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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】点検支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20220318BHJP
   G06Q 10/04 20120101ALI20220318BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20220318BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G06Q10/04
G06Q50/08
G05B23/02 T
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017254039
(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2019121052
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】512105598
【氏名又は名称】日立建機日本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】草木 貴巳
(72)【発明者】
【氏名】金野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】竹田 登志也
(72)【発明者】
【氏名】猪瀬 聡志
(72)【発明者】
【氏名】熊坂 増高
(72)【発明者】
【氏名】奥村 崇
(72)【発明者】
【氏名】藤島 一雄
【審査官】竹下 翔平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-374583(JP,A)
【文献】特開2012-233336(JP,A)
【文献】特開2000-259729(JP,A)
【文献】特開2004-272375(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0084613(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、サービス員が携帯する携帯端末と、を備える点検支援システムであって、
前記サーバは、
複数の作業機械から取得した稼働データと前記作業機械の修理履歴とに基づいて、特定の作業機械に関する部位毎の予め定めた複数の将来時点での故障確率を算出し、
前記携帯端末からの要求に応じて前記故障確率に関するデータを前記携帯端末に送信し、
前記故障確率を算出する際、前記特定の作業機械の部位のうち修理直後の部位に関しては、前記故障確率を算出する対象から外すこと
を特徴とする点検支援システム。
【請求項2】
請求項1記載の点検支援システムにおいて、
前記携帯端末は、前記故障確率を算出する特定の作業機械に関する情報を入力する入力受付部を備え、
前記サーバから送信されてきた前記特定の作業機械に関する部位毎の予め定めた複数の将来時点での故障確率を表示すること
を特徴とする点検支援システム。
【請求項3】
請求項1記載の点検支援システムであって、
前記サーバは、前記故障確率を算出するために、前記稼働データと前記複数の作業機械の部位毎の複数の過去時点の前記修理履歴とから、当該部位毎の前記複数の将来時点の故障確率算出関数を算出し、前記故障確率算出関数に前記特定の作業機械の稼働データを適用して前記故障確率を算出すること
を特徴とする点検支援システム。
【請求項4】
請求項2記載の点検支援システムであって、
前記携帯端末は、前記特定の作業機械に関する前記部位毎の前記複数の将来時点での故障確率を、前記部位および前記複数の将来時点のいずれか一方を行方向に、他方を列方向に配列した表形式で、前記複数の将来時点の中の1の将来時点の故障確率でソートして表示すること
を特徴とする点検支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械等、数多くの部品(部位)から構成される機械の、保守点検を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
数多くの部位から構成される機械の保守点検手法として、故障しやすい部位から交換する状態基準保全の手法がある。状態基準保全においては、各部位の故障確率の算出が必須である。部位の故障確率を求める従来技術として、例えば、特許文献1に、「機材種毎に設定した故障確率分布又は性能劣化確率分布の少なくとも1つに従って機材交換数を設定し,該確率分布と稼働状況又は機材状態の少なくとも1つから機材交換優先度を設定し,該機材交換優先度に従って該機材交換数分の機材をリスト化する(要約抜粋)。」技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/029150号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術は、保守作業(点検)時の情報、機材種毎の故障確率分布、保守履歴情報等に基づいて、故障確率を求め、保守計画を立てるものである。しかしながら、この技術で得られる故障確率は、点検時のものである。一方、建設機械を用いる工事では、工期が長期にわたるものも多い。このような工事では、点検時では故障確率が低くても、工事期間中に機械に故障が発生することもあり得る。工事期間中に機械に故障が発生すると、代替の機械が必要となり、このための手間と費用が発生する。また、代替の機械が用意できないと、工期に遅れが生じることもあり得る。
【0005】
従って、工期の長い工事では、保守計画を立案するためには、工事期間中(将来)の諸時点での故障確率が必須である。しかしながら、特許文献1に開示の技術では、このような故障確率を提供していないため、保守点検を十分支援できない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、多数の部位から構成される機械の保守作業において、工期の長短によらず、適切な保守計画の立案を支援可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、サーバと、サービス員が携帯する携帯端末と、を備える点検支援システムであって、前記サーバは、複数の作業機械から取得した稼働データと前記作業機械の修理履歴とに基づいて、特定の作業機械に関する部位毎の予め定めた複数の将来時点での故障確率を算出し、前記携帯端末からの要求に応じて前記故障確率に関するデータを前記携帯端末に送信し、前記故障確率を算出する際、前記特定の作業機械の部位のうち修理直後の部位に関しては、前記故障確率を算出する対象から外すことを特徴とする点検支援システムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、工期の長短によらず、適切な保守計画を立案できる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の点検支援システムの全体図である。
図2】(a)は、本発明の実施形態の管理サーバの機能ブロック図であり、(b)は、同ハードウェア構成図である。
図3】(a)は、本発明の実施形態の部位マスタの一例を、(b)は、本発明の実施形態の予測対象マスタの一例を、それぞれ説明するための説明図である。
図4】(a)は、本発明の実施形態の稼働データの一例を、(b)は、本発明の実施形態の修理履歴データの一例を、それぞれ説明するための説明図である。
図5】本発明の実施形態の点検結果データの一例を説明するための説明図である。
図6】(a)は、本発明の実施形態の携帯端末の機能ブロック図であり、(b)は、同ハードウェア構成図である。
図7】本発明の実施形態の故障確率予測処理のフローチャートである。
図8】(a)は、本発明の実施形態の故障確率関数生成部が用いるデータを、(b)は、本発明の実施形態の故障確率算出部が用いるデータを、それぞれ説明するための説明図である。
図9】本発明の実施形態の故障確率関数生成処理のフローチャートである。
図10】(a)および(b)は、本発明の実施形態の故障確率関数生成時に用いる稼働データを説明するための説明図であり、(c)は、本発明の実施形態の故障確率関数作成の概要を説明するための説明図である。
図11】本発明の実施形態の中間テーブル作成処理のフローチャートである。
図12】本発明の実施形態の中間テーブルの一例を説明するための説明図である。
図13】本発明の実施形態の部位毎の学習用データの一例を説明するための説明図である。
図14】(a)~(d)は、本発明の実施形態の関数データ(重心テーブル)生成処理を説明するための説明図である。
図15】本発明の実施形態の故障確率算出処理のフローチャートである。
図16】(a)は、本発明の実施形態の予測用中間テーブルの一例を、(b)は、部位毎の予測用データの一例を、それぞれ説明するための説明図である。
図17】(a)~(d)は、本発明の実施形態の故障確率算出処理を説明するための説明図である。
図18】本発明の実施形態の故障確率データの一例を説明するための説明図である。
図19】本発明の実施形態の点検処理のフローチャートである。
図20】(a)は、本発明の実施形態の初期表示画面の一例を、(b)は、同号機選択画面の一例を、(c)は、同故障確率点検結果画面の一例を、それぞれ説明するための説明図である。
図21】(a)は、本発明の実施形態の故障確率点検結果画面の一例であって、サービス員が点検結果を入力後の例を説明するための説明図であり、(b)は、本発明の実施形態の、更新後の点検データの一例を説明するための説明図である。
図22】(a)~(c)は、本発明の実施形態の、サービス員が入力した点検結果により修理履歴データおよび予測対象マスタが更新される様子を説明するための説明図である。
図23】本発明の実施形態の、予測対象マスタ更新後の故障確率点検結果画面の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一又は関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施形態では、特に必要なとき以外は同一又は同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0011】
また、以下の各実施形態では、保守点検対象の機械として、油圧ショベルを例に挙げて説明する。しかしながら、対象とする機械は、油圧ショベルに限定されない。ホイールローダーやその他の作業機械(建設機械)にも適用することができる。
【0012】
本発明の実施形態を説明する。まず、図1を用いて、本実施形態の点検支援システム100の概要を説明する。
【0013】
本実施形態では、管理サーバ200において、複数の油圧ショベル120の稼働データやメンテナンス情報(修理履歴、点検結果等)を管理する。そして、これらの情報を用いて、所定の時間間隔で、故障確率予測対象の油圧ショベル(以下、特定の油圧ショベルという)120Aを構成する各部品(部位)の、予め定めた複数の将来時点での故障確率を算出する。なお、本実施形態においては、油圧ショベル120は後述の学習用データとして稼働データやメンテナンス情報を採取するための油圧ショベル、特定の油圧ショベル120Aは故障確率予測対象の油圧ショベルとして区別する。
【0014】
管理サーバ200は、サービス員310が携帯する携帯端末300から故障確率送信要求を受け取ると、管理サーバ200が管理する特定の油圧ショベル120Aの各部位の、複数の将来時点での故障確率を、要求元の携帯端末300に送信する。
【0015】
携帯端末300では、受信した複数の将来時点での故障確率を記憶部に保存する。サービス員310から点検対象の特定の油圧ショベル120Aが指示されると、当該特定の油圧ショベル120Aと同じ機種の油圧ショベル120の稼働データ等から特定の油圧ショベル120Aの各部位の、複数の将来時点での故障確率を、時系列に携帯端末300の表示部に表示する。表示内容は、例えば、顧客に提示し、修理の提案等に用いることができる。
【0016】
また、サービス員310は、特定の油圧ショベル120Aの点検結果を、携帯端末300を介して入力する。携帯端末300では、入力された点検結果を受け付け、管理サーバ200に送信する。管理サーバ200では、受信した点検結果をメンテナンス情報に反映する。点検結果は、次の故障確率の算出に反映される。
【0017】
なお、管理サーバ200が管理する特定の油圧ショベル120Aの台数は限定されない。また、以下、本明細書では、故障確率を算出する複数の将来時点を、将来時点、と呼ぶ。
【0018】
以下、上記処理を実現する各構成について説明する。
【0019】
[管理サーバ]
本実施形態の管理サーバ200は、上述のように、管理対象の油圧ショベル120の稼働データやメンテナンス情報等を収集し、一元管理する。特に、本実施形態では、管理対象の全ての油圧ショベル120の稼働データやメンテナンス情報等から、特定の油圧ショベル120Aの各部位(部品)の故障確率を算出し、サービス員310が携帯する携帯端末300に提供する。
【0020】
これを実現するため、本実施形態の管理サーバ200は、図2(a)に示すように、入力受付部211と、送受信部212と、データ収集部213と、故障確率関数生成部214と、故障確率算出部215と、点検結果管理部216と、データ記憶部217と、を備える。
【0021】
データ記憶部217には、管理サーバ200の処理を実現する各種のデータが保持される。本実施形態では、例えば、部位マスタ220と、予測対象マスタ230と、稼働データ240と、修理履歴データ250と、関数データ260と、故障確率データ270と、点検結果データ280と、中間データ290と、が保持される。各データの詳細については、後述する。
【0022】
入力受付部211は、システム管理者等、管理サーバ200のユーザからの入力を受け付ける。本実施形態では、例えば、部位マスタ220、予測対象マスタ230の登録を受け付ける。
【0023】
送受信部212は、管理サーバ200が備える後述する通信I/Fを制御し、外部装置とのデータの送受信を行う。特に、本実施形態では、各油圧ショベル120から送信されるセンサ情報、携帯端末300から送信される各種の要求や点検結果等を受信する。また、携帯端末300に故障確率データ270等を送信する。
【0024】
データ収集部213は、稼働データ240を収集する。本実施形態では、送受信部212を介して受信した、各油圧ショベル120のセンサ情報を収集し、稼働データ240としてデータ記憶部217に蓄積する。
【0025】
故障確率関数生成部214は、データ記憶部217に格納される各種のデータを用いて、所定の将来時点での故障確率を算出する故障確率算出関数(以下、単に故障確率関数と呼ぶ。)を生成する。生成した故障確率関数のパラメータは、関数データ260としてデータ記憶部217に保持される。
【0026】
故障確率算出部215は、所定の時間間隔で、故障確率関数を用いて、特定の油圧ショベル120Aの各部位の故障確率を算出する。本実施形態では、予め定めた複数の将来時点での故障確率を算出する。算出された将来時点毎の故障確率は、算出時刻に対応づけて、故障確率データ270としてデータ記憶部217に保持される。
【0027】
将来時点としては、例えば、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後等が設定される。将来時点は、固定であってもよいし、管理サーバ200のユーザ(管理者)、サービス員310、顧客等により変更可能であってもよい。また、顧客毎、工事毎、あるいは、特定の油圧ショベル120Aの号機毎に、異なる値が設定されてもよい。
【0028】
点検結果管理部216は、過去の点検結果を管理する。本実施形態では、後述するように、サービス員による点検結果は、点検結果データ280として管理される。点検結果管理部216は、携帯端末300からの要求に応じて、サービス員により実施された点検結果を送信する。また、携帯端末300から点検結果を受信すると、受信した内容を点検結果データ280に反映し、点検結果データ280を更新する。さらに、受信した点検結果を用いて、予測対象マスタ230および修理履歴データ250も更新する。点検結果管理部216の処理の詳細は、後述する。
【0029】
[データ]
次に、データ記憶部217に格納される各データの詳細を説明する。
【0030】
部位マスタ220には、各油圧ショベル120、および、特定の油圧ショベル120Aの構成部位が登録される。部位マスタ220の一例を図3(a)に示す。本図に示すように、本実施形態の部位マスタ220には、号機221に対応づけて、部位(部位の名称)222が登録される。号機221は、油圧ショベル120、および特定の油圧ショベル120Aを一意に識別可能な識別情報である。部位マスタ220は、予め、管理サーバ200の管理者等により登録される。
【0031】
予測対象マスタ230には、部位マスタ220に登録される部位222のうち、複数の将来時点での故障確率を予測(算出)する対象の部位が格納される。予測対象マスタ230の一例を図3(b)に示す。予測対象マスタ230は、点検対象の特定の油圧ショベル120Aについて作成される。本図に示すように、予測対象マスタ230には、号機231に対応づけて、予測対象の部位232が登録される。予測対象マスタ230は、予め、管理サーバ200の管理者等により、登録される。なお、後述するように、修理を行った部位232は、修理直後は予測対象外となり、削除される。
【0032】
稼働データ240は、各油圧ショベル120に取り付けられたセンサから送られるセンサ信号から取得される情報(センサ情報)のデータである。図4(a)は、本実施形態の稼働データ240の一例である。本図に示すように、稼働データ240として、号機241に対応づけて、センサ情報243と、その取得日242とが登録される。
【0033】
このセンサ情報243は、油圧ショベル120の稼働状況を示す指標となるデータであり、例えば、旋回時間、稼働時間、燃費、パイロット圧、ポンプ圧、作動油温度、エンジン回転数、アワメータ等がある。以下、本明細書では、センサ情報243として、旋回時間と稼働時間との2つを例に挙げ、説明する。
【0034】
センサ情報243は、所定の時間間隔で送受信部212が受信したセンサ信号からデータ収集部213が取得し、稼働データ240に生成されて蓄積される。稼働データ240は、図4(a)に示すように、例えば、号機毎に、日単位で、時系列に蓄積される。
【0035】
修理履歴データ250は、各部位の、修理履歴のデータである。修理履歴データ250は、図4(b)に示すように、号機251毎に、修理された部位252が、修理日である最終点検日253および故障日254に対応づけて登録される。修理履歴データ250は、点検結果管理部216が、携帯端末300を介して送信されたデータから必要な情報を抽出して登録する。修理履歴は、例えば、サービス員310が、現場で点検を行い、携帯端末300を介して入力する。
【0036】
なお、故障日254が不明な場合には、故障日254自体、登録されなくてもよい。
【0037】
点検結果データ280は、特定の油圧ショベル120Aの各部位の点検結果のデータである。図5に、本実施形態の点検結果データ280の一例を示す。本図に示すように、点検結果データ280は、号機281毎に、各部位282の点検結果を格納する。点検結果として、例えば、故障の有無を示す情報(故障)284と、修理を行ったか否かを示す情報(修理)285と、故障した場合、その故障日286が格納される。これらの点検結果は、直近の点検を行った日付(最終点検日)283とともに、格納される。
【0038】
中間データ290は、処理の途中で作成される各種のデータである。なお、詳細は、後述する。
【0039】
[ハードウェア]
本実施形態の管理サーバ200は、図2(b)に示すように、CPU201と、メモリ202と、記憶装置203と、入出力I/F204と、通信I/F205とを備える、例えば、汎用の情報処理装置で実現される。
【0040】
上記各機能は、予め記憶装置203に格納したプログラムを、CPU201がメモリ202にロードして実行することにより実現される。データ記憶部217は、記憶装置203およびメモリ202に設けられる。
【0041】
[携帯端末]
次に、携帯端末300について説明する。携帯端末300は、サービス員310が、点検を行う際、現場に持参する。まず、管理サーバ200から、特定の油圧ショベル120Aとして選択可能な号機を特定する情報を受け取る。そして、受け取った情報の中から、サービス員310が選択した号機の、故障確率データ270と点検結果データ280とを受け取り、携帯端末300の表示部であるタッチパネルディスプレイに表示する。このとき、各予測対象部位の、複数の将来時点での故障確率を、時系列に表示する。
【0042】
図6(a)は、本実施形態の携帯端末300の、点検支援に係る構成の、機能ブロック図である。本図に示すように、本実施形態の携帯端末300は、入力受付部311と、送受信部312と、表示制御部313と、点検支援部314と、データ記憶部315と、を備える。
【0043】
また、データ記憶部315は、故障確率データ320と、点検結果データ330と、中間データ340と、画面データ350と、を保持する。故障確率データ320および点検結果データ330は、管理サーバ200に保持される同名のデータからダウンロードされるデータである。また、画面データ350は、点検支援部314が表示画面データを生成する際に用いられるデータである。中間データ340は、処理の途中に生成されるデータである。
【0044】
入力受付部311は、サービス員310からの入力を受け付ける。本実施形態では、後述するタッチパネルディスプレイを介したサービス員310による入力操作を受け付ける。送受信部312は、外部装置(例えば管理サーバ200)とのデータの送受信を制御する。表示制御部313は、タッチパネルディスプレイへのデータの表示を制御する。本実施形態では、点検支援部314が生成する表示画面データを表示画面としてタッチパネルディスプレイに表示させる。
【0045】
点検支援部314は、管理サーバ200から故障確率データ320と点検結果データ330とを取得し、サービス員310が指定した号機の複数の将来時点での故障確率を表示する表示画面データを生成する。また、携帯端末300を介して、サービス員310から点検結果の入力を受け付けると、点検結果データ330を更新する。
【0046】
故障確率データ320および点検結果データ330は、管理サーバ200が管理する同名のデータと同じ項目を有する。
【0047】
本実施形態の携帯端末300は、図6(b)に示すように、CPU301と、メモリ302と、記憶装置303と、タッチパネルディスプレイ304と、通信I/F305と、を備える。その他、自身の位置情報を取得するためにGPSアンテナ307や、点検時に特定の油圧ショベル120Aの状態を撮影するカメラ306等を備えている。
【0048】
タッチパネルディスプレイ304は、情報を表示するディスプレイの前面に、サービス員310によるタッチ操作を検知するタッチパネルを重ねた入出力I/Fである。
【0049】
上記各機能は、予め記憶装置303に格納されたプログラムを、CPU301がメモリ302にロードして実行することにより実現される。例えば、プログラムは、アプリケーションとして、商用の外部サーバから提供されてもよい。また、各種データは、記憶装置303またはメモリ302に記憶される。
【0050】
[故障確率予測処理]
本実施形態の管理サーバ200における、予め定めた複数の将来時点での故障確率を予測(算出)する故障確率予測処理について説明する。本実施形態の管理サーバ200は、所定の時間間隔で、特定の油圧ショベル120Aの各部位の故障確率を算出する。所定の時間間隔は、例えば、1か月ごとである。以下、将来時点の故障確率の予測を行うタイミングを、現在時と呼ぶ。
【0051】
図7は、本実施形態の故障確率予測処理の流れのフローである。前回の故障確率予測処理実行時から所定の時間間隔が経過すると、故障確率関数生成部214は、故障確率関数を生成する(ステップS1101)。
【0052】
次に、故障確率算出部215は、故障確率関数生成部214が生成した故障確率関数を用いて、特定の油圧ショベル120Aの、各部位の、複数の将来時点での故障確率を算出する(ステップS1102)。算出する部位は、予測対象マスタ230に登録されている部位である。
【0053】
そして、算出した故障確率を、故障確率データ270としてデータ記憶部217に保存し(ステップS1103)、処理を終了する。
【0054】
[故障確率関数生成処理]
次に、ステップS1101の、故障確率関数生成部214による、故障確率関数生成処理の詳細を説明する。ここでは、一例として、故障確率関数を、K-meansクラスタリング法を用いて生成する場合を例にあげて説明する。
【0055】
本実施形態では、予め定めた将来時点(Nヶ月後)の故障確率を算出する故障確率関数のパラメータを、Nヶ月前の稼働データを用いて決定する。すなわち、将来時点毎に、故障確率関数のパラメータを算出する。
【0056】
なお、故障確率関数生成部214は、図8(a)に示すように、部位マスタ220と、稼働データ240と、修理履歴データ250とを、用いて、故障確率関数を生成する。そして、生成した故障確率関数を特定するパラメータを、関数データ260として、データ記憶部217に保存する。
【0057】
図9は、Nヶ月後の故障確率を算出する故障確率関数(Nヶ月後故障確率関数)生成処理の処理フローである。本実施形態の故障確率関数生成部214は、以下の処理を、予め定めた将来時点分繰り返す。
【0058】
故障確率関数生成部214は、まず、部位マスタ220と稼働データ240と修理履歴データ250とを用いて、中間テーブルを作成する(ステップS1201)。ここで、作成される中間テーブルは、Nヶ月後の将来時点での、特定の油圧ショベル120Aの各部位の状態を予測するために、部位マスタ220に登録される各部位222について、複数の油圧ショベル120の過去(Nヶ月前)のデータを収集したものである。なお、中間テーブルの作成手法の詳細は、後述する。
【0059】
故障確率関数生成部214は、生成した中間テーブルから、部位毎の学習用データを生成する(ステップS1202)。学習用テーブルは、例えば、中間テーブルから、同じ部位名のレコードを抽出し、集約することにより作成される。
【0060】
そして、故障確率関数生成部214は、学習用データを用いて、部位毎に、Nヶ月後の故障確率関数を決定する(ステップS1203)。ここでは、K-meansクラスタリング法で、部位毎の学習用データを複数の群に分類し、各群の重心となるセンサ情報値を決定する。群を特定する情報と、重心(センサ情報値)とを、パラメータとして出力する。K-meansクラスタリング法によるパラメータ決定手法については、後述する。
【0061】
次に、ステップS1201の、中間テーブル作成処理の詳細を説明する。本実施形態では、上述のように、現在時(故障確率関数生成時)からNヶ月後の故障確率を算出する故障確率関数のパラメータを、同種の油圧ショベル120の過去(Nヶ月前の)稼働データを用いて決定する。このとき、現在時において、当該部位が故障していない(正常な)場合、図10(a)に示すように、現在時よりNヶ月前の稼働データ(号機#02、#03、#05、#06)を用いる。一方、現在時において、当該部位が故障している場合、図10(b)に示すように、故障時よりNヶ月前の稼働データ(号機#01、#04、#07)を用いる。すなわち、図10(c)に示すように、故障実績と正常実績とを用いて、故障確率関数Fのパラメータを算出する。
【0062】
故障確率関数生成部214は、当該部位が、修理履歴データ250に記録されている場合、当該部位が故障していた(その後修理した)ものと判断する。
【0063】
本実施形態では、部位マスタ220の各レコードについて、順に処理を行い、中間テーブルを完成させる。Nヶ月後の故障確率予測を行うための中間テーブル(Nヶ月後予測用中間テーブル)を作成する場合を例にあげて、図11に従って、中間テーブル作成処理を説明する。なお、作成した中間テーブルは、中間データ290として、記憶装置203またはメモリ202に格納される。
【0064】
故障確率関数生成部214は、部位マスタ220を読み込む(ステップS1301)。そして、部位マスタ220の各レコードについて、以下の処理を行う(ステップS1302~S1307)。
【0065】
故障確率関数生成部214は、まず、処理対象レコードの号機221の部位222に故障履歴があるか否かを判別する(ステップS1303)。ここでは、処理対象レコードの号機221および部位222の組み合わせに対応する、号機251および部位252を有する修理履歴データ250の有無を確認する。
【0066】
故障確率関数生成部214は、該当する修理履歴データ250が有る場合、稼働データ240抽出日を、故障日254からNヶ月前の日付に設定する(ステップS1304)。一方、修理履歴データ250が無い場合、稼働データ240の抽出日を、現在時からNヶ月前の日付に設定する(ステップS1305)。
【0067】
その後、故障確率関数生成部214は、稼働データ240にアクセスし、設定した抽出日のセンサ情報243を抽出し、抽出日とともに、中間テーブルに格納する(ステップS1306)。このとき、修理履歴の有無を示す情報を、状態情報として格納する。
【0068】
以上の処理を、部位マスタ220に格納されている、全てのデータについて実行し、Nヶ月後予測用中間テーブルを完成させる(ステップS1308)。
【0069】
なお、処理順は、上記順に限定されない。例えば、ステップS1303で修理履歴の有無を判別後、ステップS1304およびS1305で、それぞれ、全将来時点での抽出日を決定し、S1306で、全将来時点での稼働データを抽出するよう構成してもよい。この場合、ステップS1308で、全ての将来時点での予測用中間テーブルが完成する。
【0070】
例えば、図3(a)に示す部位マスタ220、図4(a)に示す稼働データ240、および図4(b)に示す修理履歴データ250を用いて、作成された中間テーブル(3ヶ月後予測用中間テーブル)410の例を図12に示す。なお、現在時は、2017年9月30日とする。
【0071】
図12に示すように、中間テーブル410は、将来時点(Nヶ月)411と、号機221と、部位222と、状態412と、抽出日413と、センサ情報243と、を備える。状態412には、修理履歴データ250として登録されているか否かを示す情報が登録される。ここでは、修理履歴データ250として登録されている場合、「×」が、非登録の場合、「○」が登録される。
【0072】
例えば、図3(a)に示す部位マスタ220の最初のレコードは、号機221は「#01」で、部位222が「エンジン」である。号機「#01」の部位「エンジン」は、修理履歴データ250に登録されている。このため、修理履歴データ250にアクセスし、故障日254「2017年8月15日」を抽出する(図4(b))。そして、故障日254から3ヶ月前である「2017年5月15日」を抽出日413に設定する。その後、稼働データ240にアクセスし、抽出日413である2017年5月15日のセンサ情報243(旋回時間12時間、稼働時間1200時間)を抽出し(図4(a))、格納する。また、号機「#01」の部位「エンジン」は、修理履歴データ250に登録されているため、それを示す情報「×」が状態412として登録される。
【0073】
部位マスタ220の次のレコードは、号機#01の部位センタージョイントである。これも、修理履歴データ250に登録されているため、部位「エンジン」と同様に、故障日254「2017年7月31日」から3ヶ月前の「2017年4月30日」を、抽出日413とする。そして、抽出日2017年4月30日のセンサ情報243(旋回時間9時間、稼働時間1000時間)を、稼働データ240から抽出し(図4(a))、格納する。また、修理履歴データ250に登録されていることを示す情報「×」を状態412に格納する。
【0074】
部位マスタ220の3番目のレコード、および、4番目のレコードは、それぞれ、号機「#01」の部位「下ローラ」および号機「#01」の部位「油圧機器」である。これらの部位は、修理履歴データ250には登録されていない。このため、現在時「2017年9月30日」から3ヶ月前の「2017年6月30日」を、抽出日413とする。そして、稼働データ240から、当該抽出日のセンサ情報243(旋回時間15時間、稼働時間1400時間)を抽出し、格納する。また、状態412には、「○」を格納する。
【0075】
なお、図12に示す3ヶ月後予測用中間テーブル410は、抽出日413で、昇順にソートされた例である。
【0076】
また、上記図12に示す3ヶ月後予測用中間テーブル410から、上記ステップS1202の処理により作成される、部位毎の学習用データ420の一例を、図13に示す。
【0077】
図13に示すように、部位毎の学習用データ420として、部位222毎に、3ヶ月後予測用中間テーブル410の各レコード(将来時点411と、号機221と、状態412と、抽出日413と、センサ情報243とを備えるレコード)が格納される。
【0078】
次に、上記ステップS1203の、故障確率関数生成部214による関数決定(重心テーブル作成)手順を説明する。故障確率関数生成部214は、部位毎の学習用データ420を用いて、故障確率関数を特定するパラメータ群である、関数データ260を作成する。本実施形態では、K-meansクラスタリング法を用い、学習用データ420の各レコードを、予め定めたk個の群(kは1以上の整数)に分類し、各群の重心を決定する。関数データ260として出力される情報は、各群のセンサ情報243の重心を登録した重心テーブルである。
【0079】
なお、各群のセンサ情報243の重心は、例えば、当該群に属するレコードの各センサ情報243の平均値の組である。例えば、センサ情報243が旋回時間と稼働時間とである場合、当該群に属する全レコードの旋回時間の平均値と、同稼働時間の平均値との組を、センサ情報243の重心として算出する。
【0080】
図13に示す学習用データ420を用いて、関数データ260を算出する手法を具体的に説明する。ここでは、部位「センタージョイント」を例にあげて説明する。
【0081】
図13に示す学習用データ420の中で、部位222がセンタージョイントである各レコードを、各センサ情報243を軸にした座標系に、それぞれプロットする。このとき、状態412が特定可能な態様でプロットする。旋回時間と稼働時間の2軸座標系で各レコードをプロットした状態を、図14(a)に示す。ここでは、修理履歴データ250の登録がない号機については「○」で、修理履歴データ250が登録されている号機については「×」で表す。
【0082】
プロット結果に対し、K-meansクラスタリング法(K平均法)を適用し、各プロットをk個の群に分類するとともに、各群の重心を決定する。
【0083】
具体的には、以下の式(1)に示す関数に従って、k個の各群に属する各レコードの組と、各群の重心値(旋回時間と稼働時間との組)とを決定する。
【数1】
・・・(1)
なお、xi(i=1、...、n)は、学習用データの各レコード、Vj(j=1、...、k)は、各群の重心、n、kは、1以上の整数、i、jは、それぞれ、1以上n以下、1以上k以下の整数である。
【0084】
図14(b)に、k=3、すなわち、3つの群に分類する場合を例示する。本図に示すように、例えば、号機#01および#03のレコードは、群V1に分類され、号機#02のレコードは群V2に、号機#04のレコードは群V3に、それぞれ分類される。
【0085】
上記式(1)に従って、学習用データ420内の各レコードが分類された群、および、算出された各群の重心を格納した重心テーブルが得られる。学習用データ420の各レコードに、当該レコードが分類された群を特定する情報(以下、群)431を対応づけた学習用データ420aを、図14(c)に示す。また、重心テーブル430を図14(d)に示す。
【0086】
重心テーブル430は、各部位222の将来時点(Nヶ月)411について、群431に対応づけて、センサ情報243の重心433が格納される。なお、故障確率関数生成にK-meansクラスタリング法を用いる場合、故障確率関数生成時に各群の故障確率も算出可能である。このため、重心テーブル430の作成時に、各群の、故障確率432も算出するよう構成してもよい。
【0087】
なお、ここで、故障確率432を算出しない場合は、後述する故障確率算出処理で必要になるため、図14(c)に示す学習用データ420aも関数データ260として併せて出力する。
【0088】
本実施形態の故障確率関数生成部214は、上記のような関数データ260(重心テーブル430)を、部位マスタ220に登録される各部位222について、また、各将来時点(Nヶ月)について生成する。故障確率算出部215は、この関数データ260に、所定の油圧ショベル120のセンサ情報243と、部位222と、将来時点(Nヶ月)とを適用して、当該将来時点での故障する確率を算出する。
【0089】
[故障確率算出処理]
次に、本実施形態の故障確率算出部215による、故障確率算出処理について説明する。
【0090】
故障確率算出部215は、上述のように、関数データ260を用いて、管理サーバ200が管理する特定の油圧ショベル120Aの各部位の故障確率を算出する。なお、特定の油圧ショベル120Aについて、故障確率を算出(予測)する対象の部位は、予測対象マスタ230に登録される。従って、故障確率算出部215は、図8(b)に示すように、関数データ260と予測対象マスタ230と稼働データ240とを用いて、部位毎の、将来時点毎の故障確率を算出し、故障確率データ270として登録する。
【0091】
故障確率算出部215による故障確率算出処理の流れを、図15の処理フローを用いて説明する。
【0092】
故障確率算出部215は、まず、予測対象マスタ230を読み込む(ステップS1401)。
【0093】
故障確率算出部215は、各レコードについて、号機231をキーとして、稼働データ240から、最新の取得日242および当該取得日242に取得したセンサ情報243を抽出する。そして、抽出したこれらの情報を、予測対象マスタ230に追加し、予測用中間テーブルを作成する(ステップS1402)。
【0094】
ここで、作成される予測用中間テーブル450を図16(a)に示す。上述のように、予測用中間テーブル450は、予測対象マスタ230のレコード毎に、稼働データ240から抽出した最新の取得日242およびそのセンサ情報243が登録される。
【0095】
故障確率算出部215は、予測用中間テーブル450を、部位毎に分割し、部位毎の予測用データを生成する(ステップS1403)。
【0096】
ここで生成される部位毎の予測用データ460の例を、図16(b)に示す。ここでは、センタージョイントとエンジンとを示す。なお、予測用データ460は、さらに、後述するステップS1405、S1406で特定して算出する、最も近い群(以下、最近群と呼ぶ)431および故障確率432を格納する欄を有する。なお、最近群431は、重心テーブル430に登録される重心433のうち、予測用データ460の処理対象レコードのセンサ情報243に最も近い重心433に対応づけられた群431である。
【0097】
そして、故障確率算出部215は、部位毎の予測用データ460を用いて、将来時点(Nヶ月)毎に、以下のステップS1405およびS1406の処理を繰り返す(ステップS1404)。
【0098】
まず、関数データ260の、Nヶ月後の故障確率を予測するために作成した重心テーブル430を参照し、各部位、各号機の最近群431を特定する(ステップS1405)。ここでは、部位毎の予測用データ460の各レコードの、最近群431を特定する。最近群431として、上述のように、予測用データ460の処理対象レコードのセンサ情報243に重心433が最も近い群431が選択される。
【0099】
例えば、図16(b)に示す予測用データ460のレコードのうち、部位232がセンタージョイントで、号機231が#91および#92の2つのレコードについて、3ヶ月後の故障確率を算出する場合を例に、図17(a)および図17(c)を用いて具体的に説明する。なお、3ヶ月後故障確率関数の関数データ260として、図14(c)に示す学習用データ420aと、図14(d)に示す重心テーブル430(故障確率432を除く)を用いるものとする。
【0100】
各レコードのセンサ情報243を、同じ部位(センタージョイント)の学習用データ420の各レコードをプロットした座標系にプロットする。図17(a)に、号機#91および号機#92のプロット結果を示す。
【0101】
例えば、号機#91のセンサ情報243は、旋回時間が5時間で、稼働時間は1500時間である。図17(a)に示すように、最近群431は群V1である。従って、図17(c)に示すように、予測用データ460の最近群431としてV1が格納される。
【0102】
また、号機#92の稼働データは、旋回時間が18時間で、稼働時間は2000時間である。図17(a)に示すように、最近群431は、群V2である。従って、図17(c)に示すように、予測用データ460の最近群431としてV2が格納される。
【0103】
次に、各レコードの最近群431を特定したら、故障確率算出部215は、当該群の故障確率を算出し、予測用データ460に格納する(ステップS1406)。故障確率は、図14(c)に示す学習用データ420aを参照し、選択された群の、状態412が故障である故障データを、データ総数で除算することで得る。
【0104】
例えば、図17(b)に示すように、群V1の故障確率は、1÷4(故障データ:1、データ総数:4)=0.25である。従って、図17(d)に示すように、号機#91の予測用データ460の故障確率432には、0.25が格納される。また、群V2の故障確率は、0.75である。従って、号機#92の予測用データ460の故障確率432には、0.75が格納される。
【0105】
全将来時点に対して、上記処理を終えると、全ての予測用データ460を集約し、故障確率データ270を生成し(ステップS1407)、処理を終了する。
【0106】
上記手法で、各将来時点、各部位について、算出した故障確率432を集約して作成した故障確率データ270の例を図18に示す。本図に示すように、故障確率データ270は、予測対象マスタ230の各レコードに、将来時点411毎の、故障確率432を格納したデータである。各レコードには、取得日242も対応づけて格納される。
【0107】
なお、故障確率関数生成時に、各群の故障確率432を算出し、重心テーブル430に格納しておく場合は、ステップS1406では、ステップS1405において特定された最近群431に対応する故障確率432を重心テーブル430から抽出する処理を行う。
【0108】
[点検処理]
次に、サービス員310が、携帯端末300を持ち、現場に点検に行く際の点検処理の流れを説明する。図19は、点検処理時の、処理の流れを説明するための図である。また、本処理は、サービス員310が、携帯端末300において、点検処理のアプリケーションを起動させ、点検処理開始の指示を行うことを契機に開始される。
【0109】
サービス員310が、点検処理開始の指示を行うと、入力受付部311は、当該指示を受け付ける(ステップS2101)。指示を受け付けると、点検支援部314は、号機の選択を受け付ける表示画面データを生成し、表示制御部313は、生成された表示画面データを表示画面としてタッチパネルディスプレイ304に表示する(ステップS2102)。
【0110】
入力受付部311は、この表示画面を介して、サービス員310から、号機の選択指示、あるいは終了指示を受け付ける(ステップS2103)。ここで、入力受付部311が終了指示を受け付けた場合は、点検支援処理を終了する。
【0111】
一方、号機の選択を受け付けた場合(ステップS2104)、点検支援部314は、送受信部312を介して、情報送信要求を管理サーバ200へ送信する(ステップS2105)。この情報送信要求は、管理サーバ200に、選択された号機の油圧ショベル120Aの、故障確率データ270と、点検結果データ280との送信を要求するリクエストである。
【0112】
管理サーバ200は、送受信部212を介して情報送信要求を受信する(ステップS2201)と、点検結果管理部216が、選択された号機の故障確率データ270と、点検結果データ280とを、要求元の携帯端末300に送信する(ステップS2202)。
【0113】
携帯端末300では、送受信部312を介して、故障確率データ270と、点検結果データ280とを受信する(ステップS2106)と、点検支援部314は、自身のデータ記憶部315に、それぞれ、故障確率データ320、点検結果データ330として保存する(ステップS2107)。このとき、過去に保存されているデータが有る場合は、上書きしてもよいし、最新のデータが明確になるように、取得時を特定する情報とともに、並列保存してもよい。
【0114】
また、点検支援部314は、受信した故障確率データ320および点検結果データ330を表示する表示画面データを生成する。表示制御部313は、生成された表示画面データを表示画面としてタッチパネルディスプレイ304に表示する(ステップS2108)。
【0115】
入力受付部311がタッチパネルディスプレイ304の表示を介して、サービス員310から点検結果の更新を受け付けると(ステップS2109)、点検支援部314は、自身が保持する点検結果データ330を受け付けた点検結果に更新するとともに、更新後の点検結果データ330を、送受信部312を介して管理サーバ200に送信する(ステップS2110)。なお、ここでは、全ての点検結果データ330を送信してもよいし、更新された点検結果のみ送信してもよい。そして、ステップS2102に戻り、号機の選択を受け付ける表示画面をタッチパネルディスプレイ304に表示する。
【0116】
管理サーバ200は、更新後の点検結果データ330を受信すると(ステップS2203)、点検結果管理部216が、点検結果データ280、修理履歴データ250および予測対象マスタ230を更新する(ステップS2204)。
【0117】
以下、タッチパネルディスプレイ304に表示される表示画面例を説明する。なお、各画面の生成にあたっては、データ記憶部315に保持される画面データ350を用いる。
【0118】
まず、サービス員310が、点検処理のアプリケーションを起動した際、タッチパネルディスプレイ304に表示される初期表示画面510の例を図20(a)に示す。本図に示すように、初期表示画面510は、開始指示を受け付けるための開始指示受付ボタン511等を備える。
【0119】
この開始指示受付ボタン511を介して、入力受付部311がサービス員310から開始の指示を受け付けると、点検支援部314は、ステップS2102で表示される号機の選択を受け付ける表示画面である号機選択画面520のデータを生成する。
【0120】
このとき生成される号機選択画面520の例を図20(b)に示す。本図に示すように、号機選択画面520は、選択可能な号機番号をリスト化し、号機の選択を受け付ける号機選択領域521と、終了の指示を受け付ける終了指示受付ボタン522と、を備える。号機選択領域521にリスト化して表示する号機番号は、予め、管理サーバ200から取得し、データ記憶部315に記憶しておく。
【0121】
なお、表示する号機番号は、開始指示を受け付けた時点で、管理サーバ200に要求し、取得してもよい。この場合、例えば、管理サーバ200は、顧客毎の号機をリスト化した号機リストを保持する。そして、携帯端末300は、顧客を特定する情報を管理サーバ200に送信することにより、折り返し、選択可能な号機番号を受け取り、それを、用いて号機選択画面520を生成する。なお、初期表示画面510は、開始指示受付ボタン511の代わりに、あるいは、開始指示受付ボタン511に加え、顧客を指定する入力領域を備えてもよい。
【0122】
サービス員310は、号機選択領域521に表示される号機の中から、所望の号機の表示をタップ等することにより、号機の選択を行う。号機選択領域521を介して号機の選択を受け付けると、点検支援部314は、送受信部312を介して管理サーバ200に情報送信要求を送信する。折り返し、管理サーバ200から故障確率データ270および点検結果データ280を受信すると、点検支援部314は、ステップS2108で表示される故障確率表示/点検結果入力画面(以下、単に故障確率点検結果画面または故障確率表示画面と呼ぶ。)530のデータを生成する。
【0123】
故障確率点検結果画面530は、サービス員310が指定した号機の部位毎の、複数の将来時点における故障確率を、時系列に配置して表示するとともに、点検の状況(点検結果)を表示する画面である。例えば、故障確率点検結果画面530において、部位と、故障確率および点検結果とは、いずれか一方を列方向に、他方を行方向に配列した表形式で表示される。
【0124】
この故障確率点検結果画面530の例を、図20(c)に示す。本図に示すように、故障確率点検結果画面530は、号機表示領域531と部位名表示領域532と将来時点毎の故障確率表示領域533と点検結果表示入力領域534と並替指示受付領域535と送信指示受付ボタン(「送信」ボタン)536と、戻り指示受付ボタン(「戻る」ボタン)537と、を備える。
【0125】
図20(c)に示す例では、故障確率点検結果画面530において、部位名を列方向に、故障確率および点検結果の項目を行方向に配置した表に、各部位の故障確率と点検結果とが表示される。本図に示す例では、各部位の故障確率が、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後の順に、左から右に、時系列に表示される。
【0126】
並替指示受付領域535は、所定の将来時点での故障確率をキーとして、各部位のレコードを並べ替える指示を受け付ける領域である。並替指示受付領域535を介して、サービス員310は、例えば、所望の将来時点での故障確率の高い順に、各部位のレコードを並べ替える指示を行うことができる。
【0127】
点検支援部314は、並替指示受付領域535を介して受け付けた指示に従って、故障確率点検結果画面530に表示するレコードを並べ替える。図20(c)に示す故障確率点検結果画面530は、各レコードを、3ヶ月後の故障確率をキーに故障確率が高い順に並べ替えた例である。
【0128】
点検結果表示入力領域534は、点検結果を表示するとともにサービス員310からの点検結果の入力を受け付ける領域である。ここで表示される点検結果は、管理サーバ200から受信し、データ記憶部315に保持される、過去の点検結果である。図20(c)に示す例では、各部位の、点検状況、故障状況、修理状況などが点検結果として表示される。
【0129】
サービス員310は、点検結果表示入力領域534を介して、点検結果を入力する。例えば、部位「センタージョイント」を修理した場合、サービス員310は、点検結果表示入力領域534の、修理済欄をタップし、修理済の指示を入力する。なお、この時、顧客から、故障日の申告が有る場合、故障日を入力してもよい。また、さらに、コメント入力欄を設け、サービス員310による点検コメントを入力可能に構成してもよい。
【0130】
点検支援部314は、点検結果の入力を受け付けると、当該入力を、故障確率点検結果画面530のデータに反映する。これにより、例えば、図21(a)に示すように、部位センタージョイントの点検結果が、故障無を意味する状態から修理済みを意味する状態に変更される。また、故障日が入力された場合、その故障日(ここでは、「2017年9月29日」)が表示される。
【0131】
送信指示受付ボタン536は、点検終了の指示を受け付ける領域である。点検支援部314は、送信指示受付ボタン536を介して、点検結果終了の指示を受け付けると、受け付けた点検結果を、点検結果データ330に反映し、更新する。そして、更新後の点検結果データ330aを、管理サーバ200に送信する。
【0132】
なお、戻り指示受付ボタン537は、データを更新せずに、号機選択画面520に戻る指示を受け付ける領域である。戻り指示受付ボタン537を介して戻る指示を受け付けると、点検支援部314は、号機選択画面520を表示させる。
【0133】
更新後の点検結果データ330aを図21(b)に示す。最初に携帯端末300からの情報送信要求時に送信された号機#91の点検結果データ280は、部位282が「センタージョイント」のレコードについて故障は「無」と登録されていた。しかし、更新後の点検結果データ330aは、部位282が「センタージョイント」のレコードについては、故障284の欄には「有」と登録され、修理285の欄には「済」が登録される。そして、故障日286には、2017年9月29日が登録される。最終点検日283には、点検当日の日付が自動的に設定される。
【0134】
このような更新後の点検結果データ330aの送信を受け、管理サーバ200の点検結果管理部216は、点検結果データ280と修理履歴データ250と予測対象マスタ230とを更新する。具体的には、点検結果データ280は、該当箇所のレコードを、受信した点検結果データ330aに置き換える。また、故障284に有、修理285に済が登録されるレコードの情報を、修理履歴データ250と予測対象マスタ230とに反映させる。
【0135】
例えば、上記の例では、図22(a)に示すように、号機「#91」の、部位「センタージョイント」のレコードが、故障284が「有」、修理285が「済」に更新されている。従って、図22(b)に示すように、修理履歴データ250に、号機「#91」の、部位「センタージョイント」のレコードを追加する。この時、追加されたレコードの最終点検日には、送信された点検結果データ330aの最終点検日を登録する。これにより、更新後の修理履歴データ250aを得る。
【0136】
また、予測対象マスタ230については、図22(c)に示すように、対象号機の予測対象マスタ230から、修理された部位のレコードを削除する。ここでは、号機「#91」の、部位「センタージョイント」が修理されているので、号機「#91」の部位「センタージョイント」のレコードを、予測対象マスタ230から削除する。これにより、更新後の予測対象マスタ230aを得る。
【0137】
これらのデータ更新以降は、故障確率関数生成部214は、更新後のデータを用いて関数データ260を生成する。また、故障確率算出部215も、更新後のデータを用いて故障確率データ270を算出する。
【0138】
すなわち、故障確率関数生成部214は、号機「#91」の部位「センタージョイント」のレコードについて、故障日である2017年9月29日から、予め定めた将来時点だけ遡った稼働データ240を用いて、関数データ260を決定する。
【0139】
また、予測対象マスタ230から、修理済みの、号機「#91」の部位「センタージョイント」のレコードが削除される。従って、故障確率算出部215は、修理直後であるこの部位の故障確率データ270を算出しない。このため、携帯端末300からの情報送信要求に応じて返信される故障確率データ270にも、この部位の故障確率は含まれない。
【0140】
従って、例えば、号機#91が選択された場合、図23に示すように、表示される故障確率点検結果画面530aには、センタージョイントのレコードは表示されない。
【0141】
このように、本実施形態では、管理サーバ200は、複数の油圧ショベル120から取得した稼働データ240と複数の油圧ショベル120の修理履歴データ250とに基づいて、特定の油圧ショベル120Aに関する部位毎の予め定めた複数の将来時点での故障確率を算出し、サービス員310が点検時に保持する携帯端末300からの要求に応じて算出した故障確率に関するデータを要求元の携帯端末300に送信する。このとき、特定の油圧ショベル120Aの点検結果データ280も併せて送信する。
【0142】
上記データを受信した携帯端末300では、そのタッチパネルディスプレイ304に、送信された複数の将来時点での故障確率と点検データとが表示される。本実施形態では、図20(c)に示すように、このとき、タッチパネルディスプレイ304には、サービス員310が号機選択画面520で指定した機械(号機)の、点検対象部位の一覧が表示されるとともに、各部位の、予め定めた複数の将来時点におけるそれぞれの故障確率が時系列に表示される。
【0143】
上記情報が、点検時に保持する携帯端末300のタッチパネルディスプレイ304に表示されるため、サービス員310は、この表示を顧客に提示することができる。この表示を見ることにより、サービス員310および顧客は、点検対象の機械・部位の、故障確率の時間的な推移を把握でき、今後の状態変化を容易に推定できる。そして、この情報を用いることにより、当該機械が用いられる工事の工期を考慮した保守作業計画を立案できる。
【0144】
また、本実施形態によれば、故障確率点検結果画面530において、表示される部位の複数の将来時点における故障確率が、サービス員310が選択した将来時点の故障確率で、昇順または降順にソートして表示される。
【0145】
この表示を見ることにより、サービス員310および顧客は、当該機械・部位の、各将来時点での修理交換の緊急度合いを容易に知ることができる。このように、本実施形態によれば、サービス員310および顧客は、前述の故障確率の時系列表示とともに、多面的かつ有用な情報を得ることができる。これにより、点検すべき機械・部位を認知できるのみならず、将来修理交換すべき機械・部位の修理交換時期を立案できる。その結果、適切なタイミングでの修理交換が可能となり、故障によるダウンタイムを低減でき、顧客満足度が向上する。
【0146】
さらに、本実施形態によれば、携帯端末300には、点検対象部位の一覧に対応づけて過去の点検結果および今回の点検結果の入力受付欄が表示される。
【0147】
サービス員310は、故障確率の高い部位順に並べられた点検一覧表に基づき点検対象の各部位を点検し、結果を登録する。このため、サービス員310は、限られた時間内で重要な点検項目をもれなく点検でき、見落としを低減できる。
【0148】
さらに、サービス員310が入力した点検結果を管理サーバ200に送信し、故障確率関数を算出する元となるデータに反映させる。従って、点検回数が増えるに従って、精度が向上する。
【0149】
このように、本実施形態によれば、非熟練者でも建設機械の点検作業を効率的に行うことができる。これにより、特巡作業を効率化でき、点検技術を平準化でき、故障個所の早期発見と点検見逃しを削減できる。
【0150】
なお、上記実施形態では、故障確率関数生成において、K-meansクラスタリング法を用いる場合を例にあげて説明したが、故障確率関数生成は、この手法に限定されない。蓄積した稼働データや修理履歴データを用いて、以下の式(2)に示すような故障確率関数Fを生成可能であれば、どのような手法を用いてもよい。
Pr(X,A,N)=F(Status(X)、A,N)・・・(2)
なお、式(2)の関数Fは、機械Xの状態Status(X)(稼働データ)を入力すると、当該機械Xの部位Aの、予め定めた複数の将来時点Nの、故障確率Prが得られる関数である。
【0151】
また、上記実施形態では、携帯端末300側で、特定の油圧ショベル120Aの号機を選択し、管理サーバ200は、選択された号機の故障確率データ270と点検結果データ280とを携帯端末300に送信しているが、これに限定されない。
【0152】
例えば、携帯端末300側では、顧客を指定し、管理サーバ200は、指定された顧客の全ての特定の油圧ショベル120Aの故障確率データ270と点検結果データ280とを携帯端末300に送信するよう構成してもよい。この場合、携帯端末300側で、受信した上記データの中から、点検対象の1つの油圧ショベル120Aのデータを選択し、故障確率点検結果画面530を生成する。
【0153】
また、例えば、管理サーバ200が管理する全ての特定の油圧ショベル120Aの全ての部位の故障確率データ270と点検結果データ280とを、携帯端末300に送信するよう構成してもよい。この場合も、携帯端末300側で、受信した上記データの中から、点検対象の1つの油圧ショベル120Aのデータを選択し、故障確率点検結果画面530を生成する。
【0154】
また、例えば、管理サーバ200が、各油圧ショベル120の現在位置を把握し、携帯端末300がGPS機能を備えている場合、管理サーバ200において、各油圧ショベル120の位置と、携帯端末300の位置とを収集し、携帯端末300の現在位置を基準とし、予め定めた範囲内の油圧ショベル120の上記データを抽出して、当該携帯端末300に送信してもよい。この場合も、携帯端末300側で、受信した上記データの中から、点検対象の1つの油圧ショベル120Aのデータを選択し、故障確率点検結果画面530を生成する。
【0155】
また、上記実施形態では、携帯端末300において、号機毎に点検を終えると、更新後の点検結果データを管理サーバ200に送信しているが、点検結果の送信タイミングもこれに限定されない。例えば、複数の号機の更新後の点検結果データを一時的に携帯端末300に保持しておき、サービス員310の指示に応じてまとめて管理サーバ200に送信するよう構成してもよい。
【0156】
また、上記実施形態では、所定の時間間隔(例えば、一月に1回)で、故障確率関数を生成し、故障確率を算出しているが、故障確率関数の生成および故障確率の算出は、このタイミングに限定されない。例えば、サービス員310から、情報送信要求を受けたことを契機に、これらの生成、算出を行うよう構成しておいてもよい。また、故障確率関数の生成を所定の時間間隔で行い、故障確率の算出のみ、情報送信要求を受けたタイミングで行うよう構成してもよい。
【0157】
また、センサ情報243として、旋回時間と稼働時間との2つを用いる場合を例にあげて説明したが、センサ情報243は、これらに限定されない。また、故障確率を算出する対象部位に応じて、用いるセンサ情報243を変えてもよい。この場合、部位毎に、用いるセンサ情報243の種類を予め設定しておいてもよいし、ユーザが選択可能なように構成してもよい。
【0158】
さらに、管理サーバ200側が行っている処理の一部は、携帯端末300側で行うよう構成してもよい。すなわち、故障確率関数の生成までを、管理サーバ200側で行い、携帯端末300からの要求に応じて関数データを携帯端末300に送信する。そして、携帯端末300側では、所望のタイミングで、所望の将来時点での故障確率関数を算出するよう構成してもよい。また、稼働データ等、故障確率関数生成に必要なデータを全て携帯端末300に送信し、携帯端末300側で、故障確率関数の生成から行うよう構成してもよい。
【0159】
また、上記実施形態では、予め定めた数か月後(将来時点)の故障確率を算出し、当該将来時とともに故障確率を表示させている。しかしながら、これに限定されない。故障確率が予め定めた値(XX%)を超える時点を算出し、当該時点を表示させるよう構成してもよい。
【符号の説明】
【0160】
100:点検支援システム、120:油圧ショベル、120A:特定の油圧ショベル
200:管理サーバ、201:CPU、202:メモリ、203:記憶装置、204:入出力I/F、205:通信I/F、211:入力受付部、212:送受信部、213:データ収集部、214:故障確率関数生成部、215:故障確率算出部、216:点検結果管理部、217:データ記憶部、220:部位マスタ、221:号機、222:部位、230:予測対象マスタ、230a:予測対象マスタ、231:号機、232:部位、240:稼働データ、241:号機、242:取得日、243:センサ情報、250:修理履歴データ、250a:修理履歴データ、251:号機、252:部位、253:最終点検日、254:故障日、260:関数データ、270:故障確率データ、280:点検結果データ、281:号機、282:部位、283:最終点検日、284:故障、285:修理、286:故障日、290:中間データ、
300:携帯端末、301:CPU、302:メモリ、303:記憶装置、304:タッチパネルディスプレイ、305:通信I/F、306:カメラ、307:GPSアンテナ、310:サービス員、311:入力受付部、312:送受信部、313:表示制御部、314:点検支援部、315:データ記憶部、320:故障確率データ、330:点検結果データ、330a:点検結果データ、340:中間データ、350:画面データ、
410:中間テーブル、411:将来時点、412:状態、413:抽出日、420:学習用データ、420a:学習用データ、430:重心テーブル、431:群、432:故障確率、433:重心、450:予測用中間テーブル、460:予測用データ、
510:初期表示画面、511:開始指示受付ボタン、520:号機選択画面、521:号機選択領域、522:終了指示受付ボタン、530:故障確率点検結果画面、530a:故障確率点検結果画面、531:号機表示領域、532:部位名表示領域、533:故障確率表示領域、534:点検結果表示入力領域、535:並替指示受付領域、536:送信指示受付ボタン、537:戻り指示受付ボタン
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