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特許7042625消火用タイヤ及び建設作業場の消火システム
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  • 特許-消火用タイヤ及び建設作業場の消火システム 図1
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  • 特許-消火用タイヤ及び建設作業場の消火システム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】消火用タイヤ及び建設作業場の消火システム
(51)【国際特許分類】
   B60C 5/00 20060101AFI20220318BHJP
   A62C 27/00 20060101ALI20220318BHJP
   A62C 3/02 20060101ALI20220318BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20220318BHJP
   B60C 5/02 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
B60C5/00 Z
A62C27/00 504
A62C3/02
B60C5/00 G
B60C19/00 G
B60C5/02 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018004406
(22)【出願日】2018-01-15
(65)【公開番号】P2019123323
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】沖原 光信
(72)【発明者】
【氏名】辻 正邦
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕司
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206566388(CN,U)
【文献】米国特許第05040612(US,A)
【文献】実開昭59-164653(JP,U)
【文献】特開平09-175105(JP,A)
【文献】特表2015-528738(JP,A)
【文献】米国特許第05180455(US,A)
【文献】特開2002-019432(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0043623(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00-19/12
A62C 3/02
A62C 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ外郭の内部に高圧気体を加圧状態で封入した内側チューブが設けられるとともに、前記内側チューブと前記タイヤ外郭の間の空間に消火剤を封入して構成されており、
軸線中心の内側に軸線方向の側面視で同心円状の前記内側チューブが設けられ、前記内側チューブの外側周囲の前記内側チューブと前記タイヤ外郭の間に前記消火剤が封入されていることを特徴とする消火用タイヤ。
【請求項2】
タイヤ外郭の内部に高圧気体を加圧状態で封入した内側チューブが設けられるとともに、前記内側チューブと前記タイヤ外郭の間の空間に消火剤を封入して構成されており、
軸線方向内側に前記内側チューブが設けられ、前記内側チューブの軸線方向外側の前記内側チューブと前記タイヤ外郭の間に前記消火剤が封入されていることを特徴とする消火用タイヤ。
【請求項3】
タイヤ外郭の内部に高圧気体を加圧状態で封入した内側チューブが設けられるとともに、前記内側チューブと前記タイヤ外郭の間の空間に消火剤を封入して構成されており、
軸線中心の周方向に間隔をあけて複数の内側チューブが設けられ、周方向に隣り合う内側チューブの間に前記消火剤が封入されていることを特徴とする消火用タイヤ。
【請求項4】
建設作業車のタイヤとして請求項1から請求項のいずれかに記載の消火用タイヤが用いられていることを特徴とする建設作業場の消火システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火用タイヤ及び建設作業場で発生した火災を消火するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、坑道等の建設作業場の狭隘な空間で火災が発生した場合には、坑道内が強制的に通気されていたり、自然通気が生じていることで、火災が広範囲に拡大しやすい。このため、火災の拡大を防止するためにも火災発生後に迅速な消火活動を行うことが重要になる。
【0003】
これに対し、従来からスプリンクラーなどを設置し、火災を検知するとともに水や粉末消火剤などを放出し、早期に消火を行えるようにする消火システムがあらゆる分野で用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-022104号公報
【文献】特開2004-236724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、坑道等を構築する工事現場では最も火災が発生する可能性がある作業を行う場所が先に延びていく等常に変化するため、消火に有効な位置にスプリンクラーなどの消火システムを適用することは難しく、他の迅速な消火活動を可能にする工事現場に適した新たな手法が強く望まれていた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、坑道等を構築する工事現場で迅速な消火活動を可能にする消火用タイヤ及び建設作業場の消火システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0008】
本発明の消火用タイヤは、タイヤ外郭の内部に高圧気体を加圧状態で封入した内側チューブが設けられるとともに、前記内側チューブと前記タイヤ外郭の間の空間に消火剤を封入して構成されており、軸線中心の内側に軸線方向の側面視で同心円状の前記内側チューブが設けられ、前記内側チューブの外側周囲の前記内側チューブと前記タイヤ外郭の間に前記消火剤が封入されていることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の消火用タイヤはタイヤ外郭の内部に高圧気体を加圧状態で封入した内側チューブが設けられるとともに、前記内側チューブと前記タイヤ外郭の間の空間に消火剤を封入して構成されており、軸線方向内側に前記内側チューブが設けられ、前記内側チューブの軸線方向外側の前記内側チューブと前記タイヤ外郭の間に前記消火剤が封入されていることを特徴とする
【0011】
また、本発明の消火用タイヤはタイヤ外郭の内部に高圧気体を加圧状態で封入した内側チューブが設けられるとともに、前記内側チューブと前記タイヤ外郭の間の空間に消火剤を封入して構成されており、軸線中心の周方向に間隔をあけて複数の内側チューブが設けられ、周方向に隣り合う内側チューブの間に前記消火剤が封入されていることを特徴とする
【0012】
本発明の建設作業場の消火システムは、建設作業車のタイヤとして上記のいずれかの消火用タイヤが用いられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の消火用タイヤ及び建設作業場の消火システムにおいては、火災が発生した際にタイヤから消火剤を噴出させることができる。これにより、スプリンクラーなどの消火設備を設けることが困難な坑道等を構築する工事現場においても、迅速な消火活動が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る消火用タイヤを示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る消火用タイヤの変更例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る消火用タイヤの変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1から図3を参照し、本発明の一実施形態に係る消火用タイヤ及び建設作業場の消火システムについて説明する。
【0016】
本実施形態の建設作業場の消火システムでは、図1に示すように、ダンプトラック等のタイヤ駆動型の大型重機(建設作業機)のタイヤ1の中に消火用水などの消火剤2を入れておき、通常時はこの状態で重機を稼働させ、火災発生時には、消火剤2をタイヤ1から噴射させるようにして消火活動を行う。
【0017】
ここで、工事現場では、重機に起因した事故が考えられ、重機の使用が多い坑道の工事現場では、例えば切羽付近での重機同士の衝突事故が原因となって火災が発生することが考えられる。このようにタイヤ1内に消火剤2を入れた重機自体が事故を起こすなどして火災が発生した場合には、タイヤ1が燃焼し破裂した時点でタイヤ1内の消火剤2が放出されて、消火を担うこともできる。
【0018】
より詳細に、例えば、本実施形態の消火用タイヤ1は、図1に示すように、その内部に高圧気体3を加圧状態で封入した内側チューブ4を、タイヤ外郭(タイヤ1の外郭を形成するタイヤゴム)5の内部に略同心円状に配置し、さらに、内側チューブ4とタイヤ外郭5の間に消火用水などの消火剤2を封入しておく。また、タイヤ外郭5の所定位置に消火剤2の放出ノズルを取り付けておく。
【0019】
このように構成した本実施形態の消火用タイヤ1においては、通常時には放出ノズルが閉じて消火剤2、高圧気体3が密閉された状態であるため、タイヤ本来の機能と維持し、これを装着した重機などを通常通りに稼働させることができる。
【0020】
一方、火災が発生した際には、運転者等の操作者が放出ノズルを開く操作を行うなどすると、タイヤ外郭5と内側チューブ4の間に封入された消火剤2が放出ノズルから外側に噴出する。また、このとき、内側チューブ4に高圧気体3が封入されているため、消火剤2が放出ノズルから外側に噴出するとともに内側チューブ4が膨張し、消火剤2を放出ノズルから所望の圧力をもって噴出させることができる。さらに、消火剤2が封入されていた領域が内側チューブ4で満たされるため、消火剤2の噴出中、噴出後もタイヤ1の接地圧を好適に確保でき、走行に支障をきたすことがない。
【0021】
これにより、火災が発生した際に、タイヤ1から消火剤2を噴出させながら重機等の車両を走行させたり、車両を所望の位置に停止させた段階でタイヤ1から消火剤2を所望の方向に噴出させて、消火活動を行うことが可能になる。
【0022】
また、この消火用タイヤ1を装着した車両が事故を起こし、消火用タイヤ1が燃焼したり、破損した場合にも、内側チューブ4が膨張しつつ消火剤2がタイヤ1の破損個所から放出される。このため、車両の事故の際の火災の発生、拡大(延焼)を効果的に食い止めることが可能になる。
【0023】
なお、本実施形態の消火用タイヤ1の構成は、必ずしも上記のように限定しなくてもよい。
【0024】
例えば、タイヤ1の内空(タイヤ外郭5内)の車軸側に高圧気体3を封入した内側チューブ4を設け、タイヤ1の内空の内側チューブ4よりも車両外側(タイヤ露出側)に消火剤2を封入しておき、火災発生時に内側チューブ4を車両外側に膨張させつつ、タイヤ1の側面側から車両の側方外側に向けて消火剤2を噴出させるように構成してもよい。
【0025】
さらに、タイヤ外郭5内の軸線中心の周方向に複数の内側チューブ4を間隔をあけて設け、周方向に隣り合う内側チューブ4の間に消火剤2を封入しておき、火災発生時に複数の内側チューブ4を膨張させつつ消火剤2を噴出させるように構成してもよい。
【0026】
このように構成しても上記の消火用タイヤ1と同様の作用効果を得ることができる。
【0027】
したがって、本実施形態の消火用タイヤ1及び建設作業場の消火システムによれば、スプリンクラーなどの消火設備を設けることが困難な坑道等を構築する工事現場においても、迅速な消火活動が可能になる。
【0028】
以上、本発明に係る消火用タイヤ及び建設作業場の消火システムの一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 消火用タイヤ
2 消火剤
3 高圧気体
4 内側チューブ
5 タイヤ外郭
図1
図2
図3