(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-17
(45)【発行日】2022-03-28
(54)【発明の名称】養生ネットの取り付け方法および取り付け装置
(51)【国際特許分類】
E04G 21/32 20060101AFI20220318BHJP
E04G 5/00 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
E04G21/32 B
E04G5/00 301E
(21)【出願番号】P 2018032766
(22)【出願日】2018-02-27
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山梨 雅人
(72)【発明者】
【氏名】楠 朝光
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-140473(JP,A)
【文献】実開平04-030656(JP,U)
【文献】実開平02-068036(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/32
E04G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工中の建物の躯体外周に養生ネットを取り付ける方法であって、
柱部材の柱頭部に、躯体の外側に向けて外部足場用のスペースの外側まで張り出す仮設部材を設置するステップと、
仮設部材の外側端部にホイストを設置するステップと、
柱部材を躯体に設置するステップと、
躯体に設置した柱部材からホイストの吊り具を下ろし、下ろした吊り具に養生ネットを取り付けるステップと、
ホイストの吊り具を上げて養生ネットを躯体外周に垂設するステップと
、
養生ネットを躯体外周に垂設した後、養生ネットと躯体に挟まれた空間に外部足場を設置する一方、養生ネットの背面側において、梁部材および胴縁部材を柱部材に設置するステップとを備えることを特徴とする養生ネットの取り付け方法。
【請求項2】
外部足場、梁部材および胴縁部材を設置した後、養生ネットを外部足場に盛り替えるステップとをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の養生ネットの取り付け方法。
【請求項3】
養生ネットを外部足場に盛り替えた後、柱頭部からホイストおよび仮設部材を取り外すステップをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の養生ネットの取り付け方法。
【請求項4】
柱部材の柱頭部に仮設部材およびホイストを設置した後、この柱部材を躯体に設置することを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の養生ネットの取り付け方法。
【請求項5】
施工中の建物の躯体外周に養生ネットを取り付けるための装置であって、
躯体を構成する柱部材の柱頭部
に対して取り外し可能に設置され、躯体の外側に向けて外部足場用のスペースの外側まで張り出した仮設部材と、
仮設部材の外側端部に設置され、養生ネットを取り付けるための吊り具を有するホイストとを備え、
仮設部材は、側面視で逆U字状の凹部を有し、この凹部は、柱頭部の上端部を内外から挟み込む形で配置されるとともに、柱頭部の上端部に対して取り外し可能に固定されるものであり、
養生ネットは、ホイストによる吊り具の昇降動作に応じて躯体外周に沿って昇降可能に吊り具に取り付けられることを特徴とする養生ネットの取り付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築工事の鉄骨建方時に躯体外周に仮設される養生ネットの取り付け方法および取り付け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、施工中の階層建物において、建物躯体外部への資機材の落下を防止するために、躯体外周を垂直面状の垂直養生ネットで養生することがある。垂直養生ネットの一般的な設置方法は、施工階の鉄骨柱や梁の建方完了後に、作業員が最上部の梁に水平ワイヤを介して垂直養生ネットの上部を取り付け、垂直養生ネットを吊り下ろすことにより躯体外周に仮設する、というものである。
【0003】
しかしながら、躯体外周の鉄骨柱間に梁の建方が完了しないと、垂直養生ネットを設置できないので、躯体外周に梁を架設する際の飛来落下物を防ぐことが難しいという問題があった。こうした問題を解決するための技術として、例えば特許文献1に記載の養生ユニットが知られている。この養生ユニットは、建て込まれた2本の鉄骨柱間を覆う養生ネットと、養生ネットを広げた状態で保持する枠体と、枠体の上部から鉄骨柱側に向けて張り出す2本のブラケットと、各ブラケットの先端部に設けられて、鉄骨柱の上部の柱側掛止部に対して掛止可能な養生側掛止部とを備える。この構成によれば、鉄骨柱の建方完了後であって梁の取り付け前に、養生側掛止部を柱頭に差し込んで養生ユニットを設置することにより、養生ユニットで養生を行いながら、梁の取り付けを行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来の特許文献1の養生ユニットでは、鉄骨柱や梁間に胴縁を取り付けたり、躯体外周に外部足場を組み立て架設する前に、養生ユニットを盛り替えたり、張り直したりする作業が必要となるので、その分だけ作業コストが増大するおそれがあった。このため、胴縁の取り付けや外部足場の組み立てのための養生ネットの盛り替え、張り直し作業が無いような技術が求められていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、盛り替え作業を減らすことのできる低コスト型の養生ネットの取り付け方法および取り付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る養生ネットの取り付け方法は、施工中の建物の躯体外周に養生ネットを取り付ける方法であって、柱部材の柱頭部に、躯体の外側に向けて外部足場用のスペースの外側まで張り出す仮設部材を設置するステップと、仮設部材の外側端部にホイストを設置するステップと、柱部材を躯体に設置するステップと、躯体に設置した柱部材からホイストの吊り具を下ろし、下ろした吊り具に養生ネットを取り付けるステップと、ホイストの吊り具を上げて養生ネットを躯体外周に垂設するステップとを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る他の養生ネットの取り付け方法は、上述した発明において、養生ネットを躯体外周に垂設した後、養生ネットと躯体に挟まれた空間に外部足場を設置する一方、養生ネットの背面側において、梁部材および胴縁部材を柱部材に設置するステップと、外部足場、梁部材および胴縁部材を設置した後、養生ネットを外部足場に盛り替えるステップとをさらに備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他の養生ネットの取り付け方法は、上述した発明において、養生ネットを外部足場に盛り替えた後、柱頭部からホイストおよび仮設部材を取り外すステップをさらに備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る他の養生ネットの取り付け方法は、上述した発明において、柱部材の柱頭部に仮設部材およびホイストを設置した後、この柱部材を躯体に設置することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る養生ネットの取り付け装置は、施工中の建物の躯体外周に養生ネットを取り付けるための装置であって、躯体を構成する柱部材の柱頭部に設置され、躯体の外側に向けて外部足場用のスペースの外側まで張り出した仮設部材と、仮設部材の外側端部に設置され、養生ネットを取り付けるための吊り具を有するホイストとを備え、養生ネットは、ホイストによる吊り具の昇降動作に応じて躯体外周に沿って昇降可能に吊り具に取り付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る養生ネットの取り付け方法によれば、施工中の建物の躯体外周に養生ネットを取り付ける方法であって、柱部材の柱頭部に、躯体の外側に向けて外部足場用のスペースの外側まで張り出す仮設部材を設置するステップと、仮設部材の外側端部にホイストを設置するステップと、柱部材を躯体に設置するステップと、躯体に設置した柱部材からホイストの吊り具を下ろし、下ろした吊り具に養生ネットを取り付けるステップと、ホイストの吊り具を上げて養生ネットを躯体外周に垂設するステップとを備えるので、外部足場用のスペースの外側に養生ネットを垂設することで、その後の梁部材の取り付けから胴縁部材の取り付け、外部足場の架設まで養生ネットの盛り替え作業を無くすことができるという効果を奏する。
【0013】
また、本発明に係る他の養生ネットの取り付け方法によれば、養生ネットを躯体外周に垂設した後、養生ネットと躯体に挟まれた空間に外部足場を設置する一方、養生ネットの背面側において、梁部材および胴縁部材を柱部材に設置するステップと、外部足場、梁部材および胴縁部材を設置した後、養生ネットを外部足場に盛り替えるステップとをさらに備えるので、養生ネットの盛り替え作業を容易に行えるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明に係る他の養生ネットの取り付け方法によれば、養生ネットを外部足場に盛り替えた後、柱頭部からホイストおよび仮設部材を取り外すステップをさらに備えるので、取り外したホイストおよび仮設部材を、上階の柱部材の建方作業時の養生ネットの取り付けに再利用することができるとともに、柱頭部に対する上階の柱部材の建方作業が容易になるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明に係る他の養生ネットの取り付け方法によれば、柱部材の柱頭部に仮設部材およびホイストを設置した後、この柱部材を躯体に設置するので、柱頭部に対する仮設部材およびホイストの設置作業が容易になるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明に係る養生ネットの取り付け装置によれば、施工中の建物の躯体外周に養生ネットを取り付けるための装置であって、躯体を構成する柱部材の柱頭部に設置され、躯体の外側に向けて外部足場用のスペースの外側まで張り出した仮設部材と、仮設部材の外側端部に設置され、養生ネットを取り付けるための吊り具を有するホイストとを備え、養生ネットは、ホイストによる吊り具の昇降動作に応じて躯体外周に沿って昇降可能に吊り具に取り付けられるので、外部足場用のスペースの外側に養生ネットを垂設することで、その後の梁部材の取り付けから胴縁部材の取り付け、外部足場の架設まで養生ネットの盛り替え作業を無くすことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明に係る養生ネットの取り付け方法および取り付け装置が適用される施工中の建物躯体の概略図である。
【
図2】
図2は、施工中の建物躯体の側断面図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る養生ネットの取り付け方法および取り付け装置の実施の形態を示す建物躯体の正面斜視図であり、(1)は鉄骨建方時、(2)は養生ネットの設置時である。
【
図5】
図5は、本発明に係る養生ネットの取り付け方法および取り付け装置の実施の形態を示す建物躯体の背面斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明に係る養生ネットの取り付け方法および取り付け装置が適用された躯体施工手順例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る養生ネットの取り付け方法および取り付け装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0019】
本実施の形態は、
図1の完成図に示すような中層の建物1の新築工事において、鉄骨建方時の養生に適用されるものである。
図2は、鉄骨建方時の養生計画を例示した側断面図である。この図に示すように、建物1は、各階に鉄骨柱2(柱部材)と鉄骨梁3(梁部材)を備える躯体4からなる。この躯体4は1階分の鉄骨柱2、鉄骨梁3を施工した後、上階の施工に進む積層工法で施工される。なお、本発明は、1階分の鉄骨柱2、鉄骨梁3を施工した後、上階の施工に進む積層工法で施工される場合に限るものではなく、2階分以上ずつ鉄骨柱2、鉄骨梁3を施工する場合にも適用可能である。
【0020】
施工階の躯体4の外周5には、本実施の形態の取り付け方法または取り付け装置によって養生ネット6が設置され、さらに外部足場7が架設される。この外部足場7は、施工階の鉄骨梁3、胴縁部材8、外壁パネル9等を取り付ける作業用足場として使用される。
【0021】
次に、所定階の床躯体まで施工が完了しているものとして、躯体外周5に養生ネット6を取り付けるための取り付け装置と取り付け方法を説明する。
【0022】
図3は、
図2の要部を拡大したものである。この図に示すように、本実施の形態に係る養生ネットの取り付け装置10は、建て込まれた鉄骨柱2の柱頭部12に設置された仮設金物14(仮設部材)と、仮設金物14の外側端部に設置されたベビーホイスト16(ホイスト)とを備える。なお、この取り付け装置10は、図の紙面に垂直な方向に間隔(例えば7m程度のスパン)を隔てて建て込まれた、少なくとも2本の鉄骨柱2の柱頭部12にそれぞれ設けられる。このようにすれば、少なくとも2本の鉄骨柱2間を覆う位置に養生ネット6を取り付け可能である。柱頭部12としては、例えば鉄骨柱2の上端に設置されるエレクションピースを利用することができる。
【0023】
仮設金物14は、躯体4の外側に向けて外部足場7用のスペースの外側まで水平に張り出した棒状の部材であり、例えば溝形鋼などで構成することができる。仮設金物14の基部18には、側面視で逆U字状の凹部20が設けられている。この凹部20は、柱頭部12の上端部を内外から挟み込む形で配置されており、柱頭部12の上端部のブラケット22に仮ボルト23で固定されている。
【0024】
ベビーホイスト16は、ドラム24に巻回されたワイヤ26と、ワイヤ26の下端に取り付けられたフック28(吊り具)を有している。このベビーホイスト16は、有線または無線操作でドラム24を回転することで、ワイヤ26の下端のフック28を昇降できるようになっている。
【0025】
フック28には、養生ネット6が吊り下げられる。養生ネット6は、矩形シート状の可撓性網であり、その上下端には養生ネット6を広げた状態で保持する単管からなる枠体30が固定されている。上端の枠体30には、フック28を係合するための係合環32が取り付けられている。したがって、養生ネット6は、ベビーホイスト16によるフック28の昇降動作に応じて躯体外周5に沿って昇降可能である。なお、養生ネット6の幅は、隣り合う2本の鉄骨柱2間を覆う大きさでもよいし、鉄骨柱2の2スパン分を覆う大きさなどに設定してもよい。
【0026】
次に、この取り付け装置10を用いた養生ネット6の取り付け方法について説明する。
まず、地上等において、少なくとも2本の鉄骨柱2の柱頭部12に仮設金物14を設置し、さらに仮設金物14の外側端部にベビーホイスト16を設置しておく。続いて、これらの鉄骨柱2をクレーン等で吊り上げて躯体4に設置する。こうすることで、柱頭部12に対する仮設金物14およびベビーホイスト16の設置作業が容易になる。なお、このようにする代わりに、鉄骨柱2をクレーン等で吊り上げて躯体4に設置した後で、作業員が柱頭部12まで昇って仮設金物14およびベビーホイスト16を設置してもよい。
【0027】
次に、
図4(1)に示すように、各ベビーホイスト16を下降操作してフック28を下階または地上等に下ろした後、フック28に養生ネット6の上端の係合環32を取り付ける。次に、
図4(2)、
図5に示すように、各ベビーホイスト16を同期して上昇操作することにより、フック28を上げて養生ネット6を躯体外周5に垂設する。このようにして、外部足場7用のスペースの外側に養生ネット6を垂設することができる。
【0028】
なお、養生ネット6は、後工程で外部足場7の架設後にそのまま外部足場7に盛り替えることができるように、外部足場7外面に近い位置(例えば外面から50cm程度の位置)に垂設することが好ましい。このようにすれば、後工程の養生ネット6の盛り替え作業効率が向上する。
【0029】
次に、上記の取り付け方法を適用した建物の施工手順について説明する。
図6に示すように、まず、施工階の下まで外部足場7を組み立てた後(ステップS1)、施工階の鉄骨柱2の建方を行い(ステップS2)、上記の取り付け方法により養生ネット6を躯体外周5に垂設する(ステップS3)。次に、養生ネット6の背面側において、施工階の鉄骨柱2間に鉄骨梁3を架設することによって、鉄骨梁3の建方を行う(ステップS4)。続いて、養生ネット6と躯体4に挟まれた空間に外部足場7を組み立てる(ステップS5)。さらに、胴縁部材8(例えば縦胴縁)、外壁パネル9の取り付け(ステップS6)を行う。これらの作業中に、仮にボルトや工具などの資機材が躯体外周5に落下しても、養生ネット6で外部への飛来落下が防止される。
【0030】
その後、養生ネット6を外部足場7に盛り替えて(ステップS7)、ステップS1に戻る。これにより、鉄骨梁3の取り付けから胴縁部材8、外壁パネル9の取り付け、外部足場7の架設まで、養生ネット6の盛り替え作業を無くすことができる。また、外部足場7への養生ネット6の盛り替え作業も容易に行うことができる。
【0031】
なお、養生ネット6を外部足場7に盛り替えた後、柱頭部12から仮設金物14およびベビーホイスト16を取り外して、クレーン等で地上へ下ろしてもよい。このようにすれば、取り外した仮設金物14およびベビーホイスト16を再度、上階の鉄骨柱2の建方作業時の養生ネット6の取り付けに再利用することができる。また、柱頭部12に対する上階の鉄骨柱2の建方作業が容易になる。
【0032】
以上説明したように、本発明に係る養生ネットの取り付け方法によれば、施工中の建物の躯体外周に養生ネットを取り付ける方法であって、柱部材の柱頭部に、躯体の外側に向けて外部足場用のスペースの外側まで張り出す仮設部材を設置するステップと、仮設部材の外側端部にホイストを設置するステップと、柱部材を躯体に設置するステップと、躯体に設置した柱部材からホイストの吊り具を下ろし、下ろした吊り具に養生ネットを取り付けるステップと、ホイストの吊り具を上げて養生ネットを躯体外周に垂設するステップとを備えるので、外部足場用のスペースの外側に養生ネットを垂設することで、その後の梁部材の取り付けから胴縁部材の取り付け、外部足場の架設まで養生ネットの盛り替え作業を無くすことができる。
【0033】
また、本発明に係る他の養生ネットの取り付け方法によれば、養生ネットを躯体外周に垂設した後、養生ネットと躯体に挟まれた空間に外部足場を設置する一方、養生ネットの背面側において、梁部材および胴縁部材を柱部材に設置するステップと、外部足場、梁部材および胴縁部材を設置した後、養生ネットを外部足場に盛り替えるステップとをさらに備えるので、養生ネットの盛り替え作業を容易に行える。
【0034】
また、本発明に係る他の養生ネットの取り付け方法によれば、養生ネットを外部足場に盛り替えた後、柱頭部からホイストおよび仮設部材を取り外すステップをさらに備えるので、取り外したホイストおよび仮設部材を、上階の柱部材の建方作業時の養生ネットの取り付けに再利用することができるとともに、柱頭部に対する上階の柱部材の建方作業が容易になる。
【0035】
また、本発明に係る他の養生ネットの取り付け方法によれば、柱部材の柱頭部に仮設部材およびホイストを設置した後、この柱部材を躯体に設置するので、柱頭部に対する仮設部材およびホイストの設置作業が容易になる。
【0036】
また、本発明に係る養生ネットの取り付け装置によれば、施工中の建物の躯体外周に養生ネットを取り付けるための装置であって、躯体を構成する柱部材の柱頭部に設置され、躯体の外側に向けて外部足場用のスペースの外側まで張り出した仮設部材と、仮設部材の外側端部に設置され、養生ネットを取り付けるための吊り具を有するホイストとを備え、養生ネットは、ホイストによる吊り具の昇降動作に応じて躯体外周に沿って昇降可能に吊り具に取り付けられるので、外部足場用のスペースの外側に養生ネットを垂設することで、その後の梁部材の取り付けから胴縁部材の取り付け、外部足場の架設まで養生ネットの盛り替え作業を無くすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように、本発明に係る養生ネットの取り付け方法および取り付け装置は、建築工事の鉄骨建方時に躯体外周に仮設される養生ネットの取り付け方法に有用であり、特に、盛り替え作業を減らすのに適している。
【符号の説明】
【0038】
1 建物
2 鉄骨柱(柱部材)
3 鉄骨梁(梁部材)
4 躯体
5 外周、躯体外周
6 養生ネット
7 外部足場
8 胴縁部材
9 外壁パネル
10 養生ネットの取り付け装置
12 柱頭部
14 仮設金物(仮設部材)
16 ベビーホイスト(ホイスト)
18 基部
20 凹部
22 ブラケット
24 ドラム
26 ワイヤ
28 フック(吊り具)
30 枠体
32 係合環