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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】包装用箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/02 20060101AFI20220318BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
B65D5/02 J BRP
B65D5/54 Z BSE
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017250877
(22)【出願日】2017-12-27
(65)【公開番号】P2019116292
(43)【公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】391019500
【氏名又は名称】朝日印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】有井 純一
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】実公平07-048505(JP,Y2)
【文献】特開2005-104549(JP,A)
【文献】実開昭61-113269(JP,U)
【文献】実開昭59-193126(JP,U)
【文献】特開2015-199518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00-5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面板、背面板及び2つの側面板が互いに平行な折罫線を介して連接され、前記正面板には、前記連接方向と平行な端縁に外蓋片が正面折罫線を介して延設され、前記背面板には、前記連接方向と平行な端縁に内蓋片が背面折罫線を介して延設され、
組み立て状態で、前記正面板、前記背面板、及び前記2つの側面板により断面矩形の筒状体が形成され、前記筒状体の開口端側に前記内蓋片が倒れ、前記外蓋片が前記内蓋片に重なり、前記外蓋片が前記内蓋片に糊付けされて前記筒状体の開口端が閉鎖されている包装用箱において、
前記外蓋片の内側には、外蓋破断線と外蓋折罫線が設けられ、前記外蓋破断線は、前記正面折罫線の一端から前記外蓋片の対角の一方の先端側角部に達し、前記外蓋折罫線は、前記正面折罫線の他端から前記外蓋片の対角の他方の先端角部に向かって延びており、
前記内蓋片の内側には、前記背面折罫線の一端から斜めに延びる内蓋折罫線が設けられ、
組み立て状態で、前記外蓋片の先端側部分が前記内蓋片に糊付けされ、前記外蓋折罫線が前記内蓋折罫線に重なり、
前記外蓋片の外面を内側に押し込んで前記外蓋破断線を破断させ、前記外蓋破断線の破断した箇所を広げるように前記筒状体の角部を対角方向に押し込むことによって、前記外蓋折罫線と前記内蓋折罫線が内向きに各々折れ曲がり、前記筒状体が平坦に折り畳まれ、前記筒状体の中に前記外蓋片及び前記内蓋片が収容されることを特徴とする包装用箱。
【請求項2】
前記外蓋片の内側には、前記外蓋破断線と第一及び第二外蓋折罫線とが設けられ、前記外蓋破断線は、前記正面折罫線に間隔を空けて対向する主部と、前記主部の一端から鈍角で斜めに突き出て前記正面折罫線の一端に達する第一斜部と、前記主部の他端から鈍角で斜めに突き出て前記外蓋片の一方の先端側角部に達する第二斜部とを有し、前記第一外蓋折罫線は、前記主部の前記一端から鈍角で斜めに突き出て前記外蓋片の他方の先端角部に向かって延びており、前記第二外蓋折罫線は、前記主部の前記他端から鈍角で斜めに突き出て前記正面折罫線の他端に向けて延びており、
組み立て状態で、前記外蓋片の、前記主部と前記第一及び第二斜部より先端側部分が前記内蓋片に糊付けされ、前記第一外蓋折罫線が前記内蓋折罫線に重なり、
前記外蓋片の外面を内側に押し込んで前記外蓋破断線を破断させ、前記外蓋破断線の破断した箇所を広げるように、前記外蓋片の前記外蓋破断線の両端が位置した対角どうしを互いに近づけるよう前記筒状体の角部を対角方向に押し込むことによって、前記第一及び第二外蓋折罫線と前記内蓋折罫線が内向きに各々折れ曲がり、前記筒状体が平坦に折り畳まれ、前記筒状体の中に前記外蓋片及び前記内蓋片が収容される請求項1記載の包装用箱。
【請求項3】
組み立て状態で、前記外蓋片の前記主部は、前記筒状体の開口を前記正面折罫線と平行に2分割する位置に配置され、前記第一斜部、前記第二斜部、前記第一外蓋折罫線及び第二外蓋折罫線は、前記主部から135度の角度で斜めに突き出ている請求項2記載の包装用箱。
【請求項4】
前記2つの側面板には、前記連接方向と平行な端縁にサイドフラップが側面折罫線を介して各々延設され、
組み立て状態で、2つの前記サイドフラップは、前記筒状体の開口端側に倒れて前記内蓋片の内面に重なり、前記第一斜部が対向する方の前記サイドフラップは、前記背面板に近い側の端縁が、当該サイドフラップの先端に近くなるほど前記背面板から離れるように傾斜し、前記第二斜部が対向する方の前記サイドフラップは、前記正面板に近い側の端縁が、当該サイドフラップの先端に近くなるほど前記正面板から離れるように傾斜し、
前記筒状体が平坦に折り畳まれると、前記筒状体の中に2つの前記サイドフラップが収容される請求項2又は3記載の包装用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、廃棄時に使用される解体用の破断線が設けられている易廃棄機能付きの包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品を収容して搬送し店頭に陳列等するための包装用箱として、一枚の箱体形成片を立体的に組み立てたシールエンドカートン型の包装用箱が使用されている。
【0003】
従来、例えば特許文献1に開示されているように、筒状体(角筒状の周壁)を形成する正面板、一対の側面板及び背面板を有し、背面板の下端に中底板が延設され、正面板の下端に外底板が延設され、一対の側面板の下端に内底フラップが各々延設され、筒状体の開口を塞ぐように一対の内底フラップを倒し、内底板を内底フラップに重ね、外底板を内底板に重ねて糊付けし、筒状体の開口を閉鎖したシールエンドカートンが開示されている。このシールエンドカートンは、外底板の基部両端間に解体用の切目線が入れられ、一対の内底フラップには、中底板の基部寄りの部分に角部から斜め方向に延びる谷折線が入れられている。
【0004】
このシールエンドカートンは、廃棄に際し、天面が開口した状態で、正面板と背面板を互いに接近する方向へ押圧しつつ、左右いずれかの方向にずらして押し潰す操作を行うことによって、解体用の切目線が切断され、谷折線に沿って内底フラップが折れ曲がり、嵩張らない折り畳み状態に解体することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-193760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のシールエンドカートンは、解体して折り畳むと、外底板、内底板及び内底フラップが筒状体の下端から外に飛び出した状態になるため、廃棄する箱体が嵩張り、よりコンパクトな折り畳み状態で廃棄可能な包装用箱が求められていた。
【0007】
この発明は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、簡単な操作でコンパクトな折り畳み状態に解体することができる包装用箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、一枚の箱体形成片から成り、前記箱体形成片には、正面板、背面板及び2つの側面板が互いに平行な折罫線を介して連接され、前記正面板には、前記連接方向と平行な端縁に外蓋片が正面折罫線を介して延設され、前記背面板には、前記連接方向と平行な端縁に内蓋片が背面折罫線を介して延設され、組み立て状態で、前記正面板、前記背面板、及び前記2つの側面板により断面矩形の筒状体が形成され、前記筒状体の開口端側に前記内蓋片が倒れ、前記外蓋片が前記内蓋片に重なり、前記外蓋片が前記内蓋片に糊付けされて前記筒状体の開口端が閉鎖されている包装用箱であって、前記外蓋片の内側には、外蓋破断線と外蓋折罫線が設けられ、前記外蓋破断線は、前記正面折罫線の一端から前記外蓋片の対角の一方の先端側角部に達し、前記外蓋折罫線は、前記正面折罫線の他端から前記外蓋片の対角の他方の先端角部に向かって延びており、前記内蓋片の内側には、前記背面折罫線の一端から斜めに延びる内蓋折罫線が設けられ、組み立て状態で、前記外蓋片の先端側部分が前記内蓋片に糊付けされ、前記外蓋折罫線が前記内蓋折罫線に重なり、前記外蓋片の外面を内側に押し込んで前記外蓋破断線を破断させ、前記外蓋破断線の破断した箇所を広げるように前記筒状体の角部を対角方向に押し込むことによって、前記外蓋折罫線と前記内蓋折罫線が内向きに各々折れ曲がり、前記筒状体が平坦に折り畳まれ、前記筒状体の中に前記外蓋片及び前記内蓋片が収容される包装用箱である。
【0009】
特に、前記外蓋片の内側には、外蓋破断線と第一及び第二外蓋折罫線とが設けられ、前記外蓋破断線は、前記正面折罫線に間隔を空けて対向する主部と、前記主部の一端から鈍角で斜めに突き出て前記正面折罫線の一端に達する第一斜部と、前記主部の他端から鈍角で斜めに突き出て前記外蓋片の一方の先端側角部に達する第二斜部とを有し、前記第一外蓋折罫線は、前記主部の前記一端から鈍角で斜めに突き出て前記外蓋片の他方の先端角部に向かって延びており、前記第二外蓋折罫線は、前記主部の前記他端から鈍角で斜めに突き出て前記正面折罫線の他端に向けて延びており、前記内蓋片の内側には、前記背面折罫線の一端から斜めに延びる内蓋折罫線が設けられているものである。そして、組み立て状態で、前記外蓋片の、前記主部と前記第一及び第二斜部より先端側部分が前記内蓋片に糊付けされ、前記第一外蓋折罫線が前記内蓋折罫線に重なり、前記外蓋片の外面を内側に押し込んで前記外蓋破断線を破断させ、前記外蓋破断線の破断した箇所を広げるように、前記外蓋片の前記外蓋破断線の両端が位置した対角どうしを互いに近づけるよう前記筒状体の角部を対角方向に押し込むことによって、前記第一及び第二外蓋折罫線と前記内蓋折罫線が内向きに各々折れ曲がり、前記筒状体が平坦に折り畳まれ、前記筒状体の中に前記外蓋片及び前記内蓋片が収容される。
【0010】
また、組み立て状態で、前記外蓋片の前記主部は、前記筒状体の開口を前記正面折罫線と平行に2分割する位置に配置され、前記第一斜部、前記第二斜部、前記第一外蓋折罫線及び第二外蓋折罫線は、前記主部から135度の角度で斜めに突き出ている構成であることが好ましい。
【0011】
前記2つの側面板には、前記連接方向と平行な端縁にサイドフラップが側面折罫線を介して各々延設され、組み立て状態で、2つの前記サイドフラップは、前記筒状体の開口端側に倒れて前記内蓋片の内面に重なり、前記第一斜部が対向する方の前記サイドフラップは、前記背面板に近い側の端縁が、当該サイドフラップの先端に近くなるほど前記背面板から離れるように傾斜し、前記第二斜部が対向する方の前記サイドフラップは、前記正面板に近い側の端縁が、当該サイドフラップの先端に近くなるほど前記正面板から離れるように傾斜し、前記筒状体が平坦に折り畳まれると、前記筒状体の中に2つの前記サイドフラップが収容される構成にしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
この発明の包装用箱は、簡単な操作でフラップ等の突出が少なく、コンパクトな折り畳み状態に解体することができ、使用後の廃棄処理が容易なものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の一実施形態の包装用箱を形成する箱体形成片を表面側から見た展開図である。
図2】この実施形態の包装用箱の組み立て状態を示す図であって、この包装用箱を底面側から見た斜視図(a)、天面側から見た斜視図(b)である。
図3図2(a)の底面を構成している外蓋片及び内蓋片を示す拡大図である。
図4】この実施形態の包装用箱の底面を解体する操作を示す図(a)、(b)である。
図5】この実施形態の包装用箱を解体した後の折り畳み状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の包装用箱の一実施形態について、図面に基づいて説明する。この発明の一実施形態の包装用箱10は、図2(a)、(b)に示すように、矩形の筒状体の両端部(天面側及び底面側)が各々閉鎖されたシールエンドカートン型の箱体であり、図1に示す箱体形成片12を組み立てて形成される。
【0015】
箱体形成片12は、厚紙等の一枚のブランクシートを打ち抜いて形成され、第一の側面板14、正面板16、第二の側面板18、背面板20が順に連接されている。さらに、背面板20の側方には、組み立て状態で第一の側面板14の裏面側に対向して糊付される糊付け片22が連接されている。第一の側面板14及び第二の側面板18の連接方向長さは短くて互いにほぼ等しく、正面板16及び背面板20の連接方向長さは長くて互いにほぼ等しい。第一の側面板14、正面板16、第二の側面板18、背面板20、糊付け片22は、各々折罫線24,26,28,30で区切られている。
【0016】
正面板16の底面側の端部には、略矩形の外蓋片32が延設され、正面折罫線34で正面板16と区切られている。外蓋片32の延設長さは、第一の側面板14の連接方向長さと同じか僅かに短い。さらに、外蓋片32の内側には、外蓋破断線36と第一及び第二外蓋折罫線38,40とが設けられている。
【0017】
外蓋破断線36は、正面折罫線34に間隔を空けて対向する主部36aと、主部36aの一端から鈍角で斜めに突き出て正面折罫線34の一端に達する第一斜部36bと、主部36aの他端から鈍角で斜めに突き出て外蓋片32の一方の先端側角部に達する第二斜部36cとで構成されている。第一外蓋折罫線38は、主部36aの一端(第一斜部36b側の一端)から鈍角で斜めに突き出て外蓋片32の他方の先端角部に向かって延びており、第二外蓋折罫線40は、主部36aの他端(第二斜部36c側の一端)から鈍角で斜めに突き出て正面折罫線34の他端に向けて延びている。
【0018】
また、正面板16の天面側の端部にも、外蓋片32とほぼ同外形の外蓋片42が延設され、折罫線44で正面板16と区切られている。
【0019】
正面板16の天面側の端部には、開封用破断線46が設けられている。開封用破断線46は、その両端部が折罫線44の両端部と重なり、中央部が正面板16内に入るように台形状に形成されている。開封用破断線46と折罫線44で囲まれた部分は、組み立て状態の包装用箱10を開封する時に押圧する押圧部48となる。
【0020】
背面板20の底面側の端部には、略矩形の内蓋片50が延設され、背面折罫線52で背面板20と区切られている。内蓋片50の延設長さは、第一の側面板14の連接方向長さの約4/5で、外蓋片32よりも少し短い。内蓋片50の内側には、背面折罫線32の一端(第二の側面板18側の一端)から斜めに延びる内蓋折罫線54が設けられ、内蓋片50が本体部50aと角部50bに区切られている。背面板20の天面側の端部にも、内蓋片50とほぼ同外形の内蓋片56が延設され、折罫線58で背面板20と区切られている。
【0021】
第一の側面板14の底面側の端部にはサイドフラップ60が延設され、側面折罫線62で第一の側面板14と区切られている。サイドフラップ60の延設長さは、正面板16の連接方向長さの1/2よりも少し短い。サイドフラップ60の外蓋片32側の端縁60aは、サイドフラップ60の先端に近くなるほど外蓋片32から離れるように傾斜している。第一の側面板14の天面側の端部にも、台形状のサイドフラップ64が延設され、折罫線66で第一の側面板14と区切られている。サイドフラップ64の延設長さは、サイドフラップ60とほぼ同じである。
【0022】
第二の側面板18の底面側の端部にはサイドフラップ68が延設され、側面折罫線70で第二の側面板18と区切られている。サイドフラップ68の延設長さは、正面板16の連接方向長さの1/2よりも少し短い。サイドフラップ68の内蓋片50側の端縁68aは、サイドフラップ68の先端に近くなるほど内蓋片50から離れるように傾斜している。第二の側面板18の天面側の端部にも、台形状のサイドフラップ72が延設され、折罫線74で第二の側面板18と区切られている。サイドフラップ72の延設長さは、サイドフラップ68とほぼ同じである。
【0023】
次に、箱体形成片12の組み立て方法の一例を説明する。図1は箱体形成片12を表面側から見たものであり、以下、箱体形成片12の表面側が凸になる折り方を正折り、裏面側が凸になる折り方を逆折りと称する。
【0024】
まず、糊付け片22の表面に糊を塗布し、折罫線28を正折りし、さらに折罫線24を正折りして糊付け片22の表面と第一の側面板14の裏面を糊付けする。箱体形成片12は、この折り畳み状態で包装用箱10の製造工場から出荷される。
【0025】
次に、商品を収容し包装する工場等において、折罫線24,26,28,30を各々90度になるように正折りし、四角形の筒状体76を形成する。そして、底面側のサイドフラップ60,68を各々側面折罫線62,70で90度に正折りし、内蓋片50を背面折罫線52で90度に正折りし、外蓋片32の裏面の、主部36aと第二斜部36cと第一外蓋折罫線38とで囲まれた部分に糊を塗布した後、外蓋片32を正面折罫線34で90度に正折りし、外蓋片32を内蓋片50に重ねて糊付けする。この作業により、筒状体76の底面側の端部が閉鎖される。この後、商品を筒状体76の天面側の開放している端部から内側に挿入する。
【0026】
この後、天面側のサイドフラップ64,72を各々折罫線66,74で90度に正折りし、内蓋片56を折罫線58で90度に正折りし、外蓋片42の裏面に糊78を塗布した後、外蓋片42を折罫線44で90度に正折りし、外蓋片42を内蓋片56に重ねて糊付けする。この作業により、筒状体76の天面側の端部も閉鎖されて図2(a)、(b)に示す組み立て状態となり、商品の包装作業が終了する。
【0027】
なお、商品を収容する順序は、上記以外に、先に上述のように天面側の外蓋片42を内蓋片56に糊付けして閉鎖し、底面側から商品を収容した後、底面側を上述のように閉鎖してもよい。
【0028】
組み立て状態では、図3に示すように、底面側の外蓋片32の第一外蓋折罫線38が内蓋片50の内蓋折罫線54にほぼ重なる。また、図3には示していないが、外蓋片32の、第一斜部36bが形成された領域にサイドフラップ68が対向し、サイドフラップ68の端縁68aは、サイドフラップ68の先端に近くなるほど背面板20から離れるように傾斜して配置される。また、外蓋片32の、第二斜部36cが形成された領域にサイドフラップ60が対向し、サイドフラップ60の端縁60aは、サイドフラップ60の先端に近くなるほど正面板16から離れるように傾斜して配置される。
【0029】
包装用箱10の天面側を開封して商品を取り出す操作は、以下のように行う。まず、正面板16の押圧部48を指で押し込んで開封用破断線46を破断させ、押圧部48に指を掛けたまま上方に引き上げて内蓋片56及び外蓋片42を開く。このとき、押圧部48は折罫線44を介して外蓋片42と連続し、且つ、外蓋片42が内蓋片56に糊付されているので、筒状体76から分離する部分がなく、ゴミ等は生じない。そしてサイドフラップ64,72を引き上げると、筒状体76の天面側の端部が開放し、中の商品を取り出すことができる。
【0030】
使用後、包装用箱10を廃棄する時は、筒状体76の天面側を開放した状態で、底面側を解体する。まず、外蓋片32の外面の中央部を内側に少し押し込んで外蓋破断線36の一部又は全部を破断させ、破断した箇所を広げるように筒状体76の角部を押し込む。例えば、図4(a)に示すように、折罫線26の角部と折罫線30の角部に指を掛け、この角部同士を近づけるように押圧するとよい。すると、外蓋破断線36の全部が確実に破断し、破断折罫線28の角部から延びている第一外蓋折罫線38と内蓋折罫線54が同時に逆折りされ、折罫線24の角部から延びている第二外蓋折罫線40が逆折りされる。
【0031】
このとき、サイドフラップ68は、内蓋片50の角部56bに押されて側面折罫線70で深く正折りされ、サイドフラップ60も内蓋片50の本体部50a及び外蓋片32の一部に押されて側面折罫線62で深く正折りされる。また、サイドフラップ68には傾斜した端縁68aが設けてあるので、第二の側面板18が背面板20に折り重なる動作を妨げず、サイドフラップ60にも傾斜した端縁60aが設けてあるので、第一の側面板14が正面板16に折り重なる動作を妨げない。そして、図4(b)と図5に示すように筒状体76がほぼ平坦に折り畳まれ、筒状体76の中に外蓋片32、内蓋片50及びサイドフラップ60,68が収容される。
【0032】
底面側を解体する操作がスムーズに行われるようにするためには、組み立て状態で、外蓋片32の主部32aは、筒状体76の開口を正面折罫線34と平行に2分割する位置に配置されるように配置され、第一斜部36b、第二斜部36c、第一外蓋折罫線38及び第二外蓋折罫線40は、主部36aから135度の角度で斜めに突き出ていることが好ましい。このような構造にすることによって、解体の操作がスムーズになるだけでなく、筒状体76が平坦に折り畳まれた状態で、外蓋片32及び内蓋片50が筒状体76の中に綺麗に収容される。
【0033】
以上説明したように、包装用箱10は、非常にコンパクトな折り畳み状態に解体することができ、解体の操作も簡単なので、使用後の廃棄が容易である。
【0034】
なお、この発明の包装用箱は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、外蓋片32と内蓋片50の糊付けは、外蓋片32の先端側部分が内蓋片50に糊付けされていればよく、外蓋破断線36の主部36aと第一及び第二斜部36b,36cより先端側部分が内蓋片50に糊付けされているとよい。さらに、主部36aと第二斜部36c及び第一外蓋折罫線38で囲まれた部分が内蓋片50に糊付けされていると、押し込みやすく操作性が良い。その他、上記外蓋片32の構造(外形、外蓋破断線36のレイアウト、第一及び第二外蓋折罫線38,40のレイアウト等)は一例であり、上述した解体操作によって支障なく折り畳むことができれば、上記と異なる構造に変更してもよい。上記サイドフラップ60,68の端縁60a.68aの形状についても同様である。
【0035】
また、筒状体の4つの面は、どの面を正面板及び背面板にしてもよい。この発明では、正面折罫線を介して外蓋片が延設された面を正面板と定義しているが、この正面板は、箱体の表示上又は展示上の正面である必要はない。その他、箱体の大きさ、素材、各部材の形状等は適宜変更可能である。また、天面側を閉鎖する構造は、用途に合わせて自由に変更することができる。
【符号の説明】
【0036】
10 包装用箱
12 箱体形成片
14 第一の側面板
16 正面板
18 第二の側面板
20 背面板
32 外蓋片(底面側)
34 正面折罫線
36 外蓋破断線
36a 主部
36b 第一斜部
36c 第二斜部
38 第一外蓋折罫線
40 第二外蓋折罫線
50 内蓋片(底面側)
52 背面折罫線
54 内蓋折罫線
60,68 サイドフラップ(底面側)
60a,68a 端縁
62,70 側面折罫線
76 筒状体
78 糊
図1
図2
図3
図4
図5