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特許7042620サブディビジョナルエラーを決定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】サブディビジョナルエラーを決定する方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/244 20060101AFI20220318BHJP
【FI】
G01D5/244 H
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2017556809
(86)(22)【出願日】2016-04-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-06-07
(86)【国際出願番号】 GB2016051197
(87)【国際公開番号】W WO2016174433
(87)【国際公開日】2016-11-03
【審査請求日】2019-02-18
(31)【優先権主張番号】15275124.4
(32)【優先日】2015-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーティン サイモン リース
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ポール ハンター
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド スヴェン ウォレス
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0177491(US,A1)
【文献】特表2010-530532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00-5/62
G01B 7/00-7/34
G01B 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査デバイスが装着された装置の相対的に移動可能な部材の相対位置を測定するように構成されたエンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定する方法であって、
前記エンコーダ装置は、スケールと、少なくとも1つの読み取りヘッドであって、前記読み取りヘッドに対する前記スケールの位置および/または動作を表す信号を出力する、読み取りヘッドとを備え、前記スケールは、規則的な一連のフィーチャを含み、前記方法は、
前記装置の前記相対的に移動可能な部材を相対的に移動させることにより、参照を与える、フィーチャの表面の測定値を取得するために、前記検査デバイスに前記フィーチャを検査させるステップと、
前記フィーチャの検査中に前記検査デバイスにより取得された、前記フィーチャの前記表面の測定値を使用して、少なくとも1つの所定の空間周波数における前記測定値内の周期的変動の特性に基づいて、前記エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定するステップと
を含み、
前記少なくとも1つの所定の空間周波数は、前記エンコーダ装置のスケールまたは信号周期に対応し、及び/又は、前記少なくとも1つの所定の空間周波数は、前記エンコーダ装置の前記スケールまたは信号周期の高調波に対応する、エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定し、
前記方法は、前記エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを補正するための少なくとも1つのエラーマップを、周期的信号の周期より微細な解像度で、決定するステップをさらに含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのエラーマップは、ルックアップテーブルまたは関数を含む請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記エラーマップは、前記サブディビジョナルエラーの形態の記述を含み、前記記述は、前記エンコーダ装置の測定範囲に沿って変化する請求項またはに記載の方法。
【請求項4】
前記特性は、前記少なくとも1つの所定の空間周波数における前記周期的変動の大きさおよび位相オフセットを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エンコーダ装置の測定範囲の種々の領域に対して前記サブディビジョナルエラーを決定するステップを含む請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記検査デバイスが装着された前記装置は、前記検査デバイスをその周りに配向することができる少なくとも1つの回転軸を含み、前記エンコーダ装置は、前記少なくとも1つの回転軸周りの前記検査デバイスの配向を測定するための回転式エンコーダ装置である請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記検査デバイスは、接触プローブを備える請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記接触プローブは、スタイラス先端部を有するスタイラスを備え、前記測定値は、スタイラス先端部の位置測定値に関する請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記検査デバイスが装着された前記装置は、座標位置決め機を含む請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記エンコーダ装置は、スケールと、前記スケールを読み取るための読み取りヘッドとを備える請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータ実施方法であって、
エンコーダ装置が中に組み込まれた装置に装着された検査デバイスによって取得された、参照を与える、フィーチャの表面の測定値を受け取るステップであって、前記エンコーダ装置は、スケールと、少なくとも1つの読み取りヘッドであって、前記読み取りヘッドに対する前記スケールの位置および/または動作を表す信号を出力する、読み取りヘッドとを備え、前記スケールは、規則的な一連のフィーチャを含み、前記フィーチャの前記表面の前記測定値は、前記エンコーダ装置の出力から導出される、ステップと、
前記フィーチャの前記表面の前記測定値から、少なくとも1つの所定の空間周波数における前記測定値内の周期的変動の特性に基づいて、前記エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定するステップと
を含み、
前記少なくとも1つの所定の空間周波数は、前記エンコーダ装置のスケールまたは信号周期に対応し、及び/又は、前記少なくとも1つの所定の空間周波数は、前記エンコーダ装置の前記スケールまたは信号周期の高調波に対応し、
前記方法は、前記決定されたサブディビジョナルエラーを補正するための、周期的信号の周期より微細な解像度で、エラーマップを生成するステップをさらに含む、コンピュータ実施方法。
【請求項12】
スケールおよび読み取りヘッドを備えるエンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定する方法であって、
前記エンコーダ装置は、スケールと、少なくとも1つの読み取りヘッドであって、前記読み取りヘッドに対する前記スケールの位置および/または動作を表す信号を出力する、読み取りヘッドとを備え、前記スケールは、規則的な一連のフィーチャを含み、前記方法は、
前記スケールおよび読み取りヘッドを互いに対して移動させ、その位置が前記読み取りヘッドの出力から決定される、検査デバイスを使用して、参照を与える、フィーチャの表面の測定値を取得するステップと、
少なくとも1つの所定の空間周波数における前記検査デバイスにより取得された前記フィーチャの前記表面の前記測定値内の周期的変動に基づいて、前記エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定するステップと
を含み、
前記少なくとも1つの所定の空間周波数は、前記読み取りヘッドの信号周期またはスケール周期に対応し、及び/又は、前記少なくとも1つの所定の空間周波数は、前記読み取りヘッドの信号周期または前記スケール周期の高調波に対応し、
前記方法は、前記決定されたサブディビジョナルエラーを補正するための、周期的信号の周期より微細な解像度で、エラーマップを生成するステップをさらに含む、エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定する方法。
【請求項13】
装置の制御装置によって実行されたとき、前記装置に請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムコード備えるコンピュータ可読記録媒体。
【請求項14】
装置の相対的に移動可能な部材の相対的な位置を測定するように構成されたエンコーダであって、前記エンコーダは、スケールと、少なくとも1つの読み取りヘッドであって、前記読み取りヘッドに対する前記スケールの位置および/または動作を表す信号を出力する、読み取りヘッドとを備え、前記スケールは、規則的な一連のフィーチャを含む、エンコーダと、
検査デバイスとを備える装置であって、
(i)前記装置の前記相対的に移動可能な部材を相対的に移動させることにより、参照を与える、フィーチャの表面の測定値を取得するために、前記検査デバイスに前記フィーチャを検査させ、
(ii)前記フィーチャの検査中に前記検査デバイスにより取得された前記フィーチャの前記表面の前記測定値を使用して、少なくとも1つの所定の空間周波数における前記測定値内の周期的変動の特性に基づいて、前記エンコーダのサブディビジョナルエラーを決定し、
(iii)前記決定されたサブディビジョナルエラーを補正するための、周期的信号の周期より微細な解像度で、エラーマップを生成し、
前記少なくとも1つの所定の空間周波数は、前記エンコーダのスケールまたは信号周期に対応し、及び/又は、前記少なくとも1つの所定の空間周波数は、前記エンコーダの前記スケールまたは信号周期の高調波に対応する、
ように構成される装置。
【請求項15】
前記エンコーダ装置は、スケールと、少なくとも1つの読み取りヘッドに対する前記スケールの位置、及び/又は、動きを表す周期的信号を出力する前記少なくとも1つの読み取りヘッドを含み、前記スケールは一連の周期的特徴を含み、
前記エンコーダ装置の前記サブディビジョナルエラーは、前記周期的信号の周期よりも微細な解像度に決定される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定する方法およびエンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを補正するためのエラーマップに関する。
【背景技術】
【0002】
装置(たとえば測定装置)は、しばしば相対的に移動可能な部材を有し、それらの相対位置を測定することが必要になり得る。機械の相対的に移動可能な部材の決定された位置における誤差は、機械の精度に大きな影響を与え得る。たとえば、座標測定機(CMM)は、数多くの相対的に移動可能な部材を有することができ、CMM上に装着された検査デバイスの位置を決定することができるように、それらの相対位置を追跡し続けることが必要になり得る。特有の例として、測定装置は、検査デバイス(たとえば測定プローブ)が装着された連接されたヘッドを有することができる。連接されたヘッドは、1つまたは複数の回転軸を備えることができ、それによって1つまたは複数の軸周りの検査デバイスの配向を変更することができる。検査デバイスの位置および配向を知るために、連接されたヘッドの相対的に移動可能な部材の相対位置を測定することが重要になり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2010/139964号
【文献】国際公開第2015/049174号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、エンコーダ装置の誤差を決定するための新規の方法であって、特にエンコーダ装置のサブディビジョナルエラー(SDE)を決定する方法を提供する。たとえば、本出願は、エンコーダ装置が中に組み込まれた装置(たとえば測定装置)によって取得された測定値を分析することによって、たとえば、人工物の検査中に装置によって取得された測定値を分析することによってエンコーダ装置のSDEを決定する方法を説明する。
【0005】
本発明はまた、エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを補正するためのエラーマップも提供する。特に、本発明は、エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを補正するための誤差関数を提供する。
【0006】
本発明の特定の第1の態様によれば、検査デバイスを装着することができる装置の相対的に移動可能な部材の位置を測定するように構成されたエンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定する方法であって、装置に測定値を取得させるステップであって、装置の前記相対的に移動可能な部材を相対的に移動させることを含む、ステップと、測定値を使用してエンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定するステップとを含む、方法が提供される。
【0007】
たとえば、本発明は、(たとえば人工物を検査するための)検査デバイスを装着することができる装置(たとえば測定装置)の相対的に移動可能な部材の位置を測定するように構成されたエンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定する方法であって、装置に(たとえば人工物の)フィーチャ、たとえば表面を検査させるステップであって、装置の前記相対的に移動可能な部材を相対的に移動させることを含む、ステップと、前記人工物の検査中に取得された測定値からエンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定するステップとを含む方法を提供する。(たとえば人工物の)フィーチャ、たとえば表面の検査(たとえば測定)中に取得された測定値を使用するステップは、そのフィーチャが参照を与えることができるので有益になり得る。これは、そのフィーチャが知られている人工物、または知られていない人工物に関係無く当てはまり得る。たとえば、フィーチャの表面が、予想されるSDEと同じ周波数において(たとえばスケールまたは信号周期において)系統的変動を含まないと想定すると、すべてのそのような変動は、エンコーダ装置のSDEによるものであると想定することができる。これは、較正されたレーザ干渉計などの外部システムを参照として使用する必要性を回避することができる。
【0008】
したがって、(たとえば、人工物を検査するための)検査デバイスを装着することができる装置(たとえば測定装置)の相対的に移動可能な部材の位置を測定するように構成されたエンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定する方法であって、装置(たとえば検査デバイス)に測定値(たとえば、人工物のフィーチャ、たとえば表面)を取得させるステップであって、装置の前記相対的に移動可能な部材を相対的に移動させることを含む、ステップと、測定値(たとえば、フィーチャ/表面の検査/測定中に取得された測定値)を使用してエンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定するステップとを含む方法が、提供される。
【0009】
任意選択により、方法は、エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを装置測定値のみから決定するステップを含むことができる。換言すれば、方法は、エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを、装置によって取得された測定値のみから決定するステップを含むことができる。したがって、方法は、装置によって取得された測定値を、前記移動中に二次測定デバイスによって取得された測定値と比較する必要なくエンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定するステップを含むことができる。したがって、方法は、エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定するために、干渉計などの外部の較正装置の使用を必ずしも必要としない。そうではなく、サブディビジョナルエラーは、装置の測定値のみから決定することができる。したがって、方法は、エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定するための自己較正技術であると説明することができる。
【0010】
理解されるように、エンコーダ装置は、スケールと、1つまたは複数の読み取りヘッドであって、読み取りヘッドに対するスケールの位置および/または動作を表す信号を出力する、読み取りヘッドとを備えることができる。スケールは、一連のフィーチャ、たとえば全体的に規則的な一連のフィーチャを含むことができる。スケールは、特徴的ピッチ距離(または一部の回転式システムの角度、たとえば、スケールのフィーチャが径方向に配置されたディスクスケールの角度)を有することができるが、読み取りヘッド信号を使用してスケールピッチ間隔間を補間して、スケールピッチより極めて高い解像度を有する位置測定値を生み出すこともできる。読み取りヘッドが空間周期的信号を生み出す場合があり、一部の実施形態では、読み取りヘッドの信号周期は、スケール周期より高い周波数(より短い波長)を有する。これらの場合、依然として補間法を使用して、信号周期より極めて高い解像度を有する位置測定値を生み出すことができる。いずれの場合も、補間法は、たとえば、読み取りヘッドとスケールとの間の位置ずれにより、完璧でないことがあり、その結果系統的な位置測定値誤差を生じさせ、この誤差はスケールピッチ間隔ごとに繰り返す。これらは、サブディビジョナルエラー(SDE)として知られている。SDEはまた、一般的に「補間誤差」としても知られている。本書では、SDEおよび補間誤差を交換可能に使用することができる。
【0011】
通常、エンコーダ設計およびエンコーダ装置の適切かつ正確なセットアップによってSDEの量を最小限に抑えるよう多大な努力が行われている。しかし、設計および設置/セットアップを慎重におこなっても、SEDは依然として、これが装置測定値に望ましくない誤差を引き起こすような程度で存在し得る。したがって、エンコーダ装置のSDEを決定するステップは、有利になり得る。たとえば、SDEが大きすぎることが見いだされた場合、SDEを低減するステップを行うことができる。任意選択により、SDEは、エラーマップを使用してエンコーダ装置のSDEの影響を低減することができるようにエラーマッピングされ得る。この結果、装置によって取得された測定値の正確性を大きく改善することができる。
【0012】
したがって、方法は、フィーチャ/表面の検査/測定中に取得された測定値に基づいて(たとえば、フィーチャ/表面の測定に基づいて)エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを補正するための少なくとも1つのエラーマップを決定するステップを含むことができる。エラーマップは、エンコーダ装置の出力を補正するように構成され得る。したがって、エラーマップは、これを使用してエンコーダ装置のスケールおよび読み取りヘッドの決定された相対位置を補正することができるように構成され得る。したがって、エンコーダ装置が回転式エンコーダ装置(角度エンコーダ装置としても知られている)である実施形態では、エラーマップは、これを使用してスケールおよび読み取りヘッドの決定された角度配向/位置を補正することができるように構成され得る。したがって、エンコーダ装置が装置の相対的に移動可能な部材の相対位置(たとえば相対回転位置)を測定するように構成される実施形態では(たとえば、連接されたヘッドの角度配向、たとえば連接されたヘッド上に装着された検査デバイスの角度配向)、エラーマップは、これを使用して装置の相対的に移動可能な部材の決定された相対位置を補正することができるように構成され得る。
【0013】
少なくとも1つのエラーマップは、ルックアップテーブルまたは関数を含むことができる。エラーマップは、SDEの形態(たとえば、補間によって引き起こされる誤差の形態)を決定するために使用することができる(たとえばこれはSDEの形態を説明することができる)。したがって、換言すれば、エラーマップは、エンコーダ装置のSDEの形状、波形、特徴、またはプロファイルを説明することができる。したがって、エラーマップは、SDEの形態を説明する関数を含むことができる。たとえば、関数は、たとえばフーリエ級数などの三角関数を含むことができる。任意選択により、関数は、多項式関数を含む。
【0014】
以下により詳細に説明するように、SDEは、エンコーダ装置の測定範囲に沿ってすべてのスケール(または信号)周期に関して同じであるように想定または決定することができ、またはSDEは、エンコーダ装置の測定範囲に沿って変化することができる。したがって、以下により詳細に説明するように、装置は、スケールおよび読み取りヘッドの相対位置に応じて異なってSDEを補正するように構成され得る。
【0015】
たとえば、エラーマップは、SDEの形態のその説明が、エンコーダ装置の測定範囲に沿って変化するように構成され得る。したがって、任意選択により、エラーマップは、エンコーダ装置の測定範囲に沿ってSDE内の変化(たとえば変動)を考慮に入れることができる。したがって、たとえば、SDEがエンコーダ装置の測定範囲に沿って(たとえば線形エンコーダの場合、その長さの少なくとも一部に沿って、または回転式エンコーダの場合、回転の少なくとも一部にわたって)同じ形態を有すると想定するのではなく、エラーマップは、サブディビジョナルエラーが、エンコーダ装置が測定している部材の相対位置に応じて異なって補正されるように構成され得る。すなわち、サブディビジョナルエラーがエンコーダ装置の範囲にわたって同じようにして補正されるようにエラーマップが構成されるのではなく、エラーマップは、サブディビジョナルエラーが、スケールおよび読み取りヘッドの相対位置に応じてエンコーダ装置の範囲にわたって補正される方法を変化させるように構成され得る。換言すれば、サブディビジョナルエラーは、位置依存のものとすることができる。したがって、理解されるように、所望の場合、単一のエラーマップ(たとえば単一のルックアップテーブル)を有するのではなく、種々のエラーマップ(たとえば種々のルックアップテーブル)をエンコーダ装置の範囲の種々のセクションに提供することができる。任意選択により、エラーマップは、サブディビジョナルエラーをスケールの種々のセクションに対して異なって補正するように構成され得る。各セクションは、少なくとも単一のスケール周期を含むことができ、任意選択により、複数のスケール周期を含むことができる。換言すれば、サブディビジョナルエラーマップ(またはエラーマップ)は、スケールの種々のセクションに合わせられ得る。任意選択により、エラーマップが関数を含む場合、任意選択によりSDEを補正するための関数は少なくとも1つの係数を含み、この係数それ自体は、スケールおよび読み取りヘッドの相対位置によって決まる(たとえばその関数である)。したがって、エラーマップは、エンコーダ装置の測定範囲に沿ってSDE内の変化(たとえば変動)を説明することができる。
【0016】
したがって、方法は、エンコーダ装置の測定範囲の種々の領域に対してサブディビジョナルエラーを決定するステップを含むことができる。したがって、方法は、前記種々の領域の各々に対して、少なくとも1つの所定の空間周波数における測定値内の周期的変動の形態(たとえば少なくとも1つの特性、たとえば複数の特性)を決定するステップを含むことができる。
【0017】
エラーマップは、これを使用してエンコーダ装置のSDEを、周期的信号の周期より微細な解像度で決定することができるように構成され得る。任意選択により、エラーマップは、スケール周期よりも微細な解像度を有する。換言すれば、エラーマップは、スケール周期より微細な程度でSDEの形態を決定するために使用することができる(たとえばこれは、SDEの形態を説明することができる)。読み取りヘッドは、読み取りヘッドおよびスケールの相対運動に応答して、周期的(換言すれば循環的)信号(たとえば、空間周期的信号)を生み出すことができる。したがって、エラーマップは、これを使用してエンコーダ装置のSDEを周期的信号の周期より微細な解像度で決定することができるように構成され得る。換言すれば、エラーマップは、SDEの形態を周期的信号の周期より微細な程度で決定するために使用することができる(たとえばSDEの形態を説明することができる)。たとえば、インクリメンタル型エンコーダの場合、信号の(空間的)周期は、スケールのフィーチャの(空間的)周期と同じであることができる。しかし、エンコーダ装置によっては、必ずしもこれを当てはめる必要はない。たとえば、信号の周期は、スケールのフィーチャの周期の半分であることができる。
【0018】
方法は、少なくとも1つの所定の空間周波数における測定値内の周期的変動の形態に基づいてエンコーダ装置のSDEを決定するステップを含むことができる。方法は、少なくとも1つの所定の空間周波数における測定値内の周期的変動(たとえば少なくとも1つの特性、たとえば複数の特性)の形態に基づいてエンコーダ装置のSDEを決定するステップを含むことができる。換言すれば、方法は、少なく1つの所定の空間周波数における測定値内の周期的変動の特性を決定するステップを含むことができる。少なくとも1つの特性は、前記少なくとも1つの所定の空間周波数における測定値内の周期的変動を説明することができる。少なくとも1つの特性は、前記少なくとも1つの所定の空間周波数における前記変動の大きさを含むことができる。少なくとも1つの特性は、前記少なくとも1つの所定の空間周波数における前記変動の位相オフセットを含むことができる。理解されるように、大きさおよび/または位相オフセットは、正弦および余弦の関数の組み合わせの大きさによって(たとえば位相オフセットを直接参照せずに)表され得る。エラーマップは、前記決定された形態/特性に基づくことができる。
【0019】
任意選択により、方法は、予想される測定値からのいかなる変動もエンコーダ装置のSDEによるものであることを想定するステップを含む。したがって、測定値を使用して、そのような変動に基づいてエラーマップを決定することができる。
【0020】
少なくとも1つの所定の空間周波数は、エンコーダ装置のスケールの周期に対応する(たとえば含む)ことができる。少なくとも1つの所定の空間周波数は、信号周期、たとえばエンコーダ装置の信号周期に対応する(たとえば含む)ことができる。理解されるように、一部のエンコーダでは、信号周期は、スケール周期より短くなることができ、たとえば信号周期はスケール周期の半分になることができる。
【0021】
任意選択により、少なくとも1つの所定の空間周波数は、スケールまたは信号周期の少なくとも1つの高調波に対応する(たとえば高調波を含む)。たとえば、少なくとも1つの空間周波数はまた、スケールまたは信号周期の少なくとも第2の高調波に対応する(たとえば第2の高調波を含む)ことができる。
【0022】
エンコーダ装置は、線形エンコーダ装置とすることができる。エンコーダ装置は、回転式エンコーダ装置とすることができる。たとえば、エンコーダ装置は、(スケールマーキングがディスクの面上に径方向に設けられ得る)ディスクエンコーダ装置、または(スケールマーキングがリングの円周面/縁上に設けられ得る)リングエンコーダ装置とすることができる。
【0023】
装置は、少なくとも1つの回転軸を含むことができる。たとえば、装置は、連接されたヘッドを備えることができる。連接されたヘッドは、たとえば検査デバイスをその周りに配向することができる少なくとも1つの回転軸を含むことができる。エンコーダ装置は、回転軸の回転位置を測定するための(たとえば、前記回転軸周りの検査デバイスの配向を測定するための)回転式エンコーダ装置を含むことができる。連接されたヘッドは、連接されたプローブヘッドとすることができる。特に、連接されたヘッドは、一般的に(たとえば、インデックス型ヘッドに対して)連続ヘッドと称され、一般的には走査ヘッドとしても知られているものとすることができる。連接されたヘッドは、前記1つまたは複数の軸周りで回転をもたらすための1つまたは複数のモータを含むことができる。
【0024】
したがって、連接されたヘッドは、回転式エンコーダ装置を備えることができる。連接されたヘッドは、第1の部材と、第1の軸周りで第1の部材に対して回転するように装着された第2の部材とを備えることができる。連接されたヘッドは、第2の軸周りで第2の部材に対して回転するように装着された第3の部材をさらに備えることができる。第1の軸および第2の軸は、互いに非平行であることができ、たとえば、互いに垂直であることができる。連接されたヘッドは、デバイス、たとえば検査デバイスを第3の部材に装着することができるように構成され得る。第2の部材および第3の部材は、第1の軸および第2の軸周りでデバイス(たとえば検査デバイス)の回転運動をもたらすことができる。回転式エンコーダ装置は、第1の部材と第2の部材の間で作用して、第1の軸周りのこれらの角度位置を測定することができる(たとえば、それにより、第1の軸周りのデバイス(たとえば検査デバイス)の角度位置を測定することができる)。回転式エンコーダ装置は、第2の部材と第3の部材の間で作用して、第2の軸周りのこれらの角度位置を測定することができる(たとえば、それにより、第2の軸周りのデバイス(たとえば検査デバイス)の角度位置を測定することができる)。第1の部材は、少なくとも1つの線形次元、たとえば少なくとも2つの垂直線形次元、たとえば3つの相互に垂直な線形次元内で移動可能である装置の一部に装着されるように構成され得る。たとえば、第1の部材は、中空軸(たとえばCMMの中空軸)として一般的に知られているものに装着されるように構成され得る。
【0025】
任意選択により、第1の部材と第2の部材との間で作用して第1の軸周りのこれらの角度位置を測定する第1の回転式エンコーダ装置が設けられ、第2部材と第3の部材との間で作用して第2の軸周りのこれらの角度位置を測定する第2の回転式エンコーダ装置が設けられる。連接されたヘッド上に検査デバイスが装着される実施形態では、第1の部材と第2の部材との間で作用して第1の軸周りの検査デバイスの角度位置を測定する第1の回転式エンコーダ装置を設けることができ、第2の部材と第3の部材との間で作用して第2の軸周りの検査デバイスの角度位置を測定する第2の回転式エンコーダ装置を設けることができる。少なくとも第1の回転式エンコーダ装置のSDEを決定することができる。少なくとも第2の回転式エンコーダ装置のSDEを決定することができる。少なくとも第1のエラーマップを、第1の回転式エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを補正するために決定することができる。少なくとも第2のエラーマップを、第2の回転式エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを補正するために決定することができる。
【0026】
理解されるように、検査デバイスは、人工物、たとえば人工物のフィーチャ、たとえば表面を検査するためのものとすることができる。たとえば、検査デバイスは、たとえば、表面の位置を検出し測定するための表面感知デバイスとすることができる。たとえば、検査デバイスは、接触測定プローブまたは非接触測定プローブとすることができる。接触プローブは、スタイラスを備えることができる。接触プローブは、スタイラスシャフトと、スタイラス先端部とを備えることができる。スタイラスシャフトは、スタイラス先端部を接触プローブの本体から外方に離間させることができる。接触プローブの本体は、装置(たとえば連接されたプローブヘッド)に連結されるように構成され得る。検査デバイスは、タッチトリガプローブとすることができる。検査デバイスは、アナログ測定プローブ、たとえばアナログ接触測定プローブとすることができる。理解されるように、アナログ接触プローブは、プローブ本体に対するプローブスタイラスの偏向の程度の尺度を提供することができる。前記測定値は、フィーチャの位置、たとえば人工物の表面の測定値に関することができる。たとえばスタイラス先端部を有する接触プローブの場合、測定値は、スタイラス先端部の位置測定値に関することができる。
【0027】
装置は、ピックアンドプレース機などの製造装置を含むことができる。装置は、ロボットアームなどの連接されたアームを備えることができる。装置は、測定装置を含むことができる。装置は、座標位置決め機とすることができる。たとえば、装置は、工作機械、または座標測定機(CMM)とすることができる。
【0028】
適切なエンコーダ装置は、磁気的、光学的(透過性および反射性バージョン、ならびに回折性および非回折性バージョンを含む)、伝導性および容量性のエンコーダ装置を含む。適切なエンコーダ装置は、インクリメンタル型およびアブソリュート型のエンコーダ装置を含む。適切なエンコーダ装置は、封入型(封止型としても知られている)エンコーダ装置および開放型(露出型としても知られている)エンコーダ装置を含む。
【0029】
エンコーダ装置は、インクリメンタル型エンコーダ装置を含むことができる。エンコーダ装置は、アブソリュート型エンコーダ装置を含むことができる。エンコーダ装置は、インクリメンタル型およびアブソリュート型を組み合わせたエンコーダ装置を含むことができる。
【0030】
理解されるように、エンコーダ装置のスケールは、読み取りヘッドによって読み取ることができる、一連のフィーチャ、たとえばフィーチャの配列を含むことができる。一連のフィーチャ/フィーチャの配列は、一次元または二次元内を延びることができる(したがって、エンコーダ装置は、一次元または二次元エンコーダ装置とすることができる)。フィーチャは、線、ドット、または他の形状の形態をとることができる。
【0031】
スケールは、一連のほぼ周期的に配置されたフィーチャを含むことができる。スケールのフィーチャの(ピッチとも称される)周期は、2mmを超えず、たとえば1mm以下、たとえば500μm(ミクロン)以下、任意選択により100μm(ミクロン)以下、たとえば50μm(ミクロン)以下、任意選択により40μm(ミクロン)以下とすることができる。
【0032】
任意選択により、エンコーダ装置は、回折に基づく光学エンコーダを含む。したがって、スケールは、(たとえば読み取りヘッド内の光源からの)光を回折するように構成することができ、それによって結果として生じた信号(たとえば干渉縞または調節されたスポット)を検出器において形成し、この信号はスケールおよび読み取りヘッドの相対運動によって変化する。理解されるように、光は、赤外線から紫外線領域までのどこかの波長を有する電磁放射(EMR)を含むことができる。
【0033】
任意選択により、エンコーダ装置(たとえば読み取りヘッド、たとえば読み取りヘッド内の検出器)は、直交信号(たとえばアナログ直交信号、たとえばSINEおよびCOSINE信号)を生み出すように構成され、この直交信号は、スケールおよび読み取りヘッドの相対運動に応答して変化する。エンコーダ装置は、前記直交信号を補間するように構成され得る。エンコーダ装置のSDEは、前記直交信号の前記補間に関することができる。しかし、理解されるように、これを必ずしも当てはめる必要はない。たとえば、本発明はまた、そのような直交信号を生み出さないエンコーダ装置と共に使用され得る。本発明はまた、スケールおよび読み取りヘッドの相対運動に応答して周期的信号を生み出さないエンコーダ装置と共に使用され得る。たとえば、本発明は、光学画像に基づくエンコーダシステムと共に使用され得る。本発明は、スナップショット(たとえば光学画像)に基づくエンコーダシステムと共に使用することができ、このエンコーダシステムは、要求に応じてスケールのスナップショットを取得し、これからスケールおよび読み取りヘッドの相対位置を決定することができる。たとえば、本発明は、アブソリュートスケールの光学画像を得るように構成された、特許文献1において説明されるアブソリュート型エンコーダ内の微細ピッチ位置情報の決定を補正するために適用され得る。
【0034】
測定値は、フィーチャ/表面の検査中に取得された測定値を含むことができる。測定値は、フィーチャ/表面の測定値に関することができる。測定値は、エンコーダ装置の出力を含むことができる。測定値は、(たとえば人工物の検査中)装置の相対的に移動可能な部材の相対位置および/または配向に関することができる。測定値は、装置の運動(たとえば測定)容積内の任意の表面の測定値を含むことができる。測定値は、装置運動(たとえば測定)容積内に位置付けられた人工物(たとえば較正人工物)の測定値に関することができる。理解されるように、フィーチャ/表面/人工物は、装置自体の一部(たとえば装置のテーブルの表面、たとえば工作物テーブル)、または装置の運動(たとえば測定)容積内に入るように位置付けられた取り外し可能な物体とすることができる。理解されるように、表面は、必ずしも人工物の外面ではない。たとえば、表面は、人工物の内面を含むことができる。また、理解されるように、フィーチャは、必ずしも目立ったフィーチャである必要はない。たとえば、フィーチャは、平坦な平面表面上の点または線を含むことができる。
【0035】
理解されるように、表面の測定値は、表面の法線である測定値を含むことができる。たとえば、接触プローブの場合、測定値は、表面の法線である先端部位置の測定値とすることができる。方法は、位置測定値(たとえば、表面測定値、先端部測定値)をスケール測定値(たとえば角度測定値)に関連付けるステップを含むことができる。任意選択により、測定値は、装置の一部の決定された位置を含む。任意選択により、測定値は、装置の一部の決定された配向を含む。任意選択により、測定値は、装置上に装着された検査デバイスの決定された角度位置および/または配向を含む。
【0036】
方法は、測定値に関連する誤差を決定するステップと、前記誤差から(たとえば前記誤差の変動に基づいて)SDEを決定するステップとを含むことができる。
【0037】
プローブは、受働的プローブとすることができる。プローブは、剛性接触プローブとすることができる。
【0038】
任意選択により、装置(たとえば連接されたヘッド)は、プローブ(たとえば剛性プローブ)を表面に対して付勢し、これを表面に沿って表面内の偏向をたどるよう適合/移動させながらドラッグするように構成され得る。たとえば、装置は、表面に対して付勢されたプローブを一定の力で保つためにサーボ制御され得る(servoed)。たとえば、装置(たとえば連接されたヘッド)は、一定のトルクモードで作動され得る。
【0039】
任意選択により、方法は、フィーチャ、たとえば知られている形状を有する表面の測定値を得るステップを含む。たとえば、方法は、球形状、たとえば球形の測定値を得るステップを含む。方法は、球形周り、たとえばその赤道線周りの測定値を得るステップを含むことができる。
【0040】
任意選択により、方法は、検査デバイスおよび測定されるフィーチャ/表面を(たとえば連接されたヘッドの)回転軸周りで、プローブと人工物の表面(たとえば球形の表面)との間に名目上一定である相対配向を維持するように相対的に回転させるステップを含むことができる。これは、プローブが、それ自体に対して、これがフィーチャ/表面に沿って(たとえば球形周りを)移動するときにほぼ同じ方向に測定するようなものになり得る。たとえば、接触プローブの場合、これは、表面法線とスタイラス長さとの間の相対配向が、測定値を取得する間ほぼ一定である(たとえばほぼ垂直である)ようなものになり得る。
【0041】
方法は、人工物を測定するステップと、決定されたサブディビジョナルエラーを使用して(たとえばエラーマップを使用して)エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを補正するステップとをさらに含むことができる。たとえば、方法は、エンコーダ装置の出力を補正するステップを含むことができる。方法は、補正された出力を使用して人工物の測定値(たとえば人工物の表面の位置)を決定するステップを含むことができる。理解されるように、これは、補正された出力を使用してプローブの表面感知領域の位置を決定するステップを含むことができる。
【0042】
理解されるように、エラーマップは、適切な場合はいつでも記憶され得る。たとえば、エラーマップは、恒久的なまたは一時的なメモリデバイス内に記憶され得る。
【0043】
エラーマップは、局所的にまたは装置から遠隔に記憶され得る。たとえば、エラーマップは、測定装置の一部内(たとえば連接されたヘッド内)に位置付けられたメモリ内に記憶され得る。任意選択により、エラーマップは、装置に関連するコンピュータ、たとえば制御装置内に記憶される。
【0044】
本発明の第2の態様によれば、スケールおよび読み取りヘッドを備えるエンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定する方法であって、スケールおよび読み取りヘッドを互いに対して移動させ、測定値を得るステップと、少なくとも1つの所定の空間周波数における前記測定値内の(たとえば特定可能な)周期的変動に基づいてエンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定するステップとを含む方法が、提供される。たとえば、本発明の第3の態様によれば、スケールおよび読み取りヘッドを備えるエンコーダ装置の出力内のサブディビジョナルエラーを補正するためのエラーマップを生成する方法であって、スケールおよび読み取りヘッドを互いに対して移動させ、測定値を得るステップと、少なくとも1つの所定の空間周波数における前記測定値内の(たとえば特定可能な)周期的変動に基づいてエンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを補正するためのエラーマップを生成するステップとを含む方法が、提供される。これは、装置(たとえば測定装置)内に設置されたエンコーダ装置によって行われ得る。本発明の第4の態様によれば、装置の相対的に移動可能な部材の位置を監視するように構成されたエンコーダ装置の出力内のサブディビジョナルエラーを補正するためのエラーマップを生成する方法であって、スケールおよび読み取りヘッドを互いに対して相対的に移動させ、測定値を得るステップと、少なくとも1つの所定の空間周波数における前記測定値内の(たとえば特定可能な)周期的変動に基づいてエンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを補正するためのエラーマップを生成するステップとを含む方法が、提供される。
【0045】
したがって、任意選択により、本発明は、少なくとも1つの所定の空間周波数における測定値内の変動が、エンコーダ装置のSDEによって引き起こされることを想定し、決定されたSDEおよび任意選択により任意のエラーマップをこの想定に基づかせることに依拠する。
【0046】
エラーマップは、少なくとも1つの所定の空間周波数における前記測定値内の周期的変動の形態(たとえば特性)に基づいて生成され得る。換言すれば、方法は、前記少なくとも1つの所定の空間周波数における測定値内の周期的変動の特徴を特定するステップを含むことができる。たとえば、方法は、前記少なくとも1つの所定の空間周波数における測定値内の周期的変動の形態を特定するステップを含むことができる。たとえば、方法は、前記少なくとも1つの所定の空間周波数における測定値内の周期的変動の少なくとも1つの特性(たとえば複数の特性)を特定するステップを含むことができる。少なくとも1つの特性(たとえば複数の特性)は、前記少なくとも1つの所定の空間周波数における周期的変動を説明することができる。
【0047】
測定値は、そのような相対動作中に取得された(たとえば人工物の)フィーチャ、たとえば表面の測定値を含むことができる。たとえば、測定値は、人工物の表面の位置の測定値を含むことができる。たとえば、上記および下記に与えられる例となる実施形態に沿って、測定値は、前記相対運動中の(たとえば接触プローブ)のスタイラス先端部の位置に関することができる(たとえばその決定された位置を含むことができる)。
【0048】
任意選択により、測定値は、前記相対運動中のエンコーダ装置の出力を含む。したがって、方法は、前記相対運動中、エンコーダ装置の出力(たとえば読み取りヘッドの出力)内の周期的変動の少なくとも1つの特性(たとえば複数の特性)を決定するステップを含むことができる。エンコーダ装置の出力は、読み取りヘッド内のスケール検出器からの、処理済みまたは未処理の出力を含むことができる。たとえば、エンコーダ装置の出力は、読み取りヘッドの出力を含むことができる。任意選択により、エンコーダ装置は、読み取りヘッドに関連する補間器からの出力を含む。任意選択により、エンコーダ装置の出力は、スケール読み取り値に基づくスケールおよび読み取りヘッドの位置測定値を含む。測定値は、時間に対して取得され得る(たとえば記録され得る)。
【0049】
任意選択により、測定値は、前記動作中、エンコーダ装置が組み込まれた装置(たとえば測定装置)の相対的に移動可能な部材の決定された相対位置および/または配向に関することができる。
【0050】
方法は、少なくとも1つのエラーマップを生成するステップであって、これが、エンコーダ装置の範囲の種々の領域に対して異なり、それによってエンコーダ装置のその範囲全体にわたってサブディビジョナルエラー内の相違に対応する、ステップを含むことができる。したがって、少なくとも1つのエラーマップは、エンコーダ装置の範囲の種々の領域に対して異なることができる。
【0051】
所定の周波数は、読み取りヘッド信号周期またはスケール周期、および任意選択によりそれらの高調波を含むことができる。
【0052】
本発明の別の態様によれば、コンピュータ実施方法であって、エンコーダ装置が組み込まれた装置(たとえば測定装置)によって取得された測定値を受け取るステップであって、測定値はエンコーダ装置の出力から導出される、ステップと、前記測定値からエンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定するステップとを含むコンピュータ実施方法が、提供される。測定値は、フィーチャの表面の測定値を含むことができる。測定値は、検査デバイスによって取得され得る。検査デバイスは、たとえば表面の位置を検出し測定するための表面感知デバイスとすることができる。たとえば、検査デバイスは、接触測定プローブまたは非接触測定プローブとすることができる。
【0053】
理解されるように、方法は、ビスポーク専用電子装置(bespoke dedicated electronics)(たとえばFPGA)によって実施されても、またはたとえば汎用プロセッサ上でソフトウェアにより実施されてもよい。
【0054】
理解されるように、上記で説明した方法は、コンピュータ実施方法とすることができる。
【0055】
本発明の別の態様によれば、コンピュータ実施方法であって、少なくとも1つの所定の空間周波数における測定値内の周期的変動の特性に基づいてエンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを補正するためのエラーマップを生成するステップを含むコンピュータ実施方法が、提供される。したがって、方法は、測定値を受け取るステップと、前記測定値を分析して少なくとも1つの所定の周波数におけるその中のすべての周期的変動を決定するステップと、すべてのそのような周期的変動(たとえば形態または少なくとも1つの特性(たとえば複数の特性))に基づいてエラーマップを生成するステップとを含むことができる。
【0056】
本発明のさらに別の態様によれば、コンピュータによって実行されたとき、上記で説明した方法の任意のものをコンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラムコードが、提供される。
【0057】
また、本発明の別の態様により、上記で説明したようなコンピュータプログラムコードを有するコンピュータ可読媒体が、提供される。
【0058】
さらに、本発明により、スケールと、スケールを検出するための読み取りヘッドとを備えるエンコーダ装置であって、エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーの形態(たとえばエンコーダ装置のサブディビジョナルエラーの形態)を説明する少なくとも1つの誤差関数が提供されるエンコーダ装置が、提供される。
【0059】
サブディビジョナルエラーの前記説明は、エンコーダ装置の測定範囲に沿って変化し得る。任意選択により、関数は、少なくとも1つの係数を含み、それ自体は、スケールおよび読み取りヘッドの相対位置に依存する(たとえばその関数である)。
【0060】
また、本発明により、上記で説明したようなエンコーダ装置を備える装置(たとえば、測定装置)も提供される。
【0061】
装置(たとえば測定装置)は、人工物を検査するためのものとすることができ、少なくとも1つのエンコーダ装置は、装置上に装着された検査デバイスの位置を決定するのに使用されるように構成され得る。
【0062】
理解されるように、本発明の上記で述べた態様のいずれか1つに関連して上記で説明したフィーチャはまた、本発明の他の態様にも適用可能である。
【0063】
本発明の実施形態は、次に、以下の図を参照して例のみとして説明される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】工作物を測定するための検査デバイスが装着された、連接されたヘッドを備えるCMMを示す図である。
図2図1に示す連接されたヘッドの断面図である。
図3図2の連接されたヘッド内で使用するのに適した回転式エンコーダ装置の例となるスケールおよび読み取りヘッドを示す概略図である。
図4図3のスケールおよび読み取りヘッドの光学方式を示す概略図である。
図5図3および4のエンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを示す概略図である。
図6a】回転式エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定することができる測定値を得るための例となる方法を示す概略図である。
図6b】回転式エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定することができる測定値を得るための別の例となる方法を示す概略図である。
図7図6aまたは6bに示す方法によって取得された測定値の一部のグラフである。
図8】回転式エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定することができる測定値を得るための別の例となる方法を示す概略図である。
図9】回転式エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定することができる測定値を得るためのさらに別の例となる方法を示す概略図である。
図10】回転式エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定することができる測定値を得るためのさらに別の例となる方法を示す概略図である。
図11】回転式エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを説明する関数の係数が、回転式エンコーダ装置の測定範囲全体にわたってどのように変化し得るかを示す複数のグラフである。
図12】例となるサブディビジョナルエラーマップを示し、エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーの形態が、エンコーダ装置の測定範囲全体にわたってどのように変化し得るかを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1は、座標測定機(CMM)14上に装着された電動式の連接された走査(連続)ヘッド16を示す。測定される工作物10は、CMM14のテーブル12上に置かれ、電動式走査ヘッド16は、CMM14の中空軸18上に装着される。中空軸18は、知られている方法でモータによってテーブルに対してX、Y、Zの方向に駆動可能である。
【0066】
図2に示すように、電動式走査ヘッド16は、シャフト22の形態の移動可能な部材を支持するベースまたはハウジング20によって形成された固定された部材を備え、シャフト22は、モータM1によって第1の軸A1周りでハウジング20に対して回転可能である。シャフト22は、シャフト26をさらに支持する別のハウジング24に固定され、シャフト26は、モータM2によって、第1の軸A1に対して垂直な第2の軸A2周りでハウジング24に対して回転可能である。
【0067】
工作物接触先端部30を有するスタイラス29を備えたプローブ28が、電動式走査ヘッド16上に装着される。この配置は、ヘッドのモータM1、M2が、工作物接触先端部30を、軸A1またはA2の周りで角度を付けて配置することができ、CMM14のモータが、電動式走査ヘッドを、CMMの3次元座標フレームワーク内の任意の場所に線形に配置することができるようなものである。そのような動作のどのような組み合わせも、スタイラス先端部30を走査される表面と所定の関係になるようにもっていくように制御され得る。
【0068】
(線形位置変換器としても知られている)線形エンコーダ(図示せず)は、走査ヘッドの線形変位を測定するためにCMM上に設けられ、(角度位置変換器としても知られている)角度/回転式エンコーダE1およびE2は、それぞれの軸A1およびA2周りのスタイラスの角度変位を測定するために走査ヘッド内に設けられる。
【0069】
この実施形態では、プローブは、偏向可能なスタイラス29を有し、プローブ内の変換器は、スタイラス偏向の量を測定する。理解されるように、他のタイプのプローブが使用されてよい。たとえば、(偏向の程度の尺度を与えるのではなく)接触が起こったことを示すタッチトリガプローブが、使用され得る。剛性プローブが使用され得る。たとえば、連接されたヘッドは、剛性プローブを、これが表面に沿って移動するときに表面に対して(たとえば一定のトルクモードで)付勢するように作動され得る。任意選択により、非接触プローブが、接触プローブの代わりにまたはこれに加えて使用されてよい。プローブは、一次元(たとえば、表面からの距離を感知する非接触プローブ)、二次元(たとえばXおよびYの偏向を感知する接触プローブ)、または三次元(たとえば、X、Y、およびZの偏向を感知する接触プローブ)でよい。
【0070】
説明する実施形態では、走査ヘッド16のA1軸は、名目上CMMのZ軸に対して平行である(中空軸18に沿っている)。走査ヘッドは、プローブをこの軸周りで連続的に回転させることができる。走査ヘッドのA2軸は、このA1軸に直交する。
【0071】
部材を測定するとき、プローブが第1のA1軸および第2のA2軸周りに配置される正確な角度を知ることが重要になり得る。理解されるように、測定される点は、角度が測定された源からオフセットされている(すなわち、この場合スタイラス先端部の位置はヘッド内の角度エンコーダからオフセットされている)ため、決定された角度位置における誤差は、オフセット距離により増幅される。換言すれば、決定された位置におけるいかなる誤差の大きさも、源から離れるにつれて増大する。したがって、角度エンコーダE1およびE2の出力ができるだけ誤差を含まないことを確実にすることが重要になり得る。
【0072】
図1および図2の連接されたヘッド内で使用するのに適した例となる角度エンコーダのより詳細な説明が、次に、図3から5を参照して提供され得る。図3に示すように、エンコーダ装置は、ディスク40を備えることができ、ディスク40は、ディスクの平面上のその周囲回りに、一連の交互の光反射線および非反射線44から構成されるインクリメンタルスケール42を有する。線44は、径方向に延び、互いから円周方向に離間される。説明する実施形態では、スケール42は、大きさのスケールであるが、理解されるように、位相スケール構造を代替的に設けることもできる。この実施形態では、読み取りヘッド50の対が、スケールに隣接して位置付けられる。読み取りヘッド50は、中央軸受38の周りでインクリメンタルスケール42に対して回転可能であるように配置される。この実施形態では、エンコーダ装置は、スケール40が連接されたヘッドの軸の回転運動によって回転するように構成されるが、理解されるように、これは、読み取りヘッドが、連接されたヘッドの軸の回転運動によって回転するように他の方法であるように構成され得る。理解されるように、単一の読み取りヘッド50のみが必要とされるが、たとえば、スケールおよび/または読み取りヘッドの回転動作における偏心によって引き起こされる誤差を除去するために、2つ以上の読み取りヘッドを有することが有用になり得る。
【0073】
図4を参照すれば、図3を参照して説明した装置の読み取りヘッド50が、より詳細に示される。読み取りヘッド50は、光源52と、回折率格子54と、増分検出器56と、参照マーク検出器58とを含む。まとめると、光源52から発せられた光は、インクリメンタルスケール42によって反射され回折される。反射され回折された光は、回折率格子54と相互作用し、回折率格子54は光をさらに回折し、光は干渉して検出器56において干渉縞を形成し、干渉縞は、ディスク40および読み取りヘッド50の相対運動によって移動する。検出器56は、干渉縞を検出し、応答して出力信号を与える。理解されるように、読み取りヘッドは、一般的に直交信号(たとえばSINおよびCOS信号)として知られているものを生み出すことができ、直交信号は、ディスク40および読み取りヘッド50の相対位置および動作を検出し、記録するために使用することができる。
【0074】
理解されるように、ディスク40は、1つまたは複数の参照位置を規定する1つまたは複数の参照マーク48を有することができる。説明する実施形態では、参照マーク48は、インクリメンタルスケール42に隣接して置かれ、図4に概略的に示すように、読み取りヘッド50の光源52の設置面積内に位置付けられる。説明し、図示する実施形態では、参照マーク48は、読み取りヘッド50内の参照マーク検出器58に向かって反射されて戻る光の量を低減するように構成される(しかし、たとえば、参照マーク検出器に向かって反射されて戻る光の量を増大するようにおよび/または参照マーク検出器に向かって反射されて戻る光のパターン内の変化をもたらすように異なって構成され得る)。エンコーダ装置は、読み取りヘッド50およびスケール40が参照位置にあることを信号で示すために参照マーク検出器58において変化を検出し、報告するように構成される。そのようなタイプのエンコーダは、よく知られており、たとえば、参照によってその詳細が本明細書に組み込まれる特許文献2においてより詳細に説明される。
【0075】
理解されるように、本発明はまた、他のタイプのインクリメンタル型光学エンコーダ(たとえば、光の回折および干渉に依拠しないものを含む)、ならびに非光学エンコーダ(たとえば、磁気、静電容量、誘導性エンコーダ)、線形エンコーダ、およびアブソリュート型エンコーダも含む他のタイプのエンコーダにも適用可能である。
【0076】
一般的に知られているように、読み取りヘッドおよび/またはその検出器によって記録される信号は、スケールのフィーチャのピッチ(「周期」としても知られている)より極めて高い解像度を有する位置測定値を生み出すように補間され得る。読み取り信号の周期がスケール周期より高い周波数(より短い波長)を有する場合があり、その場合、依然として補間を使用して、信号周期より極めて高い解像度を有する位置想定値を生み出すことができる。いずれにせよ、補間は、読み取りヘッドおよびスケールの位置ずれにより、完璧でないことがあり、その結果、たとえば図5に概略的に示すように、スケールピッチおよび/または信号周期間隔ごとに繰り返す系統的誤差を生じさせる。図示するように、誤差は、スケール/信号周期内では一定ではなく、それよりもこれらは、スケール/信号周期内で(循環的/周期的/反復的に)変化する。これらは、サブディビジョナルエラー(SDE)として知られている。SDEはまた、一般的に「補間誤差」として知られている。この文献では、SDEおよび補間誤差の用語は、交換可能に使用することができ、同じことを意味する。
【0077】
たとえば、上記で説明した実施形態の回転式エンコーダを考えると、1回転あたりNスケール/信号周期間隔を用いて、すべてのSDEの形態は、関数によって、たとえば一連の高調波関数によって表され得る。
【0078】
【数1】
【0079】
式中、E(A)は、軸位置Aの関数としての(たとえばラジアン単位の)エンコーダ誤差(たとえばラジアン単位)であり、asiおよびaciは、高調波成分の大きさであり、nは最大高調波次数である。
【0080】
説明する実施形態では、1次数および2次数が、エンコーダ装置のSDEを表すのに十分であることが見い出されている。したがって、SDEは、
【0081】
E(A)=as1sin(NA)+ac1cos(NA)+as2sin(2NA)+ac2cos(2NA) (2)
【0082】
によって説明され得る。
【0083】
したがって、高調波成分as1、ac1、aS2、aC2の大きさが見いだされると、関数はSDEを説明する。次いで、エラーマップを作り出すことができる。たとえば、エラーマップは、誤差関数を含むことができる。関数は、たとえば、エンコーダ装置からの位置が必要とされるたびに誤差を算出するために適用され得る。任意選択により、エラーマップは、異なる形態をとることができ、たとえば、関数から導出され得る。たとえば、ルックアップテーブルを関数から生成することができる。理解されるように、使用される特有のエンコーダに応じて、SDEを適切に説明するためにより多いまたはより少ない次数を使用することができる。
【0084】
エンコーダ装置のSDEを決定するための2つの新しい方法が、以下に説明される。
【0085】
図6aを参照すれば、上記で説明した連接されたヘッド16の回転軸のSDEを測定する第1の方法は、その表面法線を測定されるSDEの回転軸に対して垂直にして配置された平坦表面を測定するステップを含む(そうではあるが、理解されるように、これを必ずしも当てはめる必要はない)。平面の表面法線を最初に測定することができ、次いで、ヘッド軸の位置を走査開始時の角度a1から走査終了時の角度a2まで変化させながら、線形走査を平面上で先端部位置T1から位置T2まで実行することができる。図6aは、CMMのz軸(すなわち軸A1)に対して平行な回転軸の例となる運動を示す。
【0086】
図6bは、この方法に対してわずかに変形させたものを示し、これは、測定値が取得されている軸に沿った(たとえばこの場合はCMMのy軸に沿った)CMMのすべての線形運動を回避する。これは、特定されたすべてのSDEが、回転式エンコーダだけによるものであり、y軸の線形エンコーダから生じるSDEによるものではないことを確実にするのに役立ち得る。
【0087】
上記で説明したように、SDEによる角度誤差を以下のようにモデル化することができる。
【0088】
E(A)=as1sin(NA)+ac1cos(NA)+as2sin(2NA)+ac2cos(2NA) (3)
【0089】
この角度誤差は、平面の表面法線に沿って先端部位置測定誤差「d(A)」を引き起こす。
【0090】
d(A)=Lsin(P)E(A) (4)
【0091】
式中、Pは、プローブと平面表面法線との間の角度(たとえばラジアン単位)であり、Lは、(回転軸からプローブ先端部までの)プローブの長さ(たとえばmm単位)である。これは、下記まで拡張する。
【0092】
d(A)=Lsin(P)[as1sin(NA)+ac1cos(NA)+as2sin(2NA)+ac2cos(2NA)] (5)
【0093】
平面に沿った高解像度線形スキャンは、軸角度Aおよび距離測定値dの組を生み出す。このデータとの最良適合(たとえば線形最良適合)を使用して、高調波係数as1、ac1、as2、およびac2を決定することができる。理解されるように、測定データは、係数を決定するために種々の方法で、たとえばフーリエ分析(たとえば高速フーリエ変換)をデータセット上で実行して所定の周波数における係数の値を決定することによって分析することができる。距離測定値に影響を与える誤差の他の源は数多く存在するが、SDEは、これが(エンコーダスケールピッチによって決定されるように)非常に特有の空間周波数を有するためにSDEを確実に引き出すことができ、他の効果はこの周波数において系統的に寄与しにくい。
【0094】
理解されるように、代替の実施形態では、最良適合を実行する前に距離測定値dをエンコーダ角度に変換することができる。
【0095】
0.037度のスケールピッチを有する角度エンコーダからの例となるデータセットが、図7に示される。
【0096】
平面人工物を使用する際の欠点は、回転式エンコーダの制限された範囲のみが単一の走査で測定され得ることである。エンコーダの全範囲を測定するために、球形人工物を使用することができる。球形人工物では、プローブを、プローブと球形の間の接触点において表面法線に対して常に垂直に保ちながら、球形の周りで(たとえば球形の赤道線に沿って)走査を実行することができ、これを図8に示す。
【0097】
次いで、測定システム内の誤差を、任意の所与の点において半径測定誤差を調査することによって決定することができる。プローブと表面法線の間の角度は常に90度であるため、平面測定に使用されるsin(P)条件を次に取り除くことができ、その結果SDE誤差のモデルが生じる。
【0098】
r(A)=L[as1sin(NA)+ac1cos(NA)+as2sin(2NA)+ac2cos(2NA)] (6)
【0099】
式中、r(A)は、球形人工物上のプローブ先端部の測定された半径誤差である。前述と同様に、このデータとの線形適合を使用して高調波係数as1、ac1、as2およびac2を決定することができる。
【0100】
CMMのz軸(たとえばA2軸)に対して垂直な回転軸の場合、球形装着ストークがプローブを妨げるために球形周りをすべて走査することは不可能になり得る。軸の全範囲を測定するために、2つの別個の走査からのデータを組み合わせることができ、これを図9および10に概略的に示す。
【0101】
すべてのSDEの形態は、スケールに対する読み取りヘッドの位置合わせによって影響が与えられ得るため、SDEは、読み取りヘッドの位置合わせが軸位置と共に変化し得るために軸の全範囲にわたって同じでないことがある。この影響を考慮に入れるために、高調波係数as1、ac1、as2およびac2は、軸位置の関数とすることができる。
【0102】
たとえば、球形の赤道を走査することによってデータを収集した後、これを一気に分析するのでなく、データを軸位置に基づいて小さいセクションに分割することができ、これらを別個に分析してその位置範囲のみに有効な高調波係数のセットを生み出すことができる。たとえば、軸位置0から5度の間で取り込まれたデータが分析されて係数のセットを与え、次いで5から10度の間のデータが分析されて係数の別のセットを与え、そのように続く。次いで、係数の変動を軸位置の関数としてプロットすることができ、その例を図11に示す。
【0103】
係数の変動はまた、高調波関数を使用してパラメータ化することもできる。現在説明している実施形態では、スケールに沿った係数の変動をモデル化するには5次までで十分になり得るため、たとえば、SDE内の変動をモデル化するには以下の式で十分になり得る。
【0104】
【数2】
【0105】
これは、各々「1つ」の係数の変動が11個のパラメータによってモデル化され、その結果、合計44個のパラメータが1つの軸に対してSDEを特徴付けるために必要とされることになる。
【0106】
理解されるように、エラーマップを、適切な場合はいつでも、たとえば装置に関連するメモリ内に記憶させることができる。
【0107】
理解されるように、上記のエラーマップは高調波級数関数を含むが、これを必ずしも当てはめる必要はない。たとえば、高調波級数ではなく、SDEは、多項式関数によって表すことができる。したがって、エラーマップは多項式関数を含むことができる。さらに、理解されるように、エラーマップは、SDEを説明する関数の代わりにルックアップテーブルを含むことができる。ルックアップテーブルの場合、ルックアップテーブルは、必要とされる解像度に合致する密度を有することができ(たとえば、可能な補間される位置ごとに単一のデータ入力が存在することができ)、またはよりまばらな密度を有することができ、この場合、テーブル内の入力間の補間が必要とされ得る。理解されるように、ルックアップテーブルを実施し、使用することができるさまざまな方法が存在する。たとえば、エンコーダ装置の全測定範囲の補正をマッピングする1つのルックアップが提供され得る。任意選択により、基本的形態を有する1つのルックアップテーブルが提供され、スケールおよび読み取りヘッドの相対位置に依存する変更子が提供される。
【0108】
任意選択により、種々の軸範囲特有の複数のルックアップテーブルが、提供される。任意選択により、複数のルックアップテーブルが、所与の軸位置に対して提供され、これらの所与の軸位置間の位置に関するSDE誤差をそこから補間することができる。
【0109】
上記は、回転式エンコーダ装置に関連して本発明の例となる実施を説明してきた。しかし、理解されるように、本発明を使用して線形エンコーダ装置のSDEを決定することもできる。したがって、たとえば、プローブ先端部は、プローブスタイラスを偏向させるようにCMMの線形軸の1つの(たとえば、Y軸に沿った)運動によって人工物内へと駆動され得る。そのような偏向中プローブ先端部の位置に関する一連の測定値を収集することができる。スタイラス先端部の決定された位置は、一定であるべきであり、そのため、SDEが起こると予想される所定の空間周波数(すなわちスケール/信号周期およびその高調波)における測定値内のいかなる変動も線形エンコーダのSDEに起因し得る。そのような技術は、異なるまたはさらに全体の線形軸に沿って繰り返すことができ、および/または測定されたSDEが、線形エンコーダの領域/全範囲にわたって一定であると想定することができる。いずれの場合も、理解されるように、線形エンコーダのSDEの形態は、以下の通りに表すことができる。
【0110】
【数3】
【0111】
式中、P=スケールピッチ(たとえばmm単位)であり、x=位置(たとえばmm単位)であり、n=2(たとえば)である。
【0112】
上記は、人工物の検査中に取得された測定値を分析し、必ずしもエンコーダ装置の直接出力ではない測定値を使用することによってエンコーダ装置のSDEを決定する方法を説明してきた。したがって、エンコーダ装置の直接出力を分析してSDEを確立するのではなく、上記は、エンコーダ装置の出力を使用して部分的にそれら自体が導出される測定値からSEDが導出される方法を説明してきた。換言すれば、上記は、エンコーダ装置SDEを間接的に得るための技術として説明することができる。
【0113】
上記はまた、SDEが、これを確立するために所定の周波数において装置によって取得された測定値内の変動を分析することによって取得され得ることを説明してきた。特に、これは、少なくとも1つの所定の空間周波数における測定値内の変動の特性(すなわち位相オフセットおよび大きさ)を決定するための技術を説明する。
【0114】
上記の説明は、エンコーダ装置が中に設けられた装置によって取得された測定値のみを分析することによって(すなわち、干渉計などの外部/二次測定値/較正装置によって取得された測定値を使用することなく)エンコーダ装置のサブディビジョナルエラーを決定するための数多くの方法を提供する。したがって、方法は、装置のエンコーダによって取得されたおよび/またはこれから決定された測定値のみを分析することに依拠する。
【0115】
上記はまた、少なくとも1つの所定の空間周波数において取得された測定値内の変動を見ることによってエンコーダ装置のSDEを引き出す新規の方法の説明も提供する。上記はまた、たとえば関数によって、たとえば測定範囲に沿ったエンコーダのSDE内の変化に対応する関数によって、エンコーダ装置のSDEを表す新規の方法の説明を提供する。これらの場合、SDEを決定するために必要とされるデータは、外部の較正装置を使用するなどの従来の技術を使用して、ならびに上記で教示した新規の方法によって得ることができることが、理解される。たとえば、SDEは、エンコーダ装置の出力を較正された干渉計の出力と比較することによって知られている方法で決定することができ、次いでSDEを説明するための誤差関数を上記で説明した技術に沿って決定することができる。
【0116】
説明した実施形態では、座標位置決め機は、直列CMMである(すなわち、3つの線形自由度が3つの独立した直交動作軸によって与えられる)。しかし、理解されるように、本発明はまた、平行CMM、ロボットアームなどの他のタイプの座標位置決め機の運動を制御するために使用することもできる。本発明はまた、CMM専用だけではなく、工作機械などの他のタイプの座標位置決め機と共に使用することもできる。さらに、理解されるように、本発明は、極性および球形の座標位置決め機などのデカルトおよび非デカルト位置決め機と共に使用するのにも適する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11
図12