(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】鏡アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A47G 1/02 20060101AFI20220318BHJP
【FI】
A47G1/02 L
(21)【出願番号】P 2018027480
(22)【出願日】2018-02-20
【審査請求日】2021-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日影 正弘
(72)【発明者】
【氏名】池田 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 浩二
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-126832(JP,U)
【文献】特開昭57-099909(JP,A)
【文献】米国特許第04322053(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡本体、及び前記鏡本体の後面に固定された裏板を備える鏡と、
前記鏡の端部に組み付けられ、前記鏡と、前記鏡が取り付けられる所定の取付部と、を連結する連結部材と、
を具備する鏡アセンブリであって、
前記連結部材は、
前壁と、
前記前壁の後方に位置する後壁と、
前記前壁及び前記後壁によって構成され、前記鏡の端部が挿入される挿入部と、
前記前壁及び前記後壁の少なくとも一方に連結し、前記挿入部に前記鏡の端部が挿入された状態で、前記裏板に対して前方に離間するとともに前記挿入部の内側の空間を前空間と後空間とに仕切る仕切部と、
を備え
、
前記連結部材は、前記仕切部の後面から後方に突出した凸部を備えることを特徴とする鏡アセンブリ。
【請求項2】
鏡本体、及び前記鏡本体の後面に固定された裏板を備える鏡と、
前記鏡の端部に組み付けられ、前記鏡と、前記鏡が取り付けられる所定の取付部と、を連結する連結部材と、
を具備する鏡アセンブリであって、
前記連結部材は、
前壁と、
前記前壁の後方に位置する後壁と、
前記前壁及び前記後壁によって構成され、前記鏡の端部が挿入される挿入部と、
前記前壁及び前記後壁の少なくとも一方に連結し、前記挿入部に前記鏡の端部が挿入された状態で、前記裏板に対して前方に離間するとともに前記挿入部の内側の空間を前空間と後空間とに仕切る仕切部と、
を備え、
前記裏板は、前記鏡本体の後面に固定された本体部、および前記本体部から前記鏡本体の端面よりも外側に延出する延出部と、を有しており、
前記連結部材は、前記仕切部の後面から後方に延出する一対の横仕切部を備え、
前記延出部は、一対の前記横仕切部の間に各前記横仕切部に離間して配置されていることを特徴とする鏡アセンブリ。
【請求項3】
前記延出部は、先端から基端に向かって延びるように切り欠かれた切欠部が形成されており、
前記連結部材は、前記後壁の前面から前方に突出したリブを備え、
前記リブが前記切欠部に入り込むことを特徴とする請求項
2に記載の鏡アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鏡アセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、鏡板の端部に組み付けられる鏡板把持サッシが開示されている。この鏡板把持サッシは、鏡板の端部の端面に対向して支持する支持部と、支持部に連設されて鏡板の前面側を押さえる前壁部と、支持部に連設されて鏡板の後面側を押さえる後壁部と、を備えている。鏡板は、後面がバックパネルに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の鏡板把持サッシは、鏡板の前面において液体(例えば、化粧品や洗剤を含む液体など)が端部に向かって伝わる場合に、前壁部と鏡板との間に入り込み、さらに鏡板の端部と支持部との間に回り込む虞がある。そして、鏡板の端部と支持部との間に回り込む液体は、鏡板とバックパネルの隙間に到達する場合に、毛細管現象によって鏡板の後面全体へと広がっていくことになる。このような液体は、鏡板の後面を腐食してしまう。
【0005】
このような問題に対して、鏡板は、例えば、後面における端部全体に沿って両面テープや接着剤などの接着部材を設けることで、バックパネルとの間における液体の浸入経路を塞ぐ構成とすることができる。しかしながら、このような構成では、鏡板を鏡板把持サッシに組み付ける前に、鏡板とバックパネルとの間に上記接着部材を付着させる工程が新たに必要となり、鏡板把持サッシの組み付け効率が悪くなってしまう問題がある。したがって、鏡板の端部に組み付けられる部材は、生産効率良く鏡体の後面の腐食を防止し得る構成が求められている。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、生産効率良く鏡本体の後面の腐食を防止し得る鏡アセンブリを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の鏡アセンブリは、
鏡本体、及び前記鏡本体の後面に固定された裏板を備える鏡と、
前記鏡の端部に組み付けられ、前記鏡と、前記鏡が取り付けられる所定の取付部と、を連結する連結部材と、
を具備する鏡アセンブリであって、
前記連結部材は、
前壁と、
前記前壁の後方に位置する後壁と、
前記前壁及び前記後壁によって構成され、前記鏡の端部が挿入される挿入部と、
前記前壁及び前記後壁の少なくとも一方に連結し、前記挿入部に前記鏡の端部が挿入された状態で、前記裏板に対して前方に離間するとともに前記挿入部の内側の空間を前空間と後空間とに仕切る仕切部と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
この鏡アセンブリの連結部材は、前壁及び後壁によって構成される挿入部に鏡の端部が挿入された状態で、裏板に対して前方に離間するとともに挿入部の内側の空間を前空間と後空間とに仕切る仕切部を備えている。そのため、連結部材は、液体が鏡の前面から端部へ伝わる場合に、液体を前空間において仕切部の前面を伝わらせて、鏡から排水することができる。連結部材は、仮に鏡の端部に伝わる液体が前空間から後空間に到達しようとしても、仕切部の後面を伝わらせて、鏡から排水することができる。そして、仕切部は、裏板に対して離間しているため、裏板に液体が到達することを防ぐことができる。したがって、鏡アセンブリは、鏡本体と裏板との間に液体が入り込むことに起因する鏡本体の後面の腐食を防止することができる。特に、鏡アセンブリは、連結部材に仕切部を設けるのみの簡易な構成であるため、例えば鏡本体と裏板との間に液体の浸入防止用の接着部材などを付着させる工程が必要なく、生産効率良く鏡本体の後面の腐食を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1に係る鏡アセンブリを示す図であり、(A)斜視図、(B)分解斜視図を夫々示す。
【
図8】連結部材を鏡に組み付けた状態における
図4のA-A断面に相当する断面図である。
【
図9】連結部材を鏡に組み付けた状態における
図4のB-B断面に相当する断面図である。
【
図10】連結部材を鏡に組み付けた状態における
図4のC-C断面に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
【0011】
本発明の鏡アセンブリの連結部材は、前記仕切部の後面から後方に突出した凸部を備え得る。
この場合、連結部材は、裏板が凸部に干渉することで、裏板が仕切部に接触することを防ぐことができる。これにより、鏡アセンブリは、後空間を確保して、液体を仕切部の後面を伝わらせて、鏡から排水し易くすることができる。
【0012】
本発明の鏡アセンブリの連結部材にて取り付けられる鏡の前記裏板は、前記鏡本体の後面に固定された本体部、および前記本体部から前記鏡本体の端面よりも外側に延出する延出部と、を有しており、
連結部材は、前記仕切部の後面から後方に延出する一対の横仕切部を備え、
前記延出部は、一対の前記横仕切部の間に各前記横仕切部に離間して配置され得る。
この場合、この鏡アセンブリは、液体が鏡の端部において延出部に向かって伝わる場合に、横仕切部を伝わらせて、鏡から排水することができる。そして、鏡アセンブリは、延出部が一対の横仕切部に離間して配置されているため、延出部に液体が到達することを防ぐことができる。
【0013】
本発明の鏡アセンブリの連結部材にて取り付けられる鏡の前記延出部は、先端から基端に向かって延びるように切り欠かれた切欠部が形成されており、
連結部材は、前記後壁の前面から前方に突出したリブを備え、
前記リブが前記切欠部に入り込み得る。
この場合、この鏡アセンブリは、裏板の延出部の切欠部にリブが入り込むことで、裏板がリブに対して、一対の横仕切部が対向する方向に位置ずれすることを防ぐことができる。そのため、鏡アセンブリは、延出部を一対の横仕切部から離間した状態に維持することができ、裏板に液体が到達することを防ぐことができる。
【0014】
次に、本発明の鏡アセンブリを具体化した実施例1について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
<実施例1>
実施例1の鏡アセンブリ1は、洗面所等に配置される収納棚(図示略)の前面扉として用いられる。鏡アセンブリ1は、
図1に示すように、鏡10と、この鏡10の下端部(端部10A)および上端部(端部10B)にそれぞれ設けられた連結部材20と、を備えている。連結部材20は、例えば収納棚の本体部15(請求項の「取付部」に相当)と、鏡10と、を連結する。連結部材20は、前方に開口する箱状の本体部15に対して、鏡10を鏡扉として開閉自在に固定するように機能する。鏡10は、本体部15の開口部分を閉塞する閉状態において、本体部15とともに収納空間を構成する。連結部材20は、
図3、
図5に示すように、ヒンジ組付部21、および取っ手部22が形成されている。連結部材20は、ヒンジ組付部21に取り付けられる扉用ヒンジ(図示略)を介して本体部15に組み付けられている。連結部材20は、取っ手部22が使用者によって操作されることで、鏡10とともに開閉動作する。
【0016】
本明細書では、上下方向は、
図1に示す向きがそのまま上下方向である。前後方向は、鏡10の板面に直交する方向であり、前方側は、本体部15に対して鏡10が固定される側であり、後方側は、前方側とは反対側である。左右方向は、上下方向および前後方向に直交する方向であり、左側は、使用者が閉状態の鏡10に向かい合ったときの左手側であり、右側は、右手側である。
【0017】
鏡10は、
図1に示すように、鏡本体11と、裏板12と、を備えている。鏡本体11は、前方側から見て略四角形状の板状部材である。裏板12は、鏡本体11の後面に固定されている。裏板12は、鏡本体11の厚さよりも薄い樹脂板からなる。裏板12は、両面テープ等により、鏡本体11の後面に接着固定されている。裏板12は、本体部13、および延出部14を備えている。本体部13は、鏡本体11よりも僅かに小さい正面視四角形状をなしている。延出部14は、本体部13に一体的に形成されるとともに、本体部13の上下端から鏡本体11の端部11A,11Bよりも外側方向に延出して形成されている。延出部14の左右幅は本体部13の左右幅よりも小さく形成されている。延出部14は、左右方向の中心部分において、延出方向における先端から基端に向かって(
図8では、上方に向かって)延びるように切り欠かれた切欠部14Aが形成されている。切欠部14Aは、連結部材20を取り付ける際の左右方向の位置合わせに用いられる。
【0018】
連結部材20は、鏡10の下端部(端部10A)および上端部(端部10B)に対称に組み付けられている。連結部材20は、鏡10の下端部(端部10A)および上端部(端部10B)の延伸方向である左右方向を長手方向とする長尺状に形成されている。上下の連結部材20は、上下に対称に形成されている以外は略同様の構成であり、以下の説明では鏡10の下端部(端部10A)に組み付けられる連結部材20を用いて説明する。
【0019】
連結部材20は、
図2~4に示すように、前壁30、後壁40、仕切部60、凸部64、一対の横仕切部65,65、リブ75、および挿入部80を備えている。前壁30は、左右方向に長い板状壁部である。前壁30は、鏡10の前面における下縁付近を、前方側から押さえ付けるように機能する。
【0020】
後壁40は、
図2~4に示すように、左右方向に長い板状壁部である。後壁40は、前壁30よりも後方の位置で、鏡10の後面における下縁付近を、後方側から押さえ付けるように機能する。後壁40は、
図3に示すように板部41、枠部42、一対の抜け止め部43,43、および撓み部44を備えている。板部41は、左右方向に長く、下側の両角部が略四角に切り欠かれた四角板状である。枠部42は、板部41の外縁から後方に延出するように環状になっている。抜け止め部43は、抜け止め用ビスB1が螺合されることにより、鏡10を抜け止め固定する。抜け止め部43は、抜け止め用ビスB1が螺合する孔43Aを備えている。撓み部44は、前壁30側に弾性変形(撓み変形)することにより、前壁30との間で鏡10を挟持する。撓み部44は、タッピングビスB2が挿入される孔44Aを備えている。
【0021】
前壁30は、
図4に示すように、前後連結部51,52、および一対の前後連結部53,53によって後壁40と連結されている。前後連結部51は、前壁30の左端部と、後壁40の左端部と、を連結している。前後連結部51は、板面が上下方向に直交する平板状である。前後連結部52は、前壁30の右端部と、後壁40の右端部と、を連結している。前後連結部52は、
図5に示すように、上下方向および左右方向にそれぞれ直交する2つの板面を有し、正面視でL字状に折れ曲がっている。一対の前後連結部53,53は、前後連結部51と前後連結部52の間において、前壁30と後壁40を連結している。前後連結部53は、板面が左右方向に直交する平板状である。
【0022】
挿入部80は、
図2、
図4、
図6、
図7に示すように、前壁30及び後壁40によって構成されている。挿入部80は、鏡10の端部10Aが上方から挿入される。挿入部80は、内側(前壁30と後壁40の間)に空間Sを形成している。
【0023】
仕切部60は、
図4、
図6、
図7に示すように、前壁30と後壁40の間において、挿入部80の内側の空間Sを前空間S1と後空間S2とに仕切る。仕切部60は、左右方向に長い板状である。仕切部60は、上方に面する上面60Aを有する。仕切部60は、
図6、
図7に示す上仕切部61、下仕切部62、および
図4に示す係合部63を備えている。上仕切部61は、板面が前後方向に直交する板部である。下仕切部62は、上仕切部61の下端に連なる板部である。下仕切部62は、後方に向かって下り勾配となるように傾斜している。
【0024】
連結部材20は、仕切部60の上記構成によって、金型を用いて成形する際に、仕切部60を形作る金型部分の強度を高めることができる。具体的には、前壁30と仕切部60との間に配置される金型部分(上下方向に延びる部分)は、下端部(前壁30と下仕切部62との間の部分)が前後方向で厚くなる。また、後壁40と仕切部60との間に配置される金型部分は、上端部(後壁40と上仕切部61との間の部分)が前後方向で厚くなる。このように、連結部材20は、金型における上下方向に延びる部分の根元の厚さを確保することで、金型の強度を高めることができる。
【0025】
係合部63は、上仕切部61の後面、および下仕切部62の後面において、撓み部44の前方の位置(
図5参照)に形成されている。係合部63は、上面が上方に湾曲した蒲鉾状に後方に突出している。係合部63は、タッピングビスB2が係合する係合穴63Aを有している。
【0026】
仕切部60は、
図4に示すように、左端部が前後連結部51に連なり、右端部が前後連結部52に連なっている。仕切部60は、前後連結部51と前後連結部52の内側で、一対の前後連結部53,53にそれぞれ連なっている。
【0027】
仕切部60は、
図4に示すように、一対の前連結部71,71、および一対の前連結部72,72を介して前壁30と連結している。一対の前連結部71,71は、一対の前後連結部53,53の内側で、前壁30と仕切部60を連結している。前連結部71は、上下方向に直交する板面を有し、左右方向に長い板状である。前連結部71は、上方に面する上面71Aを有する。仕切部60は、
図6に示すように、上面60Aが前連結部71の上面71Aよりも高位置にあり、前連結部71とともに段差を形成している。一対の前連結部72,72は、一対の前連結部71,71の内側で、前壁30と仕切部60を連結している。前連結部72は、上下方向に直交する板面を有し、左右方向に長い板状である。前連結部72は、上方に面する上面72Aを有する。仕切部60は、
図7に示すように、上面60Aが前連結部72の上面72Aよりも高位置にあり、前連結部72とともに段差を形成している。
【0028】
仕切部60は、
図4に示すように、一対の後連結部73,73、および一対の後連結部74,74を介して後壁40と連結している。一対の後連結部73,73は、一対の前後連結部53,53の内側で、後壁40と仕切部60を連結している。後連結部73は、上下方向に直交する板面を有し、左右方向に長い板状である。後連結部73は、
図6に示すように、仕切部60の下端部と後壁40の下端部を連結している。一対の後連結部74,74は、一対の後連結部73,73の内側で、後壁40と仕切部60を連結している。後連結部74は、上下方向に直交する板面を有し、左右方向に長い板状である。後連結部74は、仕切部60の下端部と後壁40の下端部を連結している。
【0029】
凸部64は、
図4、
図6、
図7に示すように、仕切部60の後面から後方に突出している。具体的には、凸部64は、仕切部60の後面に4つ形成されている。一対の凸部64,64は、左側の抜け止め部43の前方の位置において、それぞれ僅かな距離を隔てて隣り合って形成されている。同様に、他の一対の凸部64,64は、右側の抜け止め部43の前方の位置において、それぞれ僅かな距離を隔てて隣り合って形成されている。凸部64は、
図6、
図7に示すように、角張った突起形状である。凸部64は、仕切部60と後連結部73の連結箇所まで後方に突出している。凸部64は、上方に面する上面64Aを有する。仕切部60は、
図6、
図7に示すように、上面60Aが凸部64の上面64Aよりも高位置にあり、凸部64とともに段差を形成している。
【0030】
一対の横仕切部65,65は、
図4、
図5に示すように、それぞれ仕切部60の後面における左右方向内側寄りの位置から後方に延出し、後壁40の前面に連なっている。横仕切部65は、上下方向に長い板状である。横仕切部65は、上方に面する上面65Aを有する。横仕切部65の上面65Aは、仕切部60の上面60Aと同じ高さである。左側の横仕切部65は、左側の前後連結部53に対して僅かに右寄りの位置に位置している。右側の横仕切部65は、右側の前後連結部53に対して僅かに左寄りの位置に位置している。一対の横仕切部65,65は、
図4に示すように、仕切部60の後方において、後空間S2を左右方向で後左空間S21と後内空間S22と後右空間S23とに仕切っている。
【0031】
リブ75は、
図4、
図5に示すように、リブ75A~75Cを備えている。リブ75は、鏡10に連結部材20を組み付ける際の左右方向の位置合わせに用いられる。リブ75A~75Cは、それぞれ後壁40の前面から前方に突出し、仕切部60に連なっている。リブ75Aは、後壁40における左右方向の中心に位置している。リブ75Bおよび75Cは、リブ75Aを挟むようにリブ75Aの左右両側にそれぞれ所定距離おいて位置している。リブ75Aは、リブ75Bおよび75Cよりも上方に突出している。
【0032】
ヒンジ組付部21は、
図3に示すように、前壁30の左下端の一部と、後壁40の枠部42の左下端の一部と、によって構成されている。ヒンジ組付部21は、扉用ヒンジ(図示略)が取り付けられる。取っ手部22は、前壁30の右下端の一部と、後壁40の枠部42の右下端の一部と、前後連結部52と、によって構成される。取っ手部22は、鏡アセンブリ1の開閉時に手が挿入される空間を内側に形成する。
【0033】
次に、連結部材20の鏡10への組み付けについて説明する。
鏡10は、
図8~
図10に示すように、連結部材20の挿入部80に挿入される。裏板12の延出部14は、凸部64と後壁40との間の隙間に挿入される。延出部14は、一対の横仕切部65,65の間において、各横仕切部65,65に離間して配置される。鏡本体11の端部11Aは、仕切部60の上面60A、一対の横仕切部65,65の各上面65A,65A、前後連結部52の上面52Aに載置される。ここで、
図5に示す仮想線Lは、仕切部60の上面60A、一対の横仕切部65,65の各上面65A,65A、前後連結部52の上面52Aを通る左右方向の水平線である。鏡本体11の端部11Aは、この仮想線L上に位置することで、
図8に示す状態となる。
【0034】
リブ75は、切欠部14Aの内側に挿入される。これにより、連結部材20は、鏡10に対して左右方向の位置合わせが行われるとともに、位置ずれを防止することができる。
【0035】
続いて、連結部材20は、抜け止め用ビスB1(
図1(B)参照)を後壁40の後方から抜け止め部43(
図3参照)に螺合させ、裏板12の延出部14をセルフタッピング作用によって貫通させる。このように、連結部材20は、抜け止め用ビスB1を延出部14に貫通させることで、延出部14が後壁40の前方に固定され、鏡10の抜け止めを行う。
【0036】
続いて、連結部材20は、タッピングビスB2(
図1(B)参照)を撓み部44(
図3参照)に挿通させ、仕切部60にセルフタッピングにより螺合させる。撓み部44は、下端側が前壁30側に移動して撓み変形し、鏡10を前壁30側に押圧する。これにより、鏡10は、前壁30と撓み部44とによって挟持されて固定される。以上のようにして、鏡アセンブリ1が組み立てられる。
【0037】
次に、上記構成の連結部材20および鏡アセンブリ1の作用について説明する。
上記のように組み立てられた鏡アセンブリ1において、液体(例えば、化粧品や洗剤を含む液体など)が鏡本体11の前面において端部11Aに向かって伝わる場合を考える。鏡アセンブリ1は、液体が表面張力などにより鏡本体11と前壁30との間に入り込む虞がある。しかしながら、連結部材20は、
図4、
図9に示すように、前空間S1において、隣り合う連結部間(前後連結部51~53、および前連結部71,72のうち隣り合う連結部の間)で上下方向に貫通する通路が構成されている。そのため、連結部材20は、鏡本体11と前壁30との間に入り込む液体を、そのままこれらの通路を構成する前壁30の後面を伝って、
図9、
図10に示す経路R1のように下方に導くことができ、下方に排水することができる。
【0038】
また、連結部材20は、鏡本体11と前壁30との間に入り込む液体が、鏡本体11の端部11Aに伝わった場合であっても、端部11Aが載置される仕切部60に接触することになる。そのため、連結部材20は、
図9、
図10に示す経路R2のように、液体を仕切部60によって下方に導くことができる。これにより、連結部材20は、液体を前空間S1において仕切部60の前面を伝わらせて、鏡10から排水することができる。
【0039】
さらに、仮に鏡10の端部10Aに伝わる液体が、裏板12まで到達しようとする場合を考える。連結部材20は、仕切部60の後ろには後空間S2があり、凸部64が裏板12に干渉することで、仕切部60が裏板12に対して離間している。そのため、連結部材20は、
図10に示す経路R3のように、液体を仕切部60によって下方に導くことができる。そして、連結部材20は、
図4、
図10に示すように、後空間S2において、隣り合う連結部間(前後連結部51~53、および後連結部73,74のうち隣り合う連結部の間)で上下方向に貫通する通路が構成されている。そのため、連結部材20は、鏡10の端部10Aに伝わる液体を、そのままこれらの通路を構成する仕切部60の後面を伝って、
図9、
図10に示すような経路R3のように下方に排水することができる。
【0040】
また、裏板12の延出部14は、一対の横仕切部65,65の間において、各横仕切部65,65に離間して配置されている。そのため、連結部材20は、液体が鏡10の延出部14を除く端部10Aにおいて左右方向外側から延出部14に向かって液体が伝わる場合に、横仕切部65,65によって下方に排水することができる。具体的には、連結部材20は、端部10Aにおける延出部14よりも左側の部分において、左側から延出部14に向かって液体が伝わる場合に、
図8に示す経路R4のように、後左空間S21において左側の横仕切部65の左側面を伝わらせて、下方に排水することができる。さらに、連結部材20は、仮に左側の横仕切部65の左側面よりも右側に液体が伝わっても、
図8に示す経路R5のように、左側の横仕切部65の右側面を伝わらせて、後内空間S22において下方に排水することができる。同様に、連結部材20は、端部10Aにおける延出部14よりも右側の部分において、右側から延出部14に向かって液体が伝わる場合に、
図8に示す経路R6のように、後右空間S23において右側の横仕切部65の右側面を伝わらせて、下方に排水することができる。さらに、連結部材20は、仮に右側の横仕切部65の右側面よりも左側に液体が伝わっても、
図8に示す経路R7のように、右側の横仕切部65の左側面を伝わらせて、後内空間S22において下方に排水することができる。
【0041】
以下、本構成の効果を例示する。
実施例1の鏡アセンブリ1の連結部材20は、挿入部80に鏡10の端部10Aが挿入された状態で、裏板12に対して前方に離間するとともに挿入部80の内側の空間Sを前空間S1と後空間S2とに仕切る仕切部60を備えている。そのため、連結部材20は、液体が鏡10の前面から端部10Aへ伝わる場合に、液体を前空間S1において仕切部60の前面を伝わらせて、鏡10から排水することができる。連結部材20は、仮に鏡10の端部10Aに伝わる液体が前空間S1から後空間S2に到達しようとしても、仕切部60の後面を伝わらせて、鏡10から排水することができる。そして、仕切部60は、裏板12に対して離間しているため、裏板12に液体が到達することを防ぐことができる。したがって、鏡アセンブリ1は、鏡本体11と裏板12との間に液体が入り込むことに起因する鏡本体11の後面の腐食を防止することができる。特に、鏡アセンブリ1は、連結部材20に仕切部60を設けるのみの簡易な構成であるため、例えば鏡本体11と裏板12との間に液体の浸入防止用の接着部材などを付着させる工程が必要なく、生産効率良く鏡本体11の後面の腐食を防止することができる。
【0042】
鏡アセンブリ1の連結部材20は、仕切部60の後面から後方に突出した凸部64を備えている。
このため、連結部材20は、裏板12が凸部64に干渉することで、裏板12が仕切部60に接触することを防ぐことができる。これにより、鏡アセンブリ1は、後空間S2を確保して、液体を仕切部60の後面を伝わらせて、鏡10から排水し易くすることができる。
【0043】
鏡アセンブリ1の連結部材20にて取り付けられる鏡10の裏板12は、鏡本体11の後面に固定された本体部13、および本体部13から鏡本体11の端部11Aよりも外側に延出する延出部14と、を有している。連結部材20は、仕切部60の後面から後方に延出する一対の横仕切部65,65を備えている。延出部14は、一対の横仕切部65,65の間に各横仕切部65,65に離間して配置されている。
このため、この鏡アセンブリ1の連結部材20は、液体が鏡10の端部10Aにおいて延出部14に向かって伝わる場合に、横仕切部65,65を伝わらせて、鏡10から排水することができる。そして、鏡アセンブリ1は、延出部14が一対の横仕切部65,65に離間して配置されているため、延出部14に液体が到達することを防ぐことができる。
【0044】
鏡アセンブリ1の連結部材20にて取り付けられる鏡10の延出部14は、先端から基端に向かって延びるように切り欠かれた切欠部14Aが形成されている。連結部材20は、後壁40の前面から前方に突出したリブ75を備えている。リブ75は、切欠部14Aに入り込んでいる。
このため、この鏡アセンブリ1は、裏板12の延出部の切欠部14Aにリブ75が入り込むことで、裏板12がリブ75に対して、一対の横仕切部65,65が対向する方向に位置ずれすることを防ぐことができる。そのため、鏡アセンブリ1は、延出部14を一対の横仕切部65,65から離間した状態に維持することができ、横仕切部65,65から延出部14を介して裏板12に液体が到達することを防ぐことができる。
【0045】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例1では、連結部材20の一対の横仕切部65,65は、仕切部60の後面における左右方向内側寄りの位置から後方に延出していたが、仕切部60の左右方向の両端部が実施例1よりも内側に位置し(すなわち、仕切部60の左右方向の長さが前壁30や後壁40よりも短く)、一対の横仕切部65,65が仕切部60の左右方向の両端部から後方に延出してもよい。すなわち、連結部材20は、仕切部60と一対の横仕切部65,65とによって、上方から見てコ字状の仕切りが構成されてもよい。
(2)実施例1では、連結部材20のリブ75は、後壁40の前面から前方に突出し、仕切部60に連なっていたが、仕切部60に連ならなくてもよい。
(3)実施例1では、連結部材20が鏡10と本体部15とを連結するとともに、鏡アセンブリ1が収納棚の扉として用いられる形態を例示したが、連結部材20が鏡10と壁面とを連結し、鏡アセンブリ1が壁面固定される形態であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…鏡アセンブリ
10…鏡
10A…端部
11…鏡本体
11A…端面
12…裏板
13…本体部
14…延出部
14A…切欠部
15…本体部(取付部)
20…連結部材
30…前壁
40…後壁
60…仕切部
64…凸部
65…横仕切部
75…リブ
80…挿入部
S…空間
S1…前空間
S2…後空間