らかである。また、
図8は、本発明の第2の発明に係る使用済み手術用針の収納器の袋詰め状態を示す斜視図であり、この図から、製品の状態が明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、外科手術の際の縫合又は穿刺用の針、特に心臓疾患手術等の際に細い血管等の縫合等で用いた使用後の手術用針を安全に処置し、管理することができるので、医療分野で有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0042】
101 支持台
101a~101d 支持台の稜部分の面取りされた角部が削られた丸面
102 針山用支持具 102a 針山用指示具の下面
102b 針山用支持具の長手方向の端面 103 針山
103a 針山用支持具から突出した針山の突出部分
104 区画線