(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】車両用制御装置及び電動車両
(51)【国際特許分類】
B60L 3/00 20190101AFI20220318BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20220318BHJP
【FI】
B60L3/00 C
B60L3/00 J
H02M7/48 M
(21)【出願番号】P 2017232545
(22)【出願日】2017-12-04
【審査請求日】2020-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾谷 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】牧野 友由
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-004759(JP,A)
【文献】特開平11-225429(JP,A)
【文献】特開2016-096592(JP,A)
【文献】国際公開第2011/099472(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-58/40
B60W 10/00-20/50
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された電力を変換して出力する電力変換部と、
入力される前記電力を伝送し、前記電力変換部に並列に接続された複数の第1電力伝達部材と、
前記複数の第1電力伝達部材の少なくとも一つに接続された温度センサと、
複数の第1電力伝達部材を流れる電流の電流値を検出する電流検出部と、
前記電流検出部が検出した電流値、及び予め定められた第1温度閾値を記憶する記憶部と、
前記温度センサが検出する温度が変化したときに、前記複数の第1電力伝達部材の少なくとも一つが断線していると判断する第1制御部と、
を備
え、
前記第1制御部は、前記記憶部で記憶された電流値が時間の経過によらず同等である場合に、前記温度センサが検出する温度が直前に検出された温度から前記第1温度閾値以上変化したときに、前記複数の第1電力伝達部材の少なくとも一つが断線していると判断する車両用制御装置。
【請求項2】
入力された電力を変換して出力する電力変換部と、
変換された前記電力を伝送し、前記電力変換部に並列に接続された複数の第1電力伝達部材と、
前記複数の第1電力伝達部材の少なくとも一つに接続された温度センサと、
複数の第1電力伝達部材を流れる電流の電流値を検出する電流検出部と、
前記電流検出部が検出した電流値、及び予め定められた第1温度閾値を記憶する記憶部と、
前記温度センサが検出する温度が変化したときに、前記複数の第1電力伝達部材の少なくとも一つが断線していると判断する第1制御部と、
を備
え、
前記第1制御部は、前記記憶部で記憶された電流値が時間の経過によらず同等である場合に、前記温度センサが検出する温度が直前に検出された温度から前記第1温度閾値以上変化したときに、前記複数の第1電力伝達部材の少なくとも一つが断線していると判断する車両用制御装置。
【請求項3】
前記温度センサは、前記複数の第1電力伝達部材のうち、一の前記第1電力伝達部材に接続され、他の前記第1電力伝達部材には接続されない請求項1
又は2に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記温度センサは、前記複数の第1電力伝達部材にそれぞれ接続されている請求項1
又は2に記載の車両用制御装置。
【請求項5】
前記第1制御部は、前記複数の第1電力伝達部材の少なくとも一つが断線していると判断したときに、前記電力変換部による前記電力の変換を停止する請求項1
から4のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
【請求項6】
前記第1制御部は、前記複数の第1電力伝達部材の少なくとも一つが断線していると判断したときに、前記電力変換部により単位時間当たりに変換される前記電力の上限値を低くする請求項1
から5のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
【請求項7】
操作者に警告可能な警告部を備え、
前記第1制御部は、前記複数の第1電力伝達部材の少なくとも一つが断線していると判断したときに、前記警告部により操作者に警告する請求項1
から6のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
【請求項8】
予め定められた第2温度閾値を記憶する記憶部を備え、
前記第1制御部は、前記温度センサが検出した温度が前記第2温度閾値を超えたときに、前記複数の第1電力伝達部材の少なくとも一つが断線していると判断する請求項1
から7のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
【請求項9】
請求項1
から8のいずれか一項に記載の車両用制御装置を備える電動車両。
【請求項10】
入力された電力を変換して出力する電力変換部と、
入力される前記電力を伝送し、前記電力変換部に並列に接続された複数の第1電力伝達部材と、
前記複数の第1電力伝達部材における前記電力変換部に接続された部分とは異なる部分にそれぞれ接続された複数の第2電力伝達部材と、
前記複数の第2電力伝達部材の少なくとも一つに接続された温度センサと、
複数の第2電力伝達部材を流れる電流の電流値を検出する電流検出部と、
前記電流検出部が検出した電流値、及び予め定められた第1温度閾値を記憶する記憶部と、
前記温度センサが検出する温度が変化したときに、前記複数の第2電力伝達部材の少なくとも一つが断線しているか否かを判断する車両用制御装置と、
を備
え、
前記車両用制御装置は、前記記憶部で記憶された電流値が時間の経過によらず同等である場合に、前記温度センサが検出する温度が直前に検出された温度から前記第1温度閾値以上変化したときに、複数の第2電力伝達部材の少なくとも一つが断線していると判断する電動車両。
【請求項11】
入力された電力を変換して出力する電力変換部と、
変換された前記電力を伝送し、前記電力変換部に並列に接続された複数の第1電力伝達部材と、
前記複数の第1電力伝達部材における前記電力変換部に接続された部分とは異なる部分にそれぞれ接続された複数の第2電力伝達部材と、
前記複数の第2電力伝達部材の少なくとも一つに接続された温度センサと、
複数の第2電力伝達部材を流れる電流の電流値を検出する電流検出部と、
前記電流検出部が検出した電流値、及び予め定められた第1温度閾値を記憶する記憶部と、
前記温度センサが検出する温度が変化したときに、前記複数の第2電力伝達部材の少なくとも一つが断線しているか否かを判断する車両用制御装置と、
を備
え、
前記車両用制御装置は、前記記憶部で記憶された電流値が時間の経過によらず同等である場合に、前記温度センサが検出する温度が直前に検出された温度から前記第1温度閾値以上変化したときに、複数の第2電力伝達部材の少なくとも一つが断線していると判断する電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用制御装置及び電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電動車両用等の車両用制御装置では、電力変換部等の主回路用の入力線及び出力線(電力伝達部材)として、径の太い電線が使用されている。これは、車両用制御装置が駆動するモータのパワーが大きく、多くの電流を流す必要があるためである。流す電流が多いほど電線の径が太くなり、電線を曲げるために大きなスペースが必要になる。そのため、径が太い1本の電線を径の細い複数の電線に分け、電線1本あたりに流れる電流を少なくする場合がある。
また、電線に代えて導体を用いた場合には、表皮効果による導体の発熱を避けるため、複数の導体を主回路に並列接続して車両用制御装置に使用することがある。
【0003】
上述した車両用制御装置では、複数の電線のうちの一つが断線したとしても残りの電線が断線されずに電流を流している。このため、いずれかの電線が断線しても直ちに車両用制御装置が停止することはなく、電線の断線を検知することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、複数の電力伝達部材の少なくとも一つが断線しているか否かを検知することができる車両用制御装置及び電動車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の車両用制御装置は、電力変換部と、複数の第1電力伝達部材と、温度センサと、電流検出部と、記憶部と、第1制御部と、を持つ。前記電力変換部は、入力された電力を変換して出力する。前記複数の第1電力伝達部材は、入力される前記電力を伝送し、前記電力変換部に並列に接続されている。前記温度センサは、前記複数の第1電力伝達部材の少なくとも一つに接続されている。前記電流検出部は、複数の第1電力伝達部材を流れる電流の電流値を検出する。前記記憶部は、前記電流検出部が検出した電流値、及び予め定められた第1温度閾値を記憶する。前記第1制御部は、前記温度センサが検出する温度が変化したときに、前記複数の第1電力伝達部材の少なくとも一つが断線していると判断する。前記第1制御部は、前記記憶部で記憶された電流値が時間の経過によらず同等である場合に、前記温度センサが検出する温度が直前に検出された温度から前記第1温度閾値以上変化したときに、前記複数の第1電力伝達部材の少なくとも一つが断線していると判断する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】第1の実施形態の鉄道車両の車両用制御装置を示す平面図。
【
図3】第1の実施形態の鉄道車両の第1入力組ケーブルを示す断面図。
【
図4】第1の実施形態の鉄道車両の第2入力組ケーブルを示す断面図。
【
図5】第2の実施形態の鉄道車両の車両用制御装置を示す平面図。
【
図6】変形例の実施形態における第1入力組ケーブルを示す断面図。
【
図7】変形例の実施形態における第1入力組ケーブルを示す断面図。
【
図8】変形例の実施形態における導体を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の車両用制御装置及び電動車両を、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
以下、電動車両の第1の実施形態を、電動車両が鉄道車両の場合について
図1から
図4を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の鉄道車両1は、車体11と、車輪21と、車両用制御装置26と、を備えている。
車体11は、
図1の表示面に直交する方向に長い直方体状に形成されている。車体11の内部には、乗客を収容可能な空間が形成されている。車体11の天面には、上方に向かってパンタグラフ12が設けられている。パンタグラフ12は、架線13に架線13の下方から接触可能になるように配置されている。
【0010】
車体11の長手方向の端部には、運転台15が設けられている。運転台15は、レバー15a及び表示部15bを有している。レバー15aは、鉄道車両1の走行速度における加速や減速の指示を与えるためのものである。表示部15bは、鉄道車両1が走行する速度、警告ランプを表示するためのものである。
【0011】
車輪21は、車体11の幅方向に互いに間隔を空けて配置されている。詳細には図示はしないが、各車輪21は台車に回転可能に取付けられている。台車は、台車ばねを介して車体11の下面に固定されている。各車輪21は、車体11に取付けられた
図2に示すモータ22により回転速度が加速される。モータ22は、車両用制御装置26により駆動される。モータ22には、3相交流を入力するための3つの入力接点22A,22B,22Cが設けられている。
各車輪21は、ブレーキ(不図示)により回転速度が減速される。モータ22及びブレーキは、レバー15aにより操作される。
各車輪21は、
図1に示すレール23上に配置されている。
【0012】
図2に示すように、車両用制御装置26は、収容ケース27と、電力変換部28と、複数の第1入力組ケーブル29と、複数の第1出力組ケーブル30と、温度センサ31と、スピーカ(警告部)32と、記憶部33と、ユニット制御部(第1制御部)34と、を備えている。
なお、第1入力組ケーブル29A及び第1入力組ケーブル29B等を区別しないで言うときには、まとめて第1入力組ケーブル29と言う。第1出力組ケーブル30、温度センサ31等についても同様である。図面においても、第1入力組ケーブル29とは表示しないで、第1入力組ケーブル29Aとだけ表示する。
【0013】
例えば、収容ケース27は箱状に形成されている。収容ケース27は、互いに対向するように配置された側壁27a,27bを有している。
側壁27aには、複数の入力接点37が設けられている。入力接点37は、複数の第1入力組ケーブル29の数に対応して2つ設けられている。以下では、これら複数の入力接点37を区別して言うときには、入力接点37A、入力接点37Bとそれぞれ言う。複数の入力接点37A,37Bは、側壁27aに沿って互いに間隔を空けて並べて配置されている。
側壁27bには、複数の出力接点38が設けられている。出力接点38は、複数の第1出力組ケーブル30の数に対応して3つ設けられている。以下では、これら複数の出力接点38を区別して言うときには、出力接点38A、出力接点38B、出力接点38Cとそれぞれ言う。複数の出力接点38A,38B,38Cは、側壁27bに沿って互いに間隔を空けて並べて配置されている。
【0014】
電力変換部28は、例えばコンバータ、インバータ等を有する公知の機器である。電力変換部28は、入力された単相交流による電力を3相交流による電力に変換する。この例では、電力変換部28は、電流検出部28a及び電流検出部28bを有している。
電流検出部28aは、複数の第1入力組ケーブル29を流れ、電力変換部28に流れ込む単相交流の電流の電流値を検出する。電流検出部28bは、電力変換部28から流れ出し、複数の第1出力組ケーブル30を流れる3相交流の電流の電流値を検出する。電流検出部28a,28bは、検出結果を記憶部33及びユニット制御部34に送る。
電力変換部28、記憶部33、及びユニット制御部34は、収容ケース27内に配置されている。
電力変換部28における収容ケース27の側壁27aに対応する縁部には、複数の入力接点40が設けられている。入力接点40は、複数の第1入力組ケーブル29の数に対応して2つ設けられている。以下では、これら複数の入力接点40を区別して言うときには、入力接点40A、入力接点40Bとそれぞれ言う。複数の入力接点40A,40Bは、電力変換部28の縁部に沿って互に間隔を空けて並べて配置されている。
【0015】
電力変換部28における収容ケース27の側壁27bに対応する縁部には、複数の出力接点41が設けられている。出力接点41は、複数の第1出力組ケーブル30の数に対応して3つ設けられている。以下では、これら複数の出力接点41を区別して言うときには、出力接点41A、出力接点41B、出力接点41Cとそれぞれ言う。複数の出力接点41A,41B,41Cは、電力変換部28の縁部に沿って互いに間隔を空けて並べて配置されている。
電力変換部28は、複数の入力接点40から入力された電力を変換し、複数の出力接点41から出力する。
【0016】
本実施形態では、複数の第1入力組ケーブル29として2本の第1入力組ケーブル29を有しているが、第1入力組ケーブル29の本数は複数であれば限定されない。
【0017】
以下では、2本の第1入力組ケーブル29を区別して言うときには、第1入力組ケーブル29A、第1入力組ケーブル29Bとそれぞれ言う。第1入力組ケーブル29Aの構成と第1入力組ケーブル29Bの構成とは、互いに同一である。このため、第1入力組ケーブル29Aの構成を、数字、又は数字及び英小文字に英大文字「A」を付加することで示す。第1入力組ケーブル29Bのうち第1入力組ケーブル29Aに対応する構成を、第1入力組ケーブル29Aと同一の数字、又は数字及び英小文字に英大文字「B」を付加することで示す。これにより、重複する説明を省略する。
後述する第1出力組ケーブル30A,30B,30C、第2入力組ケーブル101A,101B、第2出力組ケーブル116A,116B,116C等についても同様である。
【0018】
第1入力組ケーブル29Aは、第1入力ケーブル44Aと、第2入力ケーブル45Aと、を有している。同様に、第1入力組ケーブル29Bは、第1入力ケーブル44Bと、第2入力ケーブル45Bと、を有している。
図3に示すように、第1入力ケーブル44Aは、第1入力電線(第1電力伝達部材)47Aと、第1入力絶縁被覆48Aと、を有している。例えば、第1入力電線47Aは、銅製の単線、又は撚り線等で形成されている。第1入力絶縁被覆48Aは、ポリエチレン樹脂等の電気的な絶縁性を有する材料で形成されている。第1入力絶縁被覆48Aは、第1入力電線47Aの外周面を覆っている。
同様に、第2入力ケーブル45Aは、第1入力電線(第1電力伝達部材)49Aと、第1入力絶縁被覆50Aと、を有している。
【0019】
図2に示すように、第1入力ケーブル44Aの第1入力電線47Aの第1端部、及び第2入力ケーブル45Aの第1入力電線49Aの第1端部は、収容ケース27の入力接点37Aにそれぞれ接続されている。第1入力ケーブル44Aの第1入力電線47Aの第2端部、及び第2入力ケーブル45Aの第1入力電線49Aの第2端部は、電力変換部28の入力接点40Aにそれぞれ接続されている。
同様に、第1入力ケーブル44Bの第1入力電線(第1電力伝達部材)、及び第2入力ケーブル45Bの第1入力電線(第1電力伝達部材)は、収容ケース27の入力接点37B、電力変換部28の入力接点40Bにそれぞれ接続されている。
第1入力組ケーブル29A,29Bは、電力変換部28に接続され、電力変換部28に入力される電力を伝送する。
【0020】
収容ケース27の入力接点37Aには、第2入力組ケーブル101Aが接続されている。同様に、収容ケース27の入力接点37Bには、第2入力組ケーブル101Bが接続されている。
第2入力組ケーブル101Aは、第3入力ケーブル103Aと、第4入力ケーブル104Aと、を有している。同様に、第2入力組ケーブル101Bは、第3入力ケーブル103Bと、第4入力ケーブル104Bと、を有している。
【0021】
図4に示すように、第3入力ケーブル103Aは、第1入力ケーブル44Aと同様に構成され、第2入力電線(第2電力伝達部材)106Aと、第2入力絶縁被覆107Aと、を有している。第4入力ケーブル104Aは、第2入力ケーブル45Aと同様に構成され、第2入力電線(第2電力伝達部材)108Aと、第2入力絶縁被覆109Aと、を有している。
図2に示すように、第3入力ケーブル103Aの第2入力電線106Aの第1端部、及び第4入力ケーブル104Aの第2入力電線108Aの第1端部は、収容ケース27の入力接点37Aにそれぞれ接続されている。第2入力電線106A,108Aは、第1入力電線47A,49Aにおける電力変換部28に接続された第2端部とは異なる第1端部にそれぞれ接続されている。第2入力電線106A,108Aと第1入力電線47A,49Aとは、直列に接続されている。
【0022】
第3入力ケーブル103Aの第2入力電線106Aの第2端部、及び第4入力ケーブル104Aの第2入力電線108Aの第2端部は、パンタグラフ12にそれぞれ接続されている。
【0023】
第3入力ケーブル103Bは、第2入力電線(第2電力伝達部材)と、第2入力絶縁被覆と、を有している。第4入力ケーブル104Bは、第2入力電線(第2電力伝達部材)と、第2入力絶縁被覆と、を有している。
第3入力ケーブル103Bの第2入力電線の第1端部、及び第4入力ケーブル104Bの第2入力電線の第1端部は、収容ケース27の入力接点37Bにそれぞれ接続されている。第3入力ケーブル103Bの第2入力電線の第2端部、及び第4入力ケーブル104Bの第2入力電線の第2端部は、パンタグラフ12にそれぞれ接続されている。
【0024】
架線13からパンタグラフ12を介して伝送された単相交流は、第2入力組ケーブル101A,101B及び第1入力組ケーブル29A,29Bを通して電力変換部28に伝送される。
【0025】
本実施形態では、複数の第1出力組ケーブル30として3本の第1出力組ケーブル30A,30B,30Cを有しているが、第1出力組ケーブル30の本数は複数であれば限定されない。
第1出力組ケーブル30Aは、第1出力ケーブル51Aと、第2出力ケーブル52Aと、を有している。同様に、第1出力組ケーブル30Bは、第1出力ケーブル51Bと、第2出力ケーブル52Bと、を有している。第1出力組ケーブル30Cは、第1出力ケーブル51Cと、第2出力ケーブル52Cと、を有している。
【0026】
図3に示すように、第1出力ケーブル51Aは、第1入力ケーブル44Aと同様に構成され、第1出力電線(第1電力伝達部材)54Aと、第1出力絶縁被覆55Aと、を有している。第2出力ケーブル52Aは、第2入力ケーブル45Aと同様に構成され、第1出力電線(第1電力伝達部材)56Aと、第1出力絶縁被覆57Aと、を有している。
図2に示すように、第1出力ケーブル51Aの第1出力電線54Aの第1端部、及び第2出力ケーブル52Aの第1出力電線56Aの第1端部は、収容ケース27の出力接点38Aにそれぞれ接続されている。第1出力ケーブル51Aの第1出力電線54Aの第2端部、及び第2出力ケーブル52Aの第1出力電線56Aの第2端部は、電力変換部28の出力接点41Aにそれぞれ接続されている。
【0027】
同様に、第1出力ケーブル51Bの第1出力電線(第1電力伝達部材)、及び第2出力ケーブル52Bの第1出力電線(第1電力伝達部材)は、収容ケース27の出力接点38B、電力変換部28の出力接点41Bにそれぞれ接続されている。第1出力ケーブル51Cの第1出力電線(第1電力伝達部材)、及び第2出力ケーブル52Cの第1出力電線(第1電力伝達部材)は、収容ケース27の出力接点38C、電力変換部28の出力接点41Cにそれぞれ接続されている。
【0028】
第1出力組ケーブル30A,30B,30Cは、電力変換部28に接続され、電力変換部28により変換された電力を伝送する。
【0029】
収容ケース27の出力接点38Aには、第2出力組ケーブル116Aが接続されている。同様に、収容ケース27の出力接点38Bには、第2出力組ケーブル116Bが接続されている。収容ケース27の出力接点38Cには、第2出力組ケーブル116Cが接続されている。
第2出力組ケーブル116Aは、第3出力ケーブル118Aと、第4出力ケーブル119Aと、を有している。同様に、第2出力組ケーブル116Bは、第3出力ケーブル118Bと、第4出力ケーブル119Bと、を有している。第2出力組ケーブル116Cは、第3出力ケーブル118Cと、第4出力ケーブル119Cと、を有している。
【0030】
図4に示すように、第3出力ケーブル118Aは、第3入力ケーブル103Aと同様に構成され、第2出力電線(第2電力伝達部材)121Aと、第2出力絶縁被覆122Aと、を有している。第4出力ケーブル119Aは、第4入力ケーブル104Aと同様に構成され、第2出力電線(第2電力伝達部材)123Aと、第2出力絶縁被覆124Aと、を有している。
図2に示すように、第3出力ケーブル118Aの第2出力電線121Aの第1端部、及び第4出力ケーブル119Aの第2出力電線123Aの第1端部は、収容ケース27の出力接点38Aにそれぞれ接続されている。第2出力電線121A,123Aは、第1出力電線54A,56Aにおける電力変換部28に接続された第2端部とは異なる第1端部にそれぞれ接続されている。第2出力電線121A,123Aと第1出力電線54A,56Aとは、直列に接続されている。
【0031】
第3出力ケーブル118Aの第2出力電線121Aの第2端部、及び第4出力ケーブル119Aの第2出力電線123Aの第2端部は、モータ22の入力接点22Aにそれぞれ接続されている。
【0032】
同様に、第3出力ケーブル118Bは、第2出力電線(第2電力伝達部材)と、第2出力絶縁被覆と、を有している。第4出力ケーブル119Bは、第2出力電線(第2電力伝達部材)と、第2出力絶縁被覆と、を有している。
第3出力ケーブル118Bの第2出力電線の第1端部、及び第4出力ケーブル119Bの第2出力電線の第1端部は、収容ケース27の出力接点38Bにそれぞれ接続されている。第3出力ケーブル118Bの第2出力電線の第2端部、及び第4出力ケーブル119Bの第2出力電線の第2端部は、モータ22の入力接点22Bにそれぞれ接続されている。
【0033】
第3出力ケーブル118Cは、第2出力電線(第2電力伝達部材)と、第2出力絶縁被覆と、を有している。第4出力ケーブル119Cは、第2出力電線(第2電力伝達部材)と、第2出力絶縁被覆と、を有している。
第3出力ケーブル118Cの第2出力電線の第1端部、及び第4出力ケーブル119Cの第2出力電線の第1端部は、収容ケース27の出力接点38Cにそれぞれ接続されている。第3出力ケーブル118Cの第2出力電線の第2端部、及び第4出力ケーブル119Cの第2出力電線の第2端部は、モータ22の入力接点22Cにそれぞれ接続されている。
【0034】
この例では、温度センサ31には熱電対が用いられている。
図2に示すように、車両用制御装置26は複数の温度センサ31を備えていて、第1入力組ケーブル29A,29B、及び第1出力組ケーブル30A,30B,30Cのそれぞれに対して、温度センサ31である温度センサ31A,31B,31C,31D,31Eがそれぞれ取付けられている。
以下、
図3を用いて第1入力組ケーブル29Aに取付けられる温度センサ31Aについて説明する。温度センサ31Aは、第1入力ケーブル44Aの第1入力絶縁被覆48A、及び第2入力ケーブル45Aの第1入力絶縁被覆50Aにそれぞれ接続されるように、入力ケーブル44A,45Aにバンド等の固定具61で取付けられている。温度センサ31Aは、入力絶縁被覆48A,50Aを介して第1入力電線47A,49Aにそれぞれ接続されている。ただし、温度センサ31Aは、第1入力組ケーブル29Bの第1入力電線には接続されない。本明細書で言う接続するとは、他の部材を介さずに直接接触するように接続されることだけでなく、他の部材を介して間接的に接触するように接続されることも含む意味である。
【0035】
なお、温度センサ31Aは、第1入力絶縁被覆48A,50Aに接触していてもよいし、入力絶縁被覆48A,50Aから離間した位置に配置されてもよい。
同様に、
図2に示すように、温度センサ31Bは、第1入力絶縁被覆を介して第1入力組ケーブル29Bの第1入力電線にそれぞれ接続されている。ただし、温度センサ31Bは、第1入力組ケーブル29Aの第1入力電線47A,49Aには接続されない。
温度センサ31C,31D,31Eは、第1出力組ケーブル30A,30B,30Cにそれぞれ接続されている。各温度センサ31は、検出結果をユニット制御部34及び記憶部33に送る。
【0036】
スピーカ32は、
図1に示すように車体11の運転台15に設けられている。スピーカ32は、音を発することにより運転士(操作者)に警告可能である。スピーカ32は、ユニット制御部34に接続され、ユニット制御部34により制御される。
なお、警告部がスピーカ32であるとした。しかし、警告部はこれに限定されず、運転台15の表示部15bを警告部として用いてもよい。この場合、ユニット制御部34は、表示部15bに文字や図形等の表示をすること等により運転士に警告する。
【0037】
記憶部33は、RAM(Random Access Memory)等で構成されている。記憶部33には、予め定められた第1温度閾値及び第2温度閾値、ユニット制御部34を制御するための制御プログラム等が記憶されている。
第1温度閾値は、急激な温度上昇の程度を表す閾値であり、例えば5℃である。第2温度閾値は、組ケーブル29,30が通常使用されない程度に高い温度を表す閾値であり、例えば約100℃である。
【0038】
ユニット制御部34は、CPU(Central Processing Unit)等で構成されている。ユニット制御部34は、
図1及び
図2に示すように電力変換部28及び記憶部33に接続され、電力変換部28及び記憶部33を制御する。
ユニット制御部34の制御内容については、後述する鉄道車両1の動作で詳しく説明する。
【0039】
図1に示すように、例えば、車両用制御装置26は、支持ケース62に支持された状態で、車体11の下面に固定されている。第2入力組ケーブル101A,101B、及び第2出力組ケーブル116A,116B,116Cは、電線取り63に収容された状態で、車体11の下面に固定されている。
【0040】
次に、以上のように構成された鉄道車両1の動作について説明する。
電力変換部28は、架線13からパンタグラフ12、第2入力組ケーブル101A,101B、及び第1入力組ケーブル29A,29Bを介して伝送された単相交流を3相交流に変換する。
電流検出部28aは、複数の第1入力組ケーブル29を流れる電流の電流値を検出する。電流検出部28bは、複数の第1出力組ケーブル30を流れる電流の電流値を検出する。
電流検出部28a,28bそれぞれは、検出結果を定期的に記憶部33及びユニット制御部34に送信する。記憶部33は、送信された電流値を記憶する。
【0041】
電力変換部28で変換された3相交流は、第1出力組ケーブル30A,30B,30C及び第2出力組ケーブル116A,116B,116Cを通してモータ22に伝送される。モータ22は、各車輪21に駆動力を伝達する。
【0042】
ここで、複数の第1入力組ケーブル29の数をNとする。なお、本実施形態では、Nの値は2である。
複数の第1入力組ケーブル29全体に流れる電流の電流値を、I(A:アンペア)とし、各第1入力組ケーブル29の第1入力電線の抵抗値を、R(Ω:オーム)とする。
複数の第1入力組ケーブル29の第1入力電線がいずれも断線していないとすると、電流はNの第1入力組ケーブル29の第1入力電線に均等に流れる。各第1入力組ケーブル29の第1入力電線に流れる電流の電流値は、(I/N)となる。この場合、各第1入力組ケーブル29による発熱量は、(1)式によるQ01(W:ワットアンペア)となる。
Q01=(I/N)2R=(I2R)/N2 ・・(1)
Nの第1入力組ケーブル29全体の発熱量は、(2)式によるQ0A(W)となる。
Q0A=N×(I2R)/N2=(I2R)/N ・・(2)
【0043】
一方で、Nの第1入力組ケーブル29のうちいずれか1つの第1入力組ケーブル29が断線しているとすると、電流は断線していない(N-1)の第1入力組ケーブル29に均等に流れる。各第1入力組ケーブル29に流れる電流の電流値は、{I/(N-1)}となる。この場合、各第1入力組ケーブル29による発熱量は、(3)式によるQ11(Wとなる。
Q11={(I/(N-1)}2R=(I2R)/(N-1)2 ・・(3)
Nの第1入力組ケーブル29全体の発熱量は、(4)式によるQ1A(W)となる。ただし、断線している1つの第1入力組ケーブル29からは発熱しない。
Q1A=(N-1)×(I2R)/(N-1)2=(I2R)/(N-1) ・・(4)
【0044】
断線前に対する断線後のNの第1入力組ケーブル29全体の発熱量の比(Q1A/Q0A)は、(5)式のようになる。
Q1A/Q0A={(I2R)/(N-1)}/{(I2R)/N}
=N/(N-1) ・・(5)
例えば、本実施形態のように複数の第1入力組ケーブル29の数Nが2の場合には、(6)式から(Q1A/Q0A)は2となる。
2/(2-1)=2 ・・(6)
複数の第1入力組ケーブル29の数Nが3の場合には、(7)式から(Q1A/Q0A)は1.5となる。
3/(3-1)=1.5 ・・(7)
この発熱量の比は、複数の第1出力組ケーブル30等にも同様に適用される。複数の組ケーブル29,30の数Nが少ないほど、いずれか1つの第1入力組ケーブル29が断線した場合の発熱量の比が大きくなる。
【0045】
鉄道車両1の運転を開始してから一定の期間、組ケーブル29,30等が断線せず、記憶部33で記憶された電流検出部28a,28bが検出した電流値が、時間の経過によらずそれぞれ同等であったとする。ここで言う記憶部33で記憶された電流値が時間の経過によらず同等であるとは、例えば電流検出部28aに対して、記憶部33で記憶された電流値の最小値に対する、最大値と最大値との差の比率が、10%以内であることを意味する。この比率は、5%以内であることがより好ましく、3%以内であることがさらに好ましい。電流検出部28bについても同様である。
時間の経過によらずとは、例えば5分である所定の期間のいずれにおいても、の意味である。
【0046】
このとき、例えば第1入力組ケーブル29Aの第1入力電線47Aが断線したとする。複数の第1入力組ケーブル29を流れていた電流は、第1入力組ケーブル29Bに集中して流れる。複数の第1入力組ケーブル29は2本の第1入力組ケーブル29を有していて、電流検出部28aが検出した電流値は時間の経過によらず同等である。このため、第1入力組ケーブル29Bの発熱量が断線前の2倍になり、温度センサ31Bが検出する温度が直前に検出された温度から上昇する。第1入力組ケーブル29Aの発熱量が無くなり、温度センサ31Aが検出する温度が直前に検出された温度から低下する。
【0047】
ユニット制御部34は、温度センサ31Bが検出する温度が直前に検出された温度から第1温度閾値以上上昇したときに、第1入力組ケーブル29Aの第1入力電線47A,49Aの少なくとも一つが断線していると判断する。なお、ユニット制御部34は、温度センサ31Aが検出する温度が直前に検出された温度から第1温度閾値以上低下したときに、第1入力組ケーブル29Aの第1入力電線47A,49Aの少なくとも一つが断線していると判断してもよい。
このとき、ユニット制御部34は、スピーカ32で音を発することにより運転士に警告してもよい。音に気付いた運転士は、例えば鉄道車両1の運転が終了した後で、鉄道車両1の整備を依頼する。
【0048】
整備の担当者(以下、整備士と言う)は、テスタ等により第1入力電線47A,49Aを検査し、第1入力電線47Aが断線しているかを判断する。第1入力電線47Aが断線しているときは、整備士は、第1入力ケーブル44Aを新しい第1入力ケーブル44Aに交換する等の修理をする。
なお、第1出力組ケーブル30A,30B,30Cに対しても、同様の方法により、複数の第1出力電線の少なくとも一つが断線しているか否かを検知することができる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の車両用制御装置26によれば、電流検出部28aが検出した電流値が時間の経過によらず同等であり、温度センサ31Bが検出する温度が直前に検出された温度から第1温度閾値以上上昇したときに、ユニット制御部34は、第1入力組ケーブル29Aの第1入力電線47A,49Aの少なくとも一つが断線していると判断する。これにより、第1入力組ケーブル29A,29Bの複数の第1入力電線の少なくとも一つが断線しているか否かを検知することができる。
温度センサ31Aは、第1入力組ケーブル29Aの第1入力電線47A,49Aにそれぞれ間接的に接続されて、第1入力組ケーブル29Bの第1入力電線には接続されない。従って、温度センサ31Aが第1入力組ケーブル29Bの第1入力電線による影響を受けるのを抑えて、温度センサ31Aにより第1入力電線47A,49Aの温度をより確実に検出することができる。
【0050】
車両用制御装置26が、スピーカ32を備える。このため、第1入力電線47Aが断線していると判断したときに、音を発して運転士に警告することができる。
また、本実施形態の鉄道車両1によれば、第1入力組ケーブル29A,29Bの複数の第1入力電線の少なくとも一つが断線しているか否かを検知することができる車両用制御装置26を用いて鉄道車両1を構成することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、ユニット制御部34は、温度センサ31Aが検出する温度が変化したときに、複数の第1入力電線の少なくとも一つが断線していると判断してもよい。このように構成しても、第1入力電線47A,49Aの少なくとも一つが断線しているか否かを検知することができる。
なお、第1出力組ケーブル30A,30B,30Cに対しても、同様の方法により、複数の第1出力電線の少なくとも一つが断線しているか否かを検知することができる。
【0052】
(第2の実施形態)
次に、電動車両の第2の実施形態について
図1及び
図5を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図1及び
図5に示すように、本実施形態の鉄道車両2は、第1の実施形態の鉄道車両1の車両用制御装置26に代えて、本実施形態の車両用制御装置71を備えている。
【0053】
車両用制御装置71では、車両用制御装置26に対して温度センサ31A~31Eが接続されている位置が異なる。
温度センサ31Aは、第2入力組ケーブル101Aにおいて、第2入力絶縁被覆107A,109Aを介して第2入力電線106A,108Aにそれぞれ接続されている。同様に、温度センサ31Bは、第2入力絶縁被覆を介して第2入力組ケーブル101Bの第2入力電線にそれぞれ接続されている。温度センサ31C,31D,31Eは、第2出力組ケーブル116A,116B,116Cにそれぞれ接続されている。
各温度センサ31は、検出結果をユニット制御部34及び記憶部33に送る。
本実施形態では、ユニット制御部34は第1の実施形態と同様の工程により、第2入力組ケーブル101A,101Bの複数の第2入力電線等が断線しているか否かを検知する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の車両用制御装置71によれば、第2入力組ケーブル101A,101Bの複数の第2入力電線の少なくとも一つが断線しているか否かを検知することができる。そして、第2出力組ケーブル116A,116B,116Cの複数の第2出力電線の少なくとも一つが断線しているか否かを検知することができる。
【0055】
第1及び第2の実施形態の車両用制御装置は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図6に示すように、温度センサ31Aは、入力絶縁被覆48Aを介して第1入力電線47Aに接続され、第1入力電線49Aに接続されないように構成してもよい。第1入力電線49Aが断線したときには、第1入力電線49Aだけでなく第1入力電線47Aにも電流が流れなくなる。このため、温度センサ31Aを固定具61により第1入力ケーブル44Aに取付けるだけでも、第1入力電線47A,49Aの少なくとも一つが断線しているか否かを検出することができる。
【0056】
車両用制御装置26が温度センサ31Bを備えず、
図7に示すように、温度センサ31Aが入力絶縁被覆を介して入力ケーブル44A,45A,44B,45Bの第1入力電線にそれぞれ接続されるように構成してもよい。入力ケーブル44A,45A,44B,45Bは、温度センサ31A周りに等角度ごとに配置されている。
複数の第1入力組ケーブル29の数Nが2であるため、第1入力電線の断線前に比べて断線後は、発熱量が2倍になる。このため、断線後は温度センサ31Aが検出する温度が上昇する。これにより、ユニット制御部34は、入力ケーブル44A,45A,44B,45Bの第1入力電線の少なくとも一つが断線していると判断する。
【0057】
第1電力伝達部材として第1入力電線47A,49A等に代えて、
図8に示す導体76Aを用いてもよい。導体76Aは、絶縁被覆により覆われていない。この場合、温度センサ77Aとしてサーミスタが用いられることが好ましい。
例えば、導体76Aには、雌ネジ部76aAが形成されている。温度センサ77Aには、貫通孔77aAが形成されている。貫通孔77aAに挿入したネジ78Aを雌ネジ部76aAに嵌め合わせると、導体76Aに温度センサ77Aが取付けられる。
以上の変形例は、第2の実施形態も同様である。
【0058】
ユニット制御部34は、第1入力組ケーブル29Aの第1入力電線47A,49Aの少なくとも一つが断線していると判断したときに、電力変換部28による電力の変換を停止してもよい。また、電力変換部28により単位時間当たりに変換される電力の上限値を低くしてもよい。このように構成することにより、車両用制御装置26に損傷がさらに生じるのを抑制することができる。
また、ユニット制御部34は、温度センサ31Aが検出した温度が第2温度閾値を超えたときに、第1入力電線47A,49Aの少なくとも一つが断線していると判断してもよい。このように、温度センサ31Aが検出した温度を、これまで温度センサ31Aにより検出され記憶部33に記憶された温度と比較することをしないで、断線しているか否かの判断をしてもよい。このように構成することで、ユニット制御部34は判断を素早く行うことができる。
【0059】
車両用制御装置は、電流検出部28a,28b、スピーカ32、及び記憶部33を備えなくてもよい。
第1入力組ケーブル29、第1出力組ケーブル30、第2入力組ケーブル101、及び第2出力組ケーブル116はそれぞれ複数であるとした。しかし、第1入力組ケーブル29と第2入力組ケーブル101、第1出力組ケーブル30と第2出力組ケーブル116の一方が単数で、他方が複数であってもよい。この場合、単数の方には温度センサ31は設けられなくてよい。
電動車両が鉄道車両であるとしたが、電動車両はこれに限定されない。電動車両は、電動自動車等でもよい。
【0060】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、温度センサ31及びユニット制御部34を持つことにより、複数の第1入力電線の少なくとも一つが断線しているか否かを検知することができる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0062】
1,2…鉄道車両(電動車両)、26,71…車両用制御装置、28…電力変換部、28a,28b…電流検出部、31,31A,31B,31C,31D,31E,77A…温度センサ、32…スピーカ(警告部)、33…記憶部、34…ユニット制御部(第1制御部)、47A,49A…第1入力電線(第1電力伝達部材)、54A,56A…第1出力電線(第1電力伝達部材)、76…導体(第1電力伝達部材)、106A,108A…第2入力電線(第2電力伝達部材)、121A,123A…第2出力電線(第2電力伝達部材)